JP5472423B2 - 耐切断割れ性に優れた高強度・高靱性厚鋼板 - Google Patents

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本発明は,天然ガスや原油の輸送用として用いられる引張強度が900MPa以上の高強度・高靱性のラインパイプ用厚鋼板に関し,特に,せん断加工での切断の際,切断面での耐切断割れ性に優れるものに関する。
近年,天然ガスや原油の輸送用として使用されるラインパイプは,高圧化による輸送効率の向上や薄肉化による現地溶接施工能率の向上のため,年々高強度化され、既にAPI規格でX100グレードのラインパイプが実用化されているが,さらに,引張強度900MPaを超えるX120グレードに対する要求が具体化されつつある。
このような高強度ラインパイプ用溶接鋼管用の厚鋼板の製造方法に関し,例えば特許文献1においては,熱間圧延後2段冷却を行い,2段目の冷却停止温度を300℃以下とすることで,高強度化を達成する技術が開示されている。また,特許文献2においては,Cu析出強化を利用した高強度化のための加速冷却+時効熱処理条件に関する技術が開示されている。
特開2003−293089号公報 特開平08―311548号公報
しかしながら,特許文献1記載のように、冷却停止温度を低くして,低温変態生成する硬質なベイナイトあるいはマルテンサイト組織を導入することで高強度化を達成した場合,冷却ままの鋼板を必要なサイズにせん断加工で切断する際,鋼中に残存する拡散性水素が原因で板面に平行な割れ(以降、切断割れと称する)が発生する。
一方,特許文献2のように,加速冷却後に熱処理を行った場合,鋼中の水素は十分拡散させられるので,切断割れは抑制できるものの,熱処理過程でミクロ組織中にセメンタイトが析出・粗大化し,靱性低下,特に脆性亀裂伝播停止特性の評価を行うDWTT(DropWeight Tear Test)特性が劣化する。
また,天然ガス輸送用ラインパイプにおいては,外因性の事故により発生した延性破壊の亀裂伝播停止を目的として,高い母材シャルピー吸収エネルギー値や、脆性亀裂発生防止の観点から優れたCTOD(Crack Tip Opening Displacement)値といった様々な靭性要求を満足しなくてはならない。
本発明は,種々の靭性要求を満足し、且つ耐切断割れ性を改善した高強度厚鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは,加速冷却ままの高強度厚鋼板の切断割れについて,鋭意研究を重ねた結果,切断割れについては以下の1)、2)、セメンタイトの粗大化挙動については3)、DWTT特性については4)〜6)の知見を得た。
1)鋼中の拡散性水素が,各トラップサイトにトラップされることを阻止するために,少なくとも300℃以上での脱水素の熱処理が必要である。
2)加速冷却停止後,ただちに再加熱を開始し,鋼板温度を300℃以上に昇温することで,水素の拡散が促進される結果,鋼中に残留する水素が割れ発生限界量を下回る。
3)再加熱時の加熱速度を速くすることで,300〜500℃といった温度域に加熱してもセメンタイトの粗大化が抑制され,DWTT特性が劣化しなくなる。
4)熱間圧延時におけるオーステナイト未再結晶域圧延の強化が有効であるが、大圧下を行うとシャルピー吸収エネルギーおよびCTOD値の低下が生じる。
5)オーステナイト未再結晶域圧延を強化した材料は、シャルピー試験あるいはCTOD試験時にセパレーションと呼ばれる板面と平行な面が剥離するような亀裂発生が生じ、その結果シャルピー試験でのシャルピー吸収エネルギーおよびCTOD値が低下する。
6)セパレーションを抑制しつつ、優れたDWTT特性を得るためにはオーステナイト未再結晶域における圧延温度、特に圧延終了温度を厳格に制御することが有効である。
本発明は得られた知見を基に更に検討を加えてなされたもので、すなわち、本発明は、
1 質量%で、
C:0.03〜0.12%
Si:0.01〜0.5%
