JP2737525B2 - 母材の脆性破壊伝播停止特性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼板の製造方法 - Google Patents

母材の脆性破壊伝播停止特性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼板の製造方法

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JP2737525B2 JP4082935A JP8293592A JP2737525B2 JP 2737525 B2 JP2737525 B2 JP 2737525B2 JP 4082935 A JP4082935 A JP 4082935A JP 8293592 A JP8293592 A JP 8293592A JP 2737525 B2 JP2737525 B2 JP 2737525B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧延による母材の脆性破
壊伝播停止特性に優れたオーステナイト系ステンレスク
ラッド鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】低温靭性、特に脆性破壊の伝播停止特性
が要求されるクラッド鋼の主な用途としては、硫化水素
や炭酸ガス分を多く含んだガスを輸送するパイプライン
用、ケミカルタンカー用、海洋構造物用、砕氷船用など
が挙げられる。これらの用途においては、当然のことな
がらその用途に応じて選定された合せ材の耐食性、合せ
材と母材の接合強度ならびに母材に対しては強度ととも
に低温靭性、脆性破壊の伝播停止特性が要求される。
【0003】前記したようなクラッド鋼の主な製造方法
としては、圧延による接合法、爆着法、肉盛法、鋳込法
があるが、生産性、コスト、製造可能寸法の面で圧延に
よる接合方法が最も優れており、広く採用されている。
【0004】母材の脆性伝播停止特性を含めた低温靱性
を考慮したオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法
として特開昭58─103986号に記載されている方法が提案
されている。同方法は、炭素含有量が0.12% 以下の炭素
鋼からなる母材と、炭素含有量が0.05% 以下のオーステ
ナイト系ステンレス鋼からなる合わせ材を重ね合わせて
1000〜1250℃の温度域において下記のI式の関係を満た
す累積圧下率による圧延を行い、また650 〜950 ℃の温
度域においては下記のII式の関係を満たす累積圧下率に
よる圧延を行う方法である。 累積圧下率(%)=15%+0.2×[ CR率(%)] ・・・
・・・・・・・I 20%≦CR率(%)≦90%−200×[ 炭素含有量(w
t%)]・・・・・II
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記特開昭58
─103986号のように、900 ℃以上といった高温から空冷
した場合、組織は粗大化して実施例記載にあるように脆
性破壊伝播停止特性を評価するDWTT特性が不充分と
なり、前記の用途における最近の要求を満たすことがで
きない。また、空冷時に合わせ材の結晶粒界にCr炭化
物が析出して鋭敏化するため、溶体化処理材に比べて耐
粒界腐食性が劣化することは避けられない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような現
状に鑑み創案されたものであり、合せ材と母材の界面に
おける接合強度を高温で仕上げたクラッド鋼のそれと同
等の安定して高いレベルに維持しつつ、合せ材の耐食性
と母材の低温靭性、脆性破壊の伝播停止特性を最高度に
発揮せしめる圧延条件により、合わせ材の耐食性、母材
の低温靭性、脆性破壊伝播停止特性に優れたオーステナ
イト系ステンレスクラッド鋼板を得ることに成功したも
のである。
【0007】本発明者等は、種々の成分組成を有するオ
ーステナイト系テンレス鋼を合せ材とし、かつ、種々の
成分組成を有する母材をクラッド圧延したときの圧延条
件の影響を調査した結果、合わせ材のC量を低減し、か
つ、母材の特定成分組成として、高温において充分高く
て安定した接合強度が得られる必要最小限の圧下量を施
し、引き続き、850℃以下Ar3 点−20℃までに大
きい圧下量を施した直後に、450℃以下まで水冷する
ことによって接合強度とともに耐食性と脆性破壊伝播停
