JPH07100886A - 薄肉成形方法 - Google Patents

薄肉成形方法

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JPH07100886A JP5235812A JP23581293A JPH07100886A JP H07100886 A JPH07100886 A JP H07100886A JP 5235812 A JP5235812 A JP 5235812A JP 23581293 A JP23581293 A JP 23581293A JP H07100886 A JPH07100886 A JP H07100886A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 機能性樹脂により、薄肉成形品を高い再現性
をもって成形するための薄肉成形方法を提供すること。 【構成】 型締め工程を実施しつつ溶融樹脂の射出充填
を行ない、キャビティ内圧が所定範囲に達した時点でキ
ャビティ内圧を瞬間的に低減せしめ、キャビティ寸法を
成形品の最終厚さとなるまで型締めを行なう薄肉成形方
法、並びにこの薄肉成形方法によって成形された成形
品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂の薄肉成形
品、例えば1mm程度よりも薄い肉厚のような成形品を有
利に成形するための薄肉成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂、特に高機能性樹脂ともよばれ
るエンジニアリングプラスチックを素材とする各種成形
品が各種製品に多用されつつある。例えば、ノート型や
ラップトップ型等のように携帯に適する小型機器のハウ
ジング、シャーシ等に多く用いられている。この種小型
機器類のハウジング等は、可能な限り軽量であることが
要求される。
【0003】樹脂成形品の軽量化を図る最も簡単な手段
は、薄肉化することである。しかし、例えば1mm以下
のような薄肉成形品を射出成形するためには、射出シリ
ンダから射出された溶融樹脂が狭いキャビティ内を高速
で流動するように高射出圧力で射出しなければならな
い。このような高射出圧力で溶融樹脂をノズルから射出
すると、キャビティ内の溶融樹脂の圧力は非常に高くな
り、結果的に金型のパーティングが開いてしまうことに
なる。かかる現象が生ずると、設計通りの所定肉厚の成
形品を得ることは困難となる。
【0004】このような欠点を解消するために、所定値
以上の型締め力を付与することは機構的ならびに経済的
にみて現実的ではない。そのため、金型キャビティ空間
を所定厚さ以上に設定しておき、溶融樹脂を射出しなが
ら型締めをして所定のキャビティ空間に戻す工程をとる
射出圧縮成形の応用が考えられる。
【0005】このような例として、例えば、特開昭60
−110419号、射出圧縮成形法(出願人、出光石油
化学(株))がある。しかし、薄肉でありながら十分な
物理的特性を発揮する高機能性樹脂、すなわちエンジニ
アリングプラスチックの成形にあたっては、特に肉圧が
1mm以下のような薄肉成形品の成形において、充填の
最終段階で発生するキャビティ内圧により型締めが阻害
され、必要以上の型締め力が必要となることから、所定
の肉厚を得ることが困難となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の従来
技術の欠点を解消して、エンジニアリングプラスチック
を使用し、薄肉でかつ均一な所望厚さの成形品を得るこ
とができる薄肉成形方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる課題は、
高機能性樹脂による薄肉成形品を製造するために、締め
代を見込んだ位置まで型締めが進行した状態で溶融樹脂
の射出を開始し、その後も継続して金型の型締めを行な
う薄肉成形方法において、金型内に溶融樹脂を射出し、
型締め工程を継続しつつ金型キャビティを成形品の最終
厚さよりも開いている状態で溶融樹脂の射出充填を完了
し、さらに型締め工程を継続しつつキャビティ内圧が所
定範囲に達した時点で、キャビティ内圧を瞬間的に低減
せしめ、キャビティ寸法を成形品の最終厚さとなるまで
