JPH07115851B2 - 結晶質リン酸ジルコニウム - Google Patents

結晶質リン酸ジルコニウム

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JPH07115851B2
JPH07115851B2 JP4238791A JP23879192A JPH07115851B2 JP H07115851 B2 JPH07115851 B2 JP H07115851B2 JP 4238791 A JP4238791 A JP 4238791A JP 23879192 A JP23879192 A JP 23879192A JP H07115851 B2 JPH07115851 B2 JP H07115851B2
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zirconium phosphate
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crystalline zirconium
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克彦 伊藤
幸人 高田
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な構造とそれに基
づく特異な物性を有する結晶質リン酸ジルコニウムに関
する。本発明の結晶質リン酸ジルコニウムは、多孔質吸
着体、イオン交換体、有害金属や高レベル放射性廃棄物
の固定化剤、触媒、超イオン伝導体及びその製造原料、
ガス分離剤、セラミックス材料等として有用である。
【従来技術とその問題点】結晶質リン酸ジルコニウム
は、公知の化合物であって、その製造方法も種々提案さ
れている。そして、その特異な物理的性質に着目して、
耐熱性、耐薬品性、耐酸化還元性、耐放射線性等に優れ
た高交換能のイオン交換体として、更には層間化合物、
触媒等としての応用も広く研究されている。しかしなが
ら、公知の結晶質リン酸ジルコニウムは、実用上の性質
に関して種々の改善の余地があり、その製造法も操業上
の危険性等の理由により工業化に適したものとは言い難
い。
【問題点を解決するための手段】本発明者は、従来技術
の上記の如き問題点に鑑み、種々実験及び研究を重ねた
結果、特定組成を有する混合液から製造する場合には、
比較的容易に結晶質リン酸ジルコニウムが得られ、しか
もその結晶質リン酸ジルコニウムは、従来技術には見ら
れない特性を有することを見出した。即ち、本発明は、
下記1〜3項の結晶質リン酸ジルコニウムを提供するも
のである。 1.(a)式NHZr(PO・mHO[但
し、0≦m≦2]で表わされ、(b)その結晶構造が後
記第2表に示すd−間隔をもつX線回折図形により特徴
付けられ、(c)分析的計算による酸化物として式4Z
rO・3Pにより表わされることを特徴とする
結晶質リン酸ジルコニウム。 2.(A)式HZr(POで表わされ、(B)
その結晶構造が後記第4表に示すd−間隔をもつX線回
折図形により特徴付けられ、(C)分析的計算による酸
化物として式4ZrO・3Pより表わされるこ
とを特徴とする結晶質リン酸ジルコニウム。 3.(1)式HZr(PO・mHO[但し、
0<m≦2]で表わされ、(2)その結晶構造が後記第
6表に示すd−間隔をもつX線回折図形により特徴付け
られ、(3)分析的計算による酸化物として式4ZrO
・3Pにより表わされることを特徴とする結晶
質リン酸ジルコニウム。 以下、本発明について詳細に説明する。本発明の新規な
結晶質リン酸ジルコニウム(a〜cの3種類)について
説明する。尚、以下に示すX線回折データにおいて、I
は強度であり、dは面間隔である。X線回折にはX線回
折装置「ガイガーフレックス RAD−2A」(理学電
機(株)製)を使用し、測定時の照射源は45KV及び
25mAで操作される銅ターゲットX線管であり、圧縮
粉末を2゜(2θ)/分で走査し、CuKa照射及びグ
ラファイトモノクロメーター[λ(CuKa)=1.5
4056オングストローム]から記録した。dは2θ
(ここでθはチャート上で観察される如きブラッグ角)
として表わされる回折ピークの位置から回折図形を得
た。また、Iはバックグランドを減じた後の回折ピーク
の高さから測定した。 (a)アンモニウムイオン含有反応混合液から直接合成
された本発明結晶質リン酸ジルコニウムは 含水率が極
めて低く、酸化物として4ZrO・3Pなる化
学組成を有し、骨格構造内の細孔にNHイオンを含有
しており、一般式NHZr(PO・mH
[mは前記に同じ]で表わされる。この結晶質リン酸ジ
ルコニウムは第1表に示すdを含む特有の粉末回折図形
を呈する。なお、本発明における表中のdの単位はすべ
てオングストロームである。 本発明の一般式NHZr(PO・mH
[mは前記に同じ]なる結晶質リン酸ジルコニウムのX
線粉末回折データは、第2表に示す数値で示される一般
的図形内に入る図形を有する。 (b)上記(a)の一般式NHZr(PO
mHOで示される結晶質リン酸ジルコニウムを約40
0〜1080℃で熱処理すると、骨格構造内のNH
オンをNH、N等のガスとして放出して一般式HZ
(POで示される結晶質リン酸ジルコニウム
に変化する。これは酸化物としてはやはり4ZrO
3Pなる化学組成により表わされ、且つ第3表に
示すdを含む特有の粉末回折図形を呈する。 前記の反応混合液から晶出した一般式NHZr(P
・mHO[mは前記に同じ]を400〜10
80℃で熱処理した結晶質リン酸ジルコニウムHZr
(POのX線粉末回折データは、第4表に示す数
値で示される一般的図形内に入る図形を有する。 第4表から明らかな如く、dは熱処理温度に関係なく一
定であるが、回折ピークは約650〜750℃を境とし
て2種のパターンに分かれる。第4表においては、65
0〜1080℃での図形を高温型、400〜750℃で
の図形を低温型と区別した(前記第3表についても同
様)。また、上記のNHZr(PO・mH
Oを熱処理して得た結晶質リン酸ジルコニウムの粉末X
