JPH07103030B2 - 生化学的拮抗及び疾患処置剤 - Google Patents

生化学的拮抗及び疾患処置剤

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JPH07103030B2
JPH07103030B2 JP3125235A JP12523591A JPH07103030B2 JP H07103030 B2 JPH07103030 B2 JP H07103030B2 JP 3125235 A JP3125235 A JP 3125235A JP 12523591 A JP12523591 A JP 12523591A JP H07103030 B2 JPH07103030 B2 JP H07103030B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、15−デヒドロキシ
−16−オキソ−プロスタグランジン化合物の新用途に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日、アレルギーや炎症疾患において、
ヒスタミンがケミカルメディエーターの1つであること
は、広く知られており、また遅延反応物質として知られ
るロイコトリエンも種々のメディエーターとして知られ
ている。さらに、近年、自己免疫疾患においてロイコト
リエンなどの遅延反応物質が関与していることが示され
ている。また、近年、アレルギー反応や炎症反応のケミ
カルメディエーターの1つとして血小板活性化因子の存
在が認識されつつある。そして、現在、アレルギーや炎
症疾患の処置としては、いわゆる抗ヒスタミン剤が広く
用いられ、また、ロイコトリエンの産生を阻害する抗リ
ポキシゲナーゼや血小板活性化因子アンタゴニストなど
も研究されているが、未だ十分な結果を得るにいたって
いない。
【0003】一方、プロスタグランジン類(以後プロス
タグランジンはPGとして示す)はひとおよび他の哺乳
類の組織または器官に含有され、広範囲の生理学的活性
を示す有機カルボン酸の1群である。天然に存在するP
G類は一般的な構造特性として、プロスタン酸骨格を有
する。
【化1】 一方幾つかの合成類似体は修飾された骨格を持ってい
る。天然PG類は5員環の構造特性によって、PGA
類、PGB類、PGC類、PGD類、PGE類、PGF
類、PGG類、PGH類、PGI類およびPGJ類に分
類され、さらに鎖部分が、不飽和および酸化の存在およ
び不存在によっても 下付1...13,14−不飽和−15−OH 下付2...5,6−および13,14−ジ不飽和−15
−OH 下付3...5,6−、13,14−および17,18−
トリ不飽和−15−OH として、分類される。さらに、PGF類は9位の水酸基
の配置によってα(水酸基がアルファー配置である)お
よびβ(水酸基がベータ配置である)に分類される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、天然
のPG類の作用は多彩であり、しかも1つの化合物が種
々の作用を同時に有する。しかし、このことは、長所の
ようにみえるが、ある場合には目的としない作用の存在
は却って不都合であり、副作用として排斥される。した
がって、PG類が有する諸作用のうち、特定の作用のみ
を有する化合物の開発は望ましいことである。この発明
者は、このような化合物を探索して研究を続けた結果、
15−デヒドロキシ−16−オキソPG化合物が、例え
ばすぐれた抗アレルギー作用および抗炎症作用等を有す
ることを見出し、この発明を完成したのである。
【0005】
【発明の構成】すなわち、この発明は、15−デヒドロ
キシ−16−オキソPG化合物を有効成分とする、アレ
ルギー疾患および炎症疾患処置剤、抗ヒスタミン剤、ロ
イコトリエン拮抗剤、血小板活性化因子拮抗剤および気
管支拡張剤を提供するものである。
【0006】アレルギー疾患は、アレルギー反応、すな
わち一定の細胞内で特異物質(抗原またはアレルゲン。
例えば花粉、穀類、じんあい、動物性空気運搬物質、食
物、薬剤、治療血清、細菌およびその産生物質等)に対
する抗体ができ、再びその物質に出会ったとき起こる反
応が生体に防御的でなく有害に作用する反応に基づく疾
患である。これには、枯草熱(季節性鼻カタル、血管運
動性鼻炎)、気管支ぜん息、血清病、血清ショック、ア
レルギー性皮膚炎、アレルギー性胃炎、アレルギー性関
節炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性下痢、アレル
ギー性喉頭炎、アレルギー性紫斑病、アレルギー性神経
炎、アレルギー性肉芽腫、アレルギー性脳脊髄炎、アレ
ルギー性肺胞炎、アレルギー性腎炎、アレルギー性鼻
炎、アレルギー性ぜん息、アレルギー性湿疹等が含まれ
る。さらに本発明においては自己の組織を構成する成分
に反応する抗体が産生されることにより、自己の細胞に
対して組織障害を起こすいわゆる自己免疫疾患を包含す
る。これには慢性関節リウマチ(RA)、全身性エリテ
マドーデス(SLE)、全身性進行性硬化症(PS
S)、橋本病、シェーグレン症候群、甲状腺機能亢進
症、筋無力症候群、ベーチェット病が含まれる。
【0007】炎症疾患は、炎症反応、すなわち生体の局
所に臓器組織の機能または構造の動的平衡を破るような
刺激(物理学的、化学的、微生物その他の寄生による刺
激)が加わったとき起る循環障害、滲出、変性、過形成
などからなる病変群であって、その徴候は紅潮、発熱、
疼痛、腫張、機能障害である。これには結膜炎、虹彩
炎、ぶどう膜炎、中心性網膜炎、外耳炎、急性化膿性中
耳炎、乳様突起炎、内耳炎、慢性鼻炎、急性鼻炎、副鼻
腔炎、喉頭炎、扁桃炎、慢性気管支炎、急性細気管支
炎、大葉性肺炎、小葉性肺炎、原発性異型肺炎、乾性肋
膜炎、湿性肋膜炎、縦隔洞炎、急性リウマチ性心内膜
炎、細菌性心内膜炎、血栓性静脈炎、多発性動脈炎、急
性腎炎、慢性腎炎、膀胱炎、腎周囲炎、口内炎、食道
炎、急性胃炎、慢性胃炎、潰瘍性大腸炎、急性虫垂炎、
慢性肝炎、急性肝炎、細胆肝炎、胆のう炎、慢性膵炎、
急性膵炎、慢性腹膜炎、急性腹膜炎、甲状腺炎、接触皮
膚炎、急性出血性脳炎、化膿性髄膜炎、視束脊髄炎、酒
精性多発性神経炎、糖尿病性多発性神経炎、多発性筋
炎、化骨性筋炎、変質性関節炎、リウマチ様関節炎、肩
甲関節周囲炎、変形性肩炎等が含まれる。
【0008】ヒスタミンは、種々の組織に存在するが大
部分が肥満細胞および好塩基球に含まれ、非免疫刺激
(外傷、毒素、ある種の化合物例えば化合物48/8
0)または免疫刺激に応じて遊離され、かゆみ、浮腫、
発赤、気管支収縮等のアレルギー症状を生じ、胃酸分泌
を刺激する物質である。
【0009】ロイコトリエン(LT)は、白血球やマク
ロファージで合成され、3個の共役2重結合をもち、プ
ロスタグランジンと同じ経路で生合成される炎症のケミ
カルメディエーター物質で、A〜Eの5種類と類縁体が
ある。これらは、平滑筋(特に気管支)収縮作用が強
く、気道抵抗上昇、気管粘膜分泌促進、血管透過性上
昇、白血球運動増加、白血球遊走、白血球凝集等の作用
を有する。炎症時に遊離するSRS−AはLTC4とL
TD4の混合物である。
【0010】血小板活性化因子(PAF)は、好中球、
マクロファージの白小板活性化を起すりん脂質で、誘因
物質の刺激に応じて好中球、腎間質細胞から放出され
る。その生合成の前駆体はアラキドン酸と共通である。
これは、上記活性化作用に加えて、血管透過性上昇、平
滑筋収縮、血圧降下、肝臓でのグリコーゲン分解促進作
用をもち、炎症やアナフィラキシーを仲介する。
【0011】気管支平滑筋は、ヒスタミン受容体および
ロイコトリエン受容体の刺激により収縮する。また、副
交感神経を刺激すると末梢からアセチルコリンが放出さ
れ、平滑筋表面のコリン受容体と結合して収縮する。交
感神経を刺激すると末梢からノルアドレナリンが、副腎
髄質からアドレナリンが放出され、平滑筋のβ受容体を
刺激して弛緩させるが、α受容体の刺激は収縮を起す。
上記収縮機構を直接または間接に妨害作用をもつ薬物は
すべて気管支拡張薬の概念に含まれるとされている。こ
の発明において、「処置」の語は、予防、治療、軽減、悪
化防止または悪化の軽減を含めたあらゆる疾患の管理を
包含する。
【0012】この発明において、15−デヒドロキシ−
16−オキソPG化合物とは、不飽和結合(2重または
3重結合)の存在または不存在に関係なくプロスタン酸
骨格の15位に水酸基がなく16位にオキソ基を持つあ
らゆるプロスタグランジン誘導体を含む。この発明の1
5−デヒドロキシ−16−オキソ−PG化合物の命名に
際しては式(A)に示したプロスタン酸の番号を用い
る。前記式(A)はC−20の基本骨格のものである
が、本発明では炭素数がこれによって限定されるもので
はない。即ち、基本骨格を構成する炭素の番号はカルボ
ン酸を1とし5員環に向って順に2〜7までをα鎖上の
炭素に、8〜12までを5員環の炭素に、13〜20ま
でをω鎖上に付しているが、炭素数がα鎖上で減少する
場合、2位から順次番号を抹消し、α鎖上で増加する場
合2位にカルボキシル基(1位)に代わる置換基がつい
たものとして命名する。同様に、炭素数がω鎖上で減少
する場合、20位から炭素の番号を順次減じ、ω鎖上で
増加する場合、21番目以後の炭素原子は置換基として
命名する。また、立体配置に関しては、特にことわりの
ないかぎり、上記基本骨格の有する立体配置に従うもの
とする。従って、例えばω鎖に10個の炭素原子を有す
る15−デヒドロキシ−16−オキソ−PG化合物を1
5−デヒドロキシ−16−オキソ−20−エチル−PG
類と命名する。上記式は最も典型的な配位である特定配
置を示すが、この明細書において、特にことわらない限
り化合物は 上記の配置を有するものとする。一般に、
PGD類、PGE類およびPGF類は9位および/また
は11位の炭素上にヒドロキシ基を有するが、この発明
では15−デヒドロキシ−16−オキソPG化合物は9
位および/または11位にヒドロキシ以外の基を有する
PG類をも含む。このようなPG類は9−デヒドロキシ
−9−置換PG類または11−デヒドロキシ−11−置
換PG類と命名する。
【0013】前述のように、この発明の化合物の命名は
プロスタン酸骨格に基づいて行うが、これをIUPAC
に基づいて命名することも可能である。両命名法による
化合物の命名の例は実施例中に示す。
【0014】この発明において用いられる15−デヒド
ロキシ−16−オキソ−PG化合物は15位に水酸基が
なく16位にオキソ基を有するあらゆるPG誘導体であ
り得、これらは飽和体でもよく、さらに例えば13−1
4位に二重結合、13−14位と5−6位に二重結合、
または13−14位、5−6位および18−19位に二
重結合を有し得る。また、13,14−ジヒドロ体も含
まれる。この発明に用い得る化合物の代表的な例は、1
5−デヒドロキシ−16−オキソ−PGA、15−デヒ
ドロキシ−16−オキソ−PGD、15−デヒドロキシ
−16−オキソ−PGE、15−デヒドロキシ−16−
オキソ−PGFおよびこれらの13,14−ジヒドロ体
並びにそれらの置換体および誘導体である。
【0015】置換体または誘導体の例は、上記PG類の
α鎖末端のカルボキシル基がエステル化された化合物、
