JP2000264725A - 半導体磁器の製造方法 - Google Patents
半導体磁器の製造方法Info
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Abstract
が低く、かつ耐電圧が高いことを前提として、抗折強度
の向上と、低温で電圧のON−OFFを繰り返したとき
の抵抗値変化の抑制とを実現する。 【解決手段】 出発原料を仮焼して仮焼体を得る仮焼工
程と、この仮焼体を焼成して半導体磁器を得る焼成工程
とを有し、出発原料中において、Aサイトに入る金属元
素(前記半導体化剤を含む)のモル比をA、Bサイトに
入る金属元素のモル比をBとしたとき、A/B=1.0
00±0.005とし、仮焼工程において安定温度を1
150℃以上とし、仮焼工程と焼成工程との間に、Ba
2TiSi2O8およびBa4Ti13O30を含む後添加原料
を仮焼体に添加してA/Bを減少させると共に、仮焼体
を粉砕する後添加および粉砕工程を有し、後添加および
粉砕工程において、後添加原料を含む仮焼体を比表面積
が1.5m2/g以上となるように粉砕し、A/B<1であ
る半導体磁器を得る半導体磁器の製造方法。
Description
し、TVブラウン管の消磁素子等に利用される半導体磁
器、詳しくはBaTiO3系の正特性半導体磁器を製造
する方法に関する。
Oなどの温度特性調整のための置換成分と、Y2O3など
の半導体化剤とを添加し、さらに、焼結助剤SiO2や
抵抗温度係数改善剤MnOなどを加えた組成物を焼成し
て得られるBaTiO3系半導体磁器は、正の温度係数
をもつ抵抗体、いわゆるPTCサーミスタとしてTVブ
ラウン管の消磁素子等に一般的に広く用いられている。
く、かつ、常温での突入電流に対する耐破壊特性に優れ
た製品を中心として開発が進められてきた。しかし、最
近、信頼性を向上させるために、低温時に電圧のON−
OFFを繰り返したときの抵抗値変化を抑えること、す
なわち低温ON−OFF特性の向上が要求されるように
なってきている。また、従来のBaTiO3系半導体磁
器では、低温でのON−OFFの繰り返しにより層状割
れが生じやすく、層状割れにより抵抗値が大きく変化し
てしまうという問題もある。また、半導体磁器には、抗
折強度が十分に高いことも要求される。
TiO3系半導体磁器において、比抵抗が低く、かつ耐
電圧が高いことを前提として、抗折強度の向上と、低温
で電圧のON−OFFを繰り返したときの抵抗値変化の
抑制とを実現することである。
〜(4)で特定される事項によって達成される。 (1) 一般式ABO3で表されるペロブスカイト型結
晶を有し、ABO3のAサイトに入る金属元素として少
なくともBaを、Bサイトに入る金属元素として少なく
ともTiをそれぞれ含み、さらに、半導体化剤を含有
し、抵抗値が正の温度係数を示す半導体磁器を製造する
方法であって、出発原料を仮焼して仮焼体を得る仮焼工
程と、この仮焼体を焼成して半導体磁器を得る焼成工程
とを有し、出発原料中において、Aサイトに入る金属元
素(前記半導体化剤を含む)のモル比をA、Bサイトに
入る金属元素のモル比をBとしたとき、 A/B=1.000±0.005 とし、仮焼工程において安定温度を1150℃以上と
し、仮焼工程と焼成工程との間に、Ba2TiSi2O8
およびBa4Ti13O30を含む後添加原料を仮焼体に添
加してA/Bを減少させると共に、仮焼体を粉砕する後
添加および粉砕工程を有し、後添加および粉砕工程にお
いて、後添加原料を含む仮焼体を、比表面積が1.5m2
/g以上となるように粉砕し、A/B<1である半導体磁
器を得る半導体磁器の製造方法。 (2) 出発原料または後添加原料がMnを含む上記
(1)の半導体磁器の製造方法。 (3) 仮焼体のX線回折パターンにおいて、2θ=2
5〜30度の範囲に、Ba2TiSi2O8、Ba4Ti13
O30、Ba2TiO4およびBa6Ti7O20のそれぞれに
対応するピークが実質的に認められない上記(1)また
は(2)の半導体磁器の製造方法。 (4) 焼成工程において得られた半導体磁器を透過型
電子顕微鏡により観察したとき、結晶粒内にドメインが
観察される上記(1)〜(3)のいずれかの半導体磁器
の製造方法。
での種々の検討では、組成に関するものや本焼成に関す
る項目が主だったものであったが、仮焼条件や、その後
