JPH07102293B2 - 高性能エアーフィルター用ガラス繊維濾紙及びその製造方法 - Google Patents

高性能エアーフィルター用ガラス繊維濾紙及びその製造方法

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JPH07102293B2
JPH07102293B2 JP1070376A JP7037689A JPH07102293B2 JP H07102293 B2 JPH07102293 B2 JP H07102293B2 JP 1070376 A JP1070376 A JP 1070376A JP 7037689 A JP7037689 A JP 7037689A JP H07102293 B2 JPH07102293 B2 JP H07102293B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は半導体製造工場のクリーンルーム等に用いられ
る空気清浄用の高性能エアーフィルター用ガラス繊維濾
紙に関する。
(従来の技術) 従来、クリーンルーム等に用いられる高性能エアーフィ
ルター用ガラス繊維濾紙としては、粒径0.3μmのDOP粒
子を99.97%以上捕集するHEPA用濾紙と、粒径0.1μmの
DOP粒子を対象としHEPA以上の捕集効率を有するULPA用
濾紙が使用されている。これらの濾紙は要求されるクリ
ーンルームの清浄度に応じて各種捕集効率の濾紙が濾材
メーカーによって準備されている。捕集効率を上げるた
めには、繊維径のより小さい極細ガラス繊維の配合率を
上げることで対処できるが、それに伴い圧力損失も上昇
し、HEPAよりULPA、またULPAにおいても捕集効率の要求
度が高くなる程、圧力損失も高くなっているのが現状で
ある。因みに現在実用化されている高性能エアーフィル
ター用ガラス繊維濾紙の圧力損失は面風速5.3cm/Sの条
件で28〜63mmH2Oの範囲にある。圧力損失60mmH2O以上の
ULPA用濾紙は半導体工場クリーンルームにおける16Mbit
LSIの製造に要求される空気清浄度にも十分対応できる
と言われているが、圧力損失が高いことによるエネルギ
ー負荷大きく、省エネルギーのための圧力損失の低減が
望まれている。一方MIL規格で規定されるHEPA用濾紙の
捕集効率下限値99.97%を満足させ、かつ圧力損失が26m
mH2O以下のものは未だ実用化されていない。捕集効率を
維持しながら、圧力損失を低減するために、これまで各
種の方法が提案されている。例えばエレクトレット化濾
材の使用、0.05〜0.5デニールの化合繊を用いる方法
(特開昭62−110718)、平均繊維径0.5μm以下のガラ
ス繊維から成る10〜50g/m2の紙層と平均繊維径10μm以
下のガラス繊維から成る紙層とを一体化した濾材(特開
昭62−33514)、中性水でカチオン性水溶液高分子とカ
チオン性アクリルエマルジョンの共存下でガラス繊維を
抄紙する方法(特開昭61−271012)等多数あるが、クリ
ーンルーム用として実用化されているものはほとんどな
い。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の課題は、従来のHEPA、ULPA用ガラス繊維濾紙の
捕集効率を維持しながら、圧力損失が従来品に比べ4〜
8mmH2O低い高性能エアーフィルター用濾紙を提供するこ
とにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は圧力損失及び捕集効率のフィルター特性と
濾紙物性の関係につて鋭意検討した結果、表面粗さで示
される濾材表面の平滑性により、上記フィルター特性が
大いに影響を受けるという実験結果に着目し、本発明に
至った。
すなわち本発明は、平均径4μm以下の極細ガラス繊維
を主体とし、10重量%以下の可燃物を含有するガラス繊
維濾紙においてJIS B0601で規定される十点平均粗さ(R
Z)が該濾紙フェルト面において70μm以下である高性
能エアーフィルター用ガラス繊維濾紙及びその製造方法
である。
本発明の濾紙及びその製造方法についてさらに詳しく説
