JP3576631B2 - 偏極電子線発生素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光エネルギーを照射することにより、スピン方向が上下のいずれか一方に偏在する電子群よりなる偏極電子線を発生させる偏極電子線発生素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子線は、金属または半導体に高電圧を印加するか、または光エネルギーを照射するかして得られており、この電子線では、通常、スピン方向が互いに逆方向の電子同士がペアーとなって円偏極面内に無秩序に存在している。
そこで、スピン方向が上下のいずれか一方の電子のみを選択的に取り出すことにより、特定の円偏極成分方向に偏った偏極電子線を得ることができる。
偏極電子線とは、自由度を有する円偏極面内でスピンの方向が上下のいずれか一方に偏っている電子群のことであり、偏極電子線は、例えば、電子顕微鏡の電子線源、トンネル顕微鏡のトンネル電流を発生させるプルーブ等、遷移金属等の電子準位の中にスピン異方性のある材料の評価、あるいは原子核の内部または表面の磁気スピン構造、スピン異方性を有する電子軌道の評価等への応用が期待されている。
【0003】
偏極電子線は、GaAs等の化合物半導体に円偏光したレーザー光を照射することにより得られるが、この化合物半導体では、価電子帯においてスピン量子数の異なる2つの軌道が縮退するために、偏極度の充分な電子線を得ることが難しいという問題点があった。この場合、この化合物半導体に外部から一定方向の応力を加えることにより、価電子帯のスピン量子数の異なる2つの軌道の縮退を解き、偏極度の充分な電子線を得ることができるが、一定方向に制御された応力を発生させる必要があるために、装置全体の構造が複雑になり、実用化には不向きであった。
【0004】
そこで、例えば、図4に示すように、p−GaAsからなるせん亜鉛鉱型の化合物半導体単結晶基板1上に、p−Ga0.5In0.5Pからなる第1化合物半導体層2を形成し、この半導体層2上にp−GaAsからなる第2化合物半導体層3を形成した2層構造の偏極電子線発生素子が提案されている。(特開平4−69600号、特開平4−329235号等を参照のこと)
この素子では、第1化合物半導体層2と第2化合物半導体層3とは互いに格子定数が異なるために、これらの半導体層2,3間には格子歪を伴ったヘテロ接合が形成される。
【0005】
ここでは、GaAs系半導体結晶を用いているが、この結晶は、通常、図5に示すように、価電子帯においてスピン量子数の異なる2つの軌道、すなわち重いホール軌道のエネルギー準位5と軽いホール軌道のエネルギー準位6とが縮退し、エネルギーバンドのブリルアンゾーン・センター(波数ベクトル:k=0)において重なり合い、同一のエネルギー準位を有する。ここで、この結晶に一軸性の応力を加えると、図6に示すように、結晶の対称性が破れて縮退が解け、重いホール軌道のエネルギー準位5と軽いホール軌道のエネルギー準位6とが明瞭に分離される。
【0006】
この素子を用いて偏極電子線を発生させる際には、熱雑音を考慮する必要がある。熱雑音とは、熱エネルギーによるゆらぎで、kT(kはボルツマン定数、Tは絶対温度)により記述され、この素子の室温(25℃)における熱雑音は約26meV程度と見積られる。
この素子では、熱雑音の影響を小さくするために、液体窒素を用いて77Kに冷却した状態で使用される。この素子に円偏光レーザ光が照射されると、ヘテロ結合により第1化合物半導体層2に自発的に一軸性応力が発生し、重いホール軌道5の電子のみが選択的に伝導帯に励起されて放出されるので、偏極度の高い偏極電子線を取り出すことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の偏極電子線発生素子を室温で動作させようとした場合、重いホール軌道5と軽いホール軌道6との間のエネルギー差ΔEが26meV以下になると、この2つの軌道5,6の分離が曖昧となり、結果として双方の軌道5,6の電子が同時に伝導帯に励起されてしまうこととなる。したがって、熱雑音の影響が大きくなり、偏極電子線の発生効率が低下するという問題点があった。