線回折図形において400℃から1080℃まで温度上
昇させることによりd−間隔は必ず第4表に示す範囲に
入り、回折ピークのみが低温型から高温型に変化する。
それ故に低温型、高温型或いは両者の中間のもの等のH
Zr(PO粉末X線回折図形がいかなる場合に
おいても1つの回折図形の中で同時に存在することはあ
りえない。400〜1080℃で熱処理して得た結晶質
リン酸ジルコニウムHZr(POは、吸湿性を
備えているが、その吸湿速度は比較的小さく、空気中に
おいて1週間後にも吸湿能を有している。さらに上記結
晶質リン酸ジルコニウムを水分透過性のポリエチレン製
袋内に収容しておく場合には、1ヶ月後にもなお吸湿能
を保持している。逆に、該結晶質リン酸ジルコニウムを
水中に投入しても数分以内に完全に吸水を完了しない場
合もある。 (c)上記のようにして吸収された水分は、酸化物とし
て表した場合に4ZrO・3Pなる化学組成を
有する必須骨格の細孔内に結晶水として入り込む。結晶
水の量は熱処理温度及び熱処理時間によって異なり、低
温型の方が高温型に比して吸水速度が大きい。結晶水を
得た結晶質リン酸ジルコニウムは、一般式HZr(P
・mHO[mは前記に同じ]で表わされ、第
5表に示されるdを含む特有の粉末回折図形を有する。 上記のHZr(PO・mHOなる含水結晶質
リン酸ジルコニウムを例えば150〜900℃で熱処理
すると、脱水反応により結晶水を含まないHZr(P
に可逆的に結晶変化する 反応混合液から晶出した一般式NHZr(PO
・mHOなる結晶質リン酸ジルコニウムを400〜
1080℃程度で熱処理して結晶変化させてHZr
(POとした後、吸水させた一般式HZr
(PO・mHOなる含水結晶質リン酸ジルコ
ニウムのX線粉末回折データは、第6表に示す数値で示
される一般的図形内に入る図形を有する。尚、上記HZ
(PO・mHOを150〜250℃の温度
範囲で熱処理した場合には第4表で示す粉末X線回折図
形のHZr(POと後記第6表で示す粉末X線
回折図形のHZr(PO・mHOの両者が生
成し、これらが混ざった状態となる。 上記(a)のNHZr(PO・mHO、上
記(b)のHZr(PO及び上記(c)のH
Zr(PO・mHOで示される結晶質リン酸
ジルコニウムを1080℃以上で高温加熱処理すると、
いずれも結晶質ピロリン酸ジルコニウムZrP
なる。本発明に係る新規な結晶質リン酸ジルコニウム結
晶は、酸化物のモル比で表わして4ZrO:3P
なる化学組成の骨格構造を備え、結晶内にはミクロな
細孔を有してするものと推考される。即ち、ZrO
=1:1(モル比)なる酸化物としての化学組
成を有する公知のZr(HPO・nHOで示さ
れる結晶質リン酸ジルコニウムは二次元的な層状構造を
有しているのに対し、本発明結晶質リン酸ジルコニウム
は三次元的な網目構造を有しており、アンモニウムイオ
ン、水素イオン及び分子径の小さいHO分子を部分的
に網目構造の細孔内に含むゼオライト状トンネル構造を
備えているものと推考される。本発明に包含される各種
の結晶質リン酸ジルコニウムのX線回折図形は類似して
おり、その細孔内に存在するイオン類、分子類によっ
て、特に4.6〜4.3オングストローム、2.9〜
2.8オングストローム及び2.6〜2.5オングスト
ロームにおいてdで示される図形変化が見られる。ま
た、式NHZr(PO・mHOの細孔内の
アンモニウムイオン、水素イオンは、網目構造の骨格を
形成しているZrに結合したリン酸基にP−ONH
、P−ONHとして結合している。また、X線回
折図形から、水浸等により網目構造の細孔内にとり込ん
だHOは、リン酸基P−Oと水分子H−O−H
が結合(P−O…H−O−H)したP−O−H
として存在していることがわかる。次に本発明の結
晶質リン酸ジルコニウムの製造法について説明する。ま
ず、本発明において使用するジルコニウム化合物として
は、水溶性又は酸により水可溶性なる化合物が挙げら
れ、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロオキシ塩化ジルコ
ニウム、四塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム等のハ
ロゲン化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、塩基性硫酸
ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の鉱酸のジルコニウ
ム塩、酢酸ジルコニル、ギ酸ジルコニル等の有機酸のジ
ルコニウム塩、炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジ
ルコニウムナトリウム、酢酸ジルコニウムアンモニウ
ム、シュウ酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコ
ニウムアンモニウム等のジルコニウム錯塩が例示でき
る。これらの化合物の中でもオキシ塩化ジルコニウム、
硫酸ジルコニウム等がより好ましい。ポリカルボン酸化
合物は、本発明ではカルボキシル基を2個以上有するカ
ルボン酸又はその塩を意味し、そのうち水溶性又は酸に
より水可溶性となるものであればよい。ここで、上記ポ
リカルボン酸化合物においてカルボキシル基を2個以上
を必要とするのは次の理由による。即ち、本発明におい
て結晶質リン酸ジルコニウムを製造するためには、混合
液中でジルコニウムとカルボン酸とを反応させることに
より、カルボン酸ジルコニウム化合物の錯体を形成さ
せ、次いでリン酸化合物と反応させることが必要であ
る。しかし、上記錯体がモノカルボン酸ジルコニウム化
合物の錯体の場合には、温度、pH、濃度等の条件変
化、或いはリン酸化合物等の薬品添加による影響を受け
易く、その安定性が極めて低い。そのため、上記錯体状
態を維持するのが困難となり、結果的にはリン酸化合物
との反応を充分に行なうことができなくなる。これに対
し、上記錯体がポリカルボン酸ジルコニウム化合物の錯
体の場合には、その安定性は優れており、混合液中で分
