JP2519581B2 - たんぱく質―合成高分子複合体の製造方法及び得られた該複合体 - Google Patents

たんぱく質―合成高分子複合体の製造方法及び得られた該複合体

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はたんぱく質−合成高分子複合体の製造方法及
び該方法により得られる複合体に関する。さらに詳しく
は、たんぱく質を構成するアミノ酸のカルボキシル基に
官能基を有するアルコールを反応させ、エステル化によ
り鎖延長させ、たんぱく質のエステル化物を得たり、あ
るいは鎖延長させた後、さらに官能基に反応する合成高
分子原料を反応させるなどによりたんぱく質−合成高分
子複合体を得る、たんぱく質−合成高分子複合体の製造
方法に関する。
(従来の技術) たんぱく質は生体を構成する親水性ポリマーであり、
生体適合性、酵素作用をはじめとする生理活性などすぐ
れた機能を有している。
これを単独で材料として用いる場合、合成高分子に比
べて安定性や機械的強度や加工特性に劣り、その優れた
機能性が十分利用されていない。この欠点を補うため合
成高分子との複合化が盛んに検討されてきた。
しかしながら、合成高分子は一般に疎水性であるため
に、親水性のたんぱく質との複合化はきわめて難しいの
が現状である。この問題に対するアプローチの一つとし
て、たんぱく質中に多数存在する活性な側鎖の利用法が
あるが、有機溶媒中での反応性が乏しいことから、たん
ぱく質をベースとしたモノマーのグラフト重合は水系溶
媒を用いることを余儀なくされている。従って、この種
の重合には自ずと限界がある。
(発明が解決しようとする課題) そこで、発明者らは過去にゼラチンを微粉末化して、
溶媒を使わない機械的混練法により、天然高分子が合成
高分子に少量結合した吸・放湿性素材の開発を行った
が、この手法は合成高分子がベースとなった複合体の製
法に限定されるため、この機能性も限られたものであっ
た。
しかし、互いに結合するたんぱく質と合成高分子との
組成比が任意に調整でき、かつ成形が自由なものになれ
ば、これまでにない全く新しい機能性に富んだいろいろ
な複合素材の開発が可能となる。
例えば親水性に富むたんぱく質を合成高分子と複合化
すれば他の合成高分子との相溶性に優れるため、複合し
て用いることが可能となるばかりでなく、それ自身肌ざ
わりの良い、いわゆる「しっとり」感を有する素材とし
て有用なものとなる。そのためには、たんぱく質が有機
溶媒中でも反応性に富むような工夫が必要となる。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは上記した状況に鑑み、有機溶媒中でも反
応性に富むたんぱく質を得るため鋭意検討した。
従来、一価アルコールなど水酸基以外の官能基を含ま
ない化合物とたんぱく質とのエステル化についてはよく
知られているが、水酸基以外にも官能基をもつアルコー
ルとのエステル化については十分あきらかにはされてい
ない。
そこで、従来技術である一価アルコールとのエステル
化法に着目し、たんぱく質の側鎖を多官能性アルコール
でエステル化を行ない、たんぱく質の側鎖のカルボキシ
ル基を鎖延長して、有機溶媒中での反応性の改善を検討
した。
その結果、多官能性アルコールも一価アルコールと同
様に、たんぱく質中のカルボキシル基と触媒なしでも容
易にエステル化できること、さらにこのエステル化物を
用いてたんぱく質−合成高分子複合体を得ることができ
ることを見い出し本発明を完成するに到った。
即ち、本発明においてたんぱく質−合成高分子複合体
を合成するためには、まず第一段階として、たんぱく質
を構成するアミノ酸の側鎖のカルボキシル基に、多官能
性アルコールを反応させてエステル化により鎖延長さ
せ、たんぱく質の側鎖に多官能性アルコール由来の官能
基を持つ、たんぱく質のエステル化物を調製する。
そして、第二段階として、有機溶媒、たとえばトルエ
ン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、テトラヒドロ
フラン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシドなど従
来、たんぱく質自体では親和性が乏しく用いられること
の少なかった溶媒中で、第一段階で得られたエステル化
物にエポキシ樹脂や、ウレタン樹脂の原料化合物あるい
