JPH0711331A - 管継手の製造方法 - Google Patents

管継手の製造方法

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JPH0711331A
JPH0711331A JP15910893A JP15910893A JPH0711331A JP H0711331 A JPH0711331 A JP H0711331A JP 15910893 A JP15910893 A JP 15910893A JP 15910893 A JP15910893 A JP 15910893A JP H0711331 A JPH0711331 A JP H0711331A
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JP
Japan
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pipe joint
less
temperature
steel
alloy steel
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Application number
JP15910893A
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English (en)
Inventor
Jo Kondo
丈 近藤
Moriyasu Nagae
守康 長江
Osamu Hirano
攻 平野
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】少なくともその外側部分が、C量が重量%で
0.08%以下の低合金鋼で形成された管継手を成形
し、前記管継手を前記低合金鋼のAc3 点以上の温度に
加熱し、前記温度に加熱された管継手をその温度から焼
入し、焼入れ後の管継手を250〜500℃の範囲の温
度で焼き戻して管継手を製造する。管継手はC量が重量
%で0.08%以下の低合金鋼と高耐食材料とで構成さ
れるクラッド鋼管継手であってもよく、その際の加熱温
度は900℃〜1150℃である。 【効果】低C,低Ceqであり高強度で低温靱性に優れ
た低合金鋼からなる管継手、及びその鋼を外側に配し、
内側に高耐食材料を配したクラッド鋼からなる高強度高
靱性でかつ高耐食性の管継手の製造方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高張力高靱性もしくは
高張力高靱性の低合金鋼と高耐食材料からなるクラッド
鋼とからなる管継手、すなわちエルボ、ティー、レデュ
ーサー、キャップなどの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】原油や天然ガスを輸送する手段としてパイ
プラインが用いられている。ラインパイプ用鋼材として
は、通常API規格に規定されているX80グレードま
での強度と、−10℃以下でのDWTT特性が要求され
るため、シャルピー衝撃試験における破面遷移温度vT
rsで−60℃以下の低温靭性を確保する必要がある。
パイプラインには直管部のほかに曲がり部、寸法が異な
るパイプラインの接続部や分岐部がある。近年、過酷な
環境下での資源開発が活発になり、直管のみならず管継
手に対しても溶接性、水素誘起割れ、硫化物応力腐食割
れなどを考慮して、低炭素当量で強度と低温靱性に優れ
た鋼が要求されている。
【0003】さらに、輸送流体である原油や天然ガスが
硫化水素や炭酸ガスを多く含んでいる場合には、上記鋼
を母材として管外面に配し、管内面にステンレス鋼や高
ニッケル合金などの高耐食材料を配したクラッド鋼から
なる管継手が要求されている。
【0004】従来、それらに用いられる鋼管継手は、冷
間、温間、もしくは熱間成形によって製造されてきた
が、冷間成形法は、鋼の成形性の点で形状の制約を受
け、その適用は一般に薄肉単純形状に限られている。ま
たクラッド鋼に冷間成形法を適用する場合には、合せ材
の加工硬化によって耐食性が劣化するという問題があ
る。
【0005】一方、特公昭60−4888号公報には焼
入れ、もしくは焼入れ焼戻し熱処理を施した鋼板を温間
加工によって複雑な形状の管継手に成形する方法が開示
されている。しかし、この場合、加工温度域が狭いた