の粉砕によって変化する粒度に関するものは少なかっ
た。仮焼の過程の検討は、BaTiO3系の材料を検討
する上で、材料の組成的な不均一や組成濃度勾配を抑制
するために不可欠なものであると考えられる。
の主成分において、モル比A/B(Ba/Ti)を1未
満とすることにより、低温ON−OFF特性および抗折
強度が向上することを見いだした。さらに、仮焼体およ
び焼結体の組織構造の解析から、仮焼条件を適切に制御
し、かつ、後添加する原料を適切に選択すれば、これら
の特性がさらに向上するものと考え、上記本発明に至っ
た。
焼成すること、すなわち、後添加工程を設けることにつ
いては、例えば以下に示す提案がなされている。
体化剤を含んだチタン酸バリウムと平均組成がBa
2(Ti1-xMnx)Si2O8(ただし、0.01≦x≦
0.2)である物質とを混合したのち、これを焼成し
て、半導体磁器を製造する方法が記載されている。
は、半導体化剤を含有するチタン酸バリウム系半導体材
料と式:(Ba(2-x)Ax)TiSi2O8(ただし、A:
Li,Na,Kのうちの少なくとも1種、x=0.02
〜0.2)で表される材料とを配合した後、これを焼成
して、半導体磁器を製造する方法が記載されている。
報および特開平4−311002号公報では、実施例に
おいてチタン酸バリウムのA/Bを1としており、ま
た、A/B>1であるBa2(Ti1-xMnx)Si2O8
または(Ba(2-x)Ax)TiSi2O8を添加しているた
め、半導体磁器中におけるA/Bは1を超えてしまう。
すなわち、上記各公報に記載された半導体磁器は、本発
明により製造される半導体磁器とは基本組成が異なるも
のであり、A/B<1である半導体磁器の製造を前提と
する本発明とは全く異なる。上記各公報に記載された作
用効果は、Ba2(Ti1-xMnx)Si2O8または(B
a(2-x)Ax)TiSi2O8を後添加することにより、実
用上十分な抵抗温度係数を得ることができる、というも
のであり、本発明における作用効果とは異なる。また、
上記各公報の実施例では、チタン酸バリウムの仮焼を1
100℃で2時間行っているが、この温度で仮焼を行う
と、仮焼体の結晶粒内が均質とならず、本発明の効果は
実現しない。
には、主組成物に後添加組成物を混合したのち本焼成し
て正特性半導体磁器を製造する際に、主組成物として、
BaTiO3 を主成分としたペロブスカイト型酸化物と
半導体化剤とを含有し、かつSiを実質的に含有しない
ものを用い、後添加組成物として、BaとTiとSiと
を、BaO:TiO2 :SiO2 =a:b:c[ただし
a+b+c=100モル%]で表して、10≦a≦3
5、10≦b≦60、30≦c≦80の比率で含有する
ものを用いることが記載されている。同公報の実施例で
は、主組成物においてA/B<1とし、後添加組成物に
おいてA/B=1としたものが主体であるが、主組成物
においてA/B=1.000±0.005とし、後添加
組成物においてA/B<1としたものも存在する。しか
し、同公報には、後添加組成物としてBa2TiSi2O
8およびBa4Ti13O30を用いる旨の記載はなく、した
がって、同公報記載の発明では本発明の効果は実現しな
い。
器は、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型結晶
を有し、ABO3のAサイトに入る金属元素として少な
くともBaを、Bサイトに入る金属元素として少なくと
もTiをそれぞれ含み、さらに、半導体化剤を含有し、
抵抗値が正の温度係数を示すものである。
に示す。図示する製造工程は、出発原料を秤量して混合
する秤量・混合工程と、混合された出発原料を仮焼して
仮焼体を得る仮焼工程と、仮焼体に後添加原料を添加す
ると共に、両者を粉砕、混合して、後添加原料を含む仮
焼体粉末を得る後添加および粉砕工程と、仮焼体粉末を
成形して成形体を得る成形工程と、成形体を焼成して焼
結体(半導体磁器)を得る焼成工程とを有する。以下、
各工程について説明する。
入る金属元素(前記半導体化剤を含む)のモル比をA、
Bサイトに入る金属元素のモル比をBとしたとき、 A/B=1.000±0.005、好ましくは A/B=1.000±0.002 となるように秤量して混合する。A/Bが小さすぎても
大きすぎても、結晶粒内を均質にできなくなり、本発明