止特性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼
板が得られるという知見を得た。本発明は上記知見を基
にしてなされたものであって、以下の如くである。
【0008】(1)wt%で、C量が0.02%以下のオー
ステナイト系ステンレス鋼を合せ材とし、母材として、
C:0.02〜0.1%、 Si:0.05〜0.5%、
Mn:0.5〜2.0%、Nb:0.005〜0.05%、Al:0.0
1〜0.06%を含有し、残部鉄および不可避的不純物か
らなる鋼を用いて組み立てたスラブを1100℃以上に
加熱した後、1000℃以上の温度範囲において圧下比
で2.5%以上、850℃以下母材のAr3 点−20℃まで
の温度範囲において圧下率で50%以上の圧延を施し、
その後直ちに450℃以下の温度まで水冷することを特
徴とする母材の脆性破壊伝播停止特性に優れたオーステ
ナイト系ステンレスクラッド鋼板の製造方法。
【0009】(2)wt%で、C量が0.02%以下のオー
ステナイト系ステンレス鋼を合せ材とし、母材として、
C:0.02〜0.1%、 Si:0.05〜0.5%、
Mn:0.5〜2.0%、Nb:0.005〜0.05%、Al:0.0
1〜0.06%を含有すると共に、Cu:1.5%以下、
Ni:3.0%以下、 Cr:0.3%以下、Mo:0.3%以
下、 V:0.08%以下、 Ti:0.08%以下、
B:0.0020%以下、Ca:0.004%以下の何れか1
種または2種以上を含有し、残部鉄および不可避的不純
物からなる鋼を用いて組み立てたスラブを1100℃以
上に加熱した後、1000℃以上の温度範囲において圧
下比で2.5%以上、850℃以下母材のAr3 点−20℃
までの温度範囲において圧下率で50%以上の圧延を施
し、その後直ちに450℃以下の温度まで水冷すること
を特徴とする母材の脆性破壊伝播停止特性に優れたオー
ステナイト系ステンレスクラッド鋼板の製造方法。
【0010】
【作用】上記したような本発明について、更に説明する
と、本発明の構成は大きく分けて次の3点からなる。即
ち、 安定して高い接合強度を得るために、1100℃以
上に加熱して、1000℃以上の圧下比を必要最小限の
ものとし、母材の靭性を改善するための圧下量の余地を
確保する。 母材を低C−Nb系という成分組成とし、850℃以
下Ar3 点−20℃以上の温度範囲で高圧下することによ
って微細なオーステナイト粒を得るとともに、圧延終了
後に450℃以下まで水冷することによって微細な組織
を得る。これによって良好な靭性を確保する。 仕上げ圧延を母材のAr3 点−20℃以上と合せ材の
再結晶温度よりも低い温度で施すため、合せ材の加工硬
化は避けられないが、合せ材のC量を低減し、かつ、圧
延終了後に水冷することによって合せ材の鋭敏化を抑制
し、溶体化処理と同等な耐食性を確保する。
【0011】上記の高温で大きな圧下量を得ることに
よって、安定して高い接合強度が得られることは公知で
ある。しかし、安定して高い接合強度が得られる必要最
小限の圧下量については未だ明かにされていないのでこ
れを説明する。図1は、SUS316Lを合せ材とする
クラッド鋼の圧延における1000℃以上の圧下比を変
化させたときの接合強度を示している。なお、加熱温度
は1180℃である。また、界面の接合強度はJIS
G 0601に規定されているせん断試験で評価した。
この図1から明らかなように、1000℃以上の圧下比
が一定値以上になると安定して高いせん断強度が得ら
れ、その必要最小圧下比は、SUS316Lに代表され
るオーステナイト系ステンレス鋼を合せ材としたときに
は2.5であった。
【0012】次に、前記を説明するために、本発明者
らは次の実験結果を用意した。即ち、図2は、次の表1
に示す供試材1について、強度靭性に及ぼす圧延後の水
冷停止温度の影響を示している。なお、加熱温度は11
70℃であり、850℃以下Ar3 点−20℃以上の温度
範囲において圧下率で50%の圧下を施した。図2から
明らかなように、水冷停止温度の低下とともに強度は向
上し、DWTTの85%SATTが低温側に移行してい
ることがわかる。また、図3は、表1の供試材2につい
て、圧延後の強度靭性に及ぼす850℃以下Ar3 点−2
0℃以上の温度範囲における圧下率の影響を示してい
る。なお、加熱温度は1180℃であり、圧延直後40
0℃まで水冷した。この図3から明らかなように、母材
の靭性は850℃以下Ar3 点−20℃以上の温度範囲に
おける圧下率の増加に伴って向上している。
