JPH07116319B2 - 安定化されたゴム状ジエン系重合体組成物及びその製造法 - Google Patents

安定化されたゴム状ジエン系重合体組成物及びその製造法

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JPH07116319B2
JPH07116319B2 JP16388989A JP16388989A JPH07116319B2 JP H07116319 B2 JPH07116319 B2 JP H07116319B2 JP 16388989 A JP16388989 A JP 16388989A JP 16388989 A JP16388989 A JP 16388989A JP H07116319 B2 JPH07116319 B2 JP H07116319B2
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裕一 北川
靖郎 服部
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、スチレン系耐衝撃性樹脂の原料ゴム等に特に
好適な安定性に優れ且つ色調が良好なゴム状共役ジエン
系重合体組成物及びその製造法に関する。
[従来の技術] 本発明が目的とする安定性に優れ、色調が良好なゴム状
共役ジエン系重合体の組成物に関する技術としては、従
来、リビング重合体の溶液に停止剤を添加し、ホウ酸を
着色防止剤として添加し、安定剤を添加した後、重合体
を回収する方法(特開昭58−168612号公報)や特定のフ
ェノール系安定剤と螢光増白剤とを含む組成物(特開昭
62−153329号公報)や安定剤と停止剤を添加した後、炭
酸ガスを接触させる方法(特開昭63−264602号公報)な
どが知られていた。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、これらの技術では色調の方は比較的改良
されはしたものの十分な安定性を有するバランスのとれ
たゴムはまだ得られていなかった。本発明はそれらの問
題点を解決した安定性、色調ともに優れたゴム状共役ジ
エン系重合体組成物及びその製法を提供することを課題
とするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を進めた
結果、ゴム状重合体に特定の組み合せの安定剤を特定の
量比で用い、かつ特定の有機カルボン酸を特定量添加し
た組成物が、目的とする色調が良好で、長時間の保存に
よっても着色せず、動的安定性においても、静的安定性
においても極めて優れた安定性を示すゴム状共役ジエン
系重合体組成物となることを見出し、本発明を完成する
に到った。
即ち、本発明は、有機リチウム化合物を開始剤とし、共
役ジエン又は共役ジエンとビニル芳香族炭化水素を重合
して得たゴム状重合体に (A) 分子量250以下のモノフェノール型酸化防止
剤、 (B) 分子量300以上のモノフェノール型酸化防止剤
及び (C) 分子中の炭素数をカルボキシル基の数で除した
値が8〜30である有機カルボン酸を、 ゴム状重合体100重量部当り、(A)成分をa重量部と
し、(B)成分をb重量部とした場合、a:bが10:1〜1:2
の比率で、 が0.1〜3で、かつaが2以下の範囲であり、ゴム状重
合体中のリチウム原子に対し、(C)成分を0.01〜0.5
当量の範囲で含有せしめた安定化されたゴム状ジエン系
重合体組成物及びその製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、有機リチウム化合物を開始剤として、不活
性な炭化水素溶媒中で共役ジエンを重合するか、又は共
役ジエンとビニル芳香族炭化水素を共重合させることに
よりゴム状重合体の溶液を製造する。
この際用いられる有機リチウム化合物は、分子中に1個
以上のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合
物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物等
であり、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウ
ム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec
−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチ
レンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニ
ルジリチウムなどがあげられる。これらは1種のみなら
ず2種以上混合して使用してもよい。又、不活性な炭化
水素溶媒としては、実質的にアニオン重合を停止させな
い溶媒であり、例えばブタン、ペンタン、ヘキサン、イ
ソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂
肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタ
ン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシ
クロヘキサン等の脂環式炭化水素、或いはベンゼン、ト
ルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素
などが使用できる。これらは1種のみならず2種以上混
合し使用してもよい。
本発明で用いる共役ジエンとは、一対の共役二重結合を
有するジオレフィンであり、たとえば1,3−ブタジエ
ン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3
−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,
3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとし
ては1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これ