め、再加熱加工を繰り返す必要があり、そのために60
0℃〜Ac1 点付近の温度に長時間さらされることにな
り、低C量の鋼板では表層に再結晶が生じ強度が著しく
軟化し、低C化、低Ceq化を図ることができないとい
う問題がある。
【0006】また、クラッド鋼に温間成形法を適用しよ
うとすると、合せ材が鋭敏化して耐食性が劣化するとい
う問題もある。さらに、熱間成形ままあるいは熱間成形
後焼ならし熱処理が施される成形方法では、高強度化を
図ることができず、API 5L規格でX56グレード
以上の管継手を得ることが困難であるという問題があ
る。また、同方法をクラッド鋼に適用すると合せ材が鋭
敏化してしまうという問題がある。
【0007】さらにまた、熱間成形後に焼入れし、さら
に550〜650℃の温度で焼戻し熱処理を施す成形法
を、低C−低Ceq(C当量)鋼に適用すると、引張試
験片矯正時にバウシンガー効果を生じ降伏応力(YS)
の低下が大きく、また、低温靱性、特にDWTT特性も
劣るという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑みてなされたものであって、低C,低Ceqであり
高強度で低温靱性に優れた低合金鋼からなる管継手、及
びその鋼を外側に配し、内側に高耐食材料を配したクラ
ッド鋼からなる高強度高靱性でかつ高耐食性の管継手の
製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、上述し
た従来の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、低合
金鋼については、鋼の炭素当量を低くし、管継手成形後
にAc3 点以上に加熱焼入れ後、250〜500℃とい
う従来よりも低い温度で焼き戻すことによって、高い降
伏強度と優れた靱性を有する管継手を見出した。また、
このような加工方法は、上記低合金鋼を母材として管の
外側に配し、高耐食性のステンレス鋼などを合せ材とし
て管の内面に配したクラッド鋼からなる管継手にも適用
できることを見出した。本発明は本願発明者らのこのよ
うな知見に基づいてなされたものであって、第1に、以
下のa)〜d)の工程からなる管継手の製造方法が提供
される。
【0010】a)少なくともその外側部分が、C量が重
量%で0.08%以下の低合金鋼で形成された管継手を
成形する工程、 b)前記管継手を前記低合金鋼のAc3 点以上の温度に
加熱する工程、 c)前記温度に加熱された管継手をその温度から焼入れ
る工程、 d)焼入れ後の管継手を250〜500℃の範囲の温度
で焼き戻す工程。 また、第2に、以下のa)〜d)の工程からなる管継手
の製造方法が提供される。
【0011】a)C量が重量%で0.08%以下の低合
金鋼と高耐食材料とで構成されるクラッド鋼管継手を成
形する工程 b)前記管継手を900℃〜1150℃の温度に加熱す
る工程 c)前記温度に加熱された管継手をその温度から焼入れ
る工程 d)焼入れ後の管継手を250〜500℃の範囲の温度
で焼き戻す工程。
【0012】ここで用いられる前記低合金鋼は、重量%
で、C:0.02〜0.08%、Si:0.05〜0.
5%、Mn:0.8〜2.0%、Nb:0.01〜0.
06%、Al:0.01〜0.06%、N:0.002
〜0.01%を含有し、残部鉄及び不可避的不純物から
なるものであることが好ましい。
【0013】また、この低合金鋼は、さらに、Cu:
0.5%以下、Ni:1.0%以下、Cr:0.3%以
下、Mo:0.3%以下、V:0.1%以下、Ti:
0.05%以下、Ca:0.0002〜0.0050%
からなる群のうち少なくとも1種を含有するものであっ
てもよい。
【0014】前記高耐食材料としては、オーステナイト
系ステンレス鋼、二相系ステンレス鋼、及びASTM
UNS No.N08825(825合金)などの高ニ
ッケル合金のいずれかを用いることができる。
【0015】本発明の対象となる管継手には、C,S
i,Mn,Alなどを主成分とする炭素鋼にNb,C
u,Ni,Cr,Mo,V,Tiなどの強度と靱性を向
上させる合金元素を、その合計が5%以下含有する低合
金鋼が用いられる。ラインパイプ材としてかかる低合金
鋼を使用する理由は、多量に使用されるため安価で、か
つ、強度が高いことが要求されるためである。
