JPH07108381B2 - 加熱装置 - Google Patents

加熱装置

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JPH07108381B2
JPH07108381B2 JP3128763A JP12876391A JPH07108381B2 JP H07108381 B2 JPH07108381 B2 JP H07108381B2 JP 3128763 A JP3128763 A JP 3128763A JP 12876391 A JP12876391 A JP 12876391A JP H07108381 B2 JPH07108381 B2 JP H07108381B2
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infrared
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infrared rays
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節男 楯
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節男 楯
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 この発明は、炉内で赤外線を照
射させ、更に反射させることで被乾燥物の塗膜を乾燥さ
せる加熱装置に係る。
【0002】
【従来の技術】 従来、各種塗料が塗布された被乾燥物
等を乾燥させる方法としては、いわゆる熱風炉、遠赤外
線利用の乾燥炉を用いた乾燥方法が知られている。これ
ら乾燥方法の乾燥メカニズムは以下のように理解されて
いる。
【0003】すなわち、まず溶剤、アクリル樹脂等の樹
脂からなる塗料を表面に塗布された金属板等からなる被
乾燥物を炉内に搬入する。次いで、熱風を吹き付けある
いは遠赤外線を照射する。すると被乾燥物に塗布された
塗料表面の溶剤がまず蒸発され、表面が流動性を失い固
形化する。熱風等の熱が内部に即ち母材側に伝播すると
加熱により塗膜の固形化が進む。すると表面より内部の
溶剤は、すでに固形化された塗膜表面を突き破って蒸発
する。すると、発泡の跡が表面に残りピンホールを生ず
る。そのため、従来の熱風炉あるいは遠赤外線利用の乾
燥炉では、急激に加熱することなくセッティングルーム
によって溶剤の発散を行った後小さな温度勾配で遠赤外
線を照射しまたは熱風を吹き付けて乾燥をおこなう。
【0004】しかしながら、従来のこれら乾燥炉を使用
した乾燥方法では発泡を生じない程度の低温を維持しな
がら乾燥させるため乾燥に時間がかかる課題を有した。
【0005】特に熱風炉と赤外線との組み合わせによる
短時間乾燥を目的とする加熱では、塗膜表面はより高温
となり、塗膜表面と塗膜との界面にあたる金属表面との
温度差が生じ発泡が生じ易い課題を有した。
【0006】他方、「近赤外線の液体、パウダ、コーテ
ィング、ストーブ」(実開平1ー151873)、「塗料焼付
炉専用の光板」(実開平2ー43217)、USP4,863,375「BA
KINGMETHOD FOR USE WITH LIQUID OR POWDER VARNISHIN
G FURNACE」(ベーキングメソッド フォー ユース
ウィズ リキッド オア パウダー ヴァーニシング
ファーニス)等が知られている。これら従来例には、
「一種近赤外線の液体、パウダ、コーティング、ストー
ブのベーキング方法」についての記載があり、「近赤外
線の快速高温と貫通力が強い特性を利用し、ストーブの
ベーキング物品の方法を改良して、ペイントを快速に乾
燥するとともにその付着力を増強する考案」、すなわち
「いわゆる液体、粉末液体の塗装どおりに、粉末液体状
態のパウダ、液体塗料、気体あるいは流体を運送媒介体
としてその物体表面に付着させて、しかるのち加熱熔融
をへて均等にコートの塗装法」についての記載がある。
【0007】あるいは、「近赤外線を使用した乾燥炉、
