JPH07114874A - 偏極電子線発生素子 - Google Patents

偏極電子線発生素子

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JPH07114874A
JPH07114874A JP26007293A JP26007293A JPH07114874A JP H07114874 A JPH07114874 A JP H07114874A JP 26007293 A JP26007293 A JP 26007293A JP 26007293 A JP26007293 A JP 26007293A JP H07114874 A JPH07114874 A JP H07114874A
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JP
Japan
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semiconductor
electron beam
gaas
polarized electron
generating element
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JP26007293A
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English (en)
Inventor
Takashi Saka
貴 坂
Toshihiro Kato
俊宏 加藤
Tsutomu Nakanishi
彊 中西
Hiromichi Horinaka
博道 堀中
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 半導体レーザ等が使用可能な短い波長で高い
偏極率と高い量子効率が得られる偏極電子線発生素子を
提供する。 【構成】 偏極電子線発生素子10は、基板12の上に
MOCVD(有機金属化学気相成長)装置により順次結
晶成長させられた第1半導体14、第2半導体16およ
びパッシベーション膜18を備えている。基板12は3
50μm程度の厚みのp−GaAsであり、表面は(1
00)面である。また、第1半導体14は2.0μm
(2000nm)程度の厚みのp−GaAs
0.8 0.2 、第2半導体16は200nm程度の厚みの
p−Al0.13Ga0.87Asであり、その格子定数は第1
半導体14よりも大きく、バンドギャップエネルギーは
第1半導体14よりも小さくされている。また、パッシ
ベーション膜18は5nm程度の厚みのp−GaAsで
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スピン方向が偏在して
いる偏極電子線を発生する偏極電子線発生素子の改良に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】スピン方向が2種類のうちの一方に偏在
している電子群から成る偏極電子線は、高エネルギー素
粒子実験分野においては原子核内部の磁気構造を、物性
物理実験分野においては物質表面の磁気構造を調査する
上で有効な手段として利用されている。かかる偏極電子
線を取り出す方法として、本出願人は、先に出願した特
願平3−130611号(特開平4−329235号公
報)において、GaAs 1-z z (混晶比z>0)半導
体の上に、それよりもバンドギャップが小さく且つ格子
定数が僅かに異なるGaAs半導体を結晶成長させたG
aAs偏極電子線発生素子を用い、そのGaAs半導体
にレーザ光を照射することにより、高い偏極率の偏極電
子線を発生させることを提案した。すなわち、GaAs
1-z z 半導体に対して格子定数が異なるGaAs半導
体がヘテロ結合させられることにより、そのGaAs半
導体には格子歪が付与されるため、その価電子帯にバン
ドスプリッティングが発生してヘビーホールのサブバン
ドとライトホールのサブバンドにエネルギー準位差が生
じる一方、両サブバンドの励起によって取り出される電
子のスピン方向は互いに反対向きであるため、エネルギ
ー準位が高い方すなわち伝導帯とのエネルギーギャップ
が小さい方のサブバンドのみを励起するような光エネル
ギーをGaAs半導体に注入すれば、一方のスピン方向
に偏在した電子群が専ら励起されて放出され、高い偏極
率を備えた偏極電子線が得られるのである。また、上側
にバンドギャップが小さい半導体を用いるのは、光エネ
ルギーによりGaAs1-z z 半導体内で電子が励起さ