型締めを行なう、薄肉成形方法によって解決される。
【0008】このようにキャビティ内圧が所定範囲に達
したか否かは、ゲート近傍のキャビティ内圧が、200
kg/cm2ないし300kg/cm2に達したとき、も
しくは成形品の流動距離70ないし80%前後に設置さ
れた圧力センサがキャビティ内圧を感知したことにより
確認することができる。
【0009】
【作用】本発明にかかる薄肉成形方法によれば、溶融樹
脂の射出は、金型キャビティを成形品の所望の最終厚さ
よりも若干開いた状態で開始され、さらに射出を完了し
た後も、型締めを継続する。この時、金型のキャビティ
面に接した部分の樹脂は温度低下が始まっているのに対
して、樹脂内部はまだ流動可能な状態を保っており、さ
らにキャビティ空間が狭くなるにつれて、キャビティ内
圧は上昇する。
【0010】この内圧が、一般的な射出成形におけるキ
ャビティ内圧の標準的数値のほぼ半分程度である200
kg/cm2ないし300kg/cm2の範囲に達した時
点、または充填の目安として流動距離の70ないし80
%前後の部位に設置された圧力センサがキャビティ内圧
を感知した時点で、スクリューの後退もしくは保圧の除
去等によりキャビティ内圧を瞬間的に低減する。このよ
うな圧力低減に伴って流動可能な内部コア層の樹脂は、
ゲートより逆流し、キャビティ内圧の不必要な上昇を未
然に防止される。
【0011】その結果、所望の肉圧に相当する型締めの
最終段階において、過大な型締め力は不要となる。した
がって、本発明にかかる薄肉成形方法によれば、過度に
大きな型締め力を必要とせずに、正確な肉圧の薄肉成形
品を得ることができる。
【0012】
【実施例】以下、実施例を示す添付図を参照しつつ本発
明を開示する。図1及び図2は、本発明にかかる薄肉成
形方法を実施する際の金型のモデル図である。図1は、
固定金型1および可動金型2の間に形成されるキャビテ
ィ3内に射出シリンダ4の先端のノズル5から溶融樹脂
6を射出し、所望の成形品を得るものである。
【0013】射出シリンダ4には、スクリューまたはプ
ランジャ等の周知の加圧機構7が設けられている。この
場合、図1では矢印I方向に加圧されて溶融樹脂6の注
入が行なわれる。その後、図2の可動金型2側の矢印II
のように型締めを行ない、成形品の所望厚さを達成する
ものである。
【0014】図3は、本発明にかかる薄肉成形方法の実
施例により成形された成形品の例を示すものである。こ
の成形品では、w×d×hの方形でA−A断面図から明
らかなように肉圧0.8mmの箱状体であり、4点のホッ
トランナーゲートを介して溶融樹脂の注入を行なったも
のである。
【0015】図4は、本発明にかかる薄肉成形方法にお
ける各部の変化状態を示すタイムチャートである。以
下、その動作について図2に示した主要部構成と対応さ
せつつ説明する。
【0016】図4のタイムチャートによれば、本発明に
かかる薄肉成形方法において、図示していない射出成形
機のシリンダ4内で溶融された熱可塑性樹脂を、予めキ
ャビティ空間を拡げておいた金型内へ射出開始する(射
出開始a)。
【0016】その後、射出機スクリュー7を加圧する射
出シリンダ油圧は、設定値まで立ち上がるが、キャビテ
ィ内圧は内部で溶融樹脂6が流動しているため、急激に
は上昇しない。所定量の溶融樹脂6がキャビティ内に充
填される前に、可動金型2は図2の矢印IIのように前進
を開始し、いわゆる型締めシリンダ油圧が上昇し(型締
開始b)、所定厚さまでキャビティ空間を狭める。
【0017】このため、金型のキャビティ圧力は次第に
上昇するが、このキャビティ内圧が200kg/cm2ないし
300kg/cm2程度まで上昇した時点を確認して射出シ
リンダ側の油圧の供給を停止しまたは図2の矢印IVの方
向へスクリューを移動させるための逆方向への油圧の供
給を行なう(射出完了c)。その結果、金型に対する型
締め力がキャビティ内の圧力に打ち勝って、キャビティ
内に余分に供給されている溶融樹脂は、ゲートを介して
図2の矢印IIIのように射出シリンダ側に逆流する。
【0018】さらに型締めを継続し、金型が完全に閉じ
た状態となり(型締完了d)、射出圧縮工程が終わる。
このためキャビティ内圧は樹脂の温度低下に伴う収縮と
あいまって、徐々に低下し、最終的にゼロとなる。
