JP4133566B2 - 低温靭性の優れた高強度ベンド管の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、API規格X80(降伏強度:約551N/mm2 )以上X100 (降伏強度:約689N/mm2 )以下の強度と高靭性を有するベンド管(曲がり管)の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原油・天然ガスを輸送するパイプラインに使用するラインパイプ(直管)や異形管(ベンド管、エルボ−管、T字管など)には、安全性の観点から優れた強度、低温靭性、溶接性などが求められる。特にパイプライン敷設域の寒冷地化や深海化、敷設時のコスト削減、高圧輸送によるコスト削減のニーズに伴い、X80〜X100級の高強度ベンド管が要求されるようになっている。
【0003】
従来、ベンド管などは直管に比較して、鋼管の機械的性質(強度、低温靭性など)が劣化するため、下記特許文献1〜5など、ベンド管の機械的性質を改善する方法が種々開示されている。
例えば特許文献1〜4は、鋼管を加熱後、曲げ加工しながら焼入れした後、冷却後特定の範囲内で焼戻し処理する方法である。しかしながらこれらの方法では、X80〜X100の強度を満足させるために合金元素添加量が必然的に多くなり、焼き戻し処理を行った場合、溶接金属の低温靭性が劣化するという問題があった。
【0004】
これらに対して特許文献5では、生産性の向上や製造コストの低減を図るために、焼戻し処理を省略して高強度と良好な低温靭性を確保するためのベンド管の製造法が記載されている。しかしながらこの場合、降伏比が低くなり、所定のYSを満足することが困難になると共に、C量の低減による強度の低下をMn,Cr,Moを添加して高強度化するものであり、加熱〜加工〜焼入れ後の組織中にMA(Martensite-Austenite Constituent)、いわゆるマルテンサイトとオ−ステナイトが共存した組織が生成するため、極低温での靭性を安定的に確保することが困難になる。そこで、X80〜X100級の高強度を有し、かつ低温での優れた靭性を有する高強度ベンド管の開発が強く望まれていた。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−10212号公報
【特許文献2】
特開平4−154913号公報
【特許文献3】
特開平7−3330号公報
【特許文献4】
特開平5−279743号公報
【特許文献5】
特開昭59−232225号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、X80〜X100級の強度と低温での優れた靭性を有する高強度ベンド管の製造技術を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、次の通りである。
質量%で、
C :0.03〜0.10%、 Si:0.3%以下、
Mn:0.8〜2.2%、 P :0.015%以下、
S :0.005%以下、 Nb:0.005〜0.030%、
Ti:0.005〜0.030%、 Al:0.004%以下、
N :0.001〜0.006%、 O :0.006%以下
に、必要に応じてさらに、
Ni:0.1〜1.0%、 Cu:0.1〜1.0%、
Mo:0.1〜1.0%、 V :0.01〜0.10%
のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつCEB=C+Mn/6+(Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15で定義されるCEB値が0.40〜0.70の範囲にある母材と、
C :0.03〜0.10%、 Si:0.6%以下、
Mn:1.0〜2.2%、 P :0.015%以下、
S :0.01%以下、 Nb:0.015%以下、
Ti:0.005〜0.030%、 Al:0.05%以下、
N :0.001〜0.010%、 O :0.03%以下
に、必要に応じてさらに、
Ni:0.1〜1.0%、 Cr:0.1〜1.0%、
Mo:0.1〜1.0%、 V :0.01%以下、
B :0.0003〜0.003%
のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつPP={1.5(O−0.89Al)+3.4N}−Tiで定義されるPP値が−0.010〜0.010の範囲にあり、さらにCEW=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+Ni/15で定義されるCEW値が0.49〜0.80の範囲にある溶接金属部を有する鋼管を850〜880℃に加熱後、曲げ加工しながら10℃/秒以上の冷却速度で焼入れし、その後、Ac1温度以下で焼き戻し処理することを特徴とする低温靭性の優れた高強度ベンド管の製造法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の低温靭性の優れた高強度ベンド管の製造方法について詳細に説明する。
従来から、極低炭素−高Mn−Nb−(Mo,Cr)−微量Ti鋼管を、加熱後、曲げ加工しながら焼入れ処理することにより高強度と良好な低温靭性を確保できることが知られている(例えば特許文献5)。しかしながらX80〜X100の高強度化、または極厚化する場合、合金元素添加量が必然的に多くなり、ベンド管母材の低温靭性は不十分となる。
【0009】
一方、ベンド管の溶接金属については、低炭素−Nb系鋼管を加熱後、曲げ加工しながら焼入れ処理することにより高強度と良好な低温靭性を確保できることが知られている(例えば特開平1−44769号公報)。しかしながら、高強度化する場合、さらに溶接金属の合金元素添加量の増加が必要となり、炭窒化物の析出による析出硬化や結晶粒の粗大化と相まって溶接金属の低温靭性は劣化する。
【0010】
そこで本発明者らは、加熱後曲げ加工し、焼入れ焼き戻し処理による高強度ベンド管の母材および溶接金属部の低温靭性を改善するために鋭意研究した結果、本発明に至った。
すなわち、本発明の特徴は、(1)低C−低Si−微量Nb−微量Ti系の母材と低C−高Mn−微量Tiを含み、Nb添加量を限定し、かつAl,N,酸素,Ti量のバランスを考慮した溶接金属成分を有する鋼管であること、(2)この鋼管を適正な温度範囲に加熱後、曲げ加工しながら焼入れし、その後焼戻し処理することにあり、これらによって母材と溶接金属部の高強度と優れた低温靭性を同時に達成できる。
【0011】
低合金鋼の低温靭性は、(1)結晶粒のサイズ、(2)MAや上部ベイナイト(Bu)などの硬化相の分散状態など種々の冶金学的要因に支配される。特に高強度化、厚肉化するほど合金元素の添加量は必然的に多くなり、焼入れ時の組織は上部ベイナイト主体の組織となり、MA生成の完全抑制は困難になる。本発明では鋼中のSi量を極力低減することにより、上部ベイナイトが生成する場合でもMAの生成量が抑制され、かつ微細に分散させて、低温靭性を向上させる。
【0012】
次に、本発明における母材の成分限定理由を説明する。
Siを添加した場合には、Siはセメンタイトへの溶解度が小さく、セメンタイト中にSiが固溶しないために、未変態オ−ステナイト中でγが安定化してMAの生成が顕著になる。この効果を十分に発揮させるために、母材のSi量を0.3%以下に限定した。Si量の上限の値は、MAの生成を抑制して低温靭性を向上させるために必要な値である。Siは脱酸や強度向上のために必要な元素であり、その上限の値を0.3%とした。ただし、Si量は強度が確保できる範囲内でできるだけ少ない方が望ましい。鋼の脱酸はTiのみでも十分であり、Siは必ずしも添加する必要はない。
【0013】
Cの下限0.03%は、母材および溶接熱影響部(HAZ)の強度、低温靭性の確保ならびにNb,V添加による析出硬化、結晶粒の微細化効果を発揮させるための最小量である。しかしC量が多過ぎると低温靭性、現地溶接性の著しい劣化を招くので、上限を0.10%とした。
【0014】
Mnは強度、低温靭性を確保する上で不可欠な元素であり、その下限は0.8%である。しかしMnが多過ぎると鋼の焼入性が増加して現地溶接性、HAZ靭性を劣化させるだけでなく、連続鋳造鋼片の中心偏析を助長し、低温靭性も劣化させるので、上限を2.2%とした。
【0015】
Nbは制御圧延において結晶粒の微細化や析出硬化に寄与し、鋼を強靱化する作用を有する。この効果を発揮させるための最小量として、その下限を0.005%とした。しかしNbを0.030%超添加すると、溶接金属のNb量が増加し、溶接金属の低温靭性を劣化させると共に、現地溶接性やHAZ靭性に悪影響をもたらすので、その上限を0.030%とした。
【0016】