【0016】本発明の管継手の製造方法においては、管
継手はすべてがC量が重量%で0.08%以下の低合金
鋼で形成されていてもよいし、外側部分のみがこのよう
な低合金鋼であってもよい。外側部分のみが低合金鋼で
ある場合には、上述のようにその内側に高耐食材料を配
したクラッド鋼とすることもできる。なお、以下の説明
において、合金の量を表わす%表示はすべて重量%であ
る。
【0017】
【作用】本発明において上記構成をとる理由は以下のと
おりである。 (1)低合金鋼のC量を0.08%以下にし、かつ、N
bなどを添加することにより焼き入れ性を低下させ、焼
入れ組織の細粒のベイナイトもしくはベイナイトとフェ
ライトの混合組織とする。なお、C量の低下による強度
の低下は、Mnまたは前述の合金成分の増加により補
う。また、C量を0.08%以下とするのは後述する図
1から明らかな通り低温靱性vTrsを−60℃以下と
するためである。
【0018】(2)低合金鋼のAc3 点以上の温度に加
熱急冷してその強度を向上させる。クラッド鋼において
は、この加熱により合せ材が溶体化され、耐食性が向上
する。
【0019】(3)最後に、250〜500℃の温度で
焼戻しを行うと、低合金鋼のYS及び靱性が向上する。
また、クラッド鋼についても、この温度における焼戻し
では、炭化物の析出はなく耐食性は損なわれない。
【0020】以下、具体的に説明する。図1は、C−M
n−Nb−V系の厚み25mmの鋼材における焼入れ処
理のままと焼入れ焼戻し処理後のYS,TSとvTrs
に及ぼすC量の影響を示した。
【0021】焼入れ処理条件は、加熱温度を1030℃
とし、その後800℃から400℃までの平均冷却速度
10℃/secとし、焼戻し処理条件は、加熱温度40
0℃で30分間保持し、その後空冷とした。
【0022】図1から明らかなように、400℃の焼戻
し処理を行うことにより、焼入れ処理のままよりもYS
と低温靱性が向上していることがわかる。また、C量を
下げることにより、400℃という低温での焼戻し処理
後優れた低温靱性を得ることができる。
【0023】図2は、図1に示したC0.05%鋼につ
いて、焼入れ処理後種々の温度で焼戻したときの強度と
靱性を示す。なお、鋼成分は0.33%Si−1.5%
Mn−0.038%Nb−0.058%V−0.03%
Al−0.0042%Nである。焼入れ処理は、103
0℃に加熱後800℃から400℃までの平均冷却速度
10℃/secで行い、焼戻し処理は、200℃から6
50℃までの種々の温度で30分保持し、その後空冷す
ることにより行った。
【0024】図2から明らかなとおり、YSは250℃
以上の焼戻し温度で上昇し、550℃以上ではNb,V
の炭窒化物の析出によって大幅に上昇している。一方、
靱性は、500℃までは温度の上昇とともに向上する
が、500℃を越えると炭窒化物の析出により劣化す
る。特にDWTTの85%SATTはその傾向が著し
く、550℃以上では焼入れ処理のままと同等か、もし
くはさらに高温側になる。
【0025】以上のように、低炭素、低合金の鋼におい
ては、焼戻し温度を従来と異なる500℃以下とするこ
とによって、従来の焼入れ処理のままや、焼入れ処理後
600℃付近の温度で焼き戻す場合よりも良好な強度と
低温靱性のバランスが得られる。
【0026】しかし、図1に示すように、C量を低下さ
せると靱性は向上するが、強度は低下する。そこで、本
発明では、強度を向上させるためMn,Mo,Cr,V
などを必要な量添加する。
【0027】図3はC量が0.08%以下で厚さ25m
mの鋼板について、焼入れ処理ままと焼入れ処理後40
0℃で焼戻したときの炭素当量CeqとvTrsとの関
係を示した図である。
【0028】ここで、Ceqは以下の式で表される。 Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr
+Mo+V)/5 この図3から、C量が低下しても他の元素を添加するこ
とによりCeqを一定以上にすれば必要な強度を維持で
きることがわかる。
【0029】本発明における鋼の成分範囲は、上述した
ように、合金元素の合計が5%以下である低合金鋼であ
ればよいが、個別的合金元素の含有量の好ましい範囲は
以下の通りである。
【0030】C量は0.08%以下が好ましい。図1に