解することもなく錯体の状態を維持したままリン酸化合
物と容易に反応することができる。依って、かかる安定
した錯体を得るためにはカルボキシル基を2個以上有す
ることが必要不可欠である。上記ポリカルボン酸化合物
としては、シュウ酸、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸水
素ナトリウム、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸水素ア
ンモニウム、シュウ酸リチウム、マレイン酸、マロン
酸、コハク酸及びこれらの塩類等の脂肪族二塩基酸とそ
の塩類;クエン酸、クエン酸アンモニウム、酒石酸、リ
ンゴ酸等の脂肪族オキシ酸及びこれらの塩類等が例示で
きる。これらのうちでも、シュウ酸並びにそのナトリウ
ム塩及びアンモニウム塩がより好ましい。尚、本発明に
おいて、前記ジルコニウム化合物のうち、シュウ酸ジル
コニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムアンモニウ
ム等のカルボキシル基を2個以上有するカルボン酸のジ
ルコニウム化合物は、前記ポリカルボン酸化合物と同様
に混合液中で安定性に優れた錯体を形成するので、ジル
コニウム化合物として用いる場合であっても、そのカル
ボキシル基は混合液におけるCとして算入され
る。リン酸化合物としては、水溶性又は酸により水可溶
性となる化合物が挙げられる。具体的には、リン酸、第
一リン酸ナトリウム、第二リン酸アンモニウム、第三リ
ン酸ナトリウム等のオルトリン酸のアルカリ金属塩及び
アンモニウム塩;メタリン酸、ピロリン酸等の少なくと
も1個のP−O−P結合を有する縮合リン酸のアルカリ
金属塩及びアンモニウム塩等が例示される。これらのう
ちでも、リン酸及びオルトリン酸のアンモニウム塩がよ
り好ましい。アンモニウム化合物及びアミン化合物とし
ては、水溶性又は酸より水可溶性となる化合物が挙げら
れる。アンモニウム化合物としては、塩化アンモニウ
ム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸水素ア
ンモニウム等の無機アンモニウム化合物;水酸化テトラ
プロピルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウ
ム等の有機アンモニウム化合物等が例示できる。前述の
ジルコニウム化合物、カルボン酸化合物及びリン酸化合
物の少なくとも1種がアンモニウム含有化合物である場
合には、これらをアンモニウムイオン源としても同時に
使用することができる。また、アミン化合物としては、
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン、ジ(N−ブチル)アミン、トリエチルア
ミン、トリプロピルアミン、ピリジン、N,N−ジメチ
ルエタノールアミン等が例示される。これらのうちで
も、リン酸アンモニウム、アンモニア水、塩化アンモニ
ウム及びシュウ酸アンモニウムがより好ましい。本発明
の結晶質リン酸カルシウムの製造方法は、上記の各化合
物を用いて以下のようにして実施される。まず、ジルコ
ニウム化合物水溶液にカルボン酸化合物水溶液を加える
か、或いはカルボン酸化合物水溶液にジルコニウム化合
物水溶液を加えた混合水溶液に、リン酸化合物又はその
水溶液を加える。ジルコニウム化合物水溶液にリン酸化
合物を加えた後、カルボン酸化合物水溶液を加える場合
には、非晶質リン酸ジルコニウムが生成し易く、結晶化
度の低い製品となる。アンモニウム化合物及び/又はア
ミン化合物の添加時期は、混合液調製中のいつでも良
く、添加時期の相違による効果上の差異は認められな
い。各原料の混合に際しては、攪拌を行なうことが望ま
しく、特にリン酸化合物を添加する際には、部分的にリ
ン酸濃度が高くなる状態が持続しないようにして攪拌を
行なう。混合液中では、ジルコニウム化合物(Zrとし
て)、ポリカルボン酸化合物(Cとして)及びリ
ン酸化合物(POとして)の割合が、第1図に示すモ
ル比三角成分図において、A(28,3,69)、B
(63,6,31),C(44,43,13)及びD
(1,97,2)の各点を結ぶ直線で囲まれた領域内に
おさまり、且つZr1モル当りアンモニウム化合物及び
/又はアミン化合物0.2〜100モル程度となるよう
に各原料を混合する。反応混合液中の各原料の組成比が
上記領域外となる場合には、結晶化度が遅い、収率が低
い、非晶質生成物を混有する、未反応原料が残存する、
所望外の結晶形を含む結晶質となる等の一又は二以上の
問題が生ずる。各原料を均一に溶解又は分散させた混合
液の形態は、透明溶液又は未溶解の過剰原料を含むスラ
リー状であっても良い。反応混合液の濃度は、Zrが
0.01〜25%、より好ましくは0.1〜10%にす
るのが良い。Zrが0.01%未満の稀薄溶液では経済
的に極めて不利であり、一方Zrが25%を上回る場合
にはカルボン酸塩、リン酸塩等が結晶として析出するの
で、生成物たる結晶質リン酸ジルコニウムの濾過及び水
洗が困難となる。上記の如き反応混合液は、pH10以
下、好ましくはpH0.5〜7で反応に供される。反応
液のpHが7〜10では含水率の高い結晶質リン酸ジル
コニウムが生成する傾向があり、pHが10を上回る場
合には結晶化度の低い結晶質リン酸ジルコニウムが生成
する傾向が大となる。反応混合液のpH調整剤として
は、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸;水酸化アンモニウム、
炭酸水素アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、炭酸ナトリウム等のアンモニウム及びアルカリ金
属の水酸化物及び炭酸塩等が例示される。反応温度(本
発明において、原料各成分の反応及び熟成による結晶質
リン酸ジルコニウムの晶出反応を一括して反応という)
は、50℃以上とすることが好ましい。反応温度が50
℃未満では目的生成物の晶出に長時間を要するので経済
