JPH07111000B2 - 高耐食ニッケルめっき方法 - Google Patents
高耐食ニッケルめっき方法Info
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- JPH07111000B2 JPH07111000B2 JP2092277A JP9227790A JPH07111000B2 JP H07111000 B2 JPH07111000 B2 JP H07111000B2 JP 2092277 A JP2092277 A JP 2092277A JP 9227790 A JP9227790 A JP 9227790A JP H07111000 B2 JPH07111000 B2 JP H07111000B2
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- Japan
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- plating
- nickel plating
- corrosion
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、高耐食ニッケルめっき方法に関し、更に詳細
には、高耐食性と優れた光沢外観を共に要求される自動
車、オートバイ等の部品に対する高耐食ニッケルめっき
方法に関する。
には、高耐食性と優れた光沢外観を共に要求される自動
車、オートバイ等の部品に対する高耐食ニッケルめっき
方法に関する。
[従来の技術] 屋外の風雨に晒される自動車、オートバイ等の部品に
は、一般にその耐食性、優れた金属外観などの面からニ
ッケル・クロムめっきが採用されている。
は、一般にその耐食性、優れた金属外観などの面からニ
ッケル・クロムめっきが採用されている。
通常のニッケル・クロムめっきにおいては、最表面のク
ロム層の不働態化ににより防食しているが、クロム皮膜
の欠陥(クラック・ポア)の発生を完全に防ぐことはで
きず、また、たとえ可能となっても、めっき後のスリキ
ズ等による欠陥の発生は防ぐことができないので、欠陥
の部分から腐食が開始する。そして、素地まで達した腐
食は、被めっき物の外観を著しく損ね、また、素地まで
達しない腐食であっても表面に近いニッケルの腐食が、
被めっき物の目立った外観の低下となり、商品価値を低
下させていた。
ロム層の不働態化ににより防食しているが、クロム皮膜
の欠陥(クラック・ポア)の発生を完全に防ぐことはで
きず、また、たとえ可能となっても、めっき後のスリキ
ズ等による欠陥の発生は防ぐことができないので、欠陥
の部分から腐食が開始する。そして、素地まで達した腐
食は、被めっき物の外観を著しく損ね、また、素地まで
達しない腐食であっても表面に近いニッケルの腐食が、
被めっき物の目立った外観の低下となり、商品価値を低
下させていた。
このような問題を解決し、ニッケルめっきの膜厚を低下
させながら耐食性を持たせる高耐食ニッケルめっきプロ
セスとして、3重ニッケルプロセス及びマイクロポーラ
スクロムやマイクロクラッククロムプロセスがすでに開
発されている。
させながら耐食性を持たせる高耐食ニッケルめっきプロ
セスとして、3重ニッケルプロセス及びマイクロポーラ
スクロムやマイクロクラッククロムプロセスがすでに開
発されている。
[発明が解決しようとする課題] 高耐食ニッケルめっきプロセスのうち、マイクロポーラ
スクロムあるいはマイクロクラッククロム法は、めっき
面の最表面のクロムに微孔や微細なクラック等の欠陥を
作成することにより、腐食電流密度を微小化し、腐食速
度を遅らせる方法であるが、いずれも初期の微細な腐食
孔も時間の経過とともに大きくなり、いわゆる「霜降