は他の重合性ビニルモノマーなどを付加重合させ、ある
いは合成高分子とグラフト重合させるなどいわゆる従来
の重合技術を組み合わせて、たんぱく質−合成高分子複
合体を製造する。
本発明は上記した知見のもとになされたものでありそ
の要旨は、 (1)たんぱく質の水溶液、微粉末あるいはその懸濁液
と過剰の多官能性アルコールを反応させてエステル化を
行ない、たんぱく質の側鎖のカルボキシル基を鎖延長す
ることを特徴とする、たんぱく質のエステル化物の製造
方法、 (2)多官能性アルコールとして多価アルコールを用
い、鎖延長された側鎖に存在する多価アルコール由来の
水酸基にイソシアネート基を持つ化合物を反応させウレ
タン化することを特徴とする、たんぱく質−合成高分子
複合体の製造方法、 (3)多官能性アルコールとして多価アルコールを用
い、鎖延長された側鎖に存在する多価アルコール由来の
水酸基にエポキシ基を持つ化合物を反応させ、次いで樹
脂化させることを特徴とする、タンパク質−合成高分子
複合体の製造方法、 (4)多官能性アルコールとして不飽和結合を有するア
ルコールを用い、鎖延長された側鎖に存在する該アルコ
ール由来の不飽和基に、重合開始剤の存在下ビニルモノ
マーを付加重合させるかまたは合成高分子をグラフト重
合させるか、あるいは合成高分子に該不飽和基を有する
たんぱく質のエステル化物をグラフト重合させることを
特徴とする、たんぱく質−合成高分子複合体の製造方
法、並びに (5)前記(1)により得られるたんぱく質のエステル
化物、および前記(2)〜(4)の製造方法により得ら
れる各種のたんぱく質−合成高分子複合体に関する。
以下、本発明の各態様について説明する。
(1)第1の態様(エステル化物の製造): たんぱく質の水溶液、微粉末あるいはその懸濁液と過
剰の多官能性アルコールを反応させてエステル化を行な
い、たんぱく質の側鎖のカルボキシル基を鎖延長するこ
とにより、たんぱく質のエステル化物を製造することが
できる。
本発明で用いられるたんぱく質は、特に限定されるも
のではなく、各種のポリペプタイドが挙げられる。例え
ば、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等が例示される。
また、これらのポリペプタイドを含むクロムなめし革の
ような皮、例えば牛皮、豚皮、羊皮などをそのまま用い
てもよい。
本発明においては、たんぱく質の水溶液、微粉末ある
いはその懸濁液に、多官能性アルコールを加え、エステ
ル化反応を行うことにより、たんぱく質のエステル化物
を得ることができる。
ここでいう多官能性アルコールとしては、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、グリセリンあるいはブタンジオール、プロパ
ンジオール等の多価アルコールまたはアリルアルコー
ル、4−アリルカテコール、アリルカルビノール等の不
飽和結合を有するアルコールが挙げられ、さらにはエポ
キシ基を有するアルコール等であってもよい。
これらの多官能性アルコールの使用量は、特に限定さ
れることはないが、通常たんぱく質中のカルボキシル基
に対し過剰量が用いられ、具体的には前記たんぱく質1g
に対し、0.0015〜0.1モルの量が適量である。エステル
化は反応温度として通常10〜100℃の範囲で任意に行う
ことができ、反応に要する時間は、多官能性アルコール
の使用量および反応温度によりエステル化率を任意に選
択できるため一義的には定まらないが、通常1時間〜4
日間の範囲で選ばれる。
これらの多官能性アルコールを前記たんぱく質と反応
させることにより、たんぱく質中のグルタミン酸(Gl
u)、アスパラギン酸(Asp)等の側鎖カルボキシル基が
エステル化され、鎖延長される。このようにして延長さ
れた鎖には、多官能性アルコール由来の種々の官能基を
有するたんぱく質のエステル化物が得られる。例えば、
前記の多官能性アルコールのうち、多価アルコールを用
いた場合は、延長された鎖に水酸基を有するたんぱく質
のエステル化物が得られ、また、不飽和結合を有するア
ルコールを用いた場合には、延長された鎖に不飽和基を
有するたんぱく質のエステル化物が得られる。
(2)第2の様態(たんぱく質−合成高分子複合体の製
造): 前記の第1の態様において、多官能性アルコールとし
て多価アルコールを用い、鎖延長された側鎖に多価アル
コール由来の水酸基を有するたんぱく質のエステル化物