Ti添加は微細なTiNを形成し、スラブ再加熱時および溶接HAZのオ−ステナイト粒の粗大化を抑制してミクロ組織を微細化し、母材およびHAZの低温靭性を改善する。このようなTiNの効果を発現させるためには、最低0.005%のTi添加が必要である。しかしTi量が多過ぎると、TiNの粗大化やTiCによる析出硬化が生じ、低温靭性が劣化するので、その上限は0.03%に限定しなければならない。
【0017】
Alは通常脱酸剤として鋼に含まれる元素で組織の微細化にも効果を有する。しかしAl量が0.05%を超えるとAl系非金属介在物が増加して鋼の清浄度を害するので、上限を0.05%とした。
【0018】
さらに本発明では、不純物元素であるP、S、O量をそれぞれ、0.015%以下、0.005%以下、0.006%以下とする。この主たる理由は母材、HAZ靭性の低温靭性をより一層向上させるためである。
P量の低減は連続鋳造スラブの中心偏析を低減し、粒界破壊を防止し低温靭性を向上させる。またS量の低減は延伸化したMnSを低減して延靭性を向上させる効果がある。O量の低減は鋼中の酸化物を少なくして、低温靭性の改善に効果がある。したがってP,S,O量は低いほど好ましい。
【0019】
NはTiNを形成してスラブ再加熱時および溶接HAZのオ−ステナイト粒の粗大化を抑制して母材、HAZの低温靭性を向上させる。このために必要な最小量は0.001%である。しかし多過ぎるとスラブ表面疵や固溶NによるHAZ靭性の劣化の原因となるので、その上限は0.006%に抑える必要がある。
【0020】
さらに、CEB=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15で定義されるCEB値を0.40〜0.70の範囲に限定する必要がある。CEB値が0.40未満では十分な強度が得られない。またCEB値が0.70を超えると強度が大きく上昇し、靭性の劣化が起こる。
【0021】
一方、鋼管長手方向の溶接金属部の低温靭性は、(1)結晶粒のサイズ、(2)島状マルテンサイトなどの硬化相の分散状態など種々の冶金学的要因に支配される。特に高強度化、厚肉化するほど合金元素の添加量は必然的に多くなり、焼入れ時の組織は上部ベイナイト主体の組織となり、従来の加熱温度においては結晶粒の粗大化と相まって靭性の劣化は避けられない。
【0022】
そこで、Al,N,酸素およびTi量のバンランスを適正化することにより低温靭性を飛躍的に改善できることがわかった。すなわちPP={1.5(O−0.89Al)+3.4N}−Tiで表される式において、PP値が−0.010〜0.010%になるように各成分を適正化することにより、低温靭性が向上する。PP値はTi量の過不足を示したもので、PP値が低い(マイナス)場合にはTiが過剰に添加されていることになり、TiCなど析出硬化により低温靭性が劣化する。一方PP値が高い(プラス)場合にはTi量が不足(または酸素量が過剰)しているために、低温靭性が劣化する。良好な低温靭性を得るためにはPP値を−0.010〜0.010%にする必要がある。
【0023】
次に、本発明における溶接金属部の成分限定理由を説明する。
Cの下限0.03%は、溶接金属部の強度、低温靭性の確保ならびにNb.V添加による析出硬化、結晶粒の微細化効果などを発揮させるための最小量である。しかしC量が多過ぎると低温靭性、現地溶接性の著しい劣化を招くので、上限を0.10%とした。
【0024】
Siは溶接金属部において脱酸や強度向上のため添加する元素であるが、過剰に添加すると低温靭性を劣化させるので、上限を0.6%とした。溶接金属の脱酸はTiあるいはAlのみでも十分である。
【0025】
Mnは強度、低温靭性を確保する上で不可欠な元素であり、その下限は1.0%である。しかしMnが多過ぎると溶接金属の焼入れ性が増加して低温靭性を劣化させるので、上限を2.2%とした。
【0026】
Nbは結晶粒の微細化や析出硬化に寄与し、鋼を強靭化する作用を有する。Nbを0.015%超添加すると、焼戻し時の析出硬化により低温靭性に悪影響をもたらすので、その上限を0.015%とした。
【0027】
Ti添加は微細なTiNを形成し、溶接金属の再加熱時のオ−ステナイト粒の粗大化を抑制してミクロ組織を微細化し、低温靭性を改善する。このようなTiNの効果を発現させるためには、最低0.005%のTi添加が必要である。しかしTi量が多過ぎると、TiNの粗大化やTiCによる析出硬化が生じ、低温靭性が劣化するので、その上限は0.03%に限定しなければならない。
【0028】
