JP2003268498A - フィレット部靱性に優れたh形鋼およびその製造方法 - Google Patents

フィレット部靱性に優れたh形鋼およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィレット部の靱性が優れたH形鋼およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 C:0.01〜0.15%、Si:0.60%以下、M
n:0.5 〜1.8 %、P:0.030 %以下、S:0.030 %以
下、Al:0.021 〜0.05%、V:0.01〜0.10%、N:0.00
40〜0.0120%、Ti:0.001 〜0.030 %を含有し、かつV
/Nが3.6 以上として、さらに、圧延後の冷却速度がV
/N×3.5 以下、冷却停止温度が(Ar3 −50℃)〜
(Ar3 −200 ℃)の温度範囲となる強制冷却を施し、
フィレット部の組織をJIS G 0552で判定される結晶粒度
で5番以上の微細なフェライト+パーライトあるいは微
細なフェライト+ベーナイトとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木構造物あるい
は建築物に広く適用されるH形鋼に関し、とくにH形鋼
のフィレット部の靱性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物の柱材、梁材には熱間圧延したH
形鋼が広く利用されている。このH形鋼には、JIS G 31
06で規定される溶接構造用圧延鋼材が多く用いられてい
る。最近、耐震性などの点から建築構造物の安全性の向
上が要求され、さらに、脆性破壊抑制の観点から、H形
鋼にも靱性向上が強く要求されている。
【0003】熱間圧延により製造されるH形鋼では、従
来から、ウェブとフランジが交叉する部分、一般にフィ
レット部と呼ばれる部分の靱性が、ウェブ部やフランジ
部の靱性と比較して低く問題となっていた。このフィレ
ット部の低靱性については、従来から、フィレット部
は、フランジやウェブに比較して、熱間圧延時の加工量
が不十分で、再結晶による細粒化が進まず、オーステナ
イト粒が粗大のままであり、さらに圧延後の冷却速度
が、フランジやウェブに比較して遅く、したがって生成
されるミクロ組織も他の部位にくらべ粗大化しているた
めであると言われてきた。
【0004】最近では、ウェブを薄肉化する傾向であ
り、このような薄肉ウェブのH形鋼では、圧延時にウェ
ブとフランジの温度差が大きくなり、冷却時にウェブ波
が発生するのを防止するため、フランジ外面から強制冷
却を施している。このため、薄肉ウェブH形鋼のフィレ
ット部は、粗大ベイナイトを主体とする組織となってい
る。
【0005】また、最近では、H形鋼の寸法精度の要求
が厳しくなり、要求される寸法精度内に製品を仕上げる
ため、冷間矯正が大きくなる傾向にある。この冷間矯正
により、H形鋼のフィレット部に導入される歪が増加
し、歪時効が生じている。これらが、複合されて、H形
鋼フィレット部の靱性が劣化しているものと考えられて
いる。
【0006】このようなフィレット部の低靱性を改善す
べく、多数の提案がなされている。例えば、特許文献1
には、Al:0.005 %以下、V:0.05〜0.20%、N:0.00
6〜0.015 %および溶存酸素濃度を0.003 〜0.015 %と
した靱性に優れた圧延中形鋼およびその製造方法が提案
されている。また、特許文献2には、真空脱ガス処理あ
るいは予備脱酸処理により酸素濃度を0.003 〜0.015 %
に調整したのち、合金添加、さらに連続鋳造時にTi−C
u、Ti−Ni、Ti−Fe合金等を添加して最終脱酸し、Tiを
含む酸化物、Tiを含む酸化物とTiN 、MnS の複合粒子の
大きさ、分散量を規制した靱性に優れた圧延形鋼の製造
方法が提案されている。
【0007】しかしながら、これらの方法によってもな
お、フィレット部は、フランジ部やウェブ部に比較し
て、なお十分な靱性を有しているとは言えないという問
