JP4911622B2 - マイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法 - Google Patents

マイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法 Download PDF

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Description

本発明は、めっき製品に微細な穴が均一に分散したマイクロポーラスめっき技術に係り、特にマイクロポーラスめっきに関わる腐食、シミ、暈け等の不具合を防止する効果があり、更にフラッシュめっきの電位管理により耐食性の良好な外観を得ることができ、そのめっき液を容易に維持管理することができるマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法に関する。
一般に高耐食性クロムめっきといわれているめっき方法は、図4の工程図と図5の断面図に示すように、銅めっきなどの下地めっき、または金属素材(stめっき)上に、二層ニッケルめっき(半光沢ニッケルめっき+光沢ニッケルめっき)や三層ニッケルめっき(半光沢ニッケルめっき+トリニッケルめっき+光沢ニッケルめっき)を行い、更に主に不溶性珪酸塩微粒子等の不導体粉体を分散させためっき液を用いて、不導体粉体を共析めっきし、最上層にクロムめっきを施すことでマイクロポーラスめっき(微孔クロムめっき)を得るめっき方法である。
このマイクロポーラスめっきは、最表面の非常にさびにくいめっきにわざと無めっき状態の微孔欠陥を作ることにより、腐食電流を分散させて局部的な腐食進行を遅延させる技術である。例えば、完全に無欠陥なクロムめっきを施して、様々な使用状況下あって長期にわたり無欠陥であり続けることは事実上不可能である。必ず無秩序な欠陥が発生する。この無秩序な欠陥は、まわり非常に錆びにくいクロムめっきに囲まれているので、腐食が集中する。そこで、マイクロポーラスめっきのように、制御された小さい微孔欠陥は、表面全体をくまなく覆っているため、腐食はすべての欠陥から進行することとなり、1つ1つの欠陥の腐食はごく小さいものとすることができる。即ち、めっき製品の耐食性を向上させることができる。
このマイクロポーラスめっきの電位はめっき膜の耐食性の観点から、下地の光沢ニッケルめっきの電位よりも貴であることが望ましいとされている。
光沢ニッケルめっきの耐腐食性能を向上させる技術が種々提案されている。例えば特許文献1の特開平5−230699号公報「シールNiと光沢Niを同じめっき槽で施すめっき方法」のように、光沢ニッケルめっきで付加電流密度を変えて、電位差を光沢ニッケルめっき1層で電位差を得る方法が提案されている。
特開平5−230699号公報
しかし、このマイクロポーラスめっきを実施するニッケルめっき液には、不導体微粒子(粉体)が含まれているため、このめっき液の連続濾過できなかった。他のめっき液のように濾過器において活性炭プレコートや活性炭フィルターを使っても、このめっき液を連続的に浄化することができなかった。また、このめっき液には、光沢剤以外にこの不導体微粒子をめっき液に分散させるための添加剤や、微粒子にプラス電荷を与える添加剤等も添加する必要があり、めっき製品のシミや暈けといった不具合になる要因を増加させるという問題を有していた。
めっき液に微粒子量が多く含まれているとめっき品の光沢感が減少しやすくなる。めっき製品の一部や全面が半光沢になり、全体的に光沢斑が発生しやすかった。不導体微粒子も光沢剤の分解物を蓄積したり、凝集してめっき不良を増加させる要因となるので定期的に微粒子を濾過して除去交換する必要がある。
めっき液を維持管理する際に、めっき液に微粒子が含まれていると、めっき液の定期浄化処理(活性炭処理)の障害となりやすかった。即ち、不導体粒子が濾過フィルターを詰らせることがあった。めっき液の常時液浄化ができないので、めっき液中の光沢剤分解物が蓄積し、光沢ニッケルめっきより貴な電位を維持するために定期浄化頻度(回数)を他のめっき液槽より増やす必要があるという問題を有していた。
また、特許文献1の「シールNiと光沢Niを同じめっき槽で施すめっき方法」は、光沢ニッケルめっきの耐腐食性能を上げようとする方法であるが、マイクロポーラスニッケルめっきとの電位差を維持することが困難であるという問題を有していた。
