JPH07115969A - 加水分解蛋白質の製造方法 - Google Patents

加水分解蛋白質の製造方法

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JPH07115969A
JPH07115969A JP5266467A JP26646793A JPH07115969A JP H07115969 A JPH07115969 A JP H07115969A JP 5266467 A JP5266467 A JP 5266467A JP 26646793 A JP26646793 A JP 26646793A JP H07115969 A JPH07115969 A JP H07115969A
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JP
Japan
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enzyme
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prolidase
prolinase
prolyl endopeptidase
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JP5266467A
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Mikio Fujii
幹夫 藤井
Yoshiko Nagaoka
由子 長岡
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 呈味力が増強され、味質の良い加水分解蛋白
質を製造するための酵素剤ならびに製造法を提供する。 【構成】 同一微生物由来のプロリルエンドペプチダ−
ゼ、プロリダ−ゼおよびプロリナ−ゼを含有することを
特徴とする酵素剤および該酵素剤を用いた蛋白質の加水
分解法。 【効果】 蛋白質が高度に加水分解され、呈味力が増強
される。また、最終産物中のアスパラギン酸、スレオニ
ン、グルタミン酸、プロリン、グリシン等呈味性の高い
アミノ酸の遊離率が高まり、味質の良い加水分解蛋白質
が製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加水分解蛋白質の製造
方法に関する。加水分解蛋白質は調味料、食品の品質改
良剤等に幅広く利用されている。
【0002】
【従来の技術】蛋白質の加水分解は従来鉱酸を添加して
高温、高圧処理する事により行われている。特に食品用
途では、製品に苦味を生じさせないために塩酸が用いら
れている。しかしながら、蛋白質を塩酸で加水分解した
場合には蛋白質中に微量に残存している油脂類と塩酸と
が反応する事によりモノクロロプロパンジオール(MC
P)やジクロロプロパノール(DCP)等の好ましくな
い塩素化化合物が生成することが近年問題になりつつあ
る。一方、蛋白質分解酵素を用いた蛋白質の加水分解も
多く報告されているが、高価な酵素を多量に必要とする
こと、反応中に雑菌汚染を生じる可能性が高いこと、さ
らに蛋白質を高度に加水分解することが困難であること
から、実用化されている例は少ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、複数
の酵素が安定に存在しうる酵素剤を提供することによ
り、該酵素剤を用いて蛋白質を高度に加水分解する方法
を開発することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】酵素による加水分解で蛋
白質の加水分解率が低い原因としては、蛋白質中に存在
するプロリン残基がポイントと考えられる。すなわち、
プロリンは環状α−イミノ酸であり、他のアミノ酸とは
異なる立体構造をしている。蛋白質またはペプチド中の
プロリン残基のイミノ基やカルボキシル基が関与するペ
プチド結合は通常の蛋白質分解酵素による加水分解を受
けにくいことが理由として考えられる。本発明者らは上
記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、同一微生物由
来のプロリルエンドペプチダーゼ、プロリダーゼおよび
プロリナーゼを含有する酵素剤による処理、あるいは当
該酵素剤処理とエキソペプチダーゼ活性を有する酵素に
よる処理とを組み合わせることにより、従来加水分解さ
れ難かったプロリン残基が関与するペプチド結合が効率
