JP4240035B2 - 不織布製造用部分扁平化合成繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、部分的に扁平化された合成繊維及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、低米坪でも高い強度と良好な地合いを有する不織布の製造に好適な部分扁平化合成繊維と、該部分扁平化合成繊維の簡便で、効率的な製造方法に関する。
一般に、不織布は、ウェブ状又はシート状の繊維集合体をベースとし、これを樹脂バインダー(以下、単にバインダーとも記す)や接着用繊維で結合したり、ニードルパンチやウォータージェット処理等により繊維同士を交絡させて製造されるが、強度を求められる場合には、前者のバインダーや接着繊維を用いる方法、特にバインダーを用いる方法が採用されており、バインダーが繊維の交点に付着し、繊維間を結合することで不織布の強度が発現する。
近年、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)や超高強度ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ポリベンザゾール繊維等、従来にない高強度の繊維が登場し、これを用いた不織布が実用化されてきている。特に、メタ系アラミド繊維やポリアリレート繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等の熱軟化性を有する繊維を用いた不織布では、繊維の軟化温度以上でカレンダー処理等を施すことで繊維同士が融着し、非常に強度の高い不織布を得ることが可能である。
しかしながら、例えばパラ系アラミド繊維やポリベンザゾール繊維等、実質的に熱軟化せず、自己接着性も有しない繊維を用いた不織布は、バインダーによる結合部分の強度が不織布の耐破壊性を支配する。すなわち、これらの繊維を主体とする不織布の強度は、バインダーによる接合強度に支配される。
このような不織布の強度を向上させる方法として、単純にバインダー量を増やすことが考えられる。しかしながら、バインダー量には適正な範囲があり、多すぎても少なすぎても不織布の強度は低下する。また、バインダー量が多すぎると不織布のしなやかさが失われたり、用途によっては品質を損なう場合が多々ある。
一方、繊維を扁平化することで繊維の交点面積を増やすことが考えられる。例えば、特公平6−60035号公報では扁平断面を有するガラス繊維が紹介されているが、ガラス繊維のようにカップリング剤を介してバインダーと化学的に結合できる場合や、前記熱融着が可能な繊維、あるいはセルロース系繊維のように自己接着性を有する繊維においては、繊維交点の面積を増加させることで不織布の強度向上が期待できる。
しかしながら、パラ系アラミド繊維やポリベンザゾール繊維等、バインダーとの化学的な結合や、熱軟化による融着、及び自己接着性も期待できない繊維においては、繊維交点をバインダーが覆うことで強度を発現させる他ないが、その際の接合強度を高めるために繊維全体を扁平化すると、バインダーの要求量が増加し、十分な強度向上効果を達成するためにはバインダー量を増やさなければならない。
本発明の課題は、高強度の合成繊維製の不織布を得るのに適した合成繊維、特にパラ系アラミド繊維やポリベンザゾール繊維等のように、実質的に熱軟化せず、自己接着性も有しない合成繊維で、なおかつ、高強度で地合いの良好なシートを得ることができる合成繊維と該合成繊維によって製造されている不織布、及びこのような合成繊維を得るための簡便で効率的な製造方法を提供することにある。
本発明者等は、均一の太さを有する合成繊維を特定の条件でサンドミルにて処理することにより、繊維が部分的に扁平化することができること、この部分扁平化繊維を用いて製造した不織布は、サンドミル処理前の均一太さの合成繊維を使用した不織布に比べて、引張強度と地合いが飛躍的に向上しているものであることを見出し、本発明を完成させたものである。上記の問題を解決するための本発明は、以下の発明から選択される「部分扁平化合成繊維」に関し、特に「不織製造用部分扁平化合成繊維」に関する。
(1)円形断面の単一合成繊維の長さ方向の少なくとも1箇所に扁平化された幅広領域を有し、該幅広領域における最大幅をWmaxとし、該合成繊維の最小幅部分の幅をWminとした場合、Wmax/Wminの値が2以上であることを特徴とする部分扁平化合成繊維。
(2)円形断面の単一合成繊維の長さ方向の少なくとも1箇所に扁平化された幅広領域を有し、該幅広領域における最大幅をWmaxとし、該合成繊維の長さ方向の平均繊維幅をWavとした場合、Wmax/Wavの値が1.5以上であることを特徴とする部分扁平化合成繊維。