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、マイクロポーラスめっきと最上層の仕上めっきとの問に、更に別個のめっき槽におけるめっき液でめっき処理を施すことで、マイクロポーラスめっきに生じるシミや暈けといっためっきに関わる不具合を防止し、めっきの耐食性を向上させ、更にめっき液の連続濾過が可能になり、このめっき液を容易に維持管理できると共に、電位も容易に維持管理できるマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法を提供することにある。
本発明、樹脂成形品又は金属製品の被めっき素材に、ニッケルめっき工程(S5)によりニッケルめっき層を形成し、前記ニッケルめっき層に、マイクロポーラスめっき工程(S7)によりマイクロポーラスめっき層を形成し、前記マイクロポーラスめっき層に、共析した微粒子部分が埋まらない程度の厚みになるように、フラッシュめっき工程(S8)によりフラッシュめっき層を形成し、前記フラッシュめっき層に、仕上めっき工程(S10)により仕上めっき層を形成し、前記フラッシュめっき工程(S8)では、前記マイクロポーラスめっき工程(S7)で使用しためっき液とは別個に準備した、パウダー分、パウダー分散剤又はプラス電荷付与剤を含有しないめっき液を使用してめっき処理を施す、ことを特徴とする。
例えば、前記仕上めっき工程(S10)による仕上めっき層は、クロムめっき、錫めっき又はニッケル合金めっきの外観色めっきである。
前記フラッシュめっき工程(S8)によるフラッシュめっき層の膜厚が0.1〜0.5μmになるようにめっき処理を施すことが好ましい。
前記ニッケルめっき工程(S)は二層又は三層の複数層のニッケルめっきである。
前記被めっき素材が樹脂成形品のときには、該被めっき素材上に、化学めっきを施し、この上にstめっき(金属素材めっき)を施し、この上に銅めっきを施す。
上述したように、本発明の方法では、マイクロポーラスめっき工程(S7)における不導体微粒子を含むめっき液で微粒子をめっきに共析させた後に、マイクロポーラスめっき工程(S7)において使用しためっき液(めっき槽)とは別個に、フラッシュめっき工程(S8)における微粒子を含まない同種のめっき液(めっき槽)に投入することにより、過剰に付着した不導体微粒子は、このフラッシュめっき工程(S8)におけるめっき液に持ち込まれるが、このめっき液(めっき槽)は常時濾過(活性炭濾過を含む)ができるため、持ち込まれる少量の不導体微粒子は濾過によって取り除かれる。また、光沢剤分解物も常時一定量の取り除きが可能になる。そこで、このフラッシュめっき工程(S8)におけるめっき液は、微粒子量が少量であるため、めっき製品の光沢感は減少せず、めっき製品全体に光沢斑が発生することもない。
また、フラッシュめっき工程(S8)におけるめっき液は、ニッケルめっき組成に限らず、めっき膜の耐食性を向上するためのあらゆる組成のめっき膜をクロムめっきの下地として使用することができる。そこで、例えば寒冷地における凍結防止剤(融雪塩)や海岸の塩成分が付着した自動車部品などのような過酷な腐食環境に耐え得るめっき製品を提供することが可能となる。最上層の仕上めっき層を形成する仕上めっき工程(S10)の前に加えたフラッシュめっき工程(S8)では、マイクロポーラスニッケルめっき工程(S7)で使用しためっき液とは別個に準備した、微粒子の添加剤を含有しないめっき液を使用するため、光沢ニッケルめっきより貴な電位を維持することができる。光沢剤や光沢剤分解物が吸着しておきる流れ、シミ不良を抑制することができ、めっき製品の耐食性を向上させる。
フラッシュめっき工程(S8)では微粒子を含有しないめっき液の連続濾過が可能となり、マイクロポーラスニッケルめっき工程(S7)からフラッシュめっき工程(S8)に持ち込まれた微粒子や光沢剤分解物は常時濾過により取り除かれるため、フラッシュめっきの電位を容易に維持することができ、シミ不良の発生を抑制することができる。また、粉成分に光沢剤や光沢剤分解物が吸着しておきる流れ、シミ不良も抑制することができる。
