JPH07103145B2 - 14−クロロダウノマイシン及びその製造方法 - Google Patents
14−クロロダウノマイシン及びその製造方法Info
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- JPH07103145B2 JPH07103145B2 JP14533987A JP14533987A JPH07103145B2 JP H07103145 B2 JPH07103145 B2 JP H07103145B2 JP 14533987 A JP14533987 A JP 14533987A JP 14533987 A JP14533987 A JP 14533987A JP H07103145 B2 JPH07103145 B2 JP H07103145B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は新規な化合物である14-クロロダウノマイシン
又はこれの酸付加塩に関し、またこの化合物の製造法に
関する。本発明の14-クロロダウノマイシンはこれ自体
が抗腫瘍活性をもつ次式(I) で示される化合物であり、また、この新規化合物は、有
用な抗腫瘍剤であるアンスラサイクリン系抗生物質のう
ち、特に次式(A) で示した(2″R)‐4′‐O-テトラヒドロピラニル‐
アドリアマイシンを製造するための重要な合成中間体で
ある。本発明の方法は、14-クロロダウノマイシンの効
率のよい製造方法を提供するものである。
又はこれの酸付加塩に関し、またこの化合物の製造法に
関する。本発明の14-クロロダウノマイシンはこれ自体
が抗腫瘍活性をもつ次式(I) で示される化合物であり、また、この新規化合物は、有
用な抗腫瘍剤であるアンスラサイクリン系抗生物質のう
ち、特に次式(A) で示した(2″R)‐4′‐O-テトラヒドロピラニル‐
アドリアマイシンを製造するための重要な合成中間体で
ある。本発明の方法は、14-クロロダウノマイシンの効
率のよい製造方法を提供するものである。
(従来の技術) 14位にハロ基を導入されたダウノマイシン誘導体として
は、14-ブロモ誘導体及び14-ヨード誘導体が知られてお
り、これらの14-ブロモ又はヨード化合物は、次式(I
I) で示したダウノマイシン(以下、DMと略称する)から、
次式 で示したアドリアマイシン及びその誘導体の製造に於け
る重要な合成中間体として用いられている(例えば特公
昭47-46597号公報参照)。上記の式(A)の(2″R)
‐4′‐O-テトラヒドロピラニル‐アドリアマイシン
(以下、(2″R)‐4′‐O-THPADMと略称する)の製
造においても、次式(V) で示した14-ブロモダウノマイシンが中間体原料として
用いられている(特開昭55-104299号及び特開昭56-1563
0号公報)。14-ブロモダウノマイシンはDMを直接、臭素
と反応させて得られる(例えば特公昭47-46597号公
報)。また14-ヨードダウノマイシン誘導体としては具
体的には、次式(VII) で示した14-ヨード‐N-トリフロロアセチルダウノマイ
シンがDMのN-トリフロロアセチル誘導体を、酸化カルシ
ウムの存在下に沃素と反応させる方法で得られてる(例
えば特公昭47-46597号)。その他の14-ハロゲン誘導体
としては、抗腫瘍活性を調べる目的で合成された14-フ
ロロ誘導体が報告されている(寺島等、「日本化学会第
54春季年会、講演要旨集」第3分冊、IIIL40)。しかし
ながら14-クロロダウノマイシンはまだ文献に報告され
ていない。
は、14-ブロモ誘導体及び14-ヨード誘導体が知られてお
り、これらの14-ブロモ又はヨード化合物は、次式(I
I) で示したダウノマイシン(以下、DMと略称する)から、
次式 で示したアドリアマイシン及びその誘導体の製造に於け
る重要な合成中間体として用いられている(例えば特公
昭47-46597号公報参照)。上記の式(A)の(2″R)
‐4′‐O-テトラヒドロピラニル‐アドリアマイシン
(以下、(2″R)‐4′‐O-THPADMと略称する)の製
造においても、次式(V) で示した14-ブロモダウノマイシンが中間体原料として
用いられている(特開昭55-104299号及び特開昭56-1563
0号公報)。14-ブロモダウノマイシンはDMを直接、臭素
と反応させて得られる(例えば特公昭47-46597号公
報)。また14-ヨードダウノマイシン誘導体としては具
体的には、次式(VII) で示した14-ヨード‐N-トリフロロアセチルダウノマイ
シンがDMのN-トリフロロアセチル誘導体を、酸化カルシ
ウムの存在下に沃素と反応させる方法で得られてる(例
えば特公昭47-46597号)。その他の14-ハロゲン誘導体
としては、抗腫瘍活性を調べる目的で合成された14-フ
ロロ誘導体が報告されている(寺島等、「日本化学会第
54春季年会、講演要旨集」第3分冊、IIIL40)。しかし
ながら14-クロロダウノマイシンはまだ文献に報告され
ていない。
(発明が解決しようとする問題点) ダウノマイシン(DM)を原料とする(2″R)‐4′‐
