JP2015032449A - 固体酸化物形燃料電池用電解質及び固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用電解質及び固体酸化物形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】多孔質電極の凹凸表面上にも薄く形成することができ、しかも気密性に優れた固体酸化物形燃料電池用電解質と、このような電解質を用いた固体酸化物形燃料電池を提供すること。
【解決手段】多孔質電極基板Eの上に、蒸着法によって第1の電解質1aを形成し、この上に液相法によってさらに第2の電解質1bを成膜し、もって当該第2の電解質1bが第1の電解質1aの表面の一部又は全面を覆い、第1の電解質1aを構成する柱状結晶間の隙間の少なくとも一部に充填されたものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)の製造技術に係り、特に、気密性に優れ、薄膜化が可能な電解質と、このような電解質を備えた固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形燃料電池スタックに関するものである。
固体酸化物形燃料電池は、酸素イオン伝導性を備えたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの固体酸化物から成る電解質を用い、その両側にガス透過性を備えた電極を配置した構造を備え、1000℃近くの高温で作動する。
このような固体酸化物形燃料電池においては、高性能化の観点からは、電解質の薄膜化による抵抗低減が求められる一方、材料コストや製造コスト低減の観点から、プロセス温度の低減が求められている。
固体酸化物形燃料電池における電解質の作製には、スクリーン印刷法が簡便であって、現状の製造方法における主流となっている。しかし、この方法によって膜厚を低減するとしても、3〜5μm程度が限界である。
また、電解質として必要な膜の緻密化のためには、1200〜1400℃程度の熱処理が必要であるため、金属基板支持型セルにおける支持基板を耐熱合金とする必要があり、安価な材料に代替えできないため、材料コストを下げることができない。
一方、スパッタ法やPLD(Pulsed Laser Deposition)法などの物理蒸着法や、プラズマCVD法やMOCVD法などの化学蒸着法によれば、ナノレベルの膜厚でも成膜することができ、低温でも結晶性のよい薄膜を形成することができる。しかし、反面、これら蒸着法による膜質は、成膜面の平坦度、空孔の有無など、基板の形状に大きく依存することから、多孔質基板上に、緻密で気密性の高い膜を形成することは困難である。
すなわち、固体酸化物形燃料電池においては、通気性を備えた多孔質電極を基板として、この上に電解質を形成する必要があるが、このような多孔で凹凸の激しい基板上に成膜される電解質については、燃料電池の電解質として必須の要件である気密性が確保できない。
このような多孔質基板上への緻密成膜方法として、例えば、特許文献1には、金属粉末焼結多孔体基板上に酸化物薄膜を形成するに際して、上記金属多孔体基板を研磨加工した面上に、CVD法やPVD法により酸化物薄膜を成膜した後、その上に液相法によってさらに成膜して、封孔する方法が提案されている。
特開2011−195857号公報
しかしながら、特許文献1の実施例の欄には、ステンレス鋼粉末から成る焼結多孔体の表面を研磨して粗さRa=0.1μmに平滑化した後、CVD法によって固体電解質(SZYO)を約0.4mm(あるいは250nm)に成膜し、さらにこの上に液相法によってSZYOを0.15mm堆積して、残存する空孔などを封孔すると記載されている。
このように、特許文献1に記載の方法では、固体電解質の膜厚、特に液相法による封孔膜の厚さが極めて厚く、電解質膜の抵抗を低減することができない。また、金属多孔体を湿式エメリー研磨やバフ研磨によって平滑化しており、これによってCVDによる電解質膜の凹凸や空孔径が減少する反面、金属多孔体の空孔が封鎖されるため、電極に必要な通気性が劣化し、ガスの拡散抵抗が増大して、発電性能が低下するという問題もある。