本発明のマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法は、マイクロポーラスニッケルめっきと最上層の仕上めっきとの問に、もう一層のフラッシュめっきを追加することによってマイクロポーラスニッケルめっきに関わる不具合を防止し、更にめっきの耐食性を向上させることができるめっき方法である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は実施例1のマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法を示す工程図である。図2は実施例1のマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法によるめっき製品のめっき被膜の拡大断面図である。
本発明の実施例1のマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法は、図1の左側の工程図に示すように、被めっき素材が樹脂成形品のときは、先ず、この樹脂成形品に、エッチング処理S1、エッチング中和処理S2、触媒付与処理S3及び導電化処理S4の各処理を施す。いわゆる前処理が必要である。
なお、被めっき素材が金属成形品のときは、このような前処理は不要である。
次に、樹脂成形品に電気めっきを施すために、図1の工程図に示すように、下地めっきとして化学めっき処理し、この上に金属素材めっき(stめっき)処理し、この上に銅めっき処理を行う。次に、二層ニッケルめっき(半光沢ニッケルめっき+光沢ニッケルめっき)又は三層ニッケルめっき(半光沢ニッケルめっき+トリニッケルめっき+光沢ニッケルめっき)のニッケルめっきS5を行う(図2の図示例は三層ニッケルめっきである)。その水洗処理S6の後に、更にマイクロポーラスめっき工程S7により、主に珪酸塩微粒子等の不導体粉体を分散させためっき液を用いて、不導体粉体を共析めっきし、最上層の仕上めっき層にクロムめっきを施す。
このニッケルめっきS5の電位はめっき膜の耐食性の観点から、下地の光沢ニッケルめっきS5の電位よりも貴であることが望ましい。
本発明では、従来の最上層の仕上めっき層を形成する仕上めっき工程S10の前に、マイクロポーラスめっき層に、フラッシュめっき工程S8によりフラッシュめっき層を形成する。図示例では、フラッシュニッケルめっき層を形成している。このフラッシュめっき工程S8の後に水洗処理S9してから仕上めっき工程S10に行く。その後、水洗処理S11してから乾燥処理S12してめっきが終了する。
最上層の仕上めっき層としては、クロムめっきいわゆる外観色めっき処理を施す。このクロムめっきに代えて、錫めっき又はニッケル合金めっきを施すことも可能である。
フラッシュめっき工程S8では、マイクロポーラスめっき工程S7において共析した微粒子部分が埋まらない程度の厚みにめっきをする。後述する表3に示すように、このフラッシュめっき層の膜厚が0.1〜1.0μmになるようにめっき処理を施すことが好ましい。特に、0.1〜0.5μmが適していた。これ以上の例えば1.5μm以上の膜厚にすると微孔数が極端に減少し、マイクロポーラスめっきとしての機能を発揮することができなくなるからである。
フラッシュめっき工程S8では、マイクロポーラスめっき工程S7で使用しためっき液とは別個に準備した、パウダー分、パウダー分散剤又はプラス電荷付与剤の成分を含有しないめっき液を使用してめっきを施す。
次に、本発明の不具合防止方法の具体的なめっき方法を説明する。この不具合防止方法のめっき浴に用いるめっき液の一例を表1に示す。このときは勿論電位管理が必要である。
本発明のめっき処理に用いためっき液の基本組成は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸を主成分とするワット浴組成に準じる。他のニッケルめっき浴も基本的にワット浴組成であるが、前工程のめっき浴のくみ込みやめっき浴の特性を考慮して多少管理濃度を変えた。
半光沢ニッケルめっき(SB−Ni)は、ニッケルめっき浴の中では最も電位が高く、耐食性の良いめっきである。即ち、めっき膜に共析する硫黄成分が低いめっきである。反面、引っ張り応力が最も高いので、光沢剤の過剰添加や光沢剤分解物の蓄積はめっきクラック(割れ)の要因になるので管理には十分注意が必要である。
半光沢ニッケルめっきは、その名の通り高電部には光沢が得られず、低電部の半分だけに光沢感があるめっきが得られた。レベリング作用、即ち素地の微視的な凹凸や、研磨の条こんなどを平滑化するめっき浴の能力は、ニッケルめっき浴の中で最も良いが、光沢硫酸銅には及ばなかった。
