JP2014172998A - 強化繊維束の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】反りが少なく開繊性の良い強化繊維束、特には均質性に優れ繊維樹脂複合材料用のランダムマットに最適な強化繊維束の製造方法を提供すること。
【解決手段】強化繊維束に水性樹脂エマルジョンを付与し、予備乾燥後、引き続き2本の支持体と、その支持体の間に位置する1本以上の加圧体によって加圧処理を行い、かつ加圧処理時の強化繊維束の温度が水性樹脂エマルジョンを構成する樹脂のガラス転移点温度以上である強化繊維束の製造方法。さらには、支持体または加圧体が強化繊維束の進行方向に直角に設置された棒状体であることや、支持体または加圧体が回転体であることが好ましい。また、加圧処理後の強化繊維束の幅が拡幅されていることや、強化繊維束が炭素繊維束であること、水性樹脂エマルジョンを構成する樹脂が、熱可塑性樹脂を主成分とするものであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は強化繊維束の製造方法に関し、さらに詳しくは繊維マトリックス樹脂複合体用に最適な強化繊維束の製造方法に関する。
炭素繊維やアラミド繊維、ガラス繊維などを強化繊維として用いた繊維強化複合体には、その最終成型前の中間材料として、ランダムマットを用いられることが近年増加している。ランダムマットでは、その複合材料の補強に用いられる強化繊維がランダムに配置された材料であり、等方性の性質を有している。そのためランダムマットは賦形性が高く、また最終的に繊維強化複合材を得る工程も簡便にしうるからである。そしてこのランダムマットは、カットした強化繊維単体、あるいは熱硬化性の樹脂を成形型に同時に吹き付けるスプレーアップ方式(乾式)や、バインダーを含有させたスラリーに予めカットした強化繊維を添加し、抄紙する方法(湿式)等により得る事ができるものである。
例えば特許文献1では、ランダムマットを用いた複合材料の機械物性を向上させる手段として、繊維束を斜めに裁断し、断面積を変化させたチョップド繊維束を用いる方法が提案されている。しかしここでは繊維束がそのままの形態で使用されており、繊維束の厚みがあるために、良好な均質性を得ることは困難であった。
そこで特許文献2では、高物性かつ薄肉化が可能な複合体として、繊維体積含有率(Vf)が高く、かつ繊維束を開繊して分繊させることにより、そのランダムマットを構成する強化繊維束の平均繊維数を減少させた複合材料が提案されている。
しかし開繊時の強化繊維束は反り等が発生しやすく加工は難しかった。特にサイジング剤に水系の分散液を用いた場合には、溶剤系のサイジング剤と異なり乾燥が遅く反りの発生は大きくなるという問題があった。ランダムマットに適切な複合材料用の繊維束の効率的な製造方法はまだ得られていなかったのである。
特開2009−114612号公報 特開2011−178890号公報
本発明は、反りが少なく開繊性の良い強化繊維束、特には均質性に優れ繊維樹脂複合材料用のランダムマットに最適な強化繊維束の製造方法を提供することにある。
本発明の強化繊維束の製造方法は、強化繊維束に水性樹脂エマルジョンを付与し、予備乾燥後、引き続き2本の支持体と、その支持体の間に位置する1本以上の加圧体によって加圧処理を行い、かつ加圧処理時の強化繊維束の温度が水性樹脂エマルジョンを構成する樹脂のガラス転移点温度以上であることを特徴とする。
さらには、支持体または加圧体が強化繊維束の進行方向に直角に設置された棒状体であることや、支持体または加圧体が回転体であることが好ましい。また、加圧処理において、最初の支持体・加圧体間の強化繊維束の通過時間が3秒以下であることや、加圧処理後の強化繊維束の幅が拡幅されていること、強化繊維束が炭素繊維束であること、強化繊維束を構成する強化繊維の数が100フィラメント以上であることが好ましい。
そして、水性樹脂エマルジョンを構成する樹脂が、熱可塑性樹脂を主成分とするものであることや、水性樹脂エマルジョンの累積50%粒子径D50が0.1〜1.0μmの範囲であることが好ましく、強化繊維束の内層面よりも表層面に、樹脂付着量が多いことが好ましい。
本発明によれば、反りが少なく開繊性の良い強化繊維束、特には均質性に優れ繊維樹脂複合材料用のランダムマットに最適な強化繊維束が提供される。
本発明の強化繊維束の製造方法は、強化繊維束に水性樹脂エマルジョンを付与し、予備乾燥後、引き続き2本の支持体と、その支持体の間に位置する1本以上の加圧体によって加圧処理を行う強化繊維の製造方法である。そして本発明ではこの加圧処理時の強化繊維束の温度が水性樹脂エマルジョンを構成する樹脂のガラス転移点温度以上であることを必須とする。
ここで本発明においては、強化繊維束に水性樹脂エマルジョンを付与し予備乾燥した後に加圧処理を行うことが重要である。通常、複数の強化繊維から構成された繊維束に水性樹脂エマルジョンを付与した場合、乾燥時に水性樹脂がマイグレーションし、繊維束に反りやカールが発生する。本発明においては加圧処理をすることにより、そのような繊維束の反りやカールを防止し、均一な繊維束にすることにより、その後の開繊工程等をより効率的に行うことが可能となったのである。
そして本発明の強化繊維束の製造方法では、この加圧処理が、2本の支持体と、その支持体の間に位置する1本以上の加圧体によって行われ、加圧処理時の強化繊維束の温度が、水性樹脂エマルジョンを構成する樹脂のガラス転移点温度以上であることが必要である。この時加圧体としては、ニップロール等の繊維束の動きを固定するものではなく、張力のかかった繊維束の中間を加圧体が抑えるものであることが好ましい。このような繊維束を固定しない加圧体を使用することにより、拡幅と共にカール抑制が、より有効に行われる。
また本発明の製造方法では、最初の支持体に入る予備乾燥後の繊維束(ストランド)の水分率としては30wt%未満、好ましくは10wt%未満、さらに好ましくは3wt%未満であることが好ましい。乾燥が不十分で水分量が多い場合には、支持体や加圧体に繊維束表面の高温の樹脂が付着する、あるいは粘着状になった樹脂にストランドが巻き込まれる、などのトラブルを発生させる場合があるからである。
さらに具体的には、この加圧処理としては、強化繊維束の加圧処理を、強化繊維束の進行方向に対して設置された2本の支持体と、その支持体の間に位置する1本以上の加圧体が存在し、1本飛んで隣り合う支持体または加圧体の中間付近に、それら2本の支持体または加圧体の強化繊維束摺接面を含む平面から離間して設置された加圧体に、連続的に強化繊維束を通束させることで、加圧処理する方法であることが好ましい。そして繊維束の表面、裏面に交互に支持体または加圧体が接することが好ましい。なおこの時2本の支持体は、他のロール、例えば巻き取りロールとの共用でも良く、ニップロールを用いることもできるが、繊維束の片側のみに接する態様であることが好ましい。本発明の製造方法では、2本の支持体の中間の位置に存在する加圧体を用いることによって、張力が発生した2本の支持体の間で、強化繊維束に圧力が加わることが重要である。
また本発明の製造方法においては、圧力がかかりやすくなるように、支持体または加圧体が強化繊維束の進行方向に直角に設置された棒状体であることが好ましい。棒状体の場合の直径としては0.5〜10cmの範囲が最適である。このようにロール径が小さい棒状体を用いることにより、繊維束が加圧体に直接接触する時間が短くなり、工程での毛羽をより減少させることが可能になる。さらに支持体または加圧体が回転体であることが好ましい。圧力はかかりにくくなるものの、繊維束表面の工程での毛羽の発生が減少する。
また、加圧処理において、最初の支持体・加圧体間の強化繊維束の通過時間が3秒以下であることが好ましく、さらには2秒以下であることが好ましい。また、2本の支持体を通過する加圧処理の全体時間としては30秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがさらに好ましい。なお、ここで言う最初の支持体・加圧体間の通過時間とは、上流側にある最初の支持体からその下流側にある最初の加圧体を通過するまでの時間を指している。通過時間が長い場合、加圧体等による接触加熱の時間も増加し、強化繊維束に付着した樹脂成分の分解を促進する傾向にある。また、支持体と加圧体の加熱に伴うランニングコストと設備コストをアップさせたり、有効に処理するために強化繊維束の搬送速度を落とす場合があり、生産性の低下を引き起こすなどの経済的な問題も生じる。本発明においては、強化繊維束を帯状に加圧することにより、そして望ましくは拡幅変形させながら繊維束の反りを抑制できるのであれば、強化繊維束の通過・接触加熱する処理時間は、短いことが好ましい。さらには最初の支持体・加圧体間の強化繊維束の通過処理時間としては、1秒以下、特には0.1〜0.5秒間であることが好ましい。このように処理時間を短くすることにより、工程速度が増すだけではなく、毛羽等の欠点の発生を減少させることが可能となる。
