JP2731629B2 - 高張力鋼からなる曲がり管の製造方法 - Google Patents

高張力鋼からなる曲がり管の製造方法

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正章 高岸
龍見 白石
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Description

【発明の詳細な説明】 [技術分野] 本発明は、高張力高靭性の高張力鋼からなる曲がり管
の製造方法に関する。
[背景技術] 石油や天然ガスを輸送する手段としてパイプラインが
用いられている。ラインパイプ用鋼材としては、通常AP
I規格にX50からX80等が規定され、−10℃以下でのDWTT
特性が要求されるため、シャルピー衝撃試験における破
面遷移温度vTrsでは−60℃以下の低温靭性を確保する必
要がある。パイプラインには、直管部分のほか輸送方向
を変化させたり、直管部分の温度変化による膨張収縮を
吸収するための曲がり管の部分もある。近年、過酷な環
境下での資源開発が活発になり、直管部分ばかりでなく
曲がり管部分に対しても溶接性、水素誘起割れ、硫化物
応力腐食割れなどを考慮して、低炭素当量で強度と低温
靭性に優れた低合金の高張力鋼が要求されている。
更に、輸送される石油や天然ガスが硫化水素や炭酸ガ
スを多く含んでいる場合は、上記高張力鋼を母材として
管の外側に配し、管の内側をステンレス鋼を含む高耐蝕
材料でクラッドしたクラッド曲がり管が要求されてい
る。
従来、これらの曲がり管は、直管を連続的に曲げ装置
に押込み、高周波加熱コイル内を通して加熱しながら曲
げる方法、または、軸方向にそって曲がった半円筒形状
の鋼板2つを溶接により接合する方法等により製造され
ている。
これらの場合、加工後の熱処理としてAPI5L規格X60以
上の鋼種については特開昭62−15154号公報に記載され
ているように、曲げ加工後焼入れ処理(Q)と550〜650
℃の温度で焼戻し処理(T)を行なうか、または、特公
昭63−76525号公報に記載されているように、焼入れの
ままで製造されている。
ところが、特開昭62−15154号公報に記載されている
ように、焼き入れ後、550〜650℃の温度で焼戻し処理を
行なうと高強度化が図れない。また、上記ステンレス鋼
を含む高耐蝕合金を合わせ材とするクラッド管において
は、合わせ材の組織にCr炭化物が析出したり、シグマ相
が析出したりして、合わせ材の耐蝕性が劣化する。
一方、特公昭63−76525号公報に記載されているよう
に、焼入れのままで製造される曲がり管は、低炭素当量
でも高い引張強度(TS)が得られるが、焼き入れのまま
であるため降伏点が現れないので、降伏応力(YS)が低
くなる。更に、管の厚みが厚くなると焼入れ時の冷却速
度が小さくなるため、TSは所定の値が得られてもYSが所
定の値を満たさず、また、低温の靭性が低くなるという
問題がある。
[発明の開示] この発明の目的は、強度及び靭性が改善された低合金
鋼の高張力鋼を外側に配し、内側に耐蝕性合金を配した
クラッド管で構成された高強度及び高靭性、並びに高耐
蝕性を有する高張力鋼からなる曲がり管の製造方法を提
供する。
この発明によれば、以下のa)〜e)の工程を具備す
る高張力鋼からなる曲り管の製造方法が提供される。
a)外側部分がC量で重量%で0.08%以下の低合金鋼の
高張力鋼からなり内側部分が高耐蝕材料からなるクラッ
ド管で構成された直管を準備する工程、 b)前記直管を900〜1150℃の温度に加熱する工程、 c)前記加熱温度において、前記直管を曲げ加工して曲
がり管を得る工程、 d)前記曲がり管を曲げ加工後直ちに前記加熱温度から
焼き入れる工程、 e)前記焼き入れ後の曲り管を250〜500℃の範囲の温度
で焼き戻す工程。
ここで用いられる低合金鋼は、重量%で、C:0.02〜0.
