JPH07108874B2 - 2,4−ジクロル−3−メチル−6−タ−シャリ−ブチルフェノ−ルの製造方法 - Google Patents

2,4−ジクロル−3−メチル−6−タ−シャリ−ブチルフェノ−ルの製造方法

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JPH07108874B2
JPH07108874B2 JP62155995A JP15599587A JPH07108874B2 JP H07108874 B2 JPH07108874 B2 JP H07108874B2 JP 62155995 A JP62155995 A JP 62155995A JP 15599587 A JP15599587 A JP 15599587A JP H07108874 B2 JPH07108874 B2 JP H07108874B2
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真三郎 正木
融 徳丸
健夫 藤井
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住友化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、2,4−ジクロル−3−メチル−6−ターシャ
リーブチルフェノールの新しい製造法に関するものであ
る。2,4−ジクロル−3−メチル−6−ターシャリーブ
チルフェノールを脱ターシャリーブチル化することによ
って得られる2,4−ジクロル−3−メチルフェノール
は、農薬、写真剤等の原料として有用なものである。
〈従来の技術及びその問題点〉 一般に2,4−ジクロル−3−メチルフェノールの合成
は、例えば特公昭42-13858号では2,3,6−トリクロルト
ルエンとメタノールの反応により、2,4−ジクロル−3
−メチルフェノールを得ているが、収率が低く、しかも
大量の苛性ソーダを使用せねばならず工業的に不利であ
る。
又、J.Am.Chem.Soc57,2176(1935)にはm−クレゾール
をスルホン化し、次いでニトロベンゼン溶媒中で塩素ガ
スによりクロル化した後、スルホン基を加水分解して2
−クロル−3−メチルフェノール、2,6−ジクロル−3
−メチルフェノールなどの異性体と共に2,4−ジクロル
−3−メチルフェノールを得る方法が記述されている
が、この方法の工業的実施には、スルホン化、加水分解
という厄介なプロセスを必要とする上、異性体を分離し
なければならないという困難な問題がある。
又、特公昭61-60056号では3−メチル−6−ターシャリ
ーブチルフェノールを出発原料として2,4−ジクロル−
3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノールを合成
した後、脱ターシャリブチル化して2,4−ジクロル−3
−メチルフェノールを得ているが、原料の3−メチル−
6−ターシャリーブチルフェノールは、一般的には3−
メチル−4,6−ジターシャリーブチルフェノールを部分
的に脱アルキル化した後、精留等の分離手段によって得
るため、工業的には煩雑な工程を行わねばならないとい
う不利がある。
更にJ.Am.Chem.Soc76,4977(1954)には3−メチル−4,
6−ジターシャリーブチルフェノールを塩素化すると、
最初に2−クロル−3−メチル−4,6−ジターシャリー
ブチルフェノールが得られ、更に塩素化すると2,4−ジ
クロル−3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノー
ルと新規化合物である2,4−ジクロル−3−メチル−4,6
−ジターシャリーブチル2,5−シクロヘキサジエン
(A)が得られるとの記載がある。
しかしながら、本発明者等が上記記述を追試するべく、
その類似化合物である2,4−ジブロム−3−メチル−6
−ターシャリーブチルフェノールの合成について具体的
に記載された方法(同文献第4978頁、右欄下から12行〜
同第4979頁左欄第7行目)に準じて、目的とする2,4−
ジクロル−3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノ
ールを合成したところ、同文献の当初に記載の通り、新
規化合物(A)が相当量生成し、目的とする2,4−ジク
ロル−3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール
の収率は、約30%にとどまった。
本発明者らは、上記実情に鑑み、1,3−メチル−4,6−ジ
ターシャリーブチルフェノールを出発原料とし、高収率
で目的とする2,4−ジクロル−3−メチル−6−ターシ
ャリーブチルフェノールを選択的に製造する方法につい
て、鋭意研究・検討を重ねた結果、本発明を完成するに
至ったのである。
〈問題を解決するための手段〉 本発明は、3−メチル−4,6−ジターシャリーブチルフ
ェノールに、好ましくは10〜50℃の温度範囲で、有機溶
媒中、鉄系触媒の存在下、塩素ガスを作用させることを
特徴とする2,4−ジクロル−3−メチル−6−ターシャ
リーブチルフェノールの製造方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
原料の3−メチル−4,6−ジターシャリーブチルフェノ
ールは公知の方法で製造される。たとえば、3−メチル
フェノールを硫酸等の酸性触媒の存在下、イソブチレン
との反応により容易に得ることができる。
本発明の方法の特徴は、特定の反応試剤と触媒の組合せ
を選択することにより、目的物を選択的に効率よく製造
することである。
本発明の方法において、塩素化は塩素ガスを用いること
によって行うことが重要であり、かつこの塩素化は通常
10〜50℃の温度範囲、好ましくは15〜40℃の温度範囲で
行われる。すなわち、反応を50℃以上で実施すると2,4,
6−トリクロル−3−メチルフェノールが多量に副生す
る傾向を示し、目的物の収率を下げるだけでなく、目的
物からの分離が困難な為、純度の低下、品質の悪化を招