明する。
本発明でいう高性能エアーフィルター用ガラス繊維濾紙
とは、0.3μmDOP粒子の捕集効率が面風速5.3cm/秒の条
件下で99.97%以上の性能を示すガラス繊維濾紙を意味
し、通常HEPA(高性能エアーフィルター)及びULPA(超
性能エアーフィルター)と呼ばれるエアーフィルター用
ガラス繊維濾紙を意味するものである。
濾紙は4μm以下の極細ガラス繊維を主体とするもので
あり、極細ガラス繊維のガラス繊維全重量に対する割合
は70%以上好ましくは80%以上である。強度維持のため
に繊維径6μm以上のチョップドストランドガラス繊維
を配合しても良い。可燃物の大半は有機性の結合剤であ
り、その量は10%以下であり、好ましくは7%以下であ
り、必要強度が維持される範囲内で少ない程好ましい。
有機性結合剤の量が増えるにつれ、圧力損失は上昇し、
捕集効率は低下する。
ガラス繊維濾紙フェルト面の十点平均粗さ(RZ)はJIS
B0601に規定される方法で測定される。基準長さは濾紙
表面の不均質性を考慮し25mmとし、少なくとも濾紙のCD
方向に沿って異なる場所で2回以上断面曲線を測定し、
各曲線から計算される十点平均粗さの平均値をもって本
発明の十点平均粗さとした。本発明では、十点平均粗さ
は70μm以下、好ましくは65μm以下であり、さらに好
ましくは60μm以下であり、低いほど好ましい。図1は
同一ガラス繊維配合の原料を用い、抄紙濃度、分散剤の
種類と量、その他の抄紙条件を変え、実際の抄紙機で抄
造し、十点平均粗さ(以下RZと呼ぶ)と捕集効率の関係
をみたものである。RZ70μm付近から捕集効率の急激な
改善が観察できる。図2はHEPA用ガラス繊維濾紙につい
て圧損と捕集効率の関係をRZの異なる数種の濾材で比較
したものである。本発明のRZ50〜65μmのガラス繊維濾
紙はRZが80〜90μmの濾紙に対し、同一捕集効率で3〜
6mmH2O程度圧力損失が低いことが観察できる。これは0.
1μmのDOP粒子を用い、ULPA用濾紙で行っても同様のこ
とが観察できる。
表面粗さの減少方法としては、各種の方法があり、特に
一つの方法に限定されるものではない。本発明のガラス
繊維濾紙で特定するRZレベルまで表面粗さを減少するに
は以下に述べるように数種の方法の組合せで初めて可能
となる。
表面粗さを減少するための手段には、紙層形成以前すな
わち、抄紙機ワイヤー上で湿紙が形成される工程を含
め、それ以前の工程でとるべきであり、乾燥工程以降、
例えばロール間で加圧し、機械的処理によって平滑化す
るような方法は、たとえば表面粗さが減少するにして
も、濾紙の圧力損失の上昇を招来するわりに、捕集効率
の改善が少なく、不適当である。
ガラス繊維を離解、分散する工程は重要である。ガラス
繊維の分散を良くするために、pH2〜3の酸性水で離
解、分散する方法は最も一般的な方法であるが、より低
圧力損失、高捕集効率の濾紙を製造する場合には中性付
近で行うことが望ましい。酸性水を用いる代わりに分散
剤を使用することが好ましい。分散剤の種類と使用量は
慎重に選択すべきである。好ましい分散剤はカチオン性
の分散剤の中から選択され、例えば以下のものが特に適
する: ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチ
レンセチルアミン、ポリオキシエチレンミリスチルアミ
ン等のポリオキシエチレン高級アルキルアミン;ステア
リルアミン酢酸塩、ジメチルステアリルアミン酢酸塩、
モノメチルステアリルアミン酢酸塩等の高級アルキルア
ミン酢酸塩;ポリオキシエチレンオレイルメチルアンモ
ニウムメチルホスフェート、ポリオキシエチレンセチル
ジメチルアンモニウムエチルサルフェート、ポリオキシ
エチレンステアリルメチルアンモニウムクロライド、ポ
リオキシエチレンラウリルメチルアンモニウムホスフェ
ート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ス
テアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級
アンモニウム塩等。
分散剤の添加量は通常ガラス繊維重量に対し0.02〜2.0