り」等の外観上目立った腐食孔となる欠点を有する。
スクロムあるいはマイクロクラッククロム法は、めっき
面の最表面のクロムに微孔や微細なクラック等の欠陥を
作成することにより、腐食電流密度を微小化し、腐食速
度を遅らせる方法であるが、いずれも初期の微細な腐食
孔も時間の経過とともに大きくなり、いわゆる「霜降
り」等の外観上目立った腐食孔となる欠点を有する。
一方、3重ニッケル(トリニッケル)プロセスは、電位
の貴なニッケルめっき層(半光沢ニッケルめっき層)の
上に電位がこれより卑なニッケルめっき層(光沢ニッケ
ルめっき層)を施す二重ニッケルプロセスを改良したも
ので、半光沢ニッケル層と光沢ニッケル層の間に、イオ
ウ含量が高く、光沢ニッケル層より電位が卑なニッケル
めっき(以下、これを「トリニッケルめっき」という)
を施し、この電位が卑なトリニッケルめっき層を犠牲皮
膜として利用して光沢ニッケル層と素地の防蝕をおこな
うものである。
の貴なニッケルめっき層(半光沢ニッケルめっき層)の
上に電位がこれより卑なニッケルめっき層(光沢ニッケ
ルめっき層)を施す二重ニッケルプロセスを改良したも
ので、半光沢ニッケル層と光沢ニッケル層の間に、イオ
ウ含量が高く、光沢ニッケル層より電位が卑なニッケル
めっき(以下、これを「トリニッケルめっき」という)
を施し、この電位が卑なトリニッケルめっき層を犠牲皮
膜として利用して光沢ニッケル層と素地の防蝕をおこな
うものである。
しかし、この方法も、一度この犠牲皮膜であるトリニッ
ケルめっき層に腐食が到達すると、トリニッケルめっき
層の腐食が早く、目立つ大きなピットが発生するという
問題があった。
ケルめっき層に腐食が到達すると、トリニッケルめっき
層の腐食が早く、目立つ大きなピットが発生するという
問題があった。
したがって、優れた耐食性を有し、仮に腐食が発生して
もめっき外観が低下しないニッケルめっきプロセスの開
発が望まれていた。
もめっき外観が低下しないニッケルめっきプロセスの開
発が望まれていた。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、上記課題を解決すべく、現在行なわれて
いる耐食めっき方法に関し再検討を行なった。そしてそ
の結果、大きなピットが発生するというトリニッケルプ
ロセスの欠点は、中間犠牲皮膜であるトリニッケルめっ
き層の腐食が横方向に迅速に進むためであることに気づ
いた。そこで、更に研究をおこない、中間犠牲被膜の迅
速な横方向の腐食は、被膜内部での腐食の分散により防
止しうることに思い到った。
いる耐食めっき方法に関し再検討を行なった。そしてそ
の結果、大きなピットが発生するというトリニッケルプ
ロセスの欠点は、中間犠牲皮膜であるトリニッケルめっ
き層の腐食が横方向に迅速に進むためであることに気づ
いた。そこで、更に研究をおこない、中間犠牲被膜の迅
速な横方向の腐食は、被膜内部での腐食の分散により防
止しうることに思い到った。
そしてまた、中間犠牲被膜内での腐食の分散は、中間犠
牲被膜として、その電位が両側のニッケルメッキ層より
卑であるニッケル合金めっきを採用することにより達成
できることを見出した。
牲被膜として、その電位が両側のニッケルメッキ層より
卑であるニッケル合金めっきを採用することにより達成
できることを見出した。
本発明は、これら知見に基いて完成されたものであり、
下地ニッケルめっき、ニッケル合金めっきおよび仕上げ
ニッケルめっきを順次施すことを特徴とする高耐食ニッ
ケルめっき方法を提供するものである。
下地ニッケルめっき、ニッケル合金めっきおよび仕上げ
ニッケルめっきを順次施すことを特徴とする高耐食ニッ
ケルめっき方法を提供するものである。
