JP2970103B2 - 半導体超格子構造 - Google Patents
半導体超格子構造Info
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- JP2970103B2 JP2970103B2 JP21717191A JP21717191A JP2970103B2 JP 2970103 B2 JP2970103 B2 JP 2970103B2 JP 21717191 A JP21717191 A JP 21717191A JP 21717191 A JP21717191 A JP 21717191A JP 2970103 B2 JP2970103 B2 JP 2970103B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異種元素の半導体薄膜
層を積層した超格子構造に関する。
層を積層した超格子構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、GaAs/AlGaAsある
いは、GaInAs/InPなどの超格子構造が作ら
れ、各種デバイスに応用されてきた。超格子構造は、物
性の異なる2種類以上の半導体薄膜層を交互に積み重ね
た構造をしている。このとき、電子あるいは正孔などの
キャリアはエネルギー準位の低い層に量子力学的に閉じ
込められる。量子力学的に閉じ込められたキャリアは、
通常の半導体層とは異なる特異な特性を示し、これが、
種々のデバイスの性能を向上させるのに役立つ。なお、
超格子構造の特性に関しては、江崎・榊らによる下記の
文献、「超格子ヘテロ構造デバイス」などに詳しく述べ
られている。
いは、GaInAs/InPなどの超格子構造が作ら
れ、各種デバイスに応用されてきた。超格子構造は、物
性の異なる2種類以上の半導体薄膜層を交互に積み重ね
た構造をしている。このとき、電子あるいは正孔などの
キャリアはエネルギー準位の低い層に量子力学的に閉じ
込められる。量子力学的に閉じ込められたキャリアは、
通常の半導体層とは異なる特異な特性を示し、これが、
種々のデバイスの性能を向上させるのに役立つ。なお、
超格子構造の特性に関しては、江崎・榊らによる下記の
文献、「超格子ヘテロ構造デバイス」などに詳しく述べ
られている。
【0003】超格子構造を作製する場合、通常は、超格
子構造を構成するそれぞれの層の格子定数が基板と等し
くなるように設定する。このように各層の格子定数が基
板と等しい時には、超格子構造を任意の厚さに成長する
ことができる。例えば、Ga(1-X) InX Asの場合に
は、x=0.53のときにInPと格子定数が等しくな
るため、Ga0.47In0.53As/InP超格子はInP
基板の上に任意の厚みで成長することができる。
子構造を構成するそれぞれの層の格子定数が基板と等し
くなるように設定する。このように各層の格子定数が基
板と等しい時には、超格子構造を任意の厚さに成長する
ことができる。例えば、Ga(1-X) InX Asの場合に
は、x=0.53のときにInPと格子定数が等しくな
るため、Ga0.47In0.53As/InP超格子はInP
基板の上に任意の厚みで成長することができる。
【0004】超格子の特性をさらに向上させるために、
故意に基板と異なる格子定数を持つ層を超格子構造の一
部として用いることがある。この場合には、転位のない
結晶を作製するために特別な配慮が必要になる。
故意に基板と異なる格子定数を持つ層を超格子構造の一
部として用いることがある。この場合には、転位のない
結晶を作製するために特別な配慮が必要になる。
【0005】基板と異なる格子定数を持つ層を成長する
際に、その厚みを臨界膜厚以下にすると、基板に平行な
方向の格子定数が基板の格子定数と同じになる様に、格
子が歪んだ状態になる。この場合には、結晶内に転位は
発生していない。これに対して厚みが臨界膜厚を越える
と、結晶内に転位が入ることにより歪が緩和される。結
晶内に転位が入ると結晶の電気的特性、光学的特性が著
しく劣化する。したがって、基板と異なる格子定数を持
つ層の厚みは臨界膜厚以下に設定されることが多い。そ
れぞれの材料に対する臨界膜厚は、下記の文献、“Defe
ct in epitaxial multilayer”(J.W.Matthews and A.