【0013】
【表1】
【0014】以上のような図1〜図3の結果によるなら
ば、母材の靭性、特に脆性破壊の伝播停止特性を改善す
るためには、オーステナイト低温域での高圧下と圧延直
後の水冷が有効であることが明かになった。
【0015】更に、前記について説明する。未再結晶
温度域での圧延後水冷することによって、合せ材となる
オーステナイト系ステンレス鋼の鋭敏化を抑制できるこ
とは、特開昭63−186822号公報等からも公知で
あり、ここでは、前記のように合せ材の未再結晶温度域
で高圧下を受けた合せ材の耐食性に及ぼすC量の影響に
ついての実験結果を説明する。図4は、次の表2に示す
SUS316Lを合せ材とするクラッド鋼の合せ材の硬
さに及ぼす850℃以下Ar3 点−20℃の温度範囲にお
ける圧下率の影響を示すが、加熱温度は1180℃で、
1000℃以上の圧下比は2.5〜3.0、圧延直後450
℃まで水冷するという条件で行ったものである。
【0016】
【表2】
【0017】前記した図4から明らかなように、圧下率
の上昇と共に硬さは上昇している。次の表3はこの図4
に示した種々の圧延条件で作製したクラッド鋼の粒界腐
食試験結果をまとめたものであって、粒界腐食試験は、
JIS G 0572に準拠した硫酸・硫酸第二鉄試
験、いわゆるストライカー試験であり、表中の溶体化処
理とは、1100℃で10分保持後水冷するという条件
である。
【0018】
【表3】
【0019】前記表3には、上述した表2に示した供試
材の試験結果とともに同様な圧延方法で作製したその他
の合せ材の結果についても示しているが、合せ材のC量
を低減し、かつ、圧延直後水冷することによって、溶体
化処理を施さなくても、その腐食速度は溶体化処理まま
と同等の値となることがわかる。
【0020】上記したように、〜の技術的構成関係
により、接合強度に優れ、かつ、母材の靭性、脆性破壊
伝播停止特性に優れた、溶体化処理ままの耐食性と同等
な合せ材を有するオーステナイト系ステンレスクラッド
鋼が製造可能となることは明かとなった。
【0021】次に、本発明における成分組成の限定理由
について説明すると、先ず合せ材のC量は少いほど耐食
性の観点から望ましい。即ち、合せ材におけるC量の増
加に伴って圧延後の冷却過程でのCr炭化物の析出による
耐食性の劣化が懸念され、本発明において規定した圧延
条件によって合せ材の耐食性が溶体化処理材のそれと同
等のレベルが得られる0.02%を上限としてC量を限定
した。
【0022】また、母材の成分組成限定理由について
は、Cは重要な強化元素であるが、0.02%未満では、
ラインパイプ用鋼、造船用鋼、海洋構造物用鋼としての
十分な強度が得られないため、下限を0.02%とした。
一方、0.1%を越える場合には溶接性および溶接部の靭
性を損なうとともに、母材の希釈による合せ材肉盛溶接
金属のC量増加に伴って耐食性を損なうため、上限を0.
1%とした。
【0023】Siは、製鋼過程における脱酸用として必要
な元素であり、また、固溶強化元素である。0.05%未
満では脱酸効果が十分でなく、一方、0.5%を越えると
靭性、加工性に悪影響を及ぼすので、0.05〜0.5%の
範囲に限定した。
【0024】Mnは、Cについで重要な元素である。即
ち、このMnはAr3 点を下げるため、オーステナイト低温
域における圧延を容易となし、しかも、強度向上、靭性
向上に有効に働く元素である。しかし、0.5%未満では
前述の用途に必要な強度靭性を確保することができな
い。一方、過度の添加は靭性、溶接性に悪影響を与える
ため、0.5〜2.0%に限定した。
【0025】Nbは、オーステナイトの再結晶を抑制し、
その再結晶温度域を広げる効力を有する。そのため、オ
ーステナイト粒の伸長化、変形帯の導入が容易となり、
著しい細粒化が達成され、靭性を向上させる。また、析
出強化元素としても有効である。これらの作用を発揮す
るためには0.005%以上の添加が必要であるが、過度
の添加は溶接性や溶接部の靭性に悪影響を与えるため、
0.005〜0.05%と限定した。
【0026】Alは、製鋼過程の脱酸用として重要な元素
であるとともに、溶接熱影響部の靭性向上にも効力を有
する。しかし、0.01%未満では脱酸効果が十分ではな
く、一方、0.06%を越えて添加しても溶接熱影響部の
靭性改善効果は飽和するので、0.01〜0.06%の範囲
に限定した。
【0027】この発明における対象鋼は前記組成を基本
成分とするものであるが、必要とする靱性等の調整のた
