JP2003003392A - 芳香族ポリアミド繊維紙 - Google Patents

芳香族ポリアミド繊維紙

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JP2003003392A
JP2003003392A JP2001189171A JP2001189171A JP2003003392A JP 2003003392 A JP2003003392 A JP 2003003392A JP 2001189171 A JP2001189171 A JP 2001189171A JP 2001189171 A JP2001189171 A JP 2001189171A JP 2003003392 A JP2003003392 A JP 2003003392A
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pulp
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Yuichi Onozawa
雄一 小野澤
Sadamitsu Murayama
定光 村山
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性及び高湿度下における電気絶縁性に優
れ、特に電気回路用積層物の基材として好適で、従来の
芳香族ポリアミド繊維紙における前記の問題点、とりわ
け紙自体の強力の向上を図り、積層板を成形する際の紙
の取扱い性や積層板の耐変形性が向上された新規な芳香
族ポリアミド繊維紙を提供すること。 【解決手段】 紙の全重量に対して40〜90重量%の
芳香族ポリアミド短繊維と紙の全重量に対して10〜6
0重量%の芳香族ポリアミドパルプとを主成分とする芳
香族ポリアミド繊維紙であって、該芳香族ポリアミドパ
ルプが、芳香族ポリアミドのドープに叩解作用により剪
断力を与え、沈澱剤により凝固せしめることにより得ら
れたパルプであり、且つ芳香族ポリアミド繊維紙が35
0℃以上の高温下で熱処理されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリアミド
繊維紙に関し、さらに詳しくは、耐熱性及び高湿下にお
ける電気絶縁抵抗性に優れ、特に、電気回路板用積層物
を製造するために好適に使用できる芳香族ポリアミド繊
維紙に関する。
【0002】
【従来の技術】電気回路板用積層物に使用される基材に
は、耐熱性や耐熱寸法安定性、耐湿寸法安定性、電気絶
縁性、耐変形性(捩じれ、反り、波打ちなどを生じ難い
こと)、軽量性、且つ、信頼性に関わる不純物イオン量
及び吸水率のさらなる減少などの諸特性が要求される。
芳香族ポリアミド繊維紙は、他素材からなる紙基材に比
べて、耐熱性、電気絶縁性、耐熱寸法安定性、軽量性な
どの点で優れているため、最近では、電気回路板用積層
物の基材に活用されつつある。
【0003】例えば、ポリメタフェニレンイソフタルア
ミド短繊維(帝人(株)製「コーネックス」)とポリメ
タフェニレンイソフタルアミドパルプ(フィブリッド)
からなる紙;「電気絶縁紙」(特開平2−236907
号公報、特開平4−6708号公報など)、ポリパラフ
ェニレンテレフタルアミド短繊維(デュポン(株)製
「ケブラー」)やコポリパラフェニレン・3,4’−オ
キシジフェニレン・テレフタルアミド短繊維(帝人
(株)製「テクノーラ」)と有機系樹脂バインダーから
なる芳香族ポリアミド繊維紙;「樹脂含浸シート」(特
開平1−92233号公報)や「芳香族ポリアミド繊維
紙の製造方法」(特開平2−47392号公報)などが
提案されている。
【0004】しかし、前者の2件の繊維紙は耐熱性に優
れるものの、250℃以上の高温で熱処理されると収縮
して寸法変化を生じるばかりでなく、繊維の平衡水分率
(含水率)が高く、且つ、不純イオンの含有量も多いの
で、特に長期間高湿度下で保持された場合における電気
絶縁性に劣るため、高度な信頼性が要求される電気絶縁
用基材には使用することができない。
【0005】一方、後者の繊維紙も、繊維の平衡水分率
及び不純イオンの含有量の点では前者のものに比べて優
れているものの、有機系樹脂をバインダー成分として使
用しているため、やはり不純イオン含有量及び吸水率が
高くなり高度の信頼性が要求される電気絶縁用基材とし
て使用するのが難しい。
【0006】さらに、バインダー成分として有機系樹脂
を用いる代わりにメタ型芳香族ポリアミドフィブリッド
を用いて、パラ型芳香族ポリアミド短繊維(例えば、デ
ュポン(株)製「ケブラー」)とフィブリッド化された
パラ型芳香族ポリアミドの微小繊維(例えば、デュポン
(株)製「ケブラー」)とを結合せしめた繊維紙;「高
密度パラアラミド紙」(特開昭61−160500号公
報)が提案されている。
