JP3313225B2 - 偏極電子線発生素子 - Google Patents

偏極電子線発生素子

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JP3313225B2 JP744494A JP744494A JP3313225B2 JP 3313225 B2 JP3313225 B2 JP 3313225B2 JP 744494 A JP744494 A JP 744494A JP 744494 A JP744494 A JP 744494A JP 3313225 B2 JP3313225 B2 JP 3313225B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スピン方向が偏在して
いる偏極電子線を発生する偏極電子線発生素子の改良に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】スピン方向が2種類のうちの一方に偏在
している電子群から成る偏極電子線は、高エネルギー素
粒子実験分野においては原子核内部の磁気構造を、物性
物理実験分野においては物質表面の磁気構造を調査する
上で有効な手段として利用されている。かかる偏極電子
線は、価電子帯にバンドスプリッティングを有する半導
体光電層を備えた偏極電子線発生素子を用い、その半導
体光電層に励起光を入射することによって表面から取り
出すことが可能であり、偏極電子線発生素子としては、
例えばGaAs1-x x (混晶比x>0)半導体の上
に、それとは格子定数が僅かに異なるGaAs半導体を
結晶成長させたストレインドGaAs半導体がある。す
なわち、GaAs1-x x 半導体に対して格子定数が異
なるGaAs半導体がヘテロ結合させられることによ
り、そのGaAs半導体には格子歪が付与されるため、
その価電子帯にバンドスプリッティングが発生してヘビ
ーホールのサブバンドとライトホールのサブバンドにエ
ネルギー準位差が生じる一方、両サブバンドの励起によ
って取り出される電子のスピン方向は互いに反対向きで
あるため、エネルギー準位が高い方すなわち伝導帯との
エネルギーギャップが小さい方のサブバンドのみを励起
するような光エネルギーをGaAs半導体に注入すれ
ば、一方のスピン方向に偏在した電子群が専ら励起され
て表面から放出され、高い偏極率を備えた偏極電子線が
得られるのである。GaAs1-x x 半導体はGaAs
半導体よりもバンドギャップが大きいため、GaAs半
導体で発生した電子を表面側へはねかえすポテンシャル
障壁としても機能している。半導体光電層としては、上
記ストレインドGaAs半導体の他、本出願人が先に出
願した特願平4−196245号において提案したスト
レインドGaAs1-y y (混晶比y>0)半導体や他
のストレインド化合物半導体、価電子帯に元々バンドス
プリッティングを有するカルコパイライト型半導体、或
いは本出願人が先に出願した特願平5−239854号
において提案したGaAs薄膜とAlGaAs薄膜等が
交互に積層されて成る超格子等が用いられ得る。
【0003】しかしながら、かかる従来の偏極電子線発
生素子は、半導体光電層で発生した電子が速やかに表面
側へ移動しないため、半導体内に長時間留まっているう
ちに価電子帯に戻ってしまうものがあるなど、電子をは
ねかえすポテンシャル障壁を有する場合であっても、必
ずしも十分に満足できる取出効率が得られないという問
題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本出願人は先
に、特願平5−29824号において、前記半導体光電
層の不純物のドーピング量が表面側より内部側の方で多
くされた傾斜構造を備えた偏極電子線発生素子を提案し
た。すなわち、半導体に対するドーピング量を多くすれ
ば、価電子帯とフェルミレベルとのエネルギー差が小さ
くなり、それに伴ってフェルミレベルに対する伝導帯の
エネルギーは大きくなるため、上記構造とすることによ
り伝導帯のポテンシャルエネルギーが表面側程小さくな
り、発生した偏極電子が表面側へ移動し易くなる。これ
により、半導体光電層で発生した電子は比較的速やかに
表面から放出されるようになり、半導体光電層に長時間
留まって価電子帯に戻ってしまう電子が低減されて、偏
極電子線が有効に取り出されるようになるのである。
【0005】ところで、偏極電子線発生素子から電子を
引き出すためには、その表面をNEA(Negative Elect
ron Affinity:負電子親和力;伝導帯の底にある電子の