生理学的に許容し得る塩、2−3位の炭素結合または5
−6位の炭素結合が2重結合または3重結合を有する化
合物、3位、5位、6位、17位、18位、19位、お
よび/または20位の炭素に置換基を有する化合物、9
位または11位の水酸基の代りに低級アルキル基または
ヒドロキシ(低級)アルキル基を有する化合物等であ
る。この発明において3位、18位および/または19
位の炭素原子に結合する置換基としては、例えば炭素数
1〜4のアルキル基があげられ、特にメチル基、エチル
基があげられる。17位の炭素原子に結合する置換基と
しては、例えばメチル基、エチル基などの低級アルキル
基、水酸基あるいは塩素、ふっ素などのハロゲン原子、
トリフルオロメチルフェノキシ等のアリールオキシ基が
あげられる。18位の炭素原子の置換基としては、塩
素、ふっ素等のハロゲンが挙げられる。20位の炭素原
子に結合する置換基としては、C1-4アルキルのような
飽和または不飽和の低級アルキル基、C1-4アルコキシ
のような低級アルコキシ基、C1-4アルコキシ−C1-4
ルキルのような低級アルコキシアルキルを含む。5位の
炭素原子の置換基としては、塩素、ふっ素などのハロゲ
ンを含む。6位の炭素原子の置換基としては、カルボニ
ル基を形成するオキソ基を含む。9位および/または1
1位の炭素原子にヒドロキシ基、低級アルキルまたは低
級(ヒドロキシ)アルキル置換基を有する場合のこれら
の基の立体配置はα,βまたはそれらの混合物であって
もかまわない。さらに、上記誘導体は、ω鎖が天然のP
G類より短い化合物のω鎖末端にアルコキシ基、フェノ
キシ基、フェニル基等の置換基を有するものであっても
よい。
【0016】特に好ましい化合物は、17位の炭素に例
えばメチル基、エチル基などの低級アルキル基を有する
化合物、塩素、ふっ素などのハロゲン原子を有する化合
物、18位の炭素に塩素、ふっ素などのハロゲンを有す
る化合物、20位の炭素に例えばメチル基、エチル基な
どの低級アルキル基を有する化合物、5位の炭素に塩
素、ふっ素などのハロゲンを有する化合物、6位の炭素
にオキソ基を有する化合物、19位の炭素に例えばメチ
ル基、エチル基などの低級アルキル基を有する化合物で
あり、また、17位の炭素以後のアルキル鎖の代わりに
ハロゲン原子またはハロゲン化アルキル基等の置換基を
有することもあるフェニル基あるいはフェノキシ基が1
7位の炭素原子に結合した化合物である。
【0017】この発明に使用される好ましい化合物は式
(I)
【化2】 [式中、XおよびYは水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低
級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキル、またはオキ
ソ(但し、XおよびYの基の内少なくとも1つは水素以
外の基であり、5員環は少なくとも1つの2重結合を有
していてもよい)、Zは水素またはハロゲン、Aは−C
2OH、−COCH2OH、−COOHまたはその官能
性誘導体、Bは−CH2−CH2−CH2−、−CH=C
H−CH2−、−CH2−CH=CH−、−C≡C−CH
2−、−CH2−C≡C−、R1は非置換またはハロゲ
ン、オキソもしくはアリールで置換された、二価の飽和
または不飽和、低〜中級脂肪族炭化水素残基、R2は非
置換またはハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、低級アルコ
キシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキ
ル、アリールまたはアリールオキシで置換された、飽和
または不飽和、低〜中級脂肪族炭化水素残基である]を
有する。上式中、R1およびR2における「不飽和]の語
は、主鎖または側鎖の炭素原子間の結合として、少なく
とも1つまたはそれ以上の2重結合および/または3重
結合を孤立、分離または連続して含むことを意味する。
通常の命名法に従って、連続する2つの位置間の不飽和
は若い方の位置番号を表示することにより示し、連続し
ない2つの位置間の不飽和は両方の位置番号を表示して
示す。好ましい不飽和は、2位の2重結合および5位の
2重結合または3重結合である。
【0018】「低〜中級脂肪族炭化水素」の語は、炭素数
1〜14の直鎖または分枝鎖[ただし、側鎖は炭素数1
〜3のものが好ましい]を有する炭化水素を意味し、好
ましくはR1の場合炭素数2〜8の炭化水素であり、R2
の場合炭素数2〜10の炭化水素である。「ハロゲン」の
語は、ふっ素、塩素、臭素およびよう素を包含する。
「低級」の語は、特にことわりのない限り炭素原子数1〜
6を有する基を包含するものである。「低級アルキル」の
語は、炭素原子数1〜6の直鎖または分枝鎖の飽和炭化
水素基を包含し、例えばメチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチ
ルおよびヘキシルを含む。「低級アルコキシ」の語は、低
級アルキルが上述と同意義である低級アルキル−O−を
意味する。「ヒドロキシ(低級)アルキル」の語は、少な
くとも1つのヒドロキシ基で置換された上記のようなア
ルキルを意味し、例えばヒドロキシメチル、1−ヒドロ
キシエチル、2−ヒドロキシエチルおよび1−メチル−
1−ヒドロキシエチルである。「低級アルカノイルオキ
シ」の語は、式RCO−O−(ここで、RCO−は上記
のような低級アルキルが酸化されて生じるアシル、例え
ばアセチル)で示される基を意味する。「シクロ(低
級)アルキル」の語は、上記のような低級アルキル基が
閉環して生ずる基を意味する。「アリール」の語は、置換
されていてもよい芳香性炭素環または複素環基(好まし
くは単環性の基)を包含し、例えばフェニル、トリル、
キシリルおよびチエニルを含む。置換基としては、ハロ
ゲン、ハロゲン置換低級アルキル基(ここで、ハロゲン
原子および低級アルキル基は前記の意味)が含まれる。
「アリールオキシ」の語は、式ArO−(ここで、Arは上
記のようなアリール基)で示される基を意味する。
【0019】Aで示されるカルボキシル基の「官能性誘
導体」の語は、塩(好ましくは、医薬上許容し得る
塩)、エステルおよびアミド類を含む。適当な「医薬上
許容し得る塩」としては、慣用される非毒性塩を含み、
無機塩基との塩、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム
塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム
塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、有機塩基と
の塩、例えばアミン塩(例えばメチルアミン、ジメチル
アミン塩、シクロヘキシルアミン塩、ベンジルアミン
塩、ピペリジン塩、エチレンジアミン塩、エタノールア
ミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン
塩、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)エタン塩、モノ
メチル−モノエタノールアミン塩、リジン塩、プロカイ
ン塩、カフェイン塩等)、塩基性アミノ酸塩(例えばア
ルギニン塩、リジン塩等)テトラアルキルアンモニウム
塩等があげられる。これらの塩類は、例えば対応する酸
および塩基から常套の方法によってまたは塩交換によっ
て製造し得る。
【0020】エステルの例としては、メチルエステル、
エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエス
テル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチ
ルエステル、ペンチルエステル、1−シクロプロピルエ
チルエステル等の低級アルキルエステル、ビニルエステ
ル、アリルエステル等の低級アルケニルエステル、エチ
ニルエステル、プロピニルエステル等の低級アルキニル
エステル、ヒドロキシエチルエステルのようなヒドロキ
シ(低級)アルキルエステル、メトキシメチルエステ
ル、1−メトキシエチルエステル等の低級アルコキシ
(低級)アルキルエステルのような脂肪族エステルおよ
び例えばフェニルエステル、トシルエステル、t−ブチ
ルフェニルエステル、サリチルエステル、3,4−ジメ
トキシフェニルエステル、ベンズアミドフェニルエステ
ル等の所望により置換されたアリールエステル、ベンジ
ルエステル、トリチルエステル、ベンズヒドリルエステ
ル等のアリール(低級)アルキルエステルがあげられ
る。アミドとしては、メチルアミド、エチルアミド、ジ
メチルアミド等のモノもしくはジ低級アルキルアミド、
アニリド、トルイジド等のアリールアミド、メチルスル
ホニルアミド、エチルスルホニルアミド、トリルスルホ
ニルアミド等のアルキルもしくはアリ-ルスルホニルアミ
ド等があげられる。 好ましいA基の例は、−COOH、−COOCH3、−
COOCH2CH3、−COOCH(CH32、−CON
HSO2CH3である。
【0021】上記式(I)中、環、αおよび/またはω
鎖の配置は、天然のPG類の配置と同様かまたは異なっ
ていてもよい。しかしながら、この発明は、天然の配置
を有する化合物および非天然の配置を有する化合物の混
合物も包含する。この発明の典型的な化合物類の例は、
15−デヒドロキシ−16−オキソ−PGE類、13,
14−ジヒドロ−15−デヒドロキシ−16−オキソ−
PGE類およびそれらの6−オキソ誘導体、△2−誘導
体、3R,S−メチル誘導体、5R,S−フルオロ誘導
体、5,5−ジフルオロ誘導体、17R,S−メチル誘導
体、17,17−ジメチル誘導体、17R,S−フルオロ
誘導体、17,17−ジフルオロ誘導体、18S−メチ
ル誘導体、18R,S−フルオロ誘導体、18,18−ジ
フルオロ誘導体、19−メチル誘導体、20−メチル誘
導体、および20−エチル誘導体並びに15−デヒドロ
キシ−16−オキソ−PGF類、13,14−ジヒドロ
−15−デヒドロキシ−16−オキソ−PGF類、15
−デヒドロキシ−16−オキソ−PGD類、13,14
−ジヒドロ−15−デヒドロキシ−16−オキソ−PG
D類、15−デヒドロキシ−16−オキソ−PGA類、
13,14−ジヒドロ−15−デヒドロキシ−16−オ
キソ−PGA類およびそれらの17−デプロピル−17
−トリフルオロメチルフェノキシ誘導体である。
【0022】この発明で用いる化合物において、13,
14,15位が飽和している場合に11位のヒドロキシ
と16位のケト間のヘミアセタール形成により、ケト−
ヘミアセタール平衡を生ずる場合がある。 このような互変異性体が存在する場合、両異性体の存在
比率は他の部分の構造または置換基の種類により変動
し、場合によっては一方の異性体が圧倒的に存在するこ
ともあるが、この発明においてはこれら両者を含むもの
とし、このような異性体の存在の有無にかかわりなくケ
ト型の構造式または命名法によって化合物を表わすこと
があるが、これは便宜上のものであってヘミアセタール
型の化合物を排除しようとするものではない。この発明
においては、個々の互変異性体、その混合物または光学
異性体、その混合物、ラセミ体、その他の立体異性体等
の異性体も、同じ目的に使用することが可能である。