【0007】この紙は、平衡水分率及び不純イオンの含
有量の点では従来のものに比べて優れているものの、紙
自体の強力が劣り、積層板を成形する際の紙の取扱い性
や積層板の耐変形性(捩じれ、反り、波打ちなどを生じ
難いこと)に問題があり、この改良が強く望まれてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性及び
高湿度下における電気絶縁性に優れ、特に電気回路用積
層物の基材として好適で、従来の芳香族ポリアミド繊維
紙における前記の問題点、とりわけ紙自体の強力の向上
を図り、積層板を成形する際の紙の取扱い性や積層板の
耐変形性が向上された新規な芳香族ポリアミド繊維紙を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記のよ
うな従来技術の有する問題を解決するため鋭意検討した
結果、芳香族ポリアミド短繊維に、芳香族ポリアミドの
ドープに叩解作用により剪断力を与え、沈澱剤により凝
固せしめることにより得られる湿式芳香族ポリアミドパ
ルプをバインダー成分として混合させ、且つ350℃以
上の高温下で熱処理するとき、所望の芳香族ポリアミド
繊維紙が得られることを見出し、本発明に到った。
【0010】かくして本発明によれば、紙の全重量に対
して40〜90重量%の芳香族ポリアミド短繊維と紙の
全重量に対して10〜60重量%の芳香族ポリアミドパ
ルプとを主成分とする芳香族ポリアミド繊維紙であっ
て、該芳香族ポリアミドパルプが、芳香族ポリアミドの
ドープに叩解作用により剪断力を与え、沈澱剤により凝
固せしめることにより得られたパルプであり、且つ芳香
族ポリアミド繊維紙が350℃以上の高温下で熱処理さ
れたものであることを特徴とする芳香族ポリアミド繊維
紙が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明における芳香族ポリアミド繊維紙と
は、芳香族ポリアミド短繊維及び湿式芳香族ポリアミド
パルプを含んでなる紙状物、不織布、若しくは、シート
状物を含むものであり、該湿式芳香族ポリアミドパルプ
としては、芳香族ポリアミドのドープに叩解作用により
剪断力を与え、沈澱剤により凝固せしめることにより得
られ、且つ有機溶剤中で熱処理されたパルプを用いる。
【0013】このような芳香族ポリアミド短繊維や芳香
族ポリアミドのドープに使用するポリアミドは、該ポリ
アミドを構成する繰返し単位の80モル%以上、好まし
くは、90モル%以上が下記式(1)で表わされる芳香
族ホモポリアミド又は芳香族コポリアミドからなるもの
である。
【0014】
【化1】
【0015】ここで、Ar1、Ar2は芳香族基を表わ
し、なかでも下記式(2)から選ばれた同一の、又は、
相異なる芳香族基が好ましい。但し、芳香族基の水素原
子は、ハロゲン原子、低級アルキル基、フェニル基など
で置換されていてもよい。
【0016】
【化2】
【0017】このような芳香族ポリアミドの製造方法や
繊維特性については、例えば、英国特許第150194
8号公報、米国特許第3733964号公報、第376
7756号公報、第3869429号公報、日本国特許
の特開昭49−100322号公報、特公昭47−10
863号公報、特開昭58−144152号公報、特開
平4−65513号公報などに記載されている。
【0018】このような芳香族ポリアミドには、メタ型
芳香族ポリアミドからなるもの、又は、パラ型芳香族ポ
リアミドからなるもののいずれかがあるが、本発明にお
いてはパラ型芳香族ポリアミドが好ましく用いられ、こ
のようなパラ型芳香族ポリアミドからなる短繊維やドー
プは、前記の芳香族ポリアミドのうち、延鎖結合が共軸
又は平行であり且つ反対方向に向いているポリアミドか
らなるものであり、例えば、前記のAr1、Ar2の80
モル%以上が下記式(3)で表わされる芳香族基(A)
及び/又は(B)である芳香族ポリアミドからなるもの
が用いられる。特に、本発明に用いる湿式芳香族ポリア
ミドパルプを作成するドープには、コポリパラフェニレ
ン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド
のドープが最適に使用される。
【0019】
【化3】
【0020】また、前記の芳香族ポリアミド短繊維の具
体例としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド短
繊維(デュポン(株)製「ケブラー」)、コポリパラフ
ェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタル
アミド短繊維(帝人(株)製「テクノーラ」)などが例
示され、特に後者は、その繊維の製法上、すなわち、製
糸の際に使用する溶媒に起因する不純イオンの含有量が
