JPH07101213B2 - 酸素センサにおける固体電解質層の形成方法 - Google Patents

酸素センサにおける固体電解質層の形成方法

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JPH07101213B2
JPH07101213B2 JP3234055A JP23405591A JPH07101213B2 JP H07101213 B2 JPH07101213 B2 JP H07101213B2 JP 3234055 A JP3234055 A JP 3234055A JP 23405591 A JP23405591 A JP 23405591A JP H07101213 B2 JPH07101213 B2 JP H07101213B2
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孝文 鹿嶋
克明 中村
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Fujikura Ltd
Research Institute of Innovative Technology for Earth
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、限界電流特性が良好な
酸素センサに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の酸素センサBとして図3に示す
構成のものが従来より知られている。この図に示す酸素
センサは、フォルステライト等のセラミックをポーラス
状に形成したポーラスセラミック基板1上に、イオン導
電体であるZr−8Y(ZrO2ー8mol%Y23)等の
固体電解質層2と、固体電解質層2の両面にそれぞれ積
層されて、該固体電解質層2に対して所定電圧が印加さ
れる第1電極層3・第2電極層4とから構成されたセン
サ素子5が設けられたものであり、前記固体電解質層2
内では、電極層3・4に一定のセンサ監視電圧を印加し
た状態にしておくと、酸素ポンピング作用により酸素イ
オンをキャリアとするイオン電流が流れるようになって
いる。そして、ここで生じる酸素ポンピング作用は、前
記ポーラスセラミック基板1のポーラス度によって制限
され、センサ監視電圧を増加させてもイオン電流値が増
加しないで一定となる状態(プラトー状態)が得られ、
これによって該イオン電流に限界電流を生じさせるよう
になっている。すなわち、前記ポーラスセラミック基板
1のポーラスな部分は、酸素センサにおいて従来より知
られている気体制限拡散孔の機能を果たすものである。
なお、前記電極層3・4は酸素イオンが通過できる程度
にポーラスに形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な酸素センサでは、センサ素子5の固体電解質層2を、
イオン導伝体の粉末をプレス成型、焼成し、この後、機
械的にカット、ラッピングすることによって作製するよ
うにしている。しかしながら、このようにして作成され
た固体電解質層2は、限界とされる膜厚が非常に小さ
く、約70μm程度以下の厚さに形成することは困難で
あった。また、他の製法としては、グリーンシートを用
いた固体電解質層2の製造方法があるが、このような製
造方法では、30μm程度の薄膜化が限界であり、かつ
高密度化にも限界があり、これによって特にイオン導伝
性の高い固体電解質を得ることはできないという問題を
有していた。また、前記固体電解質層2を更に薄く、例
えば数マイクロ、数オングストロームの厚さで設けるた
めに、該固体電解質層2をスパッタリング等の気相蒸着
法により形成することが行われているが、ターゲット材
が、例えばジルコニア・イットリアといった複数の成分
である場合には、真空圧の調整、基板温度の調整等によ
っては、固体電解質層2を、Zr−8Y(ZrO2ー8m
ol%Y23)といった最適な成分に調整することはでき
ず、最適な成分の固体電解質層2を得るという点におい
て、新しい技術の提案が期待されていた。
【0004】この発明は、上記の事情に鑑みてなされた
ものであって、スパッタリング等の気相蒸着法により、
最適な成分の固体電解質層を得ることができ、これによ
り該固体電解質層において高いイオン伝導性を得ること
が可能な酸素センサの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明では、多孔質な基板上に、電極層が両面に積層
された固体電解質層を設け、該固体電解質内に多孔質な
基板を通じて制限的に取り込まれた試料ガス中の酸素濃
度を、該固体電解質の酸素ポンピング作用によって生じ
