JPH0763575B2 - 気体用濾材及びこれから作成したフィルター - Google Patents

気体用濾材及びこれから作成したフィルター

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JPH0763575B2
JPH0763575B2 JP4211773A JP21177392A JPH0763575B2 JP H0763575 B2 JPH0763575 B2 JP H0763575B2 JP 4211773 A JP4211773 A JP 4211773A JP 21177392 A JP21177392 A JP 21177392A JP H0763575 B2 JPH0763575 B2 JP H0763575B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、気体中の不純物を濾
過するための気体用濾材及びこれから作成したフィルタ
ーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】気体用濾材には、水を分散剤にした湿式
抄造法によって作成されたものがあり、この種の濾材
は、低アルカリガラス系繊維や硼珪酸ガラス系繊維等を
抄造用の水(一般に川水の濾過水がよく使用される)で
スラリー状混合物にしてこれをメッシュですくい、メッ
シュ上に残留したシート状や紙状の混合物体を乾燥させ
るようにして作成されている。そして、前記濾材は、例
えば、半導体製造工程に必要なクリーンルームをつくる
ための気体用フィルターとして使用されている。
【0003】しかしながら、上記フィルターによって得
られるクリーンルームでは、256K半導体の製造レベ
ルより集積度の高いLSI,VLSI等の半導体に関し
て良好な性能を有したものが製造できないという問題が
ある。このような問題は、バイオ系製品に関しても同様
である。これは、フィルターとして使用される濾材中を
空気や窒素等の気体が通過するときに、濾材により空気
が汚染される(濾材中の硼素やリンが空気中に離脱す
る、即ち二次汚染する)ためと考えられ、現在、このよ
うな問題のない濾材の開発が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明で
は、非常に微小な粒子が捕集でき且つ濾材自体から硼素
やリンがほとんど発生しない気体用濾材及びこれから作
成したフィルターを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の気体用濾材
は、純水中への硼素溶出量が1×10 -6 /繊維g,65
℃×120hrs 以下であり且つリン溶出量が2×10 -6
/繊維g,65℃×120hrs 以下である、繊維径が
0.2μm〜2.65μmの石英ガラス繊維を、純水及
び/又は無機性希酸で前処理した後、抄造して形成され
ている。 この発明は、に記載した気体用濾材に関し、純水中
への硼素溶出量が1×10 -6 /繊維g,65℃×120
hrs 以下であり且つリン溶出量が2×10 -6 /繊維g,
65℃×120hrs 以下である、繊維径が5μm〜21
μmの太径繊維を具備させ、前記太径繊維により石英ガ
ラス繊維相互の結合を補強するようにしてある。 この発明は、に記載した気体用濾材に関し、太径繊
維が石英ガラス繊維により構成されている。
【0006】そして、この発明のフィルターは、上記し
たに記載した気体用濾材により作成されている。
【0007】
【作用】この出願の発明は次の作用を有する。この発明
の気体用濾材は、純粋中への硼素溶出量が1×10 -6
繊維g,65℃×120hrs 以下であり且つリン溶出量
が2×10 -6 /繊維g,65℃×120hrs 以下である
石英ガラス繊維により構成されているから、空気が濾材
を通過するときに濾材そのものから発生するガス状の硼
素やリンを非常に低く抑えることが可能となり、他方、
その繊維径が0.2μm〜2.65μmに設定されてい
るから非常に微小な空気通過路を有する濾材を構成させ
ることができ、その結果、非常に微小な粒子をも捕集で
きることとなる。 ここで、この発明の濾材では、繊維径
の上記設定により単位重量当たりの繊維の表面積が非常
に大きくなり、繊維製造プロセス等で硼素やリン等の汚
染物が残留したり付着してしまうこととなるが、前記石
英ガラス繊維は純水及び/又は無機性希酸で前処理した
後、抄造して形成されているから、濾材を通過した空気
中のガス状の硼素やリンを0ppbまたはそれに近い値
まで抑えることができる。 この発明のフィルタについて
も同様の作用を有する。
【0008】更に、この濾材は抄造用の水として純水を
使って作成してあるから、川水を使って作成した従来の
ものと比較すると濾材に存在するリンは少なくなり、そ
の結果、気体が通過したときに放出されるリンの量は減
少する。尚、純水抄造前に、純水及び/又は無機性希酸
で処理するようにして作成した場合には、硼素やリン等
の放出量は更に少なくなる。
【0009】又、石英ガラス系繊維で作成されたフィル
ターでは、硼素やリンの他ナトリウムの放出量も格段に
少なくなるか零になる。
【0010】
【実施例】以下、この出願の発明の構成を実施例として
示した図面に従って説明する。 (実施例1)この実施例のフィルターは、基礎材料とし
て石英ガラス系繊維から成る細径繊維のみを使用してあ
り、抄造用の水として純水(イオン交換水:電導度10
μs/cm)を使用している。
【0011】上記した基礎材料となる細径繊維は濾過媒
体をなすものであり、その平均直径は0.85μm (分布0.