【0019】このような方法には、特にゲート部分の温
度コントロールが可能なオープンタイプのホットチップ
を有する金型を使用することが望ましい。かかる金型に
よって、溶融樹脂のゲートから射出シリンダ側への逆流
がスムーズに行なわれ、本実施例では図3のように1m
mよりも薄い肉厚0.8mmであるにもかかわらず均質
な薄肉成形品が得られた。
【0020】キャビティ内圧を低減する目安としてキャ
ビティ圧力が所定範囲に達したことは、上述のゲート近
傍の圧力検出に代えて、溶融樹脂充填の目安として流動
距離の70ないし80%前後の部位に設置された圧力セ
ンサがキャビティ内圧を感知したことにより決定するこ
とができる。また、キャビティ内圧を低減するには、上
述のようなスクリューの後退の他に保圧を瞬間的に低下
せしめることによって同様の効果を得ることができる。
【0021】
【発明の効果】本発明にかかる薄肉成形法によれば、射
出圧縮成形法において、キャビティ内に溶融樹脂を射出
しながら、金型のキャビティ空間を狭めることによって
1mm以下のごく薄い肉厚の成形品を均一厚さで成形す
ることができる。
【0022】本発明にかかる薄肉成形方法によれば、上
述のような制御のもとに型締めの最終段階におけるキャ
ビティ内圧力の急上昇に対処するために、その段階でま
だ流動可能である余分な溶融樹脂をゲートから射出シリ
ンダ側に逆流させる。その結果、必要以上の型締め力は
不要となり、比較的大型の薄肉成形品をさほど大きくな
い型締め力の成形機によって成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる薄肉成形方法を実施するため
の、金型および射出シリンダの構成を示す説明図であ
る。
【図2】本発明にかかる薄肉成形方法を実施するため
の、金型および射出シリンダの構成を示す説明図であ
る。
【図3】本発明にかかる薄肉成形方法により得られた成
形品の例を示す斜視図である。
【図4】本発明にかかる薄肉成形方法における各部の動
作状態を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 固定金型 2 可動金型 3 キャビティ 4 射出シリンダ 5 ノズル 6 溶融樹脂 7 加圧機構(スクリュー)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高機能性樹脂による薄肉成形品を製造す
    るために、締め代を見込んだ位置まで型締めが進行した
    状態で溶融樹脂の射出を開始し、その後も継続して金型
    の型締めを行なう薄肉成形方法において、 金型内に溶融樹脂を射出し、型締め工程を継続しつつ金
    型キャビティを成形品の最終厚さよりも開いている状態
    で溶融樹脂の射出充填を完了し、さらに型締め工程を継
    続しつつキャビティ内圧が所定範囲に達した時点で、キ
    ャビティ内圧を瞬間的に低減せしめ、キャビティ寸法を
    成形品の最終厚さとなるまで型締めを行なうことを特徴
    とする、薄肉成形方法。
  2. 【請求項2】 前記キャビティ内圧が所定範囲に達した
    ことを、ゲート近傍のキャビティ内圧が、200kg/
    cm2ないし300kg/cm2に達したことによって確
    認することを特徴とする、請求項1に記載の薄肉成形方
    法。
  3. 【請求項3】 前記キャビティ内圧が所定範囲に達した
    ことを、成形品の流動距離70ないし80%の位置に設
    置された圧力センサがキャビティ内圧を感知したことに
    より確認することを特徴とする、請求項1に記載の薄肉
    成形方法。
  4. 【請求項4】 前記キャビティ内圧を瞬間的に低減する
    ために、溶融樹脂の射出充填完了後に射出シリンダー内
    のスクリューを後退させる、請求項1ないし3のいずれ
    かに記載の薄肉成形方法。
  5. 【請求項5】 前記キャビティ内圧を瞬間的に低減する
    ために、溶融樹脂の射出充填完了後に、射出シリンダ内
    の保圧を除去する、請求項1ないし3のいずれかに記載
    の薄肉成形方法。
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