よく加水分解され、その結果、蛋白質の加水分解率を高
めることができることを発見し、本発明を完成させるに
到った。プロリルエンドペプチダーゼ、プロリダーゼお
よびプロリナーゼは、ほ乳類の臓器に広く分布している
が、臓器の入手が困難であるため、入手容易な微生物由
来の酵素剤を用いることが望ましい。また、上記3種の
酵素を別々の微生物から調製し、これらを混合すること
により本発明と同様の操作を行うことも可能ではある
が、由来の異なる蛋白分解系酵素を混合した場合には、
それぞれの酵素が互いに別の酵素蛋白質を加水分解する
結果、酵素活性が急激に低下する恐れがある。これに対
し、同一微生物由来の酵素の場合には、長期間の培養後
でも安定に存在していたものであり、これらを同時に存
在させても上記の様な活性低下の恐れはない。
【0005】プロリルエンドペプチダーゼ(別名ポスト
プロリンクリービング酵素またはプロリン特異的エンド
ペプチダーゼ、EC 3.4.21.26)を生産する
微生物としては、Flavobacterium属細
菌、Xanthomonas属細菌、Alcalige
nes属細菌、Streptomyces属の放線菌が
報告されている。通常のプロリルエンドペプチダーゼは
低分子ペプチドには作用するものの高分子ペプチドや蛋
白質には作用しないが、Streptomyces x
anthophaeus HA−36株が生産するプロ
リルエンドペプチダーゼはカゼイン等の高分子基質を加
水分解することが報告されている。これら微生物以外に
もプロリルエンドペプチダーゼを生産する微生物を新た
にスクリーニングすることにより新規プロリルエンドペ
プチダーゼを取得することも可能である。プロリルエン
ドペプチダーゼを生産する微生物は、その培養液をカル
ボベンゾキシ−アラニル−アラニル−プロリル−パラニ
トロアニリド(以下Z−Ala−Ala−Pro−pN
Aと略す)に作用させ、黄色のパラニトロアニリンを遊
離させることを指標に土壌等より分離することができ
る。
【0006】プロリダーゼ(別名プロリンジペプチダー
ゼ、EC 3.4.13.9)を生産する微生物として
は、Escherichia coli、Lactoc
occus lactis、Streptococcu
s cremoris、Neurospora属糸状
菌、Thermus aquaticus、Pseud
omonus属細菌等が報告されている。プロリダーゼ
はX−Proの構造のジペプチドを加水分解するが、X
−Pro−Yの構造のトリペプチドのX−Pro結合を
加水分解する場合もある。これら微生物以外にもプロリ
ダーゼを生産する微生物を新たにスクリーニングするこ
とにより新規プロリダーゼを取得することも可能であ
る。プロリダーゼを生産する微生物は、その培養液をグ
リシル−プロリン(以下Gly−Proと略す)に作用
させた後に生じる遊離プロリンを指標に土壌等より分離
することができる。
【0007】プロリナーゼ(別名プロリルジペプチダー
ゼ、EC 3.4.13.8)を生産する微生物として
は、Streptococcus cremoris、
Streptococcus thermophilu
s等が報告されている。プロリナーゼはPro−Xの構
造のジペプチドを加水分解する酵素であり、これら微生
物以外にもプロリナーゼを生産する微生物を新たにスク
リーニングすることにより新規プロリナーゼを取得する
ことも可能である。プロリナーゼを生産する微生物は、
その培養液をプロリル−グリシン(以下Pro−Gly
と略す)に作用させた後に生じる遊離プロリンを指標に
土壌等より分離することができる。
【0008】プロリルエンドペプチダーゼ、プロリダー
ゼおよびプロリナーゼを同時に生産する微生物として、
Pseudomonas sp.KU−22株およびS
treptomyces xanthophaeus
HA−36株があげられる。Pseudomonas
sp.KU−22株はは好気性の桿菌であり、YM培地
(ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.3%、マルト
エキス0.3%、グルコース1.0%、寒天1.0%、
pH7.2)上30℃で培養した場合に淡黄土色、湿潤
で光沢のあるコロニーを形成する。細胞のサイズは0.
4μm×1.6μmの直桿菌であり、グラム染色陰性、
運動性あり、極性鞭毛、ウレアーゼテスト陽性、カタラ
ーゼテスト陽性、オキシダーゼテスト陽性、クエン酸利
用テスト陽性、澱粉加水分解テスト陰性、グルコース酸
化能(OF−テスト)陽性、キノン系はQ−9、黄色色
