JPH0918053A - 窒化物系化合物半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents

窒化物系化合物半導体発光素子およびその製造方法

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JPH0918053A
JPH0918053A JP16109895A JP16109895A JPH0918053A JP H0918053 A JPH0918053 A JP H0918053A JP 16109895 A JP16109895 A JP 16109895A JP 16109895 A JP16109895 A JP 16109895A JP H0918053 A JPH0918053 A JP H0918053A
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layer
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JP16109895A
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Kenji Uchida
憲治 内田
Akisada Watanabe
明禎 渡辺
Toshiaki Tanaka
俊明 田中
Shigekazu Minagawa
重量 皆川
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】サファイア基板上に、界面平坦性および表面モ
フォロジーが優れた窒化物系化合物系半導体層を形成し
て発光特性が良好な発光ダイオードもしくは半導体レー
ザ素子から成る発光素子を実現する。 【構成】サファイア基板1上に窒化物系化合物半導体層
を結晶成長するに際し、予めサファイア基板表層部にア
モルファス窒化層2を形成してから、低温にてGaNバ
ッファ層3を成長し高温にて素子構成に必要な窒化物系
化合物半導体層を成長する。このアモルファス窒化層2
は、例えば基板1を1000℃のNH3ガス雰囲気に晒
すことによって形成することができる。アモルファス窒
化層2の膜厚は、10nm以下、好ましくは1〜8nm
とする。これによって、表面が平坦で結晶性の良好な窒
化物系化合物半導体が形成でき、発光特性の良好な発光
ダイオードもしくは半導体レーザ素子が実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒化物系化合物半導体
層による発光素子構造をサファイア基板上に実現する窒
化物系化合物半導体発光素子およびその製造方法に係
り、特に、紫外領域の発光、発振が可能な窒化物系化合
物半導体から成る発光ダイオードおよび半導体レーザ素
子に好適な窒化物系化合物半導体発光素子およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばIII-V族の窒化物系化合物半導体
は、直接遷移型の大きなバンドギャップエネルギを有す
ることから短波長発光素子材料として期待されている。
しかし、この化合物半導体はウルツ型の結晶構造である
ために格子整合する良好な基板がない。このために、窒
化物系化合物半導体の結晶成長は同様な結晶構造を有す
るサファイアを基板結晶として古くから検討れてきた。
【0003】しかしながら、窒化物系化合物半導体とサ
ファイア基板との格子定数は大きく異なり、(000
1)面基板を用いた場合には、その面内方向で約+16
%もの格子不整合が存在する。このために、平坦な表面
モフォロジーの半導体層を得ることが困難であった。さ
らに、この大きな格子不整合により生成される構成元素
の空孔のために高濃度なp型半導体層を得ることも非常
に困難であった。
【0004】これに対し、例えばH. Amanoらに
よってAppl. Phys.Lett.Vol.28
(1986)353ページに報告されたように、サファ
イア基板上に低温でAlNバッファ層を成長後、高温で
窒化物系化合物半導体を成長する2段階成長法により比
較的平坦な半導体層が得られるようになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術に述べた2段階成長法によって得られた窒化物系