本発明の高耐食ニッケルめっき方法を実施するには、ま
ず被めっき素材に下地ニッケルめっきを施すことが必要
である。
ず被めっき素材に下地ニッケルめっきを施すことが必要
である。
本発明方法を実施することのできる被めっき素材には特
に制限はなく、鉄鋼、亜鉛、アルミニウム、銅、銅合金
その他の金属素地やABS樹脂その他のプラスチック素地
上に、通常の方法により前処理をしたのち、必要であれ
ば、銅などの他種金属めっきを施したもののいずれをも
採用することができる。
に制限はなく、鉄鋼、亜鉛、アルミニウム、銅、銅合金
その他の金属素地やABS樹脂その他のプラスチック素地
上に、通常の方法により前処理をしたのち、必要であれ
ば、銅などの他種金属めっきを施したもののいずれをも
採用することができる。
また、下地ニッケルめっきとしては半光沢ニッケルめっ
き、光沢ニッケルめっき、半光沢−光沢ニッケルめっき
(二重ニッケルめっき)等を採用することができる。
き、光沢ニッケルめっき、半光沢−光沢ニッケルめっき
(二重ニッケルめっき)等を採用することができる。
この下地ニッケルめっきのうち、半光沢ニッケルめっき
は、そのイオウ共析量が、例えば0.005%以下と極めて
少なく、電位が光沢ニッケルに比べ相対的に貴なめっき
である。半光沢ニッケルめっき浴組成としては、従来か
ら用いられる公知ニッケルめっき浴のいずれをも採用す
ることができる。また、半光沢ニッケル用の光沢剤とし
ては、抱水クロラール、ホルマリン、クマリン等を挙げ
ることができる。またこれらに代えて、例えば、N2E、B
TL(荏原ユージライト(株)製)などの市販のものを利
用することもできる。
は、そのイオウ共析量が、例えば0.005%以下と極めて
少なく、電位が光沢ニッケルに比べ相対的に貴なめっき
である。半光沢ニッケルめっき浴組成としては、従来か
ら用いられる公知ニッケルめっき浴のいずれをも採用す
ることができる。また、半光沢ニッケル用の光沢剤とし
ては、抱水クロラール、ホルマリン、クマリン等を挙げ
ることができる。またこれらに代えて、例えば、N2E、B
TL(荏原ユージライト(株)製)などの市販のものを利
用することもできる。
また、下地ニッケルのうち光沢ニッケルめっきは、イオ
ウ含量が例えば0.02〜0.07%程度で、電位が半光沢ニッ
ケルめっきより相対的に卑なめっきである。光沢ニッケ
ルめっき浴組成としても、従来から用いられる公知のニ
ッケルめっき浴のいずれをも採用することができ、光沢
剤としても、公知の光沢剤、例えば一次光沢剤として、
1,5−1,6−又は2,5−ナフタリンジスルホン酸ソーダ、
1,3,6−ナフタリントリスルホン酸ソーダ、ベンゼンス
ルホン酸ソーダ及びサッカリン酸ソーダなどの芳香族ス
ルホンイミド類、及びスルフィン酸類が単独又は組み合
わせて使用され、また、光沢・レベリングを付与する目
的で、1,4−ブチンジオールを代表とするアセチレン系
不飽和アルコール及びその誘導体、及びビニルスルホン
酸ソーダ、アリルスルホン酸ソーダなどのエチレン系不
飽和スルホン酸塩、あるいは、ピリジン系スルホン酸ソ
ーダ塩が使用される。またこれらに代えて、#61、#63
(荏原ユージライト(株)製)等の市販の光沢ニッケル
用光沢剤を利用しても良い。
ウ含量が例えば0.02〜0.07%程度で、電位が半光沢ニッ
ケルめっきより相対的に卑なめっきである。光沢ニッケ
ルめっき浴組成としても、従来から用いられる公知のニ
ッケルめっき浴のいずれをも採用することができ、光沢
剤としても、公知の光沢剤、例えば一次光沢剤として、
1,5−1,6−又は2,5−ナフタリンジスルホン酸ソーダ、
1,3,6−ナフタリントリスルホン酸ソーダ、ベンゼンス
ルホン酸ソーダ及びサッカリン酸ソーダなどの芳香族ス