(3)前記単一合成繊維は、全繊維長L1に対して、繊維が扁平化されている領域の合計長さをL2とした場合、L/Lとして表される扁平化率の値が0.05〜0.5の範囲であることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の部分扁平化合成繊維。
(4)前記合成繊維は、自己融着性乃至自己接着性を持たない合成繊維であることを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の部分扁平化合成繊維。
(5)前記合成繊維が、パラ系芳香族ポリアミド繊維及びポリベンザゾール繊維から選ばれる少なくとも1種である(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の部分扁平化合成繊維。
上記部分扁平化合成繊維を製造し得る方法としては、以下の発明の方法が挙げられる。
(6)合成繊維をサンドミルにて処理することを特徴とする、単一合成繊維の長さ方向の少なくとも1箇所に扁平化された幅広領域を有し、該幅広領域における最大幅をWmaxとし、該合成繊維の最小幅部分の幅をWminとした場合、Wmax/Wminの値が2以上である部分扁平化合成繊維の製造方法。
(7)合成繊維をサンドミルにて処理することを特徴とする、単一合成繊維の長さ方向の少なくとも1箇所に扁平化された幅広領域を有し、該幅広領域における最大幅をWmaxとし、該合成繊維の長さ方向の平均繊維幅をWavとした場合、Wmax/Wavの値が1.5以上である部分扁平化合成繊維の製造方法。
(8)前記単一合成繊維は、全繊維長L1に対して、繊維が扁平化されている領域の合計長さをL2とした場合、L2/L1として表される扁平化率の値が0.05〜0.5の範囲である(6)項又は(7)項に記載の部分扁平化合成繊維の製造方法。
(9)前記合成繊維は、自己融着性乃至自己接着性を持たない合成繊維である(6)項〜(8)項のいずれか1項に記載の部分扁平化合成繊維の製造方法。
(10)前記合成繊維が、パラ系芳香族ポリアミド繊維及びポリベンザゾール繊維から選ばれる少なくとも1種である(6)項〜(9)項のいずれか1項に記載の部分扁平化合成繊維の製造方法。
また、上記部分扁平化合成繊維を使用した発明としては以下の不織布の発明が挙げられる。
(11)前記(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の部分扁平化合成繊維を主体として使用して形成されていることを特徴とする不織布。
(12)前記(5)項に記載の部分扁平化合成繊維を主体として使用して形成されていることを特徴とする積層板用不織布。
本発明の部分扁平化繊維は高強度の不織布材料に好適な繊維であり、通常の円形断面の繊維に比べ、不織布としたときの引張強度及び地合いが飛躍的に向上する。また、本発明の製造方法により、前記部分扁平化繊維を簡便、かつ効率的に製造することができる。
本発明における、円形断面の単一合成繊維の長さ方向に少なくとも1箇所に扁平化領域を持つ合成繊維は従来になかったものであり、本発明者等が、合成繊維を特定の条件下でサンドミル処理することで容易に得られることを見出したものである。
本発明の部分扁平化合成繊維とは、円形断面の繊維の長さ方向において扁平化された結果、元の繊維径よりも幅が広くなっている扁平化領域を少なくとも1箇所有していることを特徴とする。このような合成繊維を使用して不織布を形成すると、通常の円形断面の合成繊維を用いた場合と比較して不織布の強度及び地合いが飛躍的に向上する。その正確な理由は、今後の研究を待たなければならないが、互いに交絡している状態の各繊維における扁平化領域同士が引っかかり部分となって引き抜き時に大きな抵抗を示すことが理由の一つであると推定される。また扁平化された部分で繊維が容易に屈曲するため、繊維同士の絡み合いが生じるものと推定される。この場合、シートはあたかも扁平化部分間の長さの繊維の集合体であるかのように地合いが良好となると推定される。
本発明の部分扁平化合成繊維は、扁平化された幅広領域を有し、該幅広領域における最大幅をWmaxとし、該円形断面の合成繊維の非扁平化領域の最小幅をWminとした場合、Wmax/Wminの値は、2以上であることが必要であり、2以上5.0以下であることが好ましい。すなわち、1本の繊維中に幅が突出して広い部分があることが好ましい。上記値が2.0未満では扁平化領域同士の引っかかりが弱くなり強度向上効果が十分でない。一方、5.0を越えて大きくしていくと扁平化領域の厚みが薄くなり、該扁平化領域における繊維の強度が不足することとなるので好ましくない。