O-THPADM(式B)の製造は、テトラヒドロピラニル化の
工程で多量の副生成物を生ずるため、従来の方法では低
い収率で達成されているのみである(特開昭55-104299
号及び特開昭56-156300号)。この製造を収率良くおこ
なうためには、副生成物を回収し中間体原料として戻し
て再利用するプロセスが必要であるが、上記の式(V)
の14-ブロモダウノマイシンを中間体とする方法では、1
4-ブロモダウノマイシンが不安定であるため、この化合
物の再利用のプロセスは確立されていない。
O-THPADM(式B)の製造は、テトラヒドロピラニル化の
工程で多量の副生成物を生ずるため、従来の方法では低
い収率で達成されているのみである(特開昭55-104299
号及び特開昭56-156300号)。この製造を収率良くおこ
なうためには、副生成物を回収し中間体原料として戻し
て再利用するプロセスが必要であるが、上記の式(V)
の14-ブロモダウノマイシンを中間体とする方法では、1
4-ブロモダウノマイシンが不安定であるため、この化合
物の再利用のプロセスは確立されていない。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、上記の式(A)の(2″R)‐4′‐O-
THPADMの製造法を改良する研究を行っている過程におい
て、中間体の14-ブロモ又は14-ヨードダウノマイシンの
ヨード基やブロモ基より安定性が高く、またフロロ基の
ように反応性の低くないクロロ基に着目して、新規化合
物である14-クロロダウノマイシンの創製に成功し、ま
たこの化合物の効率の良い製造方法を開発することに成
功した。すなわち、本発明者らは、DMをオルト蟻酸アル
キルエステルの存在下にケタール化及び臭素化して後記
の式の式(IV)で示される14-ブロモ‐13-ジアルキルケ
タールダウノマイシンを生成し、これを酸の水溶液で酸
性条件下で加水分解処理して、の式(V)の14-ブロモ
ダウノマイシンの水溶液を収得する一連の反応を継続的
に行い、その後に、この式(V)の化合物の水溶液に金
属塩化物、好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金
属の塩化物を多量に加えると、式(V)の14-ブロモダ
ウノマイシンの14-ブロモ基と金属塩化物とのハロゲン
交換反応が起り、14-クロロダウノマイシンの生成とこ
の生成された化合物の塩析とが効率よく起こり、14-ク
ロロダウノマイシンが簡便な方法で単離されること、ま
たこの化合物が14-ブロモダウノマイシンに比べて極め
て安定であること及び14-クロロダウノマイシンが式
(A)の(2″R)‐4′‐O-THPADMの合成のためのす
ぐれた合成用中間体であって安定に再回収、再利用でき
ることを見いだした。
THPADMの製造法を改良する研究を行っている過程におい
て、中間体の14-ブロモ又は14-ヨードダウノマイシンの
ヨード基やブロモ基より安定性が高く、またフロロ基の
ように反応性の低くないクロロ基に着目して、新規化合
物である14-クロロダウノマイシンの創製に成功し、ま
たこの化合物の効率の良い製造方法を開発することに成
功した。すなわち、本発明者らは、DMをオルト蟻酸アル
キルエステルの存在下にケタール化及び臭素化して後記
の式の式(IV)で示される14-ブロモ‐13-ジアルキルケ
タールダウノマイシンを生成し、これを酸の水溶液で酸
性条件下で加水分解処理して、の式(V)の14-ブロモ
ダウノマイシンの水溶液を収得する一連の反応を継続的
に行い、その後に、この式(V)の化合物の水溶液に金
属塩化物、好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金
属の塩化物を多量に加えると、式(V)の14-ブロモダ
ウノマイシンの14-ブロモ基と金属塩化物とのハロゲン
交換反応が起り、14-クロロダウノマイシンの生成とこ
の生成された化合物の塩析とが効率よく起こり、14-ク
ロロダウノマイシンが簡便な方法で単離されること、ま
たこの化合物が14-ブロモダウノマイシンに比べて極め
て安定であること及び14-クロロダウノマイシンが式
(A)の(2″R)‐4′‐O-THPADMの合成のためのす
ぐれた合成用中間体であって安定に再回収、再利用でき
ることを見いだした。
また、本発明者らは、このように14-ブロモダウノマイ
シンのハロゲン交換反応と塩析による生成物の単離が極
めて良く行われる結果、ダウノマイシンから14-クロロ
ダウノマイシンを高収率で製造できることを知見した。
シンのハロゲン交換反応と塩析による生成物の単離が極
めて良く行われる結果、ダウノマイシンから14-クロロ
ダウノマイシンを高収率で製造できることを知見した。
従って、第1の本発明によると、次式(I) で示される14-クロロダウノマイシン及びこれの酸付加
塩が提供される。
塩が提供される。
更に、第2の本発明によると、次式(II) で示したダウノマイシン又はその酸付加塩を有機溶剤溶