化合物半導体により発光ダイオードは実現されたもの
の、この材料による半導体レーザは未だ達成されていな
い。これは、2段階成長法によって得られた窒化物系化
合物半導体層の平坦性が従来に比べ向上したが、半導体
レーザへの適用を考えた場合その結晶性は十分なもので
はなかった。
【0006】具体的には、半導体レーザの活性層等とな
る非常に薄い半導体層で、界面平坦性を改善し、面内で
のラフネスを最低減にする必要がある。また、厚膜な窒
化物半導体層においても、その表面には高密度な六角状
の成長丘がみられ、半導体層の表面モフォロジーも十分
でなかった。また、窒化物系化合物半導体層を成長する
サファイア基板は非常に固く、それをエッチングする良
好なエッチング液がない。
【0007】このために、結晶成長前に基板の研磨キズ
等による内部応力が蓄積されたその表面を取り除くこと
が難しく、また、その表面には自然酸化膜が形成されて
いるために、低温AlNバッファ層成長時の供給原料で
ある窒素種やアルミニウム種の基板表面への吸着および
拡散等が低下する結果、六角状の成長丘が存在する表面
モフォロジーしか得られなかった。
【0008】したがって、本発明の目的は上記従来の2
段階成長法の問題点を解消すると共に、新規な結晶成長
構造による窒化物系化合物半導体発光素子およびその製
造方法を提供することにある。すなわち、具体的には窒
化物系化合物半導体層を成長する場合に、サファイア基
板の表層部を窒化してアモルファス窒化層を形成するこ
とで、サファイア基板表面の影響を受けることなく在来
の2段階成長法よりも界面平坦性および表面モフォロジ
ーが優れ半導体レーザへの適用が十分な半導体層を得る
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に以下の手段をとる。第1にサファイア基板表面上にア
モルファス窒化層を形成後、低温にてGaN系バッファ
層を成長し、高温にて例えばIII-V族の窒化物系化合物
半導体層を成長して、サファイア基板上にアモルファス
窒化層、GaN系バッファ層および窒化物系化合物半導
体層を順次形成した発光素子構造とする。
【0010】第2に上記に述べたサファイア基板表面上
に形成されるアモルファス窒化層の厚さを10nm以下
とする。そして好ましくは1〜8nmとする。
【0011】第3に基板上に形成するアモルファス窒化
層をAl2(O1-xx)3(但し、0<x≦1)を含む窒化
層とする。
【0012】第4にこのようなアモルファス窒化層を形
成したサファイア基板上に少なくとも(AlxGa1-x)y
In1-yN(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)から構成
される窒化物系化合物半導体層を成長することにより発
光素子構造を作製する。
【0013】そして、第5に基板上に順次形成される窒
化物系化合物半導体層の構造を発光ダイオードまたは半
導体レーザ用の多層構造とし、その方法により作製され
る発光素子を発光ダイオードまたは半導体レーザとす
る。
【0014】
【作用】以下、本発明の特徴となるサファイア基板上に
アモルファス窒化層を形成後、GaN系バッファ層およ
び窒化物系化合物半導体層を成長した場合の作用につい
て説明する。先にも述べたように従来技術である2段階
成長法によりサファイア基板上に低温でAlNバッファ
層を成長後、高温で窒化物系化合物半導体層を成長して
も半導体レーザとして十分に適用可能な界面平坦性およ
び表面モフォロジーを得ることができなかった。
【0015】これに対し、本発明の特徴となる低温Ga
N系バッファ層を成長する前にサファイア基板を窒素種
を含むガス、例えば窒素ガス、NH3ガス、モノメチル
ヒドラジン、ジメチルヒドラジン等のガス中にさらすこ
とにより、基板表層部にAl2(O1-xx)3(但し、0<
x≦1)を含むアモルファス窒化層を形成し、その後、
低温でGaNバッファ層を成長し、高温で窒化物系化合
物半導体層を成長することにより、六角状の成長丘がほ
とんどみられない表面モフォロジーが良好な半導体層を
得ることができた。
【0016】これは、窒化物系化合物半導体層を成長す