重量%の範囲にある。0.02重量%より少なくて表面粗さ
の改善はなく、2.0重量%より多くては湿紙が著しく弱
くなり不適である。
抄紙濃度はできるだけ下げるべきであり、0.1重量%以
下の濃度が好ましい。0.1重量%より高濃度では均一な
地合が形成されず、その結果表面粗さが増加する。スト
ックインレットでは原料の滞留がないようにすべきであ
り、またワイヤーパートでは、ワイヤーのシェーキング
やダンディロールの使用が望ましい。特にダンディロー
ルは有効であり、使用しない場合ガラス繊維濾紙フェル
ト面のRZを70μm以下にすることは困難である。
本発明の濾紙を製造する機械は、円網、短網、長網、傾
斜式ワイヤー抄紙機の中から選択されるが、ガラス繊維
の分散性を良くするために低濃度で抄紙できる抄紙機を
選択すべきである。
本発明で使用する有機系結合剤は、この分野で一般に使
用されるものであり、例えば各種イオン性のアクリル系
樹脂等がある。この結合剤の付与法としては、大別し
て、紙層形成前に添加する内添法と、紙層形成後に添加
する外添法とがあるが、内添法の場合有機性の結合剤を
紙中に留めるための薬品がガラス繊維の分散性を悪化さ
せるために、外添法、例えばバインダー液中に湿紙を通
す方法、ロールを介してバインダー液を転写する方法、
湿紙の両面からスプレーまたはシャワーにより液をかけ
る方法等を採用するのが好ましい。
上記の方法により、表面粗さを減少すると、通常若干の
圧力損失の上昇が観察されるが、それにも増して捕集効
率の上昇が大きい。したがって捕集効率を一定にして圧
力損失を下げるためには、原料配合の微調整によって対
処できる。
(作用) 表面粗さを減少することによる捕集効率の上昇の作用機
構については必ずしも明確ではないが、次のように推定
される。
極細ガラス繊維を使用した高性能エアーフィルター用ガ
ラス繊維濾紙の捕集機構は濾紙を構成する単繊維の捕集
効率と単繊維径が大きく関与していると言われている。
したがって単繊維の捕集効果を充分発揮させるために
は、単繊維は固まりを形成せず、紙層全層に渡って均一
に分散している必要がある。従来ガラス繊維濾紙の表面
については注目されていなかったが、濾紙内部の均一性
のみならず、濾紙表面の均一性を制御することにより、
単繊維の捕集効果が紙層全層に渡って有効に発揮され、
その結果捕集効率のにつながるものと考える。
(実施例) 実施例1 平均繊維径1μm以下の極細ガラス繊維95重量部、平均
繊維径9μmのチョップドガラス繊維5重量部をパルパ
ーで中性の水を用い濃度0.5%で10分間離解した。次い
でカチオン性分散剤(ユータミン 24P(製造元;花王石
鹸株式会社)−ラウリルトリメチルアンモニウムクロラ
イド)を対ガラス繊維0.1重量%添加し、インレット濃
度0.05重量%でダンディロールを使用し、ワイヤーシェ
ーキングを行いながら抄紙機にて抄紙した。
アクリル系ラテックス(ヨドゾール A−4100、製造元;
カネボーエヌエスシー社)を湿紙に付与し、その後ドラ
イヤーで乾燥し、目付70g/m2HEPA用ガラス繊維濾紙を得
た。
実施例2 実施例1においてカチオン性分散剤を0.1重量%の代わ
りに0.5重量%添加した以外は実施例1と同様にして目
付69g/m2のHEPA用ガラス繊維濾紙を得た。
実施例3 実施例1において平均繊維径1μm以下の極細ガラス繊
維95重量部中に、平均繊維径0.32μmの極細ガラス繊維
を5重量部配合した以外は実施例1と同様にして目付68
g/m2のULPA用ガラス繊維濾紙を得た。
実施例4 実施例1において平均繊維径1μm以下の極細ガラス繊
維95重量部中に平均繊維径0.33μmの極細ガラス繊維を
10重量部配合した以外は実施例1と同様にして目付72g/
m2のULPA用ガラス繊維濾紙を得た。
実施例5 実施例4においてカチオン性分散剤を0.1重量%のかわ
りに0.5重量%添加した以外は実施例4と同様にして目
付72g/m2のLUPA用ガラス繊維濾紙を得た。
比較例1〜3 比較例1は実施例1,2、比較例2は実施例3、比較例3
は実施例4,5に対応するものであり、カチオン性分散剤
を使用する代わりにpH2〜3の硫酸水を用いダンディロ
