JP3793478B2 - 粗大結晶粒の含有を抑制し、低温靱性に優れた高強度鋼板および鋼管の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、引張り強度(TS)が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度熱間圧延鋼板及び鋼管の製造方法に関するものである。このような超高強度熱間圧延鋼は、さらに、加工、溶接されて、天然ガス・原油輸送用のラインパイプ、圧力容器、溶接構造物などの溶接性鋼材として広く用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年、ラインパイプ用鋼板、揚水用鋼板(例えばペンストック)または圧力容器用鋼板では、高強度化および高低温靱性化の需要が増えてきている。ラインパイプ用鋼板では、例えば、引張強度が950MPa(API規格でX100)以上の超高強度鋼板の製造に関して、既に多くの研究が行われている(PCT/JP96/00155、00157)。このようなラインパイプ用鋼板などとして使用する超高強度鋼板では、高い強度のみならず良好な低温靱性が要求されることが多く、例えば、ラインパイプ用鋼板では、シェルフエネルギーで200J以上の低温靱性が求められている。
【0003】
一般に、引張強度が900MPa以上の超高強度レベルの鋼では、鋼成分としてMn、Ni、Cu等の焼き入れ性が高い合金元素量を比較的多く添加する必要があるため、このような鋼を連続鋳造などで製造する場合には、その鋳造組織中のフェライト生成が抑制され、鋳片の鋳造組織としてベイナイト及びマルテンサイトの混合組織が90%以上含有し、それらの結晶粒径が旧オーステナイト粒径で1mm以上の粗大なベイナイト及びマルテンサイト単相(ここでのべイナイト組織とマルテンサイト組織は、何れもラス構造の組織であり、光学顕微鏡では区別が困難な組織であるため「単相」という表現を用いた。以下、同様である。)または主体組織となる。このような鋳造組織を有する鋳片を用いて熱間圧延を行うための再加熱を行う場合には、ベイナイトおよびマルテンサイト組織がオーステナイトに変態した後も、その結晶粒径は、鋳造組織の結晶粒径(旧オーステナイト粒径)とほぼ同じ程度に粗大となり、その後、通常の熱間圧延をおこなっても再結晶が十分促進されず、鋼板にも粗大な結晶粒が残存しやすかった。鋼板中の一部に粗大結晶粒が存在する場合には、それが破壊の発生点となり上部シェルフ域でもシャルピーエネルギーが低下するため、これが引張り強度が900MPa以上の超高強度熱間圧延鋼の低温靱性を低下させる原因となっている。
【0004】
熱間圧延での再加熱時の鋳片結晶粒の粗大化を抑制することにより引張り強度が900MPa以上の超高強度鋼板の低温靱性を向上させる方法としては、例えば、特開平11−140580号公報には、連続鋳造時の冷却速度を制御して、鋳造組織に粒内変態フェライトを10%以上含有させた鋳片を製造し、この鋳片を用いて熱間圧延するための再加熱におけるオーステナイト変態によりフェライトの界面からオーステナイトが多く生成させ、結晶粒を整粒、微細化する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、鋳造組織中に粒内フェライトを10%以上生成させるためにAl含有量を0.004%未満に低減させると共に、連続鋳造時の冷却速度を制御させる必要があるために、精錬および鋳造の時間が長くなり、コストが高くなる等の生産性および経済性の点で不利な面があった。
【0005】
一方、熱間圧延工程におけるオーステナイト再結晶を用いて引張り強度が900MPa以上の超高強度鋼板の低温靱性を向上させる方法としては、例えば、特表2001−511482号公報では、熱間圧延のオーステナイト再結晶温度域での圧下率およびオーステナイト未再結晶温度域での圧下率を規定することにより鋼板の低温靱性を向上させる方法が知られているが、オーステナイト再結晶粒域の圧延パス間時間や1パス当たりの圧下率などの再結晶条件は考慮させていないため、ベイナイト・マルテンサイト主体の超高強度鋳片を用いて加熱−熱間圧延する際にシェルフエネルギーで200J以上の低温靱性の優れた鋼板を安定して製造することは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、再加熱時にオーステナイト結晶粒の粗大化が発生しやすいベイナイト及びマルテンサイト単相または主体組織の超高強度連続鋳片を用いて熱間圧延する際の圧延条件、特にγ再結晶域圧延の各圧延1パス当たりの平均圧下率および各圧延パス間時間を規定してオーステナイト再結晶をより促進させることにより結晶粒の細粒化をおこない、シェルフエネルギーで200J以上の低温靱性が得られる、低温靱性に優れた引