そこで、熱雑音の影響を小さくするために、より大きな応力を加えて重いホール軌道5と軽いホール軌道6との間のエネルギー差ΔEを26meVより充分大きくすることも考えられるが、応力が増加すると、それに伴いヘテロ界面に多数の転位が発生するために、結果的に第1化合物半導体層2の結晶としての品質が低下し、素子としての信頼性が低下し寿命が短くなるという新たな問題点が生じる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、室温において熱雑音の影響を受けることなく動作させることができ、高信頼性及び長寿命の偏極電子線発生素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、応力による転位発生の制約を受けず、さらに、室温においても熱雑音の影響を受けることなく動作可能な偏極電子線発生素子を開発すべく鋭意研究した結果、次の様な知見を得た。
【0010】
一般に、GaPやInPは、せん亜鉛鉱型の結晶構造をとるIII−V族化合物半導体として知られている。これら化合物半導体の混晶であるGa0.52In0.48PはIII族の原子サイトにGa及びInがランダムに配置したもので、上記と同様にせん亜鉛鉱型の結晶構造をとることが知られている。このGa0.52In0.48PはGaAsと同一の格子定数を有するので、化学気相成長法(CVD)等によりGaAs基板上に成膜することができる。同様の理由により、Ga0.5In0.5P、(AlGa1−x0.52In0.48P、Al(Ga0.5In0.51−xP等の化合物半導体もGaAs基板上に成膜することができる。
【0011】
上記の結晶成長の条件を変えることにより、例えば、Ga0.52In0.48Pでは、結晶の[111]方向にGa原子層とIn原子層とがP原子層を挟んで交互に積層されたCu−Ptタイプの自然超格子が現れ、結晶構造は層状トリゴナルとなる。この構造は、GaAsと同一の格子定数を有するので、化学気相成長法(CVD)等によりGaAs基板上に成膜することができる。また、Ga0.5In0.5P、(AlGa1−x0.52In0.48P、Al(Ga0.5In0.51−xP等の化合物半導体も同様にGaAs基板上に成膜することができる。
【0012】
そして、化合物半導体層が層状トリゴナルの自然超格子構造をとると、該化合物半導体層における価電子帯のスピン量子数の異なる2つの軌道、すなわち重いホールの軌道と軽いホール軌道の縮退が解け、重いホールの価電子帯と軽いホールの価電子帯とを明瞭に分離することができる。
【0013】
例えば、Ga0.52In0.48P、Ga0.5In0.5P、(AlGa1−x0.52In0.48P、Al(Ga0.5In0.51−xP等の化合物半導体の場合、重いホールの価電子帯と軽いホールの価電子帯とのエネルギー差は約40meV程度になり、室温(25℃)における熱エネルギーのゆらぎである約26meVよりも充分大きくなる。
そこで、化合物半導体層を層状トリゴナルの自然超格子構造とすれば、価電子帯間のエネルギー差を室温における熱エネルギーのゆらぎより充分大きくとることができ、したがって、室温においても熱雑音の影響を受けることがなくなる。
【0014】
本発明の請求項1記載の偏極電子線発生素子は、光エネルギーを照射することにより、スピン方向が上下のいずれか一方に偏在する電子群よりなる偏極電子線を発生させる偏極電子線発生素子であって、化合物半導体単結晶基板上に、当該基板と異なる組成の化合物半導体層が格子整合して形成され、この化合物半導体層は、層状トリゴナルからなる自然超格子構造としたものである。
【0015】
請求項2記載の偏極電子線発生素子は、前記化合物半導体単結晶基板をGaAsとし、前記化合物半導体層を、Ga0.52In0.48P、Ga0.5In0.5P、(AlGa1−x0.52In0.48PまたはAl(Ga0.5In0.51−xP(ただし、0≦x≦1)のいずれか1種としたものである。
【0016】