E.Blakeslee,Jo-urnal of Crystal Growth 27 (1974) p
p.118-125)などに示されている方法で見積もることがで
きる。
際に、その厚みを臨界膜厚以下にすると、基板に平行な
方向の格子定数が基板の格子定数と同じになる様に、格
子が歪んだ状態になる。この場合には、結晶内に転位は
発生していない。これに対して厚みが臨界膜厚を越える
と、結晶内に転位が入ることにより歪が緩和される。結
晶内に転位が入ると結晶の電気的特性、光学的特性が著
しく劣化する。したがって、基板と異なる格子定数を持
つ層の厚みは臨界膜厚以下に設定されることが多い。そ
れぞれの材料に対する臨界膜厚は、下記の文献、“Defe
ct in epitaxial multilayer”(J.W.Matthews and A.
E.Blakeslee,Jo-urnal of Crystal Growth 27 (1974) p
p.118-125)などに示されている方法で見積もることがで
きる。
【0006】基板と異なる格子定数を多層積層する際、
その基板と異なる格子定数を持つ層が1層あるいは複数
でも数が少ない場合は上述の方法によって転位の発生を
防ぐことができる。このことを利用したものに、歪量子
井戸構造レーザなどがある。例えば、下記の文献、“Lo
w Threshold and Low Internal Loss 1.55μm Strained
Layer Single Q-uantum Well Lasers”(C.E.Zah et a
l,International ElectronDevice Meetin-g 1990,p.12
9)では、厚さ2.5nmのGa0.2 In0.8 Asの1層
の井戸層を活性層として低しきい値電流のレーザーを実
現したことが報告されている。レーザー、あるいは電子
素子の場合には、この例のように1層ないし数層の歪層
によってデバイスを構成することができる。
その基板と異なる格子定数を持つ層が1層あるいは複数
でも数が少ない場合は上述の方法によって転位の発生を
防ぐことができる。このことを利用したものに、歪量子
井戸構造レーザなどがある。例えば、下記の文献、“Lo
w Threshold and Low Internal Loss 1.55μm Strained
Layer Single Q-uantum Well Lasers”(C.E.Zah et a
l,International ElectronDevice Meetin-g 1990,p.12
9)では、厚さ2.5nmのGa0.2 In0.8 Asの1層
の井戸層を活性層として低しきい値電流のレーザーを実
現したことが報告されている。レーザー、あるいは電子
素子の場合には、この例のように1層ないし数層の歪層
によってデバイスを構成することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、受光素子や光
変調器のように結晶層の光の吸収を利用する素子の場合
には、十分な吸収を得るために多層の超格子構造が必要
となり、超格子構造全体の厚さが1μm以上となる場合
が多い。このように、多数の層を積層した超格子構造を
作製する場合には、各層の厚みが臨界膜厚以下になって
いても全体の歪量が大きくなって、転位が発生してしま
うという問題があった。
変調器のように結晶層の光の吸収を利用する素子の場合
には、十分な吸収を得るために多層の超格子構造が必要
となり、超格子構造全体の厚さが1μm以上となる場合
が多い。このように、多数の層を積層した超格子構造を
作製する場合には、各層の厚みが臨界膜厚以下になって
いても全体の歪量が大きくなって、転位が発生してしま
うという問題があった。
【0008】本発明では、この問題を解決した半導体超
格子構造を提供することを目的とする。
格子構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る超格子構造
はInP基板上に、そのInP基板よりも格子定数の大
きいGa(1-X) InX As層と、InP基板よりも格子
定数の小さい(AlZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y) P層と
が交互に積層され、それらGa(1-X) InX As層およ
び(AlZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y) P層全体を平均し
て得られる積層面と平行な格子定数とInP基板の格子
定数との差が0.1%以下であることを特徴とする。
はInP基板上に、そのInP基板よりも格子定数の大
きいGa(1-X) InX As層と、InP基板よりも格子
定数の小さい(AlZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y) P層と
が交互に積層され、それらGa(1-X) InX As層およ