Mn:1.5〜3.0%
Al:0.01〜0.08%
Nb:0.01〜0.08%
Ti:0.005〜0.025%
N:0.001〜0.01%
B:0.0005〜0.003%以下
更に
Cu:0.01〜2%
Ni:0.01〜3%
Cr:0.01〜1%
Mo:0.01〜1%
V:0.01〜0.1%
の一種または二種以上を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し,ミクロ組織がベイナイト,マルテンサイト,ベイナイト+マルテンサイトのいずれかであることを特徴とする耐切断割れ性に優れた引張強度900MPa以上の高強度・高靱性厚鋼板。
2 成分組成が、更に、質量%で、
Ca:0.0005〜0.01%
REM:0.0005〜0.02%
Zr:0.0005〜0.03%
Mg:0.0005〜0.01%
の一種あるいは二種以上を含有することを特徴とする1記載の耐切断割れ性に優れた引張強度900MPa以上の高強度・高靱性厚鋼板。
本発明により,切断割れの発生防止に優れる,引張強度900MPa以上の高強度・高靱性を備えた厚鋼板が得られ、産業上極めて有用である。
本発明では成分組成、製造条件を規定する。鋼板の成分限定理由を説明する。尚、本発明で、高強度とは引張強度900MPa以上、高靱性とは、DWTT特性(試験温度−30℃での脆性破面率75%以上)、試験温度−30℃でのシャルピー吸収エネルギ−200J以上、試験温度−20℃での限界開口変位量δc:0.15mm以上、厚鋼板とは板厚6mm以上とする。
[成分組成]%は質量%とする。
C:0.03〜0.12%
Cは低温変態組織においては過飽和固溶することで強度上昇に寄与する。これらの効果を得るためには0.03%以上の添加が必要であるが,0.12%を超えて添加すると,
パイプの円周溶接部の硬度上昇が著しくなり,溶接低温割れが発生しやすくなるため,上限を0.12%とする。
Si:0.01〜0.5%
Siは脱酸材として作用し,さらに固溶強化により鋼材の強度を増加させる元素であるが、0.01%以下ではその効果がなく,0.5%を超えて添加すると靱性が著しく低下
するため上限を0.5%とする。
Mn:1.5〜3.0%
Mnは焼入性向上元素として作用する。1.5%以上の添加によりその効果は得られるが,連続鋳造プロセスでは中心偏析部の濃度上昇が著しく,3.0%を超える添加を行うと,偏析部での遅れ破壊の原因となるため,上限を3.0%とする。
Al:0.01〜0.08%
Alは脱酸元素として作用する。0.01%以上の添加で十分な脱酸効果が得られるが,0.08%を超えて添加すると鋼中の清浄度が低下し,靱性劣化の原因となるため,上限を0.08%とする。
Nb:0.01〜0.08%
Nbは熱間圧延時のオーステナイト未再結晶領域を拡大する効果があり,特に950℃以下を未再結晶領域とするため、0.01%以上添加する。一方,0.08%を超えて添加すると,HAZの靱性を著しく損ねることから上限を0.08%とする。
Ti:0.005〜0.025%
Tiは窒化物を形成し,鋼中の固溶N量低減に有効であるほか,析出したTiNがピンニング効果でオーステナイト粒の粗大化抑制防止をすることで,母材,HAZの靱性向上に寄与する。
必要なピンニング効果を得るためには0.005%以上の添加が必要であるが,0.025%を超えて添加すると炭化物を形成するようになり,その析出硬化で靱性が著しく劣化するため,上限を0.025%とする。
N:0.001〜0.01%
Nは通常鋼中の不可避不純物として存在するが,前述の通りTi添加を行うことで,オーステナイト粒の粗大化を抑制するTiNを形成する。
必要とするピンニング効果を得るためには0.001%以上鋼中に存在することが必要であるが,0.01%を超える場合,溶接部,特に溶融線近傍で1450℃以上に加熱されたHAZでTiNが分解し,固溶Nの悪影響が著しいため,上限を0.01%とする。
B:0.0005〜0.003%