素産生なし、水溶性色素産生なし、蛍光色素産生なし、
アルギニン加水分解酵素テスト陰性、フォーゲス−プロ
スカウエルテスト(VPテスト)陰性、硝酸還元テスト
陰性、メチルレッドテスト陰性、D−グルコース、D−
マニトール、D−マンノース、エタノール、スクロース
より好気条件下に酸を生成しない、37℃、40℃、4
2℃で生育し、45℃で生育しない、5%食塩存在下に
生育し、10%食塩存在下に生育しない、好気条件下に
D−グルコース、D−マニトール、D−マンノース、酢
酸を資化し、スクロースを資化しない。尚、本菌株は工
業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P−13
788として寄託されている。
【0009】Pseudomonas sp.KU−2
2の培養液より酵素剤を得る方法は公知の方法をそのま
ま、または一部修正して用いることができる。これらペ
プチダーゼの生産に適する培地としては、グルコース、
脱脂大豆、食塩を含有する培地が有効である。培養温度
30℃で2日間程度の培養により著量のプロリルエンド
ペプチダーゼ、プロリダーゼおよびプロリナーゼが培地
中に生産される。酵素の収量を増大させるために、超音
波による菌体破砕または浸透圧ショック等を行うことも
有効である。菌体または菌体残渣を除去した後、たとえ
ば硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロ
マトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等を行う
ことによりそれぞれの酵素が精製できるが、蛋白質の加
水分解を行う場合には培養液や菌体破砕液をそのまま、
または粗精製程度で充分である。
【0010】Streptomyces xantho
phaeus HA−36株はスターチ・無機塩寒天培
地で30℃で培養することにより、よく分岐した基菌糸
からstraight〜flexurusの気菌糸を伸
長し、成熟した気菌糸の先に10〜50個の楕円〜円筒
形の胞子からなる胞子鎖を形成する。胞子嚢は無く、胞
子の大きさは0.7〜1.0×1.0〜1.5μmで、
胞子表面はsmoothであり、鞭毛は認められない。
本菌株の細胞壁の糖成分には特に特徴は認められず、細
胞壁成分のジアミノピメリン酸はLL型である。尚、本
菌株は工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM
P−13827として寄託されている。
【0011】Streptomyces xantho
phaeus HA−36株の培養液より酵素剤を得る
方法は、公知の方法をそのまま、または一部修正して用
いることができる。ペプチダーゼの生産に適する培地と
しては、グルコース、澱粉、乾燥酵母、食塩を含有する
培地が有効である。培養温度30℃で4日間程度培養す
ることにより著量のプロリルエンドペプチダーセ、プロ
リダーゼおよびプロリナーゼが培地中に生産される。菌
体および不溶性成分を除去した後、たとえば硫安分画、
イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィ
ー、ゲル濾過クロマトグラフィー等を行うことによりそ
れぞれの酵素が精製できるが、蛋白質の加水分解を行う
場合には培養液をそのまま、または粗精製程度で充分で
ある。尚、既知のプロリルエンドペプチダーゼは通常高
分子の基質に対しては全く作用しないが、本微生物が生
産するプロリルエンドペプチダーゼは高分子基質である
カゼインに対しても加水分解活性を示すことが特徴であ
る。
【0012】蛋白質を加水分解する場合には、まず対象
となる蛋白質を通常の蛋白質加水分解酵素で低分子化し
ておくことが望ましい。用いる酵素としてはエンド型活
性の高いものが適している。市販の酵素としてはノボ社
のアルカラーゼやニュートラーゼ、天野製薬のプロテア
ーゼN等が利用できる。エンド型酵素による消化が終了
した後に残存する酵素はプロリルエンドペプチダーゼの
安定性に悪影響を及ぼす場合があるため、限外濾過等に
よる除去または加熱失活等を行っておくことが望まし
い。
【0013】あらかじめエンド型酵素で処理した蛋白質
をプロリルエンドペプチダーゼ、プロリダーゼおよびプ
ロリナーゼを含む酵素剤で処理する場合には、同一微生
物の培養物や細胞破砕液をそのまま使用するか、または
これらより酵素を粗精製したものを用いることができ
る。反応は通常の酵素反応と同じく酵素が失活しない程
