JP3526722B2 - 低温靭性に優れた超高強度鋼管 - Google Patents

低温靭性に優れた超高強度鋼管

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JP3526722B2 JP11594997A JP11594997A JP3526722B2 JP 3526722 B2 JP3526722 B2 JP 3526722B2 JP 11594997 A JP11594997 A JP 11594997A JP 11594997 A JP11594997 A JP 11594997A JP 3526722 B2 JP3526722 B2 JP 3526722B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は米国石油協会(AP
I)規格でX120以上(引張強さで約950N/mm2
以上)の超高強度と低温靭性に優れた鋼管に関するもの
である。 【0002】 【従来の技術】原油・天然ガスを長距離輸送するパイプ
ラインに使用するラインパイプは、1)高圧化による輸送
効率の向上や、2)薄肉化による現地での溶接能率向上の
ためますます高張力化する傾向にある。これまでにAP
I規格でX80までのラインパイプの実用化が進行中で
あるが、さらに高強度のラインパイプに対するニーズが
最近でてきた。現在、X100以上の超高強度ラインパ
イプはX80級ラインパイプの製造法(NKK技報 N
o.138(1992),pp24-31およびThe 7th Offshore Mechanic
s and Arctic Engineering(1988),Volume V,pp179-18
5)を基本に検討されているが、これではせいぜい、X
100(降伏強さ989N/mm2 以上、引張強さ760
N/mm2 以上)ラインパイプの製造が限界と考えられ
る。 【0003】パイプラインの超高強度化は強度・低温靭
性バランスをはじめとして、溶接熱影響部(HAZ)靭
性、現地溶接性、継手軟化など多くの問題を抱えてい
る。特にHAZ靭性の向上は重要な課題であり、HAZ
靭性に優れた超高強度ラインパイプ(X100超)の早
期開発が要望されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は低温靭性に優
れた引張強さ950N/mm2 以上(API規格X120
以上)の超高強度鋼管を提供するものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、重量%
で、 C :0.05〜0.10%、 Si:0.6%以
下、 Mn:1.8〜2.5%、 P :0.015
%以下、 S :0.003%以下、 Ni:0.1〜
1.0%、 Mo:0.25〜0.60%、 Nb:0.01〜
0.10%、 Ti:0.005〜0.030%、 Al:0.06%
以下、 N :0.001〜0.006%、 O :0.003
%以下 を含有し、 Cu:0.1〜1.0%、 Cr:0.1〜
1.0%、 V :0.01〜0.10%、 B :0.000
3〜0.002%、 Ca:0.001〜0.005% のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不
可避的不純物からなる母材と、 C :0.03〜0.08%、 Si:0.6%以
下、 Mn:1.5〜2.2%、 P :0.015
%以下、 S :0.005%以下、 Ni:1.0〜
2.5%、 Cr:0.50〜1.5%、 Mo:0.50〜
1.5%、 Nb:0.01〜0.10%、 Ti:0.005
〜0.030%、 Al:0.05%以下、 N :0.001
〜0.010%、 O :0.015〜0.030% を含有し、 Cu:0.1〜1.0%、 V :0.01〜
0.10%、 B :0.0003〜0.003%、Ca:0.001
〜0.005% のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不
可避的不純物からなり、かつ P=C+0.11Si+0.03Mn+0.02Ni+
0.04Cr+0.07Mo+1.46Nb の式で定義されるP値が0.25〜0.35の範囲にあ
る溶接金属部を有し、かつ溶接熱影響部の最軟化部の硬
さ(HvHAZ)が溶接金属部の平均硬さ(HvWM)
の0.85以上を有することを特徴とする低温靭性に優
れた超高強度鋼管である。 【0006】 【発明の実施の形態】以下に本発明の低温靭性に優れた
超高強度鋼管について説明する。本発明の特徴は、1)低
C−高Mn−Ni−Mo−Nb−Ti系鋼を母材とし、
2)低C−Mn−Ni−Cr−Mo−低O系の溶接金属部
を有し、3)HAZの最軟化部の硬さを溶接溶接金属部の
平均硬さの0.85以上を有する鋼管である。 【0007】従来より、低C−高Mn−Nb−Mo−微
量Ti鋼は微細なベイナイト主体の組織を有するライン