る前にサファイア基板表層部を窒化し、アモルファス窒
化層を形成することで、基板表面の自然酸化膜および内
部応力等の影響を受けることなく低温GaN系バッファ
層成長時の供給原料である窒素種やガリウム種の窒化層
への吸着および窒化層上での拡散等を促進する効果があ
るためである。
【0017】すなわち、サファイア基板表層部のアモル
ファス窒化層が、その後の結晶成長に好ましい作用効果
をおよぼす理由についてさらに詳述すると、アモルファ
ス化された基板表層部には窒素原子が存在するので、そ
れが有機金属気相成長法によるGaN系バッファ層およ
び窒化物系化合物半導体の結晶成長に際して、気相成長
雰囲気からの窒素が基板表層で吸着され易く、かつ、基
板表面での窒素のマイグレーション(拡散)が促進さ
れ、それが結晶成長の平坦化と結晶性に良好な結果をも
たらすものと考察する。
【0018】次に、サファイア基板の表層部に形成され
るアモルファス窒化層の厚さと表面特性との関係につい
て詳細に検討したのでその結果について説明する。アモ
ルファス窒化層の膜厚は、基板表面の平坦化に大きく影
響することがわかり、前述したように10nm以下とす
ることが望ましく、好ましくは1〜8nmとすることで
あり以下、この膜厚の作用について説明する。
【0019】なお、測定試料の作製においては、周知の
有機金属気相成長装置を用い、サファイア基板を100
0℃に保持した状態で一定時間水素ガスを流した後、ガ
ス雰囲気をNH3ガスに切換てサファイア基板を所定時
間NH3ガス雰囲気にさらすことによって基板表面にア
モルファス窒化層を形成した。このようにして得られた
試料について、光電子分光法による表面分析および原子
間力顕微鏡による表面観察を行なった。
【0020】図1は、光電子分光法により分析したサフ
ァイア基板表面からのN1sスペクトル強度の窒化時間依
存性を示した特性曲線図である。横軸は窒化時間、縦軸
はN1sスペクトルの積分強度である。図に示すように窒
化時間の増加と共にスペクトル強度の増大がみられた。
この増大は、サファイア基板の構成原子である基板表面
の酸素原子(O)に入れ変わって窒素原子(N)が入り込
み、基板のアルミ原子(Al)と結合しAl2(O1-xx)3
(但し、0<x≦1)層を形成しているためと考えられ
る。しかし、そのスペクトル強度は、窒化時間t1(3
分)近くで飽和し始め時間t2(5分)までほぼ一定で
あった。その後、その強度は窒化時間t2からt3(20
分)の範囲で再び増加した。以上、光電子分光法による
表面分析の結果、N1sスペクトルの積分強度は窒化時間
1からt2の範囲で一定となることがわかった。
【0021】次に、これら表層部を窒化したサファイア
基板について原子間力顕微鏡による表面観察を行なっ
た。図2は、原子間力顕微鏡により観察された基板表面
の模式的な断面図を示したものである。スペクトル強度
が増大し飽和し始めた窒化時間t1の試料では、図2
(a)に示すように窒化層2が基板1表面に平坦に形成
されていることがわかった。
【0022】これに対し、強度が飽和した窒化時間t2
の試料では、図2(b)に示すように、幾つかの針状の
結晶核17の成長が窒化層2上に見られた。そして、再
び強度が増大し始めた窒化時間t3の試料では、図2
(c)に示すようにその針状の結晶核17がさらに成長
し、その密度も増大していることがわかった。この結果
から、はじめに基板表面には時間とともに窒化層2が平
坦に形成され、その後、窒化時間が長くなると共に窒化
層表面に針状の結晶核17が成長し始め、その後、窒化
層表面の平坦性が著しく悪くなることがわかった。
【0023】この結晶核17の成長は、サファイア基板
1と窒化層2であるAlN層との間に存在する大きな圧
縮歪みによるものと考えられる。以上の結果から、光電
子分光法による表面分析の結果みられたN1sスペクトル
強度の飽和は、サファイア基板表面に窒化層が均一に形
成された状態を意味し、また、その後再びみられた強度
の増大は窒化層上に多数の針状の結晶核が成長したため
である。
【0024】この結果から、窒化層の厚さには、最適値
があることがわかった。これらの試料について行った透
過電子顕微鏡による窒化層の観察の結果、窒化層が平坦
に形成された窒化時間t1の試料でその膜厚は約1nm