あるいは乾燥炉内に高温部と低温部とを順次形成して乾
燥する乾燥方法、あるいは近赤外線ランプの背後には陶
磁製反射板を設け、および陶磁製反射板の中にはヒータ
ーを設ける」旨の記載がある。
【0008】又塗装技術増刊10月号には「中波長赤外線
ラジエーター」ついての記載がある(1990年10月20日株
式会社理工出版社刊211〜213頁)。すなわち、「塗膜に
到達した放射エネルギーは、その一部は吸収され、一部
は反射し、一部は透過する。このうち吸収されたエネル
ギーが熱に変り塗膜を加熱、乾燥させる。塗装の場合は
母材、ボディがあるため塗膜を透過した放射エネルギー
が母材を加熱し、熱伝導で塗膜を内側から加熱する。
【0009】近赤外線:温度2000〜2200℃ 最大エネ
ルギー波長約1.2μm,エネルギー密度大、反射,透過エネ
ルギーが大きい,立上り速度が早い(1〜2秒),寿命が約
5000時間と短い。
【0010】中赤外線:温度850〜900℃ 最大エネル
ギー波長約2.5μm,エネルギー密度中,吸収.透過エネル
ギーがバランスしてエネルギーが塗膜内に浸透,寿命が
長い。
【0011】遠赤外線:温度500〜600℃,最大エネル
ギー波長約3.5μm,エネルギー密度小,良く吸収されるが
塗膜表面で吸収,加熱となりがち,立上り時間が長い(5
〜15分),対流損失が大きい。」とされる。
【0012】さらに、「2.最大効率の中波長赤外線
「より早く乾燥し,より良い塗膜品質を得る」には,つま
り最大効率で加熱,乾燥させるには,次の二つの条件を同
時に満足している必要がある。
【0013】赤外線ラジェターの温度が高い放射エネ
ルギーはラジェターの絶対温度(T)の4乗に比例する。
【0014】Eb∝T4
【0015】温度が高いほど放射エネルギーは大きくな
る。
【0016】最大エネルギー波長が塗料のピーク吸収
率よりいくぶん短波長よりにあること
【0017】塗料の工業用赤外線加熱で利用できる最大
ピーク波長は例外なく3μm前後にある。よって2.5μm前
後に最大エネルギー波長を持つ赤外線ラジェターが吸収
も良く,透過し,母材も加熱し内部からも加熱できる。
【0018】上記の関連,赤外線ラジェターの温度
(T)と最大エネルギー波長(λm)の関係を表す,ウィ
ーンの変位則,
【0019】λm=2897/Tより
【0020】T=(t+273)=2897/2.5
【0021】t=880℃
【0022】中波長赤外線がこの条件を満足し有効エネ
ルギーが大きく最大効率となる。」とされる。
【0023】しかしながら、実開平1ー151873、実開平2
ー43217、USP4,863,375等には、近赤外線を使用して塗
膜乾燥をおこなう旨の記載はあるが、使用される近赤外
線の性質については一般的に記載されるに止どまり金属
表面に塗布される塗膜と近赤外線との関係による照射さ
れる赤外線の最適な範囲、選択ついては記載がない。
【0024】他方、従来の塗膜乾燥に使用されていた遠
赤外線、中赤外線では、塗膜の吸収率の高い領域、即ち
塗膜の赤外線吸収率の良い領域を選択して使用していた
が、これは塗膜表面から加熱させる目的のためである。
しかしながら、塗膜の吸収率の高い赤外線を使用する
と、ピンホールの発生の課題を本質的に抱えることにな
る。そのため、発泡を生じない程度の低温を維持しなが
ら乾燥させるため乾燥に時間がかかる課題を有した。
【0025】また、先の「塗装技術増刊10月号」の記載
には、赤外線と母材の吸収率との関係に基づく赤外線の
選択、あるいはピンホールの発生原因に基づく赤外線の
選択についての記載はなく、そして塗装乾燥においては
「2.5μm前後に最大エネルギー波長を持つ赤外線ラジェ
ターが吸収も良く,透過し,母材も加熱し内部からも加熱
できる。」と結論している。
【0026】他方、発明者は近赤外線による母材表面に
塗布された塗膜の乾燥を行う過程において、塗布された
塗膜による赤外線吸収率の高い領域を選択するよりはむ
しろ塗膜の赤外線透過性の高い領域の近赤外線を選択す
ると、ピンホール発生を抑制することができることを知