パイプ用鋼としてよく知られているが、その引張強さの
上限はせいぜい750MPaが限界であった。さらに高
強度化するためには、1)C量や合金元素量を増加させる
こと、2)900℃以上の高温から焼入れ−焼戻し処理す
ること、が必要であるが、母材やHAZの低温靭性は不
十分となる。 【0008】本発明者らは低C−高Mn−Nb−Mo鋼
において、化学成分を適正に制御することにより、鋼管
母材において超高強度と優れた低温靭性が達成できるこ
とを見いだした。一方、鋼管母材の強度上昇に伴ない、
必然的に溶接金属の強度も上昇させる必要がある。通
常、鋼管母材は圧延時の加工熱処理(制御圧延〜加速冷
却)の適用により容易に組織を制御でき、所定の強度お
よび低温靭性を満足させることができる。しかしなが
ら、HAZおよび溶接金属部の強度、低温靭性は母材お
よび溶接金属中の化学成分と溶接後の冷却速度で決定さ
れるため、溶接条件が一定の場合(例えば板厚が一定の
場合)、HAZ靭性および溶接金属部の強度、低温靭性
は合金元素の添加量でほぼ決まる。すなわち、HAZお
よび溶接金属部の強度、低温靭性を満足させるために化
学成分を適正な範囲に制御する必要がある。しかしなが
ら、化学成分の適正化だけでは良好なHAZ靭性が得ら
れないことが判明した。すなわち、溶接部における母
材、HAZおよび溶接金属の強度(硬さ)を制御しない
場合にはHAZに大きなひずみが集中し、HAZ靭性が
劣化することがわかった。 【0009】そこで、本発明者らは超高強度鋼管におい
てHAZ靭性を改善する方法を鋭意検討した。その結
果、溶接金属中の合金元素の添加量を適正な範囲に制御
して、溶接金属の強度を適正な範囲に制御すると共に、
HAZの最軟化部の硬さを溶接金属部の平均硬さとの相
対比較で適正に制御することにより、HAZに大きなひ
ずみが集中することなく、良好なHAZ靭性を得ること
ができることを見いだし、本発明に至った。 【0010】溶接金属部の強度を適正な範囲に制御する
ためには、P=C+0.11Si+0.03Mn+0.
02Ni+0.04Cr+0.07Mo+1.46Nb
で表わされるP値を2.5≦P≦3.5に制御する必要
がある。これは低温靭性を損なうことなく、目的とする
溶接金属部の強度・低温靭性バランスを達成すためであ
る。P値の下限を2.5としたのは950N/mm2 以上
の強度と優れた低温靭性を得るためである。またP値の
上限を3.5としたのは低温靭性を維持するためであ
る。 【0011】次にHAZ最軟化部の硬さを溶接金属部の
平均硬さの0.85以上とする必要がある。これはHA
Zに大きなひずみが集中し、低温靭性が劣化するのを防
止するためである。溶接部平均硬さの0.85以上とす
ることにより、HAZに大きなひずみの集中が防止で
き、HAZ靭性が向上する。また0.85未満になると
HAZに大きなひずみが集中し、HAZ靭性が劣化す
る。 【0012】以下に、本発明の溶接金属の成分元素の限
定理由について説明する。Cの下限0.03%は溶接金
属の強度を確保するための最小量である。しかしC量が
多過ぎると低温靭性、現地溶接性の著しい劣化を招くの
で、上限を0.08%とした。 【0013】Siは脱酸や強度向上のため添加する元素
であるが、多く添加すると低温靭性や現地溶接性を劣化
させるので、上限を0.6%とした。 【0014】Mnは強度、低温靭性を確保する上で不可
欠な元素であり、その下限は1.5%である。しかしM
nが多過ぎると鋼の焼入性が増加して低温靭性や現地溶
接性を劣化させるので上限を2.2%とした。 【0015】Niを添加する目的は、強度を低温靭性や
現地溶接性を劣化させることなく向上させるためであ
る。しかし、添加量が多過ぎると、経済性だけでなく、
低温靭性などを劣化させるので、その上限を2.5%、
下限は1.0%とした。 【0016】Crは強度を増加させるが、多過ぎると低
温靭性や現地溶接性を著しく劣化させる。このためCr
量の上限を1.5%、下限を0.50%とした。 【0017】Moを添加する理由は、鋼の焼入れ性を向
上させるためである。この効果を得るためには、Moは
最低0.50%必要である。しかし過剰なMo添加は低
温靭性、現地溶接性を劣化させるので、その上限を1.
5%とした。 【0018】Nbは鋼を強靭化する作用を有し、最低
0.01%は必要である。しかしNbを0.10%を超
えて添加すると、現地溶接性や低温靭性に悪影響をもた
らすので、その上限を0.10%とした。 【0019】Ti添加は微細なTiNを形成し、低温靭
性を改善する。このようなTiNの効果を発現させるた
めには、最低0.005%のTi添加が必要である。し
かし、Ti量が多過ぎると、TiNの粗大化やTiCに
よる析出硬化が生じ、低温靭性が劣化するので、その上
限は0.030%に限定しなければならない。 【0020】Alは通常脱酸元素として効果を有する。
しかし、Al量が0.05%を超えると、Al系非金属
介在物が増加して鋼の清浄度を害するので、上限を0.