を合成し、次いで該水酸基にイソシアネート基を持つ化
合物を反応させウレタン化することにより、たんぱく質
−合成高分子複合体を製造することができる。
ここで用いられる多価アルコールとしては、前記のよ
うな多官能性アルコールのうち、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、グリセリンあるいはブタンジオール、プロパンジオ
ール等の分子内に2個以上の水酸基を有するアルコール
が挙げられる。
得られたエステル化物の延長された側鎖に存在する水
酸基をウレタン化する方法としては、該エステル化物と
イソシアネート基を持つ化合物を反応させることにより
行われる。具体的には例えば、エステル化物をイソシア
ネート基を持つ化合物と反応させた後、ポリオールやジ
アミンを用いてウレタン化してもよい。また、イソシア
ネート基を持つ化合物として、末端ジイソシアネートの
プレポリマーを用いて該エステル化物と反応させてウレ
タン化し、たんぱく質−合成高分子複合体としてもよ
い。
ここで用いるイソシアネート基を持つ化合物やポリオ
ール、ジアミンは目的に応じて選択することができ、通
常は汎用のものでよい。
(3)第3の態様(たんぱく質−合成高分子複合体の製
造): 前記の第1の態様において、多官能性アルコールとし
て多価アルコールを用い、鎖延長された側鎖に多価アル
コール由来の水酸基を有するたんぱく質のエステル化物
を合成し、次いで該水酸基にエポキシ基を持つ化合物を
反応させ、さらに樹脂化させることにより、たんぱく質
−合成高分子複合体を製造することができる。
ここで用いられる多価アルコールとしては、第2の態
様の場合と同様のものが用いられる。また、エポキシ基
を持つ化合物としては、例えばエピクロルヒドリン等が
挙げられ、これを用いてエステル化物をエポキシ化した
後、例えば多価フェノールを反応させて、順次樹脂化し
てもよく、あるいは末端エポキシ化した樹脂をエステル
化物の水酸基に反応させ、たんぱく質−合成高分子複合
体としてもよい。
(4)第4の様態(たんぱく質−合成高分子複合体の製
造): 前記の第1の態様において、多官能性アルコールとし
て不飽和結合を有するアルコールを用い、鎖延長された
側鎖に不飽和結合を有するアルコール由来の不飽和基を
有するたんぱく質のエステル化物を合成し、次いで該不
飽和基に重合開始剤の存在下ビニルモノマーを付加重合
させるかまたは合成高分子をグラフト重合させるか、あ
るいは合成高分子に該不飽和基を有するたんぱく質のエ
ステル化物をグラフト重合させることにより、たんぱく
質−合成高分子複合体を製造することができる。
ここで用いられる不飽和結合を有するアルコールとし
ては、前記のようなアリルアルコール、4−アリルカテ
コール、アリルカルビノール等が挙げられる。
このような不飽和基を有するエステル化物を用いてた
んぱく質−合成高分子複合体を製造するには、種々の方
法が挙げられる。例えば、従来の重合開始剤を用いて
種々の重合性ビニルモノマーと付加重合させる、合成
高分子をエステル化物にグラフト重合させる、合成高
分子にエステル化物をグラフト重合させる方法が挙げら
れる。
前記における重合開始剤としては、例えば過酸化ベ
ンゾイルや、アゾイソブチロニトリルなどであり、さら
に、放射線重合や紫外線重合あるいはメカノケミカル反
応による重合などを利用した公知の重合技術を用いても
よい。
また、重合性ビニルモノマーとしては、塩化ビニル、
エチレン、スチレン、メチルメタクリレート、ブタジエ
ン、クロロプレンなどのほか、シリコン系モノマーを用
いることもできる。
前記またはにおいては、エステル化物の不飽和基
を合成高分子や合成高分子成形品上で重合開始剤により
開裂させて、該エステル化物を合成高分子にグラフトさ
せたり、あるいは逆に合成高分子を該エステル化物にグ
ラフトすることにより行われる。ここで用いられる重合
開始剤は、前記で列記したものと同様のものが使用で
きる。また、合成高分子としてはポリ塩化ビニル、ポリ
エチレン、ポリアミド樹脂、シリコンゴム、ポリブタジ
エンゴム、ポクロロプレンゴム、熱可塑性ゴムなどが挙
げられる。但し、ゴムについては加硫物でもグラフト可
能であるが、未加硫物に比べてその効果は小さい。
本発明のたんぱく質−合成高分子複合体は、前記のよ
うな第1の態様により得られるエステル化物を中間体と
して、第2〜4の各態様により得られるものである。こ