見した。塗膜表面からではなく、塗膜に被覆された被塗
物において塗膜との界面に位置する母材表面を直接加熱
し、母材表面から逆に塗膜が乾燥されているため、と推
測される。
【0027】すなわち、一般に母材として金属を使用し
た場合金属は赤外線の波長が長くなるほど反射率が高く
なり、波長が短いほど金属の熱吸収率が高くなる。そし
て塗膜に関しては、近赤外線を使用して塗膜を乾燥させ
る場合は、むしろ塗膜に対して透過率の高い、即ち塗膜
の吸収率の低い近赤外線を使用して乾燥させるとピンホ
ールが形成されることなく加熱されると推測される。
【0028】そこで、先に発明者は特願平2ー3109
16「塗膜の乾燥方法」において、「母材表面に塗布さ
れた塗料の塗膜に対する赤外線透過率が高くかつ母材の
吸収率の高い領域の赤外線を使用して、母材表面に形成
された塗膜を乾燥させることを特徴とする塗膜の乾燥方
法。」を提案した。
【0029】ところで、発明者は、母材表面に塗布され
た塗料の塗膜に対する赤外線透過率が高くかつ母材の吸
収率の高い領域の赤外線は、発熱体から放射される放射
エネルギーの面密度が高く鏡面による反射光も被乾燥物
の乾燥に有効であることを知見した。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】 炉内を照射する赤外
線発生装置は、設置数を少なくし照射される赤外線はよ
り有効に利用することが望まれた。
【0031】
【課題を解決するための手段】 この発明は、このよう
な知見に基づくものであり、すなわち、
【0032】炉(11)に設置され被乾燥物(W)がそれに沿
って搬入され更に搬出される搬送路(31)と、搬送路(31)
を挟んだ炉(11)内の一方の面に設置される鏡面(32)と、
搬送路(32)を挟んで鏡面(32)とは反対面に設置され、波
長のピークが2μm以下の赤外線を発生させるとともに
被乾燥物(W)の搬送路(31)に対して垂直方向より傾けて
鏡面(32)に同赤外線を照射する赤外線発生装置(12)とか
らなることを特徴とする加熱装置、
【0033】を提供することで従来の課題を解決する。
【0034】
【作用】 被乾燥物が搬送され炉内に搬入される。する
と、被乾燥物の塗膜の形成された母材の一方の表面に、
赤外線発生装置により当該塗膜に対して赤外線透過率が
高く、母材の吸収率の高い領域の赤外線が照射される。
すると、塗膜を透過した赤外線は、被乾燥物の一方の面
の表面に塗膜を形成された母材に吸収され母材の一方の
表面が加熱される。
【0035】そのため、被乾燥物の一方の面の塗膜は、
母材表面に近い塗膜裏面から加熱され固化される。その
ため、塗膜中の溶剤が蒸発しても固化した塗膜表面を破
りピンホールを形成することはない。
【0036】ついで、被乾燥物が更に移動される。する
と、被乾燥物の他方の塗膜の形成された母材表面に、赤
外線発生装置からの照射光を鏡面で反射させた反射光に
より当該塗膜に対して赤外線透過率が高く、母材の吸収
率の高い領域の赤外線が照射される。すると、塗膜を透
過した赤外線は、被乾燥物の他方の面の表面に塗膜を形
成された母材に吸収され母材表面が加熱される。
【0037】そのため、塗膜は、母材表面に近い塗膜裏
面から加熱され固化される。そのため、塗膜中の溶剤が
蒸発しても固化した塗膜表面を破りピンホールを形成す
ることはない。
【0038】したがって、被乾燥物の移動に伴い、被乾
燥物の両面は加熱され乾燥される。
【0039】
【実施例】 塗膜を形成される母材として金属板を使用
する場合金属板としては、鉄、アルミニウム、銅、真ち
ゅう、金、ベリリウム、モリブデン、ニッケル、鉛、ロ
ジウム、銀、タンケル、アンチモン、カドミウム、クロ
ム、イリジウム、コバルト、マグネシウム、タングステ
ンそのほかの金属からなるが、とりわけ銅、アルミニウ
ム、鉄が望ましい。金属表面に塗布される塗膜を形成す
る塗料としては、アクリル系樹脂塗料、ウレタン樹脂系
塗料、エポキシ樹脂系塗料、メラミン樹脂系塗料、その
他の塗料が可能である。塗膜はいわゆる粉体塗料(エポ
キシ系、ポリエステル系、アクリル系等)を溶融させて