エネルギーレベルと真空レベルの差に相当するエネルギ
ーギャップが負)状態にする必要があり、このNEA状
態は、半導体の不純物のドーピング量が多いほど実現し
易い。ところが、上記の技術では、傾斜構造とされて表
面側の不純物のドーピング量が少なくされているため、
その表面をNEA状態にすることが困難となり、高い量
子効率が得られなかったのである。なお、上記傾斜構造
をとった場合にも、内部側の不純物のドーピング量を比
較的多くすれば、表面側のドーピング量をそれに応じて
比較的多くすることが可能であり、表面をNEA状態に
することが容易となるが、不純物の濃度が高くなる程活
性化率が低下してドーピング効率が悪くなるため、内部
側のドーピング量を十分に多くすることは困難である。
更に、ドーピング量が多くなると結晶の周期性の乱れが
顕著になって電子の減偏極散乱により偏極率が低下する
という問題があった。
【0006】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、高い量子効率の偏極
電子線発生素子を得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明は、価電子帯にバンドスプリッティングを
有する半導体光電層を備え、その半導体光電層に励起光
が入射されることによりその半導体光電層の表面からス
ピン方向が偏在している偏極電子線を発生する偏極電子
線発生素子であって、前記半導体光電層の不純物のドー
ピング量が、前記表面から所定距離以上内側に位置する
内部領域ではその表面側より内部側の方が多くされると
共に、その内部領域よりも外側の表層領域ではその内部
領域の表面側よりも多くされていることを特徴とする。
【0008】
【作用および発明の効果】このようにすれば、半導体光
電層の不純物のドーピング量が、内部領域では内部側よ
りも表面側の方が少なくされて傾斜構造とされているた
め、前述したように発生した偏極電子が表面側へ移動し
易くなり、半導体光電層で発生した電子が比較的速やか
に表面から放出されて、偏極電子線を高い効率で取り出
すことが可能となる。しかも、半導体光電層の表層領域
では不純物のドーピング量が比較的多くされているた
め、その表面をNEA状態にすることが容易となって、
高い量子効率が得られるのである。なお、上記のような
構造とされた結果、半導体光電層の表層領域の不純物の
ドーピング量を十分多くしても、内部領域でのドーピン
グ量の傾斜構造を保った状態でその内部側における不純
物のドーピング量を比較的少なくすることが可能である
ため、偏極率の低下は生じない。
【0009】ここで好適には、前記内部領域における不
純物のドーピング量は、内部側から表面側に向かうに従
って連続的或いは段階的に少なくされる。
【0010】また、好適には、前記偏極電子線発生素子
は、半導体光電層として機能する化合物半導体(第2半
導体)が、格子定数が僅かに異なる他の化合物半導体
(第1半導体或いは基板)上に結晶成長させられて構成
される。このようにすれば、第2半導体が格子歪を有し
た状態で第1半導体或いは基板上にヘテロ結合させら
れ、その価電子帯にバンドスプリッティングが発生す
る。
【0011】また、好適には、上記第1半導体は化合物
半導体或いはSi(ケイ素)から成る基板上に結晶成長
させられて構成される。
【0012】また、好適には、前記所定距離すなわち不
純物のドーピング量が多くされる表層領域の厚さは、前
記半導体光電層の表面をNEA(負電子親和力)状態に
したときに生じるバンドベンディング領域の幅よりも小
さくされる。このようにすれば、不純物のドーピング量
が比較的多くされることにより価電子帯の上端および伝
導帯の下端のエネルギーレベルEV ,EF が比較的高く
された表層領域は、上記NEA状態においてバンドベン
ディングによってその全体に亘ってEV ,EFが低くさ
れるため、表層領域の伝導帯の下端のエネルギーレベル
F が高くなることによる偏極電子線の取出効率の低下
が低減される。
【0013】また、好適には、前記半導体光電層の表層
領域の不純物のドーピング量は、内部領域の最も内側に
おける不純物のドーピング量よりも少なくされる。この
ようにすれば、前記NEA状態における表層領域の伝導
帯の下端のエネルギーレベルEF が充分に低くなるた
め、偏極電子線の取出効率の低下が一層低減される。
【0014】
【実施例】以下に本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0015】図1において、偏極電子線発生素子10
は、基板12の上によく知られたMOCVD(有機金属