び(AlZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y) P層全体を平均し
て得られる積層面と平行な格子定数とInP基板の格子
定数との差が0.1%以下であることを特徴とする。
【0010】前述のGa(1-X) InX As層および(A
lZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y)P層の厚さは、それぞれ
の臨界膜厚以下に設定されており、さらに、Ga(1-X)
InX As層および(AlZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y)
P層は、有機金属気相成長法を用いて形成されているこ
とが望ましい。
lZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y)P層の厚さは、それぞれ
の臨界膜厚以下に設定されており、さらに、Ga(1-X)
InX As層および(AlZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y)
P層は、有機金属気相成長法を用いて形成されているこ
とが望ましい。
【0011】
【作用】本発明によれば、正の歪みを持つGa(1-X) I
nXAs層と負の歪みを持つ(AlZ Ga(1-Z) )Y I
n(1-Y) P層とが交互に積層されるので、各層間の歪み
が積算するのを防ぐことができる。また、それらの積層
された層全体を平均した格子定数とInP基板の格子定
数との差が0.1%以下となっているため、InP基板
上に多層積層され、かつInP基板よりも格子定数の大
きなGa(1-X) InX As層(x>0.53)を、転位
のない良好な状態で得ることができる。この状態は、積
層された各層の厚さを臨界膜厚以下に設定することでさ
らに確実に得ることができる。
nXAs層と負の歪みを持つ(AlZ Ga(1-Z) )Y I
n(1-Y) P層とが交互に積層されるので、各層間の歪み
が積算するのを防ぐことができる。また、それらの積層
された層全体を平均した格子定数とInP基板の格子定
数との差が0.1%以下となっているため、InP基板
上に多層積層され、かつInP基板よりも格子定数の大
きなGa(1-X) InX As層(x>0.53)を、転位
のない良好な状態で得ることができる。この状態は、積
層された各層の厚さを臨界膜厚以下に設定することでさ
らに確実に得ることができる。
【0012】なお、上述の各層を有機金属気相法で形成
することによって、各層の組成比を十分に制御すること
ができる。
することによって、各層の組成比を十分に制御すること
ができる。
【0013】
【実施例】ここで、添付図面を参照して本発明の実施例
を説明する。
を説明する。
【0014】図1は、本発明に係る超格子構造の断面概
略図である。InP基板1上には、井戸(ウェル)層と
してのGa(1-X) InX As層21と、障壁(バリア)
層としての(AlZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y) P層22
とが交互に積層されている。ここで、Ga(1-X) InX
As層21の格子定数をaW 、(AlZ Ga(1-Z) )Y
In(1-Y) P層22の格子定数をab とすると、aW 及
びab は次式で与えられる。
略図である。InP基板1上には、井戸(ウェル)層と
してのGa(1-X) InX As層21と、障壁(バリア)
層としての(AlZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y) P層22
とが交互に積層されている。ここで、Ga(1-X) InX
As層21の格子定数をaW 、(AlZ Ga(1-Z) )Y
In(1-Y) P層22の格子定数をab とすると、aW 及
びab は次式で与えられる。
【0015】
【数1】
【0016】
【数2】
【0017】InP基板1上に上記のGa(1-X) InX
As層21、(AlZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y) P層2
2を交互に積層した超格子構造の積層面に沿った方向の
格子定数aSlは、それぞれの結晶層の厚みをtW 、tb
とし、両者の弾性率の違いを無視すると次式で表すこと
ができる。
As層21、(AlZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y) P層2
2を交互に積層した超格子構造の積層面に沿った方向の
格子定数aSlは、それぞれの結晶層の厚みをtW 、tb
とし、両者の弾性率の違いを無視すると次式で表すこと
ができる。
【0018】
【数3】
【0019】本発明では、この超格子構造の格子定数a
Slが、下記の式
Slが、下記の式
【0020】
【数4】