度の一定の温度で撹拌条件で行うことが望ましい。
【0014】加水分解の最終段階として、エキソ型活性
の高い酵素による加水分解を行ってもよい。エキソ型酵
素による加水分解に先立ち、プロリルエンドペプチダー
ゼ、プロリダーゼおよびプロリナーゼの除去または失活
処理を行うことは必ずしも必要ではない。反応液のpH
を適宜調整した後、エキソ型活性の高い酵素を添加して
反応を行う。用いる酵素としては天野製薬のプロテアー
ゼM、プロテアーゼA、科研製薬のアクチナーゼ等の酵
素が利用可能であるが、Aspergillus属、R
hizopus属、Streptomyces属等の培
養液等を酵素剤の代わりに用いることも可能である。酵
素反応が終了した後、脱色、濃縮、殺菌等の処理を行
い、目的の加水分解蛋白質が調製される。
【0015】本発明により得られる加水分解蛋白質は、
プロリルエンドペプチダーゼ、プロリダーゼおよびプロ
リナーゼを含む酵素剤による加水分解工程を行わない場
合に比較してその加水分解率(アミノ酸の遊離率)が上
昇しており、中でもグルタミン酸、グリシン、プロリン
等の呈味性の高いアミノ酸の遊離率が特に上昇するた
め、食品用途、特に調味料としての利用価値がより高ま
ることが特徴である。
【0016】以下に本発明の実施例を示すが、本発明が
これらに限定されるものではない。
【0017】
【実施例】
【0018】
【実施例1】 1)KU−22粗酵素液の調製 Pseudomonas sp.KU−22株を2%グ
ルコース、2%脱脂大豆、0.3%食塩よりなる培地1
00ml(pH7.2)を含む500ml容坂口フラス
コ6本に移植し、30℃で48時間振盪培養を行った。
培養液より遠心分離により(8、000×g、20分)
菌体を集め、20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)で2回洗浄後、菌体を超音波処理することにより粉
砕した。その後遠心分離(8、000×g、20分)に
より細胞残渣を除去することにより無細胞抽出液233
mlを得た。この無細胞抽出液を氷中で冷却撹拌しなが
ら90%飽和となるように硫酸アンモニウムを加え、3
0分間氷中で撹拌させた後4℃で一夜放置した。沈澱物
をセライト濾過により回収し、氷冷した20mMトリス
−塩酸緩衝液(pH8.0)(以下緩衝液Aと称する)
に溶解し、遠心分離(8、000×g、20分)により
セライトを除去した。続いて緩衝液Aに対して透析を行
い、粗酵素液を得た(以下KU−22粗酵素液と称す
る)。
【0019】プロリルエンドペプチダーゼ活性の測定は
以下の条件にて行った。即ち、1mM Z−Ala−A
la−Pro−pNA(40%メタノールに溶解)20
0μlに50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
800μlを加え、37℃で5分間予備保温した後、酵
素サンプル(緩衝液Aで適宜希釈したもの)200μl
を添加して30分間反応させた。1Mの酢酸ナトリウム
緩衝液(pH3.5)を400μl加えて反応を停止さ
せた。基質に1M酢酸緩衝液(pH3.5)をあらかじ
め加えた後で酵素サンプルを添加したものをブランクと
して410nmの吸光を測定し、反応により遊離したパ
ラニトリアニリンの量を求めた。尚、プロリルエンドペ
プチダーゼ1単位は1分間に1μmolのパラニトリア
ニリン相当量を遊離させるのに必要な酵素量と定義し
た。KU−22粗酵素液のプロリルエンドペプチダーゼ
の活性は0.14単位/mlであった。
【0020】プロリダーゼ活性の測定は以下の条件で行
った。即ち、5mM Gly−Proを含む緩衝液Aに
酵素サンプル(緩衝液Aで適宜希釈したもの)10μl
を加え、37℃で30分間反応させた。これに和光純薬
製ニンヒドリン液(アミノ酸自動分析装置用)40μl
を加え、70℃で20分間加熱した後、蒸留水で10倍
に希釈した。同時に、Gly−Pro溶液にニンヒドリ
ン液を添加し、引き続き酵素サンプルを添加してニンヒ
ドリン反応させ、蒸留水で10倍に希釈したものをブラ
ンクとした。それぞれの350nmの吸光度を測定する
ことにより、酵素反応により生じた350nmの吸光度
の増加を求めた。一方、5mMのGly−Pro溶液
と、5mMグリシンおよび5mMプロリンを含む溶液を
適宜混合し、この混合液200μlに蒸留水10μlを
加え、上記と同様にニンヒドリン反応と蒸留水による希
釈を行ったものを各種準備し、これらの350nmの吸
光度を測定して標準曲線を作成した。標準曲線より遊離