的に不利である。一方、反応温度の上限は特に制限され
ないが、経済性の観点からは200℃程度である。反応
時間は原料の種類(即ち原料の反応性)、原料の配合
比、反応混合液の濃度、温度及びpH、反応生成物の所
望の結晶化度等より大幅に変わり得るが、通常30分乃
至20日程度である。生成した結晶質リン酸ジルコニウ
ムNHZr(PO・mHO[但し、mは前
記に同じ]は、濾過、デカンテーション、遠心分離等の
公知の手段によって、液相から分離され、洗浄された
後、常法に従って脱水、乾燥される。乾燥方法として
は、加熱乾燥、風乾、或いは五酸化リン、塩化カルシウ
ム、シリカゲル等の乾燥剤による吸着水の除去等があ
る。また上記結晶質リン酸ジルコニウムを400℃以下
の熱処理を行なうにより、結晶水の脱水反応が起こり、
NHZr(POとなる。次に、上記結晶質リ
ン酸ジルコニウムを400〜600℃の熱処理によって
結合アンモニウムイオンが分解し、式HZr(P
なる結晶質リン酸ジルコニウムが得られる。こ
のとき通常600℃までにはNHイオンが完全に分解
するが、その熱処理時間や処理量によっては570℃程
度で分解が完結する場合もある。従って、400〜60
0℃の熱処理により生成した結晶質リン酸ジルコニウム
はNHZr(POとHZr(PO
両者が生成し、これらの混ざった状態となる。さらに、
加熱処理を1080℃を上回る温度で行なう場合にはそ
の結晶形が変化して公知のピロリン酸ジルコニウム(Z
rP)に結晶変化する。従って、900℃付近〜
1080℃の間で熱処理した生成物はHZr(P
とZrPとが混ざった状態となる。この
ようにHZr(POは、400〜1080℃の
温度範囲内で得ることができる。また、上記HZr
(POを空気中に放置し、或いは水中に投入し
て吸水させることにより、式HZr(PO・m
O[mは前記に同じ]なる結晶質リン酸ジルコニウ
ムが得られる。尚、この結晶質リン酸ジルコニウムは1
50〜900℃の加熱処理により、結晶水が放出され、
再びもとのHZr(POに戻る。つまり、これ
は可逆的に変化する反応である。以上の結晶質リン酸ジ
ルコニウムの各温度による一連の変化を下記に記す。
【化1】 本発明における結晶質リン酸ジルコニウム形成の機構
は、明らかではないが次のように考えられる。即ち、ま
ず液中でジルコニウム化合物とカルボン酸化合物とが反
応してジルコニウム−カルボン酸の錯塩を形成する。次
いで、該液にリン酸化合物を添加することにより、該錯
塩が徐々に分解して、ジルコニウムイオンとリン酸イオ
ンが反応し、同時にアンモニウムイオン又はアミンカチ
オンを交換するため、比較的低いpH領域で均質に結晶
質リン酸ジルコニウムが晶出及び成長する。従って、得
られる粉末粒子は、一次粒子の集合体が少なく単分散が
主体となる。つまり一般的によく用いられる乾式反応や
非晶質リン酸ジルコニウムの合成による一次粒子が集合
してなる二次粒子とは異なる。そして、本発明の粉末粒
子の形状は粒子径が0.1〜10μのキュービック状の
単結晶体であるが、この大きさは加熱時間、反応溶液中
のZr含有濃度、処理温度等によって変化する。さらに
結晶の晶出及び成長する過程において攪拌が充分でない
場合には単結晶体の大きさ等が均一とならず、単結晶体
同士が一部重なり合った粒子となる。このようにして得
られる結晶質リン酸ジルコニウムはイオン交換能を有し
ているので、混合液中での反応時或いは反応後に液中に
溶存するカチオンを含有した形態をとることがある。反
応混合液から結晶質リン酸ジルコニウムが析出するに際
して2種以上のアルカリイオン、特にアンモニウムイオ
ンとナトリウムイオンとが共存する場合には、アンモニ
ウムイオンの方が親和力が大きいので、ナトリウムの濃
度が極めて高い場合を除き、選択的にアンモニウムイオ
ンを交換して、最終的にはナトリウムを含まない結晶質
リン酸ジルコニウムが生成する。生成したアンモニウム
交換リン酸ジルコニウムは、液中において非常に安定で
ある。即ち、一般のアンモニウム型カチオン交換体が高
濃度の鉱酸と接触して、アンモニウムイオンと水素イオ
ンとの置換反応によりH型となるのに対し、本発明のア
ンモニウム型リン酸ジルコニウムは、非可逆的で、濃鉱
酸によっても変化しない。
【発明の効果】 (1)本発明結晶質リン酸ジルコニウムは、陽イオン交
換体として特異な優れた効果を奏する。即ち、公知の有
機イオン交換体、及びリン酸ジルコニウム(例えば、Z
r(HPO・nHO)、ゼオライト等の無機イ
オン交換体は、乾燥状態及び高温状態において、交換体
自体が熱分解したり、交換体として不適当な構造に変化
したり(えば、交換基の分解、結晶変化等)、或いは交
換量の著しい低下を生じたりするので、主に溶液中での
イオン交換体としての使用に限定されている。これに対
し、本発明結晶質リン酸ジルコニウムは、溶液中のみな
らず、乾燥状態及び高温状態においても優れたイオン交
換能を発揮する。 (2)本発明結晶質リン酸ジルコニウムのイオン交換作
用は非可逆的であり、この点において公知のイオン交換
体とは著しく異なっている。即ち、本発明結晶質リン酸
ジルコニウムの骨格構造のミクロな細孔内にイオン交換
により固定されたカチオンは、種々の環境状況下におい
て非常に安定である。例えば、Naイオンは湿式又は乾
式により本発明結晶質リン酸ジルコニウムに容易に固定
され、NaZr(POなる結晶質リン酸ジルコ
ニウムを形成する。これは、1000℃以上の高温加熱
によっても、その結晶及び組成は何等変化せず、また濃
塩酸及び王水への長時間浸漬或いはNaHSO(又は
NaCl)との900℃での加熱によっても何等変化を
生じない。従って、これまで困難とされていたNaイオ
ン伝導体並びにNa以外の金属イオン(Kイオン、Li
イオン、Cuイオン等)及び非金属イオン(Hイオン、
NHイオン)の伝導体の製造が容易となった。(3)
上述の如くイオン交換された金属が極めて安定であるこ
とから、本発明リン酸ジルコニウムは種々の環境条件下
で溶出のない有害金属の固定化材、例えば高いレベルの
放射性元素Csの固定化材としても有用である。 (4)本発明結晶質リン酸ジルコニウムは、ゼオライト
