JPH069885A - エステル化タンパク質を用いて得られる皮革様成形品 - Google Patents

エステル化タンパク質を用いて得られる皮革様成形品

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JPH069885A
JPH069885A JP18998192A JP18998192A JPH069885A JP H069885 A JPH069885 A JP H069885A JP 18998192 A JP18998192 A JP 18998192A JP 18998192 A JP18998192 A JP 18998192A JP H069885 A JPH069885 A JP H069885A
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protein
leather
esterified product
esterified
resin
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JP18998192A
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English (en)
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Shuji Takagi
修治 高木
Nobuyuki Kitagishi
信之 北岸
Michitaka Hishiike
通隆 菱池
Mitsuo Yasui
三雄 安井
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Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】A.熱可塑性樹脂:100重量部、およびB:
タンパク質と多官能性アルコールとを反応させてエステ
ル化を行い、タンパク質の側鎖のカルボキシル基を鎖延
長したタンパク質のエステル化物あるいは前記タンパク
質のエステル化物側鎖に存在する多官能性アルコール由
来の官能基を更に反応させて得られるタンパク質誘導
体:1〜50重量部とからなる皮革様成形品用樹脂組成
物、および該組成物を成形して得られる皮革様成形品。 【効果】本発明の皮革様成形品用樹脂組成物は、天然の
タンパク質を化学修飾し、熱可塑性樹脂との親和性を強
くしたものを構成成分としているため、該化学修飾タン
パク質が均一に熱可塑性樹脂中に分布している。そのた
め本発明の皮革様成形品用樹脂組成物を用いて皮革様成
形品とした場合には、吸湿性、放湿性、透湿性、肌触り
感の良好なものが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エステル化タンパク質
を用いた皮革様成形品用樹脂組成物および該組成物を成
形して得られる吸湿性、放湿性、透湿性、肌触り感の良
好な皮革様成形品に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】従来、合
成樹脂成形品としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ABS、ナイロンなどが広く利用
されているが、吸湿性、放湿性に乏しいため床材、壁材
あるいは農業用フィルムなどに使用した場合、水分が結
露したり、静電気を帯びやすいなどの問題があった。こ
れらを防ぐ目的のため、樹脂中に界面活性剤、水溶性樹
脂などを練り込む方法が提案されているが未だ十分なも
のは得られていない。また、別の方法としてゼラチンな
どを練り込む方法も提案されているがこの場合は、ゼラ
チンと熱可塑性樹脂との親和力が弱いため混合により成
形品の強度が低下するおそれがあり、その添加量が制限
されるなどの問題があった。本発明の目的は、得られる
成形品が吸湿性、放湿性、透湿性、肌触り感の良好なも
のを製造できる皮革様成形品用樹脂組成物、および該組
成物により得られる皮革様成形品を提供することにあ
る。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の状
況に鑑み、従来からの合成樹脂成形品等の有する欠点を
克服した皮革様成形品を製造するための皮革様成形品用
樹脂組成物を提供するため鋭意検討した。即ち、ゼラチ
ンを配合することにより成形品の吸湿性、放湿性、透湿