本発明は、固体酸化物形燃料電池における電解質の成膜に関する上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的とするところは、多孔質電極の凹凸表面上にも薄く形成することができ、しかも気密性に優れた固体酸化物形燃料電池用電解質と、このような電解質を用いた固体酸化物形燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、多孔質電極基板上に、蒸着法により電解質を形成し、表面処理を施した上で、この上に液相法によってさらに電解質を成膜することによって、蒸着層が封孔され、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の耐酸化物形燃料電池用電解質は、蒸着法により成膜され、柱状結晶構造を有する第1の電解質と、表面処理された上記第1の電解質の表面に液相法により成膜され、第1の電解質の表面の一部又は全面を覆うと共に、第1の電解質を構成する柱状結晶間の隙間の少なくとも一部に充填された第2の電解質から成ることを特徴としている。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池は、本発明の上記電解質を備えたことを特徴とし、本発明の燃料電池スタックは、本発明の上記固体酸化物形燃料電池を複数個積層して成ることを特徴とする。
本発明によれば、蒸着法により成膜された柱状結晶構造を有する第1の電解質の上に、第2の電解質が液相法によって成膜されており、この第2の電解質が第1の電解質の表面の少なくとも一部を覆うと共に、第1の電解質の柱状結晶間の隙間の少なくとも一部に充填されているので、薄くて、気密性の高い電解質膜が高温処理を経ることなく得られる。
本発明の固体電解質形燃料電池用電解質の構造を示す概略断面図である。 図1に示した電解質の作成手順を示す工程図である。 (a)及び(b)は電解質表面の液相法原料ゾルに対する濡れ性の封孔効果に及ぼす影響について説明する概略断面図である。 (a)〜(e)は本発明の第1の実施例による固体酸化物形燃料電池用電解質の製造手順を示す工程図である。 本発明の第1の実施例においてスパッタ法による成膜直後の第1の電解質の表面形状(a)及び断面組織(b)を示す走査型電子顕微鏡像である。 図5(a)及び(b)に示した第1の電解質の表面上に第2の電解質をゾルゲル法によって成膜した断面組織を示す走査型電子顕微鏡像である。 本発明の第1の実施例によって得られた電解質の気密性と第2の電解質膜の成膜回数との関係を示すグラフである。 図7に示した電解質膜の気密性(リーク強度)の評価方法についての概略説明図である。 (a)〜(c)は本発明の第2の実施例による金属基板支持型燃料電池用の電解質の製造手順を示す工程図である。
以下に、本発明の固体酸化物形燃料電池用電解質について、その材料や製造方法と共に、さらに詳細、且つ具体的に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
本発明の固体酸化物形燃料電池用電解質は、燃料電池の多孔質燃料極と多孔質空気極の間に位置するものであって、上記したように、一方の多孔質電極上に、蒸着法により成膜された柱状結晶構造の第1の電解質と、その上の第2の電解質から成る。この第2の電解質は、蒸着され、表面処理が施された状態の第1の電解質の表面に液相法により成膜され、第1の電解質の表面の一部又は全面を覆うと共に、第1の電解質を構成する柱状結晶間の隙間の少なくとも一部に充填されている。
すなわち、蒸着法によって薄く成膜された第1の電解質の表面に第2の電解質が形成されていることによって、第1の電解質の空孔をブリッジ状に封孔することができ、第1の電解質の柱状結晶間の隙間に第2の電解質が充填されることによって、第1の電解質の空孔の充填封孔がなされ、薄いにも拘わらず、気密性に優れた電解質となる。
図1は、本発明の固体酸化物形燃料電池用電解質の構造を模式的に示す概略断面図であって、図1に示す電解質1は、多孔質電極Eの上に蒸着法によって形成された第1の電解質1aと、その上に液相法によって形成された第2の電解質1bから成る。
上記第1の電解質1aは、柱状結晶構造を有し、柱状結晶間に形成される隙間には、第2の電解質1bが充填されている。
上記構造の電解質は、図2に示すような手順によって形成することができる。
まず、多孔質電極Eを準備し、この上に蒸着法によって、第1の電解質1aを1〜3μm程度の厚さに成膜する。
このときの蒸着法としては、スパッタ法やPLD法、プラズマCVD法、MOCVD法などを用いることができるが、スパッタ法を採用することが望ましい。