状トンネル構造を有しているので、触媒、ガス分離剤、
セラミックス材料等のミクロ多孔質材料としても極めて
優れた効果を発揮する。
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に
説明する。尚、本発明は、これら実施例に記載した以外
の方法によっても実施可能であり、実施例にのみ限定さ
れるものではない。以下の実施例における各種の測定
は、次のようにして行なった。 (1)ZrOについては、反応生成物を炭酸ナトリウ
ムを使用して溶融分解し、水で抽出し、不溶分を濾別し
た後、分解を完全に行なうため、不溶分を炭酸ナトリウ
ムにより繰返し分解し、水で抽出した。最後に残った不
溶分をピロ硫酸カリウムにより溶融分解し、水で抽出し
た後、マンデル酸塩とし、さらに灰化強熱してZrO
とした。 (2)Pについては、上記(1)と同様にして炭
酸ナトリウムによる溶融分解及び水抽出を行なった後、
抽出液からモリブドリン酸塩として沈殿させ、これに水
酸化ナトリウム規定液を過剰量添加し、硝酸規定液で滴
定し、定量した。 (3)NH 及びアミンカチオンは、示差熱天秤分析
及びIR分析を使用して測定し、前記X線回折分析及び
化学分析と併せて求めた。熱天秤示差熱分析については
熱分析装置として「示差熱熱天秤装置TAS100 T
G8110」(理学電機(株)製)を使用し、空気雰囲
気中、昇温速度10℃/分で測定した。 (4)HOは、試料を1000℃で加熱したときの重
量減から、アンモニウム及びアミンの重量をさらに減じ
て求めた。 (5)粉末粒子の形状については、走査型電子顕微鏡
「JSM−T300」(日本電子(株)製)を使用し、
加速電圧25KV、倍率3500〜10000倍で測定
した。 (6)赤外線吸収スペクトルについてはKBr錠剤法で
作成したペレットを赤外分光光度計「IR−460」
(島津製作所(株)製)を使用し、4000cm−1
ら400cm−1で測定を行なった。 実施例1 オキシ塩化ジルコニウム結晶(ZrOCl・8H
試薬)32.7gを水に溶解させ、液量200gとした
後、これにシュウ酸結晶(H・2HO試
薬)17.9gを含む水溶液300gを攪拌しつつ加え
た。次いで、該混合液にリン酸水素アンモニウム(NH
PO98.0%)12.5gを含む水溶液10
0gを攪拌しつつ添加混合させた。かくして得られた混
合物の組成は、1.0Zr:1.1PO:1.4C
の原料配合割合(モル比)であった。この混合物に
攪拌下に3規定アンモニア水を加えて、混合液のpHを
4.5に調整した。かくして得られた反応混合物を内蓋
に小穴をあけて過度の水分蒸発を防止するようにした耐
熱性プラスチック容器に入れ、96℃恒温室中に自然圧
下5日間保持した後、容器内の固体反応生成物を吸引濾
過し、シュウ酸イオンが検出されなくなるまで繰り返し
水洗し、次いで固液分離した。ケーキ状の固体反応生成
物を乾燥器中で250℃、16時間処理して得られた乾
燥物16.7gは白色粉末であった。乾燥物の組成分析
の結果、生成物はZrO51.2%、P44.
0%、HO1.2%及びNH3.6%を含有してお
り、酸化物のモル比で表わして1.9NH・4.0Z
rO・3.0P・0.6HOの生成物組成を
示した。かくして得られた乾燥生成物をX線回折法によ
り解析した結果は、第7表及び第2図(a)に示す通り
である。このX線回折図形は第2表における主相と本質
上同じX線回折図形を有し、そして結晶質不純物を含有
していなかった。この生成物は、結晶質リン酸ジルコニ
ウムNHZr(POと判定した。また、得ら
れた白色粉末生成物の熱分析、赤外分光分析及び粒子形
状の観察を行なった。その結果を第6図(a)と第7図
(a)、第8図(a)及び第9図(a)にそれぞれ示
す。 実施例2 硫酸ジルコニウム溶液(ZrO28.0%を含むZr
OSO溶液)44.6gにシュウ酸アンモニウム結晶
[(NH・HO99.5%]30.5
gを水420gに溶解したシュウ酸溶液を攪拌しつつ加
えた。次いで、これにリン酸−ナトリウム(NaH
・2HO98.0%)20.1g及び塩化アンモ
ニウム20.0gを含む水溶液150gを攪拌下に混合
した。該混合物の組成は、1.0Zr:1.4PO
0.7Cの原料配合割合(モル比)であった。か
くして得られた混合物を実施例1で使用したものと同様
のプラスチック容器に入れ、96℃恒温室中に自然圧下
2日間保持した後、生成物を濾紙を使用して吸引濾過に
より分離した後、繰り返し洗浄し、得られたケーキを室
内中で風乾により1日乾燥して白色粉末21.7gを得
た。乾燥物の組成分析の結果、生成物はZrO50.
2%、P43.6%、HO2.7%及びNH
3.5%を含有しており、酸化物のモル比で表わして
1.9NH・4.0ZrO・3.0P・1.
5HOの生成物組成を示した。尚、生成物中のNa分
析の結果、Naは含有していなかった。Naの分析は、
反応生成物粉末を必要最小限のフッ化水素を用いて溶解
し、原子吸光光度計を使用して標準添加法にて測定し
た。生成物をX線回折法により解析した結果は、第8表
及び第2図(b)に示す通りである。このX線回折図形
は第2表における主相と同じX線回折図形を有し、実施
例1と同種のNHZr(POであった。さら
に風乾生成物についてのTG−DTA分析測定の結果
は、400℃までわずかに且つ徐々に脱水変化した。ま
た400℃で3時間熱処理したものについてのX線回折
分析測定の結果は、不純物を含有せず、第8表における
本質上同じX線回折図形であった。さらに400〜60
0℃ではアンモニア臭を発しながら重量減少を示し、結
晶変化を起こした。 実施例3 硝酸ジルコニル[ZrO(NO・2HO結晶9
9.0%]16.4gに水を加えて溶解し、液量を75
gとした。これにクエン酸二アンモニウム[(NH
HCO799.0%]15.3gを含む水溶液
300gを加え、次いでリン酸(HPO85.0%
溶液)12.9gと硝酸アンモニウム(NHNO
薬)10.0gとを混合調合して得た水溶液60gを攪
拌下混合した。この混合物の組成は、1.0Zr:1.