るイオン電流により測定可能な酸素センサにおける固体
電解質層の形成方法であって、ZrO 2 及びY 2 3 を含
み、かつこれらZrO2及びY23の成分比が異なる複
数のターゲット材を用いて、気相蒸着法により、第1電
極層上に固体電解質層をそれぞれ形成した後、前記気相
蒸着法により得られた固体電解質層の成分と、前記ター
ゲット材との成分との関係に基づき、該固体電解質層を
最適な成分比とする成分比のターゲット材を選択し、該
ターゲット材によって固体電解質層を得ることを特徴と
する
【0006】
【作用】本発明では、ZrO 2 及びY 2 3 を含み、かつ
これらZrO 2 及びY 2 3 の成分比が異なる複数のター
ゲット材を用いて、気相蒸着法により、第1電極層上に
固体電解質層をそれぞれ形成し、その後、気相蒸着法に
より得られた固体電解質層の成分と、ターゲット材との
成分との関係に基づき、該固体電解質層を最適な成分比
とする成分比のターゲット材を選択し、該ターゲット材
によって固体電解質層を得るようにしている。すなわ
ち、本発明では、固体電解質層を最適な成分比とする成
分比のターゲット材を容易に選択することができ、該タ
ーゲット材を用いて、例えばZrO 2 ー8mol%Y 2 3
最適成分比の固体電解質層を容易に得て、高いイオン伝
導性を有する酸素センサを作製することが可能となる。
【0007】
【実施例】以下、本発明に係わる酸素センサAを図1及
び図2に基づいて説明する。図1において、符号10で
示すものは、フォルステライト等のセラミック粉末によ
り全体がポーラス状に形成されたポーラスセラミック基
板である。なお、このポーラスセラミック基板10の材
料としては、フォルステライトの他にアルミナ、ジルコ
ニア、ステアタイトなどが使用され、あるいはこれら材
料を複数配合したものが使用される。また、このポーラ
スセラミック基板10は、前記セラミック材料に有機バ
インダーを混合させ、更にこれを焼結して、前記有機バ
インダーを分解することによりポーラス状に形成される
ものである。
【0008】また、前記ポーラスセラミック基板10の
上面には、白金からなる第1電極層11と、イオン導電
体であるZr−8Y(ZrO2ー8mol%Y23)等から
なる固体電解質層12と、第1電極層11と同様に、白
金からなる第2電極層13とから構成されるセンサ素子
14が設けられている。このセンサ素子14は、前記ポ
ーラスセラミック基板10の上面に、第1電極層11、
固体電解質層12、第2電極層13が順番にスパッタリ
ング(気相蒸着)されることにより形成されるものであ
る。そして、以上のように構成された酸素センサでは、
電極層11・13に一定のセンサ監視電圧を印加した状
態にしておくと、固体電解質層12内において、酸素ポ
ンピング作用により酸素イオンをキャリアとするイオン
電流が流れるとともに、ポーラスセラミック基板10の
ポーラスな部分により、被検出体である検出ガスの取り
込みが制限され、これにより前記固体電解質層12にお
いて生じるイオン電流に、フラットな領域である限界電
流が生じ、この限界電流値から検出ガスの酸素濃度が測
定されるようになっている。
【0009】以下に、スパッタリング装置を使用した固
体電解質層12の製造方法について説明する。なお、該
スパッタリング装置では、 電力を50W、ターゲット
電圧を12V、電極間距離を10cm、ターゲット径を
100mm、真空圧を10 -3 Torr、基板温度を400℃
に設定することにより以下の実験を行った。 (1) ターゲット材に、ジルコニア・イットリアのモ
ル比が1:0.10(ZrO2ー10mol%Y23)の成
分のものを使用した場合には、ポーラスセラミック基板
10上の第1電極層11上には、ジルコニア・イットリ
アのモル比が1:0.12(ZrO2ー12mol%Y
23)の固体電解質層12が形成された。なお、前記ス
パッタリングにより得られた薄膜の成分分析は、ESC
A(X線光電子分析法)、EPMA(エレクトロン・プ
ローブ・マイクロ・アナリシス)により行った。
【0010】(2) ターゲット材に、ジルコニア・イ
ットリアのモル比が1:0.05(ZrO2ー5mol%Y
23)の成分のものを使用した場合には、ポーラスセラ
ミック基板10上の第1電極層11上には、ジルコニア
・イットリアのモル比が1:0.07(ZrO2ー7mol
%Y23)の固体電解質層12が形成された。
【0011】そして、以上のような実験を、ジルコニア
・イットリアのモル比の異なる複数のターゲット材につ
いて行ない、その結果を図2のグラフにまとめた。そし
て、図2のグラフを参照して判るように、モル比が1:
0.08(ZrO2ー8mol%Y23)の固体電解質層1
2を得るためには、ターゲット材に、ジルコニア・イッ