性、肌触り感の向上が図れることに着目し、これらの材
料の特性を活かしながら、しかも添加量が該特性を向上
させるに十分な量配合できる方法について鋭意検討し
た。その結果、ゼラチンと熱可塑性樹脂との親和性を強
くするためには、本来水溶性であるゼラチンに疎水性を
付与すればよく、このためにはエステル化タンパク質を
用いることにより優れた効果が得られることを見出し本
発明に到達した。
【0004】即ち、本発明の要旨は、 (1) A.熱可塑性樹脂:100重量部、および B:タンパク質と多官能性アルコールとを反応させてエ
ステル化を行い、タンパク質の側鎖のカルボキシル基を
鎖延長したタンパク質のエステル化物(以下、単にタン
パク質のエステル化物という)あるいは前記タンパク質
のエステル化物側鎖に存在する多官能性アルコール由来
の官能基を更に反応させて得られるタンパク質誘導体
(以下、単にタンパク質誘導体という):1〜50重量
部とからなる皮革様成形品用樹脂組成物、および (2)該組成物を成形して得られる皮革様成形品に関す
る。
【0005】本発明におけるエステル化タンパク質は、
タンパク質のエステル化物またはタンパク質誘導体を意
味するものであり、具体的には次のようなものが例示さ
れる。 (1)タンパク質の水溶液、微粉末あるいはその懸濁液
と過剰の多官能性アルコールを反応させてエステル化を
行い、タンパク質側鎖のカルボキシル基を鎖延長したタ
ンパク質のエステル化物、(2)多官能性アルコールと
して多価アルコールを用い、鎖延長された側鎖に存在す
る多価アルコール由来の水酸基にイソシアネート基を持
つ化合物を反応させウレタン化したタンパク質誘導体、
(3)多官能性アルコールとして多価アルコールを用
い、鎖延長さた側鎖に存在する多価アルコール由来の水
酸基にエポキシ基を持つ化合物を反応させ、次いで樹脂
化したタンパク質誘導体、並びに、(4)多官能性アル
コールとして不飽和結合を有するアルコールを用い、鎖
延長された側鎖に存在する該アルコール由来の不飽和基
に重合開始剤の存在下、ビニルモノマーを付加重合させ
るか、または合成高分子をグラフト重合させるか、ある
いは合成高分子に該不飽和基を有するタンパク質のエス
テル化物をグラフト重合させたタンパク質誘導体であ
る。
【0006】このような本発明で用いるタンパク質のエ
ステル化物あるいはタンパク質誘導体を合成するために
は、まず第一段階として、タンパク質を構成するアミノ
酸の側鎖のカルボキシル基に、多官能性アルコールを反
応させてエステル化により鎖延長させ、タンパク質側鎖
に多官能性アルコール由来の官能基を持つ、タンパク質
のエステル化物を調製する。そして、第二段階として、
有機溶媒、たとえばトルエン、ジメチルホルムアミド、
酢酸エチル、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、ジ
メチルスルホキシドなど従来、タンパク質自体では親和
性が乏しく用いられることの少なかった溶媒中で、第一
段階で得られたエステル化物にエポキシ樹脂や、ウレタ
ン樹脂の原料化合物あるいは他の重合性ビニルモノマー
などを付加重合させ、あるいは合成高分子とグラフト重
合させるなどいわゆる従来の重合技術を組み合わせて、
タンパク質誘導体を製造する。
【0007】このような製造方法について、各態様ごと
に詳しく説明する。 (1)第1の態様(タンパク質のエステル化物の製
造):タンパク質の水溶液、微粉末あるいはその懸濁液
と過剰の多官能性アルコールを反応させてエステル化を
行ない、タンパク質側鎖のカルボキシル基を鎖延長する
ことにより、タンパク質のエステル化物を製造すること
ができる。本発明で用いられるタンパク質は、特に限定
されるものではなく、例えば、ゼラチン、コラーゲン、
カゼイン等が例示される。また、これらのタンパク質を
含むクロムなめし革のような皮の皮革粉、例えば牛皮、
豚皮、羊皮などの皮革粉を用いてもよい。
【0008】本発明においては、タンパク質の水溶液、
微粉末あるいはその懸濁液に、多官能性アルコールを加
え、エステル化反応を行うことにより、タンパク質のエ
ステル化物を得ることができる。ここでいう多官能性ア
ルコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンあ
るいはブタンジオール、プロパンジオール等の多価アル
コールまたはアリルアルコール、ヒドロキシエチルアク
リレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、4−アリ