張強度が900MPa以上の超高強度鋼板及び鋼管の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の技術的課題を解決するものであり、その発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.01〜0.6%、Mn:1.7〜2.5%、P:0.015%以下、S:0.003%以下、Ni:0.1〜2.0%、Mo:0.01〜0.60%、Nb:0.001〜0.10%、Ti:0.001〜0.030%、Al:0.001〜0.040%、N:0.0001〜0.006%を含み、さらに、B:0.0001〜0.003%、V:0.01〜0.10%、Cu:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜0.6%、Ca:0.0001〜0.01%、REM:0.0001〜0.02%およびMg:0.0001〜0.006%のうちの1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ鋳造組織にベイナイト及びマルテンサイトを90%以上含有する連続鋳造鋳片を再加熱後、再結晶域圧延における圧延温度が900℃以上、かつ各圧延1パス当たりの平均圧下率が5〜20%で熱間圧延を行うことを特徴とする引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
(2)質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.01〜0.6%、Mn:1.7〜2.5%、P:0.015%以下、S:0.003%以下、Ni:0.1〜2.0%、Mo:0.01〜0.60%、Nb:0.001〜0.10%、Ti:0.001〜0.030%、Al:0.001〜0.040%、N:0.0001〜0.006%を含み、さらに、B:0.0001〜0.003%、V:0.01〜0.10%、Cu:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜0.6%、Ca:0.0001〜0.01%、REM:0.0001〜0.02%およびMg:0.0001〜0.006%のうちの1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ鋳造組織にベイナイト及びマルテンサイトを90%以上含有する連続鋳造鋳片を再加熱後、再結晶域圧延における圧延温度が900℃以上、かつ各圧延パス間時間が3秒以上で熱間圧延を行うことを特徴とする引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
(3)質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.01〜0.6%、Mn:1.7〜2.5%、P:0.015%以下、S:0.003%以下、Ni:0.1〜2.0%、Mo:0.01〜0.60%、Nb:0.001〜0.10%、Ti:0.001〜0.030%、Al:0.001〜0.040%、N:0.0001〜0.006%を含み、さらに、B:0.0001〜0.003%、V:0.01〜0.10%、Cu:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜0.6%、Ca:0.0001〜0.01%、REM:0.0001〜0.02%およびMg:0.0001〜0.006%のうちの1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ鋳造組織にベイナイト及びマルテンサイトを90%以上含有する連続鋳造鋳片を再加熱後、再結晶域圧延における圧延温度が900℃以上、各圧延1パス当たりの平均圧下率が5%以上、かつ各圧延パス間時間が3秒以上で熱間圧延を行うことを特徴とする引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
(4)前記連続鋳造鋳片の再加熱において、該鋳片を加熱炉へ挿入する際の温度が400℃以下であることを特徴とする上記(1)から(3)の何れか1項に記載の引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
(5)前記連続鋳造鋳片の再加熱において、該鋳片の加熱温度が1100〜1250℃であることを特徴とする上記(1)から(4)の何れか1項に記載の引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
(6)さらに、未再結晶域圧延における圧延温度がAr3またはBs〜850℃、かつ、累積圧下率が60%以上であることを特徴とする上記(1)から(5)の何れか1項に記載の引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