の効果が得られなくなる。具体的には、仮焼体が、A/
B=1であるABO3型ペロブスカイト結晶の単一相と
なりにくくなり、Aサイト元素リッチまたはBサイト元
素リッチの異相、例えばBa2TiSi2O 8、Ba4Ti
13O30、Ba2TiO4、Ba6Ti7O20などが生じやす
くなる。
によってこれらの酸化物や複合酸化物となる各種化合
物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、
有機金属化合物等から適宜選択して用いることができ
る。これらの原料は、通常、平均粒径0.1〜3μm程
度の粉末として用いられる。
温度1150℃以上で、より好ましくは安定温度118
0℃以上で仮焼する。前記安定温度に維持する時間は、
好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上
である。なお、前記安定温度とは、ほぼ一定に維持され
る最高温度を意味する。安定温度が低すぎるか、安定温
度に維持する時間が短すぎると、未反応の原料や異相が
多く存在しやすくなって結晶粒内の組成や構造を均一に
することが難しくなり、特に、安定温度が低い場合には
本発明の効果が実現しない。なお、安定温度は、好まし
くは1350℃以下、より好ましくは1250℃以下で
ある。安定温度が高すぎると、仮焼体が粉砕しにくくな
る。また、安定温度に維持する時間は、好ましくは6時
間以下、より好ましくは4時間以下である。仮焼をこれ
より長い時間行っても、本発明の効果は増強されず、生
産性が低くなってしまう。昇温速度および降温速度は特
に限定されないが、好ましくは100〜400℃/時
間、より好ましくは200〜300℃/時間である。
Bを前記範囲とすることにより、Ba2TiSi2O8、
Ba4Ti13O30、Ba2TiO4およびBa6Ti7O20
等の異相が実質的に存在しない仮焼体を得ることが可能
である。なお、これらの異相が実質的に存在しないこと
は、X線回折パターンにおいて2θ=25〜30度の範
囲に、これら各相に対応するピークが実質的に認められ
ないことから判定できる。なお、これらのピークが実質
的に認められないとは、X線回折の条件を、40kV、3
0mA、スキャンスピード2度/分、スキャンステップ
0.02度、平行スリット1度以下、発散スリット1度
以下、受光スリット0.3mm以下としたときに、上記ピ
ークが認められないことを意味する。
びBa4Ti13O30を含む後添加原料を仮焼体に添加
し、仮焼体を粉砕しながら両者を混合する。この後添加
原料の添加により、半導体磁器のA/Bを1未満の所望
の値に調整できる。なお、仮焼体を粗粉砕した後に後添
加原料を添加し、その後、両者を微粉砕する構成とする
ことが好ましい。後添加原料は、通常、平均粒径0.1
〜3μm程度の粉末として添加することが好ましい。
O3系半導体磁器のうち、低温ON−OFF特性が良好
で抗折強度の高いものにおいて、結晶粒界、すなわち、
隣接する結晶粒の間および三重点等の多結晶粒界に、B
a2TiSi2O8およびBa4Ti13O30が存在すること
を見いだした。そこで本発明者らは、仮焼体においてA
/Bを実質的に1とし、かつ、上記2種の複合酸化物を
共に後添加する実験を行ったところ、結晶粒内がほぼA
BO3単一相で、かつ、結晶粒界に上記2種の複合酸化
物が存在し、低温ON−OFF特性および抗折強度が極
めて優れた半導体磁器が得られることがわかった。
の製造方法は特に限定されないが、好ましくは以下のよ
うにして製造する。まず、出発原料としてBaCO3お
よびTiO2を用意し、Ba2TiSi2O8の場合にはさ
らにSiO2を用意し、これらをそれぞれの化合物の組
成比に応じて混合した後、空気中等の酸化性雰囲気中で
1000〜1300℃で焼成し、得られた焼成体を所定
の粒径まで粉砕する。
ほか、Mnが含まれていてもよい。Mnは、酸化物とし
て添加してもよく、焼成により酸化物となる化合物とし
て添加してもよいが、好ましくはMn(NO3)2として
添加する。
として添加してもよい。
する半導体磁器組成に応じて決定すればよいが、通常、
Ba2TiSi2O8の添加量は、出発原料中のTiに対
し、通常、2モル%以下、好ましくは1モル%以下、か
つ一般に0.25モル%以上であり、Ba4Ti13O30
の添加量は、出発原料中のTiに対し、通常、1モル%