請求項3記載の偏極電子線発生素子は、前記光を直線偏光または円偏光のいずれかとし、かつそのエネルギーの大きさを、前記化合物半導体層の伝導帯と重いホール軌道の価電子帯との間のエネルギー差に略相当するとしたものである。
【0017】
【作用】
本発明の請求項1記載の偏極電子線発生素子では、化合物半導体単結晶基板上に、当該基板と異なる組成の化合物半導体層を格子整合して形成し、この化合物半導体層を、層状トリゴナルからなる自然超格子構造としたことにより、重いホールの軌道と軽いホール軌道の縮退が解け、重いホールの価電子帯と軽いホールの価電子帯とは明瞭に分離され、これらの価電子帯間のエネルギー差が大きくなり、室温(25℃)で動作させた場合においても熱雑音の影響を受けることがなくなる。これにより、室温においても熱雑音の影響を受けることなく動作させることが可能になり、素子の信頼性が向上する。また、前記化合物半導体層に応力が働かないので、前記基板との間に転位等が発生せず構造が安定になり、素子の劣化がなくなり長寿命となる。
【0018】
請求項2記載の偏極電子線発生素子では、前記化合物半導体単結晶基板をGaAsとし、前記化合物半導体層を、Ga0.52In0.48P、Ga0.5In0.5P、(AlGa1−x0.52In0.48PまたはAl(Ga0.5In0.51−xP(ただし、0≦x≦1)のいずれか1種としたことにより、重いホール軌道と軽いホール軌道の縮退が解け、重いホールの価電子帯と軽いホールの価電子帯とは明瞭に分離され、これらの価電子帯間のエネルギー差は熱エネルギーのゆらぎよりも充分大きくなり、室温で動作させた場合においても熱雑音の影響を受けることがない。これにより、室温においても熱雑音の影響を殆ど受けることなく動作させることが可能になる。
【0019】
請求項3記載の偏極電子線発生素子では、前記光を直線偏光または円偏光のいずれかとし、かつそのエネルギーの大きさを、前記化合物半導体層の伝導帯と重いホール軌道の価電子帯との間のエネルギー差に略相当するとしたことにより、重いホールの価電子帯の電子を高効率で伝導帯に励起させる。これにより、スピン方向が上下のいずれか一方に偏在する電子群よりなる偏極電子線を高効率で発生させることが可能になる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の一実施例の偏極電子線発生素子について図面に基づき説明する。
図1は、本実施例の偏極電子線発生素子を示す断面図であり、図において、11はZnを添加したp−GaAsからなる化合物半導体単結晶基板(以下、単にGaAs基板と称する)、12はGaAs基板11上に格子整合して形成されたGa0.52In0.48Pからなる化合物半導体層(以下、GaInP層と称する)である。
【0021】
GaAs基板11は、
【数1】
Figure 0003576631
方向に傾斜(例えば15゜)させた(100)面を有するもの、または、例えば(511)で表される高指数の(n11)面を有するものが好適に用いられる。
【0022】
GaInP層12は、図2に示すように、結晶の[111]方向にGa原子層とIn原子層とがP原子層を挟んで交互に積層されたCu−Ptタイプの層状トリゴナルからなる自然超格子である。
化合物半導体層としては、GaInP層12以外に、Ga0.5In0.5P、(AlGa1−x0.52In0.48P(0≦x≦1)、Al(Ga0.5In0.51−xP(0≦x≦1)等が好適に用いられる。
ただし、例えば、(AlGa1−x0.52In0.48Pの場合、結晶構造は、[111]方向にGa及びAl原子層とIn原子層とがP原子層を挟んで交互に積層された層状トリゴナルとなる。
【0023】
ここで、GaInP層12を自然超格子とする方法について説明する。
通常、GaAs基板の表面上にCVD法によりGa0.52In0.48P層を形成すると、自然超格子は部分的または局部的に形成されることとなり、基板の表面全体にわたって形成するのは極めて難しい。しかも、この自然超格子は、その[111]方向と等価な4つの方向、すなわち、
【数2】
Figure 0003576631
の4つの方向のものが混在しているのが一般的である。
【0024】