れることを防止すると共に、GaAs半導体内で励起さ
れた電子が内部へ流れ込むことを防止し、取出効率を高
めるためである。なお、上記ヘビーホールおよびライト
ホールのエネルギー準位差が小さいと、熱雑音により両
方のサブバンドが励起されて必ずしも十分な偏極率向上
効果が得られないため、ヘビーホールのサブバンドとラ
イトホールのサブバンドとのエネルギー準位差が熱雑音
によるエネルギーよりも大きくなるように、両半導体の
格子定数差、言い換えればGaAs1-z z 半導体の混
晶比zを設定することが望ましい。
【0003】例えば、Znドープによりキャリア濃度が
5×1018(cm-3)程度とされたp−GaAs0.82
0.18半導体の上に、同じくZnドープによりキャリア濃
度が5×1018(cm-3)程度とされたp−GaAs半
導体を85nm程度結晶成長させた偏極電子線発生素子
を用いて、p−GaAs半導体に照射する励起レーザの
波長を変更しながら偏極電子線の偏極率を調べると、前
記公報の図4に示されるように、波長が860nm付近
の励起レーザを用いることにより、86%程度の高い偏
極率が得られる。
【0004】しかしながら、波長が860nm程度の高
出力レーザは適当なものがなく、例えば「チタン;サフ
ァイア」レーザを用いていたが、レーザ発生装置が大掛
かりで高価になるという不都合があった。すなわち、例
えば830nm程度以下の短い波長で高い偏極率が得ら
れるようになれば、小型で且つ安価な半導体レーザ等の
使用が可能となり、その実用的価値が大きく向上するの
である。
【0005】そこで、本出願人は、先に出願した特願平
4−337983号において、第1半導体上に、第2半
導体としてGaAs1-y y (混晶比y>0)を結晶成
長させた偏極電子線発生素子を提案した。このような偏
極電子線発生素子によれば、GaAs1-y y は前記特
願平3−130611号において第2半導体として用い
られたGaAsよりもバンドギャップが大きいため、最
大偏極率が得られる波長が短波長側へシフトして、例え
ば830nm程度以下の波長で高い偏極率の偏極電子線
を取り出すことができ、励起レーザとして小型で安価な
半導体レーザ等の使用が可能となる。なお、上記第1半
導体としては、前述のGaAs1-z z(混晶比z>
0)或いはGaAs、Alx Ga1-x As(混晶比x>
0)が用いられている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】ところが、上記の偏極電子線発生素子にお
いて、第1半導体がGaAs1-z z の場合には、第2
半導体よりも第1半導体のバンドギャップエネルギーを
大きくするためには、第2半導体の混晶比yよりも第1
半導体の混晶比zを大きくする必要がある。そのため、
両半導体の間に十分な大きさのバンドギャップエネルギ
ーの差および格子不整合が生じるように混晶比zを設定
すると、GaAs基板と第1半導体との格子不整合が大
きくなって、基板上に第1半導体を結晶成長させた際の
結晶の乱れが大きくなる。そして、その上に更に第2半
導体(GaAs 1-y y )を結晶成長させたときに、第
2半導体の結晶も乱れ、格子欠陥が大きくなるため、結
晶内で電子の再結合やスピン反転散乱が増加し、量子効
率や偏極率が低下するという問題があった。また、最表
層にGaAs1-z z が位置するため量子効率が低下す
るという問題もあった。なお、混晶比z<yとすれば、
GaAs基板と第1半導体との格子不整合は小さくなる
が、この場合には歪の方向が反転してライトホールのサ
ブバンドのエネルギー準位の方が高くなると共に、ライ
トホールとヘビーホールの交差が生じるためにヘビーホ
ールのサブバンドとライトホールのサブバンドとのエネ
ルギー準位差が小さくなって、高い偏極率が得られない
のである。また、第1半導体にAlx Ga1-x Asを用
いた場合には、上記エネルギー準位差を小さくすること
なく、基板と第1半導体との格子不整合を小さくするこ
とが可能であるが、最表層にGaAs1-y y が位置す
ることにより量子効率が低下するという問題は解消され
ず、また、ライトホールとヘビーホールのサブバンドが
小さくなって、偏極率が低下するという問題も残る。
【0007】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は半導体レーザ等が使用可能
な短い波長で高い偏極率と高い量子効率が得られる偏極
電子線発生素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための第1の手段】斯かる目的を達成