ルホンイミド類、及びスルフィン酸類が単独又は組み合
わせて使用され、また、光沢・レベリングを付与する目
的で、1,4−ブチンジオールを代表とするアセチレン系
不飽和アルコール及びその誘導体、及びビニルスルホン
酸ソーダ、アリルスルホン酸ソーダなどのエチレン系不
飽和スルホン酸塩、あるいは、ピリジン系スルホン酸ソ
ーダ塩が使用される。またこれらに代えて、#61、#63
(荏原ユージライト(株)製)等の市販の光沢ニッケル
用光沢剤を利用しても良い。
この半光沢ニッケルおよび光沢ニッケルめっきの好まし
い条件は、次の第1表の通りである。
い条件は、次の第1表の通りである。
この下地ニッケル層の膜厚は、かなり薄くすることも可
能であるが、プラスチック素材へのめっきの場合には、
熱衝撃を緩和するために10μm以上とすることが望まし
い。
能であるが、プラスチック素材へのめっきの場合には、
熱衝撃を緩和するために10μm以上とすることが望まし
い。
次いで、ニッケル合金めっきを施す。
本発明方法において行なわれるニッケル合金めっきは、
基本的にニッケルとコバルト、鉄、亜鉛、マンガン等
の、いわゆる腐食電位列においてニッケルより卑な電位
を有する金属との合金めっきであって、この合金メッキ
被膜の電位が光沢ニッケルメッキ被膜の電位より卑であ
れば良く、2成分合金メッキであっても、それ以上の成
分からな合金メッキであっても良い。
基本的にニッケルとコバルト、鉄、亜鉛、マンガン等
の、いわゆる腐食電位列においてニッケルより卑な電位
を有する金属との合金めっきであって、この合金メッキ
被膜の電位が光沢ニッケルメッキ被膜の電位より卑であ
れば良く、2成分合金メッキであっても、それ以上の成
分からな合金メッキであっても良い。
好ましいニッケル合金メッキ被膜は、そのキャス溶液中
における腐食電位が光沢ニッケル被膜より0〜50mV卑な
ものである。
における腐食電位が光沢ニッケル被膜より0〜50mV卑な
ものである。
そして、このようなニッケル合金めっき被膜は、例え
ば、ニッケルとコバルト、鉄、亜鉛、マンガン等の金属
の合金メッキにより得ることができる。
ば、ニッケルとコバルト、鉄、亜鉛、マンガン等の金属
の合金メッキにより得ることができる。
例えば、Ni−Co合金めっきを利用し、ニッケル合金めっ
き被膜を形成する場合は、コバルト含量が5〜60%の範
囲であるニッケル合金めっき浴(工業的に利用されるニ
ッケル金属やニッケル塩には、数%のコバルトが含まれ
ており、ニッケルめっき被膜中にもコバルトが共析する
が、本明細書においては、このようなニッケルめっき被
膜を100%ニッケル被膜とする)が使用される。
き被膜を形成する場合は、コバルト含量が5〜60%の範
囲であるニッケル合金めっき浴(工業的に利用されるニ
ッケル金属やニッケル塩には、数%のコバルトが含まれ
ており、ニッケルめっき被膜中にもコバルトが共析する
が、本明細書においては、このようなニッケルめっき被
膜を100%ニッケル被膜とする)が使用される。
また、Ni−Fe合金めっきを利用し、ニッケル合金めっき
被膜を形成せしめる場合は、鉄の含量が1〜30%となる
ニッケル−鉄合金めっき浴が使用される。
被膜を形成せしめる場合は、鉄の含量が1〜30%となる
ニッケル−鉄合金めっき浴が使用される。
本発明において使用しうるニッケル合金めっき浴は、基
本的にニッケルと上記条件を満たす金属を共析しうるニ
ッケル合金めっき浴であれば良く、従って、公知のニッ
ケルめっき浴をベースとして構成しうる。
本的にニッケルと上記条件を満たす金属を共析しうるニ
ッケル合金めっき浴であれば良く、従って、公知のニッ
ケルめっき浴をベースとして構成しうる。
本発明において利用されうる、ワットタイプのニッケル
浴をベースとしたニッケル合金めっき浴の一例を、第2