のようにして得られるたんぱく質−合成高分子複合体の
構造上の特徴は、たんぱく質の側鎖にウレタン結合を有
する(第2の態様で得られる)、たんぱく質の側鎖がエ
ポキシ化されている(第3の態様で得られる)、および
たんぱく質の側鎖に合成高分子が結合している(第4の
態様で得られる)点が挙げられる。
(実施例) 以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発
明はこれらの実施例により何等限定されるものではな
い。
なお、実施例において得られたエステル化物中にエス
テル結合が存在することの確認は、以下の方法によって
行った。
定性:FT−IRによるエステル結合の存在またはヒドロキ
サム酸−鉄(III)による呈色反応により行った。
ヒドロキサム酸−鉄(III)による呈色反応では、約2
wt%のサンプル水溶液0.2mlにヒドロキシルアミン水溶
液(2mol/l/3.5N NaOHaq=1/1)0.6mlを加え、30℃で5
分間放置する。その後、4N HClaq 0.4mlおよび0.4mlのF
eCl3aq溶液(10wt% FeCl3・6H2O/0.1N HClaq)を加え
る。
エステルが存在すれば、溶液の色は、赤紫色に呈色す
る。
定量:重量法またはNMR法により行った。
重量法では、反応後のたんぱく質を水洗、乾燥し、重
量増加を測定してエステル化率を算出した。また、NMR
法では200MHzのNMRを用いて、たんぱく質中のフェニル
アラニンの核置換Hとアリルアルコールの=CH2基Hと
の面積比よりエステル化率を算出した。
実施例1 共栓つき三角フラスコにアルカリ処理ゼラチン(コニ
カゼラチン(株)製、分子量約10万のαゼラチン)4.48
9g(乾物量)を入れ、これを蒸留水10mlで溶解する。つ
ぎに、5mlのアリルアルコールを加えて密栓し、50℃で2
4時間反応させた。このエステル化物を回収するため、
冷媒である水と、反応にあずからなかった過剰のアリル
アルコールを50℃オーブン中で蒸発させた後、引き続
き、80℃24時間減圧下で完全に乾燥除去した。
得られたエステル化物を再び蒸留水10mlで溶解し、上
記と同様の操作を3回繰り返した結果、エステル化物の
収量が恒量に達した。最終収量は、4.774gとなった。得
られた微粉末は、拡散反射法FT−IRによる1724cm-1の吸
収およびヒドロキサム酸−鉄(III)による呈色反応に
より、黄色から赤紫色への呈色からエステル結合が存在
することが確認された。また200MHzのNMR分析によりゼ
ラチンのカルボキシル基の約91%がエステル化されたゼ
ラチンのエステル化物(ゼラチン/アリルアルコール)
であることが判明した。
実施例2 約10μm以下に粉砕した、クロムなめし革(牛皮)粉
末の乾物量換算5.105gを共栓付三角フラスコに5mlのア
リルアルコールと共に入れ懸濁状態とし、マグネチック
スタラーで攪拌しながら50℃で24時間反応させた。次に
過剰のアリルアルコールをロータリーエボパレーターで
除去した後、さらに40℃24時間減圧下で完全に除去し
た。
得られたこのエステル化物を蒸留水10mlで洗浄し、実
施例1と同様の手法で微量のアルコールを除去した。こ
の操作を3回繰り返した結果、エステル化物(クロムな
めし革/アリルアルコール)の収量が恒量に達した。得
られた最終収量は5.237gで、重量増加によるエステル化
率は37%であった。
実施例3 共栓つき三角フラスコに5mlのジエチレングリコール
と5.256gのカゼイン(試薬1級)および0.1N HCl 5mlと
を入れ、スタラーで攪拌しながら、50℃に保って反応さ
せた。24時間反応させた後、停止し、反応物をメタノー
ル中に沈澱させ、繰り返し水洗して、結合に関与しなか
ったジエチレングリコールを完全に除去した。これを風
乾した後、さらに減圧乾燥を行って、微量の水分を除去
した。この結果、5.358gのエステル化物(カゼイン/ジ
エチレングリコール)を得た。
実施例4 実施例1で得られたエステル化物(ゼラチン/アリル
アルコール)0.793gとラジカル開始剤ベンゾイルパーオ
キサイド(以下BPOという)の2mmol/lのトルエン溶液2m
lとを反応容器に入れた後、さらにスチレンモノマー0.7
62gと5mlのトルエンを加えて、窒素置換し、80℃、3時
間反応させ、メタノールを加えて反応を停止させた。得
られたグラフト物中のスチレンモノマー、および結合に