レベラー比率が高く、強烈なレベラーを使用しているので成膜されためっき膜の活性度が高くニッケルシミ不良(もやのようなシミ)の要因となった。即ち、めっき又はめっき後の仕上げた表面上に斑点や汚点が、時間画が経過してから遅れて出現する原因となった。めっき後の空中製品移動時に製品が乾燥しないように、素早く次工程に水没させる必要があった。浴温や気温、水洗水温度にも依存する。ピット防止剤で水切りと乾きを改善することも有効であった。
強烈なレベラーには糸状の白カビが生じやすいので、水洗も含めたカビ対策が必要である。Butine−diol系誘導体に、糸状のカビが発生しやすかった。
[高耐食性ニッケルめっきおよびクロムめっき]
めっき製品の耐食性を向上する目的で、半光沢ニッケルめっきを先ず銅めっきの上へ付け、更にその上に光沢ニッケルめっきを行う(WNiめっき法)等、多層ニッケルめっきを行った。ニッケルめっき膜中に混入する硫黄成分や酸素、炭素などによってニッケルめっき膜の腐食電位・耐食性が変化することを利用し、犠牲防食によって腐食の進行がめっき膜深部へ及ばないように考慮しためっき膜構成にしている。
現在は、上記の二層ニッケルめっき及び三層ニッケルめっきが行われ、さらに後述のMPNi(ジュールニッケル、シールニッケル)やポストニッケルストライクめっき(PNS)を1.0〜2.0μmめっきした上にクロムめっきを0.15〜0.5μmめっきして得られるマイクロポーラスクロムめっきやマイクロクラッククロムめっきを施し、装飾クロムめっきの耐食性を向上させる方法を利用することができる。
従来の三層ニッケルめっきは半光沢ニッケルめっきと光沢ニッケルめっきの間に三層ニッケルめっきというS含有量が最も多く、最も電位の低いめっきを1.0〜2.0μm程度めっきすることで更に耐食性を向上させることができる。
図3はニッケルめっきの腐食の進行状態の説明図であり、(a)は単層ニッケルめっき、(b)は二層ニッケルめっき、(c)は三層ニッケルめっきである。
以下に単層ニッケルめっき(シングルニッケルめっき)(図3(a)参照)、二層ニッケルめっき(二重ニッケルめっき)(図3(b)参照)、及び三層ニッケルめっき(三重ニッケルめっき)(図3(c)参照)との腐食の進行の違いについては電位差が正常であれば下図のようになる。図3に示すめっき製品は、すべてマイクロポーラスクロム仕上げによるものである。
クロムに開いた微孔やマイクロクラックなどのニッケルめっき露出部分から腐食が始まり銅まで腐食が進んで銅の青錆が出た時を錆と判定する(青錆判定)。ニッケルの腐食によるクロムの脱落は、サーフィピットとして判定する(白錆判定)。この青錆判定と白錆判定の2種類の腐食判定方法が明確に分けられていない自動車メーカーもあり、メーカーごとに判定に差があるので注意が必要である。
単層ニッケルの場合、ニッケルの腐食は一気に銅まで到達する。二層ニッケルの場合、腐食が半光沢ニッケル層に達したとき光沢ニッケル層と半光沢ニッケル層との電位差により、半光沢ニッケル層は電気防食され、光沢ニッケル層がある程度腐食するまで半光沢ニッケル層の腐食は抑制される。その結果、銅錆発生までの時間は単層ニッケルめっき品より延びる。即ち、耐食性が向上する。
更に、三層ニッケルでは光沢ニッケル層の腐食が三層ニッケル層に到達したとき、光沢ニッケル層と三層ニッケル層との電位差により光沢ニッケル層が電気防食され、三層ニッケル層が先に腐食される。三層ニッケル層の腐食が半光沢ニッケル層に達したとき、三層ニッケル層と半光沢ニッケル層との間に電位差が生じるが、光沢ニッケル層と半光沢ニッケル層との電位差(二層ニッケルの場合)より電位差が大きいため、半光沢ニッケル層の電気防食効果は二層ニッケルの場合より優れている。
三層ニッケルは光沢ニッケルと一体となってアノード的挙動を示すため、三層ニッケルのみトンネル状に腐食して抜けることはない。三層ニッケルと光沢ニッケルめっきとの電位差は最近10〜20mVとあまり電位差を付けすぎない管理がされている。なお、三層ニッケル/光沢ニッケル間は密着不良を起こしやすいので、水洗はしないで光沢ニッケルめっき槽へ投入する。