ルカテコール、アリルカルビノール等の不飽和結合を有
するアルコールが挙げられ、さらにはエポキシ基を有す
るアルコール等であってもよい。
【0009】これらの多官能性アルコールの使用量は、
特に限定されることはないが、通常タンパク質中のカル
ボキシル基に対し過剰量が用いられ、具体的には前記タ
ンパク質1gに対し、0.0015〜0.1モルの量が
適量である。エステル化は反応温度として通常10〜1
00℃の範囲で任意に行うことができ、反応に要する時
間は、多官能性アルコールの使用量および反応温度によ
りエステル化率を任意に選択できるため一義的には定ま
らないが、通常1時間〜4日間の範囲で選ばれる。これ
らの多官能性アルコールを前記タンパク質と反応させる
ことにより、タンパク質中のグルタミン酸(Glu)、
アスパラギン酸(Asp)等の側鎖カルボキシル基がエ
ステル化され、鎖延長される。このようにして延長され
た鎖には、多官能性アルコール由来の種々の官能基を有
するタンパク質のエステル化物が得られる。例えば、前
記の多官能性アルコールのうち、多価アルコールを用い
た場合は、延長された鎖に水酸基を有するタンパク質の
エステル化物が得られ、また、不飽和結合を有するアル
コールを用いた場合には、延長された鎖に不飽和基を有
するタンパク質のエステル化物が得られる。
【0010】(2)第2の様態(タンパク質誘導体の製
造):前記の第1の態様において、多官能性アルコール
として多価アルコールを用い、鎖延長された側鎖に多価
アルコール由来の水酸基を有するタンパク質のエステル
化物を合成し、次いで該水酸基にイソシアネート基を持
つ化合物を反応させウレタン化することにより、タンパ
ク質誘導体を製造することができる。ここで用いられる
多価アルコールとしては、前記のような多官能性アルコ
ールのうち、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、グリセリンあるいは
ブタンジオール、プロパンジオール等の分子内に2個以
上の水酸基を有するアルコールが挙げられる。得られた
エステル化物の延長された側鎖に存在する水酸基をウレ
タン化する方法としては、該エステル化物とイソシアネ
ート基を持つ化合物を反応させることにより行われる。
具体的には例えば、エステル化物をイソシアネート基を
持つ化合物と反応させた後、ポリオールやジアミンを用
いてウレタン化してもよい。また、イソシアネート基を
持つ化合物として、末端ジイソシアネートのプレポリマ
ーを用いて該エステル化物と反応させてウレタン化し、
タンパク質誘導体としてもよい。ここで用いるイソシア
ネート基を持つ化合物やポリオール、ジアミンは目的に
応じて選択することができ、通常は汎用のものでよい。
【0011】(3)第3の様態(タンパク質誘導体の製
造):前記の第1の態様において、多官能性アルコール
として多価アルコールを用い、鎖延長された側鎖に多価
アルコール由来の水酸基を有するタンパク質のエステル
化物を合成し、次いで該水酸基にエポキシ基を持つ化合
物を反応させ、さらに樹脂化させることにより、タンパ
ク質誘導体を製造することができる。ここで用いられる
多価アルコールとしては、第2の態様の場合と同様のも
のが用いられる。また、エポキシ基を持つ化合物として
は、例えばエピクロルヒドリン等が挙げられ、これを用
いてエステル化物をエポキシ化した後、例えば多価フェ
ノールを反応させて、順次樹脂化してもよく、あるいは
末端エポキシ化した樹脂をエステル化物の水酸基に反応
させ、タンパク質誘導体としてもよい。
【0012】(4)第4の態様(タンパク質誘導体の製
造):前記の第1の態様において、多官能性アルコール
として不飽和結合を有するアルコールを用い、鎖延長さ
れた側鎖に不飽和結合を有するアルコール由来の不飽和
基を有するタンパク質のエステル化物を合成し、次いで
該不飽和基に重合開始剤の存在下ビニルモノマーを付加
重合させるか、または合成高分子をグラフト重合させる
か、あるいは合成高分子に該不飽和基を有するタンパク
質のエステル化物をグラフト重合させることにより、タ
ンパク質誘導体を製造することができる。ここで用いら
れる不飽和結合を有するアルコールとしては、前記のよ
うなアリルアルコール、4−アリルカテコール、アリル
カルビノール等が挙げられる。このような不飽和基を有
するエステル化物を用いてタンパク質誘導体を製造する
には、種々の方法が挙げられる。例えば、従来の重合