加圧処理を行う際の2本の支持体間の距離は50〜5000mmの間隔であることが好ましく、加圧体は第1支持体から25〜400mm下流側で、かつ第1支持体と第2支持体の繊維束摺束面を含む平面から垂直に10〜100mm上方または下方に離間した位置に配置することが好ましい。特には隣り合った支持体と加圧体が、繊維束の上面と下面にそれぞれ接するように、ジグザグに配置されることが好ましい。
支持体及び加圧体の素材には特に制限はないが、耐熱性や耐摩耗性の点よりテフロン(登録商標)、ステンレス、特にSUS316が好ましい。また、表面粗度は1.0〜10.0μmの範囲が好ましい。表面粗度が左記範囲から逸脱すると、糸切れが発生しやすい傾向にある。
さらに本発明の製造方法では、この加圧処理される強化繊維束は、あらかじめ予備乾燥で加熱され、加圧処理時にその熱を保持したままであることが好ましい。この予備乾燥段階の強化繊維束の温度としては、強化繊維束に付着した水性樹脂エマルジョン由来の樹脂成分のガラス転移温度より、20〜300℃高温であることが好ましい。
また、加工時の繊維束の温度を上げるために、さらに支持体および加圧体はそれぞれを単独で加熱しても良いし、又は中空箱状の加熱槽の中に設置された支持体と加圧体を、加熱槽を加温する事で間接的に加熱しても良く、または上記の併用で加圧体を加熱することも好ましい。
たとえば強化繊維束を支持体や加熱体により接触加熱する場合には、電気エネルギーによる抵抗加熱等で支持体や加圧体を加熱する、または支持体や加圧体の内部に外部から加熱用熱媒を供給し加熱する、さらには中空箱状の加熱槽の中に支持体と加圧体を設置し、例えば電熱、蒸気、温水、温湯などでこの加熱槽を加熱し、間接的に支持体や加圧体を加温する、あるいはこれらを組み合わせる方法などがある。しかし、支持体や加圧体の直接加熱する場合、設備の製造コストは安価となるが、ランニングコストが高くなる。一方、熱媒を使って加熱する方法ではランニングコストを抑えることが出来るが、設備の製造コストが高くなるという問題がある。
そこで本発明の製造方法では、エネルギー効率の面からは、予備乾燥工程の乾燥機で水分を除去した直後に、高温状態の強化繊維束を加圧処理し、接触加熱する事が最適である。通常水性樹脂エマルジョンが付着した繊維束は、水分を除去するために強化繊維束を加熱(予備乾燥)するが、この高温の強化繊維束をそのまま加圧処理することにより、支持体や加圧体を積極的に加温しなくても、強化繊維束の開繊や、カールが発生した繊維束の扁平熱セットが可能となる。
本発明の製造方法では加圧体上での強化繊維束の処理温度は、繊維表面に付着した樹脂成分のガラス転移温度よりも20〜300℃高温であることが好ましい。さらには、40〜200℃高温であることが好ましい。このような高温の強化繊維束に加圧処理を施すことで、望ましくは繊維束を帯状に拡幅変形させながら、強化繊維束の反りを抑制することが可能となる。処理温度が低すぎる場合、カールした繊維束の形状を十分に修正できない傾向にある。また、繊維束を拡幅しにくい傾向にある。一方、処理温度が高すぎる場合、繊維表面の樹脂成分が分解しやすい傾向にある。
またこの加圧処理では、強化繊維束の幅を拡幅するものであることが好ましい。拡幅の程度としては予備乾燥直後の繊維束の幅の1.05〜2.5倍の範囲であることが好ましい。さらには1.1〜2.0倍に拡幅することが好ましい。
このように拡幅させることにより、本発明の製造方法で得られた強化繊維束は繊維複合材料の作成時に、繊維束内にマトリックスである樹脂を含浸しやすくなる。拡幅の程度が少ない場合には、強化繊維束の拡幅変形が殆どなされておらず、加圧体上でカールした強化繊維束を一旦扁平状にしても残存応力が少なく、結果として複合体にした時のマトリックス樹脂の含浸性を低下させる傾向にある。逆に拡幅の程度が大きすぎると、繊維束が薄くなりすぎ、一定密度に強化繊維束を拡幅開繊させることが難しく、繊維束に目空きが生じる傾向にある。その結果、最終的に均質な複合材料が得難くなる傾向にある。また、本発明の製造方法において加圧工程等による拡幅が不十分な場合には、樹脂付着強化繊維束をワインダーで巻取る前に、さらに拡幅処理を行っても良い。充分に拡幅することにより、後の開繊工程等がスムーズとなり、品質の低下を防止できる。
本発明の製造方法では加圧処理により、カールした強化繊維束は加圧体上で拡幅され、かつ繊維束の熱セットで扁平な樹脂付着強化繊維束を得ることが好ましい。より具体的には、例えば最初の支持体に入る前の繊維束(ストランド)は、その断面の円弧中心部と円弧の両末端部を繋ぐ角度が90度以上160度未満であることが好ましく、工程の最後の支持体を通過した際にはその角度が160度以上183度未満となることが好ましい。
そして、このような本発明の強化繊維束の製造方法は、以下に述べるような強化繊維束や、水性樹脂エマルジョンに適用したときに特に効果的である。
本発明の製造方法に用いられる強化繊維束は、繊維複合材料を構成するマトリックス樹脂を補強することができる繊維から構成された繊維束である。具体的にそのような強化繊維を例示すると、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、炭化ケイ素繊維などの各種無機繊維、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリアリレート繊維、ポリアセタール繊維、PBO繊維、ポリフェニレンサルフィド繊維、ポリケトン繊維などの各種有機繊維を、好ましく挙げることができる。
中でもマトリックス樹脂用の強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維が好ましく、特にポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系などの炭素繊維において、本発明は効果的である。そして比強度、比弾性率が良好で、軽量かつ高強度の繊維強化複合材料が得られるポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維であることが最も好ましい。
そして本発明にて用いられる強化繊維束は、このような強化繊維(単繊維)の複数本が集合し、束となったものである。
ここで強化繊維束を構成するモノフィラメント(単糸)の本数としては、100本以上であることが好ましく、さらには1000〜100000本であることが好ましい。また強化繊維が炭素繊維である場合には、3000〜80000本(3K〜80K)であることが好ましく、特には6000〜50000本(6K〜50K)の範囲であることが好ましい。繊維束を構成するモノフィラメントの本数が少なすぎると、繊維束の柔軟性が増すのでハンドリング性こそ向上するが、強化繊維の生産性が低下する傾向にある。一方、多すぎる場合には繊維束の生産が困難になることに加え、表面処理剤が十分に処理されにくい傾向にある。特に強化繊維が炭素繊維である場合には、50000本を超えると、炭素繊維前駆体繊維の耐炎化または不融化処理を十分に完了することが困難になり、最終的に得られる炭素繊維の機械物性を若干低下させる傾向にある。
また、強化繊維束を構成する各強化繊維の一本の平均直径としては、3〜12μmが好ましい。より好ましい平均直径の範囲としては6〜9μmである。強化繊維の平均直径が小さすぎる場合には同じ補強効果を得るために、繊維の総本数を増加させる必要があり、結果的に繊維成分が嵩高くなって複合材料中の繊維の体積分率を高めることができず、機械強度の優れた複合材料を得ることが困難になる場合がある。特に炭素繊維のような無機繊維の場合にはこの傾向は顕著である。一方、強化繊維の平均直径が12μmを超えると、十分な繊維強度を確保することが困難になる傾向にある。たとえば強化繊維が炭素繊維の場合には、炭素繊維前駆体繊維の耐炎化または不融化処理を十分に完了させることが出来ず、最終的に得られる炭素繊維の機械物性が低下しやすい傾向にある。
なお必ずしも本発明の強化繊維束は長繊維からなるものばかりでなく、短繊維(不連続繊維)から構成された繊維束であることも好ましい。短繊維である場合には、100mm以下であることが好ましく、特には5〜80mmの範囲であることが好ましい。
また本発明の強化繊維束は、その後開繊しやすいように厚さよりも幅の方が広いテープ状であることが好ましい。その強化繊維束を構成する各単繊維の太さやフィラメント数にもよるが、フィラメント1万本あたりの幅としては2mm/1万本以上、さらには2〜15mm/1万本の範囲であることが、特には3〜10mm/1万本の範囲であることが好ましい。もっとも好ましくは4〜8mm/1万本の範囲である。この幅が狭すぎる場合には、開繊性や分繊性が悪くなる傾向にあり、樹脂の含浸性も低下し最終的に得られる複合体の物性も低下する傾向にある。逆に幅が広すぎても、幅方向に厚み斑が生じやすくなり、樹脂の含浸斑が発生しやすく、最終的な複合体の物性が低下する傾向にある。
