JPH07114638B2 - 即席乾燥麺の製造方法 - Google Patents

即席乾燥麺の製造方法

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JPH07114638B2
JPH07114638B2 JP1209022A JP20902289A JPH07114638B2 JP H07114638 B2 JPH07114638 B2 JP H07114638B2 JP 1209022 A JP1209022 A JP 1209022A JP 20902289 A JP20902289 A JP 20902289A JP H07114638 B2 JPH07114638 B2 JP H07114638B2
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節夫 中島
伸二 竹田
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ノンフライ即席乾燥麺の製造法に関する。さ
らに詳細には、柔らかく歯切れのよい麺の食感、加熱感
のある香ばしい風味、湯もどし後のスープのマイルド感
という油揚げ麺の特徴を有しながらも、油揚げ麺に比較
してカロリーが低減され、油の酸化が抑制されたノンフ
ライ即席乾燥麺の製造法に関する。
(従来の技術) 従来より、食用油等を麺線表面に付着させた後乾燥させ
て、油揚処理をせずに麺に味付をし、油揚麺様の味覚を
もった即席麺を製造する方法は知られていた。例えば、
特開昭61−15661号に開示されている方法は、未加熱の
食用油、水溶性調味液、着味油および着香油等の一種を
麺線表面に付着させた後マイクロ波を照射しながら真空
乾燥するものである。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、従来の方法に比較して食用油が麺線内部に均
一に分散吸収され、さらに、香ばしい食用油の香りが付
与されたノンフライ即席乾燥麺を製造することを目的と
する。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、生麺線を蒸煮処理する前および/または
後に麺線表面に食用油を付着させること、麺線表面に付
着させる食用油を予め加熱後冷却しておくこと、並び
に、乾燥方法として過熱水蒸気で乾燥処理を施すこと、
以上の3要件を同時に満足することによって、前記課題
を達成できるとの知見を得た。こうした知見を基に完成
された本発明の要旨は、常法により得られた生麺線を蒸
煮処理する前および/または後に、麺線表面に予め加熱
後冷却した食用油を付着させ、次いで過熱水蒸気で乾燥
処理を施すことである。
まず、本発明では小麦粉、食塩等の麺原材料等に加水処
理、混つね処理、製麺処理を施して生麺を得る。上記製
麺処理は、通常の圧延式ロールを経た後切り出しカット
する方式によるもの、あるいはエクストルーダー等押出
式によるもの等、何れの製麺方式の採用も可能である。
上記のようにして得られた生麺の水分含量は30〜40重量
%程度でよい。該生麺は次に蒸煮処理を施すが、本発明
の特徴の一つは、該蒸煮処理の前および/または後に麺
線表面に食用油を付着させることである。すなわち、製
麺後過熱水蒸気による乾燥処理を施す前のいずれかの時
期に麺線表面に食用油を付着させることが必須であり、
これにより麺線表面の食用油を麺線内部に吸収される。
これとは逆に、過熱水蒸気による乾燥処理を施した後に
麺線表面に食用油を付着させても、食用油を麺線内部に
充分に吸収させ得ない。
食用油を麺線表面に付着させる方法としては、食用油を
麺線表面に噴霧する方法、麺を食用油中に浸漬する方
法、食用油を麺線表面に塗布する方法等を列挙すること
ができる。食用油を麺線表面に噴霧する方法としては、
スプレーガン、シャワー方式等により食用油を麺線表面
に噴霧する方法等を採用することができる。麺を食用油
中に浸漬する方法を採用する場合は、浸漬後に適宜重力
作用、遠心力作用等による油切りにより食用油の量を調
整してもよい。食用油を麺線表面に塗布する方法として
は、刷毛を使用する等、適宜手段により食用油を麺線表
面に塗布する方法を採用することができる。なお、上記
した蒸煮処理は麺線をα化することを目的とするもので
あり、この目的を達成することができる方法であれば特