【0021】を満たすことが必要である。即ち、InP
基板1の格子定数5.869オングストロームと0.1
%以内の誤差で一致するように、x、y、z、tW 、t
b の値を設定する。
基板1の格子定数5.869オングストロームと0.1
%以内の誤差で一致するように、x、y、z、tW 、t
b の値を設定する。
【0022】ここで、前述の数式3では、超格子構造を
形成する各層が一定の厚さtW 、tb の繰返しで形成さ
れている場合を考えているが、tW 、tb が変化する場
合についても、超格子構造全体を平均して得られる格子
定数がInP基板1の格子定数と0.1%以内の誤差で
一致すればよい。
形成する各層が一定の厚さtW 、tb の繰返しで形成さ
れている場合を考えているが、tW 、tb が変化する場
合についても、超格子構造全体を平均して得られる格子
定数がInP基板1の格子定数と0.1%以内の誤差で
一致すればよい。
【0023】なお、これら超格子構造は有機金属気相成
長法によって成長されるので、積層された結晶層の組成
は、十分制御されたものとなる。
長法によって成長されるので、積層された結晶層の組成
は、十分制御されたものとなる。
【0024】次に、本発明の実施例について、図2に基
づいて具体的に説明する。
づいて具体的に説明する。
【0025】図示されるように基板には、(100)の
面方位を持ったInPを用い、このInP基板1上に
は、InPバッファ層11が200nmの厚さで設けら
れている。さらにその上には、厚さ10nmのGa0.14
In0.86P層22´、及びGa0.14In0.86P層22´
とは反対の歪みを持つ厚さ10nmのGa0.32In0.68
As層21´が交互にそれぞれ50層ずつ積層されてい
る。この積層された層の最上面にはInPを用いた表面
層12が100nmの厚さで形成されている。
面方位を持ったInPを用い、このInP基板1上に
は、InPバッファ層11が200nmの厚さで設けら
れている。さらにその上には、厚さ10nmのGa0.14
In0.86P層22´、及びGa0.14In0.86P層22´
とは反対の歪みを持つ厚さ10nmのGa0.32In0.68
As層21´が交互にそれぞれ50層ずつ積層されてい
る。この積層された層の最上面にはInPを用いた表面
層12が100nmの厚さで形成されている。
【0026】上述のGa0.32In0.68As層21´の正
の歪を打ち消す負の歪を持ったGa0.14In0.86P層2
2´を、Ga0.32In0.68As層21´と交互に成長さ
せることによって形成された超格子構造は、前述の数式
4を満たしている。したがってInP基板1との格子定
数の差が0.1%になっており、多層に積層した場合に
も歪が積算することを防ぐことができる。
の歪を打ち消す負の歪を持ったGa0.14In0.86P層2
2´を、Ga0.32In0.68As層21´と交互に成長さ
せることによって形成された超格子構造は、前述の数式
4を満たしている。したがってInP基板1との格子定
数の差が0.1%になっており、多層に積層した場合に
も歪が積算することを防ぐことができる。
【0027】なお、本実施例におけるGa0.32In0.68
As層21´中のInの組成比は0.68であり、In
P基板1と格子定数が等しくなるGa0.47In0.53As
層のInの組成比、すなわち0.53より大きい。この
Inの組成比が大きくなるほど電子の有効質量が小さく
なり、電子移動度が大きくなる。例えば、Ga0.47In
0.53Asで13,000cm2 /Vs程度の移動度が、
InAsでは33,000cm2 /Vsに達する。さら
に、Inの組成比が大きくなるほどバンドギャップエネ
ルギーが小さくなり、より長波長の光を吸収できるよう
になる。
As層21´中のInの組成比は0.68であり、In
P基板1と格子定数が等しくなるGa0.47In0.53As
層のInの組成比、すなわち0.53より大きい。この
Inの組成比が大きくなるほど電子の有効質量が小さく
なり、電子移動度が大きくなる。例えば、Ga0.47In
0.53Asで13,000cm2 /Vs程度の移動度が、
InAsでは33,000cm2 /Vsに達する。さら
に、Inの組成比が大きくなるほどバンドギャップエネ
ルギーが小さくなり、より長波長の光を吸収できるよう
になる。
【0028】次に、上述の超格子構造を、有機金属気相
成長法を用いて作製する方法について述べる。まず、超
格子構造を成長させるのに先立ち、InPを用いたバッ
ファ層11を200nm成長させる。次に、InPバッ
ファ層11の上にGa0.14In0.86層22´、及びGa
0.32In0.68As層21´をそれぞれ10nmの厚さで
50層ずつ成長させる。Ga0.32In0.68As層21´
を成長させる際の原料として、トリメチルインジウム、
トリエチルガリウム、アルシンを用いる。一方、Ga
0.14In0.86P層22´の原料としては、トリメチルイ