以下、好ましくは0.5モル%以下、かつ一般に0.0
1モル%以上である。
上、好ましくは2.0〜3.0m2/gとなるように、後添
加原料を含む仮焼体を粉砕する。比表面積が小さすぎる
と、後添加物の分散が悪くなるので、磁器の特性がばら
つき、耐電圧性能および低温ON−OFF特性が悪くな
るほか、比抵抗が大きくなってしまう。比表面積の上限
は特にないが、比表面積を大きくするためには粉砕時間
を長くする必要があり、生産効率が落ちるので、比表面
積は上記範囲を超える必要はない。また、効果の点から
も、比表面積を上記範囲を超える値とする必要はない。
A)等のバインダを加えて造粒した後、所定の形状に成
形する。バインダの添加量は、粉末に対して0.5〜5
重量%程度とすればよい。
は0.5〜3t/cm2である。成形体の密度も特に限定さ
れないが、好ましくは2.9〜3.5g/cm3、より好ま
しくは3.1〜3.3g/cm3である。
おける安定温度は1300〜1400℃とすることが好
ましい。安定温度が低いと磁器の半導体化が十分に進ま
ず、比抵抗が低くならない。一方、安定温度が高いと異
常粒成長が起きやすい。安定温度に維持する時間は、好
ましくは0.5〜4時間程度であり、昇降温速度および
降温速度は、好ましくは100〜400℃/時間であ
り、より好ましくは、昇温速度は200〜350℃/時
間、降温速度は150〜300℃/時間である。
成前に、600〜800℃で1〜3時間熱処理する脱バ
インダ工程を設けることが好ましい。
子顕微鏡により観察したとき、結晶粒内にドメインが観
察されることが好ましい。結晶性の極めて良好な結晶粒
では、ドメインが観察されるが、本発明では、明瞭なド
メインが認められる結晶粒を有する半導体磁器を製造で
きる。ドメインが認められる半導体磁器では、低温ON
−OFF特性および抗折強度のいずれもが極めて良好と
なる。
半導体磁器一般に適用可能である。一般的なBaTiO
3系半導体磁器としては、例えば以下のようなものが挙
げられる。
てもよいが、このほか、例えばCa、SrおよびPbの
少なくとも1種を用いてもよい。Bサイトに入る元素と
しては、Tiを用いる。半導体化剤は、通常、希土類元
素(Yを含む)、Nb、Sb、Bi等から選択すればよ
い。このほか、上述したように、焼結助剤SiO2や抵
抗温度係数改善剤MnOが含まれる。A/Bの好ましい
範囲は、0.980〜0.998である。
の半導体磁器の製造に、特に好適である。
は、主成分として、少なくともBa、CaおよびTiを
含み、必要に応じてさらにPbおよびSrの少なくとも
1種を含む酸化物と、半導体化剤であるR(Rは希土類
元素およびNbから選択された少なくとも1種の元素)
の酸化物とを含有し、副成分としてSiO2とMn酸化
物とを含有し、ペロブスカイト相を有し、抵抗値が正の
温度係数を示す。
a、PbおよびSrのモル百分率は、 60≦Ba≦80、 0≦Pb≦1、 0≦Sr≦30 である。Baの比率が上記範囲を外れると、半導体磁器
に要求される範囲内にキュリー点を収めることが難しく
なる。Pbの比率が高すぎると、前述したように製造上
の制限が大きくなり、また、地球環境に及ぼす悪影響も
大きくなる。Srの比率が上記範囲を外れると、半導体
磁器に要求される範囲内にキュリー点を収めることが難
しくなる。なお、Pbのモル百分率の好ましい範囲は、 0.5≦Pb≦0.9 である。Pbを0.5モル%以上とすることにより、高
い耐電圧が得られる。一方、Pbを0.9モル%以下と
することにより、前述した製造上の制限がより緩和され
る。
以上0.2モル%未満、好ましくは0.1〜0.18モ
ル%である。本発明では、Caの比率を上記範囲内と
し、かつ、Rの比率を上記範囲内に制御することによ
り、低温ON−OFF特性が良好となる。すなわち、低
温で電圧ON−OFFを繰り返したときの抵抗値変化が
小さくなる。これに対し、Caの比率およびRの比率の
少なくとも一方が上記範囲を外れると、低温ON−OF
F特性が悪くなる。また、Rの比率が上記範囲を外れる
と、比抵抗が高くなってしまう。なお、Rのモル百分率
は、金属元素としての値であり、例えばRを0.1モル
%含有する場合、R2O3としては0.05モル%含有す
ることになる。
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびNbから選択