【0023】[製造法] この発明の化合物のうち、15−デヒドロキシ−16−
オキソPG化合物は、次の反応式にしたがって製造する
ことができる(例えば特願平3−55930号参照)。
下記反応式中、P1、P2、P3およびP4は保護基、A'
は脱離基、Y'は−CH=CH−、R1'は低級アルキル
基、R2は前と同じ意味である。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0024】上記の反応式において、化合物(1)から
(7)に至る反応は増炭反応である。まず、適当な保護基
(例えば4−フェニルベンゾイル)を有するコーリー(Co
rey)ラクトン(1)(市販)に脱離基(例えばトシル)を導入
し、化合物(2)とする。これに、シアンイオン発生化合
物を反応させて、ニトリル(3)を得る。保護基を脱離し
て(4)とし、シアノ基を加水分解して(5)を得る。保護
基(好ましくは、アシル、例えばアセチル)を導入して
(6)とし、カルボキシ基を還元して、炭素数が1個増加
した化合物(7)を得る。化合物(7)を酸化(例えばコリ
ンズ酸化)して(8)とし、これに目的とするR2を有する
(2−オキソアルキル)ホスホン酸エステルを反応させて
(9)を得る。例えば、17,17−ジフルオロ体を目的
とする場合は(3,3−ジフルオロ−2−オキソアルキ
ル)−ホスホン酸エステル、17,17−ジメチル体を
目的とする場合は(3,3−ジメチル−2−オキソアル
キル)−ホスホン酸エステル、18−フェニル体を目的
とする場合は(4−フェニル−2−オキソアルキル)−
ホスホン酸エステルを用いればよい。14,15−ジヒ
ドロ体を目的とする場合、これを還元して(10)とし、
さらにオキソ基を還元して(11)とした後、保護して
(12)を得る。11位のアシル保護基を脱離して(13)
とし、別の保護基(例えばテトラヒドロピラニル)を導入
して(14)とし、ラクトンをラクトール(15)に還元す
る。ウイテイッヒ反応によりα鎖を導入して(16)と
し、エステル化して(17)とし、16位を脱保護して
(18)を得る。16位を酸化して(19)とした後、11
位を脱保護すると、目的とする化合物(20)が得られ
る。上記の製造法中、化合物(9)から(10)を得る還元
を省くと、Bが−CH2−CH=CH−の化合物(5
5)が得られる。また、α鎖導入剤を適宜選択すると、
Y'が−CH2−CH2−または−CH=CH−の化合物
が得られる。AがCOOHの化合物は、化合物(20)を
加水分解して得られる。
【0025】別法として、化合物(18)を加水分解して
(21)とし、これを例えばクロム酸のような酸化剤で酸
化して(22)を得、11位を脱保護すると、目的化合物
である(23)得られる。さらに、一般式(I)において
XがOH以外(例えば低級アルキル)の化合物を目的と
する場合は、化合物(13)のラクトンをラクトール
(26)に還元し、ウイテイッヒ反応によりα鎖を導入
して(27)とし、11位を例えば単環アリールスルホ
ン酸基で保護して(28)とし、酸化(例えばジョーン
ズ)して(29)とし、例えば低級アルキル銅錯体を反
応させて(30)とする。これを16位脱保護後、得ら
れたアルコール(31)を酸化して目的とする(32)
を得ることができる。PGD型化合物は、化合物(1
3)を還元してラクトール体(36)とし、α鎖導入に
よりジオール体(37)とした後、11−保護体(3
8)、ジ保護体(39)、9−保護体(40)、16−
脱保護体(41)を経て、酸化してジケトン体(42)
を得、9−脱保護して(43)を得ることができる。P
GA型化合物は、化合物(29)から得た16−脱保護
体(44)を酸化して(45)とすることにより得られ
る。PGF型化合物は、化合物(27)に保護基を導入
して(46)とし、側鎖を脱保護して(47)を得、酸
化して(48)とした後脱保護して(49)とすること
により得られる。なお、6−ケト化合物は例えば5,6
−エチレン体(50)にN−ブロムスクシンイミドまた
はよう素を反応させて(51)とし、これをDBUで処
理すると得られる。5,6−デヒドロ化合物(すなわち
アセチレン体)は、化合物(53)に銅錯体を反応させ
て生じる銅エノレートに6−アルコキシカルボニル−1
−ヨードヘキシンを反応させて得られる。
【0026】[効果]上記15−デキドロキシ−16−オ
キソ−PG化合物は、アレルギー疾患処置剤、炎症疾患
処置剤、抗ヒスタミン剤、ロイコトリエン拮抗剤、血小
板活性化因子拮抗剤および気管支拡張剤として有用であ
る。この発明で用いる化合物は動物およびヒト用の薬剤
として使用することができ、通常、全身的あるいは局所
的に点眼、点鼻、経口、静脈注射(点滴を含む)、皮下注
射、直腸内投与などの方法で使用される。投与量は動物
またはひと等のような対象の種類、年令、体重、処置さ
れるべき症状、所望の治療効果、投与方法、処置期間等
により変化するが、通常局所投与の場合0.05〜10
0μg/眼の投与量または1日2から4分割用量または
持続形態で全身投与する場合0.001〜500mg/
kgの投与量で通常十分な効果がえられる。
【0027】この発明による点眼剤としては、点眼液ま
たは眼軟膏等が含まれる。点眼液は、有効成分を無菌の
水溶液、例えば生理食塩水、緩衝液等に溶解させるかま
たは用時溶解用に組合せて作られる。眼軟膏は、基剤に
有効成分を混合して作られる。この発明による点鼻剤と
しては、点鼻液または鼻用スプレイ等が含まれる。点鼻
液は、有効成分を無菌の水溶液、例えば生理食塩水、緩
衝液等に溶解させるかまたは用時溶解用に組合せて作ら
れる。鼻用スプレイは、有効成分を水滴または粉末の形
で圧縮ガスまたは空気ポンプで噴出させるように作られ
る。この発明による経口投与のための固体組成物として
は、錠剤、トローチ、舌下錠、カプセル、丸剤、散剤、
顆粒剤等が含まれる。このような固体組成物においては
1つまたはそれ以上の活性物質が、少なくとも1つの不
活性な希釈剤、例えば、乳糖、セルロース、無水ケイ酸
等と混合される。組成物は常法に従って、不活性な希釈
剤以外の添加剤、例えば滑沢剤や崩壊剤、安定剤を含ん
でいてもよい。錠剤または丸剤は必要により胃溶性ある
いは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよいし、また、
2以上の層で被覆してもよい。更に崩壊され得る物質の
カプセル剤としてもよい。速効性を必要とするときは、
舌下錠としてもよい。経口投与のための液体組成物とし
ては、乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤
等が例示される。一般的に用いられる不活性な希釈剤、
例えば精製水、エタノール等を含んでいてもよい。この
組成物は不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁化剤のよう
な補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有して
いてもよい。経口投与のためのその他の組成物として
は、1つまたはそれ以上の活性物質を含み、それ自体公
知の方法により処方されるスプレー剤が含まれる。
【0028】この発明による非経口投与のための注射剤
としては無菌の水性または非水性の液剤、懸濁剤、乳剤
を包含する。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤
剤、乳化剤、分散剤のような補助剤を含んでいてもよ
い。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾
過、殺菌剤の配合、ガス滅菌または放射線滅菌によって
無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造
し、使用前に無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して
使用することもできる。別の形態は坐薬または腟坐薬で
ある。これらの坐薬は体温で軟化する基剤に有効成分を
混合して作ることができ、適当な軟化温度を有する非イ
オン界面活性剤を用いて吸収性を向上させてもよい。こ
の発明はまた、処置すべき対象に抗アレルギーあるいは
抗炎症有効量のこの発明の化合物を投与することからな
るアレルギー疾患並びに炎症疾患の処置法を提供するも
のである。 [実施例]以下、この発明を製造例、製剤例および試験例
によりさらに詳細に説明するが、これらはこの発明を限
定するものではない。
【0029】製造例1 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ−13,1
4−ジヒドロ−16−オキソ−PGE2メチルエステル
(20)[IUPAC命名法:(Z)−7−[(1R)−(2R,
3R)−2−(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)
−3−ヒドロキシ−5−オキソシクロペンチル]ヘプタ
−5−エン酸メチル]の製造。 1 −1) (1S,5R,6R,7R)−6−ジアゾメチル
−7−ヒドロキシ−2−オキサビシクロ[3.3.0]オク
タン−3−オン(4)の製造。 市販の(−)−コーリーラクトン(1)(15.0g)のピリ
ジン溶液に0℃で塩化p−トルエンスルホニル(30.3
g)を加え15時間撹拌した。反応液を常法に従って処
理し、粗トシル体(2)を得た。これをジメチルスルホキ
シドに溶解し、シアン化ナトリウム(3.92g)を加
え、60−70℃で2時間撹拌した。常法の処理により
粗生成物として粗シアノ体を得た。粗シアノ体(3)をメ
タノールに溶解し、炭酸カリウム(2.76g)を加え1
5時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供したとこ
ろ、表題化合物(4)(3.93g)を得た。収率:51%
【0030】1−2) 2−{(6R)−(1S,5R,7R)
−7−アセトキシ−3−オキソ−2−オキサビシクロ
[3.3.0]オクチル}酢酸の合成(6)の製造。 (1S,5R,6R,7R)−6−シアノメチル−7−ヒド
ロキシ−2−オキサビシクロ[3.3.0]オクタン−3−
オン(4)(1.25g)を1N水酸化ナトリウム水溶液に
溶解し、100−110℃で撹拌した。放冷後、塩酸で
中和し、そのまま減圧下濃縮した。得られた残渣に酢酸
エチル、メタノールを加え、不溶物を濾別した。濾液を
減圧下濃縮し、粗カルボン酸(5)を得た。粗カルボン酸
(5)に無水酢酸(20ml)、ピリジン(10ml)を加
え、15時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣に
1N塩酸を加え1時間撹拌した。反応液を常法に従って
処理したところ、粗生成物として表題化合物(6)が得ら
れた。
【0031】1−3) (1S,5R,6R,7R)−7−ア
セトキシ−6−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサビ
シクロ[3.3.0]オクタン−3−オン(7)の製造。 1−2)で製造した、2−{(6R)−(1S,5R,7R)−
7−アセトキシ−3−オキソ−2−オキサビシクロ[3.