本発明の部分扁平化合成繊維の場合、前記Wminの値が元の繊維の扁平化されていない最小幅部分の幅であること、すなわち、合成繊維の少なくとも一部に扁平化されていない部分が存在する場合は、Wmax/Wminの値が大きくなり、かつ繊維の強度低下も小さいことから、特に好ましい。このことから、本発明の部分扁平化合成繊維は、全繊維長Lに対して、繊維の部分扁平化されている領域の長さをLとした場合、L として表される扁平化率の値が0.05〜0.5の範囲であることが好ましい。上記値が0.05未満であっても、0.5を越えて大きくなっても扁平化領域同士の引っかかりが弱くなり強度向上効果が十分でない。
本発明の製造方法で円形断面の合成繊維の扁平化処理に用いるサンドミルは、固定した容器に挿入した攪拌機を高速で回転させて容器内に充填したメディアと繊維とを攪拌接触させる装置である。サンドミルの形態には縦型、横型があるが、どちらも使用可能である。具体的にはサンドグラインダー、ダイノミル、ウルトラビスコミルなどの名称の装置が挙げられる。
サンドミル処理に用いられるメディアの種類は特に限定されず、ガラスビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアビーズ、ジルコンビーズ、スチールビーズ、チタニアビーズ等の無機系ビーズや、これら無機系ビーズに有機材料をコーティングしたビーズ、ナイロンビーズやテフロン(登録商標)ビーズ等の有機系ビーズなどが使用可能であり、これらのうちの一種を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合せて使用しても良い。
ビーズの平均粒径は0.1mm程度の微小のものから、6mm程度の大粒径のものまで使用可能である。これらメディアの材質の種類、平均粒径、サンドミルの回転数、処理濃度及び処理時間等の処理条件を適宜選択することで繊維の扁平化の程度をコントロールすることが可能である。部分扁平化に特に好ましいビーズ径範囲は、平均繊維長の0.2から3倍程度である。
サンドミル容器の中に充填するメディアの量は、最密充填量の20〜80%、中で最密充填量の40〜70%が好ましい。充填率が低すぎると試料が全く処理されずに容器から出てくるいわゆるショートパスを起こす。また、充填率が高すぎると扁平化が進みすぎて非扁平化領域が少なくなることから好ましくない。
断面円形の合成繊維をサンドミル処理により部分扁平化すること自体は、多くの合成繊維、たとえば、ポリエステル系繊維、ポリアリレート系繊維、ポリアミド系繊維、芳香族ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ビニリデン系繊維、アセテート系繊維、レーヨン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)系繊維、ポリベンザゾール(PBZ)系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリエーテルケトン(PEK)系、ポリイミド系繊維、メラミン系繊維、フェノール系繊維、フッ素系繊維、ポリアミドイミド系繊維、ポリベンズイミダゾール(PBI)系繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系繊維等の合成繊維や、これら合成樹脂にシリカ等の無機材料を配合した有機無機ハイブリッド繊維などについて可能である
しかし、本発明の効果は、ポリ−p−フェニレンテレフタラミド繊維(商品名:ケプラー、デュポン製)、ポリ−p−フェニレンジフェニルエーテルテレフタラミド繊維(商品名:テクノーラ、帝人製)等のパラ系アラミド繊維や、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスイミダゾール、ポリ(2,5−ベンゾオキサゾール)、ポリ(2,6−ベンゾチアゾール)等のポリベンザゾール繊維等、実質的に熱軟化せず、自己接着性も有しない繊維の場合において特に顕著である。
例えば、パラ系アラミド繊維やポリベンザゾール繊維を主体とした不織布は、プリント配線板等の積層板用基材として有望視されているが、近年の電子部品の軽薄短小化の傾向から、積層板用不織布にも薄物化(低米坪化)が要求されている。本発明の部分扁平化繊維は薄物化に伴う強度低下や地合い不良を改善できるため、特に薄物の積層板用不織布に好適である。
サンドミル処理に使用する合成繊維の繊維径(デニール)は特に限定されないが、目的とする効果が不織布の強度向上であるため、繊維径は小さい方が好ましい。すなわち、繊維径が小さいほど同一米坪の不織布中の繊維数が増加し、繊維の交点が増加することで強度向上が期待できる。ただし、あまりに繊維径が小さいとサンドミル処理時に繊維の切断が起こったり、繊維自体の強度が低下するため、繊維径としては0.1〜5デニール、より好ましくは0.5〜2デニール程度の繊維径を有するものが使用され、異なる繊維径のものを混合しても構わない。