く傾向を示す。
一方、10℃以下で実施することもできるが、この場合反
応が遅くなるだけでなく、新規化合物(A)が生成し、
目的物の収率、純度が低くなる傾向を示す。
本発明の方法において、原料の3−メチル−4,6−ジタ
ーシャリーブチルフェノールの融点が約60〜62℃である
ので、反応は有機溶媒の存在下で行われるのが好まし
い。ここで使用する有機溶媒としては、塩素化反応で用
いられる一般的な溶媒が用いられる。
具体的には、クロロホルム,四塩化炭素,ジクロルエタ
ン,テトラクロルエチレン,塩化メチレンもしくはトリ
クロルエチレン等のハロゲン化炭化水素,ニトロベンゼ
ンまたはモノクロルベンゼンなどである。
ここで溶媒の使用量は、原料3−メチル−4,6−ジター
シャリーブチルフェノールの0.5〜10倍量、より好まし
くは1〜5倍量である。必要以上の使用は容積効率等か
ら考え、工業的でない。
本発明の方法において、最も重要な点は、塩素ガスの作
用を鉄系の触媒の存在下に行うことである。
本発明に用いられる鉄系の触媒としては鉄、塩化鉄、硫
酸鉄などが挙げられ、これらの中でも鉄もしくは鉄粉が
特に好適である。
該触媒の使用量は、原料3−メチル−4,6−ジターシャ
リーブチルフェノール1モル当り0.001〜0.2モル、好ま
しくは0.005〜0.05モル、更に好ましくは0.01〜0.03モ
ルである。
本発明の方法における反応時間は特に限定的ではなく、
1〜20時間と許容範囲は広い。
本発明の方法において、塩素化剤として、塩素ガスを用
いることが重要である。
この塩素化における塩素ガスの使用量は、理論量の若干
過剰、たとえば理論量の1.03〜1.5倍程度にしておけば
未反応の3−メチル−4,6−ジターシャリーブチルフェ
ノール、2−クロル−3−メチル4,6−ジターシャリー
ブチルフェノールの残存は見られない。反応終了後は、
通常の塩素化の後処理方法、すなわち、窒素ガスを通す
ことにより塩素を除去したり、あるいは亜硫酸ソーダ等
の水溶液で洗浄した後、溶媒を除去し、残分として目的
とする2,4−ジクロル−3−メチル−6−ターシャリー
ブチルフェノールを高純度、高収率で得ることができ
る。
本発明の反応様式は実施例に記載のものだけに限定され
るものではなく、常圧・加圧の回分式、連続式いずれで
も実施可能であることは言うまでもない。
〈発明の効果〉 本発明によれば、3−メチル−4,6−ジターシャリーブ
チルフェノールを原料として、高収率かつ高純度で、目
的とする2,4−ジクロル−3−メチル−6−ターシャリ
ーブチルフェノールを工業的に有利に製造することがで
きる。
〈実施例〉 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本
発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定され
るものではない。
尚、実施例中の部及び%はそれぞれ重量部または重量%
を意味する。
実施例1 3−メチル−4,6−ジターシャリーブチルフェノール110
部(純度95%)と、四塩化炭素380部をフラスコに加
え、更に鉄粉0.7部を加えた後、攪拌下温度28〜32℃に
加温し、塩素ガス74部を5時間で吸込む。反応後、窒素
ガスを通じて溶存する未反応の塩素ガスを除去する。四
塩化炭素を留去後、得られた反応液の組成はガスクロマ
トグラフィーで分析の結果、2,4−ジクロル−3−メチ
ル−6−ターシャリーブチルフェノールの含量89%、収
率93mol%であった。
実施例2〜5 実施例1の四塩化炭素の代わりに、下記溶媒を用い、同
条件で反応させて下記純度、収率で2,4−ジクロル−3
−メチル−6−ターシャリーブチルフェノールを得た。
実施例6 3−メチル−4,6−ジターシャリーブチルフェノール120
部(純度92%)とジクロルエタン600部をフラスコに加
え、更に無水塩化第二鉄1.0部を加えた後、攪拌下30〜3
5℃で塩素ガス88部を6時間で吹込んだ。反応後、窒素
ガスを通じて溶存する塩素および塩化水素を除去する。
ジクロルエタンを留去後、得られた反応液の組成は、ガ
スクロマトグラフィーで分析の結果、2,4−ジクロル−
3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノールの含量
92%、収率94mol%であった。
実施例7〜9 実施例6のジクロルエタンの代わりに下記溶媒を用い、
同条件で反応させて、下記純度,収率で2,4−ジクロル
−3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノールを得
た。
実施例10〜12 実施例1の反応温度28〜32℃の代わりに下記温度条件下
で反応させて、下記純度,収率で2,4−ジクロル−3−
メチル−6−ターシャリーブチルフェノールを得た。
(他の条件は、実施例1と同じ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 27/128 (72)発明者 藤井 健夫 大分県大分市大字鶴崎2200番地 住友化学 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−16944(JP,A) J.Am.Chem.Soc.,76, 4977(1954)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】3−メチル−4,6−ジターシャリーブチル
    フェノールに、鉄系触媒の存在下、塩素ガスを作用させ
    ることを特徴とする2,4−ジクロル−3−メチル−6−
    ターシャリーブチルフェノールの製造方法
  2. 【請求項2】塩素ガスの作用を、10〜50℃の温度範囲で
    行う特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 【請求項3】塩素ガスの作用を、有機溶媒中で行う特許
    請求の範囲第1項又は第2項に記載の方法
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