2 〜2.65μm )程度に設定してある。前記フィルターを
構成する濾材は、前記細径繊維を純水に分散させ、次に
アクリル酸エステル樹脂エマルジョンをバインダーとし
て5重量%(対繊維)を加えて抄き漉し、乾燥してシー
ト状に形成している。
【0012】ここで、この実施例の濾材が実際にこの発
明の効果を有しているか否かを明らかにするため、濾材
の溶出試験及び測定用液の分析により得られた結果等を
以下の表1に示す。 〔濾材の溶出試験及び測定用液の分析〕 先ず、2〜3%の硝酸を未使用のポリプロピレン製容
器に入れて24時間以上放置した後、超純水で5回以上
洗浄する。
【0013】試料は、プラスチック手袋をはめて調整
し、試料5gを18μs /cmの超純水100ml に入れ、6
5℃、120時間放置する。この際、試料は常に水中に
浸るようにしておく。 同時に試料なしを作り同一条件下で放置してブランク
する。 一定時間経過後、超純水で2回以上濾過用フィルター
を洗浄し、その上で試料を濾過し、濾液を測定用液とす
る。尚、一度使用した濾過用フィルタは使用しない。濾
過用フィルターはセルロースアセテート製の型式DIS
MIC−13CPを使用する。 得られた測定用液は高周波プラズマ発光分析装置IC
P(日本シャーレル・アッシュ社 ICAP−577)
で元素定量分析を行う。 〔試験結果〕
【0014】
【表1】
【0015】上記した表1から、この実施例の濾材と、
細径繊維に硼珪酸ガラス系繊維を使用し、抄造用の川水
濾過水を使用した比較例の濾材とを比べると、前者は後
者に対してナトリウム、リン、硼素が極めて少ないこと
が判る。 (実施例2〜8)この実施例の気体用濾材は、石英ガラ
ス系繊維から成る細径繊維と前記細径繊維相互の結合を
補強するための少量の太径繊維とから構成されており、
抄造用の水として純粋(イオン交換水、蒸留水)を使っ
て作成している。
【0016】細径繊維は上記実施例1とほぼ同様に構成
されており、異種混使用できる。又、太径繊維は8〜2
4μm 程度(5μm 〜70μm 程度の範囲のものが使用
できる)に設定してある。尚、上記した太径繊維は濾材
に実用上の機械的強度(特に腰の強さ:スティフネス)
を付与するものであり、目的に応じて異種混使用でき
る。これに使用できる繊維としては、石英ガラス系繊
維、アラミッド樹脂系繊維、P繊維(SiO2:55
%,Al2 3 :30%,CaO:10%・・・セント
ラルガラス社)や実質的に純水中に硼素,リンを限度以
上に溶出しないもの等が使用でき、他方、バインダーと
しては、アクリル酸エチルエステルエマルジョン、ポリ
テトラフルオロエチレンエマルジョン、ポリエステルエ
マルジョン等が使用される(表記せず)。
【0017】ここで、この実施例の濾材が実際にこの発
明の効果を有しているか否かを明らかにするため、濾材
の溶出試験及び測定用液の分析により得られた試験結果
等を以下の表2に示す。尚、この試験の一部のものは、
抄造に使用する前に、繊維を純水又は稀硝酸(5%,1
0%)で25℃,65℃の温度下で抄造処理を行った。
この前処理は、石英繊維を24時間、それぞれの処理液
に浸漬後、純水で3回水洗いしてから行った。 〔試験結果〕
【0018】
【表2】
【0019】上記した表2から、この実施例の濾材と、
細径繊維に硼珪酸ガラス系繊維を使用し、抄紙用の川水
濾過水を使用した比較例の濾材とを比べると、前者は後
者に対してナトリウム、リン、硼素が極めて少ないこと
が判る。そして、この実施例2の濾材を上記した実施例