表に示すが、本発明で使用しうるニッケル合金浴がこれ
に限定されるものでないことはもちろんである。
浴をベースとしたニッケル合金めっき浴の一例を、第2
表に示すが、本発明で使用しうるニッケル合金浴がこれ
に限定されるものでないことはもちろんである。
本発明において、ニッケル合金めっきの膜厚には、特に
制限はないが、0.1〜1μm程度の膜厚とすることで本
発明の目的を達成することができる。
制限はないが、0.1〜1μm程度の膜厚とすることで本
発明の目的を達成することができる。
本発明方法における仕上げニッケルめっきとしては、光
沢ニッケルめっき、光沢ニッケル−マイクロポーラスめ
っき、光沢ニッケル−マイクロクラックめっき等が挙げ
られる。
沢ニッケルめっき、光沢ニッケル−マイクロポーラスめ
っき、光沢ニッケル−マイクロクラックめっき等が挙げ
られる。
この仕上げめっきのうち光沢ニッケルは、下地ニッケル
めっきで説明したのと同様な浴組成、条件および光沢剤
により実施することができる。
めっきで説明したのと同様な浴組成、条件および光沢剤
により実施することができる。
また、光沢ニッケルめっきの上に施すマイクロポーラス
めっき、マイクロクラックめっきも公知の組成、条件に
従い実施することができる。
めっき、マイクロクラックめっきも公知の組成、条件に
従い実施することができる。
仕上げめっきの膜厚は、被めっき物に所望の光沢が与え
られる膜厚であればとくに制限はないが、一般には6μ
m程度以上である。
られる膜厚であればとくに制限はないが、一般には6μ
m程度以上である。
本発明方法により高耐食ニッケルめっきが施された被め
っき素材は、更に必要に応じ最終めっきが施される。
っき素材は、更に必要に応じ最終めっきが施される。
最終めっきは、屋外使用部品の場合一般にはクロムであ
るが、これのみに限定されず、他の金属、例えば金、金
合金等を採用することも可能である。
るが、これのみに限定されず、他の金属、例えば金、金
合金等を採用することも可能である。
[作 用] 本発明方法により優れた耐食性が得られる理由は未だ明
確ではないが、次のように推定される。
確ではないが、次のように推定される。
すなわち、金属表面欠陥からの腐食がニッケル合金めっ
き層に達した時、まず、ニッケル以外の共析金属の選択
的腐食が生じ、腐食が分散される。従来のトリニッケル
めっきにおいては、犠牲層が単一層であるため、腐食が
均一に進行し、ある大きさに達すると腐食生成物により
上層被膜が押し上げられ、早期に腐食フクレを生じる
が、本発明の場合は、ニッケル合金層の一部が腐食溶解
するのみであるため、腐食フクレを形成する力は生じな
い。更に、選択的腐食の終了した合金めっき層中のニッ
ケルは光沢ニッケルと同一な性質をもち、かつ、微細な
ポーラスを有する被膜となる。この不均一な被膜が腐食
の基点を与え、続く腐食を誘導、分散させることにより
優れた耐食性が得られるものと考えられる。
き層に達した時、まず、ニッケル以外の共析金属の選択
的腐食が生じ、腐食が分散される。従来のトリニッケル
めっきにおいては、犠牲層が単一層であるため、腐食が
均一に進行し、ある大きさに達すると腐食生成物により
上層被膜が押し上げられ、早期に腐食フクレを生じる
が、本発明の場合は、ニッケル合金層の一部が腐食溶解
するのみであるため、腐食フクレを形成する力は生じな
い。更に、選択的腐食の終了した合金めっき層中のニッ
ケルは光沢ニッケルと同一な性質をもち、かつ、微細な
ポーラスを有する被膜となる。この不均一な被膜が腐食
の基点を与え、続く腐食を誘導、分散させることにより
優れた耐食性が得られるものと考えられる。
[発明の効果] 本発明方法によれば、後記実施例に示す如く優れた耐食