3.0]オクチル}酢酸(6)を酢酸エチルに溶解し、0℃
に冷却した。これにボロン・ジチメルスルフィド錯体
(0.65ml)を加え、室温で3時間撹拌し、メタノー
ル(6ml)を加え、減圧下濃縮した。得られた残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィーに供したところ、表
題化合物(7)(0.803g)を得た。 収率:51%(化合物(4)からの収率)
【0032】1−4) (1S,5R,6R,7R)−7−ア
セトキシ−6−[(E)−5,5−ジフルオロ−4−オキソ
−2−オクテニル]−2−オキサビシクロ[3.3.0]オ
クタン−3−オン(9)の製造。 オキザリルクロライド(0.90ml)の塩化メチレン溶
液を−78℃に冷却し、ジメチルスルホキシド(1.64
ml)を加えた。これに(1S,5R,6R,7R)−7−ア
セトキシ−6−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサビ
シクロ[3.3.0]オクタン−3−オン(7)(1.77g)
の塩化メチレン溶液を加えた。30分後、−30℃に昇
温し、トリメチルアミン(3.28ml)を加えさらに3
0分撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を
加え、常法により処理した。粗生成物としてアルデヒド
(8)を得た。タリウム(I)エトキシド(1.29g)のテト
ラヒドロフラン溶液に、ジメチル・3,3−ジフルオロ
−2−オキソヘキシルホスホネート(1.39g)のテト
ラヒドロフラン溶液を加えた。氷冷し、先に調整したア
ルデヒド(8)のテトラヒドロフラン溶液を加えた。15
時間撹拌し、酢酸で中和し、ヨウ化カリウム水溶液を加
え不溶物を濾別した。濾液を常法に従って処理し、得ら
れた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し
たところ表題化合物(9)(0.967g)を得た。 粒径:54%
【0033】1−5) (1S,5R,6R,7R)−7−ア
セトキシ−6−[5,5−ジフルオロ−4(RS)−ヒドロ
キシオクチル]−2−オキサビシクロ[3.3.0]オクタ
ン−3−オン(11)の製造。 (1S,5R,6R,7R)−7−アセトキシ−6−[(E)−
5,5−ジフルオロ−4−オキソ−2−オクテニル]−2
−オキサビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オン(9)
(1.55g)の酢酸エチル溶液にパラジウム−炭素(0.
200g)を加え、水素雰囲気下で15時間撹拌した。
反応液を濾過し、濾液を減圧下濃縮したところ、粗ケト
ン体(10)を得た。粗ケトン体(10)をメタノールに溶
解し、−35℃で水素化ホウ素ナトリウム(0.169
g)を加えた。30分後、酢酸を加え、常法により処理
した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーに供したところ、表題化合物(11)(1.52
g)を得た。 収率:97%
【0034】1−6) (1S,5R,6R,7R)−6−
[4(RS)−t−ブチルジメチルシロキシ−5,5−ジフ
ルオロオクチル]−7−ヒドロキシ−2−オキサビシク
ロ[3.3.0]オクタン−3−オン(13)の製造。 (1S,5R,6R,7R)−7−アセトキシ−6−[5,5
−ジフルオロ−4(RS)−ヒドロキシオクチル]−2−
オキサビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オン(11)
(1.52g)をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、
イミダゾール(1.78g)、塩化 t−ブチルジメチルシ
リル(1.97g)を加え、3日間撹拌した。常法の処理
により、粗シリル体(12)を得た。粗シリル体(12)
を、メタノールに溶解し、炭酸カリウム(0.60g)を
加え、2時間撹拌した。反応液を常法に従って処理し、
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーに供したところ、表題化合物(13)(1.63g)を得
た。 収率:89%
【0035】1−7) (1S,5R,6R,7R)−6−
[4(RS)−t−ブチルジメチルシロキシ−5,5−ジフ
ルオロオクチル]−7−テトラヒドロピラニルオキシ−
2−オキサビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オン(1
4)の製造。 (1S,5R,6R,7R)−6−[4(RS)−t−ブチルジ
メチルシロキシ−5,5−ジフルオロオクチル]−7−ヒ
ドロキシ−2−オキサビシクロ[3.3.0]オクタン−3
−オン(13)(1.63g)の塩化メチレン溶液に、0℃
でジヒドロピラン(1.70ml)、p−トルエンスルホン
酸・H2O(20mg)を加えた。30分後、常法により
処理し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィーに供したところ、表題化合物(14)(1.93
g)が得られた。 収率:99%
【0036】1−8) (Z)−7−{(1R)−(2R,3
R,5S)−2−[4(RS)−t−ブチルジメチルシロキシ
−5,5−ジフルオロオクチル]−5−ヒドロキシ−3−
テトラヒドロピラニルオキシシクロペンチル}ヘプタ−
5−エン酸メチル(17)の製造。 (1S,5R,6R,7R)−6−[4(RS)−t−ブチルジ
メチルシロキシ−5,5−ジフルオロオクチル]−7−テ
トラヒドロピラニルオキシ−2−オキサビシクロ[3.
3.0]オクタン−3−オン(14)(1.93g)のトルエ
ン溶液に−78℃でジイソブチルアルミニウムヒドリド
のトルエン溶液(1.0M,11.5ml)を加えた。30
分後、メタノール、飽和ロッシェル塩水溶液を加え、常
法により処理した。粗生成物としてラクトール体(15)
を得た。臭化4−カルボキシブチルトリフェニルホスホ
ニウム(6.80g)にカリウムt−ブトキシドのテトラヒ
ドロフラン溶液(1.0M,30.7ml)を滴下し、室温
で15分撹拌した。反応液を−40℃に冷却し、上で調
整したラクトール体(15)のテトラヒドロフラン溶液を
加えた。25℃に保って15時間撹拌し、常法により処
理した。粗生成物としてカルボン酸体(16)を得た。粗
カルボン酸体(16)のエーテル溶液に常法により調整し
たジアゾメタンのエーテル溶液を加えた。反応液を減圧
下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーに供したところ、表題化合物(17)(1.90
g)を得た。 収率:82%
【0037】1−9) (Z)−7−{(1R)−(2R,3
R,5S)−2−[5,5−ジフルオロ−4(RS)−ヒドロ
キシオクチル]−5−ヒドロキシ−3−テトラヒドロピ
ラニルオキシシクロペンチル}ヘプタ−5−エン酸メチ
ル(18)の製造。 (Z)−7−{(1R)−(2R,3R,5S)−2−[4(RS)
−t−ブチルジメチルシロキシ−5,5−ジフルオロオク
チル]−5−ヒドロキシ−3−テトラヒドロピラニルオ
キシシクロペンチル}ヘプタ−5−エン酸メチル(17)
(1.90g)のテトラヒドロフラン溶液にフッ化テトラ
ブチルアンモニウムのテトラヒドロフラン溶液(1.0
M,15.7ml)を加え、室温で3日撹拌した。反応液
を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーに供したところ、表題化合物(18)(1.
16g)を得た。 収率:75%
【0038】1−10) (Z)−7−[(1R)−(2R,3
R)−2−(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−
5−オキソ−3−テトラヒドロピラニルオキシシクロペ
ンチル]ヘプタ−5−エン酸メチル(19)の製造。 オキザリルクロライド(0.165ml)の塩化メチレン
溶液を−78℃に冷却し、ジメチルスルホキシド(0.3
0ml)を加えた。これに、(Z)−7−{(1R)−(2R,
3R,5S)−2−[5,5−ジフルオロ−4(RS)−ヒド
ロキシオクチル]−5−ヒドロキシ−3−テトラヒドロ
ピラニルオキシシクロペンチル}ヘプタ−5−エン酸メ
チル(18)(0.244g)の塩化メチレン溶液を加え、
−25℃に昇温して1時間撹拌した。トリエチルアミン
(0.60ml)を加えさらに30分撹拌し、1N塩酸に
注いだ。常法に従って処理し、得られた粗生成物をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーに供したところ、表題
化合物(19)(0.20g)を得た。 収率:83%
【0039】1−11) 15−デヒドロキシ−17,1
7−ジフルオロ−13,14−ジヒドロ−16−オキソ
−PGE2メチルエステル[(Z)−7−[(1R)−(2R,
3R)−2−(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)
−5−オキソ−3−ヒドロキシシクロペンチル]ヘプタ
−5−エン酸メチル](20)の製造。 (Z)−7−[(1R)−(2R,3R)−2−(5,5−ジフル
オロ−4−オキソオクチル)−5−オキソ−3−テトラ
ヒドロピラニルオキシシクロペンチル]ヘプタ−5−エ
ン酸メチル(19)(0.20g)を酢酸、水、テトラヒド
ロフラン混合溶液(4:2:1)に溶解し、45〜50℃で
3時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、さら
に、ローバーカラム(E.メルク社製,ODS,タイプB)
を用いて中圧クロマトグラフィーに供したところ、表題
化合物(20)(0.124g)が得られた。 収率:75% 化合物(20)(Q1=Q2=F、R2'=プロピル、A'
=メチル)1 H NMR(CDCl3)δ0.98(t,3H,J=7Hz),
1.1−2.80(m,22H),3.11(m,1H),3.68
(s,3H),4.12−4.27(m,0.73H),4.32−
4.47(m,0.27H),5.25−5.5.54(m,2H). MS(DI−EI) m/z 402(M+),384(M+−H2
O),368(M+−HF−H2O),353(M+−OCH3
2O),309(M+−C472).
【0040】製造例2 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ−13,1
4−ジヒドロ−16−オキソ−PGE2(23)[IUPA
C命名法:(Z)−7−[(1R)−(2R,3R)−2−(5,
5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−5−オキソ−
3−ヒドロキシシクロペンチル]ヘプタ−5−エン酸]の
製造。 2−1) (Z)−7−[(1R)−(2R,3R)−2−(5,
5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−5−オキソ−
3−テトラヒドロピラニルオキシシクロペンチル]ヘプ
タ−5−エン酸(22)の製造。 (Z)−7−{(1R)−(2R,3R,5S)−2−[5,5−
ジフルオロ−4(RS)−ヒドロキシオクチル]−5−ヒ
ドロキシ−3−テトラヒドロピラニルオキシシクロペン
チル}ヘプタ−5−エン酸メチル(18)(0.457g)を
メタノールに溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液(4.
8ml)を加え4時間撹拌した。常法の処理によりジア
ルコール体(21)を得た。ピリジン(5.93ml)の塩
化メチレン溶液にクロム酸(3.67g)を加え室温で1
時間撹拌し、セライトを加えた。これらジアルコール体
(21)の塩化メチレン溶液を加え30分撹拌した。反応
液に硫酸水素ナトリウム(30g)を加え常法により処理
した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(マリンクロット社製、CC−4)に供したとこ
ろ、表題化合物(22)(0.231g)を得た。 収率:53%
【0041】2−2) 15−デヒドロキシ−17,17
−ジフルオロ−13,14−ジヒドロ−16−オキソ−
PGE2(23)[(Z)−7−[(1R)−(2R,3R)−2−
(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−5−オキ
ソ−3−ヒドロキシシクロペンチル]ヘプタ−5−エン
酸](23)の製造。 (Z)−7−[(1R)−(2R,3R)−2−(5,5−ジフル
オロ−4−オキソオクチル)−5−オキソ−3−テトラ
ヒドロピラニルオキシシクロペンチル]ヘプタ−5−エ
ン酸(22)(0.231g)を酢酸、水、テトラヒドロフ
ランの混合溶媒(4:2:1)に溶解し、45℃で3.5時
間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をロ
ーバーカラム(メルク社製,ODS,タイプB)を用いて中
圧クロマトグラフィーに供したところ、表題化合物(2
3)(0.110g)が得られた。 収率:58% 化合物(23)(Q1=Q2=F、R2'=プロピル)1 H NMR(CDCl3)δ1.00(t,3H,J=7Hz),
1.10−2.80(m,22H),4.12−4.27(m,0.