プロリンの濃度を求め、プロリダーゼにより生じたプロ
リン量を算出した。尚、プロリダーゼ1単位は1分間に
1μmolのプロリンを遊離させるのに必要な酵素量と
定義した。KU−22粗酵素液のプロリダーゼ活性は
0.64単位/mlであった。
【0021】プロリナーゼ活性の測定は以下の条件で行
った。即ち、5mM Pro−Glyを含む緩衝液Aに
酵素サンプル(緩衝液Aで適宜希釈したもの)10μl
を加え、37℃で30分間反応させた。これに和光純薬
製ニンヒドリン液(アミノ酸自動分析装置用)40μl
を加え、70℃で20分間加熱した後、蒸留水で10倍
に希釈した。同時に、Pro−Gly溶液にニンヒドリ
ン液を添加し、引き続き酵素サンプルを添加してニンヒ
ドリン反応させ、蒸留水で10倍に希釈したものをブラ
ンクとした。それぞれの350nmの吸光度を測定する
ことにより、酵素反応により生じた350nmの吸光度
の増加を求めた。一方、5mMのPro−Gly溶液
と、5mMグリシンおよび5mMプロリンを含む溶液を
適宜混合し、この混合液200μlに蒸留水10μlを
加え、上記と同様にニンヒドリン反応と蒸留水による希
釈を行ったものを各種準備し、これらの350nmの吸
光度を測定して標準曲線を作成した。標準曲線より遊離
プロリンの濃度を求め、プロリダーゼにより生じたプロ
リン量を算出した。尚、プロリナーゼ1単位は1分間に
1μmolのプロリンを遊離させるのに必要な酵素量と
定義した。KU−22粗酵素液のプロリナーゼ活性は
1.3単位/mlであった。 2)HA−36粗酵素液の調製 Streptomyces xanthophaeus
HA−36株を1%グルコース、1%可溶性澱粉、2
%乾燥酵母、0.3%食塩よりなる培地100ml(p
H7.2)を含む500ml容坂口フラスコ20本に移
植し、30℃で4日間振盪培養を行った。培養液を遠心
分離(8、000×g、20分)することにより菌体を
除き、この液を氷中で冷却撹拌しながら80%飽和とな
るように硫酸アンモニウムを加え、30分間氷中で撹拌
させた後4℃で一夜放置した。沈澱物を遠心分離(8、
000×g、20分)により回収し、氷冷した緩衝液A
に溶解させた。続いて緩衝液Aに対して透析を行い、粗
酵素液を得た(以下HA−36粗酵素液と称する)。プ
ロリルエンドペプチダーゼ活性は0.073単位/m
l、プロリダーゼ活性は0.039単位/ml、プロリ
ナーゼ活性は0.070単位/mlであった。 3)蛋白質の調製とアルカラーゼ処理 5リットル容高圧オートクレーブに豚骨3600gと水
720gを仕込み、密封後に昇温を開始した。オートク
レーブの内圧が0.5kg/cm2 に達したらオートク
レーブ内のエア抜きを実施し、再度密封してオートクレ
ーブの内圧が5kg/cm2 になるまで加熱し、1時間
煮出しを行った。冷却後、オートクレーブ内の液を5リ
ットル容分液ロートに移し、上層の油を除いて下層の豚
骨抽出液2400gを回収し、これをエバポレーターで
濃縮してT−N7.7%、F−N0.39%の濃縮液4
50gを得た。本濃縮液210gに水を780gを加え
て希釈後、16%水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを
8.0に調製した。この溶液にアルカラーゼ0.6L
(ノボ社製)を4g添加し、55℃で6時間反応させ
た。反応中のpHは16%水酸化ナトリウム溶液で常時
8.0となるように調整した。反応終了液を分画分子量
6000の限外濾過膜(旭化成社製SIP−1013)
で濾過して酵素を除去した。本アルカラーゼ処理液はT
−N=1.63%、F−N=0.204%であり、加水
分解率は12.5%と算出された。 4)粗酵素液およびプロテアーゼMによる加水分解 3本の試験管A、B、Cに上記3)で得られたアルカラ
ーゼ処理液をそれぞれ15mlずつ分注した。試験管A
には上記1)で得られたKU−22粗酵素液1.5ml
を、試験管Bには上記2)で得られたHA−36粗酵素
液1.5mlを、また試験管Cには蒸留水1.5mlを
添加して37℃で24時間反応させた。反応終了後、p
Hをそれぞれ5.0に調整し、天野製薬製プロテアーゼ
Mをそれぞれ0.2gずつ添加し、50℃で24時間反
応させた。反応終了液をそれぞれサンプルA、B、Cと
称し、ケルダール窒素(T−N)およびホルモール窒素
(F−N)の分析を行った。表1に結果を示した通り、
サンプルAおよびBではコントロールであるサンプルC
に比べて加水分解率が約10%高くなっていた。
【0022】
【表1】
【0023】