性を有するニッケルめっき被膜が得られるので、屋外の
厳しい条件下で使用される物品の耐食めっき方法として
優れたものである。
性を有するニッケルめっき被膜が得られるので、屋外の
厳しい条件下で使用される物品の耐食めっき方法として
優れたものである。
特に、本発明方法は、腐食をめっき被膜内部に保持する
ため、長期間にわたり腐食欠陥がめっき表面に発生せ
ず、素材腐食はもとより表面腐食についても外観の変化
として許容されない自動車外装部品のような高耐食性を
要求される部品に良好に採用できる。
ため、長期間にわたり腐食欠陥がめっき表面に発生せ
ず、素材腐食はもとより表面腐食についても外観の変化
として許容されない自動車外装部品のような高耐食性を
要求される部品に良好に採用できる。
[実施例] 次に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、
本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
実施例 1. 常法により電導化処理後、銅めっきしたABS樹脂板(10c
m×5cm)をテスト板として用い、半光沢ニッケルめっき
(12μm)、Ni−Co合金めっき(Co含量20wt%;1μ
m)、光沢ニッケルめっき(12μm)およびクロムめっ
き(0.5μm)を順次ほどこし、耐食性試験片を得た。
この試験片についてCASS試験(JIS D201)をおこない、
その耐食性を評価した。この結果、CASS試験160時間後
においてもめっき表面になんら腐食欠陥はなく、テスト
前と同様の外観を示していた。
m×5cm)をテスト板として用い、半光沢ニッケルめっき
(12μm)、Ni−Co合金めっき(Co含量20wt%;1μ
m)、光沢ニッケルめっき(12μm)およびクロムめっ
き(0.5μm)を順次ほどこし、耐食性試験片を得た。
この試験片についてCASS試験(JIS D201)をおこない、
その耐食性を評価した。この結果、CASS試験160時間後
においてもめっき表面になんら腐食欠陥はなく、テスト
前と同様の外観を示していた。
なお、用いた各ニッケルめっき浴組成及び条件を第3表
に、ニッケル合金めっき浴組成を第4表に、クロムめっ
き浴組成を第5表にそれぞれ示す。
に、ニッケル合金めっき浴組成を第4表に、クロムめっ
き浴組成を第5表にそれぞれ示す。
ニッケルめっき浴組成およびめっき条件: ニッケル合金めっき浴組成およびめっき条件: クロムめっき浴およびめっき条件: 実施例 2 Ni−Co合金めっきをCo含量60%で、膜厚6μmのものに
変え、光沢ニッケルの膜厚を6μmとする以外は実施例
1と同様にしてめっきを行ない、耐食性試料片を得た。
変え、光沢ニッケルの膜厚を6μmとする以外は実施例
1と同様にしてめっきを行ない、耐食性試料片を得た。
このものについてCASS試験を行なったが、160時間経過
後も実施例1と同様優れた光沢、外観を維持していた。
後も実施例1と同様優れた光沢、外観を維持していた。
実施例 3 Ni−Co合金めっきを下記組成浴によるNi−Fe合金めっき
に変える以外は実施例1と同様にしてめっきを行ない、
耐食性試料片を得た。
に変える以外は実施例1と同様にしてめっきを行ない、
耐食性試料片を得た。
このものについてCASS試験を行なったが、160時間経過
後も実施例1と同様優れた光沢、外観を維持していた。
後も実施例1と同様優れた光沢、外観を維持していた。
実施例 4 Ni−Co合金めっきを下記組成浴によるNi−Fe−Co三元合
金めっきに変える以外は実施例1と同様にしてめっきを
行ない耐食性試験片を得た。
金めっきに変える以外は実施例1と同様にしてめっきを
行ない耐食性試験片を得た。