8PO:1.7Cの原料配合割合(モル比)で
あった。さらにこの混合物を3規定アンモニア水でpH
3.5に調整して反応混合物とした。かくして得られた
反応混合物を撹拌器及び還流装置をセットしたガラス製
フラスコ容器内に入れ、マントルヒーターを用いて攪拌
しながら3日間リフラックスした。固体生成物を濾紙で
吸引濾過し、熱水で洗浄を繰り返し、次いで固液分離し
た。得られたケーキを32℃、40%の恒温恒湿器中で
40時間乾燥物することにより白色粉末15.2gを得
た。乾燥物の組成分析の結果、生成物はZrO44.
1%、P41.2%、HO及びNHは14.
7%の値を示した。生成物をX線回折法により測定した
結果は、第9表に示す通りである。この回折図形におい
て乾燥生成物は結晶質不純物を含有しており、実施例1
のNHZr(PO生成物と同じX線粉末回折
図形を有し、第2表における主相と本質上同じX線回折
図形を有していた。尚、結晶質不純物はアンモニウムを
含有したガンマー型リン酸ジルコニウム、即ちZr1モ
ルに対し2モルのPOからなるアンモニウム交換リン
酸ジルコニウム[一般式γ−HNH42−nZr(P
・mHO(0≦n≦2)]の一部である。第
9表において(γ)印はその結晶質不純物の回折ピー
ク、(M)印は結晶質不純物とNHZr(PO
の重なった回折ピークをそれぞれ示す。 実施例4 オキシ塩化ジルコニウム結晶(ZrOCl・8H
試薬)22.6gを水に溶解させ、液量150gとした
後、これにシュウ酸結晶(H・2HO試
薬)8.1gを含む水溶液200gを攪拌しつつ加え、
この混合物にリン酸(HPO85.4%)7.4g
及びNHCl25.0gを含むリン酸溶液150gを
加えて混合液とした。この混合液の原料配合割合(モル
比)は、1.0Zr:0.9PO:0.9C
あった。このものを20%NaOH溶液を使用してpH
を2.0に調整した。この反応混合液を実施例1と同様
のプラスチック容器に入れ、96℃恒温室中に自然圧下
で2日間保持した後、固体反応生成物の濾過及び水洗を
繰り返し、固液分離した。脱水上りの収得物は含水率の
高い生成物で、その量は62.1gであった。さらにこ
のケーキを105℃で24時間乾燥器中で熱処理すると
乾燥白色塊状物140gを得た。生成物をX線回折法に
より解析した結果は、第10表に示す通りである。この
回折図形から、乾燥生成物は結晶性の悪い不純物は含水
率の高いもので、d=3.20オングストロームに特徴
的な非常に高い回折ピークを有するジルコニウム化合物
であった。第10表において(Z)印はその不純物の回
折ピークを、(M)印はその不純物とNHZr(P
の重なった回折ピークをそれぞれ示す。 実施例5 水375g、塩化アンモニウム10.0g及びシュウ酸
・2水和物(H・2HO)26.1gから
なる溶液にオキシ塩化ジルコニウムを水に溶解して得た
ZrO濃度20.4%の溶液61.3gを攪拌混合し
た後、リン酸−ナトリウム(NaHPO・2H
O)13.0gを含む溶液200gを混合した。この
混合物は、1.0ZrO:0.9PO:2.0C
の原料配合割合(モル比)であった。この混合物を
3規定アンモニア水でpH3.8に調整し、実施例1と
同様のプラスチック容器に入れ、90℃恒温室中に3日
間保持した。得られた生成物を濾過及び水洗した後、得
られた脱水ケーキを580℃で1時間電気炉中で熱処理
し、放冷後、水中に投入し、30分間マグネチック・ス
ターラーを用いて水中に分散させ、2日間(その間に1
回30分間スターラーにてビーカ低の沈降物を分散させ
た)水中放置した。かくして得られた固体反応物を吸引
濾過し、室内で2日間風乾し、白色粉末14.2gを得
た。生成物は、分析の結果ZrO49.7%、P
43.0%及びHO7.3%を含有しており、酸化
物のモル比で表わして4.0ZrO・3.0P
・4.0HOの生成物組成を示した。また、X線回折
法により解析した結果は、第11表及び第3図に示す通
りである。この回折図形は、第6表における主相と本質
上同じX線回折図形を有し、そして結晶質不純物を含有
していなかった。この生成物は、結晶質リン酸ジルコニ
ウムHZr(PO・mHO(m=1.5)と
判断した。また、得られた白色粉末生成物の熱分析、赤
外分光分析及び粒子形状の観察を行なった。その結果を
第6図(c)と第7図(c)、第8図(c)及び第9図
(b)にそれぞれに示す。 この生成物についてTG−DTA分析測定の結果は、約
150℃までわずかに且つ徐々に脱水反応を起こした。
また150〜250℃の間で急激な脱水反応を伴う結晶
変化が起こった。 実施例6 実施例5と同じ操作により、ジルコニウム、シュウ酸及
びリン酸の各原料化合物を含む反応混合物から析出して
得た脱水ケーキを750℃で3時間電気炉中で熱処理し
た。このものを通気性の紙袋に入れ、室内に1ヶ月間放
置した。放置後のものの分析結果は、ZrO51.1
%、P44.1%及びHO4.8%で、酸化物
のモル比で表わして4.0ZrO・3.0P
2.6HOの生成物の組成であった。またX線回折図
形は、第12表に示す通りであった。この図形は第6表
における主相と本質上同じX線回折図形を有し、そし
て、結晶質不純物を含有していなかった。この生成物は
実施例5と同様に非晶質リン酸ジルコニウムHZr
(PO・mHO(m=0.8)であった。 実施例7 シュウ酸・2水和物結晶(H・2HO)1
5.6g及び塩化アンモニウム30gを含む溶液300
gに、硫酸ジルコニウム溶液(ZrO28.0%濃
度)35.7gと水114.3gからなる溶液を攪拌下
に混合し、次にリン酸(85%)7.1gを含む溶液1
50gを混合した。この混合物は、1.0Zr:0.8
PO:1.5Cの原料配合(モル比)割合であ
った。かくして得られた混合物を実施例1で使用したも
のと同様のプラスチック容器に入れ、96℃で恒温室に
2日間保持した後、固体反応生成物を濾過及び水洗し、