し、好ましくはY、Er、DyおよびHoから選択す
る。
とし、Tiの含有量をBとしたとき、 A/B=0.980〜0.998(モル比) であり、好ましくは A/B=0.985〜0.998(モル比) である。また、半導体磁器全体に対するSiO2の比率
は、0.1〜0.8重量%である。A/BおよびSiO
2の比率の少なくとも一方が上記範囲を外れると、低温
ON−OFF特性が悪くなってしまう。また、A/Bが
小さすぎると比抵抗が高くなり、A/Bが大きすぎると
抗折強度が低下する。また、SiO2が少なすぎると焼
結しにくくなる。一方、SiO2が多すぎると、焼成時
に生じる液相成分の量が多くなって、焼結体同士や焼結
体と炉材との反応による接着が生じやすくなり、また、
抗折強度も低くなりやすい。
〜0.025重量%である。Mn含有量が上記範囲を外
れると、適当な比抵抗が得られにくくなる。
は、X線回折によって確認できる。半導体磁器の平均結
晶粒径は、組成や焼成条件等によって異なるが、通常、
1〜100μm程度である。結晶粒径は、半導体磁器の
断面を鏡面研磨およびエッチングしたのち、光学顕微鏡
または走査型電子顕微鏡により測定すればよい。半導体
磁器中において、SiO2はペロブスカイト相の結晶粒
に囲まれた領域、いわゆる三重点等の多結晶粒界に主と
して存在する。
に応じた特性を実現することが可能である。例えば、室
温(25℃)における比抵抗ρ25として、40Ω・cm以
下を実現できる。なお、このρ25は、直径14mm、厚さ
2.5mm程度の円板状の半導体磁器の両主面にNiめっ
き膜を形成した後、その上にAg膜を焼き付けて電極と
した試料を用いて測定した値である。
特性サーミスタが適用される各種用途への適用が可能で
あり、例えば、自己制御型ヒータ(定温発熱体)、温度
センサ、ブラウン管の消磁素子、過電流防止素子などに
好適である。
作製した。
燥させて原料粉末を得た。
中において表1に示す条件で仮焼した。表1に、安定温
度およびこの温度に維持した時間(安定時間)を示す。
得られた仮焼体を、前記した条件でX線回折により分析
し、Ba2TiSi2O8、Ba4Ti13O30、Ba2Ti
O4およびBa6Ti7O20のそれぞれに対応するピーク
の存在を調べ、これらの異相の有無を判定した。結果を
表1に示す。図2に、試料No.1および試料No.8のX線
回折パターンを示す。図中上側がNo.1のものであり、
異相のピークが認められる。一方、図中下側がNo.8の
ものであり、異相のピークは認められない。
としてBa2TiSi2O8、Ba4Ti13O30およびMn
(NO3)2水溶液を添加し、ボールミルにより湿式混合
し、表1に示す比表面積を有する仮焼体粉末を得た。仮
焼体中のTiに対する添加量は、Ba2TiSi2O8が
0.91モル%、Ba4Ti13O30が0.22モル%で
あり、この結果、全体組成におけるA/Bは0.99
0、全体組成中のSiO2含有量は0.5重量%となっ
た。Mnの添加量は、全体の0.015重量%とした。
なお、Ba2TiSi2O8は、 BaCO3:40モル%、 TiO2:20モル%、 SiO2:40モル% を配合し、ボールミルで湿式粉砕した後、乾燥し、空気
中において1150℃で2時間熱処理した後、ボールミ
ルで湿式粉砕し、乾燥することにより製造した。一方、
Ba4Ti13O30は、 BaCO3:23.53モル%、 TiO2:76.47モル% を配合し、ボールミルで湿式粉砕した後、乾燥し、空気
中において1150℃で2時間熱処理した後、ボールミ
ルで湿式粉砕し、乾燥することにより製造した。
VAを1重量%加えて造粒し、これを圧力500kg/cm2
で成形して円盤状の成形体を得た。この成形体を空気中
において1320℃で1時間焼成し、直径14mm、厚さ
2.5mmの円盤状の半導体磁器を得、電気特性測定用試
料とした。また、圧力500kg/cm2で棒状に成形したも
のを空気中において1320℃で1時間焼成し、抗折強
度測定用試料とした。
試験を行った。
後、その上にAg膜を焼き付けて電極とし、マルチメー
ターにより25℃での抵抗値を測定して、比抵抗を計算
式 ρ=R×S/t (ρ:比抵抗、R:抵抗値、S:試料表面積、t:試料
厚さ)により求めた。結果を表1に示す。なお、比抵抗
は、40Ω・cm以下であれば十分に低いといえる。