Alは通常脱酸剤として鋼に含まれる元素で組織の微細化にも効果を有する。しかしAl量が0.05%を超えるとAl系非金属介在物が増加して鋼の清浄度を害するので、上限を0.05%とした。
【0029】
NはTiNを形成して再加熱時のオ−ステナイト粒の粗大化を抑制して低温靭性を向上させる。このために必要な最小量は0.001%である。しかし多過ぎると固溶Nの増加による靭性の劣化の原因となるので、その上限は0.010%に抑える必要がある。
【0030】
O量の低減は鋼中の酸化物を少なくして、低温靭性の改善に効果がある。したがってO量は低いほど好ましい。O量が多すぎると清浄度が劣化して低温靭性が劣化するので、その上限値は0.03%である。
【0031】
さらに本発明では、不純物元素であるP,S量をそれぞれ、0.015%以下、0.01%以下とする。この主たる理由は溶接金属の低温靭性をより一層向上させるためである。P量の低減は溶接金属中の偏析を低減し、粒界破壊を防止して低温靭性を向上させる。またS量の低減はMnSを低減して延靭性を向上させると共に、溶接金属の高温割れを防止する効果がある。
【0032】
次に、溶接金属中にさらにNi,Cu,Cr,Mo,V,B,Caを添加する理由について説明する。
基本となる成分に、さらにこれらの元素を添加する主たる目的は、本発明鋼の優れた特徴を損なうことなく、製造可能な板厚の拡大や溶接金属の強度・靭性などの特性の向上を図るためである。したがって、その添加量は自ら制限されるべき性質のものである。
【0033】
Niを添加する目的は、低温靭性を劣化させることなく低炭素の本発明鋼の強度を向上させるためである。Ni添加はMnやCr,Mo添加に比較して溶接金属中に低温靭性に有害な硬化組織を形成することが少なく、強度を増加させる。この効果を発揮させるために、0.1%以上の添加が必要である。しかし、添加量が多すぎると経済性だけでなく、溶接高温割れなどを招くので、その上限を1.0%とした。
【0034】
CuはNiとほぼ同様な効果を持つと共に、耐食性、耐水素誘起割れ特性の向上にも効果がある。この効果を発揮させるためには0.1%以上の添加が必要である。しかし過剰に添加すると低温靭性が低下するので、その上限を1.0%とした。
【0035】
Crは溶接金属の強度を増加させる効果があり、この効果を発揮させるためには0.1%以上の添加が必要である。しかし、多過ぎると低温靭性を著しく劣化させる。このためCr量の上限は1.0%とした。
【0036】
Moを添加する理由は溶接金属の強度を増加させるためである。この効果を得るためには、Moは最低0.1%必要である。しかし過剰なMo添加は低温靭性を劣化させるので、その上限を1.0%とした。
【0037】
VはほぼNbと同様の効果を有する。その上限は低温靭性の観点から0.01%まで許容できる。
【0038】
Bは極微量で鋼の焼入れ性を飛躍的に高める。この効果を得るためには、Bは最低でも0.0003%必要である。一方、過剰に添加すると、低温靭性を劣化させるだけでなく、かえってBの焼入れ性向上効果を消失せしめることもあるので、その上限を0.0020%とした。
【0039】
Caは硫化物(MnS)の形態を制御し、低温靭性を向上(シャルピ−試験における吸収エネルギ−の増加など)させる。しかしCa量が0.001%未満では実用上効果がなく、また0.005%を超えて添加するとCaO−CaSが大量に生成してクラスタ−、大型介在物となり、清浄度を害する。このためCa添加量を0.001〜0.005%に制限した。
【0040】
さらに、CEW=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15で定義されるCEW値を0.45〜0.80の範囲に限定する必要がある。CEW値が0.45未満では十分な強度が得られない。またCEW値が0.80を超えると強度が大きく上昇し、靭性の劣化が起こる。
【0041】
なお、上記成分を有する鋼の圧延方法として、制御圧延または制御圧延〜加速冷却することが望ましい。これはベンド管の袖部の強度と低温靭性を確保するためである。
【0042】
次に製造条件の限定理由について説明する。
本発明では、鋼管を850〜950℃の温度範囲に再加熱後、曲げ加工しながら焼入れする必要がある。
鋼管の加熱温度を850℃以上とする理由は、オ−ステナイト域で合金元素を十分に溶体化させ、強度と低温靭性を向上させるためである。しかし加熱温度が950℃を超えると、溶接金属において加熱時のオ−ステナイト粒が成長し、結晶粒が大きくなって低温靭性の劣化を招いたり、ベンド管の所定の寸法が得られなくなる。このため加熱温度の上限は950℃とした。