めに、本発明では更にCu、Ni、Cr、Mo、V、Ti、B、Ca
の1種または2種以上を含有させてもよい。次に、上記
基本成分に更に含有させる、これらの元素についての限
定理由について説明する。
【0028】Cuは、低C含有鋼において焼入性向上を通
して組織の微細化に効果があり、これによって靱性向上
に寄与する。また、時候処理をすることにより、ε−Cu
相で析出し著しい強度向上が達成され、良好な強度靱性
が得られる。しかし、1.5%を越えて添加する場合に
は、加熱時にCuに起因する表面割れが発生しやすいた
め、1.5%以下に限定した。
【0029】Niは、靭性向上に有効な元素であり、Cu疵
の発生を防止する作用もあるが、多量の添加は溶接性を
損なうとともに経済的にも不利となるため、3.0%を上
限とした。
【0030】Cr、Mo、Vは、ともに低C含有鋼において
焼入性向上を通して組織の微細化に効果があり、これに
より靱性向上に寄与する。しかし、過度の添加は靭性や
溶接性に悪影響を及ぼすため、Crを0.3%、Moを0.3%
以下、Vを0.08%以下に限定した。
【0031】Tiは、Nbと同様にオーステナイトの再結晶
の抑制、組織の微細化を通して靱性向上に有効な元素で
ある。また、溶接熱影響部の靭性向上にも有効である。
しかし、過度に添加すると靭性や溶接性に悪影響を及ぼ
すため、0.08%以下に限定した。
【0032】Bは、少量の添加で著しく焼入性を向上せ
しめる。低C含有鋼においては、焼入性向上を通して組
織の微細化に効果があり、これによって靱性向上に寄与
する。しかし、0.0020%を越える添加は、溶接部の
靭性を著しく損なうことになるので、0.0020%以下
の範囲とした。
【0033】Caは、硫化物の形態制御に効果があり、こ
れによって靱性向上に寄与する。しかし、0.004%を
越えると、靱性のみならず溶接性の劣化をもたらすため
0.004%以下とした。
【0034】次に、製造条件の限定理由を説明すると、
まず、加熱温度であるが、前記のように界面の接合強度
を高めるためには1000℃以上で必要量圧下する必要
がある。1100℃未満では、1000℃までに所定の
圧下量を付与することが困難となる。また、合せ材のCr
炭化物をマトリックス中に固溶させるためには高温に加
熱することが望ましいのでこれらを勘案して、加熱温度
を1100℃以上に限定した。
【0035】1000℃以上の必要圧下比は、図1に示
したように合せ材をオーステナイト系ステンレス鋼とし
た場合に安定して高いせん断強度が得られる2.5以上に
限定する。
【0036】母材の靭性、脆性破壊伝播停止特性のため
に圧下を施す温度を850℃以下Ar3 点−20℃までの
範囲に限定した理由について述べると、850℃を越え
るとオーステナイト粒の再結晶のためオーステナイト粒
の伸長化、変形帯の導入が困難であり、圧延後に微細化
した組織が得られないこと、Ar3 点−20℃未満の二相
域で圧下を施した後450℃以下まで水冷した母材の組
織には島状マルテンサイトが顕れ易く、靭性が劣化する
ことのためである。850℃以下Ar3 点−20℃までの
温度範囲での圧下率については、図3に示したように、
50%未満であると一般に炭素鋼ラインパイプ用材料に
要求される−10℃でのDWTTの延性破面率85%以
上という目標を確保できなくなるため、50%以上に限
定した。
【0037】圧延直後に施す水冷の停止温度について
は、図2に示したように強度とともにDWTT特性に影
響を与え、550℃といった高い温度で水冷を停止する
とDWTT特性が上記要求値を確保できなくなる。ま
た、合せ材の鋭敏化抑制のためには550℃以下の低温
まで水冷することが望ましい。これらの2点を勘案し
て、水冷停止温度を450℃以下に限定した。なお、水
冷における冷却速度については特に限定はしないが、母
材の靭性、合せ材の耐食性を勘案すると、2〜20℃/
sec とすることが望ましい。
【0038】
【実施例】上記したような本発明によるものの具体的実
施例について説明すると、次の表4に示す成分組成を有
する母材と合せ材とを、表5に示す組合わせ関係および
製造条件によってクラッド鋼板とした。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】上記のようにして、それぞれ得られたクラ
ッド鋼板について、引張試験、Vノッチシャルピー試
験、DWTT、せん断試験、粒界腐食試験を実施した。
引張試験片、DWTT試験片は合せ材を機械加工で除去
した母材全厚試験片である。ただし、板厚が大きいNo.