ールを使用せずに抄紙した以外は実施例と同様にして抄
紙した。尚、ガラス繊維配合は、それぞれ対応する実施
例と同一配合とすると、圧力損失、捕集効率いずれも下
がるために、捕集効率がほぼ同レベルと成るように平均
繊維径1μm以下の極細ガラス繊維95重量部中の平均繊
維径0.65μmのガラス繊維成分を増加させて調節した。
参考例1〜3 参考例1〜3は市販の外国製高性能エアーフィルター用
ガラス繊維濾紙であり、参考例1は実施例1,2、参考例
2は実施例3、参考例3は実施例4,5に対応するもので
ある。
実施例1〜5、比較例1〜3、参考例1〜3の濾紙の分
析は下記の方法で行い結果を表1に示した。
十点平均粗さ(RZ) (株)小坂研究所社製万能表面形状測定器MODELSE−3F
を使用し、ガラス繊維濾紙フェルト面について基準長25
mmでCD方向に沿い、断面曲線を測定した。異なる場所で
3回測定し、それらの平均をもって、十点平均粗さとし
た。
圧力損失 自製の装置を用い有効面積100cm2の濾紙に面風速5.3cm/
秒で通風し、その時の圧力損失を微差圧計で測定した。
DOP捕集効率 ラスキンノズルで発生させた多分散DOP粒子を含む空気
を、有効面積100cm2の濾紙に面風速で5.3cm/秒で通風し
た時のDOP捕集効率をリオン社製レーザーパーティクル
カウンターを使用し測定した。尚、HEPA用ガラス繊維濾
紙については0.3μm、ULPA用ガラス繊維濾紙について
は0.1μmのDOP粒子について測定た。
可燃物 925±25℃10分間電気炉にて加熱し、加熱前後の重量差
を加熱前重量で割り、百分率として求めた。
(効果) 本発明は従来クリーンルーム用として用いられてきたHE
PA及びULPA用ガラス繊維濾紙について、濾紙表面粗さを
規定値以下に制御することでより低圧損、高捕集効率の
新規なガラス繊維濾紙を提供するものであり以下の効果
が期待できる。
(1) 捕集効率を従来品と同一レベルにした場合、圧
力損失の低減が可能であり、クリーンルームに用いた場
合、クリーンルームの空気清浄度を落とすことなく、省
エネルギー、ファンの騒音低減に寄与する。
(2) 圧力損失を同一レベルにした場合、捕修効率は
上昇し、同一エネルギー消費量でクリーンルームの空気
清浄度を上げることができる。
(3) 従来品にくらべ、ほぼ同様のコストで製造でき
る。
以上に述べたように本発明の実用的価値は極めて高く、
半導体産業のみならず、クリーンルームを使用する食品
産業、医療産業等、他産業にも十分貢献するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はガラス繊維濾紙フェルト面の十点平均粗さと0.
3μm DOP捕集効率の関係を示している。第2図は圧力損
失と0.3μm DOP捕集効率との関係をガラス繊維濾紙フェ
ルト面の十点平均粗さとの関係で示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−110718(JP,A) 特開 昭60−58221(JP,A) 特開 昭59−95024(JP,A) 特開 昭61−27012(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均径4μm以下の極細ガラス繊維を主体
    とし、10重量%以下の可燃物を含有するガラス繊維濾紙
    において、JIS B0601で規定される十点平均粗さ(RZ
    が該濾紙フェルト面において70μm以下である高性能エ
    アーフィルター用ガラス繊維濾紙。
  2. 【請求項2】カチオン性分散剤を使用し、ガラス繊維を
    中性付近で水中に離解分散する工程を含むことを特徴と
    する請求項1記載の高性能エアーフィルター用ガラス繊
    維濾紙の製造方法。
JP1070376A 1989-03-24 1989-03-24 高性能エアーフィルター用ガラス繊維濾紙及びその製造方法 Expired - Lifetime JPH07102293B2 (ja)

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