JP4137600B2 - 芳香族ポリアミド繊維紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリアミド繊維紙に関するものである。さらに詳しくは、耐熱性及び高湿下における電気絶縁性に優れ、しかも均質で機械的特性にも優れた、特に電気回路板用積層体を製造するために好適に使用することができる、薄物の芳香族ポリアミド繊維紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気回路板用積層物に使用される基材には、耐熱性や耐熱寸法安定性、耐湿寸法安定性、電気絶縁性、耐変形性(捩じれ、反り、波打ちなどを生じ難いこと)、軽量性などの諸特性が要求される。芳香族ポリアミド繊維紙は、他素材からなる紙基材に比べて、耐熱性、電気絶縁性、耐熱寸法安定性、軽量性などの点で優れているため、最近では、電気回路板用積層物の基材に活用されつつある。
【0003】
例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド短繊維(帝人(株)製「コーネックス」)とポリメタフェニレンイソフタルアミドパルプ(フィブリッド)からなる紙;「電気絶縁紙」(特開平2−236907号公報、特開平4−6708号公報など)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド短繊維(デュポン(株)製「ケブラー」)やコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド短繊維(帝人(株)製「テクノーラ」)と有機系樹脂バインダーからなる芳香族ポリアミド繊維紙;「樹脂含浸シート」(特開平1−92233号公報)や「芳香族ポリアミド繊維紙の製造方法」(特開平2−47392号公報)などが提案されている。
【0004】
しかし、前者の2件の繊維紙は耐熱性に優れるものの、250℃以上の高温で熱処理されると収縮して寸法変化を生じるばかりでなく、繊維の平衡水分率(含水率)が高いので、特に長期間高湿度下で保持された場合における電気絶縁性に劣るため、高度な信頼性が要求される電気絶縁用基材には使用することができない。
【0005】
一方、後者の繊維紙も、繊維の平衡水分率及び不純イオンの含有量の点では前者のものに比べて優れているものの、有機系樹脂をバインダー成分として使用しているため、やはり不純イオン含有量及び吸水率が高くなり高度の信頼性が要求される電気絶縁用基材として使用するのが難しい。
【0006】
このような問題を解消する方法として、バインダー成分として有機系樹脂を用いる代わりにメタ型芳香族ポリアミドフィブリッドを用いて、パラ型芳香族ポリアミド短繊維(例えば、デュポン(株)製「ケブラー」)とフィブリッド化されたパラ型芳香族ポリアミドの微小繊維(例えば、デュポン(株)製「ケブラー」)とを結合せしめた繊維紙;「高密度パラアラミド紙」(特開昭61−160500号公報)が提案されている。
【0007】
この紙は、耐熱性や耐熱寸法安定性、耐湿寸法安定性、耐変形性(捩じれ、反り、波打ちなどを生じ難いこと)などの特性には優れているものの、坪量が低い薄物になると品質の均一性に問題を生じるため、やはり、耐熱寸法安定性、耐湿寸法安定性、耐変形性、電気絶縁性などの点で問題があり、これらの改良が強く望まれている。
【0008】
【特許文献1】
特開平2−236907号公報
【特許文献2】
特開平4−6708号公報
【特許文献3】
特開平1−92233号公報
【特許文献4】
特開平2−47392号公報
【特許文献5】
特開昭61−160500号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑みなされたもので、その目的は、芳香族ポリアミド繊維紙が本来有する耐熱性、高湿下における電気絶縁性などの優れた特性を有し、且つ、薄物であっても均質で通気性が低くしかも機械的特性にも優れ、特に電気回路板用積層体を製造するために好適に使用することができる、芳香族ポリアミド繊維紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、単繊維繊度が0.90dtex以下のパラ型芳香族ポリアミド短繊維と、パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプ及びメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドとを主成分として形成された芳香族ポリアミド繊維紙であって、下記要件を満足するとき所望の特性を有する薄物の芳香族ポリアミド繊維紙が得られることを究明し、本発明に至ったものである。
a)芳香族ポリアミド繊維紙の目付が5〜30g/m 2 であること。
b)パラ型芳香族ポリアミド短繊維の繊維長が0.5〜6mmであること。
c)パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドの重量比率(パルプ/フィブリッド)が80/20〜50/50であること。