またフィラメント1万本あたりの厚さとしては0.2mm/1万本以下であることが、さらには0.05〜0.15mm/1万本の範囲であることが好ましい。そして本発明の強化繊維束はテープ状であってその幅/厚さ比が10以上、さらには20〜200の範囲であることが好ましい。このような扁平繊維束であることによりその後の開繊や分繊がスムーズに行われるのであり、また本発明の強化繊維束はこのように薄い形状であっても収束性が適度にあり、その後の加工工程をスムーズに通過する工程安定性の高い強化繊維束となる。
なお強化繊維束が炭素繊維からなる場合には、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を高めるために、表面処理によって炭素繊維の表面に含酸素官能基を導入したものを使用することも好ましい。
本発明の強化繊維束の製造方法では、水性樹脂エマルジョンを繊維表面に付与するために、例えば上記のような強化繊維束を、水性樹脂エマルジョンを含有するサイジング浴に浸漬し、予備乾燥後、上記の加圧処理を行うこととなる。
本発明で用いられる水性樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を固型分に持つ水性樹脂エマルジョンである。さらには水性樹脂エマルジョン中の樹脂としては、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
このような水性樹脂エマルジョンは、強化繊維とマトリックス樹脂との親和性を高め、得られた繊維強化複合材料の物性を向上させる目的で使用される。このため、繊維強化複合材料で使用されるマトリックス樹脂の種類に応じて、適時樹脂を変更することが好ましい。例えば、ポリアミドを繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に用いる場合、樹脂にはマトリックス樹脂と相溶性の良い、例えば共重合ポリアミド(共重合ナイロン)などを用いることが好ましい。
その他、本発明で好ましく使用される樹脂としては、熱可塑性樹脂であることが好ましく、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド(ナイロン)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、フェノキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、及びこれらを変性した変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独でも用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
これらの中でも、強化繊維とマトリックス樹脂とのさらなる接着性の向上、およびサイジング剤を水分散体とする場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできるなどの観点から、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド(ナイロン)樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましく、さらにはこれらの変性熱可塑性樹脂が好ましい。ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性などを改質したものを意味する。
前記変性熱可塑性樹脂としては特に限定はなく、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、共重合ポリエステル系樹脂、変性ポリアミド(ナイロン)系樹脂、変性ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
変性ポリアミド(ナイロン)系樹脂とは、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分などの親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。
このような変性ポリアミド(ナイロン)系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12のランダム共重合体、オキシアルキレン基を有するジアミンとジカルボン酸の塩に、ラクタムを共重合させて得られるポリアミド樹脂、ナイロン6のアミド基の水素原子の一部をメトキシメチル基で置換した高分子にアクリル酸をグラフト重合した高分子、不飽和脂肪酸と脂肪族ジアミンの縮重合物などが、特に好ましい。
さらに本発明の強化繊維束の製造方法に用いられる水性樹脂エマルジョン用の樹脂としては、ポリアミド樹脂、その中でも共重合ポリアミド樹脂を主成分とするものであることが最も好ましい。特には下記のような共重合ポリアミド樹脂であることが好ましい。すなわちもっとも好ましい樹脂としては、下記の繰り返し単位(A)と、繰り返し単位(B)及び繰り返し単位(C)の少なくとも一方とを含んで構成される共重合ポリアミド樹脂を挙げることができる。
(A)−[NH(CH)mCO]−
(B)−[NH(CHNHCO(CHCO]−
(C)−[NH(CHCO]−
繰り返し単位(A)は、ポリアミドを共重合するときに、例えば、アミノカルボン酸、環状ラクタムを用いることで得ることができる。前記アミノカルボン酸の具体例としては、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸(ω−アミノウンデカン酸)および12−アミノラウリン酸(12−アミノドデカン酸)等が挙げられる。前記環状ラクタムの具体例としては、ω−ヘプタラクタムおよびω−ラウリンラクタム等が挙げられる。
そして繰り返し単位中の(CH)の数「m」は、「6〜20の整数」であることが好ましい。この繰り返し単位中の(CH)の数「m」は、数が大きいほど物理的強度が増し、耐衝撃性が向上する。また「m」が大きい場合には、この樹脂を含むサイジング剤の融点を下げる効果がある。ここで繊維束に用いられる場合のサイジング剤としては低融点であるほうが、乾燥処理などで繊維束を構成する各強化繊維表面にサイジング剤を溶融接着させる際に効果的である。しかし、このmの数値が大きくなりすぎると、ガラス転移温度が低くなったり、強化繊維に付着したサイジング剤が粘着性の性質を持つ等の傾向もある。その後の工程でのハンドリング性が低下する傾向にあるのである。またmの数値が大きすぎると合成が困難となり、経済的にも高価な剤となりやすい。
一方に吸水性の観点からは、mの数が小さいことが好ましい。繊維表面に付与された樹脂の吸水性が高すぎると、複合材料とするために強化繊維にマトリックス樹脂を含浸したときに、ガスの発生やマトリックス樹脂の加水分解を引き起こしやすく、複合材料の機械強度低下を引き起こす傾向にある。
そのためこの繰り返し単位中の(CH)の数「m」の数値としては、さらには「8〜15」、特には「10〜13」の範囲が好ましく、「11および12」であることが最適である。
この繰り返し単位(A)のポリアミドは、1種であっても複数用いても良く、具体例としては11−ナイロン、12−ナイロンが、特に好ましい。
本発明にて好ましく用いられる共重合ポリアミド樹脂は、上記繰り返し単位(A)と共に、繰り返し単位(B)及び繰り返し単位(C)のいずれか一方を有するものである。さらには繰り返し単位(B)および繰り返し単位(C)の両方を有するものであることが好ましい。
ここで繰り返し単位(B)は、いわゆる6,6ナイロンに該当する。共重合するときに、例えば、アジピン酸ヘキサメチレンアンモニウム塩を用いることで得ることができる。
また繰り返し単位(C)としては、いわゆる6ナイロンが該当する。共重合するときに、例えば、ε−カプロラクタムを原料とすることで得ることができる。
本発明で最も好ましく用いられる共重合ポリアミドの具体例としては、(A)成分として11−ナイロンや12−ナイロン、(B)成分として66−ナイロン、(C)成分として6−ナイロン、の各モノマーで構成される共重合ポリアミドからなるもの等を、特に好ましく挙げることができる。またこれらの成分を有するこれらの重合体または共重合体は、単独で用いることができるが、2種以上の混合物であってもよい。
また、繰り返し単位(A)、繰り返し単位(B)および/または繰り返し単位(C)の構成比はとくに限定はされないが、本発明では、繰り返し単位(A)の少なくとも1種と、繰り返し単位(B)および繰り返し単位(C)の少なくとも一方とを構成単位として存在する共重合ポリアミドを用いることが好ましい。そして、繰り返し単位(A)としては全重量の30〜90重量%共重合したものであることが好ましい。繰り返し単位(A)が少なすぎると、共重合ポリアミドの融点が高くなりすぎ、繊維とマトリックス樹脂の接着性が低下する傾向にある。逆に、繰り返し単位(A)が多すぎても、他の成分の含有量が少なくなりすぎ、共重合ポリアミドの融点が高くなりすぎてしまう傾向にある。繰り返し単位(A)の共重合量としては、さらには40〜80重量%、できれば半分以上の60重量%以上、特には65〜75重量%含有するものであることが好ましい。