化学気相成長)装置により順次結晶成長させられた第1
半導体14および第2半導体16を備えている。基板1
2は350μm程度の厚さであって、Znが不純物とし
てドープされることによりキャリア濃度が5×10
18(cm-3)程度とされたp−GaAsであり、表面は
(100)面である。第1半導体14は2.0μm程度
の厚さであって、Znが不純物としてドープされること
によりキャリア濃度が5×1018(cm-3)程度とされ
たp−GaAs0.83 0.17である。また、第2半導体1
6は90nm程度の厚さであって、Znが不純物として
ドープされたp−GaAsである。この第2半導体16
は、厚さが85nm程度の内部領域18と、厚さが5n
m程度の表層領域20とから構成されている。第2半導
体16に対するZnのドーピング量は、内部領域18に
おいては、内部から表面22に向かうに従って連続的に
少なくされており、最も内側の第1半導体14との界面
付近のキャリア濃度は1×1019(cm-3) 程度である
が、表層領域20との境界付近でのキャリア濃度は5×
1017(cm-3) 程度である。一方、表層領域20にお
いては、Znのドーピング量が比較的多くされてキャリ
ア濃度が5×1018(cm-3)程度とされており、それ
ぞれのキャリア濃度の相対的な関係は、(内部領域18
の最も内側)>(表層領域20)>(内部領域18の表
層領域20との境界付近)となっている。なお、図1に
おける各半導体の厚さは必ずしも正確な割合で示したも
のではない。また、それぞれの化合物半導体において、
Znはキャリア濃度を高くするための不純物として用い
られている。
【0016】上記第2半導体16を構成しているp−G
aAsの格子定数は、第1半導体14を構成しているp
−GaAs0.830.17より僅かに大きいため、第2半導
体16は膜厚方向において引張応力が作用させられ、そ
の引張応力による格子歪を有する状態で第1半導体14
上にヘテロ結合させられる。この格子歪により、第2半
導体16の価電子帯にバンドスプリッティングが発生
し、ヘビーホールのサブバンドとライトホールのサブバ
ンドにエネルギー準位差が生じる一方、両サブバンドの
励起によって取り出される電子のスピン方向は互いに反
対向きであるため、エネルギー準位が高い方、この場合
にはヘビーホールのサブバンドのみを励起するような光
エネルギーを有する円偏光レーザ光24が表面22に照
射されると、一方のスピン方向に偏在した電子群が専ら
励起されて表面22から放出される。この実施例では上
記第2半導体16が半導体光電層に相当し、照射すべき
円偏光レーザ光24の波長は約860nmである。
【0017】なお、上記のように偏極電子線を取り出す
に際しては、表面22に円偏光レーザ光24を照射する
に先立って、その表面22がNEA状態すなわち負電子
親和力状態(すなわち、伝導帯の底にある電子のエネル
ギーレベルと真空レベルとの差に相当するエネルギーギ
ャップが負の状態)にされる。表面22がNEA状態に
されると、後述のバンドベンディングが生じて、その表
面22における真空準位が伝導帯のエネルギーレベルよ
りも下げられるため、伝導帯から電子を取り出すことが
可能となるのである。
【0018】ここで、上記第2半導体16に対するZn
のドーピング量は、内部領域18では内部から表層領域
20との境界に向かうに従って連続的に少なくされてい
るため、図2に示されているように、フェルミレベルE
F と価電子帯上端のエネルギーレベルEV とのエネルギ
ー差(EF −EV )は、内部から上記境界に向かうに従
って大きくなり、それに伴って伝導帯下端のエネルギー
レベルEC は上記境界に向かうに従って低くなる。図3
は、GaAs半導体における上記エネルギー差(EF
V )とキャリア濃度との関係を示すグラフで、キャリ
ア濃度が1×1019(cm-3) の場合のエネルギー差
(EF −EV )は約34meVである一方、キャリア濃
度が5×1017(cm-3) の場合のエネルギー差(EF
−EV )は約84meVである。したがって、伝導帯下
端のエネルギーレベルEC は、第1半導体14との界面
付近から表層領域20との境界に向かうに従って約50
meV低下する。本実施例では、上記エネルギー差(E
F −EV )が略直線的に変化するように、第2半導体1
6に対するZnのドーピング量は内部領域18において
は指数関数的に変化させられている。なお、キャリア濃
度の相対的な関係が前述のようにされた結果、第2半導
体16のそれぞれの領域における価電子帯上端のエネル
ギーレベルEV の相対的な関係は、(内部領域18の最
