JPH07102696B2 - 印刷ロール - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は主としてオフセット印刷機に使用する印刷ロー
ルに関するものである。

〔従来の技術〕

オフセット印刷機では、版面の先に印刷される画像が後
に印刷される画像の上に残像の様に微かに現われるゴー
ストと呼ばれる印刷不良を解消するために、インキ壷か
ら版胴へと続く印刷ロール群の何れかを軸芯方向に左右
往復駆動（振動）してロール周面上のインキ膜の膜厚を
平均化する方法が採られると共に、その振動するバイブ
レーターロールにコロガリ接触する印刷ロールを軸芯方
向に移動可能に支えてバイブレーターロールの振動に追
随させて左右に振動させる方法も採られる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

その様にバイブレーターロールに追随して振動する従属
ロールの左右振動量（距離）は、バイブレーターロール
の振動量（距離）と略同じになるのであるが、版面に接
するインキフオームロールを従属ロールとする場合に
は、版胴の左右側端が版面よりも一段と僅かに高くなっ
ていたり版胴の左右に種々の部材があったりするから、
その従属ロールがそれらの段差や部材に突き当る等して
従属ロールの振動量がバイブレーターロールの振動量よ
りも少なくなる場合がある。

その様に従属ロールが版胴側端の段差や部材に突き当れ
ば、仮令バイブレーターロールが更に左右に移動し続け
たとしても、従属ロールはそれ以上移動し続けることは
出来なくなる。

従って、その後のバイブレーターロールが左または右に
引き返すまでの間、従属ロールは、左右に振動しない通
常の印刷ロールと同様にバイブレーターロールに追随せ
ず、ただバイブレーターロールや版胴にコロガリ接触す
るだけでゴースト解消に作用しない。

勿論、従属ロールをもバイブレーターロールと同様に電
磁弁やアアーシリンダー或はオイルシリンダー等によっ
て積極的に左右に振動させることをも考えられるが、そ
の様にすると電磁弁やオイルシリンダー等の駆動手段の
数や動力（消費電力）もそれだけ多くなるので経済的で
なく、叉、オフセット機の機種によってはそれらの駆動
手段を取り付けるに十分なスペースを有しないものもあ
るから、実際問題として従属ロールを積極的に駆動し得
ない場合が多い。

〔発明の目的〕

そこで本発明は、バイブレーターロールが左右振動して
いる間、軸芯方向に移動可能に支えられてそれに接する
従属ロールが常にバイブレーターロールに追随して軸芯
方向に移動し続ける様にすることを目的とするものであ
る。

〔発明の構成〕

即ち本発明に係る印刷ロール21は、上記の目的を達成す
るものであり、支軸11と、その支軸11がオイル室12・13
を貫通して軸芯方向Ｏ−Ｏ′に移動可能に支えるオイル
シリンダー14と、オイルシリンダー14が円筒内15に嵌合
して可回転に支えるロール筒体16から成り、オイル室12
・13が支軸11に固定された仕切壁17によって第一オイル
室12と第二オイル室13とに仕切られており、それらの第
一オイル室12と第二オイル室13の間が流量調整弁18の介
在する流路19によってつながれており、外部から流量調
整弁18を操作する動力伝達路20が支軸内に形成されてい
ることを特徴とするものである。

〔発明の効果〕

本発明に係る印刷ロール21は上記の通り構成され、ロー
ル筒体16はオイルシリンダー14に支えられて回転するも
のであるが、ロール筒体16がそれに接して左右振動する
バイブレーターロール（39・40）に左右に擦られると
き、ロール筒体16を支えるオイルシリンダー14が支軸11
に軸芯方向Ｏ−Ｏ′に移動可能に軸支されているので、
そのバイブレーターロール（39・40）によって軸芯方向
に動かされることになり、その時、オイルシリンダー14
のオイル22は、第一オイル室12から第二オイル室13へ、
又は、第二オイル室13から第一オイル室12へと流動する
ことになる。

このオイル22の流量は調整弁18に調整され、調整弁18が
閉じ加減の場合には流量が少なく、第一オイル室12と第
二オイル室13の間でオイル22が移動し難くなるから、オ
イルシリンダー14も軸芯方向Ｏ−Ｏ′に移動し難くな
り、ロール筒体16とバイブレーターロール（39・40）の
間に軸芯方向にスベリが生じ、叉、ロール筒体16の左右
振動量はバイブレーターロールの振動量よりも少なくな
り、バイブレーターロール（39・40）が大きく移動して
もロール筒体16が版胴側端の段差や部材に突き当ること
がなくなる。

しかし、その様にロール筒体16の移動量が少なくなると
しても、バイブレーターロール（39・40）が移動してい
る間、印刷ロール21は、軸芯方向に止まることなく移動
し続け、バイブレーターロール（39・40）の周面と左右
軸芯方向に向けて一定のスベリ率をもって擦れ合うの
で、それらのロール21（39・40）の周面のインキ膜は均
一に撫られてインキ膜厚が平均化されてゴースト印刷不
良が回避され、その印刷ロール21が版胴（34）に接する
場合には版面にインキが綺麗に転写供給されるので印刷
面も鮮明になる。