固液分離した。得られた脱水ケーキを580℃で20時
間電気炉中で熱処理して白色粉末9.1gを得た。この
ものについて分析した結果、生成物はZrO52.6
%、P45.5%及びHO1.9%の組成を示
し、酸化物のモル比で表わして4.0ZrO・3.0
・1.0HOの生成物組成を示した。また、
熱処理後すぐにX線回折法により解析した結果、第13
表及び第4図(a)に示す通りである。この回折図形
は、第5表低温型における主相と本質上同じX線回折図
形を有し、そして結晶質不純物を含有していなかった。
この生成物を結晶質リン酸ジルコニウムHZr(PO
と判断した。また、得られた白色粉末生成物の熱
分析及び赤外分光分析を行なった。その結果を第6図
(b)と第7図(b)及び第8図(b)にそれぞれに示
す。次に、580℃で熱処理して得られた結晶質リン酸
ジルコニウムHZr(POに一部を分取し、1
000℃の電気炉で2時間熱処理した。これをX線回折
法により解析した結果は第4図(c)に示す。これによ
るとピロリン酸ジルコニウムZrPのX線回折図
形と一致し、非常に弱い回折ピークの不純物が混在して
いた。 実施例8 ヒドロオキシ塩化ジルコニウム溶液(ZrO35.0
%、ZrOOHCl溶液)15.7gに水50gを加え
た。これに酒石酸ナトリウム(Na・2
O、99.0%)26.3gを含む水溶液400g
を、次に85.0%リン酸溶液3.3gを含む水溶液1
00gを順次攪拌下に添加して、反応混合物を調製し
た。この混合物の原料配合割合(モル)は1.0Zr:
0.6PO:2.5Cであった。この配合液に
水酸化テトラエチルアンモニウム[(CNO
H]の10%水溶液18.0gを加えた後、20%苛性
ソーダを使用してpHを5.0に調整した。このスラリ
ー状混合液を実施例3と同様の装置を使用してフラスコ
中で7日間リフラックスした。次いで、フラスコ中の固
体反応生成物を吸引濾過し、繰り返し水洗した後、固液
分離した。得られた脱水ケーキを室内で2日間風乾し、
白色粉末5.5gを得た。この風乾物の一部を分取して
775℃で60分間電気炉中で熱処理した。仮焼物の分
析の結果はZrO52.9%、P45.6%及
びHO1.5%を含有しており、酸化物のモル比で表
わして、4.0ZrO・3.0P・0.8H
Oの生成物組成を示した。仮焼生成物のX線回折図形は
第14表及び第4図(c)に示す通りである。この回折
図形は第4表高温型における主相と本質上同じX線回折
図形であり、結晶質不純物は含有していなかった。 尚、この図形は実施例7とは面間隔において本質的に同
一であり、回折ピークの強度はd=4.6とd=4.4
において異なり、高温で仮焼したものにおいてはd=
4.4の方がピーク強度が大きい。仮焼生成物は結晶質
リン酸ジルコニウムHZr(POであると判断
した。 実施例9 硫酸ジルコニウム溶液(ZrO28.0%を含むZr
OSO溶液)44.6gにシュウ酸・2水和物(H
・2HO)9.4gを熱水200gに溶解し
たシュウ酸溶液を攪拌しつつ加えた。次にリン酸(8
5.0%HPO)16.5gを含む水溶液200g
を加えた後、モノエタノールアミン(NHCHCH
OH試薬)8.0gを順次加えて混合物を調製した。
該混合物の組成は、1.0Zr・1.4PO・0.7
の原料配合割合(モル比)であった。かくして
得られた混合物を20%NaOHにてpHを5.0に調
整し、反応混合液とした。該反応混合物を実施例1で使
用したのと同様のプラスチック容器に入れ、96℃の恒
温室に自然圧下7日間保持した後、吸引濾過により濾過
し、水洗した。得られた脱水ケーキを750℃で16時
間電気炉中で保持仮焼し、ポリエチレン袋に1日保管
後、各測定を行なった。仮焼生成物の分析結果は、Zr
52.7%、P45.6%及びHO1.7
%で、酸化物のモル比で表わして、4.0ZrO
3.0P・0.9HOの生成物組成を示した。
X線回折図形は第15表及び第4図(b)に示す通りで
ある。この回折図形は第4表における主相と本質上同じ
X線図形を有していた。尚、この図形は実施例7の低温
型及び実施例8の高温型のそれぞれHZr(PO
の中間型の図形の結晶質リン酸ジルコニウムHZr
(POであった。 第 15 表 実施例10 実施例6と同じ操作で得られたHZr(PO
0.8HOなる粉末生成物を250℃の高温乾燥器中
で3時間加熱処理した。得られた加熱処理物はZrO
51.7%、P44.7%及びHO3.6%を
含有しており、酸化物のモル比で表わして、4.0Zr
・3.0P・1.9HOの生成物組成を示
した。また、X線回折図形は第16表に示す通りであ
る。これは第4表に本質上同じX線回折図形を有し、結
晶質リン酸ジルコニウム低温型HZr(PO
あった。このことは、HZr(PO・mH
とHZr(POとは吸水・脱水により可逆変化
し、250℃で第4表に示すX線回折図形のHZr
(POに変化することを意味する。 実施例11 実施例1の原料配合、反応時間及び生成物の乾燥条件を
下記の如く変更する以外は実施例1と同様の操作を繰返
した。ジルコニウム、シュウ酸及びリン酸の各化合物を
調製した混合物液にトリエタノールアミン溶液((CH
CHOH)N:試薬)15.0gを加え、調製
後、96℃の恒温室中に自然圧下10日間保持した後、
実施例1と同じ操作を実施し、濾過、水洗して得られた
ケーキを室内で3日間風乾乾燥した結果、22.6gの
風乾物を得た。この風乾物の一部を分取して950℃で
2時間電気炉中で仮焼処理した。仮焼物についてのX線
回折測定の結果は、第18表に示す通りである。この図
形において高温仮焼生成物は結晶質不純物を含有してお
り、実施例8の結晶質リン酸ジルコニウム、高温型HZ
(POの生成物と同じX線粉末回折図形を有
していた。尚、結晶質不純物は本発明の結晶質リン酸ジ
ルコニウムが1080℃以上で高温仮焼によって結晶変
化したもの(主にピロリン酸塩の生成)の一部である。