残りの繰り返し単位(B)または(C)は、単独の成分のみであっても成分(A)と併用することにより本発明の効果を発揮するが、できれば繰り返し成分(B)及び(C)を両方含有することが好ましい。含有量としては繰り返し単位(B)または繰り返し単位(C)の合計の割合で10〜70重量%の範囲であることが好ましい。また少量であれば、他のポリアミド成分を含有しても良いが、繰り返し単位(A)、(B)、(C)の各成分の含有量の合計が80重量%以上、特には100重量%となることが好ましい。
また本発明で用いられる水性樹脂エマルジョン中の樹脂の融点としては、180℃以下であることが好ましく、さらには160℃以下であることが好ましい。特には60℃〜140℃の低融点であることが好ましい。融点が低すぎる場合には、最終的に複合材料とした際の物性が低下する。逆に融点が高すぎると、強化繊維上にて、樹脂成分を溶融させることが困難となり、樹脂の効果は十分に発揮されなくなる。特に140℃以下の低融点である場合には、150℃程度の通常の熱処理にて、強化繊維モノフィラメント上で表面に付着した樹脂を溶融させることができ、物性が向上することに加え、生産性も特に向上する。
また、この樹脂のガラス転移点温度は−20℃〜50℃であることが好ましい。さらには20℃以上40℃以下であることが好ましい。このようにガラス転移点温度を低く保ち、乾燥条件等を適切に選択することにより、強化繊維上にて、接着性と取扱い性を向上させる形態にて樹脂を付着させることができるのである。そして本発明においては、加圧処理時に強化繊維束の温度がこの樹脂のガラス転移点温度以上であることが必要なのである。
また本発明に用いられる水性樹脂エマルジョン中の樹脂には、上記の樹脂に加えて、少量であれば、本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分を含んでいても良い。例えば強化繊維との接着性を上げる目的で、共重合ポリアミドに加えてカルボン酸の塩をサイジング剤に含んでいることが好ましい。
前記カルボン酸の塩の具体例としては、ラウリン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム等の脂肪酸アンモニウム塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸アンモニウム塩;N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニンアンモニウム、N−ラウロイル−N−メチルグリシンアンモニウム等のN−アシルアミノ酸アンモニウム塩;エチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩、エチレン−メタクリル酸共重合体アンモニウム塩等のエチレン−α、β−不飽和カルボン酸共重合体アンモニウム塩;その他、スチレン−無水マレイン酸共重合体アンモニウム塩、イソブチレン−無水マレイン酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸−アクリルエステル共重合体アンモニウム塩、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩、アルギン酸アンモニウム塩およびメチルビニルエーテル無水マレイン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
特にはエチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩を用いることが好ましい。またこの時、アクリル酸の変性量としては1重量%以上であることが好ましく、さらには5〜50重量%であることが、特には15〜30重量%であることが好ましい。変性量を増加させることにより、共重合ポリアミドやマトリックス樹脂との親和性を向上させることができる。ただし逆に変性量が多すぎる場合には、柔軟性が低下し、接着性の低下をもたらす傾向にある。一方、アンモニウム塩のアンモニアによる中和度は0.05以上であることが好ましく、特には0.5〜0.9程度であることが好ましい。中和度が少なすぎると、エマルジョンの安定性が不良となることがあり、多すぎても逆に分散性が低下する場合がある。
なお、これらの前記したカルボン酸の塩は、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
そして上記の組成の場合、共重合ポリアミド99.99〜50重量部に対して、カルボン酸の塩0.01〜50重量部からなる混合物が好ましい。さらに好ましくは、共重合ポリアミド99.9〜70重量部およびカルボン酸の塩0.1〜30重量部からなる混合物が好ましい。カルボン酸の塩の混合割合が少ない場合には、接着性の向上効果が低下する傾向にある。また、多すぎると樹脂、特に共重合ポリアミド樹脂に適用した場合に、本来の性能を阻害する傾向にある。
さて本発明の製造方法では、上記のように繊維表面に、水性樹脂エマルジョンが付着している。そしてこの水性樹脂エマルジョンは樹脂粒子が水中に分散したものである。そしてこの樹脂粒子としては熱可塑性樹脂からなる粒子であることが、さらには共重合ポリアミドからなる粒子であることが好ましい。
また本発明で使用する水性樹脂エマルジョン中の樹脂粒子の累積50%粒子径(D50)としては、0.1μm以上1.0μm未満であることが好ましい。ちなみにこれは、レーザー回折散乱式粒度分布であり、被測定粒子と同じ回析・散乱光のパターンを示す球の直径に換算して粒度を表しており、D50が1.0μm未満とは、言い換えると直径1.0μm以上の粒子が50%以下しか含有されていないことを意味している。樹脂粒子の累積50%粒子径が1.0μmを超えると、強化繊維束を構成する各モノフィラメントの繊維−繊維間の隙間に樹脂粒子を均一に拡散させることが困難となる。このため、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性、親和性を高めることが出来ず、繊維強化複合材料の機械物性が低くなることがある。特に樹脂粒子が熱可塑性樹脂である場合に顕著である。一方、累積50%粒子径が0.1μm未満では、エマルジョンが高粘度化する傾向にある。そこで、高粘度化を避けるために低濃度エマルジョンでサイジング処理を施すと付着量が少なくなる傾向にあるし、高粘度のまま処理すると、強化繊維束の内部にエマルジョンを均等に拡散させることが困難な傾向にある。樹脂粒子の累積50%粒子径としては、0.12μm以上0.6μm未満、更には0.15μm以上0.5μm未満がより好ましい。
またこのように樹脂粒子の累積50%粒子径(D50)が0.1μm以上1.0μm未満の水性エマルジョンを用いた場合、強化繊維束厚み方向の中心付近で最も付着量が少なく、表層部に向かうにつれて樹脂付着量が次第に多くなる樹脂付着強化繊維ストランドを得ることが出来る。このように繊維束表層面に存在するサイズ樹脂の付着量が、内層面よりも高濃度である強化繊維束であることは、物性的にも好ましい。
また、樹脂粒子を含有する水性樹脂エマルジョンに、あらかじめ界面活性剤を添加しておくことにより、樹脂粒子が強化繊維に付着する際に界面活性剤も同時に強化繊維表面に付着させることができる。この時、エマルジョンの分散安定性を得られることはもちろん、最終的に得られる樹脂付着用の強化繊維束の毛羽発生をも抑制する。さらには繊維束に柔軟性を持たせることで、その後の工程でのハンドリング性、巻取り性を高める効果が発現する。本発明ではこのように、水性樹脂エマルジョン処理溶液中に界面活性剤を添加しておくことが好ましいのである。ここで使用する界面活性剤の種類には特に限定はなく、従来公知の親水性部分がイオン性(カチオン性・アニオン性・双性)のものや非イオン性(ノニオン性)のものを使用することが出来る。
なかでも、樹脂の分解を促進させる金属、ハロゲンなどの対イオンを含まないノニオン系界面活性剤が好ましく、特には20℃で液体であるノニオン系界面活性剤が好ましい。そして低分子量のノニオン性界面活性剤が好ましい。また沸点としては200℃未満、更に好ましくは150℃未満の界面活性剤であることが好ましい。そして最終的な繊維束の段階では、水性樹脂エマルジョン付与後の乾燥工程において揮発し、存在しないことが好ましい。特には分散液中での分散粒子の安定性に加えて、水分除去工程やマトリックス含浸工程において分解揮発しやすく、最終的には強化繊維束表面に界面活性剤がほとんど残存しないノニオン性界面活性剤であることが好ましい。
さらにノニオン性界面活性剤の好ましい具体例としては、下記式(1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
2n+1Cn−O−(X−O)−H (1)
(n=8〜22の整数、p=2〜20の整数、X:炭素数1〜5のアルキレン基)