少なく電気絶縁性に優れているのでより好ましい。
【0021】さらに、該芳香族ポリアミド短繊維とし
て、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニ
レン・テレフタルアミド短繊維を使用し、その表面上に
固体状のカチオン変換性で且つ非イオン吸着性の無機化
合物が固着されているものは、配合ワニスの含浸性が向
上するため、電気回路板用積層物の製造工程における変
形量が少なくなり、また、得られる積層物の高湿下にお
ける電気絶縁性や寸法安定性がさらに向上するのでより
好ましい実施態様である。
【0022】ここにカチオン変換性で且つ非イオン吸着
性の無機化合物とは、カチオンとの交換能を有し、さら
に非イオンの吸着能をも有する化合物であり、具体例と
しては、シリカ・アルミナ、シリカ・マグネシア、カオ
リン、酸性白土、活性白土、タルク、ベントナイト、オ
スモス等があげられる。これらの化合物は、特に固体粒
子として繊維表面に固着されていると、接着補強効果が
さらに向上するので好ましい。該粒子の大きさ(粒子
径)としては、0.01〜5μm程度のものが用いられ
る。このように繊維表面に無機化合物を固着させるに
は、例えば、繊維表面が軟化した状態で該無機化合物粒
子を繊維表面に押し付けて繊維表面に食い込ませればよ
い。
【0023】また、該芳香族ポリアミド短繊維の単繊維
繊度は、通常、0.11〜11.1dtexの範囲のも
のが好ましく用いられ、さらに好ましくは0.33〜
5.56dtexの範囲のものがよい。該単繊維繊度が
0.11dtex未満では、製糸技術上困難な点が多
く、断糸や毛羽が発生して良好な品質の繊維を安定して
生産することが困難になるだけでなく、コストも高くな
るため好ましくない。一方、該単繊維繊度が11.1d
texを超えると、繊維の機械的物性、特に強度の低下
が大きくなり実用的でなくなる。なお、芳香族ポリアミ
ド短繊維は、その一部が機械的にフィブリル化されてい
てもよいが、その割合が多くなりすぎると配合ワニスの
含浸性が低下するので、出来るだけその割合は少なくす
ることが好ましい。
【0024】さらに、該芳香族ポリアミド短繊維の繊維
長は、0.5〜80mmの範囲のものが好ましく、さら
に好ましくは、1〜60mmの範囲のものであり、特
に、湿式法で紙を成形する場合においては、2〜12m
mの範囲のものが最適である。該繊維長が0.5mm未
満では、得られる芳香族ポリアミド繊維紙(繊維集合
体)の機械的物性が不充分なものとなり易く、一方、該
繊維長が80mmを超えると、短繊維の開繊性、分散性
等が悪化して得られる繊維集合体の均一性が損なわれ、
やはり機械的物性が不充分なものとなり易く好ましくな
い。
【0025】上記芳香族ポリアミド短繊維には、比重が
1.380以下である未延伸若しくは低倍率延伸のパラ
型芳香族ポリアミドからなる短繊維が含まれていること
が好ましく、その好ましい混合量は、芳香族ポリアミド
短繊維の全重量に対して、4〜35重量%である。
【0026】ここで、比重が1.380以下である未延
伸若しくは低倍率延伸のパラ型芳香族ポリアミドからな
る短繊維とは、例えば、前記のコポリパラフェニレン・
3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維
の製造工程において、延伸しないもの(未延伸繊維)を
用いるか、又は、結晶化が促進されないように延伸倍率
を低く押さえたり(例えば、延伸倍率が3倍以下、若し
くは、最大可能延伸倍率の30〜40%以下の低倍率延
伸繊維)、熱履歴を少なくするなど製造条件に工夫をこ
らすことにより得られる短繊維であり、その破断伸度が
5.3%以上(高伸度)、且つ、強度が17.5g/デ
ニール以下(低強度)、より好ましくは、該破断伸度が
6.0%以上、強度が16.5g/デニール以下、且
つ、比重が1.375以下であるものを言う。
【0027】このような特性を有するパラ型芳香族ポリ
アミド繊維を少量混合して湿式抄造された紙は、高温下
での熱処理時に、該繊維が軟化、変形、部分溶融、部分
切断して他の芳香族ポリアミド短繊維との交絡性や接着
性、接着面積を高めて、単繊維相互間の固定度や固着度
を向上させ、形成される紙の引張り強度や層間剥離強度
を向上ならしめる効果を有し、該紙を使用した電気材料
や電気回路板用積層物などの製造工程における変形量を
減少させる作用を呈する。
【0028】また、このような未延伸若しくは低倍率延
伸のパラ型芳香族ポリアミド繊維の中には、加熱等によ
り繊維中に含まれる水分(湿分)を脱水(脱湿)処理す
ると繊維軸方向に伸びる傾向を示すものがあり、同様の
条件で繊維軸方向に伸びる傾向を示す市販の汎用パラ型
芳香族ポリアミド繊維と上手く組合わせると、吸湿や乾
燥、脱湿を繰返しても寸法変化が起こり難く、耐熱寸法