(7)上記(1)から(6)の何れか1項に記載の鋼板の製造方法により製造した鋼板を管状に冷間成形後、突き合わせ部にシーム溶接を行うことを特徴とする引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
【0009】
通常、引張強度が800MPa以下で合金元素の含有量が比較的少ない連続鋳造鋳片の鋳造組織は、フェライトとベイナイトあるいはフェライトとパーライトの混合組織である。この鋳片を熱間圧延のために再加熱した場合には、主にフェライト粒界から新たなオーステナイトが多く生成し、加熱温度がAc3点直上の950℃付近では平均結晶粒径が20μm程度の整粒オーステナイトになる。そして、その後、熱間圧延により鋼板を製造する場合には、再結晶によって、さらに細粒化されて平均オーステナイト粒径が5μm程度のほぼ均一な整粒組織になる。
【0010】
これに対して、Mn、Ni、Cu等の合金元素量の含有量が比較的多い引張強度が900MPa以上の超高強度鋼用連続鋳造鋳片のミクロ組織は、ベイナイト及びマルテンサイトの混合組織が90%以上でその結晶粒径が旧オーステナイト粒径で1mm以上の粗大なベイナイトおよびマルテンサイト単相または主体組織である。
【0011】
この鋳片をそのまま熱間圧延のために再加熱した場合には、オーステナイトは旧オーステナイト粒界からも一部生成するが、結晶粒(旧オーステナイト粒)内に多く存在する残留オーステナイトが容易に合体・成長することにより、結果的に再加熱温度が900〜1000℃では、鋳片の結晶粒(旧オーステナイト粒)径とほぼ同じ1mm以上の粗大なオーステナイト粒になることがある。これを異常フェライト・オーステナイト変態と呼ぶ。
【0012】
再加熱時にこのような粗大なオーステナイト粒が鋼中に生成すると、その後の熱間圧延で再結晶しにくくなり、最終成品の組織中に粒径が50〜100μmの粗大な結晶粒が残存し、これが低温靱性を低下させる原因となる。
【0013】
本発明者らは、再加熱時に異常フェライト・オーステナイト変態によって結晶粒の粗大化が発生しやすいベイナイト及びマルテンサイト単相または主体組織の連続鋳造鋳片を用いて、再加熱、熱間圧延した場合でも、熱間圧延におけるオーステナイト再結晶の促進により結晶粒を細粒化し低温靱性を向上できる鋼板の製造方法について鋭意検討した。
【0014】
更に、発明者らは、オーステナイト再結晶の促進のための熱間圧延条件について、種々の実験をおこなって検討した結果、圧延条件の中で、特に所定温度のオーステナイト再結晶域圧延における各圧延パスの平均圧下率または各圧延パス間時間がオーステナイト再結晶の促進のために重要であることがわかった。
【0015】
図1に圧延温度が900℃のオーステナイト再結晶粒域圧延における1パス当たりの平均圧下率および圧延パス間時間と、粒径が10μm以上の粗大オーステナイト結晶粒の分率との関係を示す。
【0016】
オーステナイト再結晶粒域圧延における1パス当たりの平均圧下率が5%以上、または、オーステナイト再結晶粒域圧延における圧延パス間時間が3秒以上の何れかの条件で、鋼板組織中で破壊の発生点となる粒径:10μm以上の粗大オーステナイト結晶粒の割合が20%以下と少なくなり、再加熱時に異常フェライト・オーステナイト変態によって粗大化された結晶粒を熱間圧延のオーステナイト再結晶により微細化することができる。また、オーステナイト再結晶粒域圧延における圧延1パス当たりの平均圧下率が5%以上、かつオーステナイト再結晶粒域圧延における圧延パス間時間が3秒以上の条件では、粒径:10μm以上の粗大オーステナイト結晶粒の割合が10%以下とさらに少なくなり、熱間圧延のオーステナイト再結晶の更なる促進により結晶粒の微細化ができることがわかった。図2に粒径:10μm以上の粗大オーステナイト結晶粒の分率と−40℃でのシャルピー吸収エネルギーとの関係を示す。−40℃でのシャルピー吸収エネルギーが200J以上の優れた低温靱性を安定して得るためには、鋼板組織中で破壊の発生点となる粒径:10μm以上の粗大オーステナイト結晶粒の割合が20%未満とする必要がある。
【0017】
