JP2000090817A - 偏極電子線発生素子 - Google Patents

偏極電子線発生素子

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JP2000090817A
JP2000090817A JP25798398A JP25798398A JP2000090817A JP 2000090817 A JP2000090817 A JP 2000090817A JP 25798398 A JP25798398 A JP 25798398A JP 25798398 A JP25798398 A JP 25798398A JP 2000090817 A JP2000090817 A JP 2000090817A
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semiconductor photoelectric
semiconductor
band
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Tsutomu Nakanishi
彊 中西
Masaharu Okumi
正治 奥見
Hiromichi Horinaka
博道 堀中
Takashi Saka
貴 坂
Toshihiro Kato
俊宏 加藤
Tsunehiko Omori
恒彦 大森
Yoshimasa Kurihara
良将 栗原
Toshio Baba
寿夫 馬場
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Daido Steel Co Ltd
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い量子効率および偏極度が得られるととも
に、実用性の高い励起波長帯が得られる偏極電子線発生
素子を提供する。 【解決手段】 極電子線発生素子10の半導体光電層1
6が、30オングストローム程度の薄いGaAs層16
b とGaAsP層16a とが互いに積層されることによ
り量子化されたエネルギー準位を形成する歪み超格子層
から構成されているので、高い量子効率および偏極度が
得られるとともに、半導体レーザの使用が可能な実用性
の高い励起波長帯すなわち800〜830nm程度の励起
波長帯が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピン方向が偏在
している偏極電子線を発生する偏極電子線発生素子の改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】スピン方向が2種類のうちの一方に偏在
している電子線群から成る偏極電子線は、たとえば、高
エネルギ素粒子の実験分野においては素粒子間の相互作
用に関する理論の検証実験に、物性物理の実験分野にお
いては物質表面の磁区構造を調査する上で有効な手段と
して利用されている。この偏極電子線は、価電子帯にバ
ンドスプリッテイングを有する半導体光電層を備えた偏
極電子線発生素子を用い、その半導体光電層に円偏光レ
ーザ光のような励起光を入射させることにより取り出す
ことが可能である。この偏極電子線発生素子としては、
たとえばGaAsP半導体の上に、それよりもバンドギ
ャップが小さく且つ格子定数が異なるGaAs半導体を
半導体光電層として結晶成長させたストレインド半導体
が知られている。これによれば、GaAsP半導体に対
して格子定数の異なるGaAs半導体が結合されること
によりそのGaAs半導体には格子歪みが付与されるた
め、そのGaAs半導体の価電子帯にバンドスプリッテ
ィングが発生し、ヘビーホールのサブバンドとライトホ
ールのサブバンドとの間にエネルギ準位差が生じる一
方、両サブバンドの励起によって取り出される電子のス
ピン方向が反対であるため、エネルギ準位の高い方すな
わち伝導帯とのエネルギーギャップが小さい方のサブバ
ンドのみを励起できる光エネルギをGaAs半導体に注
入すれば、一方のスピン方向の偏極電子群が発生して、
高いスピン偏極度を備えた電子線が取り出され得るので
ある。
【0003】ところで、上記のような偏極電子線発生素
子においては必ずしも十分な量子効率(Quantum Effici
ency)が得られず、発生電子線量が少ないという不都合
があった。これに対し、半導体光電層を厚くすれば励起
光の吸収が増えて量子効率は改善されるが、半導体光電
層に付与される歪みが少なくなるとともに半導体内にお
ける散乱などでスピンが変化する割合が増加するため、
スピン偏極度が低下すると言う欠点があった。
【0004】これに対し、半導体薄膜を積層した量子井
戸構造で上記半導体光電層を構成した偏極電子線発生素
子が提案されている。たとえば、特開平7−94080
号公報に記載されたものがそれである。これによれば、