示す通り、0.08%を超えると、400℃で焼き戻し
てもvTrs−60℃以上となり、600℃で焼き戻さ
れる従来の管継手の靱性よりも高い靱性が得られない。
そこで、C量を0.08%以下とした。
【0031】一方、下限については、C量が低いほど強
度が下がり、その分他の元素を補充しなければならなく
なるので、経済的には0.02%程度が望ましい。Si
量は0.05%〜0.5%の範囲が好ましい。
【0032】Siは脱酸効果があるが、その効果を得る
ためには0.05%以上であることが必要である。しか
し、0.5%を超えると靱性を劣化させるので0.5%
以下とした。
【0033】Mn量は0.8〜2.0%の範囲が好まし
い。Mnは、Cについで有効な強化元素であり、その効
果を得るためには0.8%以上必要であるが、過度に添
加すると靱性と溶接性に悪影響を与えるので2.0%以
下とした。
【0034】Nb量は0.01〜0.06%の範囲が好
ましい。Nbは炭窒化物を形成し、焼入れ加熱時の粒成
長を抑制し、靱性の向上をもたらすとともに、オーステ
ナイト粒に適度に固溶すると焼入れ性を向上させ、強度
を確保する。従って、強度確保の観点から0.01%以
上必要である。しかし、0.06%を超えると溶接性を
低下させるだけでなく、固溶Nb量の増加によって過度
に焼入れ性が増加し、靱性を劣化させるため0.06%
以下とした。
【0035】Al量は0.01〜0.06%の範囲が好
ましい。Alは脱酸剤として有効な元素であり、また、
AlNとして析出し焼入れ加熱時に粒成長を抑制し靱性
を向上させる。その効果を得るためには0.01%以上
必要であるが、0.06%を超えると鋳塊の表面疵を多
発させるので、0.06%以下とした。
【0036】N量は0.002〜0.01%の範囲が好
ましい。Nは、AlNとして析出するため、焼入れ加熱
時の粒成長抑制効果があることから、その効果を得るた
めに0.002%以上必要である。しかし、0.01%
を超えると、特に溶接部の靱性を害するので0.01%
以下とした。
【0037】本発明における鋼の成分は、上記組成を基
本とするが、より強度の高いグレードの鋼を得るため
に、上記組成にCu,Ni,Cr,Mo,V,Ti,C
aの1種または2種以上を以下の範囲で含有させること
ができる。
【0038】Cu量は0.5%以下の範囲とする。Cu
は、強度を増加させるとともに、耐水素誘起割れ防止に
も効果があるが、多すぎると熱間加工性を害するので
0.5%以下とする。
【0039】Ni量は1.0%以下の範囲とした。Ni
は良好な強度靱性バランスを得るための有効な元素であ
り、Cu疵の発生を防止する作用もあるが、多量の添加
は溶接性を損なうとともに経済的にも不利となるため
1.0%以下とした。
【0040】Cr量は0.3%以下の範囲とする。Cr
は強度向上に効果があるが、多すぎると靱性を劣化させ
るので、0.3%以下とした。
【0041】Mo量は0.3%以下の範囲とする。Mo
は、鋼の強度の向上と組織のベイナイト化に寄与する
が、多すぎると靱性と溶接性を害するので0.3%以下
とした。
【0042】V量は0.1%以下の範囲とする。Vは、
鋼の強度向上に重要な元素であるが、多すぎると靱性や
溶接性を害するので0.1%以下とした。
【0043】Ti量は0.05%以下の範囲とする。T
iは、窒化物として焼入れ加熱時の粒成長を抑制する
が、0.05%を超えるとその効果が飽和するとともに
靱性が害されるため0.01%以下とした。
【0044】Ca量は0.0002〜0.0050%の
範囲とする。Caは、硫化物の形態制御に効果があり、
これによって靱性の向上に寄与する。その効果を得るた
めには0.0002%以上添加する必要があるが、過度
の添加は靱性と溶接性を劣化させるので0.0050%
以下とした。
【0045】なお、その他の不可避的不純物は製造され
る管継手の特製を損なわない限り許容されるが、このよ
うな不純物元素のうちPは焼戻し脆性を助長し、低温靱
性に悪影響を与えるため、0.02%以下とすることが
望ましい。
【0046】本発明では上述のような低合金鋼で構成さ
れた管継手を成形した後、その低合金鋼のAc3 点以上
の温度に加熱する。これにより、オーステナイト組織と
し、その後の処理によって所望の組織を得ることができ
る。適度なNbのオーステナイト粒への固溶、及びオー
ステナイト粒の粗大化抑制の観点からは、その加熱温度