従って、本発明では、上述した検討結果を基に、再加熱時に異常フェライト・オーステナイト変態によって粗大化された結晶粒を熱間圧延のオーステナイト再結晶を行うことにより微細化し、鋼板組織中で破壊の発生点となる粒径:10μm以上の粗大オーステナイト結晶粒の残存量を減少させることによって、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーが200J以上の優れた低温靱性を安定して得るために、オーステナイト再結晶粒域圧延における1パス当たりの平均圧下率を5%以上、または、オーステナイト再結晶粒域圧延における圧延パス間時間が3秒以上の何れかの条件で行う。なお、この場合の平均圧下率の上限は、後で示す実施例の表3〜表5で確認されている20%とするのが好ましい。また、本発明では、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーが230J以上のより優れた低温靱性を安定して得るためにはオーステナイト再結晶粒域圧延における1パス当たりの平均圧下率を5%以上、かつ、オーステナイト再結晶粒域圧延における圧延パス間時間が3秒以上とする。
【0018】
また、本発明では、上記再結晶域圧延の圧延温度が900℃未満になると、オーステナイトの十分な再結晶化が図れず、圧延1パス当たりの平均圧下率および圧延パス間時間を不当増大しなければ、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーが200J以上の十分高い低温靱性を得ることができず、設備・操業制約および生産性低下の原因となるため、上記再結晶域圧延の圧延温度を900℃以上とする。
【0019】
本発明では、鋼板の低温靱性を向上させるための製造条件として、特に、上記のように再結晶域圧延における圧延温度、各圧延1パス当たりの平均圧下率、および、各圧延パス間時間を上記範囲に規定することが重要であるが、さらに、鋼板組織を整粒化し組織中の粗大結晶粒の残留を抑制してさらに安定して低温靱性を向上するために、以下のように加熱炉への鋳片の挿入温度、加熱温度、未再結晶域圧延における圧延温度を規定する。
【0020】
まず、鋳片の再加熱条件について説明する。
【0021】
本発明では、圧延素材として、連続鋳造によって製造される連続鋳造鋳片を対象とするが、この鋳片を加熱炉で再加熱する場合、この鋳片を加熱炉へ挿入する際の温度、つまり、鋳片の加熱炉挿入温度によって、再加熱時のオーステナイト変態挙動が変化する。
【0022】
鋳片の加熱炉挿入温度が400℃を越えた状態での鋳造組織はまだベイナイトまたはマルテンサイト変態が十分に進んでなく、旧オーステナイト粒界内に同一結晶方位の残留オーステナイトが多く存在している。同一結晶方位の残留オーステナイトは、Ac3直上の温度で容易に合体・成長しやすい性質を有するため、再加熱過程では粒界内に多く存在する残留オーステナイトが合体・成長する結果、旧オーステナイトの粒径とほぼ同等程度まで粗大化したオーステナイトとなりやすい(これを異常フェライト・オーステナイト変態と呼ぶ)。したがって、本発明では、再加熱過程での異常フェライト・オーステナイト変態による粗大オーステナイトの生成を抑制するために鋳片の加熱炉挿入温度を400℃以下とし、鋳片を加熱炉に挿入するまでに鋳片を冷却してその鋳造組織を残留オーステナイトが少なくベイナイト及びマルテンサイトが90%以上含有するベイナイト・マルテンサイト主体組織とする。
【0023】
また、再加熱時の加熱温度は、Ac3直上よりも高い1100℃以上とすることにより、再加熱時での異常フェライト・オーステナイト変態によって生じた粗大オーステナイトの生成が抑制され、オーステナイト結晶粒がほぼ整粒化することができる。これは、再加熱過程で鋳造組織中のマルテンサイトがAc1点以下の温度でセメンタイトに分解され、旧オーステナイト粒界内のラス界面に多くの塊状セメンタイトを形成し、さらに、Ac3点以下の高温においてこの塊状セメンタイトからオーステナイトが核生成する。粒界内の塊状セメンタイトから生成したオーステナイトは、残留オーステナイトよりもC含有量が高く、かつ結晶方位と異なるため、残留オーステナイトに吸収合体されず、単独で成長しようとする。さらに、2次再結晶の作用も加わってオーステナイトが整粒化されると考えられる。このオーステナイトの整粒化は、加熱温度がある程度高くなるほどその効果も大きくなるが、加熱温度が1250℃を越えると、オストワルド成長によるオーステナイトの吸収合体、粒成長が急激に起きてオーステナイトは粗大化される。
【0024】
従って、本発明では、2次再結晶の作用によりオーステナイトが整粒化を促進し、かつ、オストワルド成長によるオーステナイトの粗大化を抑制させるために、再加熱時の加熱温度を1100〜1250℃に規定する。
【0025】
次に、未再結晶域圧延の条件について説明する。
【0026】
本発明の未再結晶圧延条件は、旧オーステナイト粒界以外に変形帯も多く導入し結晶粒径をさらに微細化するために、圧下温度を850℃以下とし、かつ、累積圧下率を60%以上とする。なお、未再結晶域圧延の圧延温度が、Ar3点またはBs点未満と過度に低い温度で累積圧下率を60%以上の高圧下圧延をした場合には、加工組織が生成し低温靱性を劣化させるため、未再結晶域圧延の圧延温度の下限値をAr3点またはBs点温度とする。
【0027】