多層ニッケルめっきの腐食時の挙動であるが、ここに生じる電位はニッケルに含まれるS分及び不純物に影響を受ける。半光沢ニッケルめっきの前工程は銅めっきであり、銅イオンの蓄積などが考えられる。光沢剤の分解生成物の蓄積もある。
めっき浴の管理、特に光沢剤の管理が重要である。電位差が大きすぎるのも腐食を早める。特に光沢Ni/半光沢Ni電位に注意する。表面のめっき面に生成される巨視的な穴、いわゆるサーファイス・ピットが発生しやすい。
電位列順は、SBNi>MPNi>BrNi>TrNiになる。
めっき製品でNi電位差を測定すると、ラインで使用しているめっき液状態の相対的な電位差しか測定できない。またマイクロポーラスニッケルめっきの膜厚が薄すぎるため正確な数値がつかみにくい。新たなめっき液の半光沢ニッケルめっき液をベースにして、ハルセル板、いわゆる種々の電流密度における電極表面の状況を観察する特殊な形の電解槽へ各ニッケルめっきを重ねためっきを行なって比較管理をすることが望ましい。
半光沢ニッケルめっきにはレベリング性、内部応力(めっき応力)ができるだけ小さいこと、Sを含まないこと、即ち電位が高いことが求められる。
[本発明の方法によるめっきの適正膜厚の確認]
本発明の不具合防止方法を実施するにあたり、マイクロポーラスめっき(微孔ニッケル)めっきで得られる程度の微孔数が確保される必要がある。従って、本発明の不具合防止方法によるマイクロポーラスめっきの適正な膜厚、即ち微孔数の減少が最低限に抑制できる膜厚の確認が必要であり、その確認試験を行なった。
[試験方法]
銅めっきからマイクロポーラスニッケルめっきまで行なっためっき製品の上にフラッシュめっきの膜厚を0.1μm〜2μmまで0.5μm単位で変化させて最上層のクロムめっきを0.3μmめっきしためっき製品を使ってフラッシュめっき膜厚の増加とポアー数(微孔数)の減少の関連性を測定した。
なお、フラッシュめっきには、ワット浴にマイクロポーラスニッケル用の光沢剤を標準量添加しためっき液を使用した。浴温は50℃ 3A/dImでめっき時間:0sec〜3min40secまで変化させた。
また、マイクロポーラスニッケルめっきは標準濃度のめっき液を用い、50℃/2min3A/dmの条件でめっきした。めっき膜厚と微孔数の関係を表3に示す。
[実施例と評価]
電気銅めっきは20μm、半光沢ニッケルめっきは12μm、光沢ニッケルは7μmとし、その上にマイクロポーラスニッケルめっき50℃/2min 3A/dmの条件でめっきした製品にフラッシュめっきを0.5μmめっきし、クロムめっき0.3μmめっきした製品をつくり、マイクロポーラスニッケルめっきの有無でめっき品の耐食性がどのように違うかを評価した。
本発明のフラッシュめっき処理を実施しないめっき品は、マイクロポーラスめっきの時間をフラッシュめっき分延長し、マイクロポーラスめっき+フラッシュめっきの製品とめっき膜厚が同じになるように調整した。
フラッシュめっきには、ワット浴ベースのニッケルめっき液にマイクロポーラスニッケルめっき用の光沢剤を標準量添加した液を使用した。
耐食性評価は、キャス試験(CASStest (Copper Accelerated Acetic Acid Salt Spray test))80時間実施後、レイティングNo.とサーフィスピットNo.で腐食を評価した。即ち、銅塩の添加で腐食作用を促進した酢酸酸性の塩水を噴霧し、皮膜の耐食性を調べた。
マイクロポーラスニッケルめっきに関わる不具合(主にシミ不良)については、マイクロポーラスニッケルめっき液中の2次系光沢剤量を薬品管理範囲より多く添加(1次系光沢剤標準量10ml/L 試験品15ml/L+ 二次系光沢剤標準3ml/L試験品5ml/L)してシミ不良が出やすい状況下で、不良率に違いがあるかを検証した。耐食性の評価を比較した結果を表2に示し、不良率変化確認試験を表3に示す。
微孔数(個/cm)はフラッシュめっきが、0.5μmでは製品垂直面では変化しなかった。製品で10°受け面では、微孔ニッケルめっき上に微粒子が残留しやすいので、フラッシュめっきが、0.5μmでは逆に増加した。
1.0μmめっきすると、製品垂直面では1/3に微孔数は減少した。10°受け面でも2/3に減少した。
