JPH10209430A - 固体内電子移動方法および固体内電子移動装置 - Google Patents

固体内電子移動方法および固体内電子移動装置

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JPH10209430A
JPH10209430A JP1108997A JP1108997A JPH10209430A JP H10209430 A JPH10209430 A JP H10209430A JP 1108997 A JP1108997 A JP 1108997A JP 1108997 A JP1108997 A JP 1108997A JP H10209430 A JPH10209430 A JP H10209430A
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JP
Japan
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semiconductor layer
electrons
electric field
spin
predetermined
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JP1108997A
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English (en)
Inventor
Hiromichi Horinaka
博道 堀中
Tsutomu Nakanishi
彊 中西
Takashi Saka
貴 坂
Toshihiro Kato
俊宏 加藤
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の半導体層内において電子をそれまでよ
りも速やかに移動させることができる固体内電子移動方
法を提供する。 【解決手段】 円偏光レーザ光20の入射によって第2
半導体層16内に発生させられたスピン偏極電子は、第
1半導体層14との間の格子定数差により発生した圧電
効果により第2半導体層16内に形成された電界Ep
よって表面18側へ向かって加速されることから、従来
よりも速やかに移動させられる。このため、スピン偏極
電子が第2半導体層16内に滞留するうちに、正孔との
相互作用によるスピン反転が発生したり、或いは正孔と
の再結合により消滅したりすることが抑制され、上記第
2半導体層16の表面から真空中へ放出される偏極電子
線の十分な偏極率や量子効率が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の半導体層内
の電子特にスピン方向が偏在するスピン偏極電子を真空
中に取り出したり或いは移動速度を高めるなどのため
に、その電子を積極的に加速するための固体内電子移動
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】スピン方向が2種類のうちの一方に偏在
している電子群から成るスピン偏極電子線は、高エネル
ギ素粒子実験分野においては原子核内部の磁気構造を、
物性物理実験分野においては、物質表面の磁気構造を調
査する上で有効な手段として利用されている。斯かる偏
極電子線は、価電子帯にバンドスプリッティングを有す
る半導体光電層を備えた偏極電子線発生素子を用い、そ
の半導体光電層に励起光を入射することによって表面か
ら取り出すことが可能である。
【0003】上記の偏極電子線発生素子としては、例え
ば、GaAs1-x P x (混晶比x>0)半導体の上に、それ
とは格子定数が僅かに異なるGaAs半導体を結晶成長させ
たストレインドGaAs半導体がある。このストレインドGa
As半導体においては、GaAs1- x P x 半導体に対して格子
定数が異なるGaAs半導体がヘテロ結合させられることに
より、そのGaAs半導体には格子歪が付与される。これに
より、その価電子帯にバンドスプリッティングが発生し
てヘビ−ホールのサブバンドとライトホールのサブバン
ドとにエネルギ準位差が生じるが、両サブバンドの励起
によって取り出される電子のスピン方向は互いに反対向
きである。したがって、エネルギ準位が高い方、すなわ
ち伝導帯とのエネルギギャップが小さい方のサブバンド
