JPH071118Y2 - 上衣用アイロン仕上げ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 この考案は、例えば、ブラウス、カッタシャツ、もしく
は背広等の上衣のアイロン仕上げに用いられるような上
衣用アイロン仕上げ装置に関する。

（ロ）従来の技術 従来、上述の上衣をアイロン仕上げする場合、例えば、
上衣の肩部と対応する形状に形成した肩用アイロン台
と、袖部と対応する形状に形成した袖用アイロン台とを
別々に用いてアイロン仕上げする。

まず、上衣の肩部を肩用アイロン台に被覆セットし、所
定温度に加温したプレス板によりプレスしてアイロン仕
上げした後、この肩用アイロン台から上衣を取り外し
て、次に、上衣の袖部を袖用アイロン台に被覆セット
し、所定温度に加温したプレス板によりプレスしてアイ
ロン仕上げする。

（ハ）考案が解決しようとする問題点 しかし、上述のように上衣の肩部および袖部をそれぞれ
別々にアイロン仕上げする場合、例えば、上衣の肩部を
肩用アイロン台に被覆すると、他方の袖部は袖用アイロ
ン台に被覆することなく、肩部または袖部の何れか一方
を弛ませた状態のままでアイロン仕上げするので、アイ
ロン仕上げ後において、処理済みの肩部または袖部を弛
ませると、アイロン仕上げした部分に形崩れが生じた
り、不必要なシワがついたりして、上衣全体の仕上り状
態が悪化する問題点があった。

また、上衣の肩部および袖部をそれぞれ別々に被覆して
アイロン仕上げするので、上衣の被覆作業および仕上げ
作業に手間がかかり、処理能力が低下する問題点を有し
ている。

この考案は上記問題に鑑み、上衣の肩部および袖部を肩
袖被覆台に被覆した状態のままプレス板によりプレスす
ることにより、上衣の肩部および袖部を所定の形態にア
イロン仕上げすることができ、しかも上述のプレス板に
形成されるプレス面を常時下方に指向させて上下動する
ことにより、作業者の特に顔面に該プレス板からの熱気
が伝わることがなく、安全性を確保することができるう
え、上述のプレス板を単一の駆動手段にて昇降させるこ
とで、構造の簡略化を図ることができるのは勿論こと、
操作性の向上を図ることができる上衣用アイロン仕上げ
装置の提供を目的とする。

（ニ）問題点を解決するための手段 この考案は、上衣の肩部と対応する形状に形成された肩
被覆部と、上衣の袖部と対応する形状に形成された袖被
覆部とを備えた袖被覆台を設けると共に、上記肩袖被覆
台に被覆された上衣の被覆部分をプレスするプレス板を
設け、上記プレス板のプレス面を常時下方に指向させて
該プレス板を昇降駆動する単一の駆動手段を備えた上衣
用アイロン仕上げ装置であることを特徴とする。

（ホ）作用 この考案によれば、上衣の肩部および袖部を肩被覆部と
袖被覆部とを有する肩袖被覆台に被覆した後、単一の駆
動手段を駆動して、上衣の被覆部分をプレスする方向す
なわち下方にプレス板を移動させ、例えば、肩袖被覆台
に被覆された上衣の肩部を、所定温度に加温したプレス
板によりプレスして筋目付けやシワ延ばし等を実行し、
上衣全体を立体的にアイロン仕上げする。

（ヘ）考案の効果 このように、この考案によれば、上衣の肩部および袖部
を肩袖被覆台に被覆した状態のまま筋目付けやシワ延ば
し等のアイロン仕上げを実行するので、上衣の肩部また
は袖部に形崩れが生じることがなく、不必要なシワが付
くのを確実に防止することができ、肌触りの柔らかい元
の状態に肩部および袖部を復元させ、上衣の肩部および
袖部を所定の形態にアイロン仕上げすることができる。

また、上衣の肩部および袖部を一括してアイロン仕上げ
するので、従来例のように上衣の肩部および袖部をそれ
ぞれ別々にアイロン仕上げする手間が省け、上衣の被覆
作業および仕上げ作業が容易に行え、処理能力の向上を
図ることができる。

しかも、上述のプレス板に形成されたプレス面を常時下
方に指向させた状態を維持して、該プレス板を上下動す
るので、作業者の特に顔面に該プレス板からの熱気が伝
わることがなく、安全性を確保することができるうえ、
上述のプレス板を単一の駆動手段にて昇降させるので、
構造の簡略化を図ることができるのは勿論、操作性の向
上を図ることができる効果がある。