そこで、GaAs基板の表面の[110]方向の原子ステップの密度を増大させるために、
【数3】
Figure 0003576631
方向に、例えば15゜傾斜させた(100)面を有するGaAs基板11、または、例えば(511)で表される高指数の(n11)面を有するGaAs基板を用い、このGaAs基板上に金属有機化学気相成長法(MOCVD)等により、材料作成温度を通常の約700℃より約100℃程度低くし、成膜速度を通常より大きくした条件の下で、GaInP層12を成膜した。
【0025】
ここで、作成温度を通常より約100℃程度低くし、成膜速度を通常より大きくした理由は、Cu−Ptタイプの自然超格子が熱力学的に不安定であり、薄膜を成膜する際の温度を低温にすれば、すでに形成された上記自然超格子が安定なせん亜鉛鉱構造に変態し難くなるためである。
以上により、室温においても熱雑音の影響を受けることなく動作させることができる偏極電子線発生素子を作製することができる。
【0026】
図3は、本実施例の素子の室温(25℃)におけるフォトルミネッセンスを示す図である。図中、太線は
【数4】
Figure 0003576631
方向のスペクトル(スペクトルA)、細線は[110]方向のスペクトル(スペクトルB)であり、スペクトルAの低エネルギー側のピークは重いホールの価電子帯による発光、高エネルギー側のピークは軽いホールの価電子帯による発光である。
【0027】
ここで用いた素子は、
【数5】
Figure 0003576631
方向に、例えば15゜傾斜させた(100)面を有するGaAs基板11上に、MOCVDにより、作成温度500℃、作成速度5μm/時間で作製した。
また、図3中の2つのスペクトルは、励起光源であるアルゴンイオンレーザに1/2波長板を挿入し、レーザ光のスピン方向をGaInP層12の[110]または
【数6】
Figure 0003576631
方向にそろえて偏光させ、各偏光を上記素子に入射して測定した。
前記レーザ光は、直線偏光または円偏光のいずれかであればよく、またそのエネルギーの大きさは、前記GaInP層12の伝導帯と重いホール軌道の価電子帯との間のエネルギー差ΔEに略相当する大きさであればなおよい。
【0028】
一般に、Ga0.52In0.48Pの[110]方向にスピンの方向が一致するレーザ光では、重いホールの価電子帯から電子が励起され、
【数7】
Figure 0003576631
方向にスピンの方向が一致するレーザ光では、重いホールの価電子帯と軽いホールの価電子帯の双方から電子が励起される。この理由は、電子のスピン量子数が重いホールと軽いホールとて異なるからである。
ここでは、この方法を用いて上記素子の重いホールの価電子帯と軽いホールの価電子帯とのエネルギー差ΔEを求めた。図3により、エネルギー差ΔEは34.6meVであり、室温においても熱雑音の影響を殆ど受けることなく動作させ得ることが明かになった。
【0029】
以上説明したように、本実施例の偏極電子線発生素子によれば、GaAs基板11と、GaAs基板11上に格子整合して形成されたGa0.52In0.48P、Ga0.5In0.5P、(AlGa1−x0.52In0.48P、Al(Ga0.5In0.51−xP(ただし、0≦x≦1)のいずれか1種からなる化合物半導体層12とにより構成したので、重いホールの価電子帯と軽いホールの価電子帯とを明瞭に分離し、これらの価電子帯間のエネルギー差が熱エネルギーのゆらぎよりも充分大きくなり、室温においても熱雑音の影響を殆ど受けることなく動作させることができる。したがって、素子の信頼性を向上させることができる。また、前記化合物半導体層12に応力が働かないので、前記GaAs基板11との間に転位等が発生しなくなり、構造が安定になる。したがって、素子の劣化を防止することができ長寿命とすることができる。
【0030】