題を残しており、フィレット部についてさらなる靱性の
改善が要求されている。
【0008】
【特許文献1】特開平4−131356号公報
【特許文献2】特開平4−279248号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した問
題を有利に解決し、フィレット部の靱性が優れたフラン
ジ厚40mm未満のH形鋼およびその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、フィレッ
ト部の靱性を向上するために、まず、フィレット部組織
の微細化を検討した。その結果、VとNを複合添加し、
圧延後の冷却速度を調整することにより、フィレット部
のような圧延加工量の少ない部位でも、JIS G0552で判
定される結晶粒度で5番以上の微細粒を有する組織とす
ることができることを見いだした。VNは、粗大なオー
ステナイト粒内に析出し、これらVNを核としてフェラ
イトがオーステナイト粒内に形成されるため、組織が微
細なフェライト+パーライトあるいは微細なフェライト
+ベーナイトなるのである。これにより、フィレット部
の靱性は著しく向上する。
【0011】また、さらに、本発明者らは、フィレット
部に発生する冷間矯正による歪時効の抑制方法を検討
し、C量の低減、V含有量とN含有量の比、V/Nの制
御および冷却停止温度の制御により、冷間矯正によるフ
ィレット部の歪時効を抑制できることを知見した。本発
明は、上記した知見をもとに構成されたものである。
【0012】すなわち、本発明は、重量%で、C:0.01
〜0.15%、Si:0.60%以下、Mn:0.5 〜1.8 %、P:0.
030 %以下、S:0.030 %以下、Al:0.021 〜0.05%、
V:0.01〜0.10%、N:0.0040〜0.0120%およびTi:0.
001 〜0.030 %を含有し、かつV/Nが3.6 以上で、残
部Feおよび不可避的不純物からなり、さらにフィレット
部の結晶粒度がJIS G0552で判定される結晶粒
度で5番以上を有することを特徴とするフィレット部靱
性に優れたフランジ厚40mm未満のH形鋼である。
【0013】また、本発明は、重量%で、C:0.01〜0.
15%、Si:0.60%以下、Mn:0.5 〜1.8 %、P:0.030
%以下、S:0.030 %以下、Al:0.021 〜0.05%、V:
0.01〜0.10%、N:0.0040〜0.0120%を含み、Cu:0.05
〜0.5 %、Ni:0.05〜0.5 %、Cr:0.05〜0.5 %、Mo:
0.01〜0.3 %のうちから選ばれた1種または2種以上お
よびTi:0.001 〜0.030 %を含有し、かつV/Nが3.6
以上で、残部Feおよび不可避的不純物からなり、さらに
フィレット部の結晶粒度がJIS G0552で判定さ
れる結晶粒度で5番以上を有することを特徴とするフィ
レット部靱性に優れたフランジ厚40mm未満のH形鋼であ
る。
【0014】また、本発明は、重量%で、C:0.01〜0.
15%、Si:0.60%以下、Mn:0.5 〜1.8 %、P:0.030
%以下、S:0.030 %以下、Al:0.021 〜0.05%、V:
0.01〜0.10%、N:0.0040〜0.0120%およびTi:0.001
〜0.030 %を含有し、かつV/Nが3.6 以上で、残部Fe
および不可避的不純物からなる鋼素材を、熱間圧延によ
り、H形鋼としたのち、H形鋼のフランジB/2部の冷
却速度α(℃/sec )が次(1)式 α≦V/N×3.5 ……………(1) を満足し、かつ冷却停止温度が次(2)式 Ar3 =910 −273 C+25Si−74Mn ……………(2) で定義されるAr3 点(℃)で表される(Ar3 −50
℃)〜(Ar3 −200 ℃)の温度範囲となる強制冷却を
施し、その後空冷することを特徴とするフィレット部の
結晶粒度がJIS G0552で判定される結晶粒度で
5番以上を有し、フィレット部靱性に優れたフランジ厚
40mm未満のH形鋼の製造方法である。
【0015】また、本発明は、重量%で、C:0.01〜0.