（ト）実施例 この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。

図面は上衣の一例として背広のアイロン仕上げに用いら
れる上衣用アイロン仕上げ装置を示し、第１図および第
２図において、この上衣用アイロン仕上げ装置１は、作
業側を正面とする装置本体２の上面左右両側部に、背広
Ａの肩部Aaおよび袖部Abと対応する形状および寸法に形
成されたステンレス製の肩袖被覆台3,3を立設し、装置
本体２の上部に、肩袖被覆台3,3と対応する形状および
寸法に形成されたステンレス製のプレス板４を配設して
いる。

上述の肩袖被覆台3,3の背面側には、背広Ａの袖部Abを
載置するための袖載せ台5,5を立設し、これら左右の肩
袖被覆台3,3の中間部には、一方の肩袖被覆台３に加圧
されたプレス板４を水平状態に保持する高さに受け台６
を立設している。

上述の肩袖被覆台３は、第４図および第５図に示すよう
に、装置本体２の上面に背広Ａの肩部Aaと対応する形状
および寸法に形成した肩被覆部７を立設し、この肩被覆
部７の一側端部に背広Ａの袖部Abと対応する形状および
寸法に形成した袖被覆部８を一体的に連設している。

上述の肩被覆部７は、背広Ａの肩部Aaと対応して滑らか
な凸面形状に上部周面を形成し、この上部周面に多数の
小孔としての丸孔7aを所定等間隔に隔てて穿設し、この
肩被覆部７の下面中央部に、装置本体２の上面に立設し
た円筒柱９を連通固定し、この円筒柱９の上端側内周面
に中空部9aを形成し、この中空部9aに連通して蒸気入口
9bおよび蒸気出口9cを形成している。

すなわち、蒸気入口9bから蒸気出口9cに高温のスチーム
Ｓを循環供給することで、中空部9aに沿って配管した蒸
気供給管10が所定温度に加温され、管内に水滴（ドレ
ン）が発生するのを防止する。

前述の袖被覆部８は、上述の肩被覆部７に近接して、装
置本体２の上面に逆Ｌ字形の円筒柱11を立設し、この円
筒柱11の上端部を肩被覆部７の中心部に挿通して、この
円筒柱11の挿通側端部に、背広Ａの袖部Abと対応する形
状および寸法に形成した袖形態保持管12を連結固定して
いる。

上述の袖形態保持管12には、第５図、第６図にも示すよ
うに、円筒柱11の内部に配管した送気管13および吸気管
14を連通接続し、この袖形態保持管12の両側面にパンチ
ング加工したステンレス板15,16を溶接すると共に、こ
れらステンレス板15,16の間に蒸気噴出管17を配管して
いる。

上述のステンレス板15,16には多数の小孔としての丸孔1
5a,16aを穿設し、一方、蒸気噴出管17にも多数の小孔と
しての丸孔17aを所定等間隔に隔てて穿設すると共に、
この蒸気噴出管17に、円筒柱11内に配管した蒸気供給管
18を連通接続している。

すなわち、円筒柱11および袖形態保持管12に熱風Ｈを供
給することで、蒸気噴出管17および蒸気供給管18が所定
温度に加温され、管内に水滴（ドレン）が発生するのを
防止している。

なお、上述の蒸気入口9bおよび蒸気供給管10,18は、電
磁弁等を介して蒸気発生装置（図示省略）に連通接続し
ている。

上述の肩袖被覆台３を構成する肩被覆部７および袖被覆
部８の外面全体には、テトロンまたはポリエステル等の
生地により形成した通気性の保護カバー19で被覆保護さ
れ、この肩被覆部７および袖被覆部８に連結した円筒柱
9,11は、装置本体２の内部に配設した切換えダンパ20の
送吸気口20a,20aに接続している。

上述の切換えダンパ20は、第２図に示すように、吸排気
口20bは大気側に開放し、吸気口20cは吸気ダクト21を介
してブロア22の吸気口22aに連通接続し、送気口20dは送
気ダクト23を介してブロア22の送気口22bに連通接続し
ている。

なお、送気経路にはエアを所定温度に加熱するための加
熱器（図示省略）を配設している。

前述のプレス板４は、第１図および第２図に示すよう
に、肩袖被覆台３の肩被覆部７と対応して滑らかな凹面
形状にプレス面4a,4aを形成し、このプレス面4aに多数
の小孔としての丸孔4bを所定等間隔に隔てて穿設し、プ
レス板４の後方側に蒸気供給管26を連通接続すると共
に、プレス面4aの内側に保温管25を蛇行して配管してい
る。