得られた塗膜でもよい。
【0040】表1〜表4に、各金属の各波長における反
射率を示す(AMERICAN INSTITUTE OF PHYSICS HANDBOO
K、アメリカン インスティテュート オブ フィジッ
クスハンドブック6ー120)。反射率の高いほど吸収率は
低く、反射率の低いほど吸収率は高くなる。
【0041】図1は、ブチル化尿素ーブチル化メラミン
樹脂の赤外吸収曲線である。図2は、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂の赤外吸収曲線である。図3は、MMA
ホモポリマー(アクリル系)の赤外吸収曲線である。図
4はEMAホモポリマー(アクリル系)赤外吸収曲線で
ある。図5は、不飽和ポリエステル樹脂の赤外吸収曲線
である。図6は、この実施例に使用される近赤外線ラン
プの特性曲線および比較例に使用される遠赤外線ランプ
の特性曲線を表す。近赤外線ランプのピーク波長は1.4
μm、遠赤外線ランプのピーク波長は3.5μmである。
【0042】金属板として、鉄、アルミニウム、銅、真
ちゅう、金、ベリリウム、モリブデン、ニッケル、鉛、
ロジウム、銀、タンケル、アンチモン、カドミウム、ク
ロム、イリジウム、コバルト、マグネシウム、タングス
テンからなる金属板を使用し、塗料としてアクリル系樹
脂塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、メ
ラミン樹脂系塗料を使用する場合は、波長のピークが2
μm以下の赤外線ランプ、望ましくは1.2μm〜1.5μm
のいわゆるの近赤外線ランプを使用するのが望ましい。
【0043】実施例1
【0044】近赤外線ランプ(出力ピーク1,4μm)
【0045】金属板 ボンデ鋼板(板厚1mm、寸法1
00mm×100mm)
【0046】塗料 メラミン系樹脂(関西ペイント
株式会社製アミラックNo1531、白、アルキド・メラミ
ン樹脂塗料、粘度20sec、イワタカップNK−2粘度
計)
【0047】比較例1
【0048】遠赤外線ランプ(出力ピーク3.5μm)
【0049】金属板 ボンデ鋼板(板厚1mm、寸法1
00mm×100mm)
【0050】塗料 メラミン系樹脂(関西ペイント
株式会社製アミラックNo1531、白、アルキド・メラミ
ン樹脂塗料、粘度20sec、イワタカップNK−2粘度
計)
【0051】実施例2
【0052】近赤外線ランプ(出力ピーク1,4μm)
【0053】金属板 ボンデ鋼板(板厚1mm、寸法1
00mm×100mm)
【0054】塗料 アクリル系樹脂(関西ペイント
株式会社製マジクロンNo1531、白、アクリル・メラミ
ン・エポキシ樹脂塗料、粘度20sec、イワタカップN
K−2粘度計)
【0055】比較例2
【0056】遠赤外線ランプ(出力ピーク3.5μm)
【0057】金属板 ボンデ鋼板(板厚1mm、寸法1
00mm×100mm)
【0058】塗料 アクリル系樹脂(関西ペイント
株式会社製マジクロンNo1531、白、アクリル・メラミ
ン・エポキシ樹脂塗料、粘度20sec、イワタカップN
K−2粘度計)
【0059】実施例1、実施例2、比較例1、比較例2につ
いてそれぞれの膜厚30μm、40μm、50μmについて雰
囲気温度及び照射時間が、130°C×12分、140°C×10
分、150°C×8分、160°C×6分、170°C×5分、180
°C×4分の各場合の発泡、ピンホール数を表5(実施
例1)、表6(比較例1)、表7(実施例2)、表8
(比較例2)に示す。
【0060】図11は、この発明の第1実施例にかかる
平面断面図、図12は第2実施例の平面断面図である。
11はトンネル炉、Wは母材表面に塗料を塗布された被
乾燥物である。被乾燥物Wは母材として金属板からな
り、金属板として、鉄、アルミニウム、銅、真ちゅう、
金、ベリリウム、モリブデン、ニッケル、鉛、ロジウ
ム、銀、タンタル、アンチモン、カドミウム、クロム、
イリジウム、コバルト、マグネシウム、タングステンか
らなる。被乾燥物Wの母材上には、アクリル系樹脂塗