08%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.8〜2.0%、Nb:0.01〜0.06
%、Al:0.01〜0.06%、N:0.002〜0.01%を含有し、残部
が鉄及び不可避的不純物からなることが好ましい。
また、上記低合金鋼は、さらに、0.5%のCu、1.0%以
下のNi、0.3%以下のCr、0.3%以下のMo、0.1%以下の
V、0.05%以下のTi、及び0.0002〜0.01%のCaからなる
群のうち少なくとも1種を含有するものであってもよ
い。
さらに、前記高耐蝕材料としては、オーステナイト系
ステンレス鋼、二相系ステンレス鋼、及びASTM UNS No.
N08825(825合金)などの高ニッケル合金のいずれかを
用いることができる。
[図面の簡単な説明] 図1は、低合金鋼のC量とTSおよびvTrsとの関係を示
す図、 図2は、焼戻し温度による材質変化を要約して示す
図、 図3は炭素当量CeqとTSおよびvTrsとの関係を示す
図、 図4、曲がり管の製造装置の1例を示す平面図、 図5は、容体化処理した316Lと825合金の耐粒界腐食
性におよぼす焼戻温度の影響を示す図である。
[実施の最良の形態] 本願発明者らは、上述した従来の問題を解決すべく鋭
意研究を重ねた結果、低合金鋼の高張力鋼については、
鋼の炭素当量を低くし、原則としてAc3以上に加熱して
曲げ加工を行ない直ちに焼入れし、その後250〜500℃と
いう従来よりも低い温度で焼き戻すことによって、高い
降伏強度と優れた靭性を有する曲がり管を得ることがで
きることを見出した。また、このような加工方法は、上
記低合金鋼の高張力鋼を母材として管の外側に配し、高
耐蝕性のステンレス鋼等を合わせ材として管の内側に配
したクラッド曲がり管にも適用できることを見出した。
上記構成を有する本発明は本願発明者らのこのような知
見に基づいて完成されたものである。
本発明の対象となる高張力鋼からなる曲がり管には、
C,Si,Mn,Al等を主成分とする炭素鋼にNb,Cu,Ni,Cr,Mo,
V,Ti等の強度と靭性を向上させる合金元素を、その合計
が5%重量以下含有する低合金鋼が用いられる。ライン
パイプ材としてかかる低合金鋼を使用する理由は、多量
に使用されるため安価であり、かつ、強度が高いことが
要求されるからである。
なお、以下の説明において合金の量を表わす%表示は
全て重量%である。
この発明の高張力鋼からなる曲がり管の製造方法は、
上述したように、少なくともその外側部分がC量が重量
%で0.08%以下の低合金鋼で形成された直管を準備する
工程と、前記直管を前記低合金鋼のAc3点以上の温度に
加熱する工程と、前記加熱温度において前記直管を曲げ
加工して曲がり管を得る工程と、前記曲がり管を曲げ加
工後直ちに前記加熱温度から焼き入れる工程と、前記焼
き入れ後の曲がり管を250〜500℃の範囲の温度で焼き戻
す工程とを具備するものである。この場合に、前記直管
は全て上記低合金鋼で構成されていてもよいし、また、
外側部がこのような低合金鋼であって、内側部が高耐蝕
材料であるクラッド管であってもよい。クラッド管を採
用する場合には、曲げ加工時の加熱温度は、900〜1150
℃の範囲に設定する。
本発明においてこのような構成をとる理由は以下のと
おりである。
(1)低合金鋼の高張力鋼のC量を0.08%以下にし、か
つNb等を添加することにより焼入れ性を低下させ、焼入
れ組織を細粒のベイナイトもしくはベイナトとフェライ
トの混合組織とする。なお、C量の低下による強度の低
下はMnまたは前述の合金成分の増加により補う。また、
C%を0.08%以下とするのは、後述する図1から明らか
な通り低温靭性vTrsを−60℃以下とするためである。
(2)直管として用いる低合金鋼のAc3点以上の温度に
加熱し、その温度において管を曲げ加工し、直ちに急冷
してその強度を向上させる。クラッド曲がり管において