安定性や耐湿寸法安定性に優れた耐熱性繊維紙を得るこ
とができる。
【0029】次に、芳香族ポリアミドパルプは、芳香族
ポリアミドのドープに叩解作用により剪断力を与え、沈
澱剤により凝固せしめることにより得られる湿式芳香族
ポリアミドパルプが用いられ、該芳香族ポリアミドのド
ープとしてコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジ
フェニレン・テレフタルアミドのドープが最適に使用さ
れる。
【0030】上記のコポリパラフェニレン・3,4’−
オキシジフェニレン・テレフタルアミドのドープは、コ
ポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・
テレフタルアミドを溶剤系に溶解させた溶液組成物(ド
ープ)であり、溶剤としては、N−メチル−2−ピロリ
ドン(以下、NMPという)、又は、これを主体とする
混合溶剤が使用され、これに塩化カルシウムを混合した
溶剤系として使用されることが好ましい。
【0031】このような芳香族ポリアミドの溶液組成物
の調製法の好適例としては、該芳香族ポリアミドのペレ
ット又は粉砕した微粉末の所定量及びNMPの所定量と
塩化カルシウムの所定量とを調製容器に入れて、30℃
以上沸点未満の温度、好ましくは約40〜80℃の温度
で、約20分〜2時間攪拌してポリマー(芳香族ポリア
ミド)を溶解することにより調製される。
【0032】もちろん、このような芳香族ポリアミドや
NMPとを含む均一な溶液組成物に、更に必要に応じ
て、例えば、安定剤、難燃剤、離型剤、着色剤、艶消し
剤、帯電防止剤、接着性向上樹脂、フィラー等の添加剤
を含むことができる。
【0033】本発明において使用する湿式芳香族ポリア
ミドパルプは、例えば、前記の芳香族ポリアミド溶液組
成物を水を主成分とする沈澱剤(凝固浴液)中に滴下す
る際、該沈澱剤を高速攪拌することにより、滴下・導入
した溶液組成物から脱溶媒して芳香族ポリアミドを凝固
させると同時に叩解作用により剪断力を与えるように操
作して沈澱させることにより得られる。かかる沈澱剤と
しては、水単独の使用の他に、他の沈澱剤を水に混合し
て使用することも可能である。
【0034】また、該湿式芳香族ポリアミドパルプに
は、主として前記のコポリパラフェニレン・3,4’−
オキシジフェニレン・テレフタルアミドからなるパルプ
が使用されるが、必要に応じて、ポリメタフェニレンイ
ソフタルアミドからなるパルプを混合して使用してもよ
い。但し、吸水率を低く押さえるために、該ポリメタフ
ェニレンイソフタルアミドからなるパルプの混合割合
は、出来るだけ少ないものが好ましく、使用される湿式
芳香族ポリアミドパルプの全重量の50重量%以下、好
ましくは、40重量%以下の範囲で使用するものがよ
い。
【0035】本発明においては、上記の芳香族ポリアミ
ドパルプを有機溶剤中で熱処理することが好ましい。こ
の際の温度は30℃以上130℃未満が好ましく、40
℃以上120℃未満がさらに好ましい。また熱処理時間
は5〜60分が適当である。
【0036】熱処理に使用する有機溶剤としては、NM
P,ジメチルホルムアミド(以下DMFという)、ジメ
チルアセトアミド(以下DMACという)、或いはジメ
チルスルホキシド(以下DMSOという)など、上記芳
香族ポリアミドパルプを膨潤させるものであれば良い。
【0037】このようにして得られる芳香族ポリアミド
短繊維と芳香族ポリアミドパルプとを混合する場合の混
合割合は、該紙の全固体重量中に占める芳香族ポリアミ
ド短繊維の量が40〜90重量%の範囲に、芳香族ポリ
アミドパルプの量が10〜60重量%の範囲にあること
が必要であり、さらに、この混合割合として、芳香族ポ
リアミド短繊維の量が60〜90重量%の範囲に、芳香
族ポリアミドパルプの量が10〜40重量%の範囲にあ
るものが好ましい。
【0038】芳香族ポリアミドパルプの量が10重量%
未満の場合は、芳香族ポリアミド繊維紙を抄造するとき
に該芳香族ポリアミドパルプがバインダー性能を発揮で
きず抄紙の作成が不可能となる。また、芳香族ポリアミ
ドパルプの量が60重量%を超える場合、芳香族ポリア
ミド短繊維間が、該芳香族ポリアミドパルプで充填さ
れ、しかもこれらが相互に密着し、接着するので紙の密
度が高くなり、特に、この紙に配合ワニスなどの樹脂を
含浸させた状態で電気絶縁材料用の基材として用いる場
合には、該樹脂が紙の内部にまで均一に、且つ、充分に
含浸されず、内部で部分的な不均一や含浸量不足を招
き、その結果、高温高湿下での電気絶縁特性不良や絶縁
破壊を発生し易く、また、該芳香族ポリアミドパルプで
密着、接着している割には層間剥離強力が低いなどの問
題点を有する。これらの問題、特に、配合ワニスなどの
樹脂を含浸させた状態での問題点を回避するためには、