らは1種のみならず2種以上混合して使用してもよい。
本発明の方法で用いるビニル芳香族炭化水素としてはス
チレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p
−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α
−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラ
センなどがあるが、特に一般的なものとしてはスチレ
ン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンが挙げら
れる。これらは1種のみならず2種以上混合して使用し
てもよい。
又、重合体に分岐を生成させる目的でポリビニル化合
物、例えばジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジ
ビニルナフタレン等のポリビニル芳香族化合物、3,6−
ジメチレン−1,7−オクタジエン、3,11−ジメチレン−
1,12−トリデカジエン、1,3,7,9−デカテトラエン等の
独立した二つの共役ジエン基を有する炭化水素化合物を
用いてもよい。
本発明においては重合速度の調整、重合した共役ジエン
部のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)の変
更、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素の反応性比の調
整などの目的で極性化合物やランダム化剤を使用するこ
とができる。極性化合物やランダム化剤としては、エー
テル類、アミン剤、チオエーテル類、ホスホルアミド、
アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムまたはナトリ
ウムのアルコキシドなどがあげられる。適当なエーテル
類の例はジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェ
ニルエーテル及びテトラヒドロフラン、ジエチレングリ
コールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチ
ルエーテル、ビス−オキソラニルプロパン、オキソラニ
ルプロパンオリゴマーである。アミン類としては第三級
アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、
テトラメチルエチレンジアミンの外、環状第三級アミン
なども使用できる。ホスフィン及びホスホルアミドとし
てはトリフェニルホスフィン及びヘキサメチルホスホル
アミドがある。ランダム化剤としてはアルキルベンゼン
スルホン酸カリウムまたはナトリウム、カリウムまたは
ナトリウムブトキシドなどがあげられる。
本発明において重合体を製造する際の重合温度は一般に
−10℃ないし15℃、好ましくは40℃ないし120℃であ
る。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は
48時間以内であり、特に好適には1ないし10時間であ
る。また、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガス
をもって置換することが望ましい。重合圧力は、上記重
合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持するに十分
な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものではな
い。さらに重合系内には接触及びリビングポリマーを不
活性化させるような不純物、たとえば水、酸素、炭酸ガ
スなどが混入しないように留意する必要がある。
この様にして得られた重合体の重量平均分子量は、一般
に5,000〜5,000,000、好ましくは10,000〜1,000,000で
ある。又重合体溶液中の炭化水素の量は、一般に重合体
100重量部に対して50重量部〜2000重量部である。尚、
重合体の性質によっては重合体が炭化水素溶媒に不溶で
懸濁状の状態で得られる場合もあるが、本発明において
はこれらも重合体溶液とよぶことにする。
又、本発明においては、上記で得られた重合体を水添反
応(水素添加反応)により部分的に、或いは選択的に水
添した重合体溶液を用いることができる。水添率は任意
に選定することができ、未水添重合体の特性を維持しな
がら耐熱劣化性等を向上させる場合には共役ジエンに基
づく脂肪族二重結合を3%以上、80%未満、好ましくは
5%以上、75%未満水添することが、又耐熱劣化性及び
耐候性を向上させる場合には80%以上、好ましくは90%
以上水添することが推奨される。
停止剤としては有機リチウム化合物によって製造された
リビング重合体を失活させることができる公知の停止剤
例えば、活性水素を有する化合物が使用できる。又、リ
ビング重合体の活性末端基との反応を利用して、末端に
官能基を導入したり、複数の重合体をカップリングさせ
るなどの反応で停止させることもできる。又、これらを
併用することもできる。前者の停止剤としては、好適に
は水、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ヘプタノール等)、多価アルコール(エチレング
リコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、第
1級アミン、第2級アミン及びこれらの混合物である。
また、後者の反応による停止剤としては、ハロゲン化合
物、例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、三塩化メチルケ
イ素、二塩化ジブチルスズ、塩化トリフェニルスズな
ど、エポキシ化合物、例えばテトラグリシジルメタキシ
レンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメ
チル)シクロヘキサン、ジグリシジルアニリンなどのポ
リエポキシ化合物、エチレンオキサイド、プロピレンオ
キサイドなどであり、その他カルボン酸エステル、多塩
基酸エステル、多塩基酸無水物、多官能イソシアネー
ト、多官能アルデヒド、多官能ケトン、ポリビニル芳香
族化合物等のカップリング剤がある。
これらの中で特に好適なのは、前者の停止剤では水、ア
ルコール、後者の停止剤ではポリエポキシ化合物であ
る。又、これらの停止剤は、実質的にリビング重合体を
失活させることができる十分量を用いる必要があり、単
独又は複数の化合物の合計量で、活性リチウム原子当た
り、1当量以上、好ましくは1.1〜10,000当量、更に好
ましくは1.2〜1,000当量用いられる。後者の反応性の停
止剤を用いる場合は、好ましくは、まず後者の反応性の
停止剤を加えて反応を行なわせた後、前者の停止剤を加
えるべきである。
有効な停止剤を用いなかった場合、異常な着色や、安定
性の低下を起こす。
本発明で用いる分子量250以下のモノフェノール型酸化
防止剤(A)は、好ましくは一般式 の化合物である。
ただし式中のR1〜R5は、水素、炭化水素基又はエーテ
ル、エステル、チオエーテル、チオエステルを含む炭化
水素基であって、R1とR5は少くともどちらかは炭素数4
以上の置換基を有するものである。具体的には例えば、
アルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリー
ル、アリールアルキル、アルキルオキシ、アリールオキ
シ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルチオアルキ
ル、−RCOOR′,−ROCOR′(ただしR,R′はアルキル又
はアリール基)などである。特に好ましい化合物として
は、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6
−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,4−ジ
−t−ブチルフェノール等がある。
本発明で用いる分子量300以上のモノフェノール型酸化
防止剤(B)は、好ましくは一般式 の化合物である。
ただし式中のR11〜R15は、水素、炭化水素基又はエーテ
ル、エステル、チオエーテル、チオエステルを含む炭化
水素基であって、R11とR15は少くともどちらかは炭素数
4以上の置換基を有するものである。具体的には例え
ば、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルア
リール、アリールアルキル、アルキルオキシ、アリール
オキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルチオア
ルキル、−RCOOR′,−ROCOR′(ただしR,R′はアルキ
ル又はアリール基)などである。
以上のなかで、好ましいのは、分子量350以上のモノフ
ェノール型酸化防止剤であり、特に好ましくは、n−オ
クタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル
−6−(3′−t−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−
メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、
2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾー
ルなどである。
本発明においては分子中の炭素数をカルボキシル基の数
で除した値が8〜30である有機カルボン酸(C)が用い
られる。この値がこの範囲より低いと、有機カルボン酸
とゴム状共役ジエン系重合体との親和性が低下して白濁
したり、分離しやすくなり、又、動的安定性を低下させ
る。一方この値が高いと低下する。より好ましくはこの
値は10〜20である。又、飽和脂肪酸カルボン酸が更に好
ましい。具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、ペンタデシレン酸、パルミチン
酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘ
ニン酸、モンタン酸、オレイン酸、ε−フェニルカプロ
ン酸、ノニル安息香酸、オクタデカン−1,18−ジカルボ
ン酸、オクタコサン−1,28−ジカルボン酸、ヤシ油脂肪
酸、牛脂脂肪酸などである。
本発明において分子量250以下のモノフェノール型酸化
防止剤(A)と分子量300以上のモノフェノール型酸化
防止剤(B)は、重合体100重量部に対する酸化防止剤
(A)の添加量をa重量部とし、酸化防止剤(B)の添
加量をb重量部としたとき、a:bが10:1〜1:2の比率で、 が0.1〜3で、かつaが2以下の範囲で用いられ、分子
中の炭素数をカルボキシル基の数で除した値が8〜30で
ある有機カルボン酸(C)は、開始剤として用いた有機
リチウム化合物のリチウム原子に対し、0.01〜0.5当量
の範囲で用いられる。上記の範囲以外では本発明の効果
である色調が良好で、動的安定性及び静的安定性におい
て極めて優れた安定性を有するゴム状ジエン系重合体組
成物を得ることはできない。なお、動的安定性とは、エ
クスペラー、エクスパンダー、その他の仕上機や押出機
中で、高温条件下混練時の比較的短時間で多量のラジカ
ルが発生する条件でのゴム状ジエン系重合体のゲル化
や、しゃっ解に対する安定性であり、静的安定性とは、
高温の乾燥コンベア中での滞留や、高温の倉庫や船倉中
などの比較的長時間の熱劣化に対する安定性をいう。
a:bの比率が10:1から外れて相対的にbが少くなると、
静的安定性が低下し、1:2から外れて相対的にaが少く
なると、動的安定性が低下する。a:bは好ましくは5:1〜
1:1の範囲であり、更に好ましくは4:1〜1.2:1の範囲で
ある。
が0.1より少いと動的安定性と静的安定性のいずれかが
低下し、3より大きいと色調が低下する。
は好ましくは0.15〜2の範囲であり、更に好ましくは0.