液中で次式(III) CH(OR)3 (III) 〔式中、Rは低級アルキル基である〕のオルト蟻酸アル
キルエステル及び臭素化剤と反応させて次式(IV) 〔式中、Rは前記の意味をもつ〕で示される14-ブロモ
‐13-ジアルキルケタールダウノマイシン又はその酸付
加塩を生成し、次にこの式(IV)の化合物を酸の水溶液
で酸性条件下で加水分解し、この加水分解で生成された
次式(V) で示される14-ブロモダウノマイシンの酸付加塩を含む
含水の反応液に過剰量の固体状の金属塩化物を加えて溶
解して反応させ、式(V)の14-ブロモ化合物の14-ブロ
モ基のハロゲン交換反応を行って次式(I) で示される14-クロロダウノマイシンの酸付加塩を生成
させ且つ同時に塩析により式(I)の化合物の酸付加塩
を含水の反応液から沈澱させて採取し、更に、所望なら
ば、得られた14-クロロダウノマイシン酸付加塩を弱ア
ルカリ性条件下で処理して遊離塩基の形の14-クロロダ
ウノマイシンを生成することを特徴とする、式(I)の
14-クロロダウノマイシン又はこれの酸付加塩の製造法
が提供される。
液中で次式(III) CH(OR)3 (III) 〔式中、Rは低級アルキル基である〕のオルト蟻酸アル
キルエステル及び臭素化剤と反応させて次式(IV) 〔式中、Rは前記の意味をもつ〕で示される14-ブロモ
‐13-ジアルキルケタールダウノマイシン又はその酸付
加塩を生成し、次にこの式(IV)の化合物を酸の水溶液
で酸性条件下で加水分解し、この加水分解で生成された
次式(V) で示される14-ブロモダウノマイシンの酸付加塩を含む
含水の反応液に過剰量の固体状の金属塩化物を加えて溶
解して反応させ、式(V)の14-ブロモ化合物の14-ブロ
モ基のハロゲン交換反応を行って次式(I) で示される14-クロロダウノマイシンの酸付加塩を生成
させ且つ同時に塩析により式(I)の化合物の酸付加塩
を含水の反応液から沈澱させて採取し、更に、所望なら
ば、得られた14-クロロダウノマイシン酸付加塩を弱ア
ルカリ性条件下で処理して遊離塩基の形の14-クロロダ
ウノマイシンを生成することを特徴とする、式(I)の
14-クロロダウノマイシン又はこれの酸付加塩の製造法
が提供される。
本発明の方法では、原料の式(II)のDMは遊離塩基又は
酸付加塩(好ましくは塩酸塩)として用いられ、不活性
溶媒中で過剰量の式(III)のオルト蟻酸アルキルエス
テル及び臭素等の臭素化剤と反応させる。ここで用いら
れる式(III)のオルト蟻酸アルキルエステルとして
は、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチルなどのオルト
蟻酸の低級(C1〜C6)アルキルエステルが挙げられる。
このようにすると、DMのケタール化と臭素化反応とが起
り、この反応の反応温度は0〜30℃が、反応時間は30分
〜4時間が望ましい。この反応により得た式(IV)の14
-ブロモ‐13-ジアルキルケタールダウノマイシンを不活
性溶媒中で酸の水溶液で加水分解処理する。この反応は
0〜50℃の反応温度で、1〜48時間行うのが望ましい。
前述の不活性溶媒としては、メタノールやエタノールな
どのアルコール類、アセトンなどのケトン類、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサンやジメトキシエタンなどのエー
テル類が挙げられる。加水分解に用いる酸としては、塩
酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの強い鉱酸の外に、
メタンスルホン酸やトルエンスルホン酸などの有機スル
ホン酸類の如き強い有機酸が挙げられる。かくして得ら
れた14-ブロモダウノマイシン酸付加塩を含む含水の反
応液から、有機溶媒のみを除去したのち、得られた水溶
液に金属の塩化物を固体状で多量に加えると溶解し、ハ
ロゲン交換反応も起き、塩析も起り、14-クロロダウノ
マイシン塩酸塩が沈澱するから、これを採取、乾燥する
と、粉末として得られる。ここで用いる金属の塩化物と
しては、リチウム、ナトリウムやカリウムなどのアルカ
リ金属塩化物のほかに、バリウムなどのアルカリ土類金
属塩化物が挙げられる。
酸付加塩(好ましくは塩酸塩)として用いられ、不活性
溶媒中で過剰量の式(III)のオルト蟻酸アルキルエス
テル及び臭素等の臭素化剤と反応させる。ここで用いら
れる式(III)のオルト蟻酸アルキルエステルとして
は、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチルなどのオルト
蟻酸の低級(C1〜C6)アルキルエステルが挙げられる。
このようにすると、DMのケタール化と臭素化反応とが起
り、この反応の反応温度は0〜30℃が、反応時間は30分
〜4時間が望ましい。この反応により得た式(IV)の14
-ブロモ‐13-ジアルキルケタールダウノマイシンを不活
性溶媒中で酸の水溶液で加水分解処理する。この反応は
0〜50℃の反応温度で、1〜48時間行うのが望ましい。
前述の不活性溶媒としては、メタノールやエタノールな
