JPH05262800A - アミド化タンパク質及びタンパク質−合成高分子複合体の製造方法 - Google Patents

アミド化タンパク質及びタンパク質−合成高分子複合体の製造方法

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JPH05262800A
JPH05262800A JP9474092A JP9474092A JPH05262800A JP H05262800 A JPH05262800 A JP H05262800A JP 9474092 A JP9474092 A JP 9474092A JP 9474092 A JP9474092 A JP 9474092A JP H05262800 A JPH05262800 A JP H05262800A
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amidated
carboxylic acid
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JP9474092A
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Michitaka Hishiike
通隆 菱池
Nobuyuki Kitagishi
信之 北岸
Mitsuo Yasui
三雄 安井
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Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、タンパク質と不飽和カルボン酸また
は該カルボン酸誘導体を反応させ、アミド化により鎖延
長させ、アミド化タンパク質を得る方法、また、該アミ
ド化タンパク質の側鎖に存在する不飽和基にビニルモノ
マーを付加重合させるか、合成高分子をグラフト重合さ
せるか、あるいは合成高分子にアミド化タンパク質をグ
ラフト重合させることによりタンパク質−合成高分子複
合体を得る方法、およびこれらの方法によって得られる
アミド化タンパク質およびタンパク質−合成高分子複合
体に関する。 【効果】本発明により合成高分子の表面をタンパク質で
被覆したり、逆にタンパク質の表面を合成高分子で被覆
して改質するだけでなく、種々な組成のタンパク質と合
成高分子よりなるタンパク質−合成高分子複合体の製造
が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアミド化タンパク質及び
タンパク質−合成高分子複合体の製造方法に関する。さ
らに詳しくは、タンパク質を構成するアミノ酸のアミノ
基に不飽和カルボン酸または該カルボン酸誘導体を反応
させ、アミド化により鎖延長させ、タンパク質のアミド
化物を得たり、あるいは鎖延長させた後、さらに不飽和
基と反応する合成高分子原料を反応させることなどによ
りタンパク質−合成高分子複合体を得るタンパク質−合
成高分子複合体の製造方法に関する。尚、本発明により
得られるアミド化タンパク質およびタンパク質−合成高
分子複合体は複合繊維、合成皮革、塗料、ゴムの静電気
防止剤、化粧品、保湿剤、乳化剤等の多岐にわたる用途
に応用できる。
【0002】
【従来の技術】タンパク質は生体を構成する親水性ポリ
マーであり、生体適合性、酵素作用をはじめとする生理
活性など優れた機能を有している。これを単独で材料と
して用いる場合、合成高分子に比べて安定性や機械的強
度や加工特性に劣り、その優れた機能性が充分に利用さ
れていない。この欠点を補うため合成高分子との複合化
が盛んに検討されてきた。しかしながら、合成高分子は
一般に疎水性であるために、親水性のタンパク質との複
合化はきわめて難しいのが現状である。この問題に対す
るアプローチの一つとして、タンパク質中に多数存在す
る活性な側鎖の利用法があるが、有機溶媒中での反応性
が乏しいことから、タンパク質をベースとしたモノマー
のグラフト重合は水系溶媒を用いることを余儀なくされ
ている。従って、この種の重合にはおのずと限界があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
過去にゼラチンを微粉末化して、溶媒を使用しない機械
的混練法により、天然高分子が合成高分子に少量結合し
た吸・放湿性素材の開発を行ったが、この手法は合成高
分子がベースとなった複合体の製法に限定されるため、
この機能性も限られたものであった。しかし、互いに結
合するタンパク質と合成高分子との組成比が任意に調整
でき、かつ成形が自由なものとなれば、これまでにない
新しい機能性に富んだ複合素材の開発が可能になる。例
えば、親水性に富むタンパク質を合成高分子と複合化す
れば、他の合成高分子との相溶性に優れるため、複合化
して用いることが可能となるばかりでなく、それ自身肌
触りのよい、いわゆる「しっとり」感を有する素材とし
て有用なものとなる。そのためには、タンパク質が有機
溶媒中でも反応性に富むような工夫が必要となる。
【0004】この課題を解決する1つの方法として本発
明者らは先に、タンパク質に多官能性アルコールを反応
させ、タンパク質の側鎖のカルボキシル基をエステル化
することによるタンパク質の改質方法および改質され有
機溶媒との親和性を付与されたタンパク質を原料とする
タンパク質−合成高分子複合体の製造方法を提案した
(特願平2−164821号)。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の状
況に鑑み、有機溶媒中でも反応性に富むタンパク質を得
るため、前記したタンパク質の改質方法について側鎖の
カルボキシル基をエステル化する方法以外の方法をさら
に見出すべく鋭意検討した。その方法として、まず、カ
ルボン酸無水物等を用いたタンパク質のアミド化に着目
し、タンパク質の側鎖を不飽和カルボン酸誘導体でアミ