05%とした。 【0021】NはTiNを形成して低温靭性を向上させ
る。このために必要な最小量は0.001%である。し
かし、多過ぎると、低温靭性を劣化させるので、その上
限は0.010%に抑える必要がある。 【0022】O量の低減は、溶接金属中の酸化物を少な
くして、低温靭性の改善に効果がある。しかしながら、
O量が少なくなると低温割れが発生すると共に、現地溶
接時の硬さが高くなるため、その下限を0.015%と
した。しかし、O量が多過ぎると低温靭性が劣化するの
で、上限を0.030%とした。 【0023】さらに本発明では、不純物元素であるP,
S量をそれぞれ0.015%以下、0.005%以下と
する。この主たる理由は、低温靭性をより一層向上させ
るためである。P量の低減は、粒界破壊を防止し、低温
靭性を向上させる。またS量の低減は、MnSを低減し
て延靭性を向上させる効果がある。 【0024】次にCu,V,B,Caを添加する理由に
ついて説明する。基本となる成分にさらにこれらの元素
を添加する主たる目的は、本発明鋼の優れた特徴を損な
うことなく、溶接金属の強度・靭性などの特性の向上を
図るためである。したがって、その添加量は自ら制限さ
れるべき性質のものである。 【0025】CuはNiとほぼ同様な効果を持つと共
に、耐食性、耐水素誘起割れ特性の向上にも効果があ
る。しかし過剰に添加すると低温靭性が低下するので、
その上限を1.0%とした。Cuの下限0.1%は添加
による材質上の効果が顕著になる最小量である。 【0026】VはほぼNbと同様の効果を有するが、そ
の効果はNbに比較して弱い。Vは歪誘起析出し、強度
を上昇させる。下限は0.01%、その上限は現地溶接
性、低温靭性の点から0.10%まで許容できる。 【0027】Bは極微量で鋼の焼入れ性を飛躍的に高め
る元素である。さらにBはMoの焼入れ性向上効果を高
めると共に、Nbと共存して相乗的に焼入れ性を増す。
このような効果を得るためには、Bは最低でも0.00
03%必要である。一方、過剰に添加すると、低温靭性
を劣化させるだけでなく、かえってBの焼入れ性向上効
果を消失せしめることもあるので、その上限を0.00
2%とした。 【0028】Caは硫化物(MnS)の形態を制御し、
低温靭性を向上(シャルピー試験における吸収エネルギ
ーの増加など)させる。しかし、Ca量が0.001%
未満では実用上効果がなく、また0.005%を超えて
添加すると、CaO−CaSが大量に生成してクラスタ
ー、大型介在物となり、鋼の清浄度を害するだけでな
く、現地溶接性にも悪影響を及ぼす。このためCa添加
量を0.001〜0.005%に制限した。 【0029】上記の溶接金属を得るための溶接材料は、
フラックスとしては高塩基度溶融型フラックスを選択
し、また溶接棒にはNi−Cr−Mo系ワイヤの使用が
好ましい。 【0030】次に、母材の成分元素の限定理由について
説明する。Cの下限0.05%は母材の強度、低温靭性
の確保ならびにNb,V添加による析出硬化、結晶粒の
微細化効果を発揮させるための最小量である。しかし、
C量が多過ぎると、低温靭性や現地溶接性の著しい劣化
を招くので、上限を0.10%とした。 【0031】Siは脱酸や強度向上のため添加する元素
であるが、多く添加すると現地溶接性、HAZ靭性を劣
化させるので、上限を0.6%とした。鋼の脱酸はTi
あるいはAlのみでも十分であり、Siは必ずしも添加
する必要はない。 【0032】Mnは強度、低温靭性を確保する上で不可
欠な元素であり、その下限は1.8%である。しかし、
Mnが多過ぎると、鋼の焼入性が増加して現地溶接性、
HAZ靭性を劣化させるだけでなく、連続鋳造鋼片の中
心偏析を助長し、低温靭性も劣化させるので上限を2.