【0043】
加熱後、鋼管を曲げ加工しながら焼入れし、その後、Ac1 温度以下で焼戻し処理をする必要がある。これは曲げ加工しながら焼入れし、その後焼戻し処理することにより、高強度と優れた低温靭性を得るためである。曲げ加工しながら焼入れしないと鋼管の温度が低下して、フェライトなどの生成により高強度化が達成できない。なお、焼入れ処理時の冷却速度は10℃/秒以上が望ましい。
【0044】
【実施例】
本発明の実施例について述べる。
種々の成分を有する鋼板を溶接して鋼管を製造した。成形方法はUOEおよびBR(ベンディングロ−ル)である。その後、種々の溶接金属成分を有する鋼管からベンド管を製造して、諸性質を調査した。機械的性質は圧延と直角方向で調査した。
【0045】
調査結果を表1(表1−1)、表2(表1−2)、表3(表2)に示す。表1及び表2には化学成分を、表3には製造方法と機械的性質を表示した。
本発明の鋼管は優れた強度・低温靭性を有する。これに対して比較鋼は化学成分または鋼管製造条件が適切でなく、以下に示すようにいずれかの特性が劣る。
【0046】
鋼6は母材のC量が多過ぎるため、母材の低温靭性が悪い。鋼7は母材のMn量が高過ぎるため、母材の低温靭性が悪い。鋼8は母材のNb量が多過ぎるため、WMの低温靭性が悪い。鋼9は母材のCEB値が小さいため、十分な強度が得られない。鋼10は母材のCEB値が大きいため強度が著しく上昇し、低温靭性も悪い。鋼11は溶接金属のC量が多過ぎるため、溶接金属の低温靭性が悪い。
【0047】
鋼12は溶接金属のNb量が多過ぎるため溶接金属の低温靭性が悪い。鋼13はPP値が小さすぎるため、溶接金属の低温靭性が悪い。鋼14はPP値が高すぎるため溶接金属の低温靭性が悪い。鋼15は鋼管の再加熱温度が高すぎるため、低温靭性が悪い。鋼16は鋼管の再加熱温度が低すぎるため強度が低い。鋼17は曲げ加工後空冷したために強度が低い。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】
本発明により、低温靭性に優れたAPI規格X80〜X100高強度ベンド管が安定して製造できるようになった。その結果、パイプラインの輸送効率の向上が可能となった。
Claims (1)
- 質量%で、
C :0.03〜0.10%、 Si:0.3%以下、
Mn:0.8〜2.2%、 P :0.015%以下、
S :0.005%以下、 Nb:0.005〜0.030%、
Ti:0.005〜0.030%、 Al:0.004%以下、
N :0.001〜0.006%、 O :0.006%以下、
に、さらに、
Ni:0.1〜1.0%、 Cu:0.1〜1.0%、
Mo:0.1〜1.0%、 V :0.01〜0.10%
のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつCEB=C+Mn/6+(Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15で定義されるCEB値が0.40〜0.70の範囲にある母材と、
C :0.03〜0.10%、 Si:0.6%以下、
Mn:1.0〜2.2%、 P :0.015%以下、
S :0.01%以下、 Nb:0.015%以下、
Ti:0.005〜0.030%、 Al:0.05%以下、
N :0.001〜0.010%、 O :0.03%以下
に、さらに、
Ni:0.1〜1.0%、 Cr:0.1〜1.0%、
Mo:0.1〜1.0%、 V :0.01%以下、
B :0.0003〜0.003%
のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつPP={1.5(O−0.89Al)+3.4N}−Tiで定義されるPP値が−0.010〜0.010の範囲にあり、さらにCEW=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+Ni/15で定義されるCEW値が0.49〜0.80の範囲にある溶接金属部を有する鋼管を850〜880℃に加熱後、曲げ加工しながら10℃/秒以上の冷却速度で焼入れし、その後、Ac1温度以下で焼き戻し処理することを特徴とする低温靭性の優れた高強度ベンド管の製造法。
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