半導体光電層内において形成された量子井戸により遷移
確率が高くなって高い量子効率が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、偏極電
子線発生素子には、高い量子効率に加えて、高い偏極度
や半導体レーザの実用波長域での励起可能性などが望ま
れるが、上記従来の偏極電子線発生素子においては必ず
しも、量子効率および偏極度が両立せず、或いは両立し
たとしても、励起光の波長が短くなって、励起光発生手
段が特殊なものとなって実用性が得られなかった。
【0006】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、高い量子効率お
よび偏極度が得られるとともに、実用性の高い励起波長
帯が得られる偏極電子線発生素子を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、本発明の要旨とするところは、価電子帯にバンドス
プリッティングを有する半導体光電層を備え、その半導
体光電層に励起光が入射されることによりその半導体光
電層からスピン方向が偏在している偏極電子線を発生す
る偏極電子線発生素子であって、前記半導体光電層が、
GaAs層とGaAsP層とが交互に積層されることに
より量子化されたエネルギー準位を形成する歪み超格子
層から構成されたことにある。
【0008】
【発明の効果】このようにすれば、半導体光電層が、G
aAs層とGaAsP層とが交互に積層されることによ
り量子化されたエネルギー準位を形成する歪み超格子層
から構成されているので、高い量子効率および偏極度が
得られるとともに、半導体レーザを用いることのできる
実用性の高い励起波長帯すなわち800〜830nm程度
の励起波長帯が得られる。
【0009】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記半導体光電
層は、数十オングストロームの厚みのGaAs層および
GaAsP層が十数対乃至数十対積層されたものであ
る。このようにすれば、偏極電子線量が増加して高い量
子効率が得られる。
【0010】また、好適には、前記半導体光電層は半導
体基板からバッファ層を介して結晶成長させられたもの
であって、それら半導体基板、バッファ層、半導体光電
層は、同じp型の不純物がそれぞれ注入されたものであ
る。このようにすれば、一層、偏極電子を取り出しやす
くなる。
【0011】また、好適には、前記半導体光電層の上に
は、それを保護するためのバッシベーション膜が結晶成
長により形成されており、そのバッシベーション膜にも
前記p型ドーパントが半導体光電層よりも高濃度でドー
ピングされたものである。このようにすれば、表面を負
の電子親和力状態にすることが容易となり、一層、偏極
電子を取り出しやすくなる。
【0012】また、好適には、前記半導体光電層を構成
するために交互に積層されたGaAs層とGaAsP層
とのうち、GaAsP層におけるPの混晶比xが0.2
乃至0.35の範囲内である。このようにすれば、高い
量子効率および偏極度が得られると同時に、実用性の高
い励起波長帯が得られる。
【0013】
【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の一実施例を
図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例に
おいて各部の寸法比等は必ずしも正確に描かれていな
い。
【0014】図1は、本発明の一実施例の偏極電子線発
生素子10の構成を示す図である。図において、偏極電
子線発生素子10は、例えばMOCVD(Metal Organi
c Chemical Vapor Deposition :有機金属化学気相成
長)法、或いは分子線エピタキシー(Molecular Beam E
pitaxy)法等のよく知られた結晶成長技術によって、基
板12上に順次結晶成長させられたバッファ層14、半
導体光電層16、キャップ層18から構成されている。
【0015】上記の基板12は、例えば 350μm 程度の
厚さのp−GaAsの単結晶から成る化合物半導体であ
り、p型のドーパントであるZn(亜鉛)が不純物とし
てドープされることによってキャリア濃度が1×1018
(cm-3) 程度とされている。また、バッファ層14は、
例えば2μm 程度の厚さのp−GaAsP0.2 の単結晶
から成る化合物半導体であり、p型のドーパントである
Zn(亜鉛)が不純物としてドープされることによって
キャリア濃度が1×1018 (cm-3) 程度とされている。こ
のバッファ層14は、後述のように、そのエネルギギャ
ップEo が隣接する半導体光電層16よりも大きくされ
ることにより、偏極電子が基板12側へ移動するための