15%、Si:0.60%以下、Mn:0.5 〜1.8 %、P:0.030
%以下、S:0.030 %以下、Al:0.021 〜0.05%、V:
0.01〜0.10%、N:0.0040〜0.0120%、およびCu:0.05
〜0.5 %、Ni:0.05〜0.5 %、Cr:0.05〜0.5 %、Mo:
0.01〜0.3 %のうちから選ばれた1種または2種以上お
よびTi:0.001 〜0.030 %を含有し、かつV/Nが3.6
以上で、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼素材
を、熱間圧延により、H形鋼としたのち、H形鋼のフラ
ンジB/2部の冷却速度α(℃/sec )が前記(1)式
を満足し、かつ冷却停止温度が次(3)式 Ar3 =910 −273 C+25Si−74Mn−56Ni−16Cr−9Mo −5Cu ……(3) で定義されるAr3 点(℃)で表される(Ar3 −50
℃)〜(Ar3 −200 ℃)の温度範囲となる強制冷却を
施し、その後空冷することを特徴とするフィレット部の
結晶粒度がJIS G0552で判定される結晶粒度で
5番以上を有し、フィレット部靱性に優れたフランジ厚
40mm未満のH形鋼の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明要件の限定理由を、まず素
材の化学組成について説明する。 C:0.01〜0.15% Cは強度を確保するために0.01%以上の含有を必要とす
るが、0.15%を超えると、母材靱性、溶接性および耐歪
時効性が低下するので、Cは0.01〜0.15%の範囲とし
た。なお、好ましい範囲は0.05〜0.12%である。
【0017】Si:0.60%以下 Siは強度上昇に有効な元素であるが、0.60%を超えると
溶接熱影響部(HAZ)靱性を著しく劣化させるので、
0.60%以下に限定した。なお、好ましくは、赤スケール
抑制の観点から0.01〜0.40%である。 Mn:0.5 〜1.8 % MnはSiと同様強度上昇に有効な元素であるが、0.5 %未
満ではその効果が少なく、1.8 %を超えると、粒内フェ
ライトの生成を阻害し、組織を粗大化させるため、靱性
を大きく低下させる。このため、Mnは0.5 〜1.8 %の範
囲に限定した。
【0018】P:0.030 %以下 Pは母材、溶接熱影響部の靱性、耐溶接割れ感受性を劣
化させるので、極力低減すべき元素であり、上限を0.03
0 %とした。 S:0.030 %以下 Sは靱性、延性の圧延異方性を高めるので、極力低減す
べき元素であり、上限を0.030 %とした。
【0019】Al:0.021 〜0.05% Alは脱酸のために0.021 %以上必要であるが、0.05%を
超えて添加しても脱酸効果は飽和するので、Alは0.021
〜0.05%の範囲とした。 V:0.01〜0.10% Vは圧延冷却中にVNとしてオーステナイト中に析出し
てフェライト変態核となり、結晶粒を微細化して靱性を
向上させる。オーステナイト粒が粗大でも組織を微細化
することができるため、粗大オーステナイト粒となるフ
ィレット部でも組織の微細化が可能となり、靱性の向上
が期待できる。また、Vは母材強度を高める重要な役割
をもち、母材の強度・靱性バランスを確保するために不
可欠の元素である。これらの効果を発揮させるために
は、0.01%以上の添加が必要であるが、0.10%を超える
と、母材の靱性が劣化し強度・靱性バランスがくずれる
ため、Vは0.01〜0.10%の範囲に限定した。なお、好ま
しい範囲は0.03〜0.08%である。
【0020】N:0.0040〜0.0120% NはVと結合してVNを形成し、組織の微細化によりフ
ィレット部の靱性向上および母材の強度向上に寄与する
重要な元素である。これらの効果を発揮させるために
は、0.0040%以上の含有が必要であるが、0.0120%を超
えると、溶接HAZ部の靱性を著しく劣化させるため、
Nは0.0040〜0.0120%の範囲とした。なお、好ましい範
囲は0.0050〜0.0100%である。