するための第1発明の要旨とするところは、第1半導体
と、その第1半導体の上に結晶成長させられた第1半導
体とは格子定数が僅かに異なる第2半導体とを備え、そ
の第2半導体に励起光が照射されることによりスピン方
向が偏在している偏極電子線を発生する偏極電子線発生
素子において、前記第2半導体をAlx Ga1-x As
(混晶比x>0)にて構成したことにある。
【0009】
【作用および第1発明の効果】このようにすれば、Al
x Ga1-x Asは、GaAsに比較してバンドギャップ
が大きいため、最大偏極率が得られる波長が短波長側へ
シフトし、例えば780〜830nm程度の波長で高い
偏極率の偏極電子線を取り出すこともできるようにな
り、励起レーザとして小型で安価な半導体レーザ等の使
用が可能となるのである。また、Alx Ga1-x Asは
GaAsと同等の大きな格子定数を有するため、第1半
導体としてGaAs基板との格子定数の差が比較的小さ
い半導体を用いつつ、第1半導体と第2半導体の格子不
整合を大きくしてヘビーホールとライトホールのエネル
ギー準位差を大きくすることができる。したがって、高
い量子効率と高い偏極率が得られるのである。なお、最
大偏極率が得られる波長はAlx Ga1-x Asの混晶比
xによって変化し、上記780〜830nm程度より更
に短くすることもできる。
【0010】
【課題を解決するための第2の手段】また、前記の目的
を達成するための第2発明の要旨とするところは、前記
第1発明の偏極電子線発生素子において、前記第2半導
体上にGaAs薄膜を備えたことにある。
【0011】
【作用および第2発明の効果】このようにすれば、第2
半導体がAlx Ga1-x Asから構成されているため、
前記第1発明と同様に最大偏極率が得られる波長が短波
長側へシフトし、且つ、第1半導体と基板との格子不整
合に起因する量子効率と偏極率の低下が低減されると共
に、Alx Ga1-x Asの上にGaAs層が積層されて
いるので、従来のように最表層にGaAs1-y y が位
置することによる量子効率の低下が解消される。また、
上記第2半導体(Alx Ga1-x As)のAlが酸化す
ると表面に絶縁膜が形成されて電子の取り出しが困難に
なるが、第2半導体上に備えられたGaAs薄膜がパッ
シベーション膜すなわち酸化保護膜として機能するた
め、Alの酸化が防止される。
【0012】なお、上記の第2半導体のAlの酸化を防
止するための保護膜としては、上記のGaAsに代え
て、Asの保護膜が第2半導体上に備えられても良い。
この場合には、最表層にAsの保護膜が形成された状態
では偏極電子線を取り出すことが不可能であるが、偏極
電子線発生素子は高真空の偏極電子線発生装置中で用い
られるため、使用状態においては酸化保護膜は必要では
なく、Asの保護膜は使用直前に偏極電子線発生装置中
で蒸発除去される。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0014】図1において、偏極電子線発生素子10
は、基板12の上によく知られたMOCVD(有機金属
化学気相成長)装置により順次結晶成長させられた第1
半導体14、第2半導体16およびパッシベーション膜
18を備えている。基板12は350μm程度の厚みで
あって、Znが不純物としてドープされることによりキ
ャリア濃度が5×1018(cm-3)程度とされたp−G
aAsであり、表面は(100)面である。また、第1
半導体14は2.0μm(2000nm)程度の厚みで
あって、Znが不純物としてドープされることによりキ
ャリア濃度が5×1018(cm-3)程度とされたp−G
aAs0.8 0.2 であり、第2半導体16は200nm
程度の厚みであって、Znが不純物としてドープされる
ことによりキャリア濃度が5×1018(cm-3)程度と
されたp−Al0.13Ga0.87Asである。また、パッシ
ベーション膜18は5nm程度の厚みであって、Znが
不純物としてドープされることによりキャリア濃度が5
×1018(cm-3)程度とされたp−GaAsである。
また、図1における各半導体の厚さは必ずしも正確な割
合で示したものではない。
【0015】上記第1半導体14および第2半導体16
のバンドギャップエネルギーは、図2から明らかなよう
に、第1半導体14の方が大きい。また、p−GaAs
のGaの一部がAlに置き換わると格子定数が僅かに大
きくなり、Asの一部がPに置き換わると格子定数が小
さくなる。したがって、第2半導体16の格子定数は第