Bはオーステナイト粒界に偏析し、特に0.0005%以上の添加でフェライト変態が抑制され、フェライト生成により2相組織となりシャルピー吸収エネルギーが低下することを防止する。一方、0.003%を超えて添加しても効果が飽和するため、上限を0.003%とする。
Cu,Ni,Cr,Mo,Vの一種または二種以上
Cu,Ni,Cr,Mo,Vはいずれも焼入性向上元素として作用するため、高強度化を目的に、これらの元素の一種,または二種以上を添加する。
Cu:0.01〜2%
Cuは,0.01%以上添加することで鋼の焼入性向上に寄与する。しかし,2%以上の添加を行うと,靱性劣化が生じるため,上限を2%とする。尚,0.8%以上添加した場合,時効熱処理による析出強化が著しく溶接熱影響部の軟化防止にも寄与するため、好ましくは0.8〜2%とする。
Ni:0.01〜3%
Niは0.01%以上添加することで鋼の焼入性向上に寄与する。特に,多量に添加しても靱性劣化を生じないため,強靱化に有効であるが,高価な元素であり,かつ3%を超えて添加しても強度上昇が飽和するため,上限を3%とする。
Cr:0.01〜1%
Crもまた0.01%以上添加することで鋼の焼入性向上に寄与する。一方,1%を超えて添加すると,靱性が劣化するため,上限を1%とする。
Mo:0.01〜1%
Moもまた0.01%以上添加することで鋼の焼入性向上に寄与する。一方,1%を超えて添加すると,靱性が劣化するため,上限を1%とする。
V:0.01〜0.1%
Vは炭窒化物を形成することで析出強化し,特に溶接熱影響部の軟化防止に寄与する。0.01%以上の添加によりこの効果が得られるが,0.1%を超えて添加すると,析出強化が著しく靱性が低下するため,上限を0.1%とする。
以上が本発明に係る鋼の基本成分組成であるが、溶接部の靭性を更に向上させる場合、Ca,REM,Zr,Mgの一種または二種以上を添加する。
Ca,REM,Zr,Mg
Ca,REM,Zr,Mgは鋼中の非金属介在物であるMnSの形態制御、あるいは酸化物、窒化物を形成し,主に溶接熱影響部におけるオーステナイト粒粗大化をピンニング効果で抑制し,靱性を向上させる目的で添加する。
Ca:0.0005〜0.01%
Caは鋼中の硫化物の形態制御に有効な元素であり、0.0005%以上添加することで靭性に有害なMnSの形成を抑制する。一方、0.01%を超えた場合、CaOーCaSのクラスタを形成し、母材を含めて靱性が低下するうえに、取鍋のノズル閉塞の原因となり、生産性を阻害するため、上限は0.01%とし、添加する場合は、0.0005〜0.01%とする。
REM:0.0005〜0.02%
REMは鋼中で酸硫化物を形成し,0.0005%以上添加することで溶接熱影響部の粗大化を防止するピンニング効果をもたらす。しかし,高価な元素であり,かつ0.02%を超えて添加しても効果が飽和するため,上限を0.02%とし、添加する場合は、0.0005〜0.02%とする。
Zr:0.0005〜0.03%
Zrは鋼中で炭窒化物を形成し,とくに溶接熱影響部においてオーステナイト粒の粗大化を抑制するピンニング効果をもたらす。十分なピンニング効果を得るためには,0.0005%以上の添加が必要であるが,0.03%を超えて添加すると,鋼中の清浄度が著しく低下し,靱性が低下するようになるため,上限を0.03%とし、添加する場合は、0.0005〜0.03%とする。
Mg:0.0005〜0.01%
Mgは製鋼過程で鋼中に微細な酸化物として生成し,特に,溶接熱影響部においてオーステナイト粒の粗大化を抑制するピンニング効果をもたらす。
十分なピンニング効果を得るためには,0.0005%以上の添加が必要であるが,0.01%を超えて添加すると,鋼中の清浄度が低下し,靱性が低下するようになるため,上限を0.01%とし、添加する場合は、0.0005〜0.01%とする。
[製造条件]
加熱温度:1000〜1200℃
熱間圧延する際、鋼片全体をオーステナイト化するため、1000℃以上に加熱する。一方,1200℃を超える温度まで鋼片を加熱すると,TiNピンニングによっても、オーステナイト粒成長が著しく,母材靱性が劣化するため,1200℃以下とする。
