JPH0711397U - 字消し具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ペン式字消し具における、用液のボタ落ちを
防止するとともに、製造工程の簡略化を図るものであ
る。 【構成】 チップ先端部の内側に用液調整球受け段部を
設けるとともに、チップ内に、台座を有する棒状部材及
び、基底部においては外周をチップ内径に接するスプリ
ングを配設した上、その棒状部材の台座部のチップ基底
部側に略圧縮したスプリングの先端部を、又、用液調整
球に棒状部材先端部をそれぞれ当接させてなるものであ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、チップ内に導通する字消し用液をチップ先端の用液調整球を介し て適当量流出させるペン式字消し具の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、チップ内に字消し用導通部を有し、チップ先端に配設される用液調整球 によって用液の流出量を適宜に調節する字消し具は、その用液調整球がチップ先 端部にかしめられるとともに、チップ内に配設されたスプリングによって支持さ れることにより構成され、一方、そのスプリングは全長において同一径であって 、チップの基底部側に設けられた係止突起等に係合することによって固定されて いた。すなわち、チップ先端に用液調整球を嵌入した上、チップ先端部をかしめ て用液調整球を回転自在に固定し、更に、用液調整球の径より小径であって全長 において同一径長であり、且つ、適宜に押圧した状態において、その固定された 用液調整球とチップ基底部側に設けられた係止突起の双方に接する長さを有する スプリングをチップ基底部より挿入し、そのスプリングの先端部を用液調整球に 当接させるとともに、他方のチップ基底部側をチップの基底部に設けられた係止 突起に係合させることにより構成されていた。これにより、この字消し具を使用 しない状態においては、スプリングが用液調整球をチップ先端のかしめ部に対し て常に押圧するので、チップ先端部と用液調整球との間に間隙がなくなり、チッ プ内の用液導通部に貯溜された用液がその先端部より外部に流出することもなく 、又、外気が逆に用液導通部に流入して、用液を固着することもない。一方、字 消し具の使用に際しては、その使用対象部分に対して、この字消し具を立てなが ら押圧して移動させることにより、用液調整球がその押圧力によってチップ内部 側へ移動し、チップ先端部との間に間隙が生じ、その間隙より用液導通部を導通 する用液が紙面上の文字等の使用対象部分に対して流出してその文字等を消しさ り、この押圧を停止すると、チップ後端部に設けられた係止突起を基点としてス プリングが用液調整球をチップ先端側へ押圧するので、再び元の状態に復帰する こととなる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来の字消し具においては、使用されるスプリングの径長 が全長にわたって同一であることから、第一に、使用対象部分が細かくなるのに 応じて、用液調整球の径を小さくしなければならないところ、スプリングの径が 常にその用液調整球の径より小さくなければならないことから、十分な弾性を有 する細径のスプリングの製造が困難であるとともに、スプリングが挿入されるチ ップ内の中空部分の壁面とスプリングとの間に余分な間隙が生じ、用液調整球を チップ先端部側から押圧した際、スプリング自体が屈曲して捩じれる危険性があ った。又、第二に、字消し具の製造工程において、チップ先端側から先にスプリ ングをチップ内に挿入した上、用液調整球を挿入してチップ先端部をかしめると すると、スプリングが用液調整球をチップ先端側へ押圧していることから、その かしめ作業において、用液調整球をチップ先端の適切な位置に固定させることが 困難となり、又逆に、チップ先端に用液調整球を挿入してチップ先端部をかしめ た上、チップ基底部よりスプリングを挿入しようとすると、チップ基底部に設け られた係止突起を越えてスプリングを挿入しなければならないため、スプリング のチップ内への挿入が困難になるという欠点があった。又、用液調整球がチップ 内部においてはスプリングによって支持されているだけであるので、使用に際し て用液調整球がチップ基底部側へ強く押圧されると、チップ先端部と用液調整球 との間に不必要に広い間隙が生じやすく、用液のボタ落ちを生じる危険があった 。

【０００４】 そこで、この考案は上記従来のものの有する欠点を改善するものであり、スプ リングの弾性を常に確保するとともに用液のボタ落ちを防止し、併せて、字消し 具自体の製造を簡易化するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

そのために、チップ先端部の内側に用液調整球受け段部を設けるとともに、チ ップ内に、台座を有する棒状部材及び、基底部においてはチップ内径に外周を圧 接するスプリングを配設した上、その棒状部材の台座部のチップ基底部側に略圧 縮したスプリングの先端部を、又、用液調整球に棒状部材先端部をそれぞれ当接 させてなるものである。