は900〜1050℃とすることが望ましい。この範囲
の温度に加熱することにより良好な強度と靱性のバラン
スが得られる。
【0047】この加熱の際の保持時間は、オーステナイ
ト粒の粗大化を防止する点から短時間であることが望ま
しい。次に、このようにして加熱された管継手をその温
度から焼入れる。この焼入れ工程では従来の焼入れ条件
をそのまま適用することができる。焼入れの際の冷却速
度は、8℃/sec以上とすることが望ましい。
【0048】次に、本発明の最も特徴的な構成である焼
戻し工程の限定理由について説明する。まず、その温度
については図2に示すとおり、YSが焼入れ処理のまま
より上昇する250℃を下限とし、Nb,Vなどの炭窒
化物による析出硬化によって靱性が劣化しない500℃
を上限とする。
【0049】また、保持時間については、特に限定され
るものではないが、30分間の保持でもYSと靱性の改
善効果が認められるので、従来のように管の厚み1イン
チ当たり1時間といった長時間の保持は必要ない。一般
的に長時間にわたって焼戻し温度に保持することは軟化
を招くので、30分間程度とすることが望ましい。
【0050】なお、本発明における管継手は、溶接部を
有する場合も含まれる。この場合、溶接金属を母材と同
一組成、すなわち上記組成と同一にしておけば、上記熱
処理によって、溶接部も溶接熱影響部も強度と靱性が改
善される。
【0051】以上は本発明の管継手の全体を上記低合金
鋼で構成した場合について述べたが、本発明は、上記低
合金鋼を母材とし、合せ材としてステンレス鋼などの高
耐食材料をその内側に配したクラッド鋼からなる管継手
にも適用することができる。
【0052】すなわち、上記熱処理により、母材である
低合金鋼の強度と靱性が改善されることは既に述べたと
おりであるが、この熱処理により管の内側を構成する高
耐食材料の溶体化熱処理がなされる。溶体化熱処理につ
いては、例えば、JIS規格G4304,4902にお
いて処理温度が定められているように、900〜115
0℃で実施することが望ましい。その後、250〜50
0℃の温度範囲で焼戻しをしても、溶体化熱処理したま
まの耐食性を維持することができる。
【0053】次に、溶体化熱処理した高耐食材料の耐食
性に対する焼戻し温度の影響を示す。図4には、溶体化
したASTM UNS No.S31603(316
L)及び825合金を種々の温度で焼戻し処理を行った
ときの腐食速度を示す。溶体化熱処理として、1030
℃に加熱後800℃から400℃まで平均冷却速度10
℃/secで水冷した。焼戻し処理として、200℃か
ら600℃までの種々の温度で30分間保持し、その後
空冷した。腐食試験方法は、JIS規格G 0572に
準拠した硫酸・硫酸第二鉄試験、すなわちストライカー
試験とした。
【0054】図4に示すとおり、316L、825合金
ともに500℃以下の焼戻し温度では、溶体化熱処理の
ままと同じ腐食速度である。このような耐粒界腐食性は
焼戻し温度のみならず、その時間によっても腐食速度は
異なる。しかし、焼戻し処理を行う目的は、母材のYS
と靱性を溶体化熱処理前よりも改善することにあるた
め、30分より長時間にする必要はない。
【0055】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。表1に示す形状及び成分組成を有する管継手を成
形し、表2に示す条件および後述する条件に従って処理
し、一部を除いて炉内で焼戻し処理を実施した。
【0056】表2には、従来の管継手と本発明による管
継手の引張試験、シャルピー試験、DWTTの結果を示
した。なお、焼入れ時の冷却速度は10〜50℃/se
cで、焼戻し処理の保持時間は30分間である。引張試
験片においては、焼入れ処理のままの管継手については
未矯正のまま採取する丸棒試験片で評価し、焼戻し処理
を施した管継手については矯正して採取する全厚試験片
で評価した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】表2に示すように、本発明の方法によって
製造された管継手は、従来の管継手と比較して、強度及
び靱性に優れていることが確認され、本発明の効果が明
らかとなった。
【0060】具体的には、従来の管継手のうち、従来組
成を有する番号11,12の管継手は、靱性かvTrs