開始剤を用いて種々の重合性ビニルモノマーと付加重合
させる、合成高分子をエステル化物にグラフト重合さ
せる、合成高分子にエステル化物をグラフト重合させ
る方法が挙げられる。
【0013】前記における重合開始剤としては、例え
ば過酸化ベンゾイルや、アゾビスイソブチロニトリルな
どであり、さらに、放射線重合や紫外線重合あるいはメ
カノケミカル反応による重合などを利用した公知の重合
技術を用いてもよい。また、重合性ビニルモノマーとし
ては、塩化ビニル、エチレン、スチレン、メチルメタク
リレート、ブタジエン、クロロプレンなどのほか、シリ
コン系モノマーを用いることもできる。前記または
においては、エステル化物の不飽和基を合成高分子や合
成高分子成形品上で重合開始剤により開裂させて、該エ
ステル化物を合成高分子にグラフトさせたり、あるいは
逆に合成高分子を該エステル化物にグラフトすることに
より行われる。ここで用いられる重合開始剤は、前記
で列記したものと同様のものが使用できる。また、合成
高分子としてはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリア
ミド樹脂、シリコンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロ
プレンゴム、熱可塑性ゴムなどが挙げられる。但し、ゴ
ムについては加硫物でもグラフト可能であるが、未加硫
物に比べてその効果は小さい。
【0014】本発明におけるタンパク質誘導体は、前記
のような第1の態様により得られるエステル化物を中間
体として、第2〜4の各態様により得られるものであ
る。このようにして得られるタンパク質誘導体の構造上
の特徴は、タンパク質の側鎖にウレタン結合を有する
(第2の態様で得られる)、タンパク質の側鎖がエポキ
シ化されている(第3の態様で得られる)、およびタン
パク質の側鎖に合成高分子が結合している(第4の態様
で得られる)点が挙げられる。
【0015】このようなタンパク質のエステル化物ある
いはタンパク質誘導体を用いて皮革様成形品用樹脂組成
物とするには、これらを熱可塑性樹脂と混合することに
より行なう。本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、通
常のものが使用可能であり、その例を挙げれば、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ABS樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性
ゴム系樹脂等が挙げられる。
【0016】前記したタンパク質のエステル化物または
タンパク質誘導体と熱可塑性樹脂との混合割合は、熱可
塑性樹脂100重量部に対し、タンパク質のエステル化
物またはタンパク質誘導体1〜50重量部が適量であ
る。タンパク質のエステル化物またはタンパク質誘導体
が1重量部より少ない量では吸湿性、放湿性、透湿性、
肌触り感等の改質効果がみとめられず、50重量部より
多くを用いた場合には成形時の加工性が低下したり、価
格の上昇などの問題が生じ好ましくない。これらのタン
パク質のエステル化物またはタンパク質誘導体と熱可塑
性樹脂の粒径は特に限定するものではないが、両者が十
分に混合するためには細かいものがよく、特にタンパク
質のエステル化物またはタンパク質誘導体には熱可塑性
がないことからできるだけ細かいもの例えば、500μ
m以下のもの、好ましくは400μm以下のものを使用
すると得られる成型品の表面の仕上りが滑らかで風合の
よいものが得られる場合が多い。しかし、上記した粒状
のものの他、楕円状のものまたは繊維状のものの使用も
可能である。混合には通常用いられるヘンシェルミキサ
ーまたはナウターミキサー等が用いられる。また、本発
明の組成物中には、可塑剤、安定剤、顔料、帯電防止
剤、防曇剤、滑剤など通常、成形品を製造する場合に添
加される添加剤を適宜、適量を添加することもできる。
また、これらの添加剤は後述のように成形品の調製時に
適宜添加してもよい。
【0017】本発明の皮革様成形品は、本発明の皮革様
成形品用樹脂組成物を用いて成形することにより製造す
ることができる。すなわち、前記したタンパク質のエス
テル化物あるいはタンパク質誘導体と熱可塑性樹脂を混
合して本発明の組成物を調製した後、インフレーション
などの常法により成形することにより、各種の皮革様成
形品を製造することができる。成形品としては、例えば