該芳香族ポリアミドパルプの量は出るだけ少ない方が好
ましく、前記の範囲、すなわち、10〜40重量%の範
囲がより好ましい。
【0039】さらに、本発明の芳香族ポリアミド繊維紙
は、その耐熱寸法安定性、及び、電気絶縁回路板積層物
基材として用いる場合の耐変形性(捩じれ、反り、波打
ち等の現象)の特性が、芳香族ポリアミド繊維紙の嵩密
度、引張強力、層間剥離強力等の値により影響され易い
のでこれらの物性値が下記の範囲にあるものが好ましく
例示される。
【0040】すなわち、本発明の芳香族ポリアミド繊維
紙の嵩密度は、0.45〜0.80g/cm3、好まし
くは、0.55〜0.65g/cm3の範囲内にあるも
のがよく、また、該芳香族ポリアミド繊維紙の引張り強
力は14.7N/15mm以上、好ましくは29.4N
/15mm以上あるものがよく、且つ、層間剥離強力は
147mN/15mm以上、好ましくは、196mN/
15mm以上あるものがよい。
【0041】該嵩密度が0.45g/cm3未満の場
合、又は、層間剥離強力が147mN/15mm未満の
場合には、紙の中層部における短繊維相互間の接着力が
低下して配合ワニスの紙内部への含浸量が多くなり易い
ため、プリプレグ製造工程や電気回路板用積層物の製造
工程、特に、積層プレス工程で含浸ワニスの流れに対応
した短繊維の部分的な移動が生じやすく、得られる電気
回路板用積層物内部で繊維密度ムラが発生し易くなる。
その結果、耐熱寸法安定性や耐変形性の低下を招くこと
がある。
【0042】一方、該芳香族ポリアミド繊維紙の引張り
強力が、14.7N/15mm未満では、配合ワニスの
含浸工程で紙の切断が生じ易くなり、また、該嵩密度が
0.80g/cm3を超えると配合ワニスの紙内部への
含浸性が低下し易くなり、得られる電気回路板用積層物
の電気絶縁性、耐熱寸法安定性、耐変形性といった特性
の低下を招くことになり好ましくない。
【0043】このような芳香族ポリアミド繊維紙は、公
知の方法(工程)で製造することができる。例えば、パ
ラ型芳香族ポリアミド短繊維と芳香族ポリアミドパルプ
とを定められた所定の比率になるように秤量し、繊維濃
度が約0.15〜0.40重量%となるように水中に投
入して均一分散、調整した水性スラリー中に、必要に応
じて、分散剤や粘度調整剤を加えた後、長網式や丸網式
等の抄紙機による湿式抄造法で湿紙を形成し、該湿紙を
乾燥して得た乾燥紙を加熱加圧加工することにより、所
望の厚さ、嵩密度、強力、剥離強力等を有する芳香族ポ
リアミド繊維紙として得ることが出来る。或いは、パラ
型芳香族ポリアミド短繊維と芳香族ポリアミドパルプと
を高速流体で開繊しながらベルト上にランダムに積層さ
せた後、加熱加圧、乾燥して所望する芳香族ポリアミド
繊維紙とする方法でもよい。
【0044】これらの方法で製造される芳香族ポリアミ
ド繊維紙は、前記のように、電気回路板積層物の基材に
使用される場合には、得られる積層物の耐熱寸法安定
性、耐変形性(捩じれ、反り、波打ち等の現象)といっ
た特性が、芳香族ポリアミド繊維紙の嵩密度、引張強
力、層間剥離強力等の特性により影響され易い傾向があ
る。このため、これらの特性が前記に示した範囲内にな
るように製紙条件を調整、コントロールし、乾燥、加熱
加圧加工することが好ましい。
【0045】特に、この加熱加圧加工の条件は重要であ
り、例えば、カレンダー機を用いて加熱加圧する場合に
は、直径約15〜80cmからなる1ケの硬質表面ロー
ルと、直径約30〜100cmの表面変形可能な弾性ロ
ールとの間で、好ましくは、直径約20〜80cmから
なる2ケの硬質表面ロール同士の間で行えばよい。この
際、電気回路板用積層物の製造工程には240℃以上で
高温熱処理する工程があるため、この熱処理温度以上の
熱履歴を芳香族ポリアミド繊維紙に予め与えておくと、
この熱処理工程での紙の熱寸法変化や内部歪み誘発を抑
制し、得られる積層物の耐熱寸法安定性や耐変形性が向
上するのでより好ましい。
【0046】本発明者らの検討によれば、上記のカレン
ダー機を用いた加熱加圧加工においては、温度:280
〜360℃、線圧:1764〜3920N/cmの範囲
でカレンダー加工するのが最適である。
【0047】また、本発明においては、上記加熱加圧加
工に加えて、さらに350℃以上の高温下で熱処理する
ことが必要である。このような熱処理を施すことにより
作成された芳香族ポリアミド繊維紙は、引張強力、層間
剥離強力等の特性が向上する上、例えば、280℃×5
分間後の熱寸法変化率が、0.25%以下と小さく耐熱
寸法安定性に優れており、紙の熱寸法変化や内部歪み誘
発を抑制し、得られる積層物の耐熱寸法安定性や耐変形
性が向上し、更に部品接着強力が向上する。
【0048】
【発明の作用】本発明によれば、芳香族ポリアミド短繊
維と湿式芳香族ポリアミドパルプとからなる芳香族ポリ