本発明において引張強度:900MPa以上、低温靱性:シェルフエネルギーで200J以上などの目的とする特性を得るためには、上述した製造条件とともに熱間圧延に用いる鋳片の成分を規定する必要がある。
【0028】
上述のように、再加熱過程において粒界内の塊状セメンタイトから核生成したオーステナイトを2次再結晶によって粒成長を促進させ、異常フェライト・オーステナイト変態を抑制させるためには、加熱温度をより高くする必要があるが、温度が高くなるに伴いオストワルド成長によるオーステナイトの吸収合体、粒成長が起きるため、加熱温度の高温化は好ましくない。本発明では、2次再結晶によるオーステナイトの整粒化をより低温域の加熱温度で行わせるためには、炭化物あるいは窒下物等の介材物を減少させ、それによるピニング作用を抑制させることが有効であるとの知見に基づき、炭化物あるいは窒下物を形成するNb、V、Ti等の元素をできる限り低減することを特徴とする。
【0029】
以下に本発明の鋼板成分の限定理由を説明する。
【0030】
Cは、鋼中で固溶または炭窒化物の析出により鋼の強度向上および焼き入れ性を向上させるために極めて有効であり、本発明のベイナイトおよびマルテンサイト主体組織および目標強度を得るために、その含有量の下限を0.03%とした。一方、C含有量が多すぎると、鋼材および溶接HAZ部の低温靱性が低下したり、溶接後の低温割れの発生などの現地溶接性が著しく劣化するため、その含有量の上限を0.10%とした。更に低温靱性向上のためには、C含有量の上限を0.07%とするのが好ましい。
【0031】
Siは、脱酸や強度向上の作用効果を有し、その効果を得るために0.01%以上添加する。一方、多く添加し過ぎると、溶接HAZ靱性や現地溶接性を著しく劣化させるので、その含有量の上限を0.6%とした。なお、本発明鋼におけるAlおよびTiもSiと同様に脱酸作用を有するため、Si含有量は、AlおよびTiの含有量により調整するのが好ましい。
【0032】
Mnは、本発明鋼のミクロ組織をベイナイトおよびマルテンサイト主体の組織とし、強度および低温靱性の良好なバランスを確保するために不可欠な元素であり、その含有量の下限を1.7%とする。一方、Mnを多く添加し過ぎると、焼き入れ性が増加して溶接HAZ靱性や現地溶接性を劣化させるだけでなく、連続鋳造鋼片中の中心偏析を助長して鋼材の低温靱性を劣化させるためその含有量の上限を2.5%とした。
【0033】
P、Sは、不可避的不純物元素であり、Pは連続鋳造鋼片の中心偏析を助長するとともに、粒界破壊により低温靱性を向上させ、Sは熱間圧延で延伸化する鋼中のMnSにより延性および靱性を低下させる。従って、本発明では、母材およびHAZの低温靱性をより一層向上させるために、P、Sのそれぞれの含有量の上限を0.015%、0.003%として制限する。
【0034】
Niは、低温靱性や現地溶接性を劣化させることなく本発明の低炭素鋼の特性を向上させるために添加する。つまり、Niは、MnやCr、Moと比較して熱間圧延の組織(特に連続鋳造鋼片の中心偏析帯)中に低温靱性に有害な硬化組織の形成を比較的少なくできるとともに、0.1%以上の微量添加により溶接HAZ靱性の向上に有効であるため、Ni含有量の下限を0.1%とした。さらに、溶接HAZ靱性の向上のためには、Ni含有量の下限を0.3%以上とするのが好ましい。一方、Ni含有量が多すぎると、Niが高価であることによる経済性の悪化だけでなく、溶接HAZ靱性や現地溶接性を劣化させるため、その含有量の上限を2.0%とした。
【0035】
なお、Niの添加は、連続鋳造および熱間圧延におけるCu起因の表面割れの防止にも有効である。この目的に添加する場合は、Ni含有量をCu含有量の1/3以上添加するのが好ましい。
【0036】
Moは、鋼の焼き入れ性を向上させ、目的とするベイナイトおよびマルテンサイト主体の組織を得るために添加する。特に、B添加鋼の場合には、Mo添加による焼き入れ性向上の効果は顕著となる。また、MoがNbと共存することにより、制御圧延時にオーステナイトの再結晶化を抑制し、オーステナイト組織を微細化する効果がある。これらのMo添加による効果を得るために、その含有量の下限を0.01%とした。一方、その含有量が0.60%を超えて過剰に添加すると、製造コストが高くなるとともに、溶接HAZ靱性や現地溶接性が劣化するためにその含有量の上限を0.60%とした。
【0037】
Nbは、Moと共存して制御圧延時にオーステナイトの再結晶化を抑制するとともに、炭窒化物の析出によりオーステナイト組織を微細化し、また、焼入れ性向上にも寄与するため、鋼を強靱化するために添加する。特に、Nb添加による焼入れ性向上効果は、Bと共存する場合に相乗的に高まる。これらのNi添加による効果は、その含有量が0.001%未満では得られないため、その含有量の下限を0.001%とした。一方、その添加量が多過ぎると、溶接HAZ靱性や現地溶接性が劣化するとともに再加熱時に異常フェライト・オーステナイト変態を高温域側まで引きずるためにその含有量の上限を0.10%とした。なお、これらの効果向上の点からその含有量の上限を0.04%とするのが好ましい。