スパッタ法は、CVD法に較べて制御が容易で、組成のばらつきが生じにくく、PLD法等よりも低コストで、成膜面積を大きくし易い。また、AD(エアロゾルデポジション)法などのように粉末を噴射して成膜する方法と比較しても、収縮や剥離が少なく、良好な膜質を形成することができる。
このとき、第1の電解質1aの成膜基板となる多孔質金属としては、燃料極、空気極いずれのものであっても適用することができ、成膜された電解質1の表面側に、基板とは異なる電極が形成されることになる。
電極材料としては、電子伝導性物質と酸化物イオン伝導性物質の混合体が主に燃料極材料に用いられる。具体的には、Ni(ニッケル)と、YSZ(イットリア安定化ジルコニア:(Zr1−x)O)やSSZ(スカンジウム安定化ジルコニア:(Zr1−xSc)O)、GDC(ガドリウムドープトセリア:(Ce1−xGd)O)、SDC(サマリウムドープトセリア:(Ce1−xSm)O)などの電解質材料とのサーメット、もしくはNiに替えてCu(銅)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)を用いたサーメット、さらにはLST((La1−xSr)TiO)と上記電解質材料との混合体などを挙げることができる。
また、電子及び酸化物イオンの混合伝導性を有する物質が主に空気極材料として用いられる。具体的には、LSC((La1−xSr)CoO)、LSF((La1−xSr)FeO)、LSCF((La1−xSr)(Co1−yFe)O)、LSM((La1−xSr)MnO)、LNF((La1−xNi)FeO)、LNC((La1−xNi)CoO)、LNCF((La1−xNi)(Co1−yFe)O)、BSCF((Ba1−xSr)(Co1−yFe)O)などを用いることができる。
なお、このような多孔質電極Eは、多孔質金属基板の上に形成されていてもよく(金属基板支持型燃料電池)、多孔質金属基板上に形成された多孔質電極(燃料極又は空気極)の表面に第1の電解質1aを成膜することができ、成膜基板の強度を低コストのもとで向上させることができる。このような多孔質金属基板としては、ステンレス鋼や高クロム鋼、ニッケル鋼等から成るものを用いることができる。
また、上記多孔質電極Eは、印刷法によって形成することができ、比表面積が大きく、電極反応場数の多い構造の多孔質電極が比較的容易に作成することができる。
次に、スパッタ法などによって蒸着された第1の電解質1aには、表面処理が施され、当該電解質1aの表面が改質される。
電解質は、一般に、安定な酸化物から成ることから、その表面は非常に表面エネルギーの低い状態を形成している。また、蒸着された第1の電解質1aは、多孔質電極E上に成膜されているため、空孔や凹凸が多いこともあって、後工程の液相法による第2の電解質1bの形成に際して、第1の電解質1aに対する液相(原料ゾル)の濡れ性がよくない。
そこで、蒸着された第1の電解質1aに表面処理を施して、濡れ性を向上させ、ゾルの電解質1a表面での拡がりや、空孔内への浸透性を改善することによって、凹凸や空孔が大きく、これらの占有率が高い面であっても、封孔が可能になる。
このような濡れ性改善のための表面処理としては、処理後の電解質、すなわち第1の電解質1a、あるいは第2の電解質(後述するように、当該表面処理と第2の電解質の液相成膜を繰り返す場合には、2回目以降は第2の電解質1bに処理を施すことになる)に対する液相法原料ゾルの接触角が30°以下となるような処理が好ましい。
このような処理としては、例えば、リン酸塩やクロム酸、苛性ソーダなどによる処理や、大気圧プラズマ処理、イオン照射処理などを挙げることができるが、基板劣化や液相成膜時における不純物の混入の畏れがないことから、大気圧プラズマ処理やイオン照射処理を採用することが望ましい。上記プラズマ処理では、電離化したイオンが試料(電解質)の表面を敲くことによって、イオン照射処理の場合は、イオンビームが大気中にオゾンや酸素ラジカルを形成し、これが試料表面を敲くことによって、活性面が表面に現れることから、表面エネルギーが向上し、濡れ性向上に繋がるものと考えられている。
続いて、表面処理がなされた第1の電解質1aの表面上に、液相法によって第2の電解質1bを形成する。このときの液相法としては、ディップコート法、スピンコート法などを用いることができるが、ディップコート法は多量の廃液が生じるなどの問題があるため、溶液の使用量も少なく、成膜制御も比較的容易なスピンコート法を採用することが望ましい。