障壁となる障壁層すなわちバリヤ層として機能するもの
である。
【0016】上記半導体光電層16は、例えば30Å
(オングストローム)程度の厚さであって混晶比xが
0.2であるp−GaAsP0.2 の単結晶から成る化合
物半導体であってp型のドーパントであるZn(亜鉛)
が不純物としてドープされることによってキャリア濃度
が5×1017 (cm-3) 程度とされたGaAsP層16a
と、30Å程度の厚さであるp−GaAsの単結晶から
成る化合物半導体であってp型のドーパントであるZn
が不純物としてドープされることによってキャリア濃度
が5×1017 (cm-3) 程度とされたGaAs層16b との
対が、そのGaAs層16b がバッファ層14側に位置
する状態で16対だけ順次積層されることにより構成さ
れている。上記のように、30Å(オングストローム)
程度の極めて薄いGaAsP層16a およびGaAs層
16b が積層されると、厚み方向に複数の井戸型ポテン
シャルを有する多重量子井戸構造のエネルギ準位が形成
されるとともに、それらGaAsP層16a およびGa
As層16b の格子定数差に起因する歪みにより価電子
帯にバンドスプリッティングが発生させられることか
ら、歪超格子層とも称される。
【0017】前記キャップ層18は、例えば 50 Å程度
の厚さのp−GaAsの単結晶から成る化合物半導体で
あってp型のドーパントであるZn(亜鉛)が不純物と
してドープされることによってキャリア濃度が2×1019
(cm-3) 程度とされている。このキャップ層18は、上
記バッファ層14や半導体光電層16よりもキャリア濃
度が高められることにより、その半導体光電層16で発
生した偏極電子線を取り出し易くする機能と、その半導
体光電層16の酸化を防止して化学的に保護する機能と
を備えている。
【0018】上記のように構成された半導体光電層16
は、歪超格子から構成されているので、図2に示すよう
なエネルギ準位を備えている。図2は、実験を重ねるこ
とにより予め解析された一般式化された実験式から各層
を構成する物質、その混晶比x、厚みに基づいて算出さ
れたものである。すなわち、バッファ層14では、その
バンドギャップEo(GaAsP)が1657meV (ミリエレクトロ
ンボルト)であるのに対し、それに隣接する半導体光電
層16では、30Å(オングストローム)程度の極めて
薄いGaAsP層16a およびGaAs層16b が交互
に積層されて相互にヘテロ結合されていることから、層
厚みが電子波の波長程度以下すなわち100Å程度以下
となるときに発生する量子サイズ効果によって厚み方向
に複数の井戸型ポテンシャルを有する量子化された多重
量子井戸構造のエネルギ準位が形成されるとともに、そ
れらGaAsP層16a およびGaAs層16b の格子
定数差に起因する歪みにより価電子帯にはヘビーホール
とライトホールとが、それらの間のバンドギャップδs
が55.9 meV(ミリエレクトロンボルト)という値で
分離させられるバンドスプリッティングが発生させられ
ている。そのヘビーホールとライトホールとの間のバン
ドギャップδs は、量子井戸構造ではない歪GaAsの
場合のバンドギャップδs が30meV であるのに対し
て、大幅に増加させられている。伝導帯のバンドオフセ
ットΔEc (=104.5 meV)よりも価電子帯(ヘビ
ーホール)のバンドオフセットΔEv HH(=129.3
meV)が大きくなっていることが一因であると推定され
る。
【0019】上記のようにヘビーホールとライトホール
との間のバンドギャップδs が大きくなると、価電子帯
のヘビーホールと伝導帯との間のバンドギャップEth
と、価電子帯のライトホールと伝導帯との間のバンドギ
ャップ(Eth+δs )との差が大きくなることから、価
電子帯のヘビーホールに存在するスピン方向が偏在した
偏極電子のみを伝導帯へ励起できる波長帯が大きくなる
ため、高いスピン偏極度ESPおよび広い励起波長帯が
得られると考えられる。なお、図2のEo(GaAs)は井戸
層のバンドギャップを、ΔEv LHは価電子帯(ライトホ
ール)のバンドオフセットをそれぞれ示している。
【0020】以上のように構成される偏極電子線発生素
子10は、例えば、原料ガスとしてトリメチルガリウム
(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、アル
シン(AsH3)、およびホスフィン(PH3 )、p型のドー
パントガスとしてジエチル亜鉛(DEZ)を用い、MO
VPE装置によって基板12上にバッファ層14乃至キ
ャップ層18を順次結晶成長させることにより製造され
る。この結晶成長の過程において、各層の組成に応じて
結晶成長装置内に導入される原料ガスの種類および量比
が適宜変更されると共に、各層の極性およびキャリア濃
度に応じてドーパントガスの種類および量比が適宜変更