フィルムやシート等が挙げられる。例えば、フィルムや
シートを製造する場合には、可塑剤、安定剤、顔料、充
填剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤など一般にフィルムや
シートを製造するときに樹脂に混合する樹脂用薬剤を適
宜、予め本発明の組成物中に添加しておくか、あるいは
成形時に適宜、適当量使用することができる。具体的に
は、熱可塑性樹脂とタンパク質のエステル化物あるいは
タンパク質誘導体とからなる組成物および前記の樹脂用
薬剤は、例えばバンバリーミキサー、多軸ロールなどに
より溶融・混合した後、インフレーションなど通常の方
法によりフィルムあるいはシートとされる。
【0018】
【実施例】以下に、製造例および実施例を挙げて詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定さ
れるものではない。 製造例1 500mlの攪拌機付きセパラブルフラスコにアルカリ
処理ゼラチン(コニカゼラチン(株)製、分子量約10
万のαゼラチン)45g(乾物量)を入れ、これを蒸留
水100mlで溶解する。つぎに、50mlのアリルア
ルコールを加え、50℃で24時間反応させた。このエ
ステル化物を回収するため、溶媒である水と、反応にあ
ずからなかった過剰のアリルアルコールを50℃減圧下
で蒸発させた後、引き続き、80℃24時間減圧下で完
全に乾燥除去した。得られたエステル化物を再び蒸留水
100mlで溶解し、上記と同様の操作を3回繰り返し
た結果、エステル化物の収量が恒量に達した。最終収量
は、48gとなった。得られた微粉末は、平均粒径が約
40μmであり、拡散反射法FT−IRによる1724
cm-1の吸収およびヒドロキサム酸−鉄(III)による呈
色反応により、黄色から赤紫色への呈色からエステル結
合が存在することが確認された。また200MHzのN
MR分析によりゼラチンのカルボキシル基の約91%が
エステル化されたゼラチンのエステル化物(ゼラチン/
アリルアルコール)であることが判明した。
【0019】製造例2 平均粒径約10μmのクロムなめし革(牛皮)粉末の乾
物量換算51gを攪拌機付き500mlのセパラブルフ
ラスコに50mlのアリルアルコールと共に入れ懸濁状
態とし、攪拌しながら50℃で24時間反応させた。次
に過剰のアリルアルコールを減圧下で留去した後、さら
に40℃24時間減圧下で完全に留去した。得られたこ
のエステル化物を蒸留水100mlで洗浄し、製造例1
と同様の手法で微量のアルコールを除去した。この操作
を3回繰り返した結果、エステル化物(クロムなめし革
/アリルアルコール)の収量が恒量に達した。得られた
最終収量は52.4gで、重量増加によるエステル化率
は約37%であった。
【0020】製造例3 攪拌機付き500mlのセパラブルフラスコに50ml
のジエチレングリコールと53gのカゼイン(試薬1
級)および0.1N HCl 50mlとを入れ、攪拌
しながら、50℃に保って反応させた。24時間反応さ
せた後、停止し、反応物をメタノール中に沈澱させ、繰
り返し水洗して、結合に関与しなかったジエチレングリ
コールを完全に除去した。これを風乾した後、さらに減
圧乾燥を行って、微量の水分を除去した。この結果、5
3.6gの平均粒径約50μmのエステル化物(カゼイ
ン/ジエチレングリコール)を得た。
【0021】製造例4 製造例1で得られたエステル化物(ゼラチン/アリルア
ルコール)40gとラジカル開始剤ベンゾイルパーオキ
サイド(以下、BPOという)の2mmol/リットル
のトルエン溶液100mlとを攪拌機付き1リットルの
セパラブルフラスコに入れた後、さらにスチレンモノマ
ー38gと250mlのトルエンを加えて、窒素置換後
80℃で3時間反応させた。次いでメタノールを加えて
反応を停止させた後、得られたグラフト物中のスチレン
モノマー、および結合に関与しないポリスチレンをアセ
トンで洗浄して除去し、43gのタンパク質誘導体(ゼ
ラチン/ポリスチレングラフト物)を得た。
【0022】製造例5 攪拌機付き300mlのセパラブルフラスコに平均粒径
約200μmの塩化ビニル粉末50gと製造例1で得ら
れたエステル化物(ゼラチン/アリルアルコール)4.
5gを入れ、次いで3mmol/リットルBPOのジメ
チルスルホキシド溶液を1mlとトルエン50mlを加
え80℃で3時間反応させた。ヌッツェで濾過した後、
エタノールで充分洗浄を行なった後乾燥を行い、54.