のみを励起するような光エネルギをGaAs半導体に注入す
ることにより、一方のスピン方向に偏在した電子群が専
ら励起されて表面から放出されて、高い偏極率を備えた
偏極電子線が得られる。この偏極電子線発生素子におい
て、GaAs1-x P x 半導体はGaAs半導体よりもバンドギャ
ップが大きいため、GaAs半導体で発生した電子を表面側
へはねかえすポテンシャル障壁としても機能している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、斯かる
従来の偏極電子線発生素子は、半導体光電層で発生した
スピン偏極電子が表面側へ速やかに移動しないため、半
導体光電層内に長時間留まっているうちに正孔との相互
作用によるスピン反転が発生したり、正孔との再結合に
より消滅したりして、たとえ上記のような電子をはねか
えすポテンシャル障壁を有する場合であっても、必ずし
も十分な偏極率や量子効率が得られないという問題があ
った。
【0005】なお、上記のように、半導体層内において
スピン偏極電子が速やかに移動しないという問題は、高
速応答性或いは高いスイッチング周波数を必要とする電
流制御素子などにおいても存在する。
【0006】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、所定の半導体層
内において電子をそれまでよりも速やかに移動させるこ
とができる固体内電子移動方法や固体内電子移動装置を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】斯かる目的を達成
するための本発明方法の要旨とするところは、所定の半
導体層内の電子を移動させるための固体内電子移動方法
であって、前記所定の半導体層をそれとは格子定数が異
なる半導体層に隣接して形成させることにより、その格
子定数の差による歪みに基づいてその所定の半導体層内
に圧電効果による電界を発生させ、その電界を利用して
その所定の半導体層内の電子を加速することにある。
【0008】
【課題を解決するための第2の手段】前記目的を達成す
るための本発明装置の要旨とするところは、所定の半導
体層内の電子を移動させるための固体内電子移動装置で
あって、前記所定の半導体層とは異なる格子定数を備
え、その所定の半導体層に隣接して形成されることによ
り、その格子定数の差による歪みに基づいてその所定の
半導体層内に圧電効果による電界を発生させる隣接半導
体層を、含むことにある。
【0009】
【第1発明および第2発明の効果】このようにすれば、
所定の半導体層に隣接して形成される半導体層との格子
定数差による歪みに基づいてその所定の半導体層内に圧
電効果による電界が発生させられることから、その所定
の半導体層内における電子がその電界により加速される
ので、それまでよりも速やかに移動させられる。
【0010】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記所定の半導
体層は、価電子帯にバンドスプリッティングを有し、励
起されることによりスピン方向が偏在しているスピン偏
極電子を発生させるものである。
【0011】また、好適には、上記所定の半導体層は、
前記隣接半導体層の(111) 面から成長させられることに
より、その隣接半導体層との格子定数差に基づいてその
(111) 面に垂直な方向であってその(111) 面へ向かう方
向の電界が発生させられるものであり、その所定の半導
体層の表面から真空中へ放出するためにその所定の半導
体層内をその表面へ向かう前記スピン偏極電子が、その
電界により加速されるものである。このようにすれば、
上記所定の半導体層内のスピン偏極電子は、速やかに表
面へ向かって移動させられることから、半導体層内に長
時間留まっているうちに、正孔との相互作用によるスピ
ン反転が発生したり、或いは正孔との再結合により消滅
したりすることが抑制され、十分な偏極率や量子効率が
得られるようになる。
【0012】また、好適には、前記所定の半導体層は、
前記隣接半導体層の(110) 面から成長させられることに
より、その隣接半導体層との格子定数差に基づいてその
(110) 面に平行な方向の電界が発生させられるものであ
り、電流制御のためにその所定の半導体層内を所定の電
流制御領域へ向かうスピン偏極電子を、その電界により