5%とした。 【0033】Niを添加する目的は、低炭素の本発明鋼
の強度を低温靭性や現地溶接性を劣化させることなく向
上させるためである。Ni添加は、MnやCr,Mo添
加に比較して圧延組織(特にスラブの中心偏析帯)中に
低温靭性、耐サワー性に有害な硬化組織を形成すること
が少なく、強度を増加させることが判明した。しかし、
添加量が多過ぎると、経済性だけでなく、現地溶接性や
HAZ靭性などを劣化させるので、その上限を1.0
%、下限は0.1%とした。Niは連続鋳造時、熱間圧
延時におけるCuクラックの防止にも有効である。この
場合、NiはCu量の1/3以上添加する必要がある。 【0034】Moを添加する理由は、鋼の焼入れ性を向
上させるためである。また、MoはNbと共存して制御
圧延時にオーステナイトの再結晶を強力に抑制し、オー
ステナイト組織の微細化にも効果がある。このような効
果を得るためには、Moは最低0.25%必要である。
しかし、過剰なMo添加はHAZ靭性、現地溶接性を劣
化させるので、その上限を0.60%とした。 【0035】Nbは制御圧延において結晶粒の微細化や
析出硬化に寄与し、鋼を強靭化する作用を有する。その
ために0.01%以上の添加が必要である。しかし、N
bを0.10%以上添加すると、現地溶接性やHAZ靭
性に悪影響をもたらすので、その上限を0.10%とし
た。 【0036】また、Ti添加は微細なTiNを形成し、
スラブ再加熱時および溶接HAZのオーステナイト粒の
粗大化を抑制してミクロ組織を微細化し、母材およびH
AZの低温靭性を改善する。このようなTiNの効果を
発現させるためには、最低0.005%のTi添加が必
要である。しかし、Ti量が多過ぎると、TiNの粗大
化やTiCによる析出硬化が生じ、低温靭性が劣化する
ので、その上限は0.030%に限定しなければならな
い。 【0037】Alは通常脱酸剤として鋼に含まれる元素
で組織の微細化にも効果を有する。しかし、Al量が
0.06%を超えると、Al系非金属介在物が増加して
鋼の清浄度を害するので、上限を0.06%とした。脱
酸はTiあるいはSiでも可能であり、Alは必ずしも
添加する必要はない。 【0038】NはTiNを形成してスラブ再加熱時およ
び溶接HAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制して母
材、HAZの低温靭性を向上させる。このために必要な
最小量は0.001%である。しかし、多過ぎると、ス
ラブ表面疵や固溶NによるHAZ靭性の劣化の原因とな
るので、その上限は0.006%に抑える必要がある。 【0039】さらに本発明では、不純物元素であるP,
S,O量をそれぞれ、0.015%以下、0003%以
下、0.003%以下とする。この主たる理由は、母
材、HAZ靭性の低温靭性をより一層向上させるためで
ある。P量の低減は連続鋳造スラブの中心偏析を低減し
粒界破壊を防止し低温靭性を向上させる。またS量の低
減は、延伸化したMnSを低減して耐サワー性や延靭性
を向上させる効果がある。O量の低減は鋼中の酸化物を
少なくして、耐サワー性や低温靭性の改善に効果があ
る。したがって、P,S,O量は低いほど好ましい。 【0040】次にCu,Cr,V,B,Caを添加する
理由について説明する。基本となる成分にさらにこれら
の元素を添加する主たる目的は本発明鋼の優れた特徴を
損なうことなく、製造可能な板厚の拡大や母材の強度・
靭性などの特性の向上を図るためである。したがって、
その添加量は自ら制限されるべき性質のものである。 【0041】CuはNiとほぼ同様な効果を持つと共
に、耐食性、耐水素誘起割れ特性の向上にも効果があ
る。またCu析出硬化によって強度を大幅に増加させ
る。しかし、過剰に添加すると、析出硬化により母材、
HAZの靭性低下や熱間圧延時にCuクラックが生じる
ので、その上限を1.0%とした。Crは母材、HAZ
の強度を増加させるが、多過ぎると現地溶接性やHAZ
靭性を著しく劣化させる。このためCr量の上限は1.