2〜1の範囲である。又、aは2以下である必要があ
り、aが2を越えると色調が低下する他、酸化防止剤
(A)が揮散して、仕上に際して悪臭の原因になるなど
の問題が生じる。aは1以下が更に好ましい。該有機カ
ルボン酸が、開始剤として用いた有機リチウム化合物の
リチウム原子に対し0.01当量未満では色調が低下し、一
方0.5当量を越えると動的安定性が低下する。好ましく
は0.02〜0.4当量であり、0.05〜0.3当量が更に好まし
い。
本発明において、停止剤、酸化防止剤(A)、酸化防止
剤(B)、及び有機カルボン酸(C)を添加する順序
は、同時に添加しても、順次添加しても、どちらでもよ
い。ただし、停止剤を他の添加剤より後に加えると、色
調が低下し、更にカップリングなどの予期せぬ反応が生
じる場合があり好ましくない。より好ましくは、これら
を同時に加えるか、最初に停止剤を加えた後、酸化防止
剤(A)、酸化防止剤(B)及び有機カルボン酸(C)
を同時に加える方法である。
本発明の重合体を回収する方法としては、通常一般に行
なわれている種々の方法が用いられる。例えば、ドラム
ドライヤー、熱ロール、薄膜蒸発器などで重合体溶液を
直接加熱して、場合によっては減圧下に、溶媒を蒸発さ
せて重合体を回収する方法、或いはスチームストリッピ
ングなどの重合体溶液を水又は熱水に分散させ、水蒸気
を吹き込んで溶媒を蒸発させ、次いで脱水、乾燥させる
方法、又、溶媒の一部をフラッシュ塔などで蒸発させた
後、更にベント押出機などで残る溶媒を除去する方法な
どがある。これらの中で特に好ましいのはスチームスト
リッピング法である。なお、スチームストリッピングに
おいては熱水のpHをコントロールしても、しなくてもか
まわない。ただしpHコントロールの為に、塩酸イオン、
硫酸イオン、リン酸イオン又はナトリウムイオンなどを
不必要に加えると色調が低下したり、ゴム状重合体が白
濁したり又、装置の腐食などの問題が生じるので好まし
くない。本発明はスチームストリッピングに際して、高
いpH例えばpH10を越える条件下においても十分目的とす
るゴム状重合体が得られる。これらの方法によって回収
された重合体の揮発分は、通常好ましくは1wt%以下、
更に好ましくは0.5wt%以下に下げられる。
[発明の効果] 本発明の方法によって得られるゴム状重合体は、色調が
良好であり、更に高温の倉庫や船倉中などの乾燥状態又
は高湿状態で比較的長時間保存していても着色せず、且
つ動的安定性においても、静的安定性においても極めて
優れた安定性を有している。したがって、本発明のゴム
状重合体組成物は耐衝撃性樹脂の強じん化剤、タイヤ、
はき物、工業用品などの加硫ゴム用途、その他のゴム用
途で好適に用いられ、特に高衝撃ポリスチレン系樹脂の
原料として最適な特長を有している。
[実 施 例] 以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例 1〜3 1,3−ブタジエンをヘキサン溶媒中でブチルリチウムを
用いて連続的に重合し、得られたビングポリブタジエン
溶液に停止剤を添加した後、酸化防止剤(A)、酸化防
止剤(B)及び有機カルボン酸を加え、スチームストリ
ッピングにより溶剤を除去し、得られたクラムを脱水機
及び熱風乾燥機で乾燥し、ゴム状重合体を得た。表1に
用いたブチルリチウム、停止剤、酸化防止剤及び有機カ
ルボン酸の種類及び量を記す。
次に、得られた重合体のムーニー粘度、揮発分を測定す
るとともに色調を確認し、ドライ状態及びウェット状態
での変色促進テスト、ブラベンダーを用いた動的安定性
テスト及びオーブン中での静的安定性テストを実施し、
評価した。結果を表2に示す。
表1において、phmはモノマー100重量部当りのフィード
重量部、phrはゴム100重量部当りのフィード重量部を表
わす。
酸化防止剤は次の通りである。
OBHPP:n−オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブ
チル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート。
BHBPA:2−t−ブチル−6−(3′−t−ブチル−2′
−ヒドロキシ−5′−メチルベンジル)−4−メチルフ
ェニルアクリレート。
BOTMC:2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−ク
レゾール。
表2において、ムーニー粘度はLローター、2rpm、100
℃の条件下の値であり、ゴム色調は日本電色工業製測色
色差計によるb値(ビースター)で示す(数値が小で
あることが好ましい)。ドライ変色は150℃オーブン中4
0分後の色調であり、ウェット変色は60℃、湿度70%条