【０００６】

【作用】

上記構成を具えるので、棒状部材の先端部は用液調整球に当接することにより 、用液調整球のチップ先端部からの出没に作用することができ、しかも、チップ 内部において用液調整球が棒状部材とともに用液調整球受け段部によって支持さ れることから、使用に際しての押圧力による用液調整球のチップ内への不必要な 没入を防止して、用液のボタ落ちを防止するとともに、スプリングの径長は基底 部においてはチップ内径に接し、その他の部分についてはそれより若干小径とな るよう調整されているので、万一、用液調整球からの押圧力方向がスプリングの 配設方向に対して偏向していても、スプリングの外周がチップ内壁に圧接するこ とによって、スプリングが屈曲することを防止することができ、又、同時にスプ リングが捩じれるのをも防止することができる。更に、用液調整球が用液調整球 受け段部によって支持されることから、チップ先端部に用液調整球を挿入して、 チップ先端部をかしめるに際し、用液調整球の位置決めが容易となり、又、字消 し具の使用に際しての、不必要に過大な押圧力がスプリングに負荷されることが ないので、チップ基底部においてスプリングを係止する係止突起を省略すること ができ、用液調整球を挿入してチップ先端部をかしめた後、その基底部側より棒 状部材を挿入した上、容易にスプリングを挿入できる、という製造作業工程の簡 易化をも図ることができる。

【０００７】

【実施例】

この考案を図に示す実施例により更に説明する。（１）はこの考案の実施例を 具える字消し具のチップであって、内部は中空となって用液導通部（３）を有し 、（２）は用液調整球であって、チップ（１）先端部に挿入された上、チップ（ １）先端の内壁面に設けられた用液調整球受け段部（４）に当接した状態で、チ ップ（１）先端部をかしめたかしめ部（５）により、チップ（１）先端より若干 突出して回転自在に、且つ、チップ（１）先端部より離脱しないように固定され る。（６）はスプリングであって、スプリング先端部（６Ａ）、スプリング基底 部（６Ｂ）の２部分にその径長によって区分され、スプリング先端部（６Ａ）の 方がスプリング基底部（６Ｂ）より長く、又、スプリング基底部（６Ｂ）の径長 すなわち外周はチップ（１）の内径に圧接するものであり、スプリング先端部（ ６Ａ）の径長はスプリング基底部（６Ｂ）の径長より若干小さい。そして、スプ リング（６）の巻回密度はスプリング先端部（６Ａ）の最先部と中間部並びにス プリング基底部（６Ｂ）が密に形成され、その他の部分は疎に形成される。この スプリング（６）はチップ（１）内の中空部分である用液導通部（３）内に挿入 され、スプリング（６）が半ば圧縮された状態で、スプリング先端部（６Ａ）に 台座付き棒状部材（７）の後端側から突出する円筒状のスプリング受け軸（８） が嵌入されて、台座付き棒状部材（７）の台座部（９）の後端面に当接する。尚 、この台座部（９）は円筒形状と円錐台形状を連結した形状となっている。一方 、スプリング基底部（６Ｂ）はチップ（１）内に収納される。（１０）は棒状部 であって用液調整球（２）の径よりも小径の円筒形状で、台座部（９）よりチッ プ（１）先端側へ突出し、スプリング（６）が半ば圧縮されて台座部（９）に当 接した状態で、その先端が用液調整球（２）の後端に当接するよう各位置が調整 されている。（１１）は軸筒であって、チップ（１）基底部側においてチップ（ １）を挿嵌保持している。

【０００８】 この考案は上記構成を具えるので、先ず、チップ（１）先端部に用液調整球（ ２）を挿入し、その用液調整球（２）が用液調整球受け段部（４）によって係止 させられた状態でチップ（１）先端部をかしめて、かしめ部（５）を形成して用 液調整球（２）をチップ（１）先端部において、若干突出して回転可能且つ離脱 不能に固定する。そして、チップ（１）基底部側よりチップ（１）内に棒状部（ １０）を先頭として台座付き棒状部材（７）を挿入し、更に、スプリング先端部 （６Ａ）を先頭としてスプリング（６）を挿入し、スプリング先端部（６Ａ）に 台座付き棒状部材（７）のスブリング受け軸（８）を嵌入した上、棒状部（１０ ）先端が用液調整球（２）の後端部に当接し、同時にスプリング（６）が半ば圧 縮された状態になるまでスプリング基底部（６Ｂ）の外周をチップ（１）内に圧 接嵌入する。その上で、チップ（１）基底部側より用液導通部（３）に用液を注 入し、チップ（１）基底部に軸筒（１１）を接合固定することにより字消し具が 構成される。