どのアルコール類、アセトンなどのケトン類、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサンやジメトキシエタンなどのエー
テル類が挙げられる。加水分解に用いる酸としては、塩
酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの強い鉱酸の外に、
メタンスルホン酸やトルエンスルホン酸などの有機スル
ホン酸類の如き強い有機酸が挙げられる。かくして得ら
れた14-ブロモダウノマイシン酸付加塩を含む含水の反
応液から、有機溶媒のみを除去したのち、得られた水溶
液に金属の塩化物を固体状で多量に加えると溶解し、ハ
ロゲン交換反応も起き、塩析も起り、14-クロロダウノ
マイシン塩酸塩が沈澱するから、これを採取、乾燥する
と、粉末として得られる。ここで用いる金属の塩化物と
しては、リチウム、ナトリウムやカリウムなどのアルカ
リ金属塩化物のほかに、バリウムなどのアルカリ土類金
属塩化物が挙げられる。
本発明の好ましい実施態様によると、次の如くすると、
本法は連続的に且つ簡便に実施できる。すなわち、式
(II)のダウノマイシン又はその酸付加塩を有機溶剤溶
液中で式(III)のオルト蟻酸アルキルエステル及び臭
素化剤と反応させて式(IV)の14-ブロモ‐13-ジアルキ
ルケタールダウノマイシン又はその酸付加塩を生成し、
この式(IV)の化合物を含む反応液に酸化プロピレンを
加えて該反応液中に存在する副生の臭化水素と反応さ
せ、捕捉して除去し、得られた反応液から、有機溶剤を
留去して濃縮し、この濃縮液に式(IV)の化合物を溶か
さない別種の有機溶剤(例えば、イソプロピルエーテ
ル)を加え、これにより式(IV)の化合物を沈澱させ、
この沈澱した式(IV)の化合物を採取し、この化合物を
不活性有機溶剤と酸の水溶液との混合液に溶解し、この
液中で式(IV)の化合物の加水分解を行って式(V)の
化合物を含む反応液を得、この反応液を水非混和性の有
機溶剤で洗滌し、反応液から有機溶剤を除去し、この洗
滌で得られた式(V)の化合物の水溶液に、アルカリ金
属塩化物又はアルカリ土類金属塩化物、好ましくは塩化
ナトリウム又は塩化カリウムの過剰量を固体状で少量づ
つ加えて反応させることにより式(V)の化合物の14-
ブロモ基を14-クロロ基と交換するハロゲン交換反応を
行うと共に、塩析も起させて、生成した式(I)の化合
物の塩酸塩を沈澱させるようにして実施すると便利であ
る。
本法は連続的に且つ簡便に実施できる。すなわち、式
(II)のダウノマイシン又はその酸付加塩を有機溶剤溶
液中で式(III)のオルト蟻酸アルキルエステル及び臭
素化剤と反応させて式(IV)の14-ブロモ‐13-ジアルキ
ルケタールダウノマイシン又はその酸付加塩を生成し、
この式(IV)の化合物を含む反応液に酸化プロピレンを
加えて該反応液中に存在する副生の臭化水素と反応さ
せ、捕捉して除去し、得られた反応液から、有機溶剤を
留去して濃縮し、この濃縮液に式(IV)の化合物を溶か
さない別種の有機溶剤(例えば、イソプロピルエーテ
ル)を加え、これにより式(IV)の化合物を沈澱させ、
この沈澱した式(IV)の化合物を採取し、この化合物を
不活性有機溶剤と酸の水溶液との混合液に溶解し、この
液中で式(IV)の化合物の加水分解を行って式(V)の
化合物を含む反応液を得、この反応液を水非混和性の有
機溶剤で洗滌し、反応液から有機溶剤を除去し、この洗
滌で得られた式(V)の化合物の水溶液に、アルカリ金
属塩化物又はアルカリ土類金属塩化物、好ましくは塩化
ナトリウム又は塩化カリウムの過剰量を固体状で少量づ
つ加えて反応させることにより式(V)の化合物の14-
ブロモ基を14-クロロ基と交換するハロゲン交換反応を
行うと共に、塩析も起させて、生成した式(I)の化合
物の塩酸塩を沈澱させるようにして実施すると便利であ
る。
(発明の効果) 本発明の方法によると、反応操作が連続的に且つ簡便に
行うことができて、式(I)の14-クロロダウノマイシ
ンの塩酸塩は式(II)のダウノマイシンの塩酸塩より73
%の収率で容易に得ることができる。かくして得た14-
クロロダウノマイシンを用いると、式(A)の(2″
R)‐4′‐O-THPADMの製造における副生成物の回収、
再利用のプロセスが効率良く進行し、20.8%の収率で式
(A)の(2″R)‐4′‐O-THPADMを得ることが出来
る。14-クロロダウノマイシンを用いる方法によれば、
従来の方法(特開昭55-104299号及び特開昭56-156300号
に記載の方法)による式(A)の化合物の収率6〜9%
に比べて大幅な収率の向上が達成できる。このように、
本発明によると、アドリアマイシンの誘導体、特に
(2″R)‐4′‐O-THPADMの製造を効率良く行う上で
重要な合成中間体となる14-クロロダウノマイシンとそ
の製造方法が提供される。
行うことができて、式(I)の14-クロロダウノマイシ
ンの塩酸塩は式(II)のダウノマイシンの塩酸塩より73
%の収率で容易に得ることができる。かくして得た14-
クロロダウノマイシンを用いると、式(A)の(2″