であった。また、結晶核17が成長し始める窒化時時間
2の試料では、その膜厚は約10nmであった。
【0025】以上述べたように窒化層表面の分析、観察
および膜厚測定の結果、平坦に形成される窒化層を得る
にはその厚さを窒化層が形成しはじめる1nm以上10
nm以下、好ましくは1〜8nmにすることである。な
お、このようにして得られたサファイア基板表層部の窒
化層について構造解析したところ、アモルファスである
ことが確認された。
【0026】この結果から、基板の表面改質処理として
アモルファス窒化層を形成したサファイア基板上には、
周知の有機金属気相成長法により良質の窒化物系化合物
半導体層が形成できる。例えば、(AlxGa1-x)yIn
1-yN(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)の多層構造を
順次成長させることより、紫外領域の発光、発振が可能
な発光ダイオードまたは半導体レーザの発光素子を実現
できる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面にしたがって
説明する。 〈実施例1〉図3、図4を用いて発光ダイオードの構造
とその製造方法の一例を説明する。図3は、サファイア
基板上に成長した窒化物系化合物半導体層による発光ダ
イオード用ダブルヘテロ構造の断面図を、図4はこのダ
ブルヘテロ構造を用いて発光ダイオード素子構造を実現
した断面図を、それぞれ示したものである。
【0028】図3に示したダブルヘテロ構造の結晶成長
について説明すると、まず、サファイア基板1の(00
01)面を1000℃のNH3ガスに4分間さらすこと
により、基板表面に厚さ8nmのアモルファスAl2(O
1-xx)3(但し、この例ではx=0.5)層2を形成し
た。このときのアモルファス窒化層2の形成は、N種を
含むNH3等のガスまたはNを含む有機化合物からなる
ガスのどちらでもよい。また、基板表層の酸素の一部を
窒素で置換する量(0<x≦1)は、処理温度と処理時
間と制御することによりある程度任意に設定することが
できる。
【0029】この基板表層部の窒化処理の後、周知の有
機金属気相成長法により500℃にてGaNバッファ層
3(厚さ15nm)を成長する。次いで、1000℃に
てn−GaNコンタクト層4(厚さ2μm、n=2×1
18cm-3)、n−GaNクラッド層5(厚さ2μm、
n=1×1018cm-3)、ZnドープしたGa0.9In
0.1N活性層6(厚さ0.1μm、p=1×1018
-3)、p−GaNクラッド層7(厚さ2μm、n=1
×1018cm-3)およびp−GaNコンタクト層8(厚
さ1μm、n=3×1018cm-3)を、順次結晶成長し
た。このような結晶成長は、有機金属気相成長法の代わ
りに分子線ビームエピタキシー法で行なってもよい。
【0030】次に、酸化膜形成およびホトリソグラフィ
工程後のエッチング工程と云った周知の素子形成工程に
したがって、図4に示すような段差をn−GaNコンタ
クト層4まで形成する。このときのエッチングはウエッ
ト、RIE、RIBE、イオンミリング等、方法を問わ
ない。このエッチングは表面からn−GaNクラッド層
5まで完全に除去し、n−GaNコンタクト層4の途中
で止まるようにする。その後、再び酸化膜およびホトリ
ソグラフィ技術を用いて電子ビーム蒸着法およびリフト
オフにてp側電極(Ni/Au)9、n側電極(Ti/
Al)10を形成する。
【0031】このようにして、図4に示すような断面構
造の発光ダイオード素子を得た。この試作した発光ダイ
オード素子に約20mAの電流注入を行ったところ、波
長450nmにピークを持つ強い自然放出光の発光スペ
クトルを観測した。
【0032】なお、比較例として基板表層に図3のアモ
ルファス窒化層2を形成せずに、直接GaNバッファ層
3を形成したものと、アモルファス窒化層2を15nm
の厚さとしたものとを、それぞれ作成して上記実施例と
同様の発光ダイオード素子を製造して特性比較を行なっ
た。その結果、いずれの比較例も、自然放出光が非常に
弱く、本実施例より著しく劣るものであった。
【0033】〈実施例2〉図5、図6を用いて半導体レ
ーザ素子の構造とその製造方法の一例を説明する。すな