その際、液相法の原料ゾルは、硝酸塩などの安価な材料を用いることができ、ゾル調整によって電解質1aの柱状晶間の隙間を充填したり、隙間の表面を蓋したりすることができる。また、印刷法に較べて、低温で、しかも薄く成膜することができる。
図3は、電解質表面の濡れ性改善による封孔効果の向上現象を説明するための模式図である。電解質の表面エネルギーが低く、濡れ性に劣る場合には、図3(a)に示すように、原料ゾルSが厚膜化し、一度に広い領域を封孔することができず、全面封孔のためには、何回も成膜を繰り返すことが必要となって、さらなる膜厚増加に繋がる。
これに対して、上記のような表面処理によって、表面エネルギーが高く改質されていると、図3(b)に示すように、ゾルSが拡がり易く、一度に大面積の封孔が可能になる。また、ゾルSの一部が、電解質1aの柱状晶間の隙間(空孔)内に侵入して封孔するので、空孔全面をブリッジ封孔できなくても、ゾルSが充填された箇所を封孔することができ、封孔効率が向上することになる。
第1の電解質1aの表面上に、ゾルをスピンコートなどにより塗布した後、150℃程度で十数分乾燥し、続いて、300〜600℃程度の温度で数十分焼成することによって、第1の電解質1aの表面上に、第2の電解質1bが成膜される。これによって、上記のように、第1の電解質1aの柱状晶間の隙間が電解質1bにより充填封孔、ブリッジ封孔される。なお、第2の電解質1bの成膜厚さとしては、10nm程度であることが望ましい。
このように成膜された第2の電解質1bは、蒸着法により成膜された第1の電解質1aとは異なり、連続した結晶組織、すなわち微粒子が凝集して固まった状態ではなく、結晶化した粒子同士が結合して密な組織を備えており、気密性に富むものとなっている。
第2の電解質1bの液相成膜については、電解質1bによる封孔をより確実なものとし、電解質1の気密性をより向上させる観点から、上記表面処理と第2の電解質1bの液相成膜を繰り返すことが望ましい。
なお、このときの繰り返し回数としては、過剰な膜厚による抵抗増加を避ける観点から2〜10回程度まで、合計成膜厚さについては、60nm程度までとすることが望ましい。
上記第1の電解質1a及び第2の電解質1bは、いずれも酸化物イオン電導性を備えた材料でなければならない。また、これらは同じ材料から成るものであっても、異なった材料から成るものであってもよい。
このような電解質材料としては、YSZ、SSZ、GDC、SDC、LSGM(ランタンストロンチウムマグネシウムガレート:(La1−xSr)(Ga1−yMg)O)、Ln10Si27(Ln=La,Ce,Pr,Nd)等を用いることができる。
以上の工程によって、燃料極及び空気極材料の一方から成る多孔質電極E(基板)上に、電解質1a及び1bから成る電解質1が形成された後、この電解質1の表面には、他方の電極が形成され、固体酸化物形燃料電池が完成する。そして、このような燃料電池を多数積層することによって、燃料電池スタックが完成する。
なお、第1の電解質1aと第2の電解質1bは、上記したように、同じ材料でも、異なった材料でもよいが、第1の電解質1aの表面に形成される他方の電極と、第1の電解質1aとが反応して抵抗物を生成するような場合には、第2の電解質1bとしてこのような反応を抑制する機能を持つものを選択することが望ましい。
例えば、多孔質燃料極基板Eの上に成膜された第1の電解質1aがYSZであって、空気極としてLa,Srを含む材料が選択された場合、第2の電解質1bとして、上記空気極との反応を防止することができるセリア(CeO)系の電解質材料を選択する。これによって、気密化と反応防止の両機能が同時に発揮させることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて、具体的に説明するが、本発明はこのような実施例によって何ら限定されないことは言うまでもない。
実施例1
図4(a)〜(e)に示す工程にしたがって、図1に示したような固体酸化物形燃料電池の電解質を多孔質燃料極Eの上に形成して、本発明の第1の実施例とした。
まず、多孔質電極Eとして、スクリーン印刷法により成膜されたNiとYSZ(6:4)のサーメットから成る厚さ550μmの市販燃料極材料(粒径:約1μm、気孔率:約50%)を用意した(図4(a)参照)。