1の濾材と比較すると、前者が後者に対して引張強度が
MD方向及びCD方向について優れていることも判る。 (実施例9)この実施例のものは、ポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)のフィルムを一軸延伸しすると共
にこれにポリエステル不織布で裏打ち補強したものであ
り、通気性を有する(風速5.3cm/sec 、圧損50mm
H2O )ものであった。
【0020】このものについて上記実施例1〜8と同様
に試験を行うと、溶出量は硼素0×10-6g/繊維g,
65℃×120hrs ppb,リン1×10-6g/繊維
g,65℃×120hrs であった。尚、本発明において
は、使用する濾材の濾過体を純水中に硼素1×10-6
/繊維g,65℃×120hrs (リン2×10-6g/繊
維g,65℃×120hrs)を超えて溶出しないような
構成とすれば、ほぼ同様の作用効果を有する。
【0021】又、本発明で使用するフッ素樹脂フィルム
としては、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアル
キル基含有フッ素樹脂コポリマーでTFE−HFP(ヘ
キサフルオロプロペン)等の高分子のフィルムを延伸
(一軸、二軸)したもののうち、上記通気性を有するも
のとすることもできる。
【0022】
【発明の効果】この出願の発明は、上述の如く構成を有
するものであるから、次の効果を有する。作用の欄に記
載した内容から、非常に微小な粒子が捕集でき且つ濾材
自体から硼素やリンがほとんど発生しない気体用濾材及
びこれから作成したフィルターを提供できた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−209722(JP,A) 特開 平3−202117(JP,A) 特開 平1−168313(JP,A) 特開 平2−251214(JP,A) 特開 昭59−6231(JP,A) 実開 昭61−125320(JP,U) 実開 昭61−106319(JP,U)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純水中への硼素溶出量が1×10 -6 /繊
    維g,65℃×120hrs 以下であり且つリン溶出量が
    2×10 -6 /繊維g,65℃×120hrs以下である、
    繊維径が0.2μm〜2.65μmの石英ガラス繊維
    を、純水及び/又は無機性希酸で前処理した後、抄造し
    て形成されたことを特徴とする気体用濾材。
  2. 【請求項2】 純水中への硼素溶出量が1×10 -6 /繊
    維g,65℃×120hrs 以下であり且つリン溶出量が
    2×10 -6 /繊維g,65℃×120hrs以下である、
    繊維径が5μm〜21μmの太径繊維を具備させ、前記
    太径繊維により石英ガラス繊維相互の結合を補強するよ
    うにしてあることを特徴とする請求項1記載の気体用濾
    材。
  3. 【請求項3】 太径繊維が石英ガラス繊維により構成さ
    れていることを特徴とする請求項2記載の気体用濾材。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の気体
    用濾材により作成されたことを特徴とするフィルター。
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