Xで表されるアルキレン基の炭素数は2〜5が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオイレルエーテル等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独または2種以上を混合して界面活性剤として用いることができる。
界面活性剤の添加量としては、エマルジョンを構成する熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して、0.1重量部以上5重量部以下であることが好ましい。さらには0.5重量部〜3重量部であることが好ましい。少なすぎると開繊性が低下する傾向にあり、多すぎると強化繊維束を用いた各種材料の機械的物性を低下させる傾向にある。
本発明の製造方法は、上記のような強化繊維束の表面に水性樹脂エマルジョンを含有する処理液を塗布したものを、予備乾燥し、加圧処理する方法である。
そこで強化繊維束に水性樹脂エマルジョンを含有する処理液(サイジング液)を塗布する浸漬工程について述べる。
処理液を塗布する方法としては、処理液中に強化繊維束を浸漬する方法が最も一般的である。また、強化繊維束から水分を除去するために本発明では予備乾燥するが、熱処理以外に、風乾、遠心分離などを用いても良いが、コストの観点からは熱処理が最も好ましい。熱処理の加熱手段としては、例えば、熱風、熱板、ローラ、赤外線ヒーターなどを使用することができる。熱処理(乾燥処理)の温度としては、強化繊維束の表面温度が50〜200℃の範囲となるように調整し、水分を除去することが好ましい。また、この熱処理の温度は50〜200℃の間で段階的に昇温させることも好ましく、より均一な乾燥が可能となる。また100℃以上の高温で処理することで、強化繊維とマトリックスとの接着を阻害する界面活性剤などの一部の成分を除去することもできる。ただし処理温度が高すぎる場合には、水性樹脂エマルジョン由来の樹脂粒子、ひいては強化繊維束さえも劣化する傾向にある。
本発明の製造方法は、このように樹脂を付着した強化繊維束は、乾燥機で水分を予備的に除去した後、エマルジョンに含まれる樹脂成分のガラス転移温度以上で強化繊維束を、上記のように加圧処理する方法である。
最終的に得られる強化繊維複合材料は、高温下で加圧してマトリックス樹脂を樹脂付着用の強化繊維束に含浸することで製造することが好ましい。この際、サイズ樹脂が樹脂付着強化繊維束の表層面に多く付着していると、サイズ樹脂がマトリックス樹脂の可塑剤となって、マトリックス樹脂を低粘度化しながら強化繊維束の中に容易に含浸する傾向がある。その結果、機械強度に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。なお、サイズ樹脂の付着状態は、例えば樹脂付着強化繊維束の表面と粘着シートで表層を数層剥がした内層面の蛍光顕微鏡観察、電子顕微鏡観察、エネルギー分散型X線分析装置による樹脂特有の元素マッピングなどで定性的に確認できる。また、熱示唆重量分析等により、表層部と内層部の樹脂付着量を評価することで、定量的に評価する方法もある。
本発明の製造方法にて得られる強化繊維束の樹脂付着量は、乾燥固形分濃度で0.1wt%以上2wt%未満であることが好ましい。さらに好ましい範囲は0.15wt%以上1.5wt%未満、特に好ましくは0.2wt%以上1.2wt%未満である。なお、ここで言う樹脂付着量は、エマルジョンに浸漬させた強化繊維束から水分を除去した後に残る樹脂粒子に加え、界面活性剤等のすべてを指している。全付着樹脂中の水性樹脂エマルジョンに由来する樹脂粒子の割合としては、70wt%〜100wt%の範囲であることが好ましい。樹脂の付着量が少なすぎる場合には、最終的にこの強化繊維束をマトリックス樹脂と合わせて複合材料を得た場合に、マトリックス樹脂と強化繊維束との表面接着性が低下しやすく、複合材料の機械特性が低くなる傾向にある。逆に樹脂の付着量が多すぎる場合には、処理液中に柔軟剤として添加した界面活性剤などが、マトリックスと強化繊維との接着性を低下させる傾向にある。なお、この強化繊維束表面に付着した樹脂成分には、強化繊維とマトリックス樹脂との易含浸性を高める目的で、ビニルエステル、エポキシ樹脂、アミンアダクトなどの低分子化合物を添加しておいても良い。
このような本発明の製造方法にて得られた強化繊維束は、反りが少なく開繊性の良い強化繊維束であり、ランダムマットに最適な強化繊維束となる。そしてこのランダムマットからは、均質性の高い繊維樹脂複合材料が製造される。ここでランダムマットとは、マット面内において、樹脂付着強化繊維が特定の方向に配向しておらず、無作為な方向に分散して配置されているものを指す。繊維形態をランダムマットにする場合、繊維長を2〜100mmの不連続繊維束とし、目付を25〜10000g/mとすることが好ましい。さらには繊維長を3〜60mmの不連続繊維束とし、目付を25〜3000g/mとすることが好ましい。
このようなランダムマットに好適な強化繊維束としては、その繊維束の開繊率が40%以上であることが好ましい。ここで開繊率とは繊維束に圧縮空気を流すことで、繊維束が有効に開繊、分繊される率のことである。より詳細には、ランダムマットに最適な強化繊維束の開繊率の測定方法としては、例えば、強化繊維束を20mmにカットし、強化繊維投入口直径20mm、かつ吹き出し口直径55mm、かつ管の長さが投入口から吹き出し口まで400mmであるテーパ管内に導入し、テーバ管に導入する圧縮空気圧力が0.25MPaであるようにして圧縮空気を流すことで、吹き付けた後の繊維全体中に存在する幅0.6mm未満の繊維束の重量割合として評価することができる。
ランダムマットとして用いる場合には、このような開繊率の定義において、開繊率が40%以上であることが好ましい。開繊率は得ようとする強化繊維により若干変動するが、さらには45〜90%が好ましく、より好ましくは45〜80%の範囲であることが好ましい。
また本発明で得られた強化繊維束は加圧処理で、一定密度に薄く圧縮された反りのない樹脂付着用の強化繊維束となっている。さらに本発明の強化繊維束は、同時にまたはその後に拡幅処理を行うことができ、その場合にはより易含浸性の開繊した強化繊維束を得ることができる。従来の製造方法では、このような拡幅処理を行った場合には、カール又は繊維束端部が繊維軸方向に平行に折れ畳まれる懸念があったが、それを本発明の製造方法では大幅に改善したのである。
そして本発明の製造方法にてえられた強化繊維束は、例えば以下のようなランダムマットに最適に用いられるものとなる。
1.加圧処理された強化繊維束をカットする工程
2.カットされた強化繊維束を管内に導入し、空気を繊維に吹き付ける事により、繊維束を開繊させる工程
3.開繊させた強化繊維を拡散させると同時に、マトリックス用樹脂とともに吸引しつつ、強化繊維とマトリックス樹脂を同時に散布する塗布工程
4.塗布された強化繊維およびマトリックス樹脂を定着させる工程。
上記の1.のカットする工程の前に繊維束はあらかじめ拡幅開繊しておくことも好ましい。また、2.の開繊工程では、開繊と同時に分繊して、適度な幅の繊維束の集合体とすることが好ましく、このような分繊を行うことにより強化繊維がよりランダムに配置される。さらに3.では繊維状、粉末状、又は粒状の熱可塑性樹脂を同時に散布する以外にも、強化繊維のみを散布し、厚さ10μm〜300μmの熱可塑性樹脂フィルムを上に被せてもよい。
そして本発明の製造方法にて得られる強化繊維束を用いた複合体においては、強化繊維の開繊程度をコントロールし、特定本数以上の強化繊維で構成された強化繊維束と、特定本数以下、あるいは単繊維にまで開繊された強化繊維とを、特定の割合で含むランダムマットからなるものであることが好ましい。前記1乃至4の製造方法によれば、開繊程度を適切にコントロールすることが可能であり、種々の用途、目的に適したランダムマットを提供することができる。適切な開繊率のランダムマットを作製することにより、強化繊維と樹脂とをより緻密に密着させ、高い物性を達成することが可能となる。
さらにランダムマットに最適な繊維束を得るためには、本発明の製造方法においてその加圧処理の前、または後において、さらに拡幅開繊させることも好ましい。そのように幅広の繊維束とすることにより、ランダムマット用の開繊、分繊工程において、よりランダムに繊維束を配置することが可能になる。
本発明の製造方法では、得られる強化繊維束は、加圧工程で、一定密度に薄く圧縮された反りのない樹脂付着用の強化繊維束となっている。そしてこの加圧工程にて十分な拡幅がなされている場合には、さらに拡幅処理を施す必要はない場合が多い。しかし、拡幅が充分でない場合には、繊維複合材料を構成するマトリックス樹脂の含浸性を高める目的でさらに拡幅処理を施す事が好ましい。