下地の微孔ニッケルの微孔数を30、000(個/cm)確保すれば、フラッシュめっき膜厚を1.0μm(微孔ニッケルめっき1.0μm時)までめっきしても、最終めっき微孔数を10、000(個/cm)以上確保できることを確認した。表3に示したように、フラッシュめっきのめっき膜厚使用範囲は、1.0μm以下、好ましくは0.5μmとすることが望ましい。仕上めっき層の膜厚は0.1〜0.5μmが適していた。なお、1.5μm以上の膜厚にすると微孔数が極端に減少した。これは、マイクロポーラスめっきとしての機能を発揮できないことを意味している。
今回のキャス試験による耐食性評価では、耐食性に差は見られなかった。但し、マイクロポーラスめっき工程S7のめっき液が老化液である場合は、わずかに耐食性に差が見られた。
なお、本発明は上述した発明の実施の形態に限定されず、マイクロポーラスめっきと最上層の仕上めっきとの問に、更に別個のめっき槽におけるめっき液でめっき処理を施すことで、マイクロポーラスめっきに生じるシミや暈けといっためっきに関わる不具合を防止し、めっきの耐食性を向上させ、更にめっき液の連続濾過が可能になり、このめっき液を容易に維持管理できると共に、電位も容易に維持管理できるめっき方法であれば、図示したような方法に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
本発明のマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法は、樹脂成型品に適しているが、金属成型品についても利用することができる。
実施例1のマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法を示す工程図である。 実施例1のマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法によるめっき製品のめっき被膜の拡大断面図である。 ニッケルめっきの腐食の進行状態の説明図であり、(a)は単層ニッケルめっき、(b)は二層ニッケルめっき、(c)は三層ニッケルめっきである。 従来のマイクロポーラスめっき方法を示す工程図である。 従来のマイクロポーラスめっき方法によるめっき製品のめっき被膜の拡大断面図である。
S5 ニッケルめっき工程
S7 マイクロポーラスめっき工程
S8 フラッシュめっき工程
S9 仕上めっき工程

Claims (5)

  1. 樹脂成形品又は金属製品の被めっき素材に、ニッケルめっき工程(S5)によりニッケルめっき層を形成し、
    前記ニッケルめっき層に、マイクロポーラスめっき工程(S7)によりマイクロポーラスめっき層を形成し、
    前記マイクロポーラスめっき層に、共析した微粒子部分が埋まらない程度の厚みになるように、フラッシュめっき工程(S8)によりフラッシュめっき層を形成し、
    前記フラッシュめっき層に、仕上めっき工程(S10)により仕上めっき層を形成し、
    前記フラッシュめっき工程(S8)では、前記マイクロポーラスめっき工程(S7)で使用しためっき液とは別個に準備した、パウダー分、パウダー分散剤又はプラス電荷付与剤を含有しないめっき液を使用してめっき処理を施す、ことを特徴とする請求項1のマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法。
  2. 前記仕上めっき工程(S10)による仕上めっき層は、クロムめっき、錫めっき又はニッケル合金めっきの外観色めっきである、ことを特徴とする請求項1のマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法。
  3. 前記フラッシュめっき工程(S8)によるフラッシュめっき層の膜厚が0.1〜0.5μmになるようにめっき処理を施す、ことを特徴とする請求項のマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法。
  4. 前記ニッケルめっき工程(S5)は二層又は三層の複数層のニッケルめっきである、ことを特徴とする請求項1のマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法。
  5. 前記被めっき素材が樹脂成形品のときには、
    該被めっき素材上に、化学めっきを施し、この上にstめっき(金属素材めっき)を施し、この上に銅めっきを施す、ことを特徴とする請求項1のマイクロポーラスめっきに関わる不具合防止方法。
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