加速するものである。このようにすれば、上記所定の半
導体内のスピン偏極電子は、上記(110) 面に平行な方向
において電界により加速されることから、そのスピン偏
極電子の移動が速やかとなるので、たとえば電流制御素
子の高速応答性やスイッチング周波数が一層高められ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して説明する。
【0014】図1は、圧電効果により発生する電界を用
いてスピン偏極電子を移動させる本発明の固体内電子移
動方法或いは固体内電子移動装置が適用された偏極電子
線発生素子10の構成を示す図である。図において、偏
極電子線発生素子10は、基板12の上に良く知られた
MOCVD(有機金属化学気相成長)装置によって順次
結晶成長させられた第1半導体層14および第2半導体
層16を備えている。第2半導体層16は偏極電子線発
生素子10の実質的な最上層である。なお、図において
各半導体層の厚さは必ずしも正確な割合で示したもので
はない。
【0015】上記基板12は、例えば350(μm)程度の厚
さのp-GaAs単結晶から成る化合物半導体であり、その表
面は(111) A面である。この(111) A面とは、たとえば
図2に示すように、Ga原子が現れる表面であって、その
表面には(111) 面に垂直な一軸性引張応力により正電荷
が帯電する性質がある。反対に、(111) B面とは、たと
えば図2の1点鎖線に示すように、As原子が現れる表面
であって、その表面には(111) 面に垂直な一軸性引張応
力により負電荷が帯電する性質がある。上記のように基
板12の表面が(111) A面である場合には、その表面か
ら成長させられる化合物半導体層すなわち第1半導体層
14および第2半導体層16の表面は必ず(111) A面と
なる。このように(111) 面から成長させられた第2半導
体層16内には、その(111) 面に平行な方向の圧縮歪み
が加えられると、圧電効果により、(111) 面に垂直な方
向の電界Ep が発生する性質がある。
【0016】上記基板12のp-GaAs単結晶には、p型の
ドーパントであるZnが不純物としてドープされることに
よりキャリア濃度すなわち正孔密度がpb = 5×10
18(cm-3)程度とされている。また、第1半導体層14
は、2.0(μm)程度の厚さのp-GaAs 0.83P0.17 単結晶から
成る化合物半導体であり、基板12と同様にZnが不純物
としてドープされることにより正孔密度がp1 = 5×10
18(cm-3)程度とされている。また、第2半導体層16
は、例えば 850Å程度の厚さのp-GaAs単結晶から成る化
合物半導体であり、基板12、第1半導体層14と同様
にZnが不純物としてドープされたものである。
【0017】上記第2半導体層16を構成するp-GaAsの
格子定数は、第1半導体層14を構成しているp-GaAs
0.83P0.17 の格子定数より僅かに大きいため、第2半導
体層16の表面18に平行な方向において圧縮応力すな
わち第2半導体層16の膜厚方向に引っ張り応力が作用
させられ、その応力による格子歪を有する状態で第1半
導体層14にヘテロ結合させられている。この格子歪に
より、第2半導体層16の価電子帯にバンドスプリッテ
ィングが発生し、ヘビーホールのサブバンドとライトホ
ールのサブバンドとにエネルギ準位差が生じる一方、両
サブバンドからの励起によって取り出される電子のスピ
ン方向は互いに反対向きであるため、エネルギ準位が高
い方、この場合にはヘビーホールのサブバンドのみを励
起するような光エネルギを有する円偏光レーザ光20が
表面18に照射されると、一方のスピン方向に偏在した
電子群が専ら励起されて表面18から放出される。本実
施例においては、上記第2半導体層16が半導体光電層
として機能している。なお、上記照射すべき円偏光レー
ザ光20の波長は 860nm程度である。
【0018】ところで、従来の偏極電子線発生素子は、
基板の表面は(100) 面であって、それから第1半導体層
および第2半導体層が成長させられることから、それら
第1半導体層および第2半導体層の間の格子定数差に起
因する歪みすなわち応力が発生しても、圧電現象が発生
しない。しかし、本実施例では、p-GaAs単結晶の化合物
半導体である上記基板12の表面は、(111) A面である