に限定されず、例えば、100℃前後で約20〜150秒間の条
件を採用すればよい。
次に、本発明の第2の特徴は、上記麺線表面に付着させ
る食用油を予め加熱後冷却しておくことである。食用油
を予め加熱することにより、加熱感のある香ばしい食用
油の風味が付与される。また、該食用油を予め加熱した
後冷却することが必要である。食用油を加熱後冷却せず
に麺線表面に付着させると、食用油の熱によって該食用
油が付着した部分が先に乾燥するため、後工程の過熱水
蒸気による乾燥処理時での乾燥が均一にならない。さら
に、食用油が麺線表面を先に乾燥させて食用油の吸収が
麺線表面に止まるため、過熱水蒸気による乾燥処理を経
た後も食用油が麺線内部にまで充分に吸収されない。し
たがって、食用油を予め加熱した後冷却することによ
り、後工程の乾燥が均一になり、食用油が麺線内部にま
で充分に吸収される。
本発明において食用油は、植物油脂および動物油脂のう
ちの1種または2種以上を混合して使用すればよい。ま
た、食用油の加熱温度としては上記効果が期待できる温
度であれば特に限定されないが、好ましくは120〜160℃
である。また、食用油を予め加熱した後の冷却温度とし
ては上記効果が期待できる温度であれば特に限定されな
いが、好ましくは50℃以下である。食用油を麺線表面に
付着させる量は、麺に対して1〜15重量%、好ましくは
5〜10重量%でよい。
本発明の第3の特徴は、上記方法により蒸煮処理の前お
よび/または後に麺線表面に食用油が付着された蒸麺を
乾燥するに当たり、過熱水蒸気による乾燥手段を採用す
ることである。すなわち、過熱水蒸気で乾燥処理を施す
ことにより麺の膨化度合が高く、均一な微細孔を形成
し、しかも該微細孔中に食用油が均一に分散した即席乾
燥麺を得ることができる。
過熱水蒸気による乾燥処理を施すに当たり、過熱水蒸気
の温度としては110〜350℃、好ましくは130〜250℃、さ
らには150〜180℃の条件が好ましい。過熱水蒸気中には
空気を12%(体積比)以下、好ましくは5%(体積比)
以下、さらに好ましくは2〜3%(体積比)混入させ
る。また、蒸煮麺中の水分蒸散速度を生麺100g当り0.15
〜1.00g/秒、好ましくは0.25〜1.00g/秒とし、30〜120
秒間乾燥処理を施す。
なお、本発明では過熱水蒸気による乾燥処理は麺の膨化
を主目的としている。したがって、過熱水蒸気による乾
燥処理を施した麺が充分に膨化した後に、さらに他の乾
燥手段、すなわち熱風乾燥、マイクロ波乾燥、あるいは
遠赤外線乾燥等の乾燥手段によって所望の最終水分含量
にまで乾燥を進めることも何ら差支えなく、本発明の効
果は奏し得る。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。
(実施例) 実施例 準強力粉2000g、馬鈴薯澱粉1000g、卵粉10g、食塩30g、
かんすい粉10gに水1000gを加え混捏し、常法により圧延
(麺厚1.10mm)した後、角20番の切り刃ロールにて切り
出すと同時にカットして一食分の生麺(90g、水分含量3
5重量%)を得た。
次に予め150℃に加熱した後に常温まで自然冷却させた
パーム油をスプレーガンにより上記生麺線表面に噴霧し
て5.7g(対生麺6.3重量%)のパーム油を付着させ、こ
れを蒸煮処理(100℃、120秒)して蒸麺を得た。
その後これを適宜ほぐし、然る後空気が4%(体積比)
混入した温度180℃、流速7m/秒の加熱水蒸気により40秒
間乾燥処理を施して乾燥麺(サンプルA)を得た。な
お、上記の過熱水蒸気による乾燥処理時の麺内の水分蒸
散速度は0.64g/秒であった。
比較例1 未加熱のパーム油を使用すること以外は、実施例と同様
の方法により乾燥麺(サンプルB)を得た。
比較例2 マイクロ波を照射しながら真空乾燥すること以外は、実
施例と同様の方法により乾燥麺(サンプルC)を得た。
なお、乾燥条件は、マイクロ波を照射(1.5kW、2450MH
z)しながら真空乾燥(真空度160Torr)する処理を3分
間施した後マイクロ波照射および減圧状態を解除し、10
分間静置し、次いで上記の同様のマイクロ波照射および
真空乾燥の処理を2分間施すというものである。
比較例3 未加熱のパーム油を使用すること以外は、比較例2と同
様の方法により乾燥麺(サンプルD)を得た。