尚、流路19が調整弁18によって完全に閉ざされた場合に
は、オイルシリンダー14は支軸11の上を移動せず、従っ
て、ロール筒体16は左右に移動せずオイルシリンダー14
の上で只回転することになる。

通常、オフセット印刷機の機種によってロール筒体16の
左右に取り付けられる部材の機種や寸法（大きさ）等が
異なり、ロール筒体16の移動可能なそれらの部材とロー
ル筒体16の左右側端の間の隙間（スペース）も機種によ
って異なり、従って、ロール筒体16が軸芯方向にどの程
度移動可能かはオフセット印刷機の機種によって異なる
のであるが、本発明に係る印刷ロール21では、調整弁18
によってオイル流量を調整することによって印刷ロール
21の左右移動量（範囲）を加減することが出来るので、
本発明に係る印刷ロール21は、機種等が異なってもゴー
スト印刷不良を解消するために全てのオフセット印刷機
に取り付けて使用することが出来る。

そして叉、その様にブレーキの役目をなして印刷ロール
21の左右移動量を規制する手段が、オイルシリンダー14
と言う単純な機構によるものであり、而も、それがロー
ル筒体16に内蔵されて外部に現れず、且つ叉、オイルシ
リンダー14を外部からオイルを供給して積極的に駆動す
るものではないから、本発明に係る印刷ロール21は、製
造し易く、取付・取り外しも容易で扱い等、実用上頗る
好都合である。

〔実施例〕

第１図に本発明に係る印刷ロール21を図示し、支軸11は
カラー23を介してオフセット印刷機に固定されている。

固定支軸11とオイルシリンダー14の間にはオイルシリン
ダー14の軸芯方向Ｏ−Ｏ′への移動をスムースにするベ
アリング24があり、叉、オイルシリンダー14とロール筒
体16の間にはロール筒体16の回転をスムースにするベア
リング25がある。

オイル室は円筒形を成し、そこに嵌合するリング17によ
って仕切壁が形成され、それによって第一オイル室12と
第二オイル室13に仕切られている。

第一オイル室12と第二オイル室13の間の流路14は支軸11
に開けた孔によって形成されている。

流動14と動力伝達路20とは軸芯方向Ｏ−Ｏ′に真直ぐに
続いており、その間を閉ぐように弁18が孔（14）に挿嵌
されている。

支軸11の端部には弁18を駆動するボルト28が付けられて
いる。

弁18の動力伝達路20に続く側はニードル26に接合されて
おり、そのニードル26の端部にはラック27が刻設されて
おり、そのラック27にボルト28に刻設したラック29が噛
み合っており、ボルト28を回すとニードル26が軸芯方向
Ｏ−Ｏ′に移動し、それによって弁18が流路19に出没し
て流量が加減される。

30は、オイルシリンダー14の動きをなめらかにする緩衝
スプリングであり、オイルシリンダー14に外嵌する円筒
形のカバー31に包まれている。

32は、カバー内31への空気の出入を自由にする孔であ
る。

33は、オイルシリンダー14が軸芯方向Ｏ−Ｏ′に極度に
移動して突き出ない様に規制するナットであって支軸11
に螺着されている。

第２図はオフセット印刷機の版胴部分の側面図であり、
34は版胴、35・36・37及び38はそれぞれインキフオーム
ロール、39と40はインキフオームロールにインキ膜を転
写供給するバイブレーターロール、41はオシレート銅ロ
ールである。

バイブレーターロール39・40にはエアーシリンダー等で
外部より軸芯を積極的に往復駆動する公知のものが使用
される。

本発明に係る印刷ロール21は、インキフオームロール3
5、36・37及び38の全部叉は何れかに使用される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る印刷ロールの要部断面正面図、第
２図はオフセット印刷機の要部断面側面図である。 11……支軸、12……第一オイル室、 13……第二オイル室、14……オイルシリンダー、 15……円筒内、16……ロール筒体、 17……仕切壁、18……流量調整弁、 19……流路、20……動力伝達路、 21……印刷ロール、22……オイル、 23……カラー、24・25……ベアリング、 26……ニードル、27……ラック、 28……ボルト、29……ラック、 30……スプリング、31……カバー、 32……孔、33……ナット、 34……版銅、 35・36・37・38……インキフオームロール、 39・40……バイブレーターロール、 41……オシレート銅ロール。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】（ａ） 軸芯方向Ｏ−Ｏ′に移動しないよ
   うに印刷機本体に取り付けられる支軸11と、その支軸11
   がオイル室12・13を貫通して軸芯方向Ｏ−Ｏ′に移動可
   能に支えるオイルシリンダー14と、オイルシリンダー14
   が円筒内に嵌合して可回転に支えるロール筒体16から成
   り、 （ｂ） オイル室12・13が、支軸11に固定された仕切壁
   17によって第一オイル室12と第二オイル室13とに仕切ら
   れて軸芯方向Ｏ−Ｏ′に分割されており、 （ｃ） それらの第一オイル室12と第二オイル室13の間
   が流量調整弁18の介在する流路19によってつながれてお
   り、 （ｄ） 外部から流量調整弁18を操作する動力伝達路20
   が支軸内に形成されていること、 を特徴とする印刷ロール。