【0038】
Tiは、鋼中で微細な窒化物を形成し、再加熱時にオーステナイトの粗大化を抑制するとともに、B添加鋼の場合の焼入れ性向上に対して有害な固溶Nを低減し焼入れ性をより向上させる。また、Al含有量が0.005%以下と少ない場合には、Tiは鋼中で酸化物を形成し、溶接HAZにおいて粒内変態生成核として作用し、溶接HAZの組織を微細化する効果も有する。これらのTi添加による効果は、その含有量が0.001%未満では得られないため、Ti含有量の下限を0.001%とした。なお、窒化物の形成および固溶Nの固定による効果を安定して得るためには、Ti含有量の下限を、N含有量との関係から3.4Nとすることが好ましい。一方、Tiの添加が多過ぎると、窒化物の粗大化や炭化物の析出硬化により、低温靱性が劣化するのに加えて、再加熱時に異常フェライト・オーステナイト変態を高温域側まで引きずるためにその含有量の上限を0.030%とした。
【0039】
Alは、脱酸材として添加するとともに、組織の微細化の作用も有するため、その効果を得るために、Al含有量の下限を0.001%とする。一方、Al含有量が0.040%を越えると、酸化Al系の非金属介在物が増加して鋼の清浄度を害し鋼材および溶接HAZ靱性を劣化するため、その含有量の上限を0.06%とした。なお、本発明鋼におけるSiおよびTiもAlと同様に脱酸作用を有するため、Al含有量は、SiおよびTiの含有量により調整するのが好ましい。
【0040】
Nは、本発明鋼においてTiNの窒化物を形成し、再加熱時の鋼材または溶接HAZにおいて粒内変態核となりオーステナイトの粗大化を抑制し低温靱性を向上する作用があるため、この作用効果を得るためにその含有量の下限を0.0001%とした。一方、鋼中に多く添加し過ぎると、鋼片の表面疵の発生や固溶Nによる溶接HAZ靱性の劣化させ、B添加鋼の場合にはBの焼入れ性向上効果を阻害するため、その含有量の上限を0.006%とした。
【0041】
本発明鋼は、以上説明した成分を基本成分として含有するが、本発明鋼の優れた特徴を損なうことなく、さらに、強度および靱性の一層の向上や製造可能な鋼材サイズの拡大を図るために、B、V、Cu、Cr、Ca、REMおよびMgのうちの1種または2種以上を以下の含有量で添加する。
【0042】
Bは、極微量の添加により鋼の焼入れ性を飛躍的に高めるため、本発明鋼の目的とするベイナイトおよびマルテンサイト主体の組織を得るために、有効な元素である。また、Bは、本発明鋼のMoの焼入れ性の向上効果を顕著にすると共に、Nbとの共存によって相乗的に焼入れ性の向上効果を促進する。これらの効果はその含有量が0.0001%未満では得られないため、B含有量の下限を0.0001%とした。一方、Bを過剰に添加すると、Fe23(C,B)6等の脆性粒子の形成を促進し、低温靱性を劣化させるだけでなく、かえってBの焼入れ性向上効果を消失せしめることもあるので、その含有量の上限を0.0030%とした。
【0043】
Vは、Nbとほぼ同様の作用を有し、その効果はNbと比較して弱いが、本発明鋼におけるNbとの共存により、鋼の強靱化効果をさらに顕著なものとする。その効果は、V含有量が0.001%未満では得られないため、その含有量の上限を0.001%とした。一方、その添加量が多過ぎると、溶接HAZ靱性や現地溶接性が劣化するとともに再加熱時に異常フェライト・オーステナイト変態を高温域側まで引きずるためにその含有量の上限を0.10%とした。これらV添加による効果を安定して得るためには、その含有量を0.03〜0.08%にするのが好ましい。
【0044】
CuおよびCrは、母材および溶接HAZの強度を向上させる効果を得るために、それぞれ0.01%以上含有させる。一方、その含有量が多すぎると、溶接HAZ靱性や現地溶接性を著しく劣化させるため、CuおよびCrの含有量のそれぞれの上限を1.0%、0.6%とした。
【0045】
CaおよびREMは、鋼中の硫化物(MnS)の形態を制御し、鋼の低温靱性(シャルピー試験の吸収エネルギー等)を向上させる作用を有し、その作用効果を得るためにCaおよびREMの含有量の下限を0.0001%とした。一方、Ca量が0.006%、REMが0.02%を越えて添加するとCaO−CaSまたはREM−CaSが大量に生成して大型クラスター、大型介在物となり、鋼の清浄度を害し、現地溶接性を劣化させるため、CaおよびREMのそれぞれの含有量の上限を0.006%、0.02%とした。なお、超高強度ラインパイプとする場合には、鋼中のS、O含有量をそれぞれ0.001%、0.002%以下にさらに制限し、かつ、硫化系混在物の形状制御に関するインデックスであるESSP(関係式:ESSP=(Ca)〔1−124(O)〕/1.25S)を0.5〜10.0の範囲内とするのが好ましい。