次いで、Y(出力:400W)及びZr(出力:1200W)をターゲットとする対向ターゲット型DCマグネトロンスパッタ装置を用い、室温で、Ar(流量:60cc/分)及びO(流量:16cc/分)の気流中で60分間スパッタリングを行い、YSZから成る電解質(第1の電解質1a)を約2μmの厚さに成膜した(図4(b)参照)。
図5(a)は、このようにして得られた第1の電解質1aの表面状態を示す走査型顕微鏡像であり、図5(b)は、その断面組織を示す走査型顕微鏡像であって、これらの図から明らかなように、第1の電解質1aは、柱状結晶構造を有し、柱状結晶に隙間、すなわち空孔を有していることが確認される。
次に、スパッタ成膜された第1の電解質1aを備えた多孔質燃料極Eを低圧プラズマ発生装置にセットし40kHz/100Wの条件の下に20分間、大気圧プラズマ処理を施した(図4(c)参照)。
続いて、大気圧プラズマ処理によって、表面改質を施した第1の電解質1aの表面にゾルSをスピンコートした(図4(d)参照)。
なお、このときの原料ゾルSは、0.5mol/Lの硝酸セリウム(Ce(NO)水溶液54mL(mol比:0.9)と、0.1mol/Lの硝酸ガドリウム(Gd(NO)水溶液30mL(mol比:0.1)と、エチレングリコール60mL(mol比:1)と、グリシン3g(mol比:1.2)とを混合し、80℃で48時間混合したものを用いた。このゾルSの粘度は、20℃で200cPであった。
また、ゾルSの塗布条件としては、室温で、ゾルの摘下量を3ccとし、回転速度500rpmで5秒間、続いて回転速度を2000rpmに上げて10秒間スピンコートするようにした。これによって、ゾルSが第1の電解質1aの表面上を覆うと共に、電解質1aの柱状結晶間にも浸透している。
なお、大気圧プラズマ処理による表面改質の結果、第1の電解質1aの表面に対する上記ゾル原料の接触角が26°になっていることが確認された。
そして、150℃で15分間乾燥したのち、300℃で10分間焼成した後、600℃に昇温して、さらに10分間焼成した。これによって、第1の電解質1aの表面上に、GDCから成る第2の電解質1bを約6nmの厚さに成膜した(図4(e)参照)。
この後、図4(c)の工程に戻り、液相成膜された第2の電解質1bに同様の条件で、大気圧プラズマ処理を施し、同様のゾルSを同様の条件でスピンコート塗布し(図4(d)参照)、次いで、同様に、乾燥、焼成し、第2の電解質1bの表面上に、さらに第2の電解質1bを約6nmの厚さに成膜した。
そして、この実施例では、表面処理及び第2の電解質1bの液相成膜を都合6回繰り返すことによって、スパッタ法による約2μmの厚さの第1の電解質1aと、この上に液相成膜された約40nmの厚さの第2の電解質1bから成る電解質1を得た。
このようにして形成された電解質1a及び電解質1bから成る電解質1の表面に、印刷法によってLSCFから成る空気極を形成することによって、固体酸化物形燃料電池を完成させた。
図6は、第2の電解質1bの液相成膜を3回繰り返した時点における電解質の断面組織を示す走査型顕微鏡像である。
この図から、第2の電解質1bが第1の電解質1aの柱状結晶間の空孔に充填されていると共に、第1の電解質1a(YSZ)の表面上に、第2の電解質1b(GDC)が約20nmの厚さに成膜されていることが判る。
また、図7は、上記による第2の電解質1bの成膜回数と気密性との関係をHeリーク強度を測定することによって評価した結果を示すグラフである。
この図から明らかなように、成膜回数が「0回」すなわち、第2の電解質1bが成膜されておらず、第1の電解質1aのみの場合に較べて、第2の電解質1bの成膜回数が増す毎に気密性が向上していることが確認された。第1の電解質全面の封孔及び気密化の効果を得るには2回以上の成膜が望ましい。
なお、上記の気密性評価は、図8に示すような装置による真空吹付け法によって、テストポート圧を6Pa、供給するHeの流量を100ml/min.とし、検出器として90°磁場変更型質量分析計を用いた。
リーク強度は、第1の電解質1aのみの状態(第2の電解質1bの成膜前)、第2の電解質1bの1回成膜後、2回成膜後、3回及び6回成膜後の各段階について測定した。
実施例2
図9(a)〜(c)に示す工程によって、多孔質金属基板の上に形成された多孔質燃料極Eの上に、上記同様に、第1の電解質1a及び1bを成膜し、本発明の第2の実施例とした。