されることによって、図1に示されるように層毎に組成
およびキャリア濃度の異なるエピタキシャルウェハが得
られることとなる。
【0021】図3は、上記のようにして構成された図1
の偏極電子線発生素子10、すなわち30オングストロ
ーム程度の極めて薄い厚みを有する混晶比x=0.2の
GaAsP層16a と30オングストローム程度の極め
て薄い厚みを有するGaAs層16b とが16対となる
まで交互に積層された半導体光電層16を有する偏極電
子線発生素子10を、可変波長レーザ(チューナブルレ
ーザ)を励起用円偏光レーザ光の光源として用い、その
偏極電子線発生素子10を照射する励起用円偏光レーザ
光の波長を連続的に変化させつつ、スピン偏極度(偏極
率)ESP(%)と量子効率QEとを測定した実験結果
を示している。これによれば、80%程度以上の高い値
のスピン偏極度ESPが得られるだけでなく、そのスピ
ン偏極度ESPが80%程度以上となる領域が幅広く
(励起光波長λが800乃至830nm)、しかも半導体
レーザを用いることが可能な波長帯となるので、745
nm程度の励起レーザ光を必要とするために特殊なレーザ
光発生装置を備えた従来の装置に比較して、偏極電子線
発生装置が大幅に小型となる。特に、上記高いスピン偏
極度ESPが得られる波長帯のうちの低い側、たとえば
800乃至805nm付近に励起波長λを選択することに
より、上記の効果に加えて、0.2乃至0.3%程度の
高い量子効率QEが得られる。
【0022】上述のように、本実施例によれば、偏極電
子線発生素子10の半導体光電層16が、30オングス
トローム程度の薄いGaAs層16b とGaAsP層1
6aとが互いに積層されることにより量子化されたエネ
ルギー準位を形成する歪み超格子層から構成されている
ので、高い量子効率および偏極度が得られるとともに、
半導体レーザの使用が可能な実用性の高い励起波長帯す
なわち800〜830nm程度の励起波長帯が得られる。
【0023】また、本実施例によれば、上記半導体光電
層16は、数十オングストロームの厚みのGaAs層1
6b およびGaAsP層16a が16対積層されたもの
であるので、量子井戸が多重化されて量子井戸効果が高
められるので、一層、偏極電子線量が増加して高い量子
効率が得られる。
【0024】また、本実施例によれば、上記半導体光電
層16は半導体基板12からバッファ層14を介して結
晶成長させられたものであって、それら半導体基板1
2、バッファ層14、半導体光電層16は、同じp型の
不純物がそれぞれ同程度の濃度で注入されたものである
ことから、層界面近傍における空乏層の発生が抑制され
るので、一層、偏極電子を取り出しやすくなる。
【0025】また、本実施例によれば、上記半導体光電
層16の上には、それを保護するためのバッシベーショ
ン膜すなわちキャップ層18が結晶成長により形成され
ており、そのキャップ層18にもp型ドーパントが半導
体光電層16よりも高い濃度でドーピングされているの
で、表面を負の電子親和力状態にすることが容易とな
り、一層、偏極電子を取り出しやすくなる。
【0026】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の説明において前述の実施例と共通する部分に
は同一の符号を付して説明を省略する。
【0027】本実施例の偏極電子線発生素子20は、図
4に示すように、前記偏極電子線発生素子10と同様
に、例えば有機金属気相エピタキシーMOVPE 法等のよく
知られた結晶成長技術によって、基板12上に順次結晶
成長させられたバッファ層14、半導体光電層16、キ
ャップ層18から構成されており、半導体光電層16を
構成する30オングストロームの膜厚のGaAs層16
b およびGaAsP層16a のうちのGaAsP層16
a において燐Pのひ素Asに対する混晶比xが0.35
である点において相違し、各層の材質、厚み、不純物濃
度などの他の条件は同様である。
【0028】図5は、上記偏極電子線発生素子20にお
いて、歪超格子から構成されている半導体光電層16の
エネルギバンド構造が、図2と同様に、予め求められた
一般式化された実験式から各層を構成する物質、その混
晶比x、厚みに基づいて算出されたものである。これに
よれば、バッファ層14では、そのバンドギャップEo
(GaAsP)が1829.1meV であるのに対し、それに隣
接する半導体光電層16では、複数の井戸型ポテンシャ
ルを有する量子化された多重量子井戸構造のエネルギ準
位が形成されるとともに、GaAsP層16a およびG
aAs層16b の格子定数差に起因する歪みにより価電
子帯にはヘビーホールとライトホールとが、それらの間
のバンドギャップδs が106.6 meVという値で分離
させられるバンドスプリッティングが発生させられてい