ンジウム、トリエチルガリウム、ホスフィンを用いる。
これらの原料ガスをInP基板1が設置された反応炉内
に送る場合、それぞれの結晶層の成長に応じて原料ガス
をオン・オフすることにより超格子構造を形成する。最
後に、表面保護層としてInPを用い、表面層12を1
00nm成長させる。
成長法を用いて作製する方法について述べる。まず、超
格子構造を成長させるのに先立ち、InPを用いたバッ
ファ層11を200nm成長させる。次に、InPバッ
ファ層11の上にGa0.14In0.86層22´、及びGa
0.32In0.68As層21´をそれぞれ10nmの厚さで
50層ずつ成長させる。Ga0.32In0.68As層21´
を成長させる際の原料として、トリメチルインジウム、
トリエチルガリウム、アルシンを用いる。一方、Ga
0.14In0.86P層22´の原料としては、トリメチルイ
ンジウム、トリエチルガリウム、ホスフィンを用いる。
これらの原料ガスをInP基板1が設置された反応炉内
に送る場合、それぞれの結晶層の成長に応じて原料ガス
をオン・オフすることにより超格子構造を形成する。最
後に、表面保護層としてInPを用い、表面層12を1
00nm成長させる。
【0029】成長するGa0.32In0.68As層21´の
Inの組成比は0.68であり、この層の緩和した状態
での格子定数はInPに比べて1.0%大きい。またG
a0.14In0.86P層22´のGaの組成比は0.14で
あり、この層の緩和した状態での格子定数はInPに比
べて1.0%小さい。この条件において、Ga0.32In
0.68As層21´は圧縮歪を受け、またGa0.14In
0.86P層22´は引っ張り歪を受けることにより、超格
子構造を形成する各層と平行方向の格子定数が、InP
基板1の格子定数と一致する。各層の厚みは臨界膜厚以
下に設定されているため、転位が発生することはない。
また、Ga0.32In0.68As層21´とGa0.14In
0.86P層22´を組み合わせることによって正と負の歪
が相殺されているので、歪が積算されることなく、50
層ずつ積層した超格子層を厚さ1μmに成長しても良好
な結晶が得られる。
Inの組成比は0.68であり、この層の緩和した状態
での格子定数はInPに比べて1.0%大きい。またG
a0.14In0.86P層22´のGaの組成比は0.14で
あり、この層の緩和した状態での格子定数はInPに比
べて1.0%小さい。この条件において、Ga0.32In
0.68As層21´は圧縮歪を受け、またGa0.14In
0.86P層22´は引っ張り歪を受けることにより、超格
子構造を形成する各層と平行方向の格子定数が、InP
基板1の格子定数と一致する。各層の厚みは臨界膜厚以
下に設定されているため、転位が発生することはない。
また、Ga0.32In0.68As層21´とGa0.14In
0.86P層22´を組み合わせることによって正と負の歪
が相殺されているので、歪が積算されることなく、50
層ずつ積層した超格子層を厚さ1μmに成長しても良好
な結晶が得られる。
【0030】一般に有機金属気相成長法などの結晶成長
においては、V族元素の組成を制御することは、III 族
元素の組成を制御することよりも難しい。この発明の超
格子構造を構成する2種類の結晶層は、どちらも単独の
III族元素、すなわちInの組成比の調整により構成さ
れているため組成を十分に制御することができる。
においては、V族元素の組成を制御することは、III 族
元素の組成を制御することよりも難しい。この発明の超
格子構造を構成する2種類の結晶層は、どちらも単独の
III族元素、すなわちInの組成比の調整により構成さ
れているため組成を十分に制御することができる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、InPに格子整合する
Ga0.47In0.53AsよりもInAs組成の大きなGa
(1-X) InX As層を、多数含む超格子構造を得ること
ができる。このため超格子構造には電子移動度の高い結
晶層が含まれ、高速動作が必要な素子を作製するうえで
非常に有利である。
Ga0.47In0.53AsよりもInAs組成の大きなGa
(1-X) InX As層を、多数含む超格子構造を得ること
ができる。このため超格子構造には電子移動度の高い結
晶層が含まれ、高速動作が必要な素子を作製するうえで
非常に有利である。
【0032】また、InAs組成の大きなGa(1-X) I
nXAs層はバンドギャップエネルギーが小さいために
より長波長の光を吸収できるようになり、光通信に使わ
れる1.3μmあるいは1.55μmなどの波長に対す
る吸収率も大きくなり、薄い結晶層で高い吸収率を得る
ことができる。このため、光デバイスとしての応用分野
を拡大することができる。
nXAs層はバンドギャップエネルギーが小さいために
より長波長の光を吸収できるようになり、光通信に使わ
れる1.3μmあるいは1.55μmなどの波長に対す