わち、図5は、サファイア基板上に成長した窒化物系化
合物半導体層による半導体レーザ用ダブルヘテロ構造の
断面図を、図6はこのダブルヘテロ構造を用いて半導体
レーザ構造を実現した斜視図を、それぞれ示したもので
ある。図5に示すように、実施例1と同様の方法でサフ
ァイア基板1の表層部を窒化し、厚さ8nmの窒化層2
を形成した。
【0034】その後、周知の有機金属気相成長法によ
り、GaNバッファ層3(厚さ15nm)を成長し、n
−GaNコンタクト層4(厚さ2μm、n=2×1018
cm-3)、n−Al0.1Ga0.9Nクラッド層11(厚さ
2μm、n=1×1018cm-3)、アンドープGa0.9
In0.1N活性層12(厚さ60nm)、p−Al0.1
0.9Nクラッド層13(厚さ1μm、n=7×1017
cm-3)およびp−GaNコンタクト層8(厚さ1μ
m、n=3×1018cm-3)を順次結晶成長した。
【0035】次に、図6に示すように、実施例1と同様
のエッチング工程によって段差をn−GaNコンタクト
層4まで形成する。このときのエッチングはウエット、
RIE、RIBE、イオンミリング等、方法を問わな
い。その後、周知の酸化膜形成工程およびホトリソグラ
フィ技術を用いて電子ビーム蒸着法およびリフトオフに
てp側電極(Ni/Au)9、n側電極(Ti/Al)
10を形成した。但し、このp側電極9は、酸化膜スト
ライプ14上に形成されており電流狭窄構造になってい
る。その後、サファイア基板1を厚さ約100μmまで
研磨し、へき開により、共振器長1mmの利得導波型構
造のレーザ素子とした。
【0036】この後、素子の前面にλ/4(λ:発振波
長)の厚みの低反射膜15を、素子の後面に高反射膜1
6を、それぞれ形成した。このような利得導波路型構造
の半導体レーザ素子に電流注入を行ったところ、約20
mAで波長400nmにピークをもつ強い自然放出光が
みられた。そして、さらに電流注入量を増した約80m
Aではスペクトル幅が狭い誘導放出光がみられはじめ、
約90mAで波長395nmのレーザ発振を確認した。
【0037】なお、比較例として基板表層に図5のアモ
ルファス窒化層2を形成せずに、直接GaNバッファ層
3を形成したものと、アモルファス窒化層2を15nm
の厚さとしたものとを、それぞれ作成して上記実施例と
同様の半導体レーザ素子を製造して特性比較を行なっ
た。その結果、基板表層部にアモルファス窒化層2を形
成せずに、直接GaNバッファ層3を形成したものは発
振せず、また、アモルファス窒化層2を15nmの厚さ
としたものにおいてもレーザ発振はみられず本実施例よ
り著しく劣るものであった。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により所期
の目的を達成することができた。すなわち、窒化物系化
合物半導体層を成長する場合に、サファイア基板表面の
エッチングをしなくても、基板表層部を窒化してアモル
ファス窒化層を形成することで基板表面の自然酸化膜や
内部応力等の影響を受けることなく、低温GaN系バッ
ファ層成長時の供給原料である窒素種やガリウム種の窒
化層への吸着および窒化層上での拡散等を促進し、在来
の2段階成長法よりも界面平坦性および表面モフォロジ
ーが優れ、半導体レーザへの適用が十分な半導体層を得
ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】光電子分光法により分析したサファイア基板表
面からのN1sスペクトル強度の窒化時間依存性を示し
た特性曲線図。
【図2】原子間力顕微鏡により観察された基板表面の断
面図を模式的に示した説明図。
【図3】本発明の一実施例となる発光ダイオード用ダブ
ルヘテロ構造を示した断面図。
【図4】同じく発光ダイオード素子の断面構造図。
【図5】本発明の他の一実施例となる半導体レーザ用ダ
ブルヘテロ構造を示した断面図。
【図6】同じく半導体レーザ素子の斜視図。
【符号の説明】