71H),4.32−4.46(m,0.29H),5.27−5.
55(m,2H),4.0−6.5(brs,2H). MS(DI−EI) m/z 388(M+),370(M+−H2
O).
【0042】製造例3 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ−13,1
4−ジヒドロ−16−オキソ−PGE2イソプロピルエ
ステル(20)[IUPAC命名法: (Z)−7−[(1R)
−(2R,3R)−2(5,5−ジフルオロ−4−オキソオ
クチル)−3−ヒドロキシ−5−オキソシクロペンチル]
ヘプタ−5−エン酸イソプロピル]の合成。 3−1) (Z)−7−{(1R)−(2R,3R,5S)−2−
[4(R,S)−t−ブチルジメチルシリルオキシ−5,5−
ジフルオロオクチル]−5−ヒドロキシ−3−テトラヒ
ドロピラニルオキシシクロペンチル}ヘプタ−5−エン
酸イソプロピル(17)の合成。 粗カルボン酸(16)のアセトニトリル溶液に、よう化イ
ソプロピル(0.85ml)及び1,8−ジアザビシクロ
[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)(1.29ml)
を加え、60−65℃に2時間保った。常法処理により
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーに供し、表題化合物(17)(1.1g)を得た。 収率:87%(化合物(14)から)
【0043】3−2) (Z)−7−{(1R)−(2R,3
R,5S)−2−[4(R,S)−ヒドロキシ−5,5−ジフ
ルオロオクチル]−5−ヒドロキシ−3−テトラヒドロ
ピラニルオキシシクロペンチル}ヘプタ−5−エン酸イ
ソプロピル(18)の合成。 化合物(17)(1.1g)のTHF溶液に、ふっ化テトラ
ブチルアンモニウム(1M THF、5.5ml)を加え、
1時間20分室温で撹拌した。常法処理により得た粗生
成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、表
題化合物(18)(0.906g)を得た。 収率:100% 3−3) (Z)−7−[(1R)−(2R,3R,5S)−2−
(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−5−オキ
ソ−3−テトラヒドロピラニルオキシシクロペンチル]
ヘプタ−5−エン酸イソプロピル(19)の合成。 塩化オキザリルの塩化メチレン溶液(2M、3.5ml)
を−78℃とし、これへジメチルスルホキシド(DMS
O)(1.1ml)を加えた。化合物(18)(0.906g)
の塩化メチレン溶液(11ml)を滴下し、1.5時間−
35〜−25℃で撹拌した。トリエチルアミン(2.1m
l)を滴下して20分後、1N塩酸に注いだ。常法の処
理により得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィーに供し、表題化合物(19)(0.785g)を
得た。 収率:87.7%
【0044】3−4) (Z)−7−[(1R)−(2R,3
R)−2−(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−
5−オキソ−3−ヒドロキシシクロペンチル]ヘプタ−
5−エン酸イソプロピル(20)の合成。 化合物(19)(0.785g)を酢酸:THF:水混合溶
媒(3:1:1、70ml)に溶解し、50℃に4.5時
間保った。常法処理により得られた粗生成物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーに供し、表題化合物(20)
(0.335g)を得た。 化合物(20)(Q1=Q2=F、R2'=プロピル、A'
=イソプロピル)1 HNMR(CDCl3)δ 0.94(t,3H,J=7.4H
z)、1.20(d,6H,J=6.2Hz)、1.3〜2.9(m,
22H)、4.17(m,1H)、4.98(h,1H,J=6.2
Hz)、5.22〜5.52(m,2H) MS(DI−ZI)m/z 430(M+)、412(M+−H2
O)、371(M+−C37O)、353(M+−C37O−
2O)
【0045】製造例4 11,15−ジデヒドロキシ−17,17−ジフルオロ−
13,14−ジヒドロ−11−メチル−16−オキソ−
PGE2メチルエステル(32)[IUPAC命名法:
(Z)−7−[(1R,2S,3R)−2−(5,5−ジフルオ
ロ−4−オキソオクチル)−3−メチル−5−オキソシ
クロペンチル]ヘプタ−5−エン酸メチル]の合成。 4−1) [1S,3(R,S),5R,6R,7R]−6−[4
(R,S)−t−ブチルジメチルシロキシ−5,5−ジフル
オロオクチル]−3,7−ジヒドロキシ−2−オキサビシ
クロ[3.3.0]オクタン(26)の合成。 (1S,5R,6R,7R)−6−[4(R,S)−t−ブチルジ
メチルシリルオキシ−5,5−ジフルオロオクチル]−7
−ヒドロキシ−2−オキサビシクロ[3.3.0]オクタン
−3−オン(13)(1.06g)のトルエン溶液を−78
℃に冷却し、水素化ジイソブチルアルミニウム(1.5
M、7.56ml)を滴下した。30分後、メタノール8
mlを加えた。常法処理によりラクトール(26)を得
た。 4−2) (Z)−7−{(1R)−(2R,3R,5S)−2−
[4(R,S)−t−ブチルジメチルシロキシ−5,5−ジフ
ルオロオクチル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチ
ル}ヘプタ−5−エン酸メチル(27)の合成。 臭化(4−カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウ
ム(6.7g)をTHF(5ml)に懸濁し、カリウムt−ブ
トキシド(1.0M THF溶液、30.2ml)を滴下
し、30分間室温で撹拌した。これを−40℃に冷却
し、ラクトール(26)のTHF溶液(15ml)を加え、
−20℃で一夜撹拌した。常法処理して得られた粗カル
ボン酸をジアゾメタンでエステル化後、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーに供し、ジオール(27)(1.12
g)を得た。 収率:85%
【0046】4−3) (Z)−7−{(1R)−(2R,3
R,5S)−2−[4(R,S)−t−ブチルジメチルシロキ
シ−5,5−ジフルオロオクチル]−5−ヒドロキシ−3
−(p−トルエンスルホキシ)シクロペンチル}ヘプタ−5
−エン酸メチル(28)の合成。 ジオール(27)(0.574g)のピリジン溶液を−20
℃とし、これへ塩化p−トルエンスルホニル(2.1g)を
加え、1時間撹拌し、0℃で2時間撹拌した。常法処理
に得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーに供し、モノトシレート(28)(0.465g)を得
た。 収率:63% 4−4) (Z)−7−{(1R,2R)−2−[4(R,S)−t
−ブチルジメチルシロキシ−5,5−ジフルオロオクチ
ル]−5−オキソシクロペンタ−3−エニル}ヘプタ−5
−エン酸メチル(29)の合成。 モノトシレート(15)(0.465g)のアセトン溶液(2
0ml)を−30℃とし、ジョーンズ試薬(0.9ml)を
滴下し、−20〜10℃で50分間撹拌した。イソプロ
パノール(0.9ml)を加え、20分間撹拌後、常法処
理した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィーに供し、α,β−不飽和ケトン(29)(0.2
01g)を得た。 収率:71% 4−5) (Z)−7−{(1R,2S,3R)−2−[4(R,
S)−t−ブチルジメチルシロキシ−5,5−ジフルオロ
オクチル]−3−メチル−5−オキソシクロペンチル}ヘ
プタ−5−エン酸メチル(30)の合成。 無水エーテル(15ml)によう化銅(0.313g)を加
え0℃とし、これへメチルリチウム(1.4M、2.35
ml)を滴下した。無水透明となった後、α,β−不飽和
ケトン(29)(0.274g)のエーテル溶液(15ml)
を滴下した。常法処理により得た粗生成物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィーに供し、化合物(30)(0.2
01g)を得た。 収率:71%
【0047】4−6) (Z)−7−{(1R,2S,3R)−
2[4(R,S)−ヒドロキシ−5,5−ジフルオロオクチ
ル]−3−メチル−5−オキソ−シクロペンチル}ヘプタ
−5−エン酸メチル(31)の合成。 化合物(30)(0.201g)のアセトニトリル溶液(20
ml)にふっ化水素酸(1ml)を加え、室温で2.5時間
撹拌した。常法処理により得た粗生成物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーに供し、アルコール(31)(0.