る吸収率も大きくなり、薄い結晶層で高い吸収率を得る
ことができる。このため、光デバイスとしての応用分野
を拡大することができる。
【0033】なお、本発明は超格子構造の特徴である量
子効果の面でも大きな効果がある。上述したように、G
a(1-X) InX As層はxの値が大きくなるほどバンド
ギャップエネルギーが小さくなり、これに対して(Al
Z Ga(1-Z) )Y In(1-Y) P層は、yおよびzの値が
大きくなるにつれてバンドギャップエネルギーが大きく
なる。したがって、xを大きくするのにしたがって、y
を大きくしていけば、両者のバンドギャップ差が大きく
なるため、転位を発生させずに大きな量子シフト量を得
ることができる。
子効果の面でも大きな効果がある。上述したように、G
a(1-X) InX As層はxの値が大きくなるほどバンド
ギャップエネルギーが小さくなり、これに対して(Al
Z Ga(1-Z) )Y In(1-Y) P層は、yおよびzの値が
大きくなるにつれてバンドギャップエネルギーが大きく
なる。したがって、xを大きくするのにしたがって、y
を大きくしていけば、両者のバンドギャップ差が大きく
なるため、転位を発生させずに大きな量子シフト量を得
ることができる。
【0034】一方、超格子構造は有機金属気相成長法に
よって形成されており、本発明では特に、比較的組成制
御しやすい単独のIII 族元素により結晶層が構成されて
いるため、組成が十分に制御された結晶層を容易に作製
することができる。
よって形成されており、本発明では特に、比較的組成制
御しやすい単独のIII 族元素により結晶層が構成されて
いるため、組成が十分に制御された結晶層を容易に作製
することができる。
【図1】本発明の実施例に係る半導体超格子構造を示す
図である。
図である。
【図2】本発明の実施例に係る半導体超格子構造の具体
例を示す図である。
例を示す図である。
1…InP基板 11…InPバッファ層 12…InP表面層 21…Ga(1-X) InX As層 21´…Ga0.32In0.68As層 22…(AlZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y) P層 22´…Ga0.14In0.86P層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01S 3/18 677 H01L 31/10 G01F 1/015 JICSTファイル(JOIS)
Claims (3)
- 【請求項1】 InP基板上に、該InP基板よりも格
子定数の大きいGa(1-X) InX As層と、該InP基
板よりも格子定数の小さい(AlZ Ga(1-Z) )Y In
(1-Y) P層とが交互に積層され、前記Ga(1-X) InX
As層および前記(AlZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y) P
層全体を平均して得られる積層面と平行な格子定数と前
記InP基板の格子定数との差が0.1%以下であるこ
とを特徴とする半導体超格子構造。 - 【請求項2】 前記Ga(1-X) InX As層および(A
lZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y)P層の厚さは、それぞれ
の臨界膜厚以下であることを特徴とする請求項1記載の
半導体超格子構造。 - 【請求項3】 前記Ga(1-X) InX As層および(A
lZ Ga(1-Z) )Y In(1-Y)P層は、有機金属気相成
長法を用いて形成されたことを特徴とする請求項1また
は2記載の半導体超格子構造。
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JP21717191A JP2970103B2 (ja) | 1991-08-28 | 1991-08-28 | 半導体超格子構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH0555707A JPH0555707A (ja) | 1993-03-05 |
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JP4867137B2 (ja) | 2004-05-31 | 2012-02-01 | 住友化学株式会社 | 化合物半導体エピタキシャル基板 |
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- 1991-08-28 JP JP21717191A patent/JP2970103B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0555707A (ja) | 1993-03-05 |
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