950℃以下での累積圧下量≧70%
前述の通り,Nb添加によって950℃以下はオーステナイト未再結晶域である。この温度域にて累積で大圧下を行うことにより,オーステナイト粒が伸展し特に板厚方向では細粒となり、この状態で加速冷却して得られる鋼のDWTT特性は良好となる。
圧下量が70%未満では,細粒化効果は不十分でDWTT特性向上が得られないため,累積圧下量の下限を70%とする。尚、著しく靱性向上を狙うための好適範囲は75%以上である。
圧延終了温度:800℃以上
オーステナイト未再結晶域での累積大圧下は、DWTT特性の向上に有効であるが、800℃未満の低温域での圧延はオーステナイト粒に集合組織が形成され、加速冷却後の変態組織にも受け継がれてセパレーションを生じやすくし、シャルピー吸収エネルギーやCTOD値を低下させるため、圧延終了温度は800℃以上とする。
圧延終了温度の上限は特に定めないが、圧延中の温度上昇により再結晶と未再結晶の境界温度である950℃以上となることを防止するため、好ましくは900℃以下とする。
加速冷却の冷却開始温度:700℃以上800℃未満
加速冷却開始温度は700℃以上とする。加速冷却開始温度が低いと、熱間圧延後、加速冷却開始までの空冷過程においてオーステナイト粒界から初析フェライトが生成し、母材強度が低下するようになるので、700℃以上とする。
一方、800℃以上の温度から加速冷却を行うと、オーステナイト未再結晶域での強圧下で形成されたオーステナイトの集合組織が回復する前に、ベイナイト変態、マルテンサイト変態が生じ、セパレーションが生じやすく、シャルピー吸収エネルギーおよびCTOD値が低下するため、800℃未満とし、好ましくは750℃以下とする。
加速冷却の冷却速度:20〜80℃/s
加速冷却の冷却速度は20℃/s以上とする。加速冷却の冷却速度が遅い場合、フェライト変態が生じ、鋼板の強度が低下する。一方,80℃/sを超える冷却速度としたとき,特に鋼板表面近傍ではマルテンサイト変態が生じ,鋼板強度は上昇するものの,靱性劣化,特にシャルピー吸収エネルギー低下が著しいため,冷却速度の上限を80℃/sとする。
加速冷却の冷却停止温度:≦250℃
鋼板の高強度化のため,加速冷却の停止温度を下げて,低温で変態するベイナイトやマルテンサイト組織を生成させる。冷却停止温度が250℃を超える温度の場合,靱性が低い上部ベイナイト組織となるため,冷却停止温度は250℃以下とする。
再加熱処理
加速冷却で低温変態させて高強度化させた鋼板は,加速冷却後、空冷させても鋼中の拡散性水素が残留し,切断割れが生じることがある。そこで,冷却停止後、速やかに再加熱を行う。再加熱方法は,炉加熱,誘導加熱いずれでもかまわない。
再加熱温度:300℃〜500℃
再加熱温度が300℃未満の場合,十分水素が拡散せず,切断割れを防止することができないため,再加熱温度は300℃以上とする。一方,500℃を超える温度まで加熱すると,焼き戻しによる軟化で強度低下が著しいことから,上限を500℃とする。
再加熱時の昇温速度:≧5℃/s
再加熱時の昇温速度が5℃/s未満の場合,特に300℃を超えるような温度まで加熱する途中でセメンタイトが生成,粗大化するため,DWTT特性の劣化が著しい。再加熱時の昇温速度を5℃/s以上とし、セメンタイトの粗大化を抑制する。
再加熱までの時間が長いと,その間の空冷過程での温度低下によって水素が拡散しにくくなるため,加熱開始は好ましくは300秒以内、更に好ましくは100秒以内とする。
[ミクロ組織]
引張強度≧900MPaの高強度を達成するためには低温変態して転位密度の高い組織とする必要がある.また,このような硬質なミクロ組織中に少量のフェライトやパーライトが混入すると母材CTOD値がポップインの発生によりばらつきやすくなることから,本発明における鋼のミクロ組織は,ベイナイト,マルテンサイトあるいはベイナイト+マルテンサイト2相組織に限定する.