138g)を得た。 収率:88% 4−7) (Z)−7−[(1R,2S,3R)−2−(5,5−
ジフルオロ−4−オキソオクチル)−3−メチル−5−
オキソシクロペンチル]ヘプタ−5−エン酸メチル(3
2)の合成。 塩化メチレン(20ml)中無水クロム酸(1.2g)から
調整したコリンズ試薬にセライト(5g)を加え、これへ
アルコール(31)(0.138g)の塩化メチレン溶液(1
0ml)を加え室温で30分間撹拌後、常法処理した。
得られた粗生成物をシリカゲルカラロクロマトグラフィ
ーに供し、化合物(32)を得た。 収率:81% 化合物(32)(X'=メチル、Q1=Q2=F、R2'=
プロピル、A'=メチル)1 HNMR(CDCl3)δ 0.97(t,3H,J=7.5H
z)、1.13(d,3H,6Hz)、1.35〜2.80(m,23
H)、3.67(s,3H)、5.23−5.50(m,2H) MS(DI−ZI)m/z 400(M+)、369(M+−C
3O)
【0048】製造例5 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ−13,1
4−ジヒドロ−16−オキソ−PGE1メチルエステル
(35)[IUPAC命名法: 7−{(1R)−(2R,3R)
−2−(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−3
−ヒドロキシ−5−オキソシクロペンチル}ヘプタン酸
メチル]の合成。 5−1) 7−{(1R)−(2R,3R,5S)−2−[5,5
−ジフルオロ−4(R,S)−ヒドロキシオクチル]−5−
ヒドロキシ−3−テトラヒドロピラニルオキシシクロペ
ンチル}ヘプタン酸メチル(33)の合成。 ジオール(18)(0.456g)の酢酸エチル溶液(30m
l)にパラジウム−炭素(Pd−C)(100mg)を加
え、水素雰囲気下で一夜撹拌した。濾過し、濾液を減圧
濃縮し、ジヒドロ体(33)(0.450g)を得た。 収率:98% 5−2) 7−{(1R)−(2R,3R)−2−(5,5−ジ
フルオロ−4−オキソオクチル)−5−オキソ−3−テ
トラヒドロピラニルオキシシクロペンチル}ヘプタン酸
メチル(34)の合成。 塩化メチレン(20ml)中、無水クロム酸(3.67g)
から調整したコリンズ試薬にセライト(10g)を加え、
ジヒドロ体(33)(0.450g)を酸化した。常法処理
して得た粗生成物をシリカゲルカラロクロマトグラフィ
ーに供し、ジケトン(34)(0.371g)を得た。 収率:83% 5−3) 7−{(1R)−(2R,3R)−2−(5,5−ジ
フルオロ−4−オキソオクチル)−3−ヒドロキシ−5
−オキソシクロペンチル}ヘプタン酸メチル(35)の合
成。 ジケトン(34)(0.371g)を酢酸:THF:水混合
溶媒(3:1:1、35ml)に溶解し一夜撹拌した。常
法処理して得られた粗生成物をローバーカラム(ODS)
を用いて精製し、化合物(35)を得た。 収量:0.136(44%) 化合物(35)(Q1=Q2=F、R2'=プロピル、A'
=メチル)1 HNMR(CDCl3)δ 0.98(t,3H,7.5Hz)、
1.1〜2.9(m,26H)、3.67(s,3H)、4.1〜
4.25(m,1H) MS(DI−EI)m/z 404(M+)、386(M+−H2
O)、355(M+−H2O−CH3O)
【0049】製造例6 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ−13,1
4−ジヒドロ−16−オキソ−PGD2メチルエステル
(43)[IUPAC命名法: (Z)−7−{(1R)−(2
R,5S)−2−(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチ
ル)−5−ヒドロキシ−3−オキソシクロペンチル}ヘプ
タ−5−エン酸メチル]の合成。 6−1) (Z)−7−{(1R)−(2R,3R,5S)−2−
[4(R,S)−t−ブチルジメチルシロキシ−5,5−ジフ
ルオロオクチル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチ
ル}ヘプタ−5−エン酸メチル(37)の合成。 ラクトン(13)(1.06g)のトルエン溶液を−78℃
とし、DIBAL−H(1.5M、7.56ml)で還元し
た。常法処理によりラクトール(36)を得た。臭化(4
−カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウム(6.7
g)をTHF(5ml)に懸濁し、カリウムt−ブトキシド
(1.0MTHF、30.2ml)を滴下し、30分間室温
で撹拌した後、−40℃とした。ラクトール(36)のT
HF溶液(15ml)を加え−20℃で一夜撹拌した。常
法処理で得た粗カルボン酸をジアゾメタンでエステル化
後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、ジオ
ール(37)(1.12g)を得た。 収率:85%
【0050】6−2) (Z)−7−{(1R)−(2R,3
R,5S)−2−[4(R,S)−t−ブチルジメチルシロキ
シ−5,5−ジフルオロオクチル]−3−ベンゾイルオキ
シ−5−ヒドロキシシクロペンチル}ヘプタ−5−エン
酸メチル(38)の合成。 ジオール(37)(0.564g)の塩化メチレン溶液に、
ピリジン(0.85ml)を加え−30℃とした。これへ
塩化ベンゾイル(0.147g)を加え1時間撹拌後、塩
化ベンゾイル(0.440g)を追加し2時間−20℃で
撹拌した。常法処理により得た粗生成物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーに供し、モノベンゾイル体(3
8)(0.567g)を得た。 収率:77% 6−3) (Z)−7−{(1R)−(2R,3R,5S)−2−
[4(R,S)−t−ブチルジメチルシロキシ−5,5−ジフ
ルオロオクチル]−3−ベンゾイルオキシ−5−テトラ
ヒドロピラニルオキシシクロペンチル}ヘプタ−5−エ
ン酸メチル(39)の合成。 モノベンゾイル体(38)(0.567g)の塩化メチレン
溶液に、ジヒドロピラン(0.6ml)を加え0℃とし
た。これへ触媒量のp−トルエンスルホン酸を加え30
分間撹拌した。常法処理により得た粗生成物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーに供し、化合物(39)(0.
689g)を得た。 6−4) (Z)−7−{(1R)−(2R,3R,5S)−2−
[4(R,S)−t−ブチルジメチルシロキシ−5,5−ジフ
ルオロオクチル]−3−ヒドロキシ−5−テトラヒドロ
ピラニルオキシシクロペンチル}ヘプタ−5−エン酸メ
チル(40)の合成。 化合物(39)(0.689g)の乾
燥メタノール溶液に炭酸カリウム(0.125g)を加え
室温で2時間撹拌した。更に炭酸カリウム(1.75g)
を追加し一夜放置した。常法処理により得た粗生成物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、モノアル
コール(40)(0.479g)を得た。 収率:87%(化合物(38)から)
【0051】6−5) (Z)−7−{(1R)−(2R,3
R,5S)−2−[4(R,S)−ヒドロキシ−5,5−ジフ
ルオロオクチル]−3−ヒドロキシ−5−テトラヒドロ
ピラニルオキシシクロペンチル}ヘプタ−5−エン酸メ
チル(41)の合成。 モノアルコール(40)(0.479g)のTHF溶液にふ
っ化テトラブチルアンモニウム(1.0M THF、3.
95ml)を加え室温で一夜撹拌した。常法処理により
得た粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーに供し、
ジオール(41)を得た。 収率:72% 6−6) (Z)−7−{(1R)−(2R,5S)−2−(5,
5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−3−オキソ−
5−テトラヒドロピラニルオキシシクロペンチル]ヘプ
タ−5−エン酸メチル(42)の合成。 塩化オキザリル(0.24ml)の塩化メチレン溶液を−
78℃としこれへDMSO(0.44ml)を滴下した。
15分後、ジオール(41)(0.358g)の塩化メチレ
ン溶液を滴下し、30分後−50℃とし1.5時間撹拌
した。その後、−35℃としトリエチルアミン(0.88
ml)を加え30分間撹拌した。常法処理により得た粗
生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、
ジケトン(42)(0.188g)を得た。 収率:53%
【0052】6−7) (Z)−7−{(1R)−(2R,5
S)−2−(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−
5−ヒドロキシ−3−オキソシクロペンチル}ヘプタ−
5−エン酸メチル(43)の合成。 ジケトン(42)(0.188g)を酢酸:THF:水混合
溶媒(3:1:1、25ml)に溶解し、40℃に3.5
時間保った。常法処理後に得た粗生成物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーに供し、表題化合物(43)(0.
112g)を得た。収率:72% 化合物(43)(Q1=Q2=F、R2'=プロピル、A'
=メチル)1 HNMR(CDCl3)δ 0.98(t,3H,J=7.5H
z)、1.4〜2.8(m,22H)、3.69(s,3H)、4.1
〜4.5(m,1H)、5.4〜5.6(m,2H) MS(DI−ZI)m/z 402(M+)、384(M+−H2
O)、353(M+−H2O−CH3O)、333(M+−H2
O−CH3O−HF)
【0053】製造例7 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ−13,1
4−ジヒドロ−16−オキソ−PGA2メチルエステル
(45)[IUPAC命名法: (Z)−7−{(1R,2R)−
2−(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−5−
オキソシクロペンタ−3−エニル}ヘプタ−5−エン酸
メチル]の合成。 7−1) (Z)−7−{(1R,2R)−2−[5,5−ジフ
ルオロ−4(R,S)−ヒドロキシオクチル]−5−オキソ
シクロペンタ−3−エニル}ヘプタ−5−エン酸メチル
(44)の合成。 α,β−不飽和ケトン(29)(0.276g)をふっ化水素
水のアセトニトリル溶液(46%ふっ化水素:アセトニ
トリル=95:5)(20ml)に溶解し、室温で2時間
撹拌した。常法の処理により得た粗生成物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィーに供し、アルコール(44)
(0.180g)を得た。 7−2) (Z)−7−{(1R,2R)−2−(5,5−ジフ
ルオロ−4−オキソオクチル)−5−オキソシクロペン
タ−3−エニル}ヘプタ−5−エン酸メチル(45)の合
成。 塩化オキザリル(2MCH2Cl2)(0.47ml)を塩化メ
チレン(12ml)に溶解し、DMSO(0.12ml)を
加え−78℃とした後、アルコール(44)(0.180
g)の塩化メチレン溶液(10ml)を加え、−50℃で
1時間撹拌した。その後、−30℃でトリエチルアミン
(0.23ml)を加え30分間撹拌した。常法処理で得
られた粗生成物をローバーカラム(ODS)で精製し表題
化合物(45)(0.126g)を得た。 収率:71% 化合物(45)(Q1=Q2=F、R2'=プロピル、A'
=メチル)1 HNMR(CDCl3)δ 1.00(t,3H,J=7.5H
z)、1.40〜2.80(m,20H)、3.70(s,3H)、
5.28〜5.55(m,2H)、6.17(dd,1H,J=7.
5,J=2.5)、7.63(dd,1H,J=7.5,J=2.