R)‐4′‐O-THPADMの製造における副生成物の回収、
再利用のプロセスが効率良く進行し、20.8%の収率で式
(A)の(2″R)‐4′‐O-THPADMを得ることが出来
る。14-クロロダウノマイシンを用いる方法によれば、
従来の方法(特開昭55-104299号及び特開昭56-156300号
に記載の方法)による式(A)の化合物の収率6〜9%
に比べて大幅な収率の向上が達成できる。このように、
本発明によると、アドリアマイシンの誘導体、特に
(2″R)‐4′‐O-THPADMの製造を効率良く行う上で
重要な合成中間体となる14-クロロダウノマイシンとそ
の製造方法が提供される。
また、本発明になる14-クロロダウノマイシンは次に示
すように種々の実験腫瘍に対し顕著な抗腫瘍性を有する
ことが確かめられた。従って本発明の化合物は抗腫瘍剤
としても用いることができる。
すように種々の実験腫瘍に対し顕著な抗腫瘍性を有する
ことが確かめられた。従って本発明の化合物は抗腫瘍剤
としても用いることができる。
以下に実施例をあげて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 ダウノマイシンより14-クロロダウノマイシン及びその
塩酸塩の製造 ダウノマイシン塩酸塩(4.94g)をメタノール(50ml)
とジオキサン(50ml)の混液に溶解し、オルト蟻酸メチ
ル(4.4ml)と臭素(0.60ml)を加えて、10〜15℃で1
時間攪拌した。反応液に酸化プロピレンを加え4℃で30
分撹拌したのち、反応液を1/4量まで濃縮した。この濃
縮液をイソプロピルエーテル(530ml)に注加し、生じ
た14-ブロモ‐13-ジセタタールダウノマイシン臭化水素
酸塩の赤色沈澱を遠心分離して集め、イソプロピルエー
テル(70ml)で更に洗滌した。
塩酸塩の製造 ダウノマイシン塩酸塩(4.94g)をメタノール(50ml)
とジオキサン(50ml)の混液に溶解し、オルト蟻酸メチ
ル(4.4ml)と臭素(0.60ml)を加えて、10〜15℃で1
時間攪拌した。反応液に酸化プロピレンを加え4℃で30
分撹拌したのち、反応液を1/4量まで濃縮した。この濃
縮液をイソプロピルエーテル(530ml)に注加し、生じ
た14-ブロモ‐13-ジセタタールダウノマイシン臭化水素
酸塩の赤色沈澱を遠心分離して集め、イソプロピルエー
テル(70ml)で更に洗滌した。
この沈澱にアセトン(185ml)と0.25N臭化水素酸(185m
l)を加え溶解させ、加水分解のため2日間室温で撹拌
した。この加水分解の反応液にイソプロピルエーテル
(210ml)を加え、振とう撹拌したのち静置し上層を分
離し除いた。この操作をさらに2回繰り返し、得られ14
-ブロモダウノマイシン臭化水素酸塩を含む水溶液を氷
冷しつつ、固体の塩化ナトリウム(65g)を小量ずつ加
えて反応を行い且つ塩析した。生じた14-クロロダウノ
マイシン塩酸塩の赤色沈澱を遠心分離して集め、20%塩
化ナトリウム水溶液で洗滌した。沈澱をろ過して集め、
更に20%塩化ナトリウム水溶液で洗滌したのち、乾燥し
て粗製の14-クロロダウノマイシン塩酸塩5.0gを得た。
l)を加え溶解させ、加水分解のため2日間室温で撹拌
した。この加水分解の反応液にイソプロピルエーテル
(210ml)を加え、振とう撹拌したのち静置し上層を分
離し除いた。この操作をさらに2回繰り返し、得られ14
-ブロモダウノマイシン臭化水素酸塩を含む水溶液を氷
冷しつつ、固体の塩化ナトリウム(65g)を小量ずつ加
えて反応を行い且つ塩析した。生じた14-クロロダウノ
マイシン塩酸塩の赤色沈澱を遠心分離して集め、20%塩
化ナトリウム水溶液で洗滌した。沈澱をろ過して集め、
更に20%塩化ナトリウム水溶液で洗滌したのち、乾燥し
て粗製の14-クロロダウノマイシン塩酸塩5.0gを得た。
この粗生成物を7%炭酸水素ナトリウム水溶液の235ml
に溶解し、生成した14-クロロダウノマイシン(遊離塩
基)を塩化メチレンの450mlで1回、200mlで3回、更に
塩化メチレンとメタノールの混液(6:1)の210mlで2回
抽出した。抽出液を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾
燥した後、約35mlまで減圧濃縮した。この濃縮液をイソ
プロピルエーテルの180mlに滴下し、生じた14-クロロダ
ウノマイシン(遊離塩基)を濾過して集めた。収量3.65
g、融点:174〜176℃(分解点) マススペクトル(FD):m/e562(M+1)+ この14-クロロダウノマイシン(遊離塩基)の3.6gを塩
化メチレンとメタノールの混液(3:1)の50mlに溶解
し、氷冷下に1M-塩化水素‐塩化メチレン溶液の6.4mlを
徐々に加えた。この溶液をイソプロピルエーテル(280m
l)中に滴下し、生じた沈澱を濾過して集め、イソプロ
ピルエーテルで洗滌して14-クロロダウノマイシン塩酸
塩3.83g(収率73%)を得た。
に溶解し、生成した14-クロロダウノマイシン(遊離塩