ことから、その基板12の表面から成長させられた第1
半導体層14および第2半導体層16も(111)A面であ
るので、それら第1半導体層14と第2半導体層16と
の間の格子定数差に基づく表面18に平行な方向の圧縮
応力が図2の矢印に示すように発生すると、第2半導体
層16内にはその圧縮歪みに基づく圧電効果による電界
p が、式(1) に従う大きさで、図2に示すように、第
2半導体層16の表面から内部の第1半導体層14側へ
向かって発生する。なお、式(1) において、εは第2半
導体層16(GaAs)の誘電率(真空の誘電率εo ×GaAs
の比誘電率εs )、e14は圧電定数、sは第2半導体層
16(GaAs)の歪みである。
【0019】
【数1】Ep =(e14/ε)s ・・・(1)
【0020】本実施例の場合には、εs =12、εo
8.85×10-14 F/cm、e14=1.6 ×10-5C/cm2
s=10-2〜10-3であるから、Ep =150〜15kV
/cm程度となる。たとえば、特開平6−223709号
公報や特開平7−220620号公報に記載されている
ような、第2半導体層16に対する所謂傾斜ドープによ
り正孔に基づいて内部電界を形成する技術よりも遙に大
きな効果があることが判る。
【0021】したがって、本実施例の偏極電子線発生素
子10によれば、円偏光レーザ光20の入射によって第
2半導体層16内に発生させられたスピン偏極電子は、
その第2半導体層16内に形成された電界Ep によって
表面18側へ向かって加速されることから、従来よりも
速やかに移動させられる。このため、スピン偏極電子が
第2半導体層16内に滞留するうちに、正孔との相互作
用によるスピン反転が発生したり、或いは正孔との再結
合により消滅したりすることが抑制され、上記第2半導
体層16の表面から真空中へ放出される偏極電子線の十
分な偏極率や量子効率が得られる。
【0022】また、本実施例によれば、偏極電子線発生
素子10によれば、(111) A面を有する基板12から第
1半導体層14および第2半導体層16が成長させられ
ることにより、第2半導体層16の表面18が(111) A
面とされている。ここで、一般に、GaAsは、(111) A面
に垂直な一軸性の引張応力により(111) A面に正の電荷
が生じる性質がある。このため、第1半導体層14およ
び第2半導体層16の格子定数差により発生する歪み、
すなわち表面18に平行な方向における圧縮応力による
第2半導体層16の厚み方向の一軸性の引っ張り応力に
基づいて、(111) A面である表面18には正の電荷が帯
電させられることから、第2半導体層16内のスピン偏
極電子がその正の電荷に引きつけられて一層速やかに移
動させられるので、第2半導体層16の表面から真空中
へ放出される偏極電子線の十分な偏極率や量子効率が一
層高められる利点がある。
【0023】次に、本発明の他の実施例、すなわち本発
明の圧電効果により発生する電界を用いてスピン偏極電
子を移動させる本発明の固体内電子移動方法或いは固体
内電子移動装置が適用された電流制御素子30を説明す
る。
【0024】図3において、電流制御素子30は、たと
えばアメリカ物理学会(American Institute of Physic
s )から発行された「アプライドフィジクスレターズ」
vol.56,No.7,12 February 1990の第665〜667頁に
記載されたものと同様の電子のスピンを利用した半導体
機能素子(FET)であり、基板32の上面から良く知
られたMOCVD(有機金属化学気相成長)装置により
結晶成長させられた半導体層34と、その半導体層34
の両側に接合された磁性体電極であるソース電極36お
よびドレイン電極38と、その半導体層34の表面に設
けられたゲート電極40とを基板32上に備えている。
【0025】上記基板32は、例えば所定の厚みを有す
るGaAs0.83P0.17 単結晶から成る化合物半導体であり、
その表面は(110) 面である。この(110) 面の場合は、そ
の表面から成長させられる化合物半導体層たとえばGaAs
単結晶である半導体層34の表面は必ず(110) 面とな
る。この(110) 面から成長させられた半導体層34内に
は、その(110) 面に平行な方向の圧縮歪みが加えられる
と、圧電効果により、(110) 面に平行な方向の電界Ep