強化繊維束をさらに拡幅開繊させる方法は特に限定されないが、好ましくは丸棒で繊維をしごく方法、気流を用いる方法、超音波等で繊維を振動させる方法等が挙げられる。本発明の加圧処理も開繊し繊維束を拡幅するために適した方法の一つである。また、強化繊維束に空気等の流体を吹き付けることにより、繊維束を開繊させる方法も好ましい。この流体による開繊方法では、開繊の程度を空気等の流体の圧力等により適宜コントロールすることができる。また、流体の吹付によって同時に繊維束を分繊することができ、ランダムマットに最適である。なおこれらの開繊工程に供する繊維は連続繊維でも不連続繊維でも適用可能である。
本発明の強化繊維束を用いて得られる繊維補強樹脂複合製品は、複合化させるマトリックス樹脂の含浸が十分に行われ、また強度ムラなどが少ない高品位なものとなる。さらには不連続長の強化繊維束を含むランダムマットとして用いることが好ましい。
またこのような複合製品に用いられるマトリックス樹脂は限定されないが、特には熱可塑性樹脂であることが好ましい。例えばマトリックス樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル(PEN)、フェノール(ノボラック型など)フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、飽和ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂などを例示することが出来る。
また、機械的特性向上のために、上記熱可塑性樹脂にその他のエラストマーもしくはゴム成分を添加した樹脂であっても良い。
それらの中でもポリアミド系樹脂が、成形品の力学特性、成形サイクルの速さの観点から好適である。マトリックス樹脂に用いられるポリアミド系樹脂としては、6−ナイロン、66−ナイロン、610−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、6/66共重合ナイロン、6/610共重合ナイロン、6/11共重合ナイロン、6/12共重合ナイロン、6/66/12共重合ナイロン等が好ましく挙げられる。これらの重合体または共重合体は、単独であっても2種以上の混合物であってもよい。
この樹脂中には、無機フィラーを配合したものであることも好ましい。無機フィラーとしては、タルク、珪酸カルシウム、ワラストナイト、モンモリロナイトや各種の無機ナノフィラーを挙げることができる。また、必要に応じて、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、軟化剤、分散剤、充填剤、着色剤、滑剤など、従来からポリアミド組成物に配合されている他の添加剤を、配合することができる。
また、本発明にて得られた強化繊維束とマトリックス樹脂からなる複合材料は、一旦両者をランダムマットとした後に、成形することが好ましい。例えば強化繊維束とマトリックス樹脂からなるランダムマットを加熱した後に加圧し、強化繊維束とマトリックス樹脂からなる複合体に成形することが好ましい。この時加圧するときの条件としては、あらかじめランダムマットをマトリックス樹脂の融点以上の温度に加熱し、加圧用の金型はマトリックス樹脂の融点未満であるコールドプレスであることが好ましい。
このような本発明の強化繊維束を用いた複合材料は、マトリックス樹脂と繊維との接着性が高く、軽量であるにも関わらず、強度特性、特に曲げ強度や曲げ弾性率等の曲げ特性に優れた複合材料となる。そして、事務機器用途、自動車用途、コンピュータ用途(ICトレイ、ノートパソコンの筐体(ハウジング)など)等の様々な分野に最適に使用される。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。下記に示す方法で評価を行った。
(1)ポリアミド樹脂の融点の測定
示差走査熱量分析計(DSC)(Perkin Elmer株式会社製「Diamond DSC」)を用いて、昇温速度10℃/分の条件にて測定したときの、結晶融解吸熱ピークの検出値を融点とした。
(2)ポリアミド樹脂のガラス転移温度の測定
120℃の熱風乾燥器で水性分散液から水分を除去し、ポリアミドのガラス転移温度をDSC測定装置(セイコーインスツル株式会社製「DSC7020」)で評価した。
(3)ポリアミド樹脂の粒径の測定
レーザー回折型粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置、「LA−950」)により粒子径測定を行った。使用した試料は、あらかじめ超音波で3分間処理を行ったものを用いた。そして粒径として、D10(累積10%粒子径)、D50(累積50%粒子径)およびD90(累積90%粒子径)の値を求めた。なお、平均粒子径としてはD50の値を採用した。
(4)サイジング剤の付着率
サイジング剤を付着した強化繊維を約5g採取し、耐熱ガラス製の容器に投入する。次に、この容器を120℃で3時間乾燥し、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却後、秤量した値をW(g)とする。
次いで、容器ごと、窒素雰囲気中、500℃で10分間加熱後、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却し、秤量した値をW(g)とする。
以上の処理を経て、化合物の付着量を、次式により求める。
サイジング剤の付着率=(W−W)/W(%) (3)
同サンプルを7本測定し、その平均値をサイジング剤の付着率とした。
(5)強化繊維束の開繊率の評価
強化繊維束をロータリーカッターを用いて20mmの長さにカットした。それぞれの長さにカットした繊維束を、ラッパ型テーパ管内に導入した。このラッパ型テーパ管は、強化繊維投入口直径が20mm、吹き出し口直径が55mm、投入口から吹き出し口までの管の長さが400mmあり、かつ管内に1mmの穴を数箇所あけてあるものである。強化繊維束のテーパ管内への導入時には、テーパ管の前の圧縮空気圧力が0.25MPaとなるように圧縮空気を流し、圧縮空気を流吹き付けた後の繊維全体中に存在する幅0.6mm未満の繊維束の重量割合で開繊率を評価した。
(6)サイジング剤の強化繊維束内外の付着状態の評価
サイジング剤中の樹脂成分を蛍光発光させるために、水銀ランプの光源を樹脂付着強化繊維束に照射し、分散型X線分析装置(株式会社堀場製作所製「エネルギーEMAX ENERGY EX−450」)により、樹脂付着した強化繊維束表面の蛍光顕微鏡観察を実施した。
次に、強化繊維束内部の付着状態を確認するために、強化繊維束の両表面にグラファイトの粘着シートを0.1MPaの圧力で貼り付けた後、粘着シートの片方を剥がして、剥がした粘着シートに張り付いた強化繊維表面(内層面)の蛍光顕微鏡観察を実施した。この操作を3回繰り返して、樹脂に由来する発光像を比較することで、強化繊維束内部のサイジング剤の付着状態を確認した。なお、粘着シートにより1回あたり20μmの厚さを剥いでおり、3回では繊維束表面から60μm内部の状態を観察したこととなる。
(7)ポリアミド樹脂の粘度
サイジング剤で使用するポリアミド樹脂粒子の溶融粘度はキャピラリーレオメーター(株式会社東洋精機製作所製「CAPILOGRAPH 1D」)を用い、処理液(エマルジョン)から余分な水分や溶剤を除去する温度、せん断速度6s−1の溶融粘度を測定した。
(8)強化繊維束の収束度合(風合い度)の評価
強化繊維束の収束度合(風合い度)は、JIS L−1096 E法(ハンドルオメータ法)に準じ、HANDLE−O−Meter(大栄科学精機製作所製「HOM−200」)を用いて測定した。風合い度測定に用いる試験片の長さは10cm、幅はフィラメント数2400本で1mmとなるように強化繊維束を開繊調整した。また、スリット幅は10mmに設定した。このスリット溝が設けられた試験台に試験片となる強化繊維束を1束乗せ、ブレードにて溝の一定深さ(8mm)まで試験片を押し込むときに発生する抵抗力(g)を測定した。強化繊維束の風合い度は3回の測定の平均値から得た。
(9)複合体の繊維体積含有率(Vf)
15mm角にカットした強化繊維樹脂複合体の水中での密度を測定し、次にアルミナ製るつぼに入れて550℃に加熱したマッフル炉に30分入れ、マトリックス樹脂を分解させ、分解前後の重量を測定することで、繊維体積含有率を測定した。
(10)複合体の曲げ物性測定方法
複合体から幅15mm×長さ100mmの試験片を切り出し、JIS K7074に準拠した中央荷重とする3点曲げにて評価した。支点間距離を80mmとしたr=2mmの支点上に試験片を置き、支点間中央部にr=5mmの圧子にて、試験速度5mm/分で荷重を与えた場合の最大荷重および中央たわみ量を測定し、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
[実施例1]
(強化繊維束)
水性樹脂エマルジョン用に、樹脂として三元共重合体ポリアミド粒子を用意した。このものの共重合比は、ナイロン6/ナイロン66/ナイロン12(重量比;45/15/40wt%)であった。また、粒径D50が0.4μm(各D10/D50/D90=0.12μm/0.4μm/0.45μm)、融点は140℃であった。