このものについてCASS試験を行なったが、160時間経過
後も実施例1と同様優れた光沢、外観を維持していた。
後も実施例1と同様優れた光沢、外観を維持していた。
実施例 5 Ni−Co合金めっきを下記組成浴によるNi−Zn合金めっき
に変える以外は実施例1と同様にしてめっきを行ない耐
食性試験片を得た。
に変える以外は実施例1と同様にしてめっきを行ない耐
食性試験片を得た。
このものについてCASS試験を行なったが、160時間経過
後も実施例1と同様優れた光沢、外観を維持していた。
後も実施例1と同様優れた光沢、外観を維持していた。
実施例 6 Ni−Co合金めっきを下記組成浴によるNi−Mn合金めっき
に変える以外は実施例1と同様にしてめっきを行ない耐
食性試験片を得た。
に変える以外は実施例1と同様にしてめっきを行ない耐
食性試験片を得た。
このものについてCASS試験を行なったが、160時間経過
後も実施例1と同様優れた光沢、外観を維持していた。
後も実施例1と同様優れた光沢、外観を維持していた。
比較例 1 実施例1と同様に銅めっきをほどこしたテスト片に半光
沢ニッケルめっき(12μm)、光沢ニッケルめっき(13
μm)およびクロムめっき(0.5μm)を順次ほどこ
し、耐食性試験片を得た。
沢ニッケルめっき(12μm)、光沢ニッケルめっき(13
μm)およびクロムめっき(0.5μm)を順次ほどこ
し、耐食性試験片を得た。
このものについてCASS試験を行なったところ、80時間経
過後にはすでに好ましくない腐食ピットが発生した。ま
た、素材腐食は生じないものの、光沢、外観が著しく損
なわれた。
過後にはすでに好ましくない腐食ピットが発生した。ま
た、素材腐食は生じないものの、光沢、外観が著しく損
なわれた。
比較例 2 Ni−Co合金めっきを第9表に示すトリニッケルめっきに
変える以外は実施例1と同様にして耐食性試験片を得
た。
変える以外は実施例1と同様にして耐食性試験片を得
た。
このものは、CASS試験80時間経過後において既に腐食フ
クレを生じ、光沢、外観が著しく損なわれた。
クレを生じ、光沢、外観が著しく損なわれた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−100283(JP,A) 特開 昭56−81695(JP,A) 特開 昭55−50488(JP,A) 日本めっき技術研究編「現場技術者のた めの実用めっき」(昭53−9−25)槇書店 P.254−261
Claims (4)
- 【請求項1】被めっき物上に、 (1)半光沢ニッケルめっきおよび二重ニッケルめっき
から選ばれる下地ニッケルめっき、 (2)ニッケルと、腐食電位列においてニッケルより卑
な電位を有する金属とのニッケル合金めっき、 (3)光沢ニッケルめっき、光沢ニッケル−マイクロポ
ーラスニッケルめっきおよび光沢ニッケルめっき−マイ
クロクラックニッケルめっきから選ばれる仕上げニッケ
ルめっき を順次施すことを特徴とする高耐食ニッケルめっき方
法。 - 【請求項2】ニッケル合金めっき層が、下地ニッケルめ
っき層および仕上げニッケルめっき層のいずれよりも薄
い膜厚のものである請求項第1項記載の高耐食ニッケル
めっき方法。 - 【請求項3】ニッケル合金めっきにより形成される合金
めっき被膜の電位が、光沢ニッケルめっき被膜電位より
0〜50mV卑である請求項第1項記載の高耐食ニッケルめ
っき方法。 - 【請求項4】ニッケル合金めっきが、ニッケルとコバル
ト、鉄、亜鉛またはマンガンから選ばれる金属の一種以
上とからなる合金めっきである請求項第1項ないし第3
項の何れかの項記載の高耐食ニッケルめっき方法。
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