も内側のEV )>(表層領域20のEV )>(内部領域
18の表層領域20との境界付近のEV)となってい
る。
【0019】そして、上記のような伝導帯のエネルギー
レベルEC の傾斜により、第2半導体16で発生した電
子は表面22側へ向かって移動し易くなり、表面22か
ら比較的速やかに放出されるようになる。これにより、
第2半導体16内に長時間留まって価電子帯に戻ってし
まう電子線量が低減され、偏極電子線が有効に取り出さ
れるようになる。特に、本実施例では、GaAsにて構
成された第2半導体16よりもGaAs0.830.17にて
構成された第1半導体14の方がバンドギャップが大き
く、その第1半導体14が電子をはねかえすポテンシャ
ル障壁として機能するため、偏極電子線の取出効率が一
層高くなるのである。
【0020】一方、表層領域20ではZnのドーピング
量は比較的多くされて、キャリア濃度は5×1018(c
-3)程度と比較的高くされている。前記のNEA状態
は、キャリア濃度ができるだけ高い方が実現され易いも
のであり、したがって、本実施例の偏極電子線発生素子
10においては、偏極電子線を取り出すに際して、表面
22のNEA状態を容易に実現することが可能となっ
て、高い量子効率が得られるのである。
【0021】なお、表層領域20においては、キャリア
濃度が高くされた結果として前記の図2に示されるよう
に、エネルギー差(EF −EV )は、内部領域18の表
層領域20との境界付近よりも小さくなり、それに伴っ
て伝導帯下端のエネルギーレベルEC は高くなる。この
ため、偏極電子の取出効率が低下させられるが、本実施
例においては、前記のように表層領域20の厚さが5n
m程度と極めて薄くされているため、特に問題とならな
い。すなわち、第2半導体16の表面22がNEA状態
とされると、図4において実線で示されるように、幅W
の大きなバンドベンディングが発生して、表面22付近
のエネルギー準位は大きく湾曲させられ、その表面22
では大きく低下させられる。上記バンドベンディング領
域の幅Wは、下記 (1)式で与えられることが知られてお
り、本実施例のように第2半導体16がGaAsである
場合には、Eg =1.425eV、ΦP =(1/3)E
g、εS =13であるから、温度を300Kとすると、
下記 (2)式が得られる。更に、N=5×1018(c
-3)、Ni =1.1×107 (cm-3)であるから、
この (2)式からW=11.1nmが求められる。したが
って、キャリア濃度が比較的高くされた表層領域20の
厚さ(5nm程度)がバンドベンディング領域の幅Wよ
りも十分小さいため、図に示されるように表層領域20
のエネルギー準位が十分に低くされて、偏極電子の取出
効率は殆ど低下させられないのである。
【0022】
【数1】
【0023】なお、上記のようにNEA状態になってバ
ンドベンディングが生じた際には、第2半導体16にお
ける伝導帯下端のエネルギーレベルEC および価電子帯
上端のエネルギーレベルEV は、図4において破線で示
されるNEA状態となる前のそれぞれのエネルギーレベ
ルと対比すると明らかなように、表層領域20の内部領
域18との境界におけるEC およびEV が、NEA状態
となる前の内部領域18の表層領域20との境界におけ
るそれぞれのエネルギーレベルよりも低くなるように湾
曲させられる。
【0024】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することも
できる。
【0025】例えば、前記実施例ではエネルギー差(E
F −EV )、言い換えれば伝導帯のエネルギーレベルE
C が直線的に変化するように、Znのドーピング量が指
数関数的に変化させられていたが、このドーピング量の
変化態様は適宜変更され得、2段階,3段階、或いは4
段階以上の多段階など段階的に変化させたり、ドーピン
グ量自体を直線的に変化させたりしても良い。
【0026】また、前記実施例の偏極電子線発生素子1
0は半導体光電層としてストレインドGaAs半導体、
すなわち第2半導体16を備えていたが、GaAsP,
InGaAs,InGaAsP等の他のストレインド化
合物半導体、価電子帯に元々バンドスプリッティングを
有するカルコパイライト型半導体、GaAs薄膜とAl
GaAs薄膜等が交互に積層されて成る超格子、或いは
InPとGaPが規則的に配列されたInGa0.5
0.5 等の如く、規則配列によりバンドスプリッティング
が生じている化合物半導体が用いられても良い。これら
の半導体においてドーピングする不純物の種類や量は、