1半導体14よりも大きくなり、第2半導体16は格子
歪を有する状態で第1半導体14上にヘテロ結合させら
れる。このため、第2半導体16には偏極電子線の取出
し方向すなわち膜厚方向において引張応力が作用させら
れ、かかる引張応力に基づく格子歪により、第2半導体
16の価電子帯におけるヘビーホールおよびライトホー
ルのサブバンドのエネルギー準位に差が生じる。このと
き、両サブバンドの励起により取り出される電子のスピ
ン方向は互いに反対向きであるため、エネルギー準位の
高い方すなわちヘビーホールのサブバンドのみを励起す
る光エネルギーが第2半導体に入射されると、一方のス
ピン方向に偏在した電子群が専ら励起されて放出され
る。
【0016】上述のように、第2半導体16は、励起レ
ーザが入射された際に、一方のスピン方向に偏在した電
子群が専ら励起されて放出される光電層として機能する
ものである。そのため、第2半導体16のバンドギャッ
プエネルギーは、励起レーザのもつエネルギーに略等し
い値にされている。Alx Ga1-x As(混晶比x>
0)のバンドギャップエネルギーEg2は下記 (1)式で与
えられるため、励起レーザの波長を780nm(すなわ
ちエネルギーは1.5897eV)として、x=0.1
3と定められているのである。
【0017】
【数1】
【0018】また、第1半導体14は、第2半導体16
との格子不整合が十分に大きくなって、上記のバンドス
プリッティングにより生じるエネルギー準位差が偏極電
子線発生素子10を使用する際に生じる熱雑音よりも大
きくなるように、格子定数が十分小さく、且つ、上記励
起レーザの波長では励起されないように、第2半導体の
バンドギャップエネルギーEg2よりもバンドギャップエ
ネルギーEg1が大きくされる必要がある。一方、第1半
導体14と基板12との格子不整合が大きくなると、基
板12上に第1半導体14が成長する際に結晶が大きく
乱れ、その上に積層される第2半導体の結晶が乱れるこ
とにより、結晶内での電子の再結合およびスピン反転散
乱が増加し、量子効率および偏極率が低下するため、第
1半導体14の格子定数は可及的に基板12に近いこと
が望まれる。第2半導体16(p−Al0.13Ga0.87
s)の格子定数はGaAsと略同等(僅かに大きい)で
あるため、第1半導体14のPの混晶比が大きくなっ
て、バンドギャップエネルギーEg1が増大すると共に格
子定数が小さくなると、第2半導体16との格子定数の
差が大きくなる。したがって、第1半導体14の混晶比
は、その混晶比が第2半導体16に残留する歪が十分大
きくなる範囲で可及的に小さく、且つ、Eg1がEg2より
も大きくなるように定めれば良い。GaAsy
1-y (混晶比y>0)のバンドギャップエネルギーEg1
は下記 (2)式で与えられるため、本実施例においては、
y=0.2とすることにより、Eg2よりも大きな値、E
g1=1.661eVとされている。なお、第1半導体1
4は、基板12側へ電子を流さないためのポテンシャル
障壁としての役割も果たす。
【0019】
【数2】
【0020】また、パッシベーション膜18は、第2半
導体16(p−Al0.13Ga0.87As)のAlの酸化を
防止するために設けられているものである。Alが酸化
すると表面に絶縁膜が形成され電子の取り出しが困難に
なるので、パッシベーション膜18を設けて保護してい
る。このパッシベーション膜18からも電子が励起され
るが、図2から明らかなように、パッシベーション膜1
8のp−GaAsは、第2半導体16(p−Al0.13
0.87As)との格子定数の差が小さいため殆ど歪が生
じておらず、励起される電子の偏極率は50%程度であ
る。したがって、パッシベーション膜18の膜厚は、そ
こから放出される電子を少なくして偏極率の低下を防止
するため、Alの酸化を防止し得る範囲で可及的に薄く
する必要があり、約5nmに設定されているのである。
【0021】上記の偏極電子線発生素子10は、第1半
導体14に対して格子定数が異なる第2半導体16がヘ
テロ結合させられ、その第2半導体16に格子歪が付与
されて、価電子帯のヘビーホールおよびライトホールの
サブバンドのエネルギー準位に差が生じさせられている
ため、エネルギー準位が高い方のサブバンド、この実施
例ではヘビーホールのサブバンドのみを励起するような
光エネルギー、すなわち波長が780nm程度の励起レ
ーザを第2半導体16に注入することにより、一方のス
ピン方向に偏在した電子群が専ら励起されて放出され、
80%程度の高い偏極率が得られる。
【0022】ここで、本実施例の偏極電子線発生素子1