d)パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドの合計重量が、芳香族ポリアミド繊維紙全重量に対して15〜40%であること。
e)パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプ及びメタ型芳香族ポリアミドフィブリッドの篩い分け試験における24メッシュ以上の大きさの割合がいずれも10重量%以下であること。
【0011】
かくして、本発明によれば、単繊維繊度が0.90dtex以下のパラ型芳香族ポリアミド短繊維と、パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプ及びメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドとを主成分として形成された芳香族ポリアミド繊維紙であって、該パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプ及びメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドの篩い分け試験における24メッシュ以上の大きさの割合がいずれも10%以下であり、且つ、該繊維紙の目付が5〜30g/m2であることを特徴とする芳香族ポリアミド繊維紙が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明における芳香族ポリアミド繊維紙は、パラ型芳香族ポリアミドからなる短繊維と、パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプ(以後単にパルプと呼ぶ場合がある)及びメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッド(以後単にフィブリッドと呼ぶ場合がある)とを主成分として形成されたものであって、従来の芳香族ポリアミド繊維紙とは異なってその目付が5〜30g/m2、好ましくは7〜25g/m2、特に好ましくは10〜20g/m2である極薄手の紙である。
【0013】
該紙の目付が30g/m2を超えるものにあっては、本発明を採用しなくても均質で機械的特性も良好なものを得ることができるので、本発明の対象外である。一方、目付が5g/m2未満の場合には、紙の均質性及び機械的特性が不十分となるので好ましくない。
【0014】
このような芳香族ポリアミド繊維紙に使用するパラ型芳香族ポリアミド短繊維は、従来公知のものが使用可能であり、例えば、芳香族ポリアミドを構成する繰返し単位の80%(好ましくは90モル%以上)が、下記式(1)で表されるパラ型芳香族ホモポリアミド、又は、パラ型芳香族コポリアミドからなる繊維を使用することができる。特に、パラ型芳香族ポリアミド短繊維がより低吸水性になるようにハロゲン原子などで部分的に置換され、変性されたパラ型芳香族ポリアミド短繊維が最適である。
−NHAr1NHCOAr2CO− ……(1)
ここで、Ar1、Ar2はパラ型芳香族基を表わし、なかでも下記式(2)から選ばれた同一の、又は、相異なる芳香族基が好ましい。但し、該芳香族基の水素原子は、ハロゲン原子、低級アルキル基、フェニル基などで置換されていてもよい。
【0015】
【化1】
【0016】
このようなパラ型芳香族ポリアミド短繊維としては、具体的には、ポリパラフェニレンテレフタルアミド短繊維(デュポン(株)製「ケブラー」)や、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド短繊維(帝人(株)製「テクノーラ」)等が例示される。
【0017】
かかるパラ型芳香族ポリアミド短繊維は、その単繊維繊度が0.90dtex以下、特に0.60dtex以下である極細繊維であることが必要である。一方、下限は特に限定する必要はないが、あまりに細くなると製造が困難になるので、実用的には0.10dtex以上とするのが好ましい。
【0018】
ところで、本発明の芳香族ポリアミド繊維紙は、その目付が5〜30g/m2と小さいので、短繊維の単繊維繊度をそのままにして単に目付を小さくすると、単位面積当たりに含まれる短繊維の本数が低下する。その結果、抄造の際の湿紙での強力が低下して抄紙が困難となる上、例え紙を製造できたところで、単繊維の分散斑が発生し易くなって、紙の厚さ方向や面方向の不均一性が増大するので好ましくない。
【0019】
このため、本発明においては、単繊維繊度が0.90dtex以下の極細繊維を使用することによって、該芳香族ポリアミド繊維紙の厚さ方向や面方向での短繊維の分散を向上させ、紙の均質性及び機械的特性を、太い繊維を用いて作成された芳香族ポリアミド繊維紙に比べて向上させているのである。
【0020】
なお、該短繊維の分散斑を防止するためには、繊維長(短繊維のカット長)を短くすることが考えられるが、単繊維繊度が0.90dtexを超える場合、特に1.1dtex以上の場合には、繊維長を短くすると、低い目付の紙の場合紙の強度が低下し、このような低強度の紙は積層体作成工程やその加工工程において切断などの種々の問題を生じるので好ましくない。これに対して、本発明のように前記の極細繊維を使用する場合には、芳香族ポリアミド繊維紙中に含まれる短繊維の本数が増加するため、繊維長をある程度短くしても紙の強度低下が大きくならないのであり、繊維長は0.5〜6.0mmの範囲のものである必要がある。さらには、繊維長を短くすることにより、抄造工程における短繊維の分散性も向上するので、より均質性の改善された紙を得ることが可能となる。