そしてこの水性性分散液75g(濃度40重量%)と、エチレン−アクリル酸共重合体(濃度25重量%に調整、ダウケミカル社製、登録商標PRIMACOR 5980I、アクリル酸変性量20重量%)のアンモニウム塩水溶液(アンモニアによる中和度0.75)12.0gとを混合し、ポリアミド樹脂組成物の水性分散液を得た。
この水性分散液中の三元共重合ポリアミドのガラス転移温度を測定したところ、32℃であった。
そしてこの水性分散液に、水と、20℃で液体のノニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、花王株式会社製、「エマルゲン103」)とを、室温で撹拌しながら追加し、ポリアミド粒子が分散した処理液(水性樹脂エマルジョン、界面活性剤濃度0.04重量%)を得た。
この処理液を用いて、未サイジングの炭素繊維束(東邦テナックス社製、登録商標「テナックスSTS−24K N00」、直径7μm×24000フィラメント、繊度1.6g/m、引張強度4000MPa(408kgf/mm)、引張弾性率238GPa(24.3ton/mm))に含浸し、樹脂を付着させた強化繊維束を得た。
得られた繊維束を180℃の乾燥炉に120秒間通して、繊維束を乾燥させた。
この繊維束の繊維軸方向に対する垂直断面は、乾燥機出口直下ではC状にカールし、円弧中心点と円弧の両末端部を繋ぐ角度(カール度合)は130度であった。さらにカールした繊維束を平板上で扁平にして繊維束幅を測定したところ、8mmであった。また、繊維束の風合い度を測定したところ134gであった。この繊維束は扁平状態を保つことが若干困難で、棒状に丸まり易い状態であった。
この繊維束に対し、引き続き連続して3本ロール装置を用いた加圧処理を行った。この3本ロール装置は、乾燥炉出口から10cmと25cmの箇所に第1支持体(第1ロール)と第2支持体(第3ロール)を、第1支持体と第2支持体の中間点でかつ第1支持体の繊維束摺束面と第2支持体の繊維束摺束面を含む平面から下方2cmの箇所に加圧体(第2ロール)を設置したものである。繊維束の下面に支持体が接し、上面に加圧体が接している。
乾燥機出口から出た繊維束を、この3本ロール装置に連続的に通した後、ワインダーで巻き取った。なお、各支持体及び圧力体の素材はSUS316であり、直径1cmの固定された棒状の形態の物を使用した。中間点の加圧体を通過するストランドの表面温度を測定したところ95℃であり、サイジング剤の樹脂成分のガラス転移温度32℃より63℃高温であった。また、強化繊維束は第1支持体から第2支持体まで約0.9秒で通過し、第2支持体を通過した樹脂付着強化繊維束に反りや繊維軸方向への折れ畳みはなく、繊維束幅は11mm(接触加熱処理前の1.38倍)に拡幅していた。ストランド断面の円弧中心部と円弧の両末端部を繋ぐ角度(カール度合)は180度であった。得られた樹脂付着強化繊維束の樹脂付着量は0.46wt%であった。また、樹脂付着強化繊維束の表面と内層面を蛍光顕微鏡で観察したところ、繊維束表層面に樹脂が多く付着し、内層ほど樹脂付着が少なかった。
この樹脂付着強化繊維束の開繊率を測定したところ、58%の高い開繊率が得られた。
(複合体(ランダムマット))
この58%の高い開繊率が得られた幅11mmの強化繊維束を20mmにカットしたもの、およびマトリックス樹脂として、ポリアミド樹脂パウダー(ナイロン6樹脂パウダー、ユニチカ株式会社製「A1030FP」)を用意し、強化繊維の供給量を600g/min、ポリアミド樹脂パウダーの供給量を730g/minにセットしてテーパ管内に導入した。
テーパ管内で空気を強化繊維に吹き付けて繊維束を部分的に開繊しつつ、ポリアミド樹脂パウダーとともにテーパ管出口の下部に設置したテーブル上に散布した。散布された強化繊維およびポリアミド樹脂パウダーを、テーブル下部よりブロワにて吸引し、定着させて、厚み5mmの強化繊維ランダムマットを得た。
得られた強化繊維ランダムマットを、260℃に加熱したプレス装置にて、3MPaにて5分間加熱し、繊維と樹脂の全目付け2700g/m、厚み2.0mm、繊維体積含有率35Vol%の強化繊維ランダムマット複合材料成型板を得た。得られた成形板に未含浸部はなく、その曲げ物性は、曲げ強度483MPa、曲げ弾性率25GPaとのきわめて優秀なものであった。
[実施例2]
(強化繊維束)
実施例1のナイロン6/ナイロン66/ナイロン12(重量比;45/15/40wt%)である三元共重合ポリアミドに代えて、ナイロン6/ナイロン11/ナイロン12(重量比;30/30/40wt%)である三元共重合ポリアミドを水性樹脂エマルジョン用の樹脂に用いた。このものの融点は、115℃であった。
このナイロン6/11/12三元共重合ポリアミド樹脂を用いて、実施例1と同様な方法により、ポリアミド樹脂組成物の水性分散液を得た。ガラス転移温度は、28℃であった。また、ポリアミド粒子の粒子径を測定したところ、累積50%粒子径(D50)が0.57μmであった。
そして実施例1と同様にしてポリアミド粒子が分散した処理液(水性樹脂エマルジョン、界面活性剤濃度0.04重量%)を得た。
この処理液を未サイジングの炭素繊維束(東邦テナックス株式会社製、「テナックスSTS−24K N00」)に含浸し、ナイロン6/ナイロン11/ナイロン12三元共重合ポリアミド樹脂を付着させた。得られた繊維束を150℃の乾燥炉に120秒間通して繊維束を乾燥させた。
この繊維束の繊維軸方向に対する垂直断面は、乾燥機出口直下ではC状にカールし、円弧中心点と円弧の両末端部を繋ぐ角度(カール度合)は140度であった。さらにカールした強化繊維束を平板上で扁平にして繊維束幅を測定したところ、8mmであった。
この繊維束に対し、引き続き連続して3本ロール装置を用いた処理を行った。この3本ロール装置は、実施例1の装置よりも第2支持体の距離が遠い以外は同様であり、乾燥炉出口から10cmと30cmの箇所に第1支持体(第1ロール)と第2支持体(第3ロール)を、第1支持体と第2支持体の中間点でかつ第1支持体の繊維束摺束面と第2支持体の繊維束摺束面を含む平面から下方2cmの箇所に加圧体(第2ロール)を設置したものである。
乾燥機出口から出たこの繊維束を、この3本ロール装置に連続的に通した後、ワインダーで巻き取った。中間点の加圧体を通過するストランドの表面温度を測定したところ、88℃でありサイジング剤の樹脂成分のガラス転移温度28℃より60℃高温であった。また、強化繊維束は第1支持体から第2支持体まで約1.2秒で通過し、第2支持体を通過した樹脂付着強化繊維束に反りや繊維軸方向への折れ畳みはなく、繊維束幅は10mm(接触加熱処理前の1.25倍)に拡幅していた。ストランド断面の円弧中心部と円弧の両末端部を繋ぐ角度は180度であった。得られた樹脂付着強化繊維束の樹脂付着量は0.51wt%であった。また、樹脂付着強化繊維束の表面と内層面を蛍光顕微鏡で観察したところ、繊維束表層面に樹脂が多く付着し、内層ほど樹脂付着が少なかった。
次に、樹脂付着強化繊維束の開繊率を測定したところ、56%の高い開繊率が得られた。
(複合体(ランダムマット))
この56%の高い開繊率が得られた幅10mmの強化繊維束と、マトリックスとなる熱可塑性樹脂(ナイロン6樹脂パウダー、ユニチカ株式会社製「A1030FP」)とを用意し、実施例1と同様にして繊維と樹脂の全目付け2700g/m、厚み2.0mm、繊維体積含有率35Vol%のランダムマット複合材料成型板を得た。得られた複合材料に未含浸部はなく、その曲げ物性は、曲げ強度473MPa、曲げ弾性率25GPaとのきわめて優秀なものであった。
[実施例3]
(強化繊維束)
実施例2と同じく、未サイジングの炭素繊維束に、ナイロン6/ナイロン11/ナイロン12三元共重合ポリアミド樹脂を付着させた繊維束を150℃の乾燥炉に120秒間通して乾燥した繊維束を用いた。
実施例2の第1支持体、第2支持体、加圧体の各ロールを、固定式棒状体から回転式棒状体に変更した以外は、実施例2と同様な方法で樹脂付着強化繊維束を作製した。この繊維束は表面に単繊維に由来する毛羽が少なく、品質に優れたものであった。また第2支持体を通過した樹脂付着強化繊維束に反りや繊維軸方向への折れ畳みはなく、繊維束幅は10mm(接触加熱処理前の1.25倍)に拡幅していた。ストランド断面の円弧中心部と円弧の両末端部を繋ぐ角度(カール度合)は180度であった。得られた樹脂付着強化繊維束の樹脂付着量は0.51wt%であった。また、表層と内層部を蛍光顕微鏡で観察したところ、繊維束表層面に樹脂が多く付着し、内層ほど樹脂付着が少なかった。
次に、得られた繊維束について開繊率を測定したところ、54%の高い開繊率が得られた。
(複合体(ランダムマット))
この強化繊維束を用い、実施例1と同様に、繊維と樹脂の全目付け2700g/m、厚み2.0mm、繊維体積含有率35Vol%のランダムマット複合材料成型板を得た。得られた複合材料に未含浸部はなく、その曲げ物性は、曲げ強度474MPa、曲げ弾性率24GPaとのきわめて優秀なものであった。
[実施例4]
(強化繊維束)