1…サファイア基板、 2…アモルファス窒化層〔Al2(O1-xx)3〕、 3…GaNバッファ層、 4…n−GaNコンタクト層、 5…n−GaNクラッド層層、 6…ZnドープGaInN活性層、 7…p−GaNクラッド層、 8…p−GaNコンタクト層、 9…p側電極、 10…n側電極、 11…n−AlGaNクラッド層、 12…アンドープGaInN活性層、 13…p−AlGaNクラッド層、 14…酸化膜ストライプ、 15…低反射膜、 16…高反射膜、 17…針状結晶核(窒化層)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 皆川 重量 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】サファイア基板上に、GaN系バッファ層
    を介して窒化物系化合物半導体層を設けた構造の窒化物
    系化合物半導体発光素子であって、前記サファイア基板
    表層部に基板のアモルファス窒化層を形成し、前記アモ
    ルファス窒化層上に前記GaN系バッファ層を形成して
    成る窒化物系化合物半導体発光素子。
  2. 【請求項2】上記基板表層部のアモルファス窒化層の厚
    さを10nm以下として成る請求項1記載の窒化物系化
    合物半導体発光素子。
  3. 【請求項3】上記基板表層部のアモルファス窒化層を、
    Al2(O1-xx)3(但し、0<x≦1)を含む窒化層で
    構成して成る請求項1もしくは2記載の窒化物系化合物
    半導体発光素子。
  4. 【請求項4】上記窒化物系化合物半導層を、少なくとも
    (AlxGa1-x)yIn1-yN(但し、0≦x≦1、0≦y
    ≦1)から構成される窒化物系化合物半導体層として成
    る請求項1乃至3いずれか一つに記載の窒化物系化合物
    半導体発光素子。
  5. 【請求項5】上記窒化物系化合物半導体発光素子を発光
    ダイオードとして成る請求項1乃至4いずれか一つに記
    載の窒化物系化合物半導体発光素子。
  6. 【請求項6】上記窒化物系化合物半導体発光素子を半導
    体レーザとして成る請求項1乃至4いずれか一つに記載
    の窒化物系化合物半導体発光素子。
  7. 【請求項7】サファイア基板上に、気相成長によりGa
    N系バッファ層と、窒化物系化合物半導体層とを順次結
    晶成長する工程を含む窒化物系化合物半導体発光素子の
    製造方法において、前記GaN系バッファ層を形成する
    工程の前処理工程として、サファイア基板表面を少なく
    とも800℃の加熱下で窒素ガスもしくは窒素を含むガ
    ス雰囲気に晒し、サファイア基板の表層を窒化してアモ
    ルファス窒化層を形成する工程を有して成る窒化物系化
    合物半導体発光素子の製造方法。
  8. 【請求項8】上記サファイア基板の表層を窒化してアモ
    ルファス窒化層を形成する工程を、処理温度と処理時間
    とを制御してAl2(O1-xx)3(但し、0<x≦1)を
    含むアモルファス窒化層を形成する工程として成る請求
    項7記載の窒化物系化合物半導体発光素子の製造方法。
  9. 【請求項9】上記気相成長によりGaN系バッファ層上
    に窒化物系化合物半導体層を結晶成長する工程において
    は、(AlxGa1-x)yIn1-yN(但し、0≦x≦1、0
    ≦y≦1)から構成される窒化物系化合物半導体層を形
    成する工程を有して成る請求項7記載の窒化物系化合物
    半導体発光素子の製造方法。
  10. 【請求項10】サファイア基板の表層を窒化してアモル
    ファス窒化層を形成する工程およびGaN系バッファ層
    の形成に引き続く上記窒化物系化合物半導体層の結晶成
    長工程が、発光ダイオードの形成工程を含む請求項7乃
    至9いずれか一つに記載の窒化物系化合物半導体発光素
    子の製造方法。
  11. 【請求項11】サファイア基板の表層を窒化してアモル
    ファス窒化層を形成する工程およびGaN系バッファ層
    の形成に引き続く上記窒化物系化合物半導体層の結晶成
    長工程が、半導体レーザの形成工程を含む請求項7乃至
    9いずれか一つに記載の窒化物系化合物半導体発光素子
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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