本発明において鋼の製鋼方法については特に限定しないが,経済性の観点から,転炉法による製鋼プロセスと,連続鋳造プロセスによる鋼片の鋳造を行うことが望ましい。
表1に示す化学組成の鋼を用い,表2に示す熱間圧延・加速冷却,再加熱条件で鋼板A
〜Kを作製した.なお,再加熱には,加速冷却設備と同一ライン上に設置した誘導加熱型の加熱装置を用いて行った。
Figure 0005472423
Figure 0005472423
得られた鋼板をせん断機により20箇所切断し,その後,鋼板切断面を磁粉探傷により調査し,切断割れが認められた切断端面の数を求めた。ここで,1つの端面内に複数の割れが確認できた場合でも,端面としては1つなので,切断割れの発生数は1とした。全ての切断箇所において,切断割れが認められない場合,(切断割れ発生数0)を良好とした。
次に,得られた鋼板の強度と靱性を評価するため,API−5Lに準拠した全厚引張試験片およびDWTT試験片およびBS7448に準拠したB(板厚)×2Bサイズの3点曲げCTODを採取した。
板厚中央位置からJIS Z2202(1980)のVノッチシャルピー衝撃試験片を
採取して,鋼板の引張試験,DWTT試験,CTOD試験およびシャルピー衝撃試験を実施した。
また,板圧延方向断面に平行にミクロ組織観察用サンプルを採取し,鏡面研磨後,硝酸アルコールエッチング処理を行ってから光学顕微鏡にて組織観察を行い,鋼のミクロ組織の種類を調査した.鋼板のせん断加工試験結果,母材の強度・靱性試験結果,ミクロ組織観察結果をまとめて表3に示す。
尚、表3においてCTOD−20(mm)はー20℃での限界開口変位量δc(mm)を示す。
Figure 0005472423
本発明範囲は、せん断加工試験では割れ無し、母材の強度は引張強度900MPa以上、降伏強度750MPa以上、母材靭性vE−30230J以上、DWTT SA−30 75%以上、CTOD−200.15以上を本発明範囲とした。
化学組成および圧延・冷却・再加熱条件が本発明の範囲内である,発明例1〜8は切断
割れが発生することなく,かつ高強度・高靱性を示した。
一方,圧延終了温度が本発明の下限を下回った比較例No.9,No.10はCTOD
値が低下した。
冷却停止温度が本発明の上限を上回った比較例No.11は,一部上部ベイナイト組織
が生成したため強度が低下した。
再加熱昇温速度が本発明の下限を下回った比較例No.12は,セメンタイトの粗大化が生じたため、シャルピー吸収エネルギーおよびDWTT特性が低下した。
再加熱温度が本発明の下限を下回った比較例No.13は,加熱温度が低すぎて充分な脱水素が起こらなかったため,切断割れが多数発生した。一方、再加熱温度が本発明の上限を上回った比較例No.14は,加熱温度が高すぎたため,強度が低下した。
鋼板のC添加量が本発明の上限を上回る鋼種Gを用いた比較例No.15は,高い強度を示したもののセメンタイトの密度が高くなりすぎて切断割れを起こした。また,シャルピー吸収エネルギーおよびDWTT特性、CTOD値が低下した。
鋼板のMn添加量が本発明の下限を下回る鋼種Hを用いた比較例No.16は,強度が低下した。
鋼板のNb添加量が本発明の上限を上回る鋼種Jを用いた比較例No.17は,Nb系
炭化物が増加しすぎたために,シャルピー吸収エネルギーおよびDWTT特性およびCTOD値が低下した。
鋼板のB添加量が本発明の下限を下回る鋼種Kを用いた比較例No.18は,加速冷却を開始する前の空冷過程で初析フェライトが生成し,ミクロ組織がフェライト+ベイナイトとなったことから,シャルピー吸収エネルギーおよびCTOD値が低下した。

Claims (2)

  1. [請求項1]
    質量%で、
    C:0.03〜0.12%
    Si:0.01〜0.5%
    Mn:1.5〜3.0%
    Al:0.01〜0.08%
    Nb:0.01〜0.08%
    Ti:0.005〜0.025%
    N:0.001〜0.01%
    B:0.0005〜0.003%を含有し、
    更に
    Cu:0.01〜2%
    Ni:0.01〜3%
    Cr:0.01〜1%
    Mo:0.01〜1%
    V:0.01〜0.1%
    の一種または二種以上を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し,ミクロ組織がベイナイト又はマルテンサイトのいずれかであり、
    母材の引張強度が900MPa以上であり、
    母材の降伏強度が750MPa以上であり、
    母材靭性vE −30 が230J以上であり、
    DWTT SA −30 が75%以上であり、
    CTOD −20 が0.15以上であることを特徴とする耐切断割れ性に優れた高強度・高靱性厚鋼板。
  2. 成分組成が、更に、質量%で、
    Ca:0.0005〜0.01%
    REM:0.0005〜0.02%
    Zr:0.0005〜0.03%
    Mg:0.0005〜0.01%
    の一種あるいは二種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の耐切断割れ性に優れた引張強度900MPa以上の高強度・高靱性厚鋼板。
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