る。そのヘビーホールとライトホールとの間のバンドギ
ャップδs は、量子井戸構造ではない歪GaAsの場合
のバンドギャップδs が30meV であるのに対して、大
幅に増加させられている。伝導帯のバンドオフセットΔ
Ec (=182.8meV )よりも価電子帯(ヘビーホー
ル)のバンドオフセットΔEv HH(=226.3meV )
が大幅に大きくされていることが原因であると推定され
る。
【0029】本実施例の偏極電子線発生素子20では、
ヘビーホールとライトホールとの間のバンドギャップδ
s が前記偏極電子線発生素子10よりもさらに大きくさ
れることから価電子帯のヘビーホールに存在するスピン
方向が偏在した偏極電子のみを伝導帯へ励起できる波長
帯が一層大きくなるため、さらに高いスピン偏極度ES
Pおよび広い励起波長帯が得られる。
【0030】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
【0031】例えば、前述の実施例においては、偏極電
子線発生素子10および20では、p型不純物がドーピ
ングされることにより、基板12、バッファ層14、半
導体光電層16、キャップ層18がそれぞれp型半導体
とされていたが、そのドーピング濃度は必要に応じて適
宜変更されてもよく、また、そのようなp型不純物のド
ーピングが行われていなくても差し支えない。
【0032】また、前述の実施例の偏極電子線発生素子
10および20は、キャップ層18を備えたものであっ
たが、半導体光電層16の保護をそれほど必要としない
場合には、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0033】また、前述の実施例の偏極電子線発生素子
10および20において、キャップ層18側から入射し
且つ半導体光電層16を通過する励起用円偏光レーザ光
をその半導体光電層16側へ反射するための反射層が、
基板12とその半導体光電層16との間に設けられても
よい。この反射層は、好適にはブラッグ反射の原理を用
いて光を反射するように構成された半導体多層膜(DB
R)から構成されるとともに、励起用レーザ光を共振さ
せる光共振器を光入射面との間で形成する。
【0034】また、前述の実施例の偏極電子線発生素子
10および20において、基板12、バッファ層14乃
至キャップ層18の各々の厚さは適宜変更され得る。
【0035】また、前述の実施例の偏極電子線発生素子
10および20において、GaAsP層16a およびG
aAs層16b の厚みは、30Å程度とされていたが、
量子サイズ効果を発生するための条件すなわち電子波の
波長程度以下の層厚みであればよい。
【0036】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の偏極電子線発生素子の構成
を模式的に示す図である。
【図2】図1の偏極電子線発生素子の半導体光電層に形
成されたエネルギギャップを示す図である。
【図3】図1の偏極電子線発生素子を用いて測定した、
励起用円偏光レーザ光の波長と量子効率QEおよびスピ
ン偏極度ESPとの関係を示す図である。
【図4】本発明の他の実施例の偏極電子線発生素子の構
成を模式的に示す図であって、図1に相当する図であ
る。
【図5】図4の実施例において、偏極電子線発生素子の
半導体光電層に形成されたエネルギギャップを示す図で
あって図2に相当する図である。
【符号の説明】
10、20:偏極電子線発生素子 16:半導体光電層 16a:GaAsP層 16b:GaAs層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂 貴 愛知県名古屋市緑区鳴海町字片平20番地の 37 (72)発明者 加藤 俊宏 愛知県春日井市中央台8丁目7番地の4 (72)発明者 大森 恒彦 茨城県つくば市竹園2丁目1番地3、811 棟4号 (72)発明者 栗原 良将 茨城県つくば市松代4丁目2番地2号 (72)発明者 馬場 寿夫 東京都港区芝5丁目7番1号 日本電気株 式会社内 Fターム(参考) 5C030 BB17 BC06 5C035 CC05

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 価電子帯にバンドスプリッティングを有
    する半導体光電層を備え、該半導体光電層に励起光が入
    射されることにより該半導体光電層からスピン方向が偏
    在している偏極電子線を発生する偏極電子線発生素子で
    あって、 前記半導体光電層が、GaAs層とGaAsP層とが交
    互に積層されることにより量子化されたエネルギー準位
    を形成する歪み超格子層から構成されたことを特徴とす
    る偏極電子線発生素子。
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