料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、メラミ
ン樹脂系塗料の塗料が塗布される。
【0061】トンネル炉11には被乾燥物搬入口A、被
乾燥物搬出口Bの2個の開口部を有する。12は、赤外
線発生装置であり、この実施例では赤外線ランプからな
る。赤外線ランプの背面には、集光鏡を設置させてもよ
い。この実施例では、赤外線発生装置12は、波長のピ
ークが2μm以下の赤外線ランプ、望ましくは1.2μm〜
1.5μmのいわゆるの近赤外線ランプを使用する。被乾
燥物Wの母材表面に塗布された塗料の塗膜に対する赤外
線透過率が高くかつ母材の吸収率の高い領域の赤外線を
母材、塗料の種類に応じて図1〜図6、表1〜表8に基
づき選択し、炉内の必要箇所に設置する。31はコンベ
アであり、被乾燥物Wを、トンネル炉11外からトンネ
ル炉内へ、トンネル内からトンネル炉外へ搬送させる。
【0062】赤外線発生装置12は図11、図12に図
示されるように炉内の一面に設けられる。32は、反射
鏡である。反射鏡32は、被乾燥物の搬送路であるコン
ベア31を挟んだ赤外線発生装置12のトンネル炉11
内反対面に位置し赤外線発生装置の発生する赤外線の照
射面に設けられる。
【0063】つぎに、実施例の作用について説明する。
被乾燥物Wが搬送されトンネル炉内に搬入される。する
と、被乾燥物Wの一方の塗膜の形成された母材表面に、
赤外線発生装置により当該塗膜に対して赤外線透過率が
高く、母材の吸収率の高い領域の赤外線が照射される。
すると、塗膜を透過した赤外線は、被乾燥物Wの一方の
面の表面に塗膜を形成された母材に吸収され母材表面が
加熱される。
【0064】そのため、被乾燥物Wの一方の面の塗膜
は、母材表面に近い塗膜裏面から加熱され固化される。
そのため、塗膜中の溶剤が蒸発しても固化した塗膜表面
を破りピンホールを形成することはない。
【0065】ついで、被乾燥物Wが更に移動されると、
すると、被乾燥物Wの他方の塗膜の形成された母材表面
に、赤外線発生装置12からの照射光を鏡面で反射させ
た反射光により当該塗膜に対して赤外線透過率が高く、
母材の吸収率の高い領域の赤外線が照射される。する
と、塗膜を透過した赤外線は、被乾燥物Wの他方の面の
表面に塗膜を形成された母材に吸収され母材表面が加熱
される。
【0066】そのため、塗膜は、母材表面に近い塗膜裏
面から加熱され固化される。そのため、塗膜中の溶剤が
蒸発しても固化した塗膜表面を破りピンホールを形成す
ることはない。
【0067】したがって、被乾燥物Wの移動に伴い、被
乾燥物Wの両面は加熱され乾燥される。
【0068】複数の被乾燥物Wをコンベア32で搬送す
る場合は、複数の被乾燥物W相互が他方の被乾燥物Wへ
の照射を邪魔しない位置を取るような被乾燥物W相互間
隔、搬送速度で搬送させる。
【0069】図7はこの発明の第3実施例の正面断面
図、図8はこの発明の第4実施例の正面断面図、図9は
図7の一部拡大図、図10は図7の平面断面図である。
これら実施例では、図11、図12に図示される実施例
にエアカーテンを取り付け、赤外線ランプ12を順次反
射する集光鏡32を5以上設置してなる。すなわち、1
3は、エアカーテンである。エアカーテン13は、トン
ネル炉11の被乾燥物搬入口A、被乾燥物搬出口Bにそ
れぞれ設置される。14は、エアカーテンのエア吹出
口、15は同エア吸入口である。16はファン、17は
エア吹出口14、エア吸入口15を連結させる循環ダク
トである。18は、循環ダクト17のファン16よりエ
ア吹出口14側に設置されるフィルターである。21は
冷却装置である。ファン16は、エア吸入口15で吸気
された空気をエア吹出口14から吹出るようにエアを循
環させる。
【0070】22、23はモジュストロールモータ、2
4は循環ダクト17のファン16より上流側に設置され
モジュストロールモータ22により作動されるたダンパ
ー、25はモジュストロールモータ23により駆動され
るダンパー、26は排気ファン、27はエア吹出口14