アミド繊維紙が得られるが、従来の紙とは相違して有機
系樹脂バインダーの代わりに芳香族ポリアミドパルプを
用いるために、不純イオンの量や吸水率を大幅に低下さ
せることが出来る。
【0049】有機系樹脂バインダーの代わりに芳香族ポ
リアミドパルプを用いた芳香族ポリアミド繊維紙では、
一般に短繊維をバインドする接着性が低い問題があり、
これに対処するためにある程度の芳香族ポリアミドパル
プの量を使用する必要があった。
【0050】しかしながら、芳香族ポリアミドパルプの
量を増加させると配合ワニスなどの樹脂を含浸させた状
態で使用する電気絶縁材料用の基材として用いる場合に
は、該樹脂が紙の内部にまで均一に、且つ、充分に含浸
されず、内部で部分的な不均一や含浸量不足を招き、種
々の問題を生じるのでこのような用途に使用する紙では
該芳香族ポリアミドパルプの使用割合が出来るだけ少な
い方が好ましい。
【0051】本発明では、芳香族ポリアミドパルプとし
て、芳香族ポリアミドのドープに叩解作用により剪断力
を与え、沈殿剤により凝固せしめることにより得られる
湿式パルプを使用するために、芳香族ポリアミド紙の形
成に必要な芳香族ポリアミドパルプの使用割合を少なく
することが可能となる。また、本発明の芳香族ポリアミ
ド繊維紙は350℃以上の高温下で熱処理されているた
め、前記のような電気絶縁材料用の基材等の用途に使用
した場合でも、耐熱性及び高湿度下における電気絶縁性
に優れ、特に電気回路用積層物の基材として好適に使用
され、不純イオン量及び吸水率の低下が可能であり、高
湿度下における電気絶縁性不良の問題を解消することが
出来、更に、電気・電子部品との接着性が向上される。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお、実施例中における各評価項目の測定値は
下記の測定法にしたがって求めた。
【0053】(1)嵩密度:JIS C−2111の
6.1に準拠する方法で測定した。
【0054】(2)引張強力:定速伸長型引張試験機を
用い、JIS C−2111の7に準拠する方法で測定
した。
【0055】(3)層間剥離強力:定速伸長型引張試験
機を用い、長さ200mm,幅15mmの試料の中間層
部をT字状に剥離する時の強力(mN/15mm)を測
定した。
【0056】(4)熱寸法変化率:高精度二次元座標測
定機(ムトウ工業株式会社製)を用い、長さ250m
m、幅50mmの試料の長さ方向について、熱処理前と
温度:280℃で5分間熱処理した後の長さを測定し、
下記計算式により熱寸法変化率を算出した。
【0057】
【数1】
【0058】(5)電気絶縁特性(BDV):JIS−
C2111の18.1に準拠する方法で測定した。
【0059】(6)抽出不純イオン量:蒸留水:50ミ
リリットル中に繊維:2gを小さく切断して投入し、オ
ートクレーブで加圧加熱処理して不純イオンを抽出す
る。その抽出水について、ICP分析法とイオンクロマ
トグラフ法により、各不純イオンの量を測定し、抽出
水:1リットル当たりの不純イオン量を算出した。
【0060】(7)平衡水分率 芳香族ポリアミド繊維紙の平衡水分率は、JIS L―
1013に準拠し、試料を120℃の雰囲気中で絶乾し
た後、温度20℃かつ相対湿度65%RHにおいて72
時間調整し、該試料中に含まれる水分率を求めて、該試
料の絶乾状態での重量に対する割合を算出し、これを百
分率(%)にて表す。
【0061】尚、試料が2種類以上の芳香族ポリアミド
からなる短繊維やパルプを含む場合は、各構成成分の平
衡水分率を独立に測定し、混合比に従って重量平均にて
表すものとする。
【0062】(8)積層板の変形量 高純度のブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂に硬化剤と
してジシアンジアミド、硬化促進剤として2−エチル−
4メチルイミダゾールを配合してなるエポキシ樹脂組成
物をメチルエチルケトンとメチルセルソルブの混合溶液
に溶解して得た配合ワニスを芳香族ポリアミド繊維紙に
含浸させた後、110〜120℃の温度で5〜10分間
乾燥して、樹脂分の体積含有率が55%であるBステー
ジのプリプレグ紙を作成した。該プリプレグ紙を18μ
厚さの銅箔の両側に積層し、更に、その外側に同一の銅
箔を積層し、ホットプレスにより、減圧下で170℃×
40kg/cm×50分間、プレスを行い、樹脂を硬化
せしめて電気回路板用積層物を得、更に200℃の温度
で熱風乾燥機内で約20分間後硬化処理を行った。
【0063】この電気回路板用積層物を150mm角に
裁断し、該積層物の端部から20mmの幅で両面の銅箔
を枠状に残して、中央部の110mm角相当部を全部エ
ッチングにより銅箔を取り除いて評価用のサンプルを作
成する。