【0046】
Mgは、微細分散した酸化物を形成し、溶接HAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制して低温靭性を向上させる作用を有し、その作用効果を得るためにその含有量の下限を0.0001%とする。一方、その含有量が0.006%を超えて添加すると、粗大酸化物を生成し逆に靭性を劣化させるため、その含有量の上限を0.006%とした。
【0047】
本発明では、以上説明した鋼成分、再加熱および圧延条件で熱間圧延をすることにより低温靱性に優れた超高強度鋼板を得ることができるが、この熱延鋼板を、さらに管状に冷間成形後、突き合わせ部をシーム溶接を行うことにより熱延鋼板と同様に低温靱性に優れた超高強度鋼管を製造することが可能となる。
【0048】
本発明の低温靱性に優れた超高強度は、鋼板を管状に冷間成形後、突き合わせ部をシーム溶接することで製造でき、製造条件は特に規定する必要はなく、通常の条件で良い。
【0049】
【実施例】
次に、本発明の実施例について述べる。
【0050】
表1、表2(表1のつづき)の化学成分を含有する鋼を連続鋳造した後、冷却によりそのミクロ組織をベイナイトおよぶマルテンサイトに変態させて、厚みが240mmの鋼片とし、この鋼片をさらに表3、表4、表5(表4、表5は表3のつづき)に示す条件で再加熱後、再結晶温度域圧延、さらに未再結晶域圧延を行った後、水冷により450℃以下の温度まで冷却し鋼板を製造した。
【0051】
その後、鋼板から機械的性質を調査するための試験片を採取し、引っ張り試験およびシャルピー試験を行った。鋼材の低温靱性は、シャルピー試験結果によりC方向でかつ、ノッチ位置が板厚方向における−40℃の吸収エネルギーを求めて評価した。
【0052】
表1において、鋼A〜Dおよび鋼Qは、成分含有量が本発明の範囲を満たした鋼であり、鋼E〜Pは、いずれかの成分の含有量が本発明の範囲からはずれている。また、表2において試験No.1〜60は、鋼成分および製造条件がともに本発明の範囲を満たした発明例であり、試験No.61〜72は、製造条件が本発明の範囲から外れた比較例であり、試験No.73〜75は、鋼成分が本発明の範囲から外れた比較例である。
【0053】
表2の試験結果から明らかなように、試験No.1〜60の発明例は、いずれも母材の引っ張り強度が900MPa以上で、かつ−40℃でのシャルピー吸収エネルギーが200J以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板が得られている。
【0054】
それに対し、試験No.61〜72の比較例は、少なくとも鋼成分の含有量が本発明範囲から外れているために母材の引っ張り強度(TS)または−40℃でのシャルピー吸収エネルギー(vE−40)が低下した。また、試験No.73〜75は鋼成分の含有量は本発明範囲内であるが、再結晶圧延条件が本発明の範囲から外れているために、母材の−40℃でのシャルピー吸収エネルギー(vE−40)が200J未満となり低温靱性が低下した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【発明の効果】
本発明は再加熱時に異常フェライト・オーステナイト変態によりオーステナイト結晶粒の粗大化が起きやすいベイナイト及びマルテンサイト単相または主体組織の超高強度連続鋳片を用いて熱間圧延する際にも、γ再結晶域圧延における各圧延1パス当たりの平均圧下率および各圧延パス間時間を適正に制御することによって結晶粒を微細化及び整粒化し、破壊の起点となる粗大オーステナイト粒の鋼板組織中の残存量を極力低減し、引張強度が900MPa以上で、かつ−40℃でのシャルピーエネルギーが200J以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板および鋼管を製造することが可能となる。よって、天然ガス・原油輸送用のラインパイプ、揚水用鋼板、圧力容器、溶接構造物などで使用される鋼構造物の安全性を大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オーステナイト再結晶粒域圧延における1パス当たりの平均圧下率および圧延パス間時間と粒径が10μm以上の粗大オーステナイト結晶粒の分率との関係を示す図である。
【図2】粒径:10μm以上の粗大オーステナイト結晶粒の分率と−40℃でのシャルピー吸収エネルギーとの関係を示す図である。
Claims (7)