が前記式(1) に示す大きさで発生する性質がある。
【0026】上記ソース電極36およびドレイン電極3
8は、たとえばニッケルを30〜90%含有するパーマ
ロイを代表とする鉄−ニッケル合金など、フェルミレベ
ルにおいて偏極率の高いスピン偏極電子を有する鉄系磁
性材料から構成されている。上記ソース電極36および
ドレイン電極38は予めそのスピンの方向(磁化方向)
が揃えられており、ドレイン電極38に注入される電子
はそのスピンの向きがソース電極36の磁性体のスピン
の向きと同じであれば通過させられるが反対であれば阻
止される。上記ソース電極36は、一方向にスピン方向
の揃ったスピン偏極電子を優先的に半導体層34内の二
次元電子系へ注入し、ドレイン電極38は、一方向にス
ピン方向の揃ったスピン偏極電子を優先的に通過させて
取り出す機能を備えている。したがって、ソース電極3
6から半導体層34内へ注入されたスピン方向の揃った
スピン偏極電子は、ゲート電極40に供給される信号に
従ってスピン方向がそのままでドレイン電極38へ到達
したり或いはスピン方向が反転させられてドレイン電極
38へ到達したりすることにより、ドレイン電極38か
ら出力される信号が、上記ゲート電極40に供給される
信号に従ってスイッチングされたり或いは増幅されたり
する。
【0027】本実施例の電流制御素子30では、基板3
2と半導体層34との間の格子定数差に関連して、その
格子定数差に基づく表面42に平行な方向の圧縮応力が
図3の矢印に示すように発生し、半導体層34内にはそ
の圧縮歪みに基づく圧電効果による電界Ep が、式(1)
に従う大きさで、図3に示すように、上記表面42に平
行であって、ドレイン電極38へ向かう方向に発生す
る。このため、スピン偏極電子が半導体層34をドレイ
ン電極38へ向かって通過するうちに、上記電界Ep
よる加速を受けて速やかに移動させられるので、電流制
御素子30の高速応答性或いはスイッチング周波数が高
められる。
【0028】図4は、他の実施例の電流制御素子50を
示している。本実施例の電流制御素子50は、スピン偏
極電子供給源を備えた点において上記電流制御素子30
と相違するだけであるので、共通する部分は同一の符号
を用いて説明を省略する。
【0029】図4において、電流制御素子50は、基板
32の上面から良く知られたMOCVD(有機金属化学
気相成長)装置により結晶成長させられた半導体層34
および35と、その半導体層34の両側に接合された磁
性体電極であるソース電極36およびドレイン電極38
と、その半導体層34の表面に設けられたゲート電極4
0とを基板32上に備えている。さらに、上記半導体層
35は、半導体層34と同じGaAs元素を用いて同時に成
長させられたものであり、前記図1および2の第2半導
体層16と同様に、円偏光レーザ光20の入射によって
スピン偏極電子を発生する半導体光電層として機能す
る。すなわち、上記半導体層35は、スピン偏極電子を
ソース電極36を経て半導体層34へ供給するスピン偏
極電子供給源である
【0030】上記の電流制御素子50では、円偏光レー
ザ光20の入射によって半導体層35内に発生させられ
たスピン偏極電子は、ソース電極36を経て半導体層3
4へスピン方向の揃った状態で注入される。半導体層3
4内へ注入されたスピン方向の揃ったスピン偏極電子
は、ゲート電極40に供給される信号に従ってスピン方
向がそのままでドレイン電極38へ到達したり或いはス
ピン方向が反転させられてドレイン電極38へ到達した
りすることにより、ドレイン電極38から出力される信
号が、上記ゲート電極40に供給される信号に従ってス
イッチングされたり或いは増幅されたりする。
【0031】本実施例の電流制御素子50でも、基板3
2と半導体層34および35との間の格子定数差に関連
して、その格子定数差に基づく表面42に平行な方向の
圧縮応力が図4の矢印に示すように発生し、半導体層3
4および35内にはその圧縮歪みに基づく圧電効果によ
る電界Ep が、式(1) に従う大きさで、図4に示すよう
に発生する。この電界Ep は、半導体層34内ではソー
ス電極36へ向かう方向であり、半導体層35内ではソ
ース電極36から離隔する方向である。このため、半導
体層35内では、円偏光レーザ光20の入射によって発
生させられたスピン偏極電子がソース電極36へ向って