【0021】V/N:3.6 以上 前記したようにVとNは、フィレット部の靱性向上に大
きく寄与する重要な元素であるが、VとNの含有量の
比、V/Nが不適切な場合には、フリーNを増加させ冷
間矯正による歪時効性を高めるため、フィレット部の靱
性を低下させる。このため、V/Nを3.6 以上に限定し
た。なお、好ましくは、5.0 以上である。
【0022】Cu:0.05〜0.5 %、Ni:0.05〜0.5 %、C
r:0.05〜0.5 %、Mo:0.01〜0.3 %のうちから選ばれ
た1種または2種以上 Cu、Ni、Cr、Moは、いずれも熱間圧延後の冷却変態開始
温度(Ar3 点)を低下させ、オーステナイト粒界から
のフェライト変態を抑制し、間接的に粒内フェライト形
成を促進し、組織の微細化によるフィレット部の靱性向
上に寄与する効果を有している。また、Cu、Ni、Cr、Mo
は、フェライト以外の第2相組織をベイナイト化し、さ
らに、第2相組織の割合を増加させる作用を有してい
る。これにより、母材の強度が上昇する。
【0023】フィレット部の圧延加工が期待できない場
合や、十分な冷却速度が得にくい場合や、あるいは高強
度を必要とする場合には、これら元素のうちから1種ま
たは2種以上を添加できる。上記した効果を得るために
は、Cu、Ni、Cr、Moはそれぞれ0.05%以上、0.05%以
上、0.05%以上、0.01%以上の添加が必要となる。Cuは
熱間加工性を劣化させるため、多量添加の場合にはNiを
同時に添加する必要がある。Cu、Niの0.5 %を超える添
加は、経済的に高価となるため、Cu、Niの添加は0.5 %
を上限とした。Cr、Moはそれぞれ0.50%、0.30%を超え
て添加すると、溶接性、溶接部靱性を損なうので、Cr、
Moはそれぞれ0.50%、0.30%を上限とした。
【0024】Ti:0.001 〜0.030 % Tiは溶接熱影響部の靱性向上に有効な元素であり、高い
溶接部靱性が要求される場合に添加する。溶接熱影響部
の靱性向上のためにはTiは0.001 %以上の添加が必要で
あるが、0.030 %を超えて添加すると母材靱性を低下さ
せるため、Tiは0.001 〜0.030 %の範囲とした。
【0025】その他、残部はFeおよび不可避的不純物で
ある。なお、Nbはオーステナイトの再結晶を抑制するた
め、とくにH形鋼のフィレット部ミクロ組織の微細化を
阻害し、粗大組織のままとする弊害があるため、実質的
には添加しない。つぎに、フィレット部の結晶粒度をJ
IS G0552で判定される結晶粒度で5番以上とす
る。
【0026】フィレット部の結晶粒度が、JIS G0
552で判定される結晶粒度で5番未満では、靱性が低
下するため、フィレット部の結晶粒度は5番以上の細粒
とする。なお、好ましくは6〜9番である。つぎに、H
形鋼の製造条件について説明する。上記した化学組成の
鋼は転炉、電気炉あるいはその他の溶解炉で溶製し、造
塊−分塊法あるいは連続鋳造法でH形鋼の鋼素材とする
のが好ましい。
【0027】鋼素材を熱間圧延により、H形鋼に圧延す
る。圧延後、フランジB/2部の平均冷却速度α(℃/
sec )が、次(1)式 α≦V/N×3.5 ……………(1) を満足し、かつ冷却停止温度が次(2)、(3)式 Ar3 =910 −273 C+25Si−74Mn ……………(2) Ar3 =910 −273 C+25Si−74Mn−56Ni−16Cr−9Mo −5Cu ……(3) で定義されるAr3 点(℃)で表される(Ar3 −50
℃)〜(Ar3 −200 ℃)の温度範囲となる強制冷却を
施し、その後空冷する。
【0028】フランジB/2部の平均冷却速度αが、
(1)式を満足しない場合には、オーステナイト域にお
けるVNの析出が抑制され、フィレット部の靱性が劣化
する。冷却停止温度が(Ar3 −50℃)を超えると、フ
ェライトの成長が促進され、フィレット部の組織が粗大
化する。また、冷却停止温度が(Ar3 −200 ℃)未満
では、残留応力の増加による寸法精度の低下を招くとと
もに、冷間矯正量の増大により歪時効性が高くなる。こ
のため、冷却停止温度は、(Ar3 −50℃)〜(Ar3