【0021】
上記のパラ型芳香族ポリアミド短繊維が芳香族ポリアミド繊維紙の全重量に対して占める割合は60〜85%であることが必要である。該割合が上記範囲を外れる場合には、得られる繊維紙の耐熱性や熱寸法安定性が低下しやすい。
【0022】
次に、本発明においては、芳香族ポリアミド繊維紙のバインダー成分として、パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドとを併用する。ここでパラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化したパルプとしては、例えば、所定の長さに切断したパラ型芳香族ポリアミド短繊維を、高圧ホモジナイザー、ディスクリファイナー、コロイドミル、ジョルダン、ビーターなどを使用してフィブリル化することにより得られる。かかるパラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化したパルプを用いることにより、該パルプが抄造時にパラ型芳香族ポリアミド短繊維間と物理的な交絡を形成し、抄造時の湿紙の強力を増大させることが可能となる。なお、該パルプを構成するパラ型芳香族ポリアミドは、前述のパラ型芳香族ポリアミド短繊維を構成するものと同一であっても異なっていてもよいが、特にポリパラフェニレンテレフタルアミドからなるものや、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドからなるものが好ましい。
【0023】
一方、メタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドとしては、メタ型芳香族ポリアミドのドープに剪断力を与えながら沈殿剤で凝固することにより得られ、例えば、メタ型芳香族ポリアミドのアミド系極性溶媒溶液を、水を主成分とする沈澱剤(凝固浴液)中に滴下する際、該沈澱剤を高速攪拌することにより、滴下・導入したドープから脱溶媒してメタ型芳香族ポリアミドを凝固させると同時に剪断力を与えるように操作して沈澱させることにより得られる。かかるメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドを用いることにより、該フィブリッドが抄造時に形成されたパラ型芳香族ポリアミド短繊維間の物理的な交絡を強固に接着させ、得られる紙の強力を増大させることができる。なお、該フィブリッドを構成するメタ型芳香族ポリアミドとしては従来公知のものが使用可能であり、例えば、芳香族ポリアミドを構成する繰返し単位の80%(好ましくは90モル%以上)が、下記式(3)で表されるメタ型芳香族ホモポリアミド、又は、メタ型芳香族コポリアミドからなるものを使用することができる。
−NHAr3NHCOAr4CO− ……(3)
ここで、Ar3、Ar4はメタ型芳香族基を表わし、なかでもメタフェニレン基が好ましい。但し、該メタ芳香族基(メタフェニレン基)の水素原子は、ハロゲン原子、低級アルキル基、フェニル基などで置換されていてもよい。
【0024】
本発明においては、上記のパラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプ及びメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドのいずれもが、JIS P 8207法にしたがった篩い分け試験方法で測定した時の24メッシュ以上の大きさのものの重量割合が10%以下、好ましくは6%以下、特に好ましくは、3%以下であることが必要である。この割合が10%を超える場合には、抄造後の湿紙に斑が大きくなるため、目付30g/m2以下の薄物ではその強力が不十分となって抄紙性が低下するだけでなく、得られる紙の強力が低下し、均質性も不十分となるため、電気回路板用積層体に使用することが困難になる。なお、ここでいう24メッシュ以上の大きさのものの重量割合が10%以下とは、上記篩い分け試験方法において、目開きの大きさが24メッシュの篩を通過できなかったパルプの総量が10%以下であることをいう。
【0025】
このようなパラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプを製造するためには、前記方法において用いる短繊維の単繊維繊度や繊維長を調整したり、フィブリル化の条件を厳しくすればよい。一方、メタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドにあっては、ドープ濃度や沈殿剤を調整したり、凝固時に与える剪断力を調整すればよい。
【0026】
パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドとの重量割合(パルプ/フィブリッド)は、メタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドの割合が少なすぎると湿紙の強力が低下するために抄紙性が低下し、一方多くなりすぎると得られる紙の耐湿熱性や機械的特性も低下する傾向にあるので、80/20〜50/50の範囲である必要がある。
【0027】
パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドの合計の割合は、繊維紙の重量を基準として15〜40重量%の範囲にあることが必要で、この範囲未満の場合には、芳香族ポリアミド繊維紙を抄造するときに該パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドがバインダー性能を十分発揮できないため、抄紙の作成が困難となる。一方、この範囲を超える場合には、パラ型芳香族ポリアミド短繊維の割合が少なくなるため、得られる紙の機械的特性が低下する傾向にある。
【0028】
なお、本発明の芳香族ポリアミド繊維紙は、上記のように単繊維繊度が0.90dtex以下のパラ型芳香族ポリアミド短繊維と、パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドとを主成分として形成されたものであるが、ここでいう主成分とは、これらの合計の重量が繊維紙の重量に対して90重量%以上、好ましくは95重量%以上を占めていることをいい、本発明の目的を阻害しない範囲内であれば、10重量%以下の範囲で他の短繊維、パルプ、有機バインダーなどを含んでいてもよい。例えば有機バインダーとしては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などをあげることができる。
【0029】
さらに、本発明の芳香族ポリアミド繊維紙は、30g/m2以下の低目付であっても均質(紙孔径が均一で且つ細かい)であることが好ましく、そのためには通気量が10cm3/cm2/秒以下、特に7cm3/cm2/秒以下であるものがよい。
【0030】
以上に説明した本発明の芳香族ポリアミド繊維紙は、従来公知の方法(工程)で製造することができる。例えば、パラ型芳香族ポリアミド短繊維、パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドを、定められた所定の割合となるように秤量し、繊維濃度(パルプとフィブリッドも含む)が約0.15〜0.40重量%となるように水中に投入して均一分散、調整した水性スラリー中に、必要に応じて、分散剤や粘度調整剤を加えた後、長網式や丸網式等の抄紙機による湿式抄造法で湿紙を形成し、該湿紙を乾燥して得た乾燥紙を加熱加圧加工することにより、所望の目付、厚さ、強力等を有する芳香族ポリアミド繊維紙として得ることができる。
【0031】
加熱加圧加工の条件は、例えば、カレンダー機を用いて加熱加圧する場合には、直径約15〜80cmからなる1ケの硬質表面ロールと、直径約30〜100cmの表面変形可能な弾性ロールとの間で、好ましくは、直径約20〜80cmからなる2ケの硬質表面ロール同士の間で行えばよい。また、電気回路板用積層物の製造工程には240℃以上で高温熱処理する工程があるため、この熱処理温度以上の熱履歴を芳香族ポリアミド繊維紙に予め与えておくと、この熱処理工程での紙の熱寸法変化や内部歪み誘発を抑制し、得られる積層物の耐熱寸法安定性や耐変形性が向上するのでより好ましい。本発明者らの検討によれば、温度:280〜360℃、線圧:1764〜3920N/cmの範囲でカレンダー加工するのが最適であり、この条件で作成された芳香族ポリアミド繊維紙は、耐熱寸法安定性に優れ、また、引張強力も優れたものが得られる。なお、該加熱加圧条件が360℃、3920N/cmを超えると、得られる紙の嵩密度が大きくなり易く好ましくない。
【0032】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の各評価項目の測定値は下記の測定方法にしたがって求めた。
(1)24メッシュ以上の大きさのパラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドの重量割合
JIS P 8207に準じて測定した際に、目開きの大きさが24メッシュの篩を通過できなかったパルプとフィブリッドのそれぞれの総量をパルプとフィブリッドの投入全量に対する重量割合で示した。
(2)紙の目付け(坪量)
JIS P 8124に準じて測定した。
(3)紙の厚さ
JIS C 2111に準じて測定した。
(4)紙の嵩密度
JIS C 2111に準じて測定した。
(5)紙の引張強力
JIS P 8113に準じて測定した。
(6)紙の通気度
JIS L 1096に準じて測定した。
(7)紙の熱寸法変化率
高精度二次元座標測定機(ムトウ工業株式会社製)を用い、長さ250mm、幅50mmの試料の長さ方向について、熱処理前と温度280℃で5分間熱処理した後の長さを測定し、下記計算式により熱寸法変化率を算出した。なお、測定用の試料は、連続紙の長さ方向と幅方向から採取して測定し、その平均値で比較判定した。