は、この加熱により合わせ材が溶体化され、耐蝕性が向
上する。
(3)最後に、250〜500℃の温度で焼戻を行なうと、低
合金鋼のYSび靭性が向上する。また、高耐蝕材料クラッ
ド管についても、この温度における焼戻では、炭化物の
析出はなく耐蝕性は損なわれない。
以下、具体的に説明する。
図1は、C−Mn−Nb−V系の厚み25mmの鋼材における
焼入れ処理のままと焼入れ焼戻し後のYS、TSとvTrsに及
ぼすC量の影響を示した。
熱処理条件は、焼入れ処理として、1030℃で1分間保
持し、その後800℃から400℃までの平均冷却速度10℃/s
ecで焼入れ、焼戻処理として、400℃で30分間保持し、
その後空冷した。
図1から明らかなように、400℃の焼戻処理を行なう
ことにより、焼入れのままよりもYSと靭性が向上してい
るいことがわかる。
また、C量を下げることにより400℃という低温での
焼戻処理で優れた靭性を得ることができる。
図2は、図1に示したC0.05%鋼について、焼き入れ
後種々の温度で焼戻したときの強度と靭性を示す。な
お、鋼成分は0.33%Si−1.5%Mn−0.038%Nb−0.058%
V−0.03%Al−0.0042%Nである。熱処理として、1030
℃に1分間保持し、その後、800℃から400℃まで平均冷
却速度10℃/secで焼入れ処理を行ない、焼戻し処理は、
200℃から650℃までの種々の温度で30分間保持し、その
後空冷を行なった。
図2から明らかな通り、YSは250℃以上の焼戻し温度
で上昇し、550℃以上ではNb,Vの炭窒化物の析出によっ
て大幅に上昇している。
一方、靭性は、500℃までは温度の上昇とともに向上
するが、500℃を超えると炭窒化物の析出により劣化す
る。特に、DWTTの85%SATTはその傾向が著しく、550℃
以上では焼入れのままよりも同等か、もしくはさらに高
温度側となる。
以上のように、低炭素、低合金の高張力鋼において
は、焼戻し温度を従来と異なる500℃以下とすることに
よって、従来の焼入れのままや、焼き入れ後600℃付近
の温度で焼戻す場合よりも良好な強度と低温靭性のバラ
ンスが得られる。
しかし、図1に示すようにC量を低下させることによ
り靭性は向上するものの、強度は低下する。そこで、本
発明では、強度を向上させるためMn,Mo,Cr,V等を必要な
量添加する。
図3はC量が0.08%以下で厚さ25mmの鋼板について、
焼入れままと焼き入れ後400℃で焼戻したときの炭素当
量CeqとTS,vTrsとの関係を示した図である。
ここで、Ceqは以下の式で表わされる。
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5 この図3から、C量が低下しても他の元素を添加する
ことによりCeqを一定以上にすれば必要な強度を維持す
ることができることがわかる。
本発明における鋼の成分範囲は、上述したように、合
金元素の合計が5%以下である低合金鋼であればよい
が、個別的合金元素の含有量の好ましい範囲は以下の通
りである。
Cは0.08%以下に規定される。
図1に示す通り、0.08%を越えると、400℃で焼戻を
してもvTrs−60℃以上となり、600℃で焼戻しされる従
来のQT型曲がり管で得られる靭性より高い靭性は得られ
ない。そこでC量の上限を0.08%とした。
一方、下限については、C量が低いほど強度が下がる
ので、その分他の元素を補充しなければならなくなるの
で、経済的には0.02%程度が望ましい。
Siは0.05〜0.5%の範囲が望ましい。
Siは脱酸効果があるため、その効果を得るために0.05
%以上であることが好ましく、一方0.5%を越えると靭
性を劣化させるので0.5%以下が好ましい。
Mnは0.8〜2%の範囲が望ましい。
Mnは、Cに次いで有効な強化元素であり、少なくとも
0.8%以上は必要であるが、過度に添加すると靭性と溶