また、繊維の繊維長が長すぎると、後に述べる懸濁液中での分散性が悪化する原因となり、サンドミル処理中に繊維同士が絡まり合うといった問題が生じるため、繊維長としては20mm以下が好ましく、さらに好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下である。異なる繊維長のものを混合しても構わない。
サンドミル処理に使用する合成繊維の断面形状としては、円形断面を始め、三角形、長方形、五角形以上の多角形断面や、長円形、楕円形、眉形、星形や表面に凹凸を有する不定形断面のものなどが広く使用できる。しかし、通常の円形断面の合成繊維の場合、簡単なサンドミル処理でWmax/Wminの値の大きい部分扁平化合成繊維を得ることができるので好ましい。
合成繊維をサンドミルで処理する時は、合成繊維を媒体に分散させたスラリー状で行なう。媒体としては取り扱いの容易性、汎用性などから水が通常最も適しているが、水を嫌う用途など特殊な目的のためにメタノール、エタノールなどの有機溶媒及びこれらの有機溶媒と水との混合媒体を使用してもよい。また分散液の中に繊維の分散性を良くするために分散剤や粘剤等を添加してもよい。サンドミルの具体的な方法について、以下に「水懸濁液」を例として説明する。
サンドミル処理時における有機繊維の水懸濁液の固形分濃度は、通常0.1〜5.0重量%の範囲で調節する。0.1重量%未満では処理効率が悪く、5.0重量%以上で処理すると試料が通りにくくなり、繊維同士が絡まってしまう等の問題が発生する。処理効率を考慮すれば、繊維濃度0.3〜2.0重量%、ビーズ充填率を40〜70%、繊維長を1〜10mmとし、処理時間(滞留時間)1〜10min、周速5〜20m/secの条件での扁平化処理が好ましい。ここで、滞留時間とは、連続処理において、ベッセル実空間(ベッセル容量−ビーズ体積)を繊維スラリーの流量で除した値である。
サンドミル処理の方法についても特に限定されず、バッチ式あるいは連続式の何れの方法でも良いが、生産効率を重視するならば連続式が好ましい。連続式の場合には、送り流量を変更することで滞留時間(処理時間)を変更できる。また数台の装置を直列に接続して処理することも可能である。
このようにして得られた部分扁平化された合成繊維を用いて不織布を製造する。不織布の形成方法は特に限定されず、乾式法又は湿式法のいずれの方法を用いても良いが、より高密度で地合いのよい不織布とするためには湿式法を採用するのがよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で部分扁平化処理をしていない繊維を配合してもよく、補助繊維としてパルプやフィブリッド等を使用しても構わない。
シート化した不織布に樹脂バインダーを付与することももちろん可能である。樹脂バインダーとしては特に限定されず、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等が広く使用でき、目的とする用途に応じて一種又は二種以上が適宜選択される。
樹脂バインダーを付与する方法は、スプレーして散布する方法、不織布を樹脂バインダー液に含浸する方法、不織布に樹脂バインダー液を塗布する方法等があり、またそれらの方法の組み合わせでもよく、樹脂バインダーを添加した後、熱風やドラムドライヤーなどにより加熱乾燥して硬化させる。樹脂バインダーの添加はオンマシンで行ってもよいし、オフマシンで行ってもよい。
以上のようにして作製した不織布をカレンダー処理することが好ましい。カレンダーの温度や線圧、スピードは目的とする不織布の厚さ(密度)に応じて適宜選択される。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例における「%」は、特に断わらない限り「質量%」を表す。また、最大繊維幅、平均繊維幅、扁平化率及び不織布の引張強度(裂断長)の各測定方法は以下のとおりである。
<最大繊維幅、平均繊維幅及び扁平化率の測定>
繊維を軽く押さえつけて伸ばしながら、扁平化面が密着するように粘着テープに貼り付け、ガラスプレパラートに貼り付けて、顕微鏡により平面写真を撮影する。写真はスケールとともに拡大して、ノギスにより各々の繊維幅を測定した。扁平化された幅広領域の最大幅をWmaxとし、元の繊維の扁平化されていない最小部分の幅をWminとする。また、平均繊維幅Wavは、1本の繊維の両端2箇所と、等間隔の中間で3箇所の合計5点について繊維幅を測定し、10本の繊維の平均値とする。また、扁平化率は、1本の繊維の扁平化されている幅広領域の長さ方向の合計長さLを1本の繊維の長さLで除した値(L/L)である。
<裂断長(km)>
幅30mm、長さ150mmとなるように不織布を裁断し、スパン100mm、引張り速度10mm/minの条件で引張り強度(kg)を測定し、裂断長(km)を求めた。測定は10点ずつ行い、平均値を算出した。<不織布の地合い>不織布の地合いは、透過光による目視観察を行い、以下の基準で評価した。