−200 ℃)の温度範囲とした。なお、Ar3 点の計算
は、Ni、Cr、Mo、Cuが添加される場合は、(3)式を用
いて行う。
【0029】強制冷却における冷却方法は、フランジB
/2部を中心とした強制空冷、あるいはノズルを利用し
た水冷が好適である。さらに、上記冷却方法に加えて、
フランジ内面からR部を中心に強制空冷あるいはノズル
水冷を併用してもよい。H形鋼の熱間圧延方法は、通常
公知の方法が適用でき、本発明では、とくに規定しない
が、加熱温度は1100〜1350℃の範囲がより好ましく、圧
延終了温度はAr3 点よりも高いことが望ましい。な
お、圧延途中でフランジを強制空冷あるいは水冷を行っ
てもよい。
【0030】
【実施例】転炉で溶製した表1に示す化学組成の鋼を、
連続鋳造により鋳片としたのち、熱間圧延により、表2
に示すサイズのH形鋼に圧延した。圧延後、表2に示
す、冷却速度・冷却停止温度の冷却条件で、冷却したの
ち、コールドレベラーによる冷間矯正を施し、製品とし
た。なお、冷却速度および冷却停止温度はフランジB/
2部外面のデータである。
【0031】製造したH形鋼について、図1に示す位
置、フランジB/4部およびフィレット部から引張試験
片およびシャルピー衝撃試験片を採取し、引張および衝
撃特性について調査した。また、フィレット部の結晶粒
度をJIS G 0552の規定に従い測定した。それらの結果を
表2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】化学組成およびフィレット部の結晶粒度が
本発明の範囲の本発明例No.7、No.11 では、フィレット
部の強度・靱性がフランジ部の強度・靱性とぼぼ同等で
あった。これに対し、圧延後の冷却条件が本発明の範囲
を外れる比較例No.12 は、フィレット部の組織が粗大化
し、ベイナイト主体の組織となっており、さらに冷間矯
正による歪時効により、良好な靱性が得られなかった。
また、化学組成、とくにV、NあるいはV/N が本発明の
範囲を外れる比較例No.15 〜No.18 は、フィレット部の
組織が粗大化し、ベイナイト主体の組織となっており、
良好な靱性が得られなかった。Nが本発明の範囲より高
い比較例No.19 は、フィレット部の靱性は良好であった
が、入熱10kJ/cm の溶接を想定した再現HAZ 部の靱性
(vE0 )が20Jと低く、溶接構造物用鋼材への適用は
困難である。本発明例についても、入熱10kJ/cm の溶接
HAZ 部の靱性を調査したが、いずれも、vE0 が70J以
上と、靱性は良好で溶接構造物として適用できる鋼材で
あることがわかった。
【0036】また、化学組成、とくにNbが本発明の範囲
を外れる比較例No.21 、No.22 は、フィレット部のフェ
ライト粒が粗大しているため、良好な靱性が得られなか
った。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、圧延H形鋼で長く懸案
であったフィレット部の低靱性を改善し、フィレット部
の靱性が優れたH形鋼を工業的に容易に製造できるとい
う、産業上極めて有益な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧延H形鋼の形状と実施例における試験片採取
位置および測温位置を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天野 虔一 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4K032 AA01 AA04 AA05 AA11 AA16 AA19 AA21 AA23 AA27 AA29 AA31 AA35 AA36 CD02 CD03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.01〜0.15%、 Si:0.60%以下、 Mn:0.5 〜1.8 %、 P:0.030 %以下、 S:0.030 %以下、 Al:0.021 〜0.05%、 V:0.01〜0.10%、 N:0.0040〜0.0120% および Ti:0.001 〜0.030 % を含有し、かつV/Nが3.6 以上で、残部Feおよび不可