半導体光電層の種類に応じて適宜定められる。
【0027】また、前記実施例では基板12としてp−
GaAsが用いられ、第1半導体14としてp−GaA
0.830.17が用いられていたが、これらに代えて、A
lGaAs等の他の化合物半導体を用いても良い。更
に、基板12としてはSi基板等を用いることも可能で
ある。
【0028】また、前記実施例では第1半導体14の厚
さが2.0μm程度、第2半導体16の厚さが90nm
程度とされていたが、これらの厚さは適宜変更され得
る。また、第2半導体16において、キャリア濃度が高
くされる表層領域20は5nm程度とされていたが、こ
の表層領域20の厚さは、前記 (1)式から得られるバン
ドベンディング領域の幅Wよりも十分小さい範囲内で適
宜変更され得る。
【0029】また、前記実施例では第2半導体16の格
子定数が第1半導体14よりも大きく、膜厚方向におい
て引張応力が作用させられるようになっていたが、第1
半導体よりも格子定数が小さい第2半導体を採用し、圧
縮応力によって格子歪が生じさせられるようにすること
もできる。
【0030】また、前記実施例では第2半導体16より
もバンドギャップが大きい第1半導体14を備えていた
が、第1半導体としては少なくとも第2半導体と格子定
数が僅かに異なっておれば良く、バンドギャップが小さ
い半導体を用いることも可能である。例えば、前記p−
GaAs基板12を第1半導体として用い、その上に第
2半導体(半導体光電層)としてp−GaAs1-x x
半導体を直接設けることもできる。
【0031】また、半導体光電層の裏側に、半導体多層
膜や誘電体多層膜等の反射鏡を設けて励起光を反射する
ようにしたり、多重量子井戸構造のポテンシャル障壁を
設けて電子をはねかえすようにしたりすることもできる
など、素子構造は必要に応じて適宜変更され得る。
【0032】また、前記実施例では表面18に励起光を
照射するようになっていたが、GaAs基板12をエッ
チング等により切り欠いたり透明基板を用いたりして、
基板側から励起光を入射させるようにすることも可能で
ある。
【0033】また、前記実施例ではMOCVD法を用い
て半導体を積層する場合について説明したが、MBE
(分子線エピタキシー)法等の他のエピタキシャル成長
技術を用いることも勿論可能である。
【0034】その他、一々例示はしないが、本発明は当
業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で
実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である偏極電子線発生素子の
構成を説明する図である。
【図2】図1の偏極電子線発生素子における半導体光電
層のバンド構造を説明する図である。
【図3】GaAs半導体におけるキャリア濃度とエネル
ギー差(EF −EV )との関係を示す図である。
【図4】図1の偏極電子線発生素子の表面をNEA状態
にした場合におけるバンドベンディング状態を説明する
図であって、図2に対応する図である。
【符号の説明】
10:偏極電子線発生素子 16:第2半導体(半導体光電層) 18:内部領域 20:表層領域 22:表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 俊宏 愛知県春日井市中央台8丁目7番地の4 (72)発明者 中西 彊 愛知県名古屋市昭和区川名山町128−4 (72)発明者 堀中 博道 大阪府吹田市内本町2−5−25 (56)参考文献 特開 平4−329235(JP,A) 特開 平3−238729(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/34 - 1/35 H01J 37/073

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 価電子帯にバンドスプリッティングを有
    する半導体光電層を備え、該半導体光電層に励起光が入
    射されることにより該半導体光電層の表面からスピン方
    向が偏在している偏極電子線を発生する偏極電子線発生
    素子であって、 前記半導体光電層の不純物のドーピング量が、前記表面
    から所定距離以上内側に位置する内部領域では該表面側
    より内部側の方が多くされると共に、該内部領域よりも
    外側の表層領域では該内部領域の表面側よりも多くされ
    ていることを特徴とする偏極電子線発生素子。
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