トリアのモル比が1:0.06(ZrO 2 ー6mol%Y 2
3 )付近の成分のものを使用すれば良いことが確認され
た。なお、ここで得られたターゲット材の成分比はグラ
フでは1対1の関係に示されるが、実際には、特定の成
分比のターゲット材を使用して、スパッタリングにより
複数の固体電解質層をそれぞれ形成した場合に、得られ
る固体電解質層の成分比は実験状態の微妙な変化によっ
て必ずしも定常値を示さず一定の幅を有するものとな
る。従って、モル比が1:0.08(ZrO 2 ー8mol%
2 3 )の固体電解質層12を得るためのターゲット材
の成分比には、実際には幅があることが実験により確認
されている(具体的には、ジルコニア・イットリアのモ
ル比が、1:0.05〜1:0.10(ZrO 2 ー5mol
%Y 2 3 〜ZrO 2 ー10mol%Y 2 3 )のターゲット材
が最適とされる)。また、上述したジルコニア・イット
リアのモル比が1:0.06(ZrO 2 ー6mol%Y
2 3 ) 付近のターゲット材が、特許請求の範囲に示す
「固体電解質層を最適な成分比とする成分比のターゲッ
ト材」に相当する。また、図2の実験結果により、ター
ゲット材と、このターゲット材から得られた固体電解質
層12との成分比を比較して判るように、イットリアに
ついて、固体電解質層12の成分比の方が、ターゲット
材の成分比より大きくなっているが、これは、イットリ
アがジルコニアに比較してスパッタ速度が速いことによ
るものと考えられる。
【0012】なお、本実施例では、電極層11、固体電
解質層12、電極層13をスパッタリングにより設ける
ようにしたが、これに限定されず、真空蒸着法、プラズ
マ溶射法、爆発溶射法といった各種の方法を用いて、前
記セラミックスコーティングを行っても良い。
【0013】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明に示さ
れる酸素センサにおける固体電解質層の形成方法では、
ZrO 2 及びY 2 3 を含み、かつこれらZrO 2 及びY 2
3 の成分比が異なる複数のターゲット材を用いて、気
相蒸着法により、第1電極層上に固体電解質層をそれぞ
れ形成し、その後、気相蒸着法により得られた固体電解
質層の成分と、ターゲット材との成分との関係に基づ
き、該固体電解質層を最適な成分比とする成分比のター
ゲット材を選択し、該ターゲット材によって固体電解質
層を得るようにしている。すなわち、本発明では、固体
電解質層を最適な成分比とする成分比のターゲット材を
容易に選択することができ、該ターゲット材を用いて、
例えばZrO 2 ー8mol%Y 2 3 の最適成分比の固体電解
質層を容易に得て、高いイオン伝導性を有する酸素セン
サを作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の酸素センサを示す正断面図。
【図2】 ターゲット材と、このターゲット材から得ら
れた固体電解質層との成分比を示すグラフ。
【図3】 従来の酸素センサを示す正断面図。
【符号の説明】
10……ポーラスセラミック基板、11……第1電極
層、12…固体電解質層、13…第2電極層、14……
センサ素子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石橋 功成 東京都江東区木場一丁目5番1号 藤倉電 線株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−144063(JP,A) 特開 昭63−259459(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質な基板上に、電極層が両面に積層
    された固体電解質層を設け、該固体電解質内に多孔質な
    基板を通じて制限的に取り込まれた試料ガス中の酸素濃
    度を、該固体電解質の酸素ポンピング作用によって生じ
    るイオン電流により測定可能な酸素センサにおける固体
    電解質層の形成方法であって、 ZrO 2 及びY 2 3 を含み、 かつこれらZrO2及びY2
    3の成分比が異なる複数のターゲット材を用いて、気
    相蒸着法により、第1電極層上に固体電解質層をそれぞ
    れ形成した後、前記気相蒸着法により得られた固体電解
    質層の成分と、前記ターゲット材との成分との関係に基
    づき、該固体電解質層を最適な成分比とする成分比のタ
    ーゲット材を選択し、該ターゲット材によって固体電解
    質層を得ることを特徴とする酸素センサにおける固体電
    解質層の形成方法。
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