5) MS(DI−ZI)m/z 384(M+)、353(M+−C
3O)
【0054】製造例8 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ−13,1
4−ジヒドロ−16−オキソ−PGF2αメチルエステ
ル(49)[IUPAC命名法:(Z)−7−[(1R)−
(2R,3R,5S)−2−(5,5−ジフルオロ−4−オキ
ソオクチル)−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]ヘ
プタ−5−エン酸メチル]の合成 8−1) (Z)−7−{(1R)−(2R,3R,5S)−2
−[4(R,S)−t−ブチルジメチルシロキシ−5,5−ジ
フルオロオクチル]−3,5−ジ(テトラヒドロピラニル
オキシ)シクロペンチル}ヘプタ−5−エン酸メチル(4
6) (Z)−7−{(1R)−(2R,3R,5S)−2−[4(R,
S)−t−ブチルジメチルシロキシ−5,5−ジフルオロ
オクチル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル}ヘプ
タ−5−エン酸メチル(27)(0.647g)のジクロロメ
タン溶液(10ml))を−5℃に冷却し、ジヒドロピラン
(0.91ml)及び触媒量のp−トルエンスルホン酸を加え
た。反応液を徐々に室温に戻し16時間保った。常法処
理後に得られた粗生成物をシリカゲルカラムで精製し、
化合物(46)を得た。 収量:0.893g(100%)
【0055】8−2) (Z)−7−{(1R)−(2R,3
R,5S)−2−[5,5−ジフルオロ−4(R,S)−ヒド
ロキシオクチル]−3,5−ジ(テトラヒドロピラニルオ
キシ)シクロペンチル}ヘプタ−5−エン酸メチル(47) 化合物(46)(0.89g)のTHF溶液(12ml)に1Mテ
トラブチルアンモニウムフルオリド(3.72ml)を加え
1時間攪拌した。常法処理後に得た粗生成物をシリカゲ
ルカラムで精製した。 収量:0.676g(95%) 8−3) (Z)−7−[(1R)−(2R,3R,5S)−2
−(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−3,5−
ジ(テトラヒドロピラニルオキシ)シクロペンチル]ヘプ
タ−5−エン酸メチル(48) ジクロロメタン(9ml)中、2M塩化オギザリル(0.76
ml)、DMSO(0.22ml)及びトリエチルアミン(0.4
3ml)を用いて化合物(47)(0.676g)をスワーン酸
化した。常法処理後に得られた粗生成物をシリカゲルカ
ラムで精製し化合物(48)を得た。 収量:0.558g(82%) 8−4) (Z)−7−[(1R)−(2R,3R,5S)−2
−(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−3,5−
ジヒドロキシシクロペンチル]ヘプタ−5−エン酸メチ
ル(49) 化合物(48)(0.558g)を酢酸:水:THF混合溶媒
(4:2:1、49ml)に溶解し、45〜50℃に2.5
時間保った。シリカゲルカラムで精製し化合物(49)を
得た。 収量:0.367g(94%) 化合物(49)(Q1=Q2=F、R2'=プロピル、A'
=メチル)1 HNMR(CDCl3)δ 0.95(t,3H)、1.1〜
3.0(m,24H)、3.66(s,3H)、3.95(s,1
H)、4.14(s,1H)、5.28〜5.52(m,2H) MS m/z 404(M+)、386(M+−H2O)、36
8(M+−2H2O)
【0056】製造例9 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ−13,1
4−ジヒドロ−20−メチル−16−オキソ−PGE2
メチルエステル(20)[IUPAC命名法:(Z)−7
−[(1R)−(2R,3R)−2−(5,5−ジフルオロ−4
−オキソノニル]−5−オキソ−3−ヒドロキシシクロ
ペンチル]ヘプタ−5−エン酸メチル]の製造 化合物
(8)と3,3−ジフルオロ−2−オキソヘプチルホスホ
ン酸ジメチルとを用い15−デヒドロキシ−17,17
−ジフルオロ−13,14−ジヒドロ−16−オキソ−
PGE2メチルエステルの製造と同様に操作して表題化
合物(20)を得た。 化合物(20)(Q1=Q2=F、R2'=ブチル、A'=
メチル)1 HNMR(CDCl3)δ 0.94(t,3H)、1.1〜
2.9(m,27H)、3.68(s,3H)、4.2(br.s,1/
2H)、4.4(q,1/2H)、5.4(m,2H)。 MSm/z 384(M+−H2O)、353(M+−H2O−
CH3O)
【0057】製造例10 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ−13,1
4−ジヒドロ−16−オキソ−PGE1イソプロピルエ
ステル(35)[IUPAC命名法:7−[(1R)−(2R,
3R)−2−(5,5−ジフルオロ−4−オキソオクチル)
−3−ヒドロキシ−5−オキソシクロペンチル]ヘプタ
−5−エン酸イソプロピル]の製造 製造例3で得た15−デヒドロキシ−17,17−ジフ
ルオロ−13,14−ジヒドロ−16−オキソ−PGE2
イソプロピルエステル(20)(0.303g)を酢酸エチル
(20ml)中、5%パラジウム一炭素(触媒量)及び水素ガ
スを用いて接触還元した。濾過後、濾液を濃縮して得た
粗生成物をローバーカラムを用いて精製し、表題化合物
(35)を得た。 収量:0.223g(73%) 化合物(35)(Q1=Q2=F、R2'=プロピル、A'
=イソプロピル)1 HNMR(CDCl3)δ 0.98(t,3H,J=7.5H
z)、1.21(d,6H,5.5Hz)、1.24〜2.82(m,
27H)、4.1〜4.5(m,1H)、4.99(Hept,1H,
J=7.5Hz)
【0058】製造例11 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ−13,1
4−ジヒドロ−16−オキソ−PGE2ベンジルエステ
ル(20)[IUPAC命名法:(Z)−7−[(1R)−
(2R,3R)−2−(5,5−ジフルオロ−4−オキソオ
クチル)−3−ヒドロキシ−5−オキソシクロペンチル]
ヘプタ−5−エン酸ベンジル]の製造。 粗カルボン酸(16)をアセトニトリル中臭化ベンジル及
びDBUを用いベンジルエステルとした以外は製造例3
と同様に操作して表題化合物(20)を得た。 化合物(20)(Q1=Q2=F、R2'=プロピル、A'
=ベンジル)1 HNMR(CDCl3)δ 0.96(d.t,3H,J=7.5
Hz,J=7.5Hz)、1.1−2.8(m,23H)、4.18
(m,0.7H)、4.36(m,0.3H)、5.11(s,2
H)、5.38(m,2H)、7.35(s,5H)
【0059】製造例12 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ−13,1
4−ジヒドロ−16−オキソ−PGE1[IUPAC命
名法:(Z)−7−[(1R)−(2R,3R)−2−(5,5
−ジフルオロ−4−オキソオクチル)−3−ヒドロキシ
−5−オキソシクロペンチル]ヘプタン酸]の製造 製造例11で得たベンジルエステル(20)(0.580g)
をエタノール(20ml)中5%パラジウム一炭素(触媒量)
及び水素ガスを用いて接触還元した。得られた粗生成物
をHPLC(ODSカラム)で精製し、標題化合物を得
た。 収量:0.426g(90%)1 HNMR(CDCl3)δ 0.98(t,3H,7.5Hz)、
1.1〜2.82(m,28H)、4.07〜4.45(m,1H)
【0060】式(I)においてYが−CO−CH2−の
化合物およびYが−C≡C−の化合物は、次のようにし
て製造することができる。 製造例13 15−デヒドロキシ−13,14−ジヒドロ−6,16−
ジオキソ−PGF1αイソプロピルエステルの製造 15−デヒドロキシ−13,14−ジヒドロ−16,16
−エチレンジオキシ−−11−テトラヒドロピラニルオ
キシ−PGF2αイソプロピルエステル(50)を無水
テトラヒドロフランと塩化メチレンに溶解し、0℃で当
量のN−ブロモスクシンイミドを加え5分間撹拌する。
常法により後処理して得た粗生成物をカラムクロマトグ
ラフィーで精製して化合物(51)(X1=X2=H、R
2−R3=プロピル、P4=テトラヒドロピラニル、P7
エチレン、R'1=イソプロピル)を得る。これをトルエ
ンに溶解し、DBUを加え40℃で一夜撹拌する。氷冷
後、1N塩酸を加えて酸性にし、10分間撹拌後酢酸エ
チルで抽出する。常法により後処理して得た粗生成物を
カラムクロマトグラフィーで精製して化合物(52)
(記号の意味は前と同じ)を得る。これを常法により脱
保護して標題化合物を得る。
【0061】製造例14 15−デヒドロキシ−5,6−デヒドロ−13,14−ジ
ヒドロ−16−オキソ−PGE2メチルエステルの製造 4,4−エチレンジオキシ−1−ヨウ化オクタンのエー
テル溶液に−78℃でt−ブチルリチウムを30分間で
滴下し、3時間撹拌する。これに、−78℃に冷却した
よう化第1銅およびトリブチルホスフィンのエーテル溶
液を一度に加え、20分間撹拌して錯体(a)とする。
さらに、4R−t−ブチルジメチルシリルオキシ−2−
シクロペンテン−1−オン(53)のテトラヒドロフラ
ン溶液を95分間で滴下し、15分間撹拌後−30℃の
冷却浴に移す。8−メトキシカルボニル−1−ヨウ化−
2−ヘキシン(b)のHMPA溶液を加え、4.5時間
撹拌する。さらに室温で12時間撹拌後飽和塩化アンモ
ニウム水溶液に注ぎ有機層を分取する。常法により後処
理して得た粗生成物をクロマトグラフィーで精製し、化
合物(54)(Q1=Q2=H、R2'=プロピル、P6
第3級ブチルジメチルシリル、P7=エチレン、A'=イ
ソプロピル)を得る。これを常法により脱保護して標題
化合物を得る。
【0062】製剤例1(注射用溶液) (重量部) 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ− 13,14−ジヒドロ−16−オキソ−PGE2 0.2 非イオン性界面活性剤 2 注射用滅菌水 98 上記成分を混合してから注射可能な溶液を得た。
【0063】製剤例2(経口投与用粉末) (重量部) 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ− 13,14−ジヒドロ−16−オキソ−PGE1 5 軽量無水けい酸 5 アビセル 20 ラクトース 70 上記成分を混合して、経口投与用粉末を得た。
【0064】製剤例3(ゼラチン軟カプセル) (重量部) 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ− 13,14−ジヒドロ−16−オキソ−PGE1 メチルエステル 1 パナセート(Panasate) 899 上記成分を混合して、ゼラチン軟カプセルに充填した。
【0065】製剤例4(注射用溶液) (重量部) 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ− 13,14−ジヒドロ−16−オキソ−PGF2α メチルエステル 0.2 非イオン性界面活性剤 2 注射用滅菌水 98 上記成分を混合してから凍結乾燥して注射可能な溶液を
得た。
【0066】製剤例5(点眼液) 15−デヒドロキシ−17,17−ジフルオロ− 13,14−ジヒドロ−16−オキソ−20− メチル−PGE 2メチルエステル 10mg 生理食塩水 10ml 上記成分を別個のバイヤルに充填し、用時溶解用点眼液
とする。上記製剤例において、活性成分は、この発明で
使用する範囲の任意の他の化合物に置き換え得る。
【0067】試験例1 モルモットを後頭部殴打後、大腿動脈より放血致死さ
せ、気管を摘出した。気管は平滑筋と反対側で縦に切開
し、さらに軟骨に沿って幅1〜1.5cmの切片に切り
分け、鎖状に7〜8個の切片を絹糸でつなぎ、95%O