○:シートの濃淡ムラやピンホールが少ない。
△:シートの濃淡ムラ及び/あるいはピンホールがあるが実用上問題ない。
×:シートの濃淡ムラ及び/あるいはピンホールが多く、不適である。
実施例1
繊維長3.0mmの円形断面を有するPBOチョップド繊維〔ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、商品名:ザイロンHM、繊維径1.5d/東洋紡績(株)製〕を水に分散して固形分濃度0.3%のスラリーを調整した。次に、平均粒径2mmのアルミナビーズを充填率50%(最密充填量に対して)となるように充填した容量1400mlの横型サンドミル(商品名:DYNO−MILL TYPE KDL−PILOT/シンマルエンタープライゼス製)に、該スラリーを流量350ml/min(滞留時間2.6min)の条件で流送し、回転数2400rpm(周速12.6m/sec)で処理した。なお、処理温度は冷却用循環水の温度を調節することにより30℃に調節して処理を行った。処理後の繊維のWmax/Wmin値は2.42であり、Wmax/Wav値は2.42で、L/Lの値は0.15であった。
処理後のPBO繊維を角型手抄きマシンで乾燥後の米坪が20g/m2となるように湿式法でシート化した。このシートに熱硬化性エポキシ樹脂エマルジョンを乾燥後の不織布中での含有率が20%となるようにスプレー法で添加し、加熱乾燥して米坪25g/m2の不織布を得た。次いで、この不織布をロール温度200℃の熱キャレンダーで処理後の密度が0.6g/cm3となるようにカレンダー処理した。得られた不織布の強度評価結果を表1に示す。
実施例2
実施例1のビーズ充填率を45%、回転数を1910rpm(周速10.0m/sec)とした以外は、実施例1と同様にして繊維及び不織布を得た。処理後の繊維のWmax/Wmin値は2.33、Wmax/Wav値は2.33、L/L値は0.05であった。この合成繊維から、実施例1と同様に不織布を製造した結果を表1に示す。
実施例3
実施例1のビーズ充填率を60%とした以外は、実施例1と同様にして繊維及び不織布を得た。処理後の繊維のWmax/Wmin値は3.23であり、Wmax/Wav値は1.83で、L/Lの値は0.5であった。この合成繊維から、実施例1と同様に不織布を製造した結果を表1に示す。
比較例1
実施例1におけるサンドミル処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。未処理繊維のWmax/Wmin値は1.00であり、Wmax/Wav値は1.00で、L/Lの値は0である。この合成繊維から、実施例1と同様に不織布を製造した結果を表1に示す。
比較例2
実施例1のビーズ充填率を80%とした以外は、実施例1と同様にして繊維及び不織布を得た。繊維は繊維全長にわたって扁平化されていた。処理後の繊維のWmax/Wmin値は1.1であり、Wmax/Wav値は1.04で、L/Lの値は1.00である。この合成繊維から、実施例1と同様に不織布を製造した結果を表1に示す。

Figure 0004240035
表1から明らかなように、本発明の部分扁平化繊維を用いた不織布は、部分扁平化処理前の繊維による不織布に比べ、高い強度を有している。

Claims (3)

  1. パラ系芳香族ポリアミド繊維及びポリベンザゾール繊維から選ばれる少なくとも1種の円形断面の合成繊維であって、該円形断面の単一合成繊維の長さ方向の少なくとも1箇所に扁平化された幅広領域を有し、該幅広領域における最大幅をWmaxとし、該合成繊維の最小幅部分の幅をWminとした場合、Wmax/Wminの値が2以上であることを特徴とする、不織布製造用部分扁平化合成繊維。
  2. ラ系芳香族ポリアミド繊維及びポリベンザゾール繊維から選ばれる少なくとも1種の円形断面の合成繊維であって、該円形断面の単一合成繊維の長さ方向の少なくとも1箇所に扁平化された幅広領域を有し、該幅広領域における最大幅をWmaxとし、該合成繊維の長さ方向の平均繊維幅をWavとした場合、Wmax/Wavの値が1.5以上であることを特徴とする、請求項1記載の不織布製造用部分扁平化合成繊維。
  3. 前記パラ系芳香族ポリアミド繊維及びポリベンザゾール繊維から選ばれる少なくとも1種の円形断面の単一合成繊維は、全繊維長Lに対して、繊維が扁平化されている領域の合計長さをLとした場合、L/Lとして表される扁平化率が0.05〜0.5の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の不織布製造用部分扁平化合成繊維。
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