【0064】この部分エッチングされた電気回路板用積
層物を260℃の温度で10分間熱処理した後の中央部
分を起点とした最大変形量(反り量、又は捩じれや波み
打ちによる浮き上がり量)を測定し、変形量とする。
【0065】[実施例1]芳香族ポリアミド短繊維とし
て、コポリパラフェニレン・3,4’―オキシジフェニ
レン・テレフタルアミドからなり、その繊維表面にタル
クが0.5重量%、オスモスが0.1重量%固着した単
繊維繊度:1.67dtex、繊維長(カット長):3
mmの短繊維(帝人(株)製「テクノーラ」):65重
量%と、同じくコポリパラフェニレン・3,4’―オキ
シジフェニレン・テレフタルアミドからなり、その繊維
表面にタルクが0.5重量%、オスモスが0.1重量%
固着した単繊維繊度:1.67dtex、繊維長(カッ
ト長):6mmの未延伸短繊維(帝人(株)製「テクノ
ーラ」):25重量%、及びコポリパラフェニレン・
3,4’―オキシジフェニレン・テレフタルアミドから
なるドープと、ポリメタフェニレンイソフタルアミドド
ープを混合した混合ドープに前記の方法のように叩解作
用により剪断力を与え、沈澱剤により凝固せしめ、且つ
DMSO中で80℃、30分間熱処理して得た湿式芳香
族ポリアミドパルプ:10重量%とを用い、パルパーに
より分散させ、これに0.03%濃度になるように分散
剤(松本油脂(株)製「YM−80」)を添加して、抄
紙用短繊維分散スラリーを作成した。次にタッピー式角
型手抄機を用い、該抄紙用スラリーを使用して抄紙し、
芳香族ポリアミド紙を得た。
【0066】更に、該芳香族ポリアミド繊維紙を、直
径:約400mmの一対の硬質表面金属ロールからなる
カレンダー機を用いて、温度:230℃、線圧:156
8N/cmの条件で加熱、加圧した後、直径:約500
mmの一対の硬質表面金属ロールからなるカレンダー機
を用い、温度:320℃、線圧:1960N/cmの条
件で加熱、加圧し、さらに、熱風乾燥機中で400℃で
熱処理して坪量が72g/m2の芳香族ポリアミド繊維
紙を得た。
【0067】得られた繊維紙について、前記の測定法に
より測定・評価した各特性値を表1に示す。また、この
繊維紙を用いて前記の方法により配合ワニスを含浸させ
てプリプレグ紙を作成し、これを使用して作成した電気
回路板用積層物について変形量を測定した。その結果を
表1に併せて示す。
【0068】[実施例2]実施例1において、湿式芳香
族ポリアミドパルプをDMSO中で熱処理しなかった以
外は実施例1と同様に実施した。
【0069】得られた繊維紙について、前記の測定法に
より測定・評価した各特性値を表1に示す。また、この
繊維紙を用いて前記の方法により配合ワニスを含浸させ
てプリプレグ紙を作成し、これを使用して作成した電気
回路板用積層物について変形量を測定した。その結果を
表1に併せて示す。
【0070】[比較例1]芳香族ポリアミド短繊維とし
て、コポリパラフェニレン・3,4’―オキシジフェニ
レン・テレフタルアミドからなり、その繊維表面にタル
クが0.5重量%、オスモスが0.1重量%固着した単
繊維繊度:1.67dtex、繊維長(カット長):3
mmの短繊維(帝人(株)製「テクノーラ」):65重
量%と、同じくコポリパラフェニレン・3,4’―オキ
シジフェニレン・テレフタルアミドからなり、その繊維
表面にタルクが0.5重量%、オスモスが0.1重量%
固着した単繊維繊度:1.67dtex、繊維長(カッ
ト長):6mmの未延伸繊維(帝人(株)製「テクノー
ラ」):25重量%、及びコポリパラフェニレン・3,
4’―オキシジフェニレン・テレフタルアミドからなる
ドープと、ポリメタフェニレンイソフタルアミドからな
るドープを混合した混合ドープを凝固して得た湿式芳香
族ポリアミドパルプ10重量%をパルパーにより分散さ
せ、これに0.03%濃度になるように分散剤(松本油
脂(株)製「YM−80」)を添加して、抄紙用短繊維
分散スラリーを作成した。次にタッピー式角型手抄機を
用い、該抄紙用スラリーを使用して抄紙し、芳香族ポリ
アミド繊維紙を得た。
【0071】更に、該芳香族ポリアミド繊維紙を、直
径:約400mmの一対の硬質表面金属ロールからなる
カレンダー機を用いて、温度:230℃、線圧:160
kg/cmの条件で加熱、加圧した後、さらに、直径:
約500mmの一対の硬質表面金属ロールからなるカレ
ンダー機を用い、温度:320℃、線圧:200kg/
cmの条件で加熱、加圧し、坪量が72g/m2で、嵩
密度、引張強力、層間剥離強力が表1に示す値の芳香族
ポリアミド繊維紙を得た。
【0072】得られた繊維紙について、前記の測定法に
より測定・評価した各特性値を表1に示す。また、この
繊維紙を用いて前記の方法により配合ワニスを含浸させ
てプリプレグ紙を作成し、これを使用して作成した電気
回路板用積層物について変形量と高湿下での電気絶縁特