熱可塑性樹脂(ナイロン6樹脂パウダー、ユニチカ株式会社製「A1030FP」)をジェットミル(株式会社セイシン企業正「AOジェットミル」で粉砕後、更にビーズミル湿式粉砕機(アシザワファインテック株式会社製「ラボスターミニ」)で粉砕する事で、ナイロン6の微粒子を得た。
次に水100重量部、ナイロン6の微粒子10重量部、ノニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、花王株式会社製、「エマルゲン103」)0.03重量部をホモジナイザー(株式会社セントラル化学貿易製「ポリトロンホモジナイザー」)を用いて、室温で撹拌し、ポリアミド粒子が分散した処理液(エマルジョン、界面活性剤濃度0.03重量%)を得た。なお、ポリアミド粒子の粒子径を測定したところ、累積50%粒子径(D50)が0.61μmであった。また、120℃の熱風乾燥器で水性分散液から水分を除去し、このポリアミドのガラス転移温度を測定したところ、50℃であった。
次に、この処理液(エマルジョン)の浴に未サイジングの樹脂付着強化繊維束(炭素繊維束、東邦テナックス株式会社製、「テナックスSTS−24K N00」)を連続的に浸漬させた。これを230℃の乾燥炉に120秒間通して乾燥し、繊維束を得た。なお、乾燥機出口直下の繊維束の繊維軸方向に対する垂直断面はC状にカールし、カール度合を円弧中心部と円弧の両末端部を繋ぐ角度で評価したところ145度であった。カールした強化繊維束を平板上で扁平にして繊維束幅を測定したところ、9mmであった。引き続き、実施例1と同様に、乾燥炉出口から10cmと25cmの箇所に第1支持体と第2支持体を、第1支持体と第2支持体の中間点でかつ第1支持体の繊維束摺束面と第2支持体の繊維束摺束面を含む平面から下方2cmの箇所に加圧体を設置し、乾燥機出口から連続的に繊維束を通した後、ワインダーで巻き取った。なお、支持体と圧力体の素材はSUS316であり、直径1cmの固定式棒状体を使用した。加圧体を通過するストランドの表面温度を測定したところ、105℃であり強化繊維表面に付着した樹脂成分のガラス転移温度より55℃高温であった。また、強化繊維束は第1支持体から第2支持体まで約0.9秒で通過し、第2支持体を通過した樹脂付着強化繊維束に反りや繊維軸方向への折り畳みはなく、繊維束幅は11mm(接触加熱処理前の1.38倍)であった。また、ストランド断面の円弧中心部と円弧の両末端部を繋ぐ角度は180度であった。得られた樹脂付着強化繊維束の樹脂付着量は0.40wt%であった。また、樹脂付着強化繊維束の表面と内層面を蛍光顕微鏡で観察したところ、繊維束表層面に樹脂が多く付着し、内層ほど樹脂付着が少なかった。
次に、得られた繊維束について開繊率を測定したところ、52%の高い開繊率が得られた。
(複合体(ランダムマット))
上記の52%の高い開繊率が得られた幅9mmの強化繊維束と、マトリックスとなる熱可塑性樹脂(ナイロン6樹脂パウダー、ユニチカ株式会社製「A1030FP」)とを用意し、強化繊維束の供給量を600g/min、熱可塑性樹脂の供給量を730g/minにセットしてテーパ管内に導入した。
テーパ管内で空気を強化繊維に吹き付けて繊維束を部分的に開繊しつつ、熱可塑性樹脂パウダーとともにテーパ管出口の下部に設置したテーブル上に散布した。散布された強化繊維および熱可塑性樹脂パウダーを、テーブル下部よりブロワにて吸引し、定着させて、厚み5mm程度のランダムマット形状の強化繊維含有熱可塑性樹脂組成物(繊維樹脂組成物)を得た。
得られたランダムマット形状の繊維樹脂組成物を、260℃に加熱したプレス装置にて、3MPaにて5分間加熱し、繊維と樹脂の全目付け2700g/m、厚み2.0mm、繊維体積含有率35Vol%の複合材料(強化繊維強化熱可塑性樹脂成形体)を得た。得られた複合材料に未含浸部はなく、その曲げ物性は、曲げ強度483MPa、曲げ弾性率26GPaとのきわめて優秀なものであった。
[比較例1]
(強化繊維束)
第1支持体、第2支持体と加圧体を通さずに、直接ワインダーで巻き取った以外は実施例2の方法で樹脂付着強化繊維束を作製した。乾燥機出口直下の繊維束の繊維軸方向に対する垂直断面がC状にカールして反りが発生し、ワインダーで巻き取った樹脂付着強化繊維束はその端部が繊維軸方向に折れ畳まれ、繊維幅が6mmとなっていた。また、得られた繊維束について開繊率を測定したところ、36%の低い開繊率であった。
(複合体(ランダムマット))
上記の36%の低い開繊率が得られた幅6mmの強化繊維束と、マトリックスとなる熱可塑性樹脂(ナイロン6樹脂パウダー、ユニチカ株式会社製「A1030FP」)とを用意し、強化繊維束の供給量を600g/min、熱可塑性樹脂の供給量を730g/minにセットしてテーパ管内に導入した。
テーパ管内で空気を強化繊維に吹き付けて繊維束を部分的に開繊しつつ、熱可塑性樹脂パウダーとともにテーパ管出口の下部に設置したテーブル上に散布した。散布された強化繊維および熱可塑性樹脂パウダーを、テーブル下部よりブロワにて吸引し、定着させて、厚み5mm程度のランダムマット形状の強化繊維含有熱可塑性樹脂組成物(繊維樹脂組成物)を得た。
得られたランダムマット形状の繊維樹脂組成物を、260℃に加熱したプレス装置にて、3MPaにて5分間加熱し、繊維と樹脂の全目付け2700g/m、厚み2.0mm、繊維体積含有率35Vol%の複合材料(強化繊維強化熱可塑性樹脂成形体)を得た。得られた複合材料に未含浸部は無いものの、その曲げ物性は、曲げ強度423MPa、曲げ弾性率21GPaと低いものであった。
[比較例2]
(強化繊維束)
第1支持体、第2支持体と加圧体を通さずに、直接ワインダーで巻き取った以外は実施例3の方法で樹脂付着強化繊維束を作製した。乾燥機出口直下の繊維束の繊維軸方向に対する垂直断面がC状にカールしていたため、ワインダーで巻き取った樹脂付着強化繊維束はその一部が繊維軸方向に折れ畳まれ、繊維幅が6mmとなっていた。また、樹脂付着強化繊維束の開繊率を測定するために、テーパ管内にφ1mmの穴を5ヶ所あけ、外側より0.25MPa圧力をかけ、圧縮空気を繊維束に直接吹き付けることにより開繊しつつ、テーパ管出口の下部に設置したテーブル上に散布した。得られた繊維束について開繊率を測定したところ、31%の低い開繊率であった。
(複合体(ランダムマット))
上記の31%の低い開繊率が得られた幅6mmの強化繊維束と、マトリックスとなる熱可塑性樹脂(ナイロン6樹脂パウダー、ユニチカ株式会社製「A1030FP」)とを用意し、強化繊維束の供給量を600g/min、熱可塑性樹脂の供給量を730g/minにセットしてテーパ管内に導入した。
テーパ管内で空気を強化繊維に吹き付けて繊維束を部分的に開繊しつつ、熱可塑性樹脂パウダーとともにテーパ管出口の下部に設置したテーブル上に散布した。散布された強化繊維および熱可塑性樹脂パウダーを、テーブル下部よりブロワにて吸引し、定着させて、厚み5mm程度のランダムマット形状の強化繊維含有熱可塑性樹脂組成物(繊維樹脂組成物)を得た。
得られたランダムマット形状の繊維樹脂組成物を、260℃に加熱したプレス装置にて、3MPaにて5分間加熱し、繊維と樹脂の全目付け2700g/m、厚み2.0mm、繊維体積含有率35Vol%の複合材料(強化繊維強化熱可塑性樹脂成形体)を得た。得られた複合材料に未含浸部は無いものの、その曲げ物性は、曲げ強度413MPa、曲げ弾性率20GPaと低いものであった。

Claims (10)

  1. 強化繊維束に水性樹脂エマルジョンを付与し、予備乾燥後、引き続き2本の支持体と、その支持体の間に位置する1本以上の加圧体によって加圧処理を行い、かつ加圧処理時の強化繊維束の温度が水性樹脂エマルジョンを構成する樹脂のガラス転移点温度以上であることを特徴とする強化繊維束の製造方法。
  2. 支持体または加圧体が強化繊維束の進行方向に直角に設置された棒状体である請求項1記載の強化繊維束の製造方法。
  3. 支持体または加圧体が回転体である請求項1または2記載の強化繊維束の製造方法。
  4. 加圧処理において、最初の支持体・加圧体間の強化繊維束の通過時間が3秒以下である請求項1〜3のいずれか1項記載の強化繊維束の製造方法。
  5. 加圧処理後の強化繊維束の幅が拡幅されている請求項1〜4のいずれか1項記載の強化繊維束の製造方法。
  6. 強化繊維束が炭素繊維束である請求項1〜5のいずれか1項記載の強化繊維束の製造方法。
  7. 強化繊維束を構成する強化繊維の数が100フィラメント以上である請求項1〜6のいずれか1項記載の強化繊維束の製造方法。
  8. 水性樹脂エマルジョンを構成する樹脂が、熱可塑性樹脂を主成分とするものである請求項1〜7のいずれか1項記載の強化繊維束の製造方法。
  9. 水性樹脂エマルジョンの累積50%粒子径D50が0.1〜1.0μmの範囲である請求項1〜8のいずれか1項記載の強化繊維束の製造方法。
  10. 強化繊維束の内層面よりも表層面に、樹脂付着量が多い請求項1〜9のいずれか1項記載の強化繊維束の製造方法。
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