接性に悪影響をあたえるので上限を2%とすることが好
ましい。
Nbは0.01〜0.06%の範囲が望ましい。
Nbは炭窒化物を形成し、焼入れ加熱時の粒成長を抑制
し、靭性の向上をもたらすとともに、オーステナイト粒
に適度に固溶すると焼入れ性を向上し、強度を確保す
る。したがって、強度確保の観点から0.01%以上は必要
であるが、0.06%を越えると溶接性を低下させるだけで
なく、固溶Nb量の増加によって過度に焼入れ性が増加
し、靭性を劣化させるため上限を0.06%とすることが好
ましい。
Alは0.01〜0.06%の範囲が望ましい。
Alは脱酸材として有効な元素であり、また、AlNとし
て析出し焼入れ加熱時に粒成長を抑制するため、その効
果を得るために0.01%以上必要である。しかし、0.06%
を越えると鋳塊の表面疵を多発させるので、上限を0.06
%とした。
Nは0.002〜0.01%の範囲が望ましい。
Nは、AlNとして析出するため、焼入れ加熱時に粒成
長抑制効果があることから、その効果を得るために0.00
2%以上は必要である。しかし、0.01%を越えると、特
に溶接部の靭性を害するので上限を0.01%とした。
本発明における鋼の成分は、上記組成を基本とする
が、より強度の高いグレードの鋼成分は、上記組成にC
u、Ni、Cr、Mo、V、Ti、Caの1種または2種以上を以
下の範囲の量で含有させることにより得ることができ
る。
Cuは0.5%以下の範囲とする。
Cuは、強度を増加させるとともに、耐水素誘起割れ防
止にも効果があるが、多過ぎると熱間加工性を害するの
で上限を0.5%とする。
Niは1.0%以下の範囲とする。
Niは良好な強度靭性バランスを得るために有効な元素
であり、Cu疵の発生を防止する作用もあるが、多量の点
かは溶接性を損なうとともに経済的にも不利になるた
め、上限を1.0%とする。
Crは0.3%以下の範囲とする。
Crは強度向上に効果があるが、多過ぎると靭性を劣化
させるので、上限を0.3%とする。
Moは0.3%以下とする。
Moは、鋼の強度の向上と組織のベイナイト化に寄与す
るが、多過ぎると靭性と溶接性を害するので、上限を0.
3%とする。
Vは0.1%以下とする。
Vは、鋼の強度向上に重要な元素であるが、多過ぎる
と靭性や溶接性を害するので、上限を0.1%とした。
Tiは0.05%以下とする。
Tiは、窒化物として焼入れ加熱時の粒成長を抑制する
が、0.05%を越えるとその効果が飽和するとともに靭性
が害されるため、上限を0.01%とする。
Caは0.0002〜0.01%とする。
Caは、硫化物の形態制御に効果があり、これによって
靭性の向上に寄与する。その効果を得るためには0.0002
%以上添加することが必要であるが、過度の添加は靭性
と溶接性を劣化させるので、上限を0.01%とする。
なお、その他の不可避的不純物は製造される曲がり管
の特性を損なわせない限り許容されるが、このような不
純物元素のうちPは焼戻し脆性を助長し、低温の靭性に
悪影響をあたえるので、0.02%以下にすることが望まし
い。
次に、本発明の最も特徴的な構成である焼戻し工程の
限定理由について説明する。まず、その温度については
図2に示すとおり、YSが焼入れのままより上昇する250
℃を下限とし、Nb,Vなどの炭窒化物による析出硬化によ
って靭性が劣化しない500℃を上限とする。
また、保持時間については、特に限定されるものでは
ないが、30分間の保持でもYSと靭性の改善効果が認めら
れるので、従来のように管の厚み1インチ当り1時間と
いった長時間の保持は必要ない。一般的に長時間に亘っ
て焼戻し温度に保持することは軟化を招くので、30分間
程度とすることが望ましい。
なお、焼戻処理は一般的には加熱炉において実施され
るが、これに限定されるものではない。
曲げ加工時の加熱工程では直管をAc3点以上に加熱す
る。これにより、オーステナイト組織とし、その後の処
理によって所望の組織を得ることができる。適度なNbの