>−60℃と劣っており、また、番号8,13,14
は、その鋼成分は本発明の範囲にあり、vTrs<−6
0℃となっているが、焼戻し処理を施していないためY
Sが低い。
【0061】一方、本発明の管継手のうち、番号8,1
3,14の組成を焼き戻した本発明による管継手はYS
も靱性も改善されている。従来の管継手のうち番号16
の組成を有するものは、本発明の成分範囲にあるため、
vTrs<−60℃と良好な値となっているが、焼戻し
温度が600℃と高く、靱性値自体が低い。これに対し
て、番号16の組成のものを400℃で焼き戻した本発
明の範囲の管継手は靱性が優れている。
【0062】すなわち、本発明による管継手は、高強度
を示しながらもvTrs<−60℃、85%SATT<
−10℃という優れた靱性を示すことが確認された。な
お、上記引張試験片において、焼入れたままの管継手に
ついては丸棒試験片で評価し、焼戻し処理を施した管継
手について全厚試験片で評価した理由を表3を参照して
説明する。表3は、前記表1に示した試料13の焼入れ
処理のままの状態の管継手を用いて種々の温度で焼き戻
した後に、未矯正のまま採取する丸棒試験片及び矯正し
て採取する全厚試験片で引張試験を実施した結果を示す
ものである。
【0063】
【表3】
【0064】表3から明らかなように、焼入れのままの
状態では全厚試験片の値のほうが高くなっているのに対
し、焼戻し処理をすると丸棒試験片のほうが高くなって
いる。この結果に基づいて、表2には低い値の方を示し
たのである。
【0065】次に、クラッド鋼からなる管継手の実施例
を示す。表4及び表5に示す種々の形状、合せ材、及び
母材組成のクラッド鋼からなる管継手を成形し、表6に
示す条件で溶体化熱処理及び一部を除いて焼戻し処理を
実施した。
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】上記のようにして得られた管継手につい
て、それぞれの引張試験、シャルピー試験、DWTT、
粒界腐食試験、孔食試験を実施した。その結果を表6に
合わせて示す。なお、焼入れの冷却速度は10〜50℃
/secであり、焼戻し処理の保持時間は30分間であ
る。また、引張試験片は、溶体化熱処理のままの管継手
については未矯正のまま母材中央から採取する丸棒試験
片を、焼戻し処理を施した管継手については矯正後合せ
材を機械加工で除去して採取した母材の全厚試験片を用
いた。
【0070】粒界腐食試験は、JIS規格G 0572
に準拠した硫酸・硫酸第二鉄試験、いわゆるストライカ
ー試験に準拠して行い、また、孔食試験は、JIS規格
G0578に準拠した塩化第二鉄試験により、表6に示
す温度で実施した。
【0071】表6に示すとおり、従来の管継手の番号2
8,31,32,37はいずれも合せ材である高耐食材
料の耐食性は良好であるが、溶体化熱処理のままである
ため、強度及び靱性のうちいずれかが劣っている。すな
わち、番号21,22は鋼組成が本発明の範囲ではない
ため、靱性がvTrs>−60℃と劣っている。また、
番号28,37は、鋼組成が本発明の範囲であるためv
Trs<−60℃と優れているが、YSが低い。
【0072】これに対し、400℃で焼き戻した本発明
による管継手の番号28,37はYSが改善されてい
る。また、靱性も改善されており、vTrs<−60
℃、85%SATT<−10℃という高い値を示した。
さらに、耐食性も溶体化熱処理のままと同等であった。
【0073】なお、上記引張試験において、溶体化熱処
理のままの管継手については丸棒試験片で評価し、焼戻
し処理を施した管継手については全厚試験片で評価した
理由を表7を参照して説明する。表7は、前記表4に示
した試料17の溶体化熱処理のままの状態の管継手を用
いて各種の温度で焼き戻した後に、未矯正のまま採取す
る丸棒試験片及び矯正して採取する全厚試験片で引張試
験を実施した結果を示すものである。
【0074】
【表7】
【0075】表7から明らかなように、溶体化熱処理の
ままの状態では全厚試験片の値の方が高くなっているの
に対し、焼戻し処理をすると丸棒試験片の方が高くなっ
ている。この結果に基づいて、表6には低い値の方を示
したのである。
【0076】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