【0033】
[実施例1〜3]
パラ型芳香族ポリアミド短繊維として、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドからなる単糸繊度0.84dtex、繊維長3mmの短繊維(帝人(株)製「テクノーラ」)を、パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとして、ポリパラフェニレンテレフタルアミドからなる単糸繊度1.68dtex、繊維長5mmの短繊維(テイジントワロン(株)製「トワロン」)をディスクリファイナーを用いてフィブリル化させることにより得た、24メッシュ以上の大きさのパルプの重量割合が5.2%であるパルプを、及びメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドとして、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(帝人(株)製「コーネックス」)からなるドープを用い、機械的な剪断力を加えると同時に沈殿剤により凝固させることにより得た、24メッシュ以上の大きさのフィブリッドの重量割合が3.7%であるメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドを用いて表1に示す割合で混合し、パルパーにより水中に離解分散させ、これに0.03%濃度になるように分散剤(松本油脂(株)製)を添加して、繊維濃度が0.25%の抄紙用スラリー液を作成した。
【0034】
次に、タッピー式角型手抄機を用いて該抄紙用スラリー液を抄紙し、軽く加圧脱水後、温度160℃の熱風乾燥機中で約15分間乾燥して、芳香族ポリアミド繊維紙を得た。
【0035】
次いで、直径400mmの一対の硬質表面金属ロールからなるカレンダー機を用い、温度230℃、線圧1568N/cmの条件で加熱・加圧した後、さらに、直径約500mmの一対の硬質表面金属ロールからなる高温カレンダー機を用い、温度320℃、線圧1960N/cmの条件で加熱・加圧して坪量20g/m2の芳香族ポリアミド繊維紙を得た。
【0036】
得られた芳香族ポリアミド繊維紙の構成成分を表1に、使用したパルプとフィブリッドの24メッシュ以上の大きさのパルプとフィブリッドの重量割合を表2に、また、該芳香族ポリアミド繊維紙の特性について前記の測定法により評価した諸特性を表3に示す。
【0037】
[比較例1]
ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維からなる単糸繊度1.68dtex、繊維長5mmの短繊維(テイジントワロン(株)製「トワロン」)をディスクリファイナーを用いてフィブリル化させて、24メッシュ以上の大きさのパルプの重量割合が13.6%であるパルプを得た。このパルプを、実施例1において用いた、パラ型芳香族ポリアミドパルプの代わりに用いた以外は実施例1と同様に行って芳香族ポリアミド繊維紙を得た。
【0038】
得られた芳香族ポリアミド繊維紙の構成成分を表1に、使用したパルプとフィブリッドの24メッシュ以上の大きさのパルプとフィブリッドの重量割合を表2に、また、該芳香族ポリアミド繊維紙の特性について前記の測定法により評価した諸特性を表3に示す。
【0039】
[比較例2]
ポリメタフェニレンイソフタルアミドからなるドープを用いて、前記の方法に倣い、機械的な剪断力を加えると同時に沈殿剤により凝固させて、24メッシュ以上の大きさのフィブリッドの重量割合が17.2%であるフィブリッドを得た。このフィブリッドを、実施例1において用いた、メタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドの代わりに用いた以外は実施例1と同様に行って芳香族ポリアミド繊維紙を得た。
【0040】
得られた芳香族ポリアミド繊維紙の構成成分を表1に、使用したパルプとフィブリッドの24メッシュ以上の大きさのパルプとフィブリッドの重量割合を表2に、また、該芳香族ポリアミド繊維紙の特性について前記の測定法により評価した諸特性を表3に示す。
【0041】
[比較例3]
実施例1において、パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプを使用せず、代わりにその分をコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維からなる単糸繊度0.84dtex、繊維長3mmの短繊維(帝人(株)製「テクノーラ」)で補った以外は実施例1と同様に行って芳香族ポリアミド繊維紙を得た。
【0042】
得られた芳香族ポリアミド繊維紙の構成成分を表1に、使用したパルプとフィブリッドの24メッシュ以上の大きさのパルプとフィブリッドの重量割合を表2に、また、該芳香族ポリアミド繊維紙の特性について前記の測定法により評価した諸特性を表3に示す。
【0043】