オーステナイト粒への固溶、及びオーステナイト粒の粗
大化抑制の観点からは、その加熱温度は900〜1050℃と
することが望ましい。この範囲の温度に加熱することに
より良好な強度と靭性のバランスが得られる。
この加熱の際の保持時間は、オーステナイト粒の粗大
化を防止する点から短時間であることが望ましい。所望
の短時間加熱は誘導加熱により達成することができる
が、誘導加熱に限定されるものではない。
また、加熱工程における加熱速度は3℃/sec以上、保
持時間は10分以内とすることが望ましい。
この温度における直管の曲げ加工は、例えば、図4に
示す装置を用いて行うことができる。図4において、加
工前の直管1は、その一端が支点0を中心として、旋回
自在なアーム3に取付けられたクランプ4によって把持
されている。直管1をガイドローラ2を介して押し進め
ると、旋回前のアームの後方に設けられた誘導加熱コイ
ル5によりオーステナイト域に、即ち、Ac3点以上の温
度に加熱される。加熱された直管の部分は変形抵抗が小
さいので、曲げ加工が施される。そして、曲げられつつ
ある管は該誘導コイルの直後に設けられたスプレイノズ
ル6からの冷却水によって冷却され、焼入れ処理が施さ
れ、焼入れたままの曲がり管1′が製造される。
なお、この曲げ加工方法は、一例であって本発明はこ
れ以外の方法によって実施してもよい。
焼入れ工程においても、従来の焼き入れ条件をそのま
ま適用することができる。焼き入れの際の冷却速度は8
℃/sec以上とすることが望ましい。
なお、本発明における曲がり管には、継目無し鋼管の
みでなく溶接鋼管をも含まれる。
この場合、溶接金属を母材と同一組成、すなわち上記
組成と同一にしておけば、上記熱処理によって、溶接部
も溶接熱影響部も強度と靭性が改善される。
以上は本発明の曲がり管の全体を上記低合金鋼で構成
した場合について述べたが、本発明は、上記低合金鋼を
母材とし、合わせ材としてステンレス鋼などの高耐蝕材
料をその内側に用いたクラッド曲がり管にも適用するこ
とができる。
即ち、上記熱処理により、母材である低合金鋼の強度
と靭性が改善されることは既に述べたとおりであるが、
この熱処理により管の内側を構成する高耐蝕材料の溶体
化処理がなされる。溶体化処理については、例えば、JI
S規格G4304,4902において処理温度が定められているよ
うに、900〜1150℃で実施することが望ましい。その
後、250〜500℃の温度範囲で焼戻しをしても、溶体化処
理したままの耐蝕性を維持することができる。
次に、溶体化した高耐蝕材料の耐蝕性に対する焼戻し
温度の影響を示す。
図5には、溶体化したASTM UNS No.S31603(316L)及
び825合金を種々の温度で焼戻し処理を行なったときの
腐食速度を示す。溶体化処理は曲げ加工温度と同じく10
30℃で1分間保持し、800℃から400℃まで平均冷却速度
10℃/secで水冷した。焼戻処理として200℃から600℃ま
での種々の温度で30分間保持し、その後冷却した。腐食
試験方法は、JIS規格G 0572に準拠した硫酸・硫酸第二
鉄試験、すなわちストライカー試験とした。
図4に示すとおり、316L、825合金ともに500℃以下の
焼戻し温度では、溶体化処理のままと同じ腐食速度であ
る。このような耐粒界腐食性は焼戻し温度のみならず、
その時間によっても腐食速度は異なる。しかし、焼戻し
処理を行なう目的は、母材のYSと靭性を溶体化処理前よ
りも改善することにあるため、30分より長時間にする必
要はない。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
表1に示す成分組成を有する溶接鋼管を、上記図5に
示す装置により、表2に示す条件および後述する条件に
従って処理し、一部を除いて炉内で焼戻しを行なった。
表2には、従来の曲がり管と本発明による曲がり管の
引張試験、シャルピー試験、DWTTの結果を示した。な