3gのタンパク質誘導体(ゼラチン/塩化ビニルグラフ
ト物)を得た。
【0023】製造例6 製造例3においてジエチレングリコールに代えてブタン
ジオールを用い、カゼインに代えてゼラチンを用いた以
外は、製造例3と同様にして得られたゼラチンの86%
エステル化物(ゼラチン/ブタンジオール)を80℃で
24時間減圧乾燥し、水分を除去した後、その10.2
gをジメチルスルホキシドに溶解して約15%溶液とし
た。この溶液を攪拌しながら、−NCO/OHの当量比
を1.02としてトリレンジイソシアネートを加え、タ
ンパク質誘導体(ゼラチン/ウレタン化合物複合体)を
得た。
【0024】製造例7 製造例6と同様にして得たエステル化物(ゼラチン/ブ
タンジオール)50gと2gの苛性ソーダとを250m
lの蒸留水に溶解した。一方、50mlのジメチルスル
ホキシドを入れた滴下ロート、およびコンデンサー付き
の三つ口フラスコに20mlのエピクロルヒドリンを入
れた。次に、エステル化物の苛性ソーダ溶液を滴下ロー
トから約10分かけて滴下し、攪拌しながら5時間反応
を行った。反応後、混合物を過剰のアセトンに注いで濾
過、洗浄を行った後、真空乾燥を行ってエステル化物の
エポキシ化中間体とした。引き続き、このエポキシ化中
間体の40gを250mlのジメチルスルホキシドに溶
解した。この溶液をコンデンサーおよび滴下ロートを付
けた三つ口フラスコに入れ、50℃に加熱し、ビスフェ
ノールA85mmolを加えた。溶解後、ビスフェノー
ルAと等モル量の40%苛性ソーダ溶液を徐々に加え、
6時間反応させた。反応停止後、反応物は過剰のアセト
ンで濾過し、繰り返し洗浄した。
【0025】次に、この中に含まれる苛性ソーダを除く
ためこの反応生成物をビスキングチューブに入れ、pH
7.2のホウ酸ソーダ溶液中で2日間透析を行った後、
乾燥したところ約53gの生成物を得た。この53gを
硬化型の樹脂に変性するために、上記のエポキシ化中間
体で行ったのと同様の操作を繰り返すことにより、末端
の水酸基をエポキシ化したタンパク質誘導体(タンパク
質/エポキシ化合物複合体)を得た。
【0026】製造例8 60℃、24時間減圧乾燥を行って水分を除去した製造
例3のエステル化物(カゼイン/ジエチレングリコー
ル)46.8gと100mlのジメチルスルホキシドと
を反応容器に入れた。次に、この溶液をスターラーで攪
拌しながら、9.52gのブタンジオールと100ml
のジメチルスルホキシド溶液とを加え、つづいて3.6
gのジフェニルメタンジイソシアネートを50mlのジ
メチルホルムアミドに溶かした溶液を添加した。つぎ
に、反応容器を50℃に加温し、約2時間反応させた
後、反応物をメタノールに沈澱させてポリマーを回収
し、ポリマー中に残存する未反応混合物を酢酸エチルに
より、24時間ソックスレー抽出した。この結果、得ら
れたタンパク質誘導体(タンパク質/ウレタン化合物複
合体)は、粉末状であった。
【0027】製造例9 BPOの3mmol/リットルのトルエン溶液を50m
l採り、この溶液を重合管に入れ、予め、60℃、24
時間減圧乾燥を行って水分を除去した製造例1で得たエ
ステル化物(ゼラチン/アリルアルコール)(微粉末
状)52.5gを加えた。さらに、常法により精製した
クロロプレンモノマー10mlをこのトルエン混合溶液
に溶解し、重合管内を窒素置換した後、60℃中で重合
を開始した。6時間重合反応を行った後、反応混合物を
メタノール中に注いでポリマーを回収した。得られたポ
リマー中に残存するモノマーならびにホモポリマーをベ
ンゼンにより、24時間ソックスレー抽出を行った。減
圧乾燥により、得られたポリマーは約55gであった
(タンパク質/合成高分子複合体)。
【0028】実施例1 ポリ塩化ビニル(三井東圧化学(株)製、ビニクロン4
000M)を粉砕し、平均粒径約200μmとしたもの
300gと製造例1で得たゼラチン/アリルアルコール
のエステル化物(平均粒径:40μm)30gを混合し
て本発明の組成物を得た。さらに可塑剤としてジオクチ
ルフタレート90g、エポキシ化ブチルオレエート6
g、安定剤としてカドミウムバリウム系有機複合体3g
を加え、これらをバンバリーミキサーで充分混合した
後、インフレーションによりフィルム化した。得られた
シートは、吸湿性、放湿性、透湿性、肌触り感の良好な
ものであった。
【0029】実施例2 平均粒径約300μmに粉砕したポリエチレン(住友精
化(株)製、フローセンA1003)200gと製造例
1で得たゼラチン/アリルアルコールのエステル化物
(平均粒径:40μm)を混合し、本発明の組成物を得
た。さらにバンバリーミキサーで充分混合した後、イン
フレーションによりフィルム化した。得られたシート
は、吸湿性、放湿性、透湿性、肌触り感の良好なもので
あった。
【0030】実施例3〜10 実施例2と同様の方法により表1に示す各種のタンパク
質のエステル化物あるいはタンパク質誘導体と平均粒径