- 質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.01〜0.6%、Mn:1.7〜2.5%、P:0.015%以下、S:0.003%以下、Ni:0.1〜2.0%、Mo:0.01〜0.60%、Nb:0.001〜0.10%、Ti:0.001〜0.030%、Al:0.001〜0.040%、N:0.0001〜0.006%を含み、さらに、B:0.0001〜0.003%、V:0.01〜0.10%、Cu:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜0.6%、Ca:0.0001〜0.01%、REM:0.0001〜0.02%およびMg:0.0001〜0.006%のうちの1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ鋳造組織にベイナイト及びマルテンサイトを90%以上含有する連続鋳造鋳片を再加熱後、再結晶域圧延における圧延温度が900℃以上、かつ各圧延1パス当たりの平均圧下率が5〜20%で熱間圧延を行うことを特徴とする引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
- 質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.01〜0.6%、Mn:1.7〜2.5%、P:0.015%以下、S:0.003%以下、Ni:0.1〜2.0%、Mo:0.01〜0.60%、Nb:0.001〜0.10%、Ti:0.001〜0.030%、Al:0.001〜0.040%、N:0.0001〜0.006%を含み、さらに、B:0.0001〜0.003%、V:0.01〜0.10%、Cu:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜0.6%、Ca:0.0001〜0.01%、REM:0.0001〜0.02%およびMg:0.0001〜0.006%のうちの1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ鋳造組織にベイナイト及びマルテンサイトを90%以上含有する連続鋳造鋳片を再加熱後、再結晶域圧延における圧延温度が900℃以上、かつ各圧延パス間時間が3秒以上で熱間圧延を行うことを特徴とする引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
- 質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.01〜0.6%、Mn:1.7〜2.5%、P:0.015%以下、S:0.003%以下、Ni:0.1〜2.0%、Mo:0.01〜0.60%、Nb:0.001〜0.10%、Ti:0.001〜0.030%、Al:0.001〜0.040%、N:0.0001〜0.006%を含み、さらに、B:0.0001〜0.003%、V:0.01〜0.10%、Cu:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜0.6%、Ca:0.0001〜0.01%、REM:0.0001〜0.02%およびMg:0.0001〜0.006%のうちの1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ鋳造組織にベイナイト及びマルテンサイトを90%以上含有する連続鋳造鋳片を再加熱後、再結晶域圧延における圧延温度が900℃以上、各圧延1パス当たりの平均圧下率が5%以上、かつ各圧延パス間時間が3秒以上で熱間圧延を行うことを特徴とする引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
- 前記連続鋳造鋳片の再加熱において、該鋳片を加熱炉へ挿入する際の温度が400℃以下であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
- 前記連続鋳造鋳片の再加熱において、該鋳片の加熱温度が1100〜1250℃であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
- さらに、未再結晶域圧延における圧延温度がAr3またはBs〜850℃、かつ、累積圧下率が60%以上であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼板の製造方法。
- 請求項1から6の何れか1項に記載の鋼板の製造方法により製造した鋼板を管状に冷間成形後、突き合わせ部にシーム溶接を行うことを特徴とする引張り強度が900MPa以上の低温靱性に優れた超高強度鋼管の製造方法。
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