お、焼入れ時の冷却速度は10〜50℃/secで、焼戻し処理
の保持時間は30分である。試験片は、曲がり管の腹側部
(コンプレッション側)から採取した。また、引張試験
においては、焼入れたままの曲がり管については未矯正
のまま採取する丸棒試験片で評価し、焼き戻し処理をほ
どこした曲がり管については矯正して採取する全厚試験
片で評価した。
表2に示すように、本発明の方法によって製造された
曲がり管は、従来の曲がり管と比較して、強度及び靭性
が高いことが確認され、本発明の効果が明らかとなっ
た。
なお、上記引張試験において、焼入れたままの曲がり
管について丸棒試験片で評価し、焼き戻し処理を施した
曲がり管について全厚試験片で評価した理由を表3を参
照して説明する。表3は、前記表1に示した試料13の焼
入れのままの状態の曲がり管を用いて各種の温度で焼戻
した後に、未矯正のまま採取する丸棒試験片及び矯正し
て採取する全厚試験片で引張試験を実施した結果を示す
ものである。表3から明らかなように、焼入れのままの
状態では全厚試験片の値の方が高くなっているのに対
し、焼戻処理をすると丸棒試験片のほうが高くなってい
る。この結果に基づいて、表2には低い値の方を示した
のである。
前記表2について付言すると、従来の曲がり管のう
ち、従来組成を有する番号11,12の曲がり管は、靭性がv
Trs>−60℃と劣っており、また、番号8,13,14は、その
鋼成分は本発明の範囲にあり、vTrs<−60℃となってい
るが、焼戻し処理をしていないためYSが低い。
一方、本発明の曲がり管のうち、番号8,13,14の組成
を焼戻した本発明による曲がり管はYSも靭性も改善され
ている。
従来の曲がり管のうち番号16の組成を有するものは、
本発明の成分範囲にあるためvTrs<−60℃と良好な値と
なっているが、焼戻し温度が600℃と高く、靭性値自体
が低い。これに対し、番号16の組成のものを400℃で焼
戻した本発明の範囲の曲がり管は靭性が優れている。
すなわち、本発明による曲がり管は、高強度を示しな
がらもvTrs<−60℃、85%SATT<−10℃という優れた靭
性を示すことが確認された。
次に、高耐蝕合金クラッド管の実施例を示す。
表4、表5に示す成分組成を有する種々のクラッド鋼
管を、表6に示す曲げ条件により、図5に示す曲がり管
製造装置を用いて、曲がり管を製造し、一部を除いて炉
内で焼戻処理を行なった。
上記のようにして得られた曲がり管について、それぞ
れ引張試験、シャルピー試験、DWTT、粒界腐食試験、孔
食試験を行なった。その結果を表7に示す。なお、焼入
れの冷却速度は10〜50℃/secであり、焼戻処理の保持時
間は30分である。試験片は、曲がり管の腹側部(コンプ
レッション側)から採取した。また、引張試験片は、溶
体化処理のままの曲がり管については未矯正のまま母材
中央から採取する丸棒試験片を、焼戻処理をした曲がり
管については矯正後合わせ材を機械加工で除去して採取
した母材の全厚の試験片を用いた。
粒界腐食試験は、JIS規格 G 0572に準拠した硫酸・
硫酸第二鉄試験、いわゆるストライカー試験により行
い、また、孔食試験はJIS規格 G 0578に準拠した塩化
第二鉄腐食試験により、表7に示す温度で実施した。
なお、上記引張試験において、溶体化処理のままの曲
がり管について丸棒試験片で評価し、焼き戻し処理を施
した曲がり管について全厚試験片で評価した理由を表8
を参照して説明する。表8は、前記表4に示した試料37
の溶体化処理のままの状態の曲がり管を用いて各種の温
度で焼戻した後に、未矯正のまま採取する丸棒試験片及
び矯正して採取する全厚試験片で引張試験を実施した結
果を示すものである。表8から明らかなように、溶体化
処理のままの状態では全厚試験片の値の方が高くなって
いるのに対し、焼戻処理をすると丸棒試験片のほうが高
くなっている。この結果に基づいて、表6には低い値の
方を示したのである。