400μm以下に粉砕した熱可塑性樹脂との組み合わせ
により、種々の組成物を得た。さらにバンバリーミキサ
ーで充分混合した後、インフレーションによりフィルム
化した。得られたシートは、いずれも吸湿性、放湿性、
透湿性、肌触り感の良好なものであった。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】本発明の皮革様成形品用樹脂組成物は、
天然のタンパク質を化学修飾し、熱可塑性樹脂との親和
性を強くしたものを構成成分としているため、該化学修
飾タンパク質が均一に熱可塑性樹脂中に分布している。
そのため本発明の皮革様成形品用樹脂組成物を用いて皮
革様成形品とした場合には、吸湿性、放湿性、透湿性、
肌触り感の良好なものが得られる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】実施例2 平均粒径約300μmに粉砕したポリエチレン(住友精
化(株)製、フローセンA1003)00gと製造例
1で得たゼラチン/アリルアルコールのエステル化物
(平均粒径:40μm)10gを混合し、本発明の組成
物を得た。さらにバンバリーミキサーで充分混合した
後、インフレーションによりフィルム化した。得られた
シートは、吸湿性、放湿性、透湿性、肌触り感の良好な
ものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菱池 通隆 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社第1研究所内 (72)発明者 安井 三雄 京都府向日市寺戸町渋川15−16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A.熱可塑性樹脂:100重量部、および B:タンパク質と多官能性アルコールとを反応させてエ
    ステル化を行い、タンパク質の側鎖のカルボキシル基を
    鎖延長したタンパク質のエステル化物あるいは前記タン
    パク質のエステル化物側鎖に存在する多官能性アルコー
    ル由来の官能基を更に反応させて得られるタンパク質誘
    導体:1〜50重量部とからなる皮革様成形品用樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 タンパク質がゼラチン、コラーゲンまた
    はカゼインである請求項1記載の皮革様成形品用樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 タンパク質が皮革粉である請求項1記載
    の皮革様成形品用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】A.熱可塑性樹脂:100重量部、および B:タンパク質と多官能性アルコールとを反応させてエ
    ステル化を行い、タンパク質の側鎖のカルボキシル基を
    鎖延長したタンパク質のエステル化物あるいは前記タン
    パク質のエステル化物側鎖に存在する多官能性アルコー
    ル由来の官能基を更に反応させて得られるタンパク質誘
    導体:1〜50重量部とからなる組成物を成形して得ら
    れる皮革様成形品。
  5. 【請求項5】 タンパク質がゼラチン、コラーゲンまた
    はカゼインである請求項4記載の皮革様成形品。
  6. 【請求項6】 タンパク質が皮革粉である請求項4記載
    の皮革様成形品。
JP18998192A 1992-06-23 1992-06-23 エステル化タンパク質を用いて得られる皮革様成形品 Pending JPH069885A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8034740B2 (en) 2004-02-05 2011-10-11 Taiyo Kagaku Co., Ltd. Adsorptivity imparting agent containing porous silica
US10836454B2 (en) 2015-09-21 2020-11-17 Cayago Tec Gmbh Floating vessel

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8034740B2 (en) 2004-02-05 2011-10-11 Taiyo Kagaku Co., Ltd. Adsorptivity imparting agent containing porous silica
US10836454B2 (en) 2015-09-21 2020-11-17 Cayago Tec Gmbh Floating vessel

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