2+5%CO2混合ガスを通気した37℃のタイロード液
15ml中に1.0g前後の張力で懸垂した。懸垂した
気管標本が安定するまで60〜90分間休止させた後、
ヒスタミン5.4×10-4Mを投与し、収縮高が一定に
達した後被検物質を6分ごとに累積投与した。気管の収
縮力変化は等張性トランスデューサー(1T−1、ラボ
ックス、福研舎)を介してレコーダー(T−626DS、
日本電子科学)上に記録した。被検物質のヒスタミンに
よる収縮に対する抑制率を求め、抑制率が20%または
50%である被検物質の濃度をIC20値またはIC50
として表わす。結果を第1表に示す。
【0068】
【表1】
【0069】1:13,14−ジヒドロ−15−デヒド
ロキシ−16−オキソ−17,17−ジフルオロ−PG
2メチルエステル 2:13,14−ジヒドロ−15−デヒドロキシ−16
−オキソ−17,17−ジフルオロ−PGE2 3:13,14−ジヒドロ−15−デヒドロキシ−16
−オキソ−17,17−ジフルオロ−PGE2イソプロピ
ルエステル 4:13,14−ジヒドロ−11,15−ジデヒドロキシ
−11−メチル−16−オキソ−17,17−ジフルオ
ロ−PGE2メチルエステル 5:13,14−ジヒドロ−15−デヒドロキシ−16
−オキソ−17,17−ジフルオロ−20−メチル−P
GE2メチルエステル 6:13,14−ジヒドロ−15−デヒドロキシ−16
−オキソ−17,17−ジフルオロ−PGE1メチルエス
テル 7:13,14−ジヒドロ−15−デヒドロキシ−16
−オキソ−17,17−ジフルオロ−PGF2αメチルエ
ステル
【0070】試験例2 モルモットをウレタン(片山化学)1.0〜1.2g/kg
の腹腔内投与で麻酔し、総頚静脈及び気管にカニューレ
を挿入固定後、臭化パンクロニウム0.3mg/kgの
静脈内投与により自発呼吸を停止し、気管カニューレに
小動物用人工呼吸器(SN−480−7、シナノ製作所)
及びブロンコスパズム・トランスデューサー(702
0、ウゴ・バシール)を連結して人工呼吸を行なった。
1回送気量6〜9ml、送気回数60回/分、肺への負
荷圧10cmH2Oとし、オーバーフローする量をトラ
ンデューサーを介してレコーダー(056−1001、
日立製作所)上に記録した。ヒスタミン3μg/kgを
約30分間隔で数回静脈内投与し、ヒスタミンによる気
道抵抗増大作用が認められた後、被検物質の静脈内投与
1分後にヒスタミン3μg/kgを静脈内投与して気道
狭窄を惹起させた。被検物質の作用はヒスタミン3μg
/kgのみを投与した時の投与前後の気道抵抗の差を1
00%とした時の抑制率で表した。結果を第2表に示
す。
【0071】
【表2】 被検物質:試験例1に記載。
【0072】試験例3 モルモットを後頭部殴打後、大腿動脈より放血致死さ
せ、気管を摘出した。気管は平滑筋と反対側で縦に切開
し、さらに軟骨に沿って幅1〜1.5cmの切片に切り
分け、鎖状に7〜8個の切片を絹糸でつなぎ、95%O
2+5%CO2混合ガスを通気した37℃のタイロード液
15ml中に1.0g前後の張力で懸垂した。懸垂した
気管標本が安定するまで60〜90分間休止させた後、
ロイコトリエンD41×10-8Mを投与し、収縮高が一
定に達した後被検物質を6分ごとに累積投与した。気管
の収縮力変化は等張性トランスデューサー(1T−1、
ラボックス、福研舎)を介してレコーダー(T−626D
S、日本電子科学)上に記載した。被検物質の、ロイコ
トリエンD4による収縮に対する抑制率を求め、抑制率
が20%または50%である被検物質の濃度をIC20
またはIC50値として表わす。結果を第3表に示す。
【0073】
【表3】 被検物質:試験例1に記載
【0074】試験例4 モルモットをウレタン(片山化学)1.2g/kgの腹腔
内投与で麻酔し、総頚静脈及び気管にカニューレを挿入
固定後、臭化パンクロニウム0.3mg/kgの静脈内
投与により自発呼吸を停止し、気管カニューレに小動物
用人工呼吸器(SN−480−7、シナノ製作所)及びブ
ロンコスパズム・トランスデューサー(7020、ウゴ
・バシール)を連結して人工呼吸を行なった。1回送気
量7〜10ml、送気回数60回/分、肺への負荷圧1
0cmH2Oとし、オーバーフローする量をトランデュ
ーサーを介してレコーダー(056−1001、日立製
作所)上に記録した。基線が一定したのち、血小板活性
化因子50ng/kgを静脈内投与して気道抵抗を惹起
させた。気道抵抗の上昇率は、測定終了後に気管を閉塞
した時の値を気道の最大収縮(100%)として求め
た。被験物質は血小板活性化因子投与の1分前に静脈内
投与した。被験物質の作用は血小板活性化因子50ng
/kgのみを投与した時の投与前後の気道抵抗の差を1
00%とした時の抑制率で表した。結果を第4表に示
す。
【0075】
【表4】 第4表 用量μg/kg 例類n 気道抵抗上昇率%(平均) 抑制率% 対照 − 2 74.5 − 被験物質6 10 2 11.5 84.6 被験物質:試験例1に記載
【0076】試験例5 モルモットをウレタン(片山化学)1.0〜1.2g/kg
の腹腔内投与で麻酔し、総頚静脈及び気管にカニューレ
を挿入固定後、臭化パンクロニウム0.3mg/kgの
静脈内投与により自発呼吸を停止し、気管カニューレに
小動物用人工呼吸器(SN−480−7、シナノ製作所)
及びブロンコスパズム・トランスデューサー(702
0、ウゴ・バシール)を連結して人工呼吸を行なった。
1回送気量6〜9ml、送気回数60回/分、肺への負
荷圧10cmH2Oとし、オーバーフローする量をトラ
ンデューサーを介してレコーダー(056−1001、
日立製作所)上に記録した。ヒスタミン3μg/kgを
約30分間隔で数回静脈内投与し、ヒスタミンによる気
道狭窄の反応が最大になった後、被験物質を生理食塩水
に溶解し、10μg/mlを2分間、超音波ネブライザ
ー(NE−U10B、立石電気)にて霧化し、人工吸入
させた。霧化量は2分間で52.4μlであった。被験
物質の吸入終了の1分後にヒスタミン3μg/kgを静
脈内投与して気道狭窄を惹起させた。気道抵抗の上昇率
は、測定終了後に気管を閉塞した時の値を気道の最大収
縮(100%)として求めた。被験物質の作用は、ヒス
タミン3μg/kgの差を100%とした時の抑制率で
表した。結果を第5表に示す。
【0077】
【表5】 第5表 濃度μg/ml 例類n 気道抵抗上昇率%(平均) 抑制率% 対照 − 2 62.5 − 被験物質6 10 2 11.0 84.0 被験物質:試験例1に記載
【0078】試験例6 被験動物としてウイスター(Wistar)系雌性ラット(体
重約90g)を用いた。被験物質を投与後3分後に、エ
ーテル麻酔下で0.5%エバンスブルー生理食塩水0.
5mlを尾静脈から注射し、その直後に0.1%塩酸ヒ
スタミン生理食塩水溶液0.05mlを上眼瞼結膜下に
注射した。30分後に頚椎脱臼屠殺後、頭皮を眼瞼に向
って剥離し、眼瞼縁に沿って皮膚と結膜の炎症部位を切
り離し、その重量を測定した。切り出した結膜を細く切
って、4mlのホルムアミドで40℃一夜振盪抽出し、
溶出した色素量を分光光度計625nmで測定し、結膜
中の色素漏出量を求めた。被験物質は、生理食塩水に溶
解し、点眼投与(5μl/眼)した。対照は、生理食塩
水のみとした。結果を第6表に示す。
【0079】
【表6】 第6表 投与量 眼類 結膜重量(mg) 色素漏出量 (μg/眼) (n) (平均±S.D.) (μg/部位) 対照 0 16 41.5±2.0 8.26±0.52 被験物質1 3 16 36.3±2.1 7.13±0.65 被験物質6 3 16 32.7±1.8** 5.95±0.53* 被験物質8 3 14 38.5±2.0 7.69±0.71 被験物質9 3 14 38.9±1.8 7.49±0.67 DUNNET法 *P<0.05、**P<0.01 被験物質1:試験例1に記載 被験物質6:試験例1に記載 被験物質8:13,14−ジヒドロ−15−デヒドロキ
シ−16−オキソ−17,17−ジフルオロ−PGD2
チルエステル 被験物質9:13,14−ジヒドロ−15−デヒドロキ
シ−16−オキソ−17,17−ジフルオロ−PGA2
チルエステル
【0080】試験例7 Crj.Wistar系雄性ラット(7週齢)の背部皮下へ、抗E
A(egg albumin)ラット血清希釈液50μlを注射し
て受動感作した。48時間後に抗原である1%EA(eg
g albumin)生理食塩水と1%エバンスブルー生理食塩
水の等量混合液1mlを尾静脈内へ注射して、PCA反
応を惹起した。30分後に動物を麻酔死させ、背部皮膚
を剥離して、反応部位の色素露出部の長径と短径を測定
し、その平均値を直径として面積を算出した。その後、
色素露出部の皮膚をパンチで打ち抜き、以下の方法によ
り色素露出量を測定した。パンチで打ち抜いた皮膚を1
N水酸化カリウム水溶液1mlに浸漬し、37℃で1夜
放置した後、0.6NH3PO4:アセトン(5:13)
混合液を9ml加えて遠心し、上澄を分取し、620n
mの吸収を吸光光度計を用いて測定した。色素露出量は
別に測定した検量線から読み取った。被験物質は、生理
食塩水(5ml/kg)に溶解し、静脈内投与した。な
お、生理食塩水(5ml/kg)のみを静脈内投与し
た。結果を第7表に示す。
【0081】
【表7】 第7表 被験物質 投与量 例数 色素露出面積 色素露出量 (μg/kg) (n) (mm2) (μg/部位) (対照) − 20 56.9±19.4 104.9±45.9 6 10 16 33.7± 7.5 38.0±15.9 被験物質6:試験例1に同じ
【0082】以上の結果から本発明化合物は、アレルギ
ー疾患並びに炎症疾患の惹起物質であるヒスタミン、ロ
イコトリエンおよび血小板活性化因子のいずれに対して
も極めて強い拮抗作用を有することが理解されるので、
アレルギー性疾患処置剤、炎症疾患処置剤および気管支
拡張剤として有用である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 15−デヒドロキシ−16−オキソ−プ
    ロスタグランジン化合物を有効成分とする、アレルギー
    疾患および炎症疾患処置剤。
  2. 【請求項2】 15−デヒドロキシ−16−オキソ−プ
    ロスタグランジン化合物を有効成分とする、抗ヒスタミ
    ン剤。
  3. 【請求項3】 15−デヒドロキシ−16−オキソ−プ
    ロスタグランジン化合物を有効成分とする、ロイコトリ
    エン拮抗剤。
  4. 【請求項4】 15−デヒドロキシ−16−オキソ−プ
    ロスタグランジン化合物を有効成分とする、血小板活性
    化因子拮抗剤。
  5. 【請求項5】 15−デヒドロキシ−16−オキソ−プ
    ロスタグランジン化合物を有効成分とする、気管支拡張
    剤。
  6. 【請求項6】 15−デヒドロキシ−16−オキソ−プ
    ロスタグランジン化合物が、17−モノまたはジハロ−
    15−デヒドロキシ−16−オキソ−プロスタグランジ
    ン化合物である、請求項1−5の何れか1項記載の剤。
  7. 【請求項7】 15−デヒドロキシ−16−オキソ−プ
    ロスタグランジン化合物が、13,14−ジヒドロ−1
    7−モノまたはジハロ−15−デヒドロキシ−16−オ
    キソ−プロスタグランジン化合物である、請求項1−5
    の何れか1項記載の剤。
  8. 【請求項8】 15−デヒドロキシ−16−オキソ−プ
    ロスタグランジン化合物が、13,14−ジヒドロ−1
    7−モノまたはジフルオロ−15−デヒドロキシ−16
    −オキソ−プロスタグランジン化合物である、請求項1
    −5の何れか1項記載の剤。
JP3125235A 1990-04-27 1991-04-26 生化学的拮抗及び疾患処置剤 Expired - Lifetime JPH07103030B2 (ja)

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