以上得られた乾燥麺サンプルにつきその性状の比較を10
人のパネラーによる官能テストにより行った。その結果
を第1表に示す。
第1表は、サンプルA、B、C、Dについてそれぞれ、
加熱感のある食用油の香ばしい風味がするか、湯もどし
後のスープのマイルド感はあるか、コシ・弾力は良好
か、総合的に美味しいと思うか(総合評価)の各項目に
対して10人のパネラーに「はい」と「いいえ」で解答し
てもらい、「はい」と答えた人数を表わしたものであ
る。なお、各項目につき複数解答可とした。
第1表より、加熱感のある食用油の香ばしい風味の有無
は、予め加熱後冷却した食用油を使用するか否かに影響
されており、湯もどし後のスープのマイルド感の有無、
コシ・弾力の良否は、乾燥方法に影響されているといえ
る。具体的には、予め加熱後冷却した食用油を使用した
サンプルAおよびCは食用油の香ばしい風味がしている
と答えたパネラーが多いのに対し、未加熱の食用油を使
用したサンプルBおよびDは食用油の香ばしい風味がし
ていると答えたパネラーが少ないことが示されている。
過熱水蒸気による乾燥処理を施したサンプルAおよびB
はスープのマイルド感がある、コシ・弾力が良好である
と答えたパネラーが多いのに対し、マイクロ波を照射し
ながら真空乾燥を施したサンプルCおよびDはスープの
マイルド感がある、コシ・弾力が良好であると答えたパ
ネラーが少ないことが示されている。また、総合評価は
圧倒的にサンプルAが高い。
以上より、予め加熱後冷却した食用油を使用すること、
過熱水蒸気による乾燥処理を施すことのいずれが欠けて
も本発明の効果を奏しないことが立証された。
また、サンプルAとCは共に予め加熱後冷却した食用油
を使用したものであるにもかかわらず、サンプルAの方
が食用油の香ばしい風味がしていると答えたパネラーが
多く、サンプルAとBは共に過熱水蒸気による乾燥処理
を施したものであるにもかかわらず、サンプルAの方が
スープのマイルド感があると答えたパネラーが多い。
以上より、サンプルAは、予め加熱後冷却した食用油を
使用することと、過熱水蒸気による乾燥処理を施すこと
の両方を満たすことによる相乗効果を奏したものと推定
される。すなわち、予め加熱後例した食用油を使用する
ことにより、スープのマイルド感が得られるという影響
を及ぼし、過熱水蒸気による乾燥処理を施すことによ
り、加熱感のある食用油の香ばしい風味を与えるような
影響を及ぼしたことが推定される。
(発明の効果) 本発明によると、油揚げ麺の特徴を有しながらも、油揚
げ麺に比較してカロリーの低下、油の酸化の抑制をする
ことができる。特に、本発明によると、麺線表面に食用
油を付着させた後の乾燥手段として、過熱水蒸気による
乾燥処理を採用するものであり、麺の膨化度合が高く、
均一な微細孔を形成する。そのため、従来の味付けα化
麺等に比較して食用油が麺線内部の微細孔中に均一に分
散吸収される。したがって、従来の味付けα化麺等に比
較して、よりいっそう湯もどし後のスープ中の食用油が
細かく均一に分散するため、油揚げ麺の場合と同様にス
ープが白濁し、より油揚げ麺の湯もどし後のスープに近
いマイルド感を得ることができる。また、湯揚げ麺の風
味、食感に近い即席乾燥麺を製造することができ、コ
シ、弾力が非常に好ましい。さらに、一旦加熱した食用
油を使用するものであるため、麺に加熱感のある香ばし
い食用油の風味が付与される。
フロントページの続き (72)発明者 廣岡 美砂子 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品工業株式会社内 審査官 加藤 孔一

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】常法により得られた生麺線を蒸煮処理する
    前および/または後に、麺線表面に予め加熱後冷却した
    食用油を付着させ、次いで過熱水蒸気で乾燥処理を施す
    ことを特徴とする即席乾燥麺の製造方法。
  2. 【請求項2】食用油を予め120〜160℃に加熱する請求項
    (1)記載の即席乾燥麺の製造方法。
  3. 【請求項3】食用油を麺に対して1〜15重量%付着させ
    る請求項(1)および(2)記載の即席乾燥麺の製造方
    法。
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