実施例1において、メタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドを使用せず、代わりにその分をコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維からなる単糸繊度0.84dtex、繊維長3mmの短繊維(帝人(株)製「テクノーラ」)で補った以外は実施例1と同様に行って芳香族ポリアミド繊維紙を得た。
【0044】
得られた芳香族ポリアミド繊維紙の構成成分を表1に、使用したパルプとフィブリッドの24メッシュ以上の大きさのパルプとフィブリッドの重量割合を表2に、また、該芳香族ポリアミド繊維紙の特性について前記の測定法により評価した諸特性を表3に示す。
【0045】
[比較例5]
実施例3において、パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプ及びメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドを使用せず、代わりに抄紙時にビスフェノールAエピクロルヒドリン型水分散性エポキシ樹脂バインダー(大日本インキ化学工業(株)製)の水希釈液(固形分濃度:2重量%)を、該樹脂の固形分が15重量%になるようにスプレーした以外は実施例3と同様に行って芳香族ポリアミド繊維紙を得た。
【0046】
得られた芳香族ポリアミド繊維紙の構成成分を表1に、使用したパルプとフィブリッドの24メッシュ以上の大きさのパルプとフィブリッドの重量割合を表2に、また、該芳香族ポリアミド繊維紙の特性について前記の測定法により評価した諸特性を表3に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【発明の効果】
以上に説明した本発明の芳香族ポリアミド繊維紙によれば、0.90dtex以下で特定長さの繊維長の極細パラ型アラミド短繊維に、規定された篩い分け試験の性能を有するパラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドを特定比率で且つ芳香族ポリアミド紙全重量に対し特定重量比率で併用しているので、目付が30g/m2以下の薄物であっても、抄紙性良好で且つ均質で機械的特性にも優れている。したがって、該繊維紙を用いた電気回路板用積層体は、従来よりも軽量としても、寸法安定性が良好で、しかも耐熱性及び高湿下における電気絶縁性などにも優れたものが得られる。
Claims (5)
- 単繊維繊度が0.90dtex以下のパラ型芳香族ポリアミド短繊維と、パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプ及びメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドとを主成分として形成された芳香族ポリアミド繊維紙であって、下記要件を満足することを特徴とする芳香族ポリアミド繊維紙。
a)芳香族ポリアミド繊維紙の目付が5〜30g/m2であること。
b)パラ型芳香族ポリアミド短繊維の繊維長が0.5〜6mmであること。
c)パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドの重量比率(パルプ/フィブリッド)が80/20〜50/50であること。
d)パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプとメタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドの合計重量が、芳香族ポリアミド繊維紙全重量に対して15〜40%であること。
e)パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプ及びメタ型芳香族ポリアミドフィブリッドの篩い分け試験における24メッシュ以上の大きさの割合がいずれも10重量%以下であること。 - パラ型芳香族ポリアミド繊維をフィブリル化してなるパルプが、ポリパラフェニレンテレフタルアミド短繊維及び/又はコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド短繊維をフィブリル化してなるパルプである請求項1に記載の芳香族ポリアミド繊維紙。
- メタ型芳香族ポリアミドからなるフィブリッドが、ポリメタフェニレンイソフタルアミドからなるフィブリッドである請求項1〜2のいずれか1項に記載の芳香族ポリアミド繊維紙。
- パラ型芳香族ポリアミド短繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミド短繊維及び/又はコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド短繊維である請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリアミド繊維紙。
- 通気量が7cm3/cm2/秒以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリアミド繊維紙。
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