基)を塩化メチレンの450mlで1回、200mlで3回、更に
塩化メチレンとメタノールの混液(6:1)の210mlで2回
抽出した。抽出液を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾
燥した後、約35mlまで減圧濃縮した。この濃縮液をイソ
プロピルエーテルの180mlに滴下し、生じた14-クロロダ
ウノマイシン(遊離塩基)を濾過して集めた。収量3.65
g、融点:174〜176℃(分解点) マススペクトル(FD):m/e562(M+1)+ この14-クロロダウノマイシン(遊離塩基)の3.6gを塩
化メチレンとメタノールの混液(3:1)の50mlに溶解
し、氷冷下に1M-塩化水素‐塩化メチレン溶液の6.4mlを
徐々に加えた。この溶液をイソプロピルエーテル(280m
l)中に滴下し、生じた沈澱を濾過して集め、イソプロ
ピルエーテルで洗滌して14-クロロダウノマイシン塩酸
塩3.83g(収率73%)を得た。
融点:166〜167℃ NMR:δppm(D2O);1.35(5′位‐メチル)、2.60〜2.9
6(7位‐メチレン)、3.79(3′位メチン)、3.90
(1位‐0-メチル)、4.28(5′位‐メチン)、5.49
(1′位‐メチン)、7.33(2位及び3位‐メチン)、
7.60(4位‐メチン)。
6(7位‐メチレン)、3.79(3′位メチン)、3.90
(1位‐0-メチル)、4.28(5′位‐メチン)、5.49
(1′位‐メチン)、7.33(2位及び3位‐メチン)、
7.60(4位‐メチン)。
なお、式(I)の14-クロロダウノマイシンから、抗腫
瘍剤化合物である前記の式(A)の(2″R)‐4′‐
O-THPADMを製造するには、式(I)の14-クロロダウノ
マイシン又はこれの酸付加塩をp-トルエンスルホン酸又
はd-カンフアースルホン酸の如き酸触媒の存在下に有機
溶剤中で3,4-ジヒドロ‐2H-ピランとの反応によりテト
ラヒドロピラニル化し、その反応液から、生成された次
式(VIII) の(2″R)‐14-クロロ‐4′‐O-テトラヒドロピラ
ニルアドリアマイシンを分離、収得し、次いで、この式
(VIII)の化合物に例えば蟻酸リチウムを反応させて
(2″R)‐14-ホルミル‐4′‐O-テトラヒドロピラ
ニルアドリアマイシンを生成し、この14-ホルミル体を
炭酸水素ナトリウム水溶液で加水分解すると、所期の
(2″R)‐4′‐O-THPADMが得られる。次に14-クロ
ロダウノマイシンから(2″R)‐4′‐O-THPADMの製
造例を参考例1として示す。
瘍剤化合物である前記の式(A)の(2″R)‐4′‐
O-THPADMを製造するには、式(I)の14-クロロダウノ
マイシン又はこれの酸付加塩をp-トルエンスルホン酸又
はd-カンフアースルホン酸の如き酸触媒の存在下に有機
溶剤中で3,4-ジヒドロ‐2H-ピランとの反応によりテト
ラヒドロピラニル化し、その反応液から、生成された次
式(VIII) の(2″R)‐14-クロロ‐4′‐O-テトラヒドロピラ
ニルアドリアマイシンを分離、収得し、次いで、この式
(VIII)の化合物に例えば蟻酸リチウムを反応させて
(2″R)‐14-ホルミル‐4′‐O-テトラヒドロピラ
ニルアドリアマイシンを生成し、この14-ホルミル体を
炭酸水素ナトリウム水溶液で加水分解すると、所期の
(2″R)‐4′‐O-THPADMが得られる。次に14-クロ
ロダウノマイシンから(2″R)‐4′‐O-THPADMの製
造例を参考例1として示す。
参考例1 (イ)14-クロロダウノマイシンのテトラヒドロピラニ
ル化反応 14-クロロダウノマイシン塩酸塩の精製品(3.83g)を、
乾燥したDMF(90ml)に溶解し、3,4-ジヒドロ‐2H-ピラ
ン(18ml)と、d-カンフアースルホン酸ピリジン塩(2.
1g)をこれに加えて、10℃で撹拌した。20時間後及び29
時間後に、それぞれ3,4-ジヒドロ‐2H-ピラン(4ml)と
d-カンフアースルホン酸ピリジン塩(0.4g)を加え、合
計44時間撹拌した。反応液にクロロホルム180mlと1%
重曹水(180ml)を加え、振とう撹拌して抽出した。ク
ロロホルム抽出液を1%重曹水(180ml)で2回、0.1%
重曹水(180ml)で2回、さらに水(100ml)で洗浄した
後、無水硫酸ナトリウム上で脱水した。このクロロホル
ム溶液をシリカゲル250gを充填したカラムクロマトグラ
フィーにかけ、クロロホルム−メタノール(70:1)で展
開した。(2″R)‐14-クロロ‐4′‐O-テトラヒド
ロピラニルダウノアマイシンを含む展開液を集め、濃縮
乾固して赤色粉末958mgを得た。また、(2″S)‐14-
クロロ‐4′‐O-テトラヒドロピラニルダウノマイシン
及び14-クロロ‐9,4′‐ジ‐O-テトラヒドロピラニルダ
ウノマイシンを含む展開液を合わせて濃縮乾固し、これ
ら副生成物の3.23gを得た。
ル化反応 14-クロロダウノマイシン塩酸塩の精製品(3.83g)を、
乾燥したDMF(90ml)に溶解し、3,4-ジヒドロ‐2H-ピラ
ン(18ml)と、d-カンフアースルホン酸ピリジン塩(2.