加速されて速やかに移動させられる。また、半導体層3
4内では、スピン偏極電子が半導体層34をドレイン電
極38へ向かって通過するうちに、上記電界Ep による
加速を受けて速やかに移動させられる。従って、電流制
御素子50の高速応答性或いはスイッチング周波数が高
められる。
【0032】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
【0033】例えば、前述の図1および2の実施例で
は、第2半導体層16が(111) 面から成長させられたも
のであり、前述の図3および4の実施例では、半導体層
34が(111) 面から成長させられものであったが、(10
0) 面以外の面から成長させられたものでも差し支えな
い。要するに、圧電現象が生じない(100) 面以外の面で
あれば、電子を加速してその移動を速やかにするための
電界Ep を得るための一応の圧電効果が得られるからで
ある。
【0034】また、図1の実施例の第2半導体層16内
には、上記圧電効果による電界Epに加えて、電子を速
やかに移動させる内部電界を正孔により形成するため
に、不純物のドーピング量が表面側よりも内部側に多く
なるようにそのドーピング量の連続的或いは段階的な傾
斜が設けられても差し支えない。このようにすれば、半
導体に対するドーピング量を多くすると価電子帯とフェ
ルミレベルとのエネルギ差が小さくなり、それに伴って
フェルミレベルに対する伝導帯のエネルギは大きくなる
ことから、上記構造では伝導帯のポテンシャルエネルギ
が表面ほど小さくなり、第2半導体層16内に発生した
スピン偏極電子が表面側へ一層移動し易くなる。
【0035】また、図1の実施例の第2半導体層16内
には、その表面から所定距離以上内側の内部領域に上記
のドーピング量の傾斜構造が備えられると共に、その内
部領域よりも表面側の表層領域ではその内部領域の表面
側よりもドーピング量が多くされてもよい。このように
すれば、第2半導体層16内での傾斜構造を保ちつつ、
偏極電子線発生素子の表面におけるドーピング量が十分
に多くされて、NEA(Negative Electron Affinity:
負電子親和力;伝導帯の底にある電子のエネルギレベル
と真空レベルとの差に相当するエネルギギャップが負)
状態にすることが容易になることから、一層高い偏極率
を保ちつつ一層高い量子効率が得られる。
【0036】また、図1の実施例においては、半導体光
電層すなわち第2半導体層16がストレインドGaAs半導
体から構成されていたが、GaAsP 、InGaAs、InGaAsP 等
の他のストレインド半導体、価電子帯にバンドスプリッ
ティングを有するカルコパイライト型半導体、GaAs薄膜
とAlGaAs薄膜等が交互に積層されて成る超格子、或い
は、InP とGaP が規則的に配列されたInGa0.5P0.5 等の
如く、規則配列によりバンドスプリッティングが生じて
いる化合物半導体等が用いられてもよい。
【0037】また、図1の実施例においては、基板12
として厚さが350(μm)程度のp-GaAsが用いられ、第1半
導体層14として厚さが2(μm)程度のp-GaAs0.83P0.17
が用いられていたが、これらの厚さは適宜変更可能であ
ると共に、これらに代えて、AlGaAs等の他の化合物半導
体を用いても良い。更に、基板12としてはSi基板等を
用いることもできる。
【0038】また、図1の実施例においては、第2半導
体層16の格子定数が第1半導体層14よりも大きく、
膜厚方向において引張応力が作用させられるようになっ
ていたが、第1半導体よりも格子定数が小さい第2半導
体を採用し、圧縮応力によって格子歪が生じるように構
成することもできる。なお、この場合には、(111) B面
を成長面に用いる必要がある。
【0039】また、図1の実施例においては、半導体光
電層として機能する第2半導体層16の裏側に、その第
2半導体層16よりもバンドギャップが大きい第1半導
体層14を備えていたが、少なくとも第2半導体層16
と格子定数が異なるものであれば、バンドギャップが小
さい半導体も第1半導体層14として用いることができ
る。
【0040】また、図1の実施例において、第2半導体
層16の裏側に、半導体多層膜や誘電体多層膜等から成
る反射鏡を設けて、励起レーザ光20を反射するように
構成したり、或いは、多重量子井戸構造のポテンシャル