【実施例2】 1)KU−22粗酵素液の調製 Pseudomonas sp.KU−22株を2%グ
ルコース、2%脱脂大豆、0.3%食塩よりなる培地5
00ml(pH7.2)を含む5リットル容フラスコ2
本に移植し、30℃で48時間振盪培養を行った。培養
液より遠心分離により(8、000×g、20分)菌体
を集め、50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
で3回洗浄後、50mM トリス−塩酸+1mM ED
TA(pH8.0)+0.5M スクロースの緩衝液中
に懸濁した。30℃で30分間保温した後菌体を集め
(8、000×g、20分)、これに50mM トリス
−塩酸+1mM EDTAの緩衝液を加えて懸濁し、3
0℃で30分間保温することにより浸透圧ショックを施
した。遠心分離(10、000×g、20分)により菌
体を除去し、上澄液を旭化成社製限外濾過モジュールA
IP−0013で濾過することにより酵素を濃縮し、1
mMの塩化マンガンを含む緩衝液Aに対して透析を行っ
た結果、プロリルエンドペプチダーゼ活性が0.38単
位/ml、プロリダーゼ活性が1.7単位/ml、プロ
リナーゼ活性が3.2単位/mlの酵素液約40mlを
得た。 2)蛋白質の調製とアルカラーゼ処理 前記実施例3の3)と同様の方法を用いて豚骨からの蛋
白質の調製とアルカラーゼ処理を行い、T−N=1.6
%、F−N=0.14%のアルカラーゼ処理液を得た。 3)粗酵素液およびプロテアーゼMによる加水分解 500ml容三角フラスコに上記2)で得られたアルカ
ラーゼ処理液200mlと上記1)で得られた粗酵素液
30mlを加え、マグネチックスターラーで撹拌しなが
ら37℃で24時間反応させた。反応終了後、塩酸を加
えてpHを5.0に調製し、旭化成社製限外濾過モジュ
ールAIP−0013で濾過することにより酵素を除去
した。この液に天野製薬のプロテアーゼMを5g添加
し、スターラーで撹拌しながら50℃で30時間反応さ
せた(サンプルD)。一方、粗酵素液の代わりに蒸留水
を添加する以外全く同様に処理したものをコントロール
サンプル(サンプルE)とした。サンプルD、Eにつき
T−NとF−Nの測定を行った結果(表2)サンプルE
の分解率が26%であったのに対しサンプルDでは40
%と高くなっていた。
【0024】
【表2】
【0025】サンプルDおよびEにつき、アミノ酸分析
を行った。全アミノ酸を測定する場合にはサンプルを6
Nの塩酸存在下、120℃で18時間加水分解した後、
遊離アミノ酸を測定する場合にはそのまま、日本電子社
製JLC−300アミノ酸分析装置にて分析した。その
結果を表7に示したが、サンプルDはサンプルEに比べ
てアスパラギン酸、スレオニン、グルタミン酸、プロリ
ン、グリシン等の呈味性アミノ酸の遊離率が大幅に高ま
っており、苦みを呈する疎水性アミノ酸の遊離率はあま
り増加していないことが確認された。
【0026】
【表3】
【0027】
【発明の効果】蛋白質の加水分解にプロリルエンドペプ
チダーゼ、プロリダーゼおよびプロリナーゼを含む酵素
剤による処理とエキソペプチダーゼによる処理とを組み
合わせることにより加水分解率が向上し、さらに呈味性
に優れたアミノ酸の遊離率が向上することから、食品、
特に調味料用途の蛋白質の加水分解に効果的に利用でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:38) (C12N 9/52 C12R 1:465)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一微生物由来のプロリルエンドペプチ
    ダ−ゼ、プロリダ−ゼおよびプロリナ−ゼを含有するこ
    とを特徴とする酵素剤。
  2. 【請求項2】 微生物がPseudomonas属細菌
    である請求項1記載の酵素剤。
  3. 【請求項3】 微生物がStreptomyces属細
    菌である請求項1記載の酵素剤。
  4. 【請求項4】 食品蛋白質、食品蛋白質の部分消化物、
    および食品蛋白質由来のペプチドを、請求項1乃至請求
    項3記載の酵素剤で消化することを特徴とする加水分解
    蛋白質の製造方法。
  5. 【請求項5】 エキソペプチダーゼ活性を有する酵素に
    よる消化を組み合わせることを特徴とする請求項4記載
    の加水分解蛋白質の製造方法。
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