    避的不純物からなり、さらにフィレット部の結晶粒度が
    JIS G0552で判定される結晶粒度で5番以上を
    有することを特徴とするフィレット部靱性に優れたフラ
    ンジ厚40mm未満のH形鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C:0.01〜0.15%、 Si:0.60%以下、 Mn:0.5 〜1.8 %、 P:0.030 %以下、 S:0.030 %以下、 Al:0.021 〜0.05%、 V:0.01〜0.10%、 N:0.0040〜0.0120% を含み、 Cu:0.05〜0.5 %、 Ni:0.05〜0.5 %、 Cr:0.05〜0.5 %、 Mo:0.01〜0.3 % のうちから選ばれた1種または2種以上および Ti:0.001 〜0.030 % を含有し、かつV/Nが3.6 以上で、残部Feおよび不可
    避的不純物からなり、さらにフィレット部の結晶粒度が
    JIS G0552で判定される結晶粒度で5番以上を
    有することを特徴とするフィレット部靱性に優れたフラ
    ンジ厚40mm未満のH形鋼。
  3. 【請求項3】 重量%で、C:0.01〜0.15%、Si:0.60
    %以下、Mn:0.5 〜1.8 %、P:0.030 %以下、S:0.
    030 %以下、Al:0.021 〜0.05%、V:0.01〜0.10%、
    N:0.0040〜0.0120%、およびTi:0.001 〜0.030 %を
    含有し、かつV/Nが3.6 以上で、残部Feおよび不可避
    的不純物からなる鋼素材を、熱間圧延により、H形鋼と
    したのち、H形鋼のフランジB/2部の冷却速度α(℃
    /sec)が下記(1)式を満足し、かつ冷却停止温度が
    下記(2)式で定義されるAr 3 点(℃)で表される
    (Ar3 −50℃)〜(Ar3 −200 ℃)の温度範囲とな
    る強制冷却を施し、その後空冷することを特徴とするフ
    ィレット部の結晶粒度がJIS G0552で判定され
    る結晶粒度で5番以上を有し、フィレット部靱性に優れ
    たフランジ厚40mm未満のH形鋼の製造方法。 記 α≦V/N×3.5 ……………(1) Ar3 =910 −273 C+25Si−74Mn ……………(2)
  4. 【請求項4】 重量%で、C:0.01〜0.15%、Si:0.60
    %以下、Mn:0.5 〜1.8 %、P:0.030 %以下、S:0.
    030 %以下、Al:0.021 〜0.05%、V:0.01〜0.10%、
    N:0.0040〜0.0120%を含み、Cu:0.05〜0.5 %、Ni:
    0.05〜0.5 %、Cr:0.05〜0.5 %、Mo:0.01〜0.3 %の
    うちから選ばれた1種または2種以上、およびTi:0.00
    1 〜0.030 %を含有し、かつV/Nが3.6 以上で、残部
    Feおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、熱間圧延に
    より、H形鋼としたのち、H形鋼のフランジB/2部の
    冷却速度α(℃/sec )が下記(1)式を満足し、かつ
    冷却停止温度が下記(3)式で定義されるAr3
    (℃)で表される(Ar3 −50℃)〜(Ar3 −200
    ℃)の温度範囲となる強制冷却を施し、その後空冷する
    ことを特徴とするフィレット部の結晶粒度がJIS G
    0552で判定される結晶粒度で5番以上を有し、フィ
    レット部靱性に優れたフランジ厚40mm未満のH形鋼の製
    造方法。 記 α≦V/N×3.5 ……(1) Ar3 =910 −273 C+25Si−74Mn−56Ni−16Cr−9Mo −5Cu ……(3)
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