すなわち、保温管25に高温のスチームＳを供給すること
で、プレス面4aが所定温度に加温され、プレス板４の内
側および外側に水滴（ドレン）が発生するのを防止す
る。

なお、上述の蒸気供給管26および保温管25は、電磁弁等
を介して蒸気発生装置（図示省略）に連通接続してい
る。

上述のプレス板４は、第３図にも示すように、プレス機
構260を構成する可動台27に可動アーム28の下端部を垂
直固定し、この可動アーム28の上端部下面にプレス板４
を下向きに固定している。

上述のプレス機構260は、可動台27を昇降台29の後面側
水平方向に架設したガイドレール30,30に摺動可能に取
付け、これらガイドレール30,30間の中央部に軸架した
スクリュ31に可動アーム28の下端部を螺合し、減速機内
蔵型の駆動モータ32をスクリュ31の一側端部に直結し
て、この駆動モータ32の駆動力によりスクリュ31を正逆
回転させ、左右に配設した肩袖被覆台3,3と対向する上
方位置にプレス板４を水平移動する。

一方、上述の昇降台29を装置本体２の後面側上下方向に
架設したガイドレール33,33に摺動可能に取付け、装置
内部に配設した単一の駆動手段としてのエアシリンダ34
のピストンロッドを昇降台29に連結固定して、このエア
シリンダ34の作動により昇降台29を昇降させ、左右に配
設した肩袖被覆台3,3と対向する上方位置でプレス板４
を垂直昇降する。つまり、プレス面4aを常時下方に向け
た状態でプレス板４を昇降駆動する。

前述の装置本体２の正面両側部には肩部操作パネル35と
袖部操作パネル36とを配設し、正面左側の肩部操作パネ
ル35には、各要素を駆動可能な待機状態にするメインス
イッチ37と、自動または手動切換用の切換えスイッチ38
と、動作パターン選択用の選択スイッチ39と、プレス時
間設定用のプレスタイマ40と、蒸らし時間設定用のスチ
ームタイマ41と、ブロー時間設定用のブロータイマ42
と、バキューム時間設定用のバキュームタイマ43と、Ａ
工程隙間設定用の調整スイッチ44と、Ｂ工程隙間設定用
の調整スイッチ45とを配設している。

一方、正面右側の袖部操作パネル36には、自動または手
動切換用の切換えスイッチ46と、バキューム時間設定用
のバキュームタイマ47と、ブロー時間設定用のブロータ
イマ48と、蒸らし時間設定用のスチームタイマ49とを配
設している。

さらに、装置本体２の下部正面には、左右の肩袖被覆台
3,3と対応して、各要素を独立駆動する足踏み操作式の
バキュームスイッチ50と、熱風吹出しスイッチ51と、ス
チームスイッチ52とをそれぞれ配設している。

装置本体２の上部正面には、左右の肩袖被覆台3,3と対
応して両側部に起動スイッチ53,53を配設し、中央部に
停止スイッチ54を配設している。

上述の動作パターンにはＡ・Ｂ・Ｃの合計３パターンが
ある。

Ａパターンは、プレス板４を降下→スチーム噴出→プレ
ス板４を中間位置に上昇停止→上昇の順序で装置全体を
動作する。なお、スチーム噴出が停止しても所定秒間は
加圧している。

Ｂパターンは、プレス板４を降下して加圧→スチーム噴
出→熱風→バキューム→上昇の順序で装置全体を動作す
る。

Ｃパターンは、プレス板４を中間位置に降下停止→スチ
ーム噴出→熱風→バキューム→上昇の順序で各要素を動
作する。

図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、上
衣用アイロン仕上げ装置１を自動設定した時の背広Ａの
アイロン仕上げ動作を説明する。

まず、メインスイッチ37をON操作して各要素を駆動可能
な待機状態にセットした後、切換スイッチ38,46を操作
して自動に設定し、選択スイッチ39を操作して背広Ａの
生地と対応した動作パターンに設定し、各タイマ40,41,
42,43,47,48,49を調整操作して処理時間を設定する。