1g)をこれに加えて、10℃で撹拌した。20時間後及び29
時間後に、それぞれ3,4-ジヒドロ‐2H-ピラン(4ml)と
d-カンフアースルホン酸ピリジン塩(0.4g)を加え、合
計44時間撹拌した。反応液にクロロホルム180mlと1%
重曹水(180ml)を加え、振とう撹拌して抽出した。ク
ロロホルム抽出液を1%重曹水(180ml)で2回、0.1%
重曹水(180ml)で2回、さらに水(100ml)で洗浄した
後、無水硫酸ナトリウム上で脱水した。このクロロホル
ム溶液をシリカゲル250gを充填したカラムクロマトグラ
フィーにかけ、クロロホルム−メタノール(70:1)で展
開した。(2″R)‐14-クロロ‐4′‐O-テトラヒド
ロピラニルダウノアマイシンを含む展開液を集め、濃縮
乾固して赤色粉末958mgを得た。また、(2″S)‐14-
クロロ‐4′‐O-テトラヒドロピラニルダウノマイシン
及び14-クロロ‐9,4′‐ジ‐O-テトラヒドロピラニルダ
ウノマイシンを含む展開液を合わせて濃縮乾固し、これ
ら副生成物の3.23gを得た。
(ロ)(2″R)‐4′‐O-テトラヒドロピラニルアド
リアマイシンの製造 前項(イ)で得た(2″R)‐14-クロロ‐4′‐O-テ
トラヒドロピラニルダウノマイシンの200mgをジメチル
スルホキシド(6ml)に溶解し、この溶液に蟻酸リチウ
ム−水和物(204mg)を加え、室温で5時間撹拌した。
反応液を酢酸エチル(35ml)で希釈し、水(35ml)を加
え、振とう撹拌した後、有機層を分離した。この有機層
をさらに水(30mlづつ)で4回洗浄した後、減圧濃縮し
た。この(2″R)‐14-ホルミル‐4′‐O-テトラヒ
ドロピラニルアドリアマイシンを含む油状物をテトラヒ
ドロフラン(6ml)に溶解し、0.1M重曹水(2.4ml)をこ
れに加え、室温で3.5時間撹拌して加水分解反応を行っ
た。反応液を塩化メチレン(50ml)で希釈し、この溶液
を水(40mlづつ)で3回振とうし洗浄した。この塩化メ
チレン溶液に、pH3.3の蟻酸−蟻酸ナトリウムの緩衝液
(30ml)を、4回に分けて加え、加えてはよく振とうし
て抽出した。水層を集め水酸化ナトリウム溶液を加えて
水溶液をpH7.5に調整した後、塩化メチレン(25ml)を
4回に分けてこの水溶液に加えて、振とう抽出した。塩
化メチレン抽出液を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾
燥した後、濃縮乾固して、(2″R)‐4′‐O-テトラ
ヒドロピラニルアドリアマイシンの粗生成物122mgを得
た。この粗生成物を塩化メチレンより結晶化し、さらに
塩化メチレンより再結晶して、純品として93mgを得た。
リアマイシンの製造 前項(イ)で得た(2″R)‐14-クロロ‐4′‐O-テ
トラヒドロピラニルダウノマイシンの200mgをジメチル
スルホキシド(6ml)に溶解し、この溶液に蟻酸リチウ
ム−水和物(204mg)を加え、室温で5時間撹拌した。
反応液を酢酸エチル(35ml)で希釈し、水(35ml)を加
え、振とう撹拌した後、有機層を分離した。この有機層
をさらに水(30mlづつ)で4回洗浄した後、減圧濃縮し
た。この(2″R)‐14-ホルミル‐4′‐O-テトラヒ
ドロピラニルアドリアマイシンを含む油状物をテトラヒ
ドロフラン(6ml)に溶解し、0.1M重曹水(2.4ml)をこ
れに加え、室温で3.5時間撹拌して加水分解反応を行っ
た。反応液を塩化メチレン(50ml)で希釈し、この溶液
を水(40mlづつ)で3回振とうし洗浄した。この塩化メ
チレン溶液に、pH3.3の蟻酸−蟻酸ナトリウムの緩衝液
(30ml)を、4回に分けて加え、加えてはよく振とうし
て抽出した。水層を集め水酸化ナトリウム溶液を加えて
水溶液をpH7.5に調整した後、塩化メチレン(25ml)を
4回に分けてこの水溶液に加えて、振とう抽出した。塩
化メチレン抽出液を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾
燥した後、濃縮乾固して、(2″R)‐4′‐O-テトラ
ヒドロピラニルアドリアマイシンの粗生成物122mgを得
た。この粗生成物を塩化メチレンより結晶化し、さらに
塩化メチレンより再結晶して、純品として93mgを得た。
融点:184-186℃(分解を伴う)、▲〔α〕20 D▼+210°
(c0.2,クロロホルム)。
(c0.2,クロロホルム)。
Claims (3)
- 【請求項1】次式(I) で示した14-クロロダウノマイシン及びその酸付加塩。
- 【請求項2】次式(II) で示したダウノマイシン又はその酸付加塩を有機溶剤溶
液中で次式(III) CH(OR)3 (III) 〔式中、Rは低級アルキル基である〕のオルト蟻酸アル
キルエステル及び臭素化剤と反応させて次式(IV) 〔式中、Rは前記の意味をもつ〕で示される14-ブロモ
‐13-ジアルキルケタールダウノマイシン又はその酸付
加塩を生成し、次にこの式(IV)の化合物を酸の水溶液
で酸性条件下で加水分解し、この加水分解で生成された
次式(V) で示される14-ブロモダウノマイシンの酸付加塩を含む
含水の反応液に過剰量の固体状の金属塩化物を加えて溶
解して反応させ、式(V)の14-ブロモ化合物の14-ブロ
モ基のハロゲン交換反応を行つて次式(I) で示される14-クロロダウノマイシンの酸付加塩を生成
させ且つ同時に塩析により式(I)の化合物の酸付加塩
を含水の反応液から沈澱させて採取し、更に、所望なら
ば、得られた14-クロロダウノマイシン酸付加塩を弱ア
ルカリ性条件下で処理して遊離塩基の形の14-クロロダ
ウノマイシンを生成することを特徴とする、式(I)の
14-クロロダウノマイシン又はこれの酸付加塩の製造
法。 - 【請求項3】式(II)のダウノマイシン又はその酸付加
塩を有機溶剤溶液中で式(III)のオルト蟻酸アルキル
エステル及び臭素化剤と反応させて式(IV)の14-ブロ
モ‐13-ジアルキルケタールダウノマイシン又はその酸
付加塩を生成し、この式(IV)の化合物を含む反応液に
酸化プロピレンを加えて該反応液中に存在する副生の臭
化水素と反応させ、捕捉して除去し、得られた反応液か
ら、有機溶剤を留去して濃縮し、この濃縮液に式(IV)
の化合物を溶かさない別種の有機溶剤を加え、これによ
り式(IV)の化合物を沈澱させ、この沈澱した式(IV)
の化合物を採取し、この化合物を不活性有機溶剤と酸の
水溶液との混合液に溶解し、この液中で式(IV)の化合
物の加水分解を行つて式(V)の化合物を含む含水反応
液を得、この反応液を水非混和性の有機溶剤で洗滌し、
反応液から有機溶剤相を除去し、この洗滌で得られた式
(V)の化合物の水溶液に、アルカリ金属塩化物又はア