に設置され温度を感知しモジュストロールモータ22、
23の作動を制御する温度調節計である。これらにより
エアカーテンを構成するとともに、冷却装置21を構成
する。
【0071】図8に図示される実施例においては、赤外
線ランプ12は、エアカーテン13設置箇所にも設置さ
れる。図9において、Bは赤外線ランプ12の有効照射
範囲である。有効照射範囲Bでは、赤外線ランプによ
り、被乾燥物Wの母材側から加熱させ、塗膜を乾燥させ
る。Aはエア吹出し範囲である。この実施例では、有効
照射範囲Bと、エア吹出範囲Aでは若干重複部分を生ず
る。
【0072】次に、実施例の作用について説明する。こ
れら実施例では、図11、図12に図示される実施例同
様に両面が順次反射される赤外線により照射される。さ
らに、発明者は、「母材表面に塗布された塗料の塗膜に
対する赤外線透過率が高くかつ母材の吸収率の高い領域
の赤外線を使用して、母材表面に形成された塗膜を乾燥
させることを特徴とする塗膜の乾燥方法。」を使用する
炉の外気への開口部に、従来のように単純循環タイプの
エアカーテンを設置し、炉で、母材に塗布された塗膜を
乾燥させると、ピンホールを多数発生することを知見し
た。
【0073】従来の熱風炉等の乾燥炉に比し、「母材表
面に塗布された塗料の塗膜に対する赤外線透過率が高く
かつ母材の吸収率の高い領域の赤外線を使用して、母材
表面に形成された塗膜を乾燥させることを特徴とする塗
膜の乾燥方法。」を使用する炉は、効率が良い。そのた
め、炉開口部からの放熱は大きくエアカーテンに供給さ
れるエアは徐々に温度は上昇され、同赤外線を照射させ
る前に炉内温度に近くまで加熱されたエアカーテンのエ
アを炉の開口部であらかじめ、被乾燥物に吹き付けると
母材側から加熱されることなく、熱風により塗膜表面側
から加熱されるため、表面乾(表面固化)を生じ、表面
に薄い隔膜が発生し、その後母材側から加熱されると表
面より内部の溶剤は、すでに固形化された隔膜表面を突
き破って蒸発する。すると、発泡の跡が表面に残りピン
ホールを生ずると推測される。すなわち、赤外線の有効
照射範囲外では、むしろ被乾燥物には赤外線照射により
加熱された空気の影響を与えないほうが有効であること
を知見した。
【0074】そこで、塗料を塗布された被乾燥物Wを、
被乾燥物搬入口Aからトンネル炉11内に搬入する。す
ると、エアカーテン13を通過し、エア吹出口14でエ
アを吹き付けられるが、エアカーテンで供給されるエア
は冷却装置21よって冷却され、温度上昇が押さえられ
ているため、エアが被乾燥物WW表面に当接しても、塗
膜表面に作用して塗膜を形成することはない。すなわ
ち、エアカーテンを使用しているうちに、エア吹出口1
4の温度を例えば110度と検知した温度調節計27
は、例えばトンネル炉11内が160度であり、エア吹
出口14から吹出されるエアの設定温度が80度の場
合、30度の温度差を修正すべくモジュストロールモー
タ22、23を作動させる。なお、この状態ではエア吸
気口15では130°Cである。すると、モジュストロ
ールモータ22は、ダンパー24を開口させ、外気を循
環ダクト17内に導入させる。モジュストロールモータ
23は、ダンパー25を開口させ、排気ファン26を作
動させ循環ダクト17内のエアを循環ダクト17外に排
気させる。温度調節計27が、エア吹出口14から吹出
されたエアの温度が設定温度以下となったことを感知す
ると、各ダンパー24、25はその開度で保持し、エア
ーカーテン13の温度を保持させる。
【0075】ついで、トンネル炉11内で、被乾燥物W
の母材表面に、当該塗膜に対して赤外線透過率が高く、
母材の吸収率の高い領域の赤外線からなる赤外線ランプ
12を照射する。すると、塗膜を透過した赤外線は、表
面に塗膜を形成された母材に吸収され母材表面が加熱さ
れる。そのため、塗膜は、母材表面に近い塗膜裏面から
加熱され固化される。エアカーテン13によっても表面
塗膜は形成されていないため、塗膜中の溶剤が蒸発して
も固化した塗膜表面を破りピンホールを形成することは
ない。
【0076】図8に図示されるように、エアカーテン1