また、前記レーザ光を直線偏光または円偏光のいずれかとし、かつそのエネルギーの大きさを、前記化合物半導体層の伝導帯と重いホール軌道の価電子帯との間のエネルギー差に略相当するとしたので、重いホールの価電子帯の電子を高効率で伝導帯に励起させることができ、スピン方向が上下のいずれか一方に偏在する電子群よりなる偏極電子線を高効率で発生させることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1記載の偏極電子線発生素子によれば、化合物半導体単結晶基板上に当該基板と異なる組成の化合物半導体層が格子整合して形成され、この化合物半導体層は層状トリゴナルからなる自然超格子構造としたので、重いホールの軌道と軽いホール軌道の縮退を解くことにより、重いホールの価電子帯と軽いホールの価電子帯とを明瞭に分離することができ、これらの価電子帯間のエネルギー差が大きくなる。したがって、室温においても熱雑音の影響を殆ど受けることなく動作させることができ、素子の信頼性を向上させることができる。また、前記化合物半導体層に応力が働かないので、前記化合物半導体単結晶基板との間に転位等が発生しなくなり、構造が安定になる。したがって、素子の劣化を防止することができ長寿命とすることができる。
【0032】
請求項2記載の偏極電子線発生素子によれば、前記化合物半導体単結晶基板をGaAsとし、前記化合物半導体層を、Ga0.52In0.48P、Ga0.5In0.5P、(AlGa1−x0.52In0.48PまたはAl(Ga0.5In0.51−xP(ただし、0≦x≦1)のいずれか1種としたので、重いホール軌道と軽いホール軌道の縮退を解くことにより、重いホールの価電子帯と軽いホールの価電子帯とを明瞭に分離することができ、これらの価電子帯間のエネルギー差が熱エネルギーのゆらぎよりも充分大きくなる。したがって、室温においても熱雑音の影響を受けることなく動作させることができる。
【0033】
請求項3記載の偏極電子線発生素子によれば、前記光を直線偏光または円偏光のいずれかとし、かつそのエネルギーの大きさを、前記化合物半導体層の伝導帯と重いホール軌道の価電子帯との間のエネルギー差に略相当するとしたので、重いホールの価電子帯の電子を高効率で伝導帯に励起させることができ、スピン方向が上下のいずれか一方に偏在する電子群よりなる偏極電子線を高効率で発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の偏極電子線発生素子を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例の偏極電子線発生素子のGaInP層の結晶構造を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施例の偏極電子線発生素子の室温(25℃)におけるフォトルミネッセンスを示す図である。
【図4】従来の偏極電子線発生素子を示す断面図である。
【図5】従来の偏極電子線発生素子の化合物半導体層の縮退されたエネルギー帯を示す説明図である。
【図6】従来の偏極電子線発生素子の化合物半導体層の縮退の解けたエネルギー帯を示す説明図である。
【符号の説明】
11 化合物半導体単結晶基板(GaAs基板)
12 化合物半導体層(GaInP層)

Claims (3)

  1. 光を照射することにより、スピン方向が上下のいずれか一方に偏在する電子群よりなる偏極電子線を発生させる偏極電子線発生素子であって、
    化合物半導体単結晶基板上に、当該基板と異なる組成の化合物半導体層が格子整合して形成され、
    この化合物半導体層は、層状トリゴナルからなる自然超格子構造であることを特徴とする偏極電子線発生素子。
  2. 前記化合物半導体単結晶基板はGaAsからなり、前記化合物半導体層は、Ga0.52In0.48P、Ga0.5In0.5P、(AlGa1−x0.52In0.48PまたはAl(Ga0.5In0.51−xP(ただし、0≦x≦1)のいずれか1種からなることを特徴とする請求項1記載の偏極電子線発生素子。
  3. 前記光は、直線偏光または円偏光のいずれかからなり、かつそのエネルギーの大きさは、前記化合物半導体層の伝導帯と重いホール軌道の価電子帯との間のエネルギー差に略相当することを特徴とする請求項1記載の偏極電子線発生素子。
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