ルカリ土類金属塩化物、好ましくは塩化ナトリウム又は
塩化カリウムの過剰量を固体状で少量づつ加えて反応さ
せることにより式(V)の化合物の14-ブロム基を14-ク
ロロ基と交換するハロゲン交換反応を行うと共に、塩析
も起させて、生成した式(I)の化合物の塩酸塩を沈澱
させる特許請求の範囲第2項記載の方法。
Priority Applications (11)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14533987A JPH07103145B2 (ja) | 1987-06-12 | 1987-06-12 | 14−クロロダウノマイシン及びその製造方法 |
US07/204,363 US4889926A (en) | 1987-06-12 | 1988-06-09 | Method for the synthesis of (2"R)-4'-O-tetra-hydropyranyladriamycim using 14-chloro-daunomycin as an intermediate |
CA000569227A CA1303027C (en) | 1987-06-12 | 1988-06-10 | 14-chlorodaunomycin and process for the preparation of 14-chlorodaunomycin, and process for the preparation of (2"r)-4'-o-tetrahydropyranyladriamycin |
EP88305309A EP0295119B1 (en) | 1987-06-12 | 1988-06-10 | 14-Chlorodaunomycin and process for the preparation of 14-chlorodaunomycin, and process for the preparation of (2"R)-4'-0-tetrahydropyranyladriamycin |
DE88305309T DE3886101T2 (de) | 1987-06-12 | 1988-06-10 | 14-Chlorodaunomycin und Verfahren zur Herstellung von 14-Chlorodaunomycin und Verfahren zur Herstellung von (2"R)-4'-O-Tetrahydropyramyladriamycin. |
DK317888A DK170051B1 (da) | 1987-06-12 | 1988-06-10 | 14-Chlordaunomycin og syreadditionssalte deraf, fremgangsmåde til fremstilling af (2"R)-4'-O-tetrahydropyranyladriamycin samt (2"R)-14-chlor-4'-O-tetrahydropyranyldaunomycin |
AT88305309T ATE98251T1 (de) | 1987-06-12 | 1988-06-10 | 14-chlorodaunomycin und verfahren zur herstellung von 14-chlorodaunomycin und verfahren zur herstellung von (2''r)-4'-otetrahydropyramyladriamycin. |
ES88305309T ES2060652T3 (es) | 1987-06-12 | 1988-06-10 | 14-clorodaunomicina y procedimiento para la preparacion de 14-clorodaunomicina, y procedimiento para la preparacion de (2"r)-4'-o-tetrahidropiraniladriamicina. |
KR1019880007016A KR950013771B1 (ko) | 1987-06-12 | 1988-06-11 | 14-클로로다우노마이신의 제조방법과 (2"r)-4'-o-테트라하이드로피란일아드리아마이신의 제조방법 |
CA000616210A CA1335199C (en) | 1987-06-12 | 1991-10-30 | 14-chlorodaumonycin and process for the preparation of 14-chlorodaunomycin, and process for the preparation of (2"r)-4'-o-tetrahydropyranyladriamycin |
DK079194A DK170172B1 (da) | 1987-06-12 | 1994-07-01 | Fremgangsmåde til fremstilling af 14-chlor-daunomycin eller et syreadditionssalt deraf |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14533987A JPH07103145B2 (ja) | 1987-06-12 | 1987-06-12 | 14−クロロダウノマイシン及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01117893A JPH01117893A (ja) | 1989-05-10 |
JPH07103145B2 true JPH07103145B2 (ja) | 1995-11-08 |
Family
ID=15382886
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14533987A Expired - Fee Related JPH07103145B2 (ja) | 1987-06-12 | 1987-06-12 | 14−クロロダウノマイシン及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07103145B2 (ja) |
-
1987
- 1987-06-12 JP JP14533987A patent/JPH07103145B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01117893A (ja) | 1989-05-10 |
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