0は、レーザ光を照射して偏極電子線を取り出す第2半
導体16として、GaAsよりもバンドギャップエネル
ギーが大きなAl0.13Ga0.87Asが用いられているの
で、最大偏極率が得られる波長がGaAsの場合よりも
短波長側へシフトし、上述のように780nm程度の波
長で最大偏極率が得られるようになるのである。このた
め、励起レーザとして小型で安価な半導体レーザ等の使
用が可能となり、偏極電子線を用いて実験等を行う際の
実用的価値が大幅に向上する。
【0023】また、第2半導体16として用いられてい
るAl0.13Ga0.87Asは、GaAsy 1-y に比較し
て格子定数が大きいため、第1半導体14として比較的
格子定数の大きいものを用いても、第2半導体16との
間に十分大きな格子不整合を生じさせることが可能であ
る。これにより、基板12と第1半導体14との格子不
整合を小さくしつつ、第1半導体14と第2半導体16
との格子不整合およびバンドギャップエネルギーの差を
大きくすることが可能である。したがって、基板12上
に第1半導体14を結晶成長させる際の結晶の乱れが小
さくなり、更にその上に成長させられる第2半導体16
の結晶の乱れすなわち格子欠陥が小さくなって、結晶内
での電子の再結合やスピン反転散乱が少なくなるため、
高い量子効率と偏極率が得られるのである。これに対し
て、第1半導体14および第2半導体16として、共に
GaAsy 1-y が用いられていた、従来の偏極電子線
発生素子においては、第2半導体16よりも第1半導体
14のバンドギャップエネルギーを大きくするために
は、第2半導体16よりも第1半導体14の混晶比yを
大きくする必要があった。そのため、両半導体の間に十
分な大きさの格子不整合が生じるように混晶比yを設定
すると、基板12と第1半導体14との格子不整合が大
きくなって、基板12上に第1半導体14、第2半導体
16を順次結晶成長させたときに第2半導体16の格子
欠陥が大きくなり、高い量子効率と偏極率が得られなか
ったのである。また、第1半導体14の混晶比を第2半
導体16の混晶比よりも小さくすれば、基板12と第1
半導体14との格子不整合は小さくなるが、この場合に
は歪の方向が反転してライトホールのサブバンドのエネ
ルギー準位の方が高くなると共に、ライトホールとヘビ
ーホールの交差が生じるためにヘビーホールのサブバン
ドとライトホールのサブバンドとのエネルギー準位差が
小さくなって、高い偏極率が得られないのである。
【0024】また、第2半導体16としてAl0.13Ga
0.87Asが用いられており、その上にGaAs層が積層
されているため、従来のように最表層にGaAs1-y
y が位置することによる量子効率の低下が解消される。
【0025】また、パッシベーション膜18のZnのド
ーピング濃度が5×1018(cm-3)と高くされている
ため、その表面が、第2半導体16から偏極電子線を取
り出せる状態すなわち負電子親和力(NEA;Negative
Electron Affinity)状態となり易い。
【0026】図3に示す偏極電子線発生素子20は、前
記第1半導体14と同じp−GaAs0.8 0.2 から成
る基板22を用いて、その基板22上に直接第2半導体
16を設けたものである。この場合には、基板22が第
1半導体に相当する。
【0027】また、図4に示す偏極電子線発生素子24
は、前記の偏極電子線発生素子10と同様な構造である
が、最上層にはp−GaAsから成るパッシベーション
膜18に代えて、厚さ2μm程度のAsから成るパッシ
ベーション膜26が設けられている。このパッシベーシ
ョン膜26は、大気中においてAl0.13Ga0.87Asの
Alの酸化を防止するものであり、偏極電子線発生素子
24を用いるに際して偏極電子線発生装置内が高真空と
された後に蒸発させられる。したがって、偏極電子線発
生素子24の使用時には第2半導体16(Al0.13Ga
0.87As)が最上層に位置することになる。このような
構造とされた場合にも、第2半導体としてAl0.13Ga
0.87Asが用いられているために、前述の第1実施例と
同様に、最大偏極率が得られる励起レーザ光20の波長
が短波長側へシフトすると共に、第1半導体14と基板
12との格子不整合に起因する量子効率と偏極率の低下
が低減される。
【0028】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明したが、本発明は他の態様で実施することもで
きる。
【0029】例えば、前記実施例の第1半導体14にお