性を測定した。その結果を表1に併せて示す。
【0073】[比較例2]芳香族ポリアミド短繊維とし
て、コポリパラフェニレン・3,4’―オキシジフェニ
レン・テレフタルアミドからなり、その繊維表面にタル
クが0.5重量%、オスモスが0.1重量%固着した単
繊維繊度:1.67dtex、繊維長(カット長):3
mmの短繊維(帝人(株)製「テクノーラ」):90重
量%と、湿式芳香族ポリアミドパルプとして、コポリパ
ラフェニレン・3,4’―オキシジフェニレン・テレフ
タルアミドからなるドープと、ポリメタフェニレンイソ
フタルアミドからなるドープを混合した混合ドープを凝
固して得た湿式ポリアミドパルプ10重量%とを用い、
パルパーにより分散させ、これに0.03%濃度になる
ように分散剤(松本油脂(株)製「YM−80」)を添
加して、抄紙用短繊維分散スラリーを作成した。次にタ
ッピー式角型手抄機を用い、該抄紙用スラリーを使用し
て抄紙し、嵩密度、引張強力、層間剥離強力が表1に示
す値の芳香族ポリアミド繊維紙を得た。
【0074】得られた繊維紙について、前記の測定法に
より測定・評価した各特性値を表1に示す。また、この
繊維紙を用いて前記の方法により配合ワニスを含浸させ
てプリプレグ紙を作成し、これを使用して作成した電気
回路板用積層物について変形量と高湿下での電気絶縁特
性を測定した。その結果を表1に併せて示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【発明の効果】このように本発明によれば、電気回路板
用積層物の基材として従来使用されてきた芳香族ポリア
ミド繊維紙における諸問題、特に、温度や湿度の変化に
対する面方向及び厚さ方向における寸法変化や電気絶縁
性が著しく改良され、電気・電子部品の接着性を著しく
向上させることができる。
【0077】したがって、本発明の芳香族ポリアミド繊
維紙を基材に使用した電気回路板積層物は、その製造工
程や用途において、捩じれや反り、波打ちなどが殆ど発
生しないため、微細回路の設計が可能で、且つ、リード
レスセラミックチップキャリヤー(LCCC)やベアー
チップ等の温度湿度膨張係数の小さな電子部品を直接ハ
ンダ付け搭載しても長期に渡って高い信頼性を維持でき
る画期的な材料であり、特に、高度の軽量性や高度の耐
熱寸法安定性、電気絶縁性が要求される用途で電気回路
板用積層物に好適な基材である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙の全重量に対して40〜90重量%の
    芳香族ポリアミド短繊維と紙の全重量に対して10〜6
    0重量%の芳香族ポリアミドパルプとを主成分とする芳
    香族ポリアミド繊維紙であって、該芳香族ポリアミドパ
    ルプが、芳香族ポリアミドのドープに叩解作用により剪
    断力を与え、沈澱剤により凝固せしめることにより得ら
    れたパルプであり、且つ芳香族ポリアミド繊維紙が35
    0℃以上の高温下で熱処理されたものであることを特徴
    とする芳香族ポリアミド繊維紙。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリアミドパルプが、有機溶剤中
    で熱処理された芳香族ポリアミドパルプである請求項1
    記載の芳香族ポリアミド繊維紙。
  3. 【請求項3】 芳香族ポリアミドパルプが、主としてコ
    ポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・
    テレフタルアミドからなるパルプである請求項1又は2
    記載の芳香族ポリアミド繊維紙。
  4. 【請求項4】 芳香族ポリアミド短繊維がポリパラフェ
    ニレンテレフタルアミドからなる短繊維、又はコポリパ
    ラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフ
    タルアミドからなる短繊維である請求項1、2又は3記
    載の芳香族ポリアミド紙。
  5. 【請求項5】 紙の全重量に対する芳香族ポリアミド短
    繊維の量が60〜90重量%で、紙の全重量に対する芳
    香族ポリアミドパルプの量が10〜40重量%である請
    求項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリアミド繊
    維紙。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1300413C (zh) * 2004-03-23 2007-02-14 华南理工大学 芳纶酰胺纸及其制备方法与应用

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