低C,低Ceqであり高強度で低温靱性に優れた低合金
鋼からなる管継手、及びその鋼を外側に配し、内側に高
耐食材料を配したクラッド鋼からなる高強度高靱性でか
つ高耐食性の管継手の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】低合金鋼のC量とTS及びvTrsとの関係を
示す図。
【図2】焼戻し温度による材質変化を要約して示す図。
【図3】炭素当量CeqとTS及びvTrsとの関係を
示す図。
【図4】溶体化熱処理を施した316Lと825合金の
耐粒界腐食性におよぼす焼戻し温度の影響を示す図。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下のa)〜d)の工程からなる管継手
    の製造方法。 a)少なくともその外側部分が、C量が重量%で0.0
    8%以下の低合金鋼で形成された管継手を成形する工
    程、 b)前記管継手を前記低合金鋼のAc3 点以上の温度に
    加熱する工程、 c)前記温度に加熱された管継手をその温度から焼入れ
    る工程、 d)焼入れ後の管継手を250〜500℃の範囲の温度
    で焼き戻す工程。
  2. 【請求項2】 前記低合金鋼が、重量%で、C:0.0
    2〜0.08%、Si:0.05〜0.5%、Mn:
    0.8〜2.0%、Nb:0.01〜0.06%、A
    l:0.01〜0.06%、N:0.002〜0.01
    %を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなる請求項
    1に記載の管継手の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記低合金鋼が、重量%で、C:0.0
    2〜0.08%、Si:0.05〜0.5%、Mn:
    0.8〜2.0%、Nb:0.01〜0.06%、A
    l:0.01〜0.06%、N:0.002〜0.01
    %を含有し、さらにCu:0.5%以下、Ni:1.0
    %以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.3%以下、
    V:0.1%以下、Ti:0.05%以下、Ca:0.
    0002〜0.0050%のうち少なくとも1種を含有
    し、残部鉄及び不可避的不純物からなる請求項1に記載
    の管継手の製造方法。
  4. 【請求項4】 以下のa)〜d)の工程からなる管継手
    の製造方法 a)C量が重量%で0.08%以下の低合金鋼と高耐食
    材料とで構成されるクラッド鋼管継手を成形する工程 b)前記管継手を900℃〜1150℃の温度に加熱す
    る工程 c)前記温度に加熱された管継手をその温度から焼入れ
    る工程 d)焼入れ後の管継手を250〜500℃の範囲の温度
    で焼き戻す工程。
  5. 【請求項5】 前記低合金鋼が、重量%で、C:0.0
    2〜0.08%、Si:0.05〜0.5%、Mn:
    0.8〜2.0%、Nb:0.01〜0.06%、A
    l:0.01〜0.06%、N:0.002〜0.01
    %を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなる請求項
    4に記載の管継手の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記低合金鋼が、重量%で、C:0.0
    2〜0.08%、Si:0.05〜0.5%、Mn:
    0.8〜2.0%、Nb:0.01〜0.06%、A
    l:0.01〜0.06%、N:0.002〜0.01
    %を含有し、さらにCu:0.5%以下、Ni:1.0
    %以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.3%以下、
    V:0.1%以下、Ti:0.05%以下、Ca:0.
    0002〜0.0050%のうち少なくとも1種を含有
    し、残部鉄及び不可避的不純物からなる請求項4に記載
    の管継手の製造方法。
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