けるPの混晶比や、第2半導体16におけるAlの混晶
比は適宜変更することができる。第1半導体として他の
化合物半導体を用いることも可能である。何れにして
も、第1半導体14よりも第2半導体16のバンドギャ
ップエネルギーが小さい値とされていれば良いのであ
る。なお、第1半導体14として第2半導体16のAl
x Ga1-x As(混晶比x>0)よりも格子定数の大き
い半導体が用いられても良いが、その場合には、第2半
導体16の価電子帯においてライトホールのエネルギー
準位がヘビーホールのそれよりも高くなって、取り出さ
れる偏極電子線のスピンの方向が反対になる。
【0030】また、前記第一実施例では第1半導体14
の厚さが2μm程度、第2半導体16の厚さが200n
m程度、パッシベーション膜18の厚さが5nm程度
に、第三実施例においてはパッシベーション膜26の厚
さが2μm程度にされていたが、これらの厚さは適宜変
更され得る。各半導体のキャリア濃度、すなわち不純物
のドーピング量や、ドーピングする不純物の種類につい
ても適宜変更できる。また、パッシベーション膜18,
26は、前述のように大気中でのAlの酸化を防止する
ためのものであって、Alの酸化の虞がない場合には必
ずしも備えられなくとも良い。
【0031】また、前記実施例ではp−GaAs基板1
2が用いられていたが、n型半導体例えばn−GaAs
やn−GaAs0.8 0.2 から成る基板、或いは他の化
合物半導体基板やSi基板等を用いることも可能であ
る。
【0032】また、前記の実施例では最大偏極率が得ら
れる波長が780nm程度であったが、第2半導体16
のAlの混晶比を変更することにより830nm程度の
波長で最大偏極率が得られるようにすることも可能であ
る。また、反対に、更に短波長側へシフトさせることも
可能である。更に、630〜640nm程度で最大偏極
率が得られるような直接遷移型の半導体を用いれば、H
e−Neレーザ等の使用も可能となる。
【0033】その他一々例示はしないが、本発明はその
主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である偏極電子線発生素子の
構成を説明する図である。
【図2】図1,図3の実施例で用いられている半導体の
バンドギャップおよび格子定数を示す図である。
【図3】本発明の他の実施例の構成を説明する図であ
る。
【図4】本発明の更に他の実施例の構成を説明する図で
ある。
【符号の説明】
10,20,24:偏極電子線発生素子 12:基板 14:第1半導体 16:第2半導体 18:パッシベーション膜(GaAs薄膜) 22:基板(第1半導体) 26:パッシベーション膜(As保護膜)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1半導体と、該第1半導体の上に結晶
    成長させられた該第1半導体とは格子定数が僅かに異な
    る第2半導体とを備え、該第2半導体に励起光が照射さ
    れることによりスピン方向が偏在している偏極電子線を
    発生する偏極電子線発生素子において、 前記第2半導体をAlx Ga1-x As(混晶比x>0)
    にて構成したことを特徴とする偏極電子線発生素子。
  2. 【請求項2】 前記第2半導体上に、GaAs薄膜を備
    えたことを特徴とする請求項1の偏極電子線発生素子。
  3. 【請求項3】 前記第2半導体上に、As保護膜を備え
    たことを特徴とする請求項1の偏極電子線発生素子。
JP26007293A 1991-05-02 1993-10-18 偏極電子線発生素子 Pending JPH07114874A (ja)

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US08/410,760 US5523572A (en) 1991-05-02 1995-03-27 Process of emitting highly spin-polarized electron beam and semiconductor device therefor
US08/960,592 US5834791A (en) 1991-05-02 1997-10-30 Process of emitting highly spin-polarized electron beam and semiconductor device therefor

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