【０００９】 そして、スプリング基底部（６Ｂ）がチップ（１）内壁に当接して、その摩擦 力がスプリング（６）の基底部側への押圧力を支持するため、この考案にかかる 字消し具が使用されない時は、棒状部（１０）が用液調整球（２）をチップ（１ ）先端側へ押圧し、チップ（１）先端のかしめ部（５）内面に用液調整球（２） を強く当接させることにより、用液導通部（３）内の用液が用液調整球（２）と かしめ部（５）内面との間隙から流出することを防止する。一方、この考案にか かる字消し具を使用するに際しては、字消し具を立ててチップ（１）先端部分の 用液調整球（２）を消去対象部分に当接した状態で上から押圧することによって 、用液調整球（２）が用液調整球受け段部（４）に圧接されるまでチップ（１） 基底部側に移動して、用液調整球（２）とかしめ部（５）内面との間に間隙を生 じ、そこから用液を流出させることによって紙面上の文字等の消去対象物を消去 する。更に、用液調整球（２）を回転させながら字消し具自体を消去対象物に沿 って移動させれば、その回転に伴って用液が連続して流出し、消去対象物を連続 して消去することができる。そして、字消し具自体に対する上からの押圧力を解 除すると、用液調整球（２）は棒状部（１０）によってチップ（１）先端側へ押 圧されて移動し、前記の未使用状態に復帰する。

【００１０】 ところで、従来例における字消し具の使用に際しては、用液調整球に対するチ ップ先端側よりの押圧に対し、その押圧力をスプリングのみによって受容してい たため、過大な圧力が用液調整球に掛かりやすく、そのため用液調整球がチップ 基底部側に不必要に没入し、用液調整球とかしめ部内面との間に過大な間隙を生 じて、字消し具使用中に用液のボタ落ちが生ずる危険があった。それに対し、本 件考案の字消し具においては、押圧力による用液調整球（２）のチップ（１）内 への没入移動は用液調整球受け段部（４）によって一定範囲に規定されるため、 用液調整球（２）とかしめ部（５）内面との間に過大な間隙を生じることがなく 、常に一定の用液流出量を確保しうるとともに、用液調整球（２）及び台座付き 棒状部材（７）を介してスプリング（６）に掛かる押圧力も一定範囲に限定され るので、その押圧力に対向するためのスプリング基底部（６Ｂ）側におけるスプ リング（６）の固定も、スプリング基底部（６Ｂ）とチップ（１）内壁面との摩 擦力で足りることとなる。

【００１１】 又、スプリング先端部（６Ａ）の径長がチップ（１）内壁の径長よりも若干小 さい程度に構成されることにより、字消し具の使用に際してチップ（１）先端側 から押圧された場合に、スプリング先端部（６Ａ）がチップ（１）内壁面によっ てガイドされることが可能となるので、スプリング（６）の屈曲や捩じれを防止 することができる。更に、スプリング（６）の巻回密度に疎・密を混合すること により、製造工程において、事前に多数のスプリング（６）を準備して混積して おいても、その多数のスプリング（６）が互いに交差し合わないという利点があ る。

【００１２】

【考案の効果】

以上の通りこの考案は構成されるので、簡易な構成であって、しかも字消し具 の製造工程を省力化してコストを削減することができ、且つ、使用時において、 用液のボタ落ちを防止するとともにスプリングの屈曲や捩じれを防止して紙面上 の文字等の対象物の均一な消去を確保するという優れた効果を有するものである 。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例を具える字消し具のチップの
縦断面図である。

【符号の説明】 １ チップ ２ 用液調整球 ３ 用液導通部 ４ 用液調整球受け段部 ５ かしめ部 ６ スプリング ６Ａ スプリング先端部 ６Ｂ スプリング基底部 ７ 台座付き棒状部材 ８ スプリング受け軸 ９ 台座部 １０ 棒状部 １１ 軸筒

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 チップ内に字消し用液導通部を有し、チ
   ップ先端に設けられた用液調整球をチップ内に配設され
   たスプリングを介してチップ先端に対し出没自在とし、
   チップ先端部の内側に用液調整球受け段部を設けるとと
   もに、チップ内の先端部に台座を有する棒状部材を挿嵌
   し、基底部にチップ内径にその外周を圧接するスプリン
   グを配設した上、その棒状部材の先端部を用液調整球に
   当接させてなる字消し具。