次に、第１図、第２図に示すように、左側に立設した肩
袖被覆台３に背広Ａの右半分を被覆して、背広Ａの肩部
Aaおよび袖部Abを肩袖被覆台３の肩被覆部７および袖被
覆部８にそれぞれ被覆セットした後、起動スイッチ53を
ON操作すると、プレス機構260が駆動して、背広Ａを被
覆セットした肩袖被覆台３の上方にプレス板４を水平移
動させ、プレス板４を垂直降下して、肩袖被覆台３の肩
被覆部７に被覆セットされた背広Ａの肩部Aaをプレス板
４によりプレスし、所定の動作パターンに従ってアイロ
ン仕上げする。

例えば、ウール製の背広Ａをアイロン仕上げする場合、
プレス板４を降下→スチーム噴出→プレス板４を中間位
置に上昇停止→上昇の順序で動作させ、肩袖被覆台３の
肩被覆部７から順次吹出されるスチームＳ、熱風Ｈ、冷
風Ｃ等の雰囲気により、肩被覆部７に被覆された背広Ａ
の肩部Aaを立体的にアイロン仕上げする。

同時に、肩袖被覆台３の袖被覆部８から順次吹出される
スチームＳ、熱風Ｈ、冷風Ｃ等の雰囲気により、袖被覆
部８に被覆された背広Ａの袖部Abを緊張させた状態のま
ま蒸らし、乾燥、冷却して立体的にアイロン仕上げす
る。

処理後において、プレス板４を垂直上昇させ、右側に立
設した肩袖被覆台３の上方にプレス板４を水平移動させ
た後、仕上げ済みの背広Ａを左側の肩袖被覆台３から取
り外し、右側の肩袖被覆台３で行われる処理時間を利用
して、未仕上げの背広Ａの左半分を左側の肩袖被覆台３
に被覆セットするので、左右に配設した肩袖被覆台3,3
を交互に利用して、多数枚の背広Ａを連続的にアイロン
仕上げすることができる。

このように背広Ａの肩部Aaおよび袖部Abを肩袖被覆台３
に被覆した状態のままでアイロン仕上げを実行するの
で、背広Ａの肩部Aaまたは袖部Abに形崩れが生じること
がなく、不必要なシワが付くのを確実に防止することが
でき、肌触りの柔らかい元の状態に肩部Aaおよび袖部Ab
を復元させ、背広Ａを所定の形態にアイロン仕上げする
ことができる。

また、背広Ａの肩部Aaおよび袖部Abを一括してアイロン
仕上げするので、従来例のように背広Ａの肩部Aaおよび
袖部Abをそれぞれ別々にアイロン仕上げする手間が省
け、背広Ａの被覆作業および仕上げ作業が容易に行え、
処理能力の向上を図ることができる。

しかも、上述のプレス板４に形成されたプレス面4aを常
時下方に指向させた状態を維持して、該プレス板４を上
下動するので、作業者の特に顔面に該プレス板からの熱
気が伝わることがなく、安全性を確保することができる
うえ、上述のプレス板４を単一の駆動手段（エアシリン
ダ34参照）にて昇降させるので、構造の簡略化を図るこ
とができるのは勿論、操作性の向上を図ることができる
効果がある。

この考案の構成と、上述の実施例との対応において、 この考案の上衣は、実施例の背広Ａに対応し、 以下同様に、 駆動手段は、エアシリンダ34に対応するも、 この考案は、上述の実施例の構成のみに限定されるもの
ではない。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、 第１図は上衣用アイロン仕上げ装置の正面図、 第２図は上衣用アイロン仕上げ装置の縦断側面図、 第３図は上衣用アイロン仕上げ装置の背面図、 第４図は肩袖被覆台の拡大縦断面図、 第５図は袖被覆部の側面図、 第６図は第５図に示すII−II部分の拡大断面図である。 ３…肩袖被覆台、４…プレス板 4a…プレス面、７…肩被覆部 ８…袖被覆部、34…エアシリンダ（駆動手段） Ａ…背広（上衣）、Aa…肩部 Ab…袖部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上衣（Ａ）の肩部（Aa）と対応する形状に
   形成された肩被覆部（７）と、上衣（Ａ）の袖部（Ab）
   と対応する形状に形成された袖被覆部（８）とを備えた
   袖被覆台（３）を設けると共に、 上記肩袖被覆台（３）に被覆された上衣（Ａ）の被覆部
   分をプレスするプレス板（４）を設け、 上記プレス板（４）のプレス面（4a）を常時下方に指向
   させて該プレス板（４）を昇降駆動する単一の駆動手段
   （34）を備えた 上衣用アイロン仕上げ装置。