まず、図9(a)に示すようなニッケルから成るエッチング基板(板厚:0.1mm、孔径:0.1mm)を用意し、多孔質金属基板Bとした。
一方、Ni及びYSZを7:3の質量比で含有する電極成分を74.1%、バインダを1.5%、分散剤を残部とする燃料極ペースト(粘度:室温で76cP)を調整した。
次いで、上記多孔質金属基板Bの表面上に、上記燃料極ペーストをスクリーン印刷して、大気中で乾燥した後、1100℃で2時間焼成することによって、図9(b)に示すように、多孔質金属基板Bの上に、Ni−YSZサーメットから成る多孔質燃料極Eを50μmの厚さに成膜した。
次に、図4(b)〜(e)に示した第1の実施例と同様の操作を繰り返すことによって、図9(c)に示すように、多孔質燃料極Eの表面に、第1の電解質1a及び第2の電解質1bから成る電解質1を形成した。
その後、電解質1の表面に、印刷法によってLSCFから成る空気極を形成することによって、金属基板支持型の固体酸化物形燃料電池を完成させた。
1 固体酸化物形燃料電池用電解質
1a 第1の電解質
1b 第2の電解質
E 多孔質電極(燃料極又は空気極)
S ゾル(液相法原料ゾル)
B 多孔質金属基板

Claims (13)

  1. 多孔質燃料極と多孔質空気極の間に電解質を備えた固体酸化物形燃料電池における上記電解質であって、
    蒸着法により成膜され、柱状結晶構造を有する第1の電解質と、
    表面処理された第1の電解質の表面に液相法により成膜され、第1の電解質の表面の一部又は全面を覆うと共に、第1の電解質を構成する柱状結晶間の隙間の少なくとも一部に充填された第2の電解質から成ることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用電解質。
  2. 上記多孔質電極が多孔質金属基板上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電解質。
  3. 第2の電解質が連続した結晶構造を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解質。
  4. 上記表面処理と第2の電解質の成膜が繰り返されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の電解質。
  5. 上記表面処理が電解質に対する液相法の原料ゾルの接触角を30°以下にする処理であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の電解質。
  6. 上記表面処理が大気圧プラズマ処理又はイオン照射処理であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の電解質。
  7. 上記蒸着法がスパッタ法であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の電解質。
  8. 上記液相法では、ゾルゲル法で作製した原料を用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の電解質。
  9. 上記多孔質電極が印刷法により形成されている特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の電解質。
  10. 上記多孔質電極が電子伝導性物質と酸化物イオン伝導性物質の混合体であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の電解質。
  11. 上記多孔質電極が電子及び酸化物イオンの混合伝導性を有する物質であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の電解質。
  12. 請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の電解質を備えたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
  13. 請求項12に記載の燃料電池を積層して成ることを特徴とする固体酸化物形燃料電池スタック。
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