20のDWTT試験片については、試験機容量の制約か
らAPI RP 5L3 Second Edition (197
8)に従って19mmに減厚した試験片を用いた。Vノッ
チシャルピー試験片は母材の板厚中央から採取した。せ
ん断試験はJIS G 0601、合せ材の粒界腐食試
験はJIS G 0572(硫酸・硫酸第二鉄試験)に
従った。これらの試験結果は次の表6に示す如くであ
る。
【0042】
【表6】
【0043】即ち、前記した表6における比較クラッド
鋼板No. 5は、850℃以下Ar3 点−20℃以上の温度
範囲における圧下率が50%未満となっており、DWT
Tの85%SATTが0℃以上となっており、その目標
値である−10℃という用途には用いることはできな
い。比較クラッド鋼板No. 6は、圧延後の水冷を施して
おらず、DWTT特性が不十分であるとともに、耐食性
が劣っている。また比較クラッド鋼板No. 16は、85
0℃以下Ar3 点−20℃の温度範囲における圧下率が5
0%未満となっており、かつ、水冷停止温度が450℃
より高くなっているため、DWTT特性が劣っている。
さらに、比較クラッド鋼板No. 17は、圧延後の水冷停
止温度が450℃より高くなっており、DWTT特性が
劣っている。なお比較クラッド鋼板No. 19は、仕上げ
圧延条件は本発明範囲内にあるが、1000℃以上の圧
下比が2.5未満となっており、母材の靭性と合せ材の耐
食性は優れるものの、接合強度が十分ではない。また比
較クラッド鋼板No. 20は接合強度のみを考慮して10
00℃以上で高圧下を施したためにDWTT特性が劣っ
ており、更に、圧延後水冷を施していないために耐食性
も劣っている。
【0044】上記のような比較材に対し、本発明の実施
例では、安定して高いせん断強度が得られており、ま
た、合せ材の耐食性は、表3との比較によって明らかな
ように、溶体化処理ままの材料と同等である。また、D
WTTの8も−10℃以下と優れていることが確認され
た。
【0045】
【発明の効果】以上説明したような、本発明法によると
きは、安定して高い接合強度が得られ、また、合せ材に
おいては溶体化処理ままと同等の耐食性が得られると共
に、母材の脆性破壊伝播停止特性を含めた低温靭性に優
れたオーステナイト系ステンレス鋼を合せ材とするクラ
ッド鋼板の製造することが可能となるもので工業的にそ
の効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】せん断強度に及ぼす1000℃以上の圧下比の
影響を示す図表である。
【図2】母材の機械的性質に及ぼす圧延後の水冷停止温
度の影響を示した図表である。
【図3】母材の機械的性質に及ぼす850℃以下Ar3
−20℃間の圧下率の影響を示す図表である。
【図4】合せ材の硬さに及ぼす850℃以下Ar3 点−2
0℃間の圧下率の影響を要約して示した図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片平 正宏 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 伊沢 徹 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−154672(JP,A) 特開 平5−92282(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 wt%で、C量が0.02%以下のオーステ
    ナイト系ステンレス鋼を合せ材とし、母材として、 C:0.02〜0.1%、 Si:0.05〜0.5%、
    Mn:0.5〜2.0%、 Nb:0.005〜0.05%、Al:0.01〜0.06%を含有
    し、残部鉄および不可避的不純物からなる鋼を用いて組
    み立てたスラブを1100℃以上に加熱した後、100
    0℃以上の温度範囲において圧下比で2.5%以上、85
    0℃以下母材のAr3 点−20℃までの温度範囲において
    圧下率で50%以上の圧延を施し、その後直ちに450
    ℃以下の温度まで水冷することを特徴とする母材の脆性
    破壊伝播停止特性に優れたオーステナイト系ステンレス
    クラッド鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 wt%で、C量が0.02%以下のオーステ
    ナイト系ステンレス鋼を合せ材とし、母材として、 C:0.02〜0.1%、 Si:0.05〜0.5%、
    Mn:0.5〜2.0%、 Nb:0.005〜0.05%、Al:0.01〜0.06%を含有
    すると共に、 Cu:1.5%以下、 Ni:3.0%以下、 Cr:0.3
    %以下、 Mo:0.3%以下、 V:0.08%以下、 Ti:0.0
    8%以下、 B:0.0020%以下、Ca:0.004%以下の何れか1
    種または2種以上を含有し、残部鉄および不可避的不純
    物からなる鋼を用いて組み立てたスラブを1100℃以
    上に加熱した後、1000℃以上の温度範囲において圧
    下比で2.5%以上、850℃以下母材のAr3 点−20℃
    までの温度範囲において圧下率で50%以上の圧延を施
    し、その後直ちに450℃以下の温度まで水冷すること
    を特徴とする母材の脆性破壊伝播停止特性に優れたオー
    ステナイト系ステンレスクラッド鋼板の製造方法。
JP4082935A 1992-03-06 1992-03-06 母材の脆性破壊伝播停止特性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP2737525B2 (ja)

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