関与しないポリスチレンをアセトンで洗浄して除去し、
0.860gのたんぱく質−合成高分子複合体(ゼラチン/ポ
リスチレングラフト物)を得た。
実施例5 2×4cmの可塑剤を含まない透明な塩化ビニル樹脂板
上に実施例1で得られたエステル化物(ゼラチン/アリ
ルアルコール)0.225gを粉末のままで塗布し、この粉末
上に3mmol/lBPOのジメチルスルホキシド溶液を数滴ふり
かけて濡らした後、デシケーター中に移し、アスピレー
タで減圧下に置いたまま、これを80℃、3時間反応させ
た。反応物は、塩化ビニル樹脂板に皮膜を形成した。こ
れを水中で1時間煮沸した結果、塩化ビニル樹脂板上に
は約80%の不溶のたんぱく質が、たんぱく質−合成高分
子複合体(ゼラチン/ビニル樹脂板グラフト物)として
塩化ビニル樹脂板上に結合した状態で残った。
これに対して、コントロールとして化学修飾を施さな
いゼラチンについてもBPOを含まないジメチルスルホキ
シド溶液で上記と同様の操作を行い、生成物に水を加え
15分間煮沸すると、塩化ビニル樹脂板上のゼラチンはす
べて溶解した。
実施例6 実施例3においてジエチレングリコールに代えてブタ
ンジオールを用い、カゼインに代えてゼラチンを用いた
以外は実施例3と同様にして得られたゼラチンの86%エ
ステル化物(ゼラチン/ブタンジオール)を80℃で24時
間減圧乾燥し、水分を除去した後その0.102gをジメチル
スルホキシドに溶解して約15%溶液とした。この溶液を
攪拌しながら、−NCO/OHの当量比を1.02としてトリレン
ジイソシアネートを加え、よく攪拌した後、ガラス板上
にキャスチングした。約30分後に水中に浸漬し、溶剤を
除去した結果、透明で、水中で3時間煮沸しても溶解し
ない、屈曲性に富む強靱なフィルム状のたんぱく質−合
成高分子複合体(たんぱく質−ウレタン化合物複合体)
を得た。
実施例7 実施例6と同様にして得たエステル化物(ゼラチン/
ブタンジオール)5gと0.2gの苛性ソーダとを25mlの蒸留
水に溶解した。一方、5mlのジメチルスルホキシドを入
れた滴下ロート、およびコンデンサー付きの三つ口フラ
スコに2mlのエピクロルヒドリンを入れた。次に、エス
テル化物の苛性ソーダ溶液を滴下ロートから約10分かけ
て滴下し、攪拌しながら5時間反応を行った。反応後、
混合物を過剰のアセトンに注いで濾過、洗浄を行った
後、真空乾燥を行ってエステル化物のエポキシ化中間体
とした。引き続き、このエポキシ化中間体の4gを25mlの
ジメチルスルホキシドに溶解した。この溶液をコンデン
サーおよび滴下ロートを付けた三つ口フラスコに入れ、
50℃に加熱し、ビスフェノールA8.5mmolを加えた。溶解
後、ビスフェノールAと等モル量の40%苛性ソーダ溶液
を徐々に加え、6時間反応させた。反応停止後、反応物
は過剰のアセトンで濾過し、繰り返し洗浄した。
次に、この中に含まれる苛性ソーダを除くためこの反
応生成物をビスキングチューブに入れ、pH7.2のホウ酸
ソーダ溶液中で2日間透析を行った後、乾燥したところ
約5.3gの生成物を得た。この5.3gを硬化型の樹脂に変性
するために、上記のエポキシ化中間体で行ったのと同様
の操作を繰り返すことにより、末端の水酸基をエポキシ
化したたんぱく質−合成高分子複合体(たんぱく質/エ
ポキシ化合物複合体)を得た。
この結果、得られたエポキシ化たんぱく質は、エポキ
シ樹脂の硬化で用いられる通常の硬化剤で架橋を行うこ
とができた。
実施例8 60℃、24時間減圧乾燥を行って水分を除去した実施例
3のエステル化物(カゼイン/ジエチレングリコール)
4.683gと10mlのジメチルスルホキシドとを反応容器に入
れた。次に、この溶液をスターラーで攪拌しながら0.95
2gのブタンジオールと10mlのジメチルスルホキシド溶液
とを加え、つづいて0.363gのジフェニルメタンジイソシ
アネートを5mlのジメチルホルムアミドに溶かした溶液
を添加した。つぎに、反応溶器を50℃に加温し、約2時
間反応させた後、反応物をメタノールに沈澱させポリマ
ーを回収し、ポリマー中に残存する未反応混合物を酢酸
エチルにより、24時間ソックスレー抽出した。
この結果、得られたたんぱく質−合成高分子複合体
(たんぱく質/ウレタン化合物複合体)は、粉末状であ
り、表面状態を拡散法によるFT−IRで分析したところ、
1740cm-1にウレタン結合の、1320cm-1、1230cm-1にエス
テル結合の吸収が認められた。