件下6日後の色調である。動的安定性テストはブラベン
ダーにて150℃×75rpmの条件で、最低トルクから10%上
昇した時点までのゲル化時間を示す(時間が長いことが
好ましい)。静的安定性テストは150℃オーブン中40分
後のゲル生成量で示す(量が小であることが好まし
い)。
比較例 1〜14 表3に示す配合を用いて、実施例1と同様の方法により
重合体を得た。
得られた重合体の分析値、評価結果を表4に示す。
実施例 4〜5 表5に示す配合によって1,3−ブタジエン及びスチレン
をヘキサン溶媒中でブチルリチウムを用いて連続的に重
合し、実施例1と同様にして、ブタジエン−スチレンラ
ンダム共重合を得た。
得られた重合体の分析値、評価結果を表6に示す。
実施例 6 1,3−ブタジエンを連続的に重合し得られたリビングポ
リブタジエン溶液に1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミ
ノメチル)シクロヘキサンを活性リチウム1分子当りグ
リシジル基を0.7当量に相当する量を連続的に添加、混
合してカップリングを行なった後、停止剤として水5ph
r、酸化防止剤(A)、酸化防止剤(B)及び有機カル
ボン酸をインラインミキサーに同時に連続的に添加し、
混合し配合を表5に示すようにして実施例1と同様にし
てポリブタジエンを得た。
得られた重合体の分析値、評価結果を表6に示す。
実施例7及び比較例15〜16 実施例1で得られたポリブタジエンを用い、表7に示す
組成及び温度条件で耐衝撃性ポリスチレンを得た(実施
例7)。次に、比較例1及び3で得られたポリブタジエ
ンを用い同様に耐衝撃性ポリスチレンを得た(比較例15
及び16)。
これらのポリスチレンの重合速度は差がなかった。得ら
れたHIPSの色調は次に示す通り、実施例7が最良であっ
た。
プレス成型板を測色色差計により測定。
値を示す。
以上から明らかなように、本発明の実施例では得られた
ゴム状重合体組成物の色調が良好であり、乾燥又は高湿
状態での着色促進テストでも着色がほとんど進行してい
ない。又、動的安定性テストではゲル化時間が十分長
く、静的安定性テストでもゲル生成が極くわずかであ
り、すべてにバランスがとれた優れた結果であった。さ
らに、このゴム状重合体組成物を用いて得られた耐衝撃
性ポリスチレンは極めて色調が良好であった。
一方、本発明の方法によらない比較例では、得られたゴ
ム状重合体組成物の色調が劣っているか、着色促進テス
トでの着色が進行するか或いは動的安定性テストでのゲ
ル化時間が短く動的安定性が劣っているか、又は静的安
定性テストでのゲル生成が大きいかであり、いずれかの
テストの結果が劣っているものであった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機リチウム化合物を開始剤とし、共役ジ
    エン又は共役ジエンとビニル芳香族炭化水素を重合して
    得たゴム状重合体に (A) 分子量250以下のモノフェノール型酸化防止
    剤、 (B) 分子量300以上のモノフェノール型酸化防止剤
    及び (C) 分子中の炭素数をカルボキシル基の数で除した
    値が8〜30である有機カルボン酸を、ゴム状重合体100
    重量部当りの(A)成分をa重量部とし(B)成分をb
    重量部とした場合、a:bが10:1〜1:2の比率で、 が0.1〜3で、かつaが2以下の範囲であり、ゴム状重
    合体中のリチウム原子に対し、(C)成分を0.01〜0.5
    当量の範囲で含有せしめた安定化されたゴム状ジエン系
    重合体組成物。
  2. 【請求項2】有機リチウム化合物を開始剤として不活性
    な炭化水素溶媒中で共役ジエンを重合するか又は共役ジ
    エンとビニル芳香族炭化水素を共重合して得たゴム状重
    合体の溶液に、 1)停止剤を添加し、 2)分子量250以下のモノフェノール型酸化防止剤
    (A)と、 3)分子量300以上のモノフェノール型酸化防止剤
    (B)と、 4)分子中の炭素数をカルボキシル基の数で除した値が
    8〜30である有機カルボン酸(C)を 重合体100重量部に対する酸化防止剤(A)添加量をa
    重量部とし酸化防止剤(B)の添加量をb重量部とした
    とき、a:bが10:1〜1:2の比率で、 が0.1〜3で、aが2以下の範囲であり、且つ開始剤と
    して用いた有機リチウム化合物のリチウム原子に対し、
    該有機カルボン酸(C)を0.01〜0.5当量の範囲で添加
    した後、該重合体を回収することを特徴とする安定化さ
    れたゴム状ジエン系重合体組成物の製造法。
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