3の設置箇所に、母材表面に塗布された塗料の塗膜に対
する赤外線透過率が高くかつ母材の吸収率の高い領域の
赤外線を照射する赤外線ランプ12が設置された場合
は、エアカーテン13設置箇所でも、塗膜の形成された
母材表面に、当該塗膜に対して赤外線透過率が高く、母
材の吸収率の高い領域の赤外線を照射する。すると、塗
膜を透過した赤外線は、表面に塗膜を形成された母材に
吸収され母材表面が加熱される。そのため、塗膜は、母
材表面に近い塗膜裏面から加熱され固化され、エアカー
テン13設置位置から塗膜の乾燥は行われる。
【0077】表9は、図7に図示される実施例および、
冷却装置を使用しないエアカーテンを使用する比較例に
おける、エアカーテン風速と、温度における塗膜に於け
るピンホール発生状態をあらわす。ピンホールの発生を
防ぐにはほぼ80°C以下を保持することが望ましい。
【0078】設定条件
【0079】塗料 メラミン樹脂
【0080】被塗装物 ボンデ鋼板 1.2t
【0081】塗膜厚 30ミクロン
【0082】室内温度 30゜C
【0083】炉内温度 160゜C
【0084】エアカーテン高さ(エア吹出口〜エア吸気
口) 2m
【0085】エアカーテン風速
【0086】エア吹出口で10m/sのときエア吸気口
では4m/s、エア吹出口で7m/sのときエア吸気口
では2.8m/s、エア吹出口で4m/sのときエア吸
気口では1.2m/sであった。
【0087】
【発明の効果】 したがって、この発明では、炉内を照
射する赤外線発生装置は、設置数を少なくし照射される
赤外線はより有効に利用する。
【図面の簡単な説明】
【図1】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図2】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図3】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図4】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図5】各樹脂の赤外線吸収曲線図
【図6】赤外線ランプの特性曲線図
【図7】この発明の第3実施例の中央断面図
【図8】この発明の第4実施例の中央断面図
【図9】図7の一部拡大図
【図10】図7の平面断面図
【図11】この発明の第1実施例の中央断面図
【図12】この発明の第2実施例の中央断面図
【表1】 金属の各波長における反射率
【表2】 金属の各波長における反射率
【表3】 金属の各波長における反射率
【表4】 金属の各波長における反射率
【表5】 実施例1におけるピンホール発生数
【表6】 比較例1におけるピンホール発生数
【表7】 実施例2におけるピンホール発生数
【表8】 比較例2におけるピンホール発生数
【表9】 実施例および、冷却装置を使用しないエアカーテンを使
用する比較例における、エアカーテン風速と、温度にお
ける塗膜に於けるピンホール発生状態
【符号の説明】
11 炉 12 赤外線発生装置 32 鏡
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉(11)内に設置され被乾燥物(W)がそれ
    に沿って搬入され更に搬出される搬送路(31)と、搬送路
    (31)を挟んだ炉(11)内の一方の面に設置される鏡面(3
    2)と、搬送路(31)を挟んで鏡面(32)とは反対面に設置さ
    れ、波長のピークが2μm以下の赤外線を発生させると
    ともに被乾燥物(W)の搬送路(W)に対して垂直方向より傾
    けて鏡面(32)に同赤外線を照射する赤外線発生装置(12)
    とからなることを特徴とする加熱装置。
JP3128763A 1991-05-01 1991-05-01 加熱装置 Expired - Lifetime JPH07108381B2 (ja)

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