実施例9 BPOの3mmol/lトルエン溶液を5ml採り、この溶液を重
合管に入れ、予め60℃、24時間減圧乾燥を行って水分を
除去した実施例1で得たエステル化物(ゼラチン/アリ
ルアルコール)(微粉末状)5.25gを加えた。さらに、
常法により精製したクロロプレンモノマー1.0mlをこの
トルエン混合溶液に溶解し、重合管内を窒素置換して封
管した後、60℃中で重合を開始した。6時間重合反応を
行った後、開封し、反応混合物をメタノール中に注いで
ポリマーを回収した。
得られたポリマー中に残存するモノマーならびにホモ
ポリマーをベンゼンにより、24時間ソックスレー抽出を
行った。
減圧乾燥により、得られたポリマーは約5.5gでこのポ
リマーはたんぱく質の表面にゴムが結合した状態になっ
ていることが拡散法(FT−IR分析)による差スペクトル
から、1640cm-1にクロロプレン二重結合が認められたこ
とにより確認された(たんぱく質−合成高分子複合
体)。
(発明の効果) 本発明を実施することにより合成高分子の表面をたん
ぱく質で被覆したり、逆に、たんぱく質の表面を合成高
分子で被覆して改質するだけでなく、種々な組成のたん
ぱく質と合成高分子よりなるたんぱく質−合成高分子複
合体の製造が可能である。
したがって、新しい機能性に富んだ製品、例えば機能
性分離膜、生体適合性材料、生分解性ポリマー、たんぱ
く質系耐水接着剤、同難燃材などに適用できる。
本発明は、たんぱく質素材を産出する食品分野からプ
ラスチックやゴム工業、あるいはファインケミカル分野
にまたがって幅広く活用が期待できるものである。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】たんぱく質の水溶液、微粉末あるいはその
    懸濁液と過剰の多官能性アルコールを反応させてエステ
    ル化を行ない、たんぱく質の側鎖のカルボキシル基を鎖
    延長することを特徴とする、たんぱく質のエステル化物
    の製造方法。
  2. 【請求項2】多官能性アルコールとして多価アルコール
    を用い、鎖延長された側鎖に存在する多価アルコール由
    来の水酸基にイソシアネート基を持つ化合物を反応させ
    ウレタン化することを特徴とする、たんぱく質−合成高
    分子複合体の製造方法。
  3. 【請求項3】多官能性アルコールとして多価アルコール
    を用い、鎖延長された側鎖に存在する多価アルコール由
    来の水酸基にエポキシ基を持つ化合物を反応させ、次い
    で樹脂化させることを特徴とする、タンパク質−合成高
    分子複合体の製造方法。
  4. 【請求項4】多官能性アルコールとして不飽和結合を有
    するアルコールを用い、鎖延長された側鎖に存在する該
    アルコール由来の不飽和基に、重合開始剤の存在下ビニ
    ルモノマーを付加重合させるかまたは合成高分子をグラ
    フト重合させるか、あるいは合成高分子に該不飽和基を
    有するたんぱく質のエステル化物をグラフト重合させる
    ことを特徴とする、たんぱく質−合成高分子複合体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】たんぱく質がゼラチン、コラーゲン又はカ
    ゼインである請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
  6. 【請求項6】たんぱく質として皮を用いることを特徴と
    する請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1記載の製造方法により得られるた
    んぱく質の側鎖のカルボキシル基がエステル化されてい
    る、たんぱく質のエステル化物。
  8. 【請求項8】請求項2記載の製造方法により得られるた
    んぱく質の側鎖にウレタン結合を有する、たんぱく質−
    合成高分子複合体。
  9. 【請求項9】請求項3記載の製造方法により得られるた
    んぱく質の側鎖がエポキシ化されている、たんぱく質−
    合成高分子複合体。
  10. 【請求項10】請求項4記載の製造方法により得られる
    たんぱく質の側鎖に合成高分子が結合している、たんぱ
    く質−合成高分子複合体。
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