表7に示すとおり、従来の曲がり管の番号28,31,32,3
7はいずれも合わせ材である高耐蝕合金の耐蝕性は良好
であるが、溶体化処理のままであるため、強度及び靭性
のうちいずれかが劣っている。すなわち、番号21,22は
鋼組成が本発明の範囲ではないため、靭性がvTrs>−60
℃と劣っている。また、番号28,37は、鋼組成が本発明
の範囲であるためvTrs<−60℃と優れているが、YSが低
い。
これに対し、400℃で焼戻した本発明によるクラッド
曲がり管の番号28,37はYSが改善されている。また靭性
も改善されており、vTrs<−60℃、85%SATT<−10℃と
いう高い値を示した。更に、耐蝕性も溶体化処理のまま
と同等であった。
以上説明したとおり、本発明により、低合金鋼の曲が
り管については、低炭素当量で強度及び低温靭性のいず
れもが優れたものが製造できる。また、高耐蝕合金クラ
ッド曲がり管についても、強度と靭性が優れているのみ
ならず、耐蝕性に優れたものが製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高岸 正章 神奈川県川崎市川崎区殿町2丁目8番3 号 第一高周波工業株式会社技術部内 (72)発明者 白石 龍見 千葉県木更津市築地8番地 第一高周波 工業株式会社千葉工場内 (72)発明者 日高 芳信 千葉県木更津市築地8番地 第一高周波 工業株式会社千葉工場内 (56)参考文献 特開 平4−154913(JP,A) 特開 昭61−266126(JP,A) 特開 昭59−232226(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下のa)〜e)の工程を具備する高張力
    鋼からなる曲り管の製造方法。 a)その外側部分がC量で重量%で0.08%以下の低合金
    鋼の高張力鋼からなり内側部分が高耐蝕材料からなるク
    ラッド管である直管を準備する工程、 b)前記直管を900〜1150℃の温度に加熱する工程、 c)前記加熱温度において、前記直管を曲げ加工して曲
    がり管を得る工程、 d)前記曲がり管を曲げ加工後直ちに前記加熱温度から
    焼き入れる工程、 e)前記焼き入れ後の曲り管を250〜500℃の範囲の温度
    で焼き戻す工程。
  2. 【請求項2】前記低合金鋼が、重量%で、C:0.02〜0.08
    %、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.8〜2.0%、Nb:0.01〜0.06
    %、Al:0.01〜0.06%、N:0.002〜0.01%を含有し、残部
    が鉄及び不可避的不純物からなる請求項1に記載の高張
    力鋼からなる曲がり管の製造方法。
  3. 【請求項3】前記低合金鋼が、重量%で、C:0.02〜0.08
    %、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.8〜2.0%、Nb:0.01〜0.06
    %、Al:0.01〜0.06%、N:0.002〜0.01%を含有し、 さらに、0.5%のCu、1.0%以下のNi、0.3%以下のCr、
    0.3%以下のMo、0.1%以下のV、0.05%以下のTi、及び
    0.0002〜0.01%のCaからなる群のうち少なくとも1種を
    含有し、 残部が鉄及び不可避的不純物からなる請求項1に記載の
    高張力鋼からなる曲がり管の製造方法。
  4. 【請求項4】前記高耐蝕合金が、オーステナイト系ステ
    ンレス鋼、二相系ステンレス鋼、及びASTM UNS No.N088
    25(825合金)などの高Ni合金のいずれかである請求項
    1に記載の高張力鋼からなる曲がり管の製造方法。
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