障壁を設けて電子をはねかえすように構成するなど、素
子構造は適宜変更し得る。
【0041】また、図1或いは図4の実施例において
は、第2半導体層16或いは半導体層35の表面側から
励起レーザ光20を照射していたが、GaAs基板12或い
は32をエッチング等によって切り欠いたり、透明基板
を用いること等により、基板側から励起レーザ光20を
照射するように構成しても良い。
【0042】また、図1乃至図4の実施例においては、
MOCVD法によって偏極電子線発生素子10の各半導
体層が形成されていたが、MBE(分子線エピタキシ
ー)法等の他のエピタキシャル成長技術を用いて各半導
体層を形成しても良い。
【0043】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における偏極電子線発生素子
の構成を説明する図である。
【図2】図1の偏極電子線発生素子の第2半導体層を詳
しく説明する図である。
【図3】本発明の他の実施例における電流制御素子の構
成を説明する図である。
【図4】本発明の他の実施例における電流制御素子の構
成を説明する図である。
【符号の説明】
10:偏極電子線発生素子 14:第1半導体層(隣接半導体層) 16:第2半導体層(所定の半導体層、半導体光電層) 30、50:電流制御素子 32:基板(隣接半導体層) 34:半導体層(所定の半導体層) 35:半導体層(半導体光電層)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の半導体層内の電子を移動させるた
    めの固体内電子移動方法であって、 前記所定の半導体層をそれとは格子定数が異なる半導体
    層に隣接して形成させることにより、該格子定数の差に
    よる歪みに基づいて該所定の半導体層内に圧電効果によ
    る電界を発生させ、該電界を利用して該所定の半導体層
    内の電子を加速することを特徴とする固体内電子移動方
    法。
  2. 【請求項2】 所定の半導体層内の電子を移動させるた
    めの固体内電子移動装置であって、 前記所定の半導体層とは異なる格子定数を備え、該所定
    の半導体層に隣接して形成されることにより、該格子定
    数の差による歪みに基づいて該所定の半導体層内に圧電
    効果による電界を発生させる隣接半導体層を、含むこと
    を特徴とする固体内電子移動装置。
  3. 【請求項3】 前記所定の半導体層は、価電子帯にバン
    ドスプリッティングを有し、励起されることによりスピ
    ン方向が偏在しているスピン偏極電子を発生させるもの
    である請求項2の固体内電子移動装置。
  4. 【請求項4】 前記所定の半導体層は、前記隣接半導体
    層の(111)面から成長させられることにより、該隣
    接半導体層との格子定数差に基づいて該(111)面に
    垂直な方向であって該(111)面へ向かう方向の電界
    が発生させられるものであり、該所定の半導体層の表面
    から真空中へ放出するために該所定の半導体層内を該表
    面へ向かう前記スピン偏極電子を、該電界により加速す
    るものである請求項3の固体内電子移動装置。
  5. 【請求項5】 前記所定の半導体層は、前記隣接半導体
    層の(110)面から成長させられることにより、該隣
    接半導体層との格子定数差に基づいて該(110)面に
    平行な方向の電界が発生させられるものであり、電流制
    御のために該所定の半導体層内を所定の電流制御領域へ
    向かうスピン偏極電子を、該電界により加速するもので
    ある請求項2の固体内電子移動装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011002143A1 (ko) * 2009-07-02 2011-01-06 한국화학연구원 근적외선 감지 소자 및 그 제조방법
JP2012514348A (ja) * 2008-12-31 2012-06-21 インテル コーポレイション 金属ソース/ドレイン及びコンフォーマル再成長ソース/ドレインにより発生される一軸性歪みを有する量子井戸mosfetチャネル

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