0%である。Cu,Crの下限0.1%はそれぞれの元
素添加による材質上の効果が顕著になる最小量である。 【0042】VはほぼNbと同様の効果を有するが、そ
の効果はNbに比較して弱い。しかし、超高強度鋼にお
けるV添加の効果は大きい。Vはフェライトの加工(熱
間圧延)によって歪誘起析出し、フェライトを著しく強
化する。下限は0.01%、その上限は現地溶接性、H
AZ靭性の点から0.10%まで許容できる。 【0043】Bは極微量で鋼の焼入れ性を飛躍的に高め
る元素である。さらにBはMoの焼入れ性向上効果を高
めると共に、Nbと共存して相乗的に焼入れ性を増す。
このような効果を得るためには、Bは最低でも0.00
03%必要である。一方、過剰に添加すると、低温靭性
を劣化させるだけでなく、かえってBの焼入れ性向上効
果を消失せしめることもあるので、その上限を0.00
2%とした。 【0044】Caは硫化物(MnS)の形態を制御し、
低温靭性を向上(シャルピー試験における吸収エネルギ
ーの増加など)させる。しかしCa量が0.001%未
満では実用上効果がなく、また0.005%を超えて添
加すると、CaO−CaSが大量に生成してクラスタ
ー、大型介在物となり、鋼の清浄度を害するだけでな
く、現地溶接性にも悪影響を及ぼす。このためCa添加
量を0.001〜0.005%に制限した。 【0045】 【実施例】本発明の実施例について述べる。転炉−連続
鋳造法で表1に示すように種々の鋼成分の鋼片から表2
に示す種々の製造法により鋼管を製造して、諸性質を調
査した。鋼管の機械的性質は圧延と直角方向で調査し
た。また低温割れの有無については溶接後48時間経過
した後、超音波探傷(UST)により評価した。結果を
表2に示す。 【0046】本発明の鋼管は母材および溶接部において
優れた強度・低温靭性を有する。これに対して比較鋼は
化学成分やHAZ最軟化部の硬さとWM平均硬さの比が
適切でなく、いずれかの特性が劣る。 【0047】鋼5は母材のC量が多過ぎるために母材お
よびHAZの低温靭性が悪い。鋼6は溶接金属のC量が
多過ぎるために低温靭性が悪い。鋼7は溶接金属のNi
量が少ないために低温靭性が悪い。鋼8は溶接金属のC
r量が多過ぎるために低温靭性が悪い。鋼9は溶接金属
のMo量が多過ぎるために低温靭性が悪い。鋼10は溶
接金属の酸素量が少ないために低温割れが発生した。鋼
11は溶接金属の酸素量が多過ぎるために低温靭性が悪
い。鋼12はP値が低過ぎるために溶接部の強度が低
い。鋼13はP値が高過ぎるために低温靭性が悪く、低
温割れも発生した。鋼14はHAZの硬さとWMの硬さ
の差が大きく、HAZ靭性が悪い。 【0048】 【表1】【0049】 【表2】【0050】 【発明の効果】本発明による低温靭性に優れた超高強度
鋼管をパイプラインに採用することにより、パイプライ
ンの安全性が著しく向上すると共に、パイプラインの施
工能率、輸送効率の飛躍的な向上が可能となった。
フロントページの続き (72)発明者 原 卓也 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 小山 邦夫 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 平10−324950(JP,A) 特開 平8−269545(JP,A) 特開 平8−92649(JP,A) 特開 平5−375(JP,A) 特開 平7−303987(JP,A) 特開 平7−204881(JP,A) 特開 平3−133576(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 B21C 37/08

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 重量%で、 C :0.05〜0.10%、 Si:0.6%以
    下、 Mn:1.8〜2.5%、 P :0.015
    %以下、 S :0.003%以下、 Ni:0.1〜
    1.0%、 Mo:0.25〜0.60%、 Nb:0.01〜
    0.10%、 Ti:0.005〜0.030%、 Al:0.06%
    以下、 N :0.001〜0.006%、 O :0.003
    %以下 に、さらに Cu:0.1〜1.0%、 Cr:0.1〜
    1.0%、 V :0.01〜0.10%、 B :0.000
    3〜0.002%、 Ca:0.001〜0.005% のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不
    可避的不純物からなる母材と、 C :0.03〜0.08%、 Si:0.6%以
    下、 Mn:1.5〜2.2%、 P :0.015
    %以下、 S :0.005%以下、 Ni:1.0〜
    2.5%、 Cr:0.50〜1.5%、 Mo:0.50〜
    1.5%、 Nb:0.01〜0.10%、 Ti:0.005
    〜0.030%、 Al:0.05%以下、 N :0.001
    〜0.010%、 O :0.015〜0.030% に、さらに Cu:0.1〜1.0%、 V :0.01〜
    0.10%、 B :0.0003〜0.003%、Ca:0.001
    〜0.005% のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不
    可避的不純物からなり、かつ下記の式で定義されるP値
    が0.25〜0.35の範囲にある溶接金属部を有し、
    かつ溶接熱影響部の最軟化部の硬さ(HvHAZ)が溶
    接金属部の平均硬さ(HvWM)の0.85以上を有す
    ることを特徴とする低温靭性に優れた超高強度鋼管。 P=C+0.11Si+0.03Mn+0.02Ni+
    0.04Cr+0.07Mo+1.46Nb
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