ず、50Vの交流電圧を1分間印加することにより予備
加熱を行った後、100Vの電圧を1分間印加した後の
電流値を測定した。次いで、さらに20V高い電圧を1
分間印加した後の電流値を測定した。この操作を繰り返
し、試料が破壊するか電流値が100mAを超えたときの
印加電圧値を破壊点と見なし、その1回前の印加電圧を
破壊電圧とした。結果を表1に示す。なお、この測定に
おける破壊電圧が350V以上であれば、十分な耐電圧
特性をもっているといえる。
低温恒温槽中で290Vの電圧を60秒間印加し、その
後、電圧を300秒間オフにする。これを1サイクルと
して、500サイクル終了時の抵抗値変化が±20%を
超えない場合を○とし、抵抗値変化が±20%を超える
場合を×とした。
強度試験を行った。抗折強度が85MPa以上の場合を
○、85MPaを下回るものを×として、結果を表1に示
す。なお、抗折強度が85MPa以上であれば、十分に強
度が高いといえる。
より観察し、ドメインの有無を調べた。結果を表1に示
す。
すなわち、本発明にしたがって製造した試料では、仮焼
体に異相が存在せず、焼結体ではドメインが観察され、
低温ON−OFF特性が良好であり、かつ、抗折強度が
高い。また、破壊電圧は、比抵抗が低いほど高くするこ
とが難しくなるが、表1に示される本発明サンプルで
は、比抵抗が低く、しかも破壊電圧が十分に高くなって
いる。
磁器を製造することにより、抗折強度を向上でき、か
つ、低温で電圧のON−OFFを繰り返したときの抵抗
値変化を小さくできる。
ローチャートである。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式ABO3で表されるペロブスカイ
ト型結晶を有し、ABO3のAサイトに入る金属元素と
して少なくともBaを、Bサイトに入る金属元素として
少なくともTiをそれぞれ含み、さらに、半導体化剤を
含有し、抵抗値が正の温度係数を示す半導体磁器を製造
する方法であって、 出発原料を仮焼して仮焼体を得る仮焼工程と、この仮焼
体を焼成して半導体磁器を得る焼成工程とを有し、 出発原料中において、Aサイトに入る金属元素(前記半
導体化剤を含む)のモル比をA、Bサイトに入る金属元
素のモル比をBとしたとき、 A/B=1.000±0.005 とし、 仮焼工程において安定温度を1150℃以上とし、 仮焼工程と焼成工程との間に、Ba2TiSi2O8およ
びBa4Ti13O30を含む後添加原料を仮焼体に添加し
てA/Bを減少させると共に、仮焼体を粉砕する後添加
および粉砕工程を有し、 後添加および粉砕工程において、後添加原料を含む仮焼
体を、比表面積が1.5m2/g以上となるように粉砕し、 A/B<1である半導体磁器を得る半導体磁器の製造方
法。 - 【請求項2】 出発原料または後添加原料がMnを含む
請求項1の半導体磁器の製造方法。 - 【請求項3】 仮焼体のX線回折パターンにおいて、2
θ=25〜30度の範囲に、Ba2TiSi2O8、Ba4
Ti13O30、Ba2TiO4およびBa6Ti7O20のそれ
ぞれに対応するピークが実質的に認められない請求項1
または2の半導体磁器の製造方法。 - 【請求項4】 焼成工程において得られた半導体磁器を
透過型電子顕微鏡により観察したとき、結晶粒内にドメ
インが観察される請求項1〜3のいずれかの半導体磁器
の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012204787A (ja) * | 2011-03-28 | 2012-10-22 | Tdk Corp | 電子部品 |
CN102842397A (zh) * | 2012-06-07 | 2012-12-26 | 西安电子科技大学 | 钛酸钡系正温度系数热敏电阻调阻方法 |
EP2840072A4 (en) * | 2012-04-20 | 2015-11-25 | Hitachi Metals Ltd | PROCESS FOR PRODUCING SEMICONDUCTOR CERAMIC COMPOSITION |
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1999
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