第18表において、(P)印はその不純物、(M)印は
不純物とNHZr(POの重なった回折ピー
クをそれぞれ示す。 実施例12 実施例5と同様の操作により、結晶質リン酸ジルコニウ
ムHZr(PO・1.5HOを得た。かくし
て得られた生成物を恒温乾燥器を使用して164℃で2
時間処理した。この熱処理により得た乾燥物はZrO
50.7%、P43.8%及びHO5.5%の
分析結果を示した。また乾燥物をX線回折測定し、主な
回折ピークについての結果を第19表及び第5図(b)
に示した。この回折図形はHZr(PO・mH
OからHZr(POに変化する過程であり、
本発明の結晶質が2種混合した図形であった。第19表
において(H)印、(O)印及び(OH)印は、HZr
(PO、HZr(PO・mHO及び
HZr(POとHZr(PO・mH
Oの重なりの回折ピークをそれぞれ示す。さらに、この
乾燥物は、数日間の室内放置により吸湿してHZr
(POの回折ピークが確認できない程低下し、
反対にHZr(PO・mHOの回折ピークが
大半となった。 実施例13 実施例1と同様の操作により、結晶質リン酸ジルコニウ
ムNHZr(POを得た。かくして得られた
生成物を電気炉を使用して550℃で90分間熱処理し
た。このようにして得た仮焼物をX線回折法により測定
した結果は第20表及び第5図(a)に示す通りであ
る。この回折図形はNHZr(POからHZ
(POに変化する過程で本発明の結晶質が2
種混合した図形であった。第20表において(a)印、
(b)印及び(ab)印は、NHZr(P
、HZr(PO及びNHZr(P
とHZr(POの重なりの回折ピーク
をそれぞれ示す。HZr(POの回折ピークは
数時間後には結晶水を含んだ結晶質リン酸ジルコニウム
HZr(PO・mHOへと変化した。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明におけるジルコニウム化合物
(Zrとして)、ポリカルボン酸化合物(Cとし
て)及びリン酸化合物(POとして)の配合範囲を示
すモル比三角成分図である。
【図2】第2図(a)は、実施例1で得られた結晶質リ
ン酸ジルコニウムNHZr(PO・0.3H
OのX線回折図形である。第2図(b)は、実施例2
で得られた結晶質リン酸ジルコニウムNHZr(P
のX線回折図形である。
【図3】第3図は、実施例5で得られた結晶質リン酸ジ
ルコニウムHZr(PO・1.5HOのX線
回折図形である。
【図4】第4図(a)は、実施例7で得られた結晶質リ
ン酸ジルコニウムHZr(PO(低温型)のX
線回折図形である。第4図(b)は、実施例9で得られ
た結晶質リン酸ジルコニウムHZr(PO(中
間型)のX線回折図形である。第4図(c)は、実施例
8で得られた結晶質リン酸ジルコニウムHZr(PO
(高温型)のX線回折図形である。
【図5】第5図(a)は、実施例13で得られた結晶質
リン酸ジルコニウムNHZr(POとHZr
(POの混合型のX線回折図形である。第5図
(b)は、実施例12で得られた結晶質リン酸ジルコニ
ウムHZr(POとHZr(PO・m
Oの混合型のX線回折図形である。第5図(c)
は、実施例7で得られたピロリン酸ジルコニウムZr
のX線回折図形である。
【図6】第6図(a)は、実施例1で得られた結晶質リ
ン酸ジルコニウムNHZr(PO・0.3H
OのDTA曲線である。第6図(b)は、実施例7で
得られた結晶質リン酸ジルコニウムHZr(PO
のDTA曲線である。第6図(c)は、実施例5で得
られた結晶質リン酸ジルコニウムHZr(PO
・1.5HOのDTA曲線である。
【図7】第7図(a)は、実施例1で得られた結晶質リ
ン酸ジルコニウムNHZr(PO・0.3H
OのTG曲線である。第7図(b)は、実施例7で得
られた結晶質リン酸ジルコニウムHZr(PO
のTG曲線である。第7図(c)は、実施例5で得られ
た結晶質リン酸ジルコニウムHZr(PO
1.5HOのTG曲線である。
【図8】第8図(a)は、実施例1で得られた結晶質リ
ン酸ジルコニウムNHZr(PO・0.3H
Oの赤外吸収スペクトル曲線である。第8図(b)
は、実施例7で得られた結晶質リン酸ジルコニウムHZ
(POの赤外吸収スペクトル曲線である。第
8図(c)は、実施例5で得られた結晶質リン酸ジルコ
ニウムHZr(PO・1.5HOの赤外吸収
スペクトル曲線である。
【図9】第9図(a)は、実施例1で得られた結晶質リ
ン酸ジルコニウムNHZr(PO・0.3H
Oの結晶構造を示す電子顕微鏡写真である。第9図
(b)は、実施例5で得られた結晶質リン酸ジルコニウ
ムHZr(PO・1.5HOの結晶構造を示
す電子顕微鏡写真である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)式NHZr(PO・mH
    O[但し、0≦m≦2]で表わされ、 (b)その結晶構造が、下表に示すd−間隔をもつX線
    回折図形により特徴付けられ、 (c)分析的計算による酸化物として式4ZrO・3
    により表わされる、ことを特徴とする結晶質リ
    ン酸ジルコニウム。
  2. 【請求項2】(A)式HZr(POで表わさ
    れ、 (B)その結晶構造が、下表に示すd−間隔をもつX線
    回折図形により特徴付けられ、 (C)分析的計算による酸化物として式4ZrO・3
    により表わされる、ことを特徴とする結晶質リ
    ン酸ジルコニウム。
  3. 【請求項3】(1)式HZr(PO・mH
    [但し、0<m≦2]で表わされ、 (2)その結晶構造が、下表に示すd−間隔をもつX線
    回折図形により特徴付けられ、 (3)分析的計算による酸化物として式4ZrO・3
    により表わされる、ことを特徴とする結晶質リ
    ン酸ジルコニウム。
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