ド化させ、タンパク質の側鎖アミノ基を鎖延長し、得ら
れるアミド化タンパク質の有機溶媒中での反応性につい
て検討した。その結果、不飽和カルボン酸またはカルボ
ン酸ハライドあるいはカルボン酸無水物等の該カルボン
酸誘導体がタンパク質側鎖のアミノ基と容易に反応し、
アミド化物が得られること、さらにこのアミド化物の側
鎖不飽和基をさらに反応させタンパク質−合成高分子複
合体を得ることができることを見いだし、本発明を完成
するに到った。
【0006】即ち、本発明においてタンパク質−合成高
分子複合体を合成するためには、まず第一段階として、
タンパク質を構成するアミノ酸側鎖のアミノ基に、不飽
和カルボン酸あるいは該カルボン酸誘導体を反応させ鎖
延長し、タンパク質の側鎖に不飽和基を有するアミド化
タンパク質を調製する。そして、第二段階として、有機
溶媒たとえば、トルエン、ジメチルホルムアミド、酢酸
エチル、テトラヒドロフラン、シクロへキサン、ジメチ
ルスルホキシドなど、従来タンパク質自体では、親和性
が乏しく用いられることの少なかった溶媒中で、第一段
階で得られたアミド化タンパク質に重合性ビニルモニマ
ーなどを付加重合させ、あるいは合成高分子とグラフト
重合させるなど従来の技術を組み合わせて、タンパク質
−合成高分子複合体を製造する。
【0007】本発明は上記した知見のもとになされたも
のであり、その要旨は、(1) タンパク質と不飽和カ
ルボン酸または該カルボン酸誘導体とを反応させてアミ
ド化を行い、タンパク質の側鎖のアミノ基を鎖延長する
ことを特徴とするアミド化タンパク質の製造方法、
(2) タンパク質と不飽和カルボン酸または該カルボ
ン酸誘導体とを反応させてアミド化を行い、タンパク質
の側鎖のアミノ基を鎖延長し、得られたアミド化タンパ
ク質の側鎖に存在する不飽和基に、重合開始剤の存在下
にビニルモノマーを付加重合させるか、合成高分子をグ
ラフト重合させるか、あるいは合成高分子に該不飽和基
を有する前記アミド化タンパク質をグラフト重合させる
ことを特徴とするタンパク質−合成高分子複合体の製造
方法、(3) 前記(1)の製造方法により得られる、
タンパク質の側鎖のアミノ基がアミド化されているアミ
ド化タンパク質、および(4) 前記(2)の製造方法
により得られる、タンパク質の側鎖に合成高分子が結合
しているタンパク質−合成高分子複合体に関する。
【0008】以下、本発明の各態様について説明する。 (1)第1の態様(アミド化タンパク質の製造) タンパク質の粉末または水溶液あるいはその有機溶媒懸
濁液と、不飽和カルボン酸または該カルボン酸誘導体を
反応させてアミド化を行ない、タンパク質の側鎖のアミ
ノ基を鎖延長することにより、タンパク質のアミド化物
を製造することができる。本発明で用いられるタンパク
質は特に限定されるものではなく、各種のポリぺプチド
が挙げられる。例えば、ゼラチン、コラーゲン、カゼイ
ン等が挙げられる。本発明では、これらのタンパク質を
粉末のままで、または水溶液にして、あるいは有機溶媒
による懸濁液にして不飽和カルボン酸または該カルボン
酸誘導体と反応させる。
【0009】ここにおいて、懸濁液とするのに用いられ
る有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、
クロロベンゼン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、シ
クロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水
素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロ
ロエタン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、
ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、イソプロピル
エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル等のエーテル、およ
びアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジ
イソプロピルケトン等のケトンの中から選ばれた1種ま
たは混合物が用いられる。
【0010】不飽和カルボン酸あるいは該カルボン酸誘
導体としては不飽和脂肪族カルボン酸、不飽和芳香族カ
ルボン酸およびこれらのカルボン酸誘導体が挙げられ
る。不飽和脂肪族カルボン酸としては、炭素数が3〜8
個、好ましくは3〜6個の不飽和脂肪族カルボン酸、例
えばアクリル酸、プロピオル酸、メタクリル酸、ビニル
酢酸、アリル酢酸、クロトン酸が、またカルボン酸誘導
体としてはこれらの酸のハライド化物であるアクリル酸
クロライド、プロピオル酸クロライド、メタクリル酸ク
ロライド、ビニル酢酸クロライド、アリル酢酸クロライ
ド、クロトン酸クロライド、アクリル酸ブロマイド、プ
ロピオル酸ブロマイド、メタクリル酸ブロマイド、ビニ
ル酢酸ブロマイド、アリル酢酸ブロマイド、クロトン酸
ブロマイド、あるいは酸無水物である無水メタクリル
酸、無水ビニル酢酸、無水クロトン酸等が例示される。
不飽和芳香族カルボン酸としては、炭素数が9〜12個
の不飽和芳香族カルボン酸、例えばケイ皮酸、4−フェ
ニル−2−ブテン酸などが挙げられる。不飽和芳香族カ
ルボン酸の誘導体としては、これらの酸のハライド化物
であるケイ皮酸クロライド、ケイ皮酸ブロマイド等が例
示される。
【0011】これらの不飽和カルボン酸あるいは該カル
ボン酸誘導体の使用量は特に限定されることはないが、
通常タンパク質中のアミノ基に対し過剰量が用いられ、
具体的にはタンパク質1gに対し、0.0015〜0.
10モルの量が適当である。アミド化は反応温度として
通常10〜100℃の範囲で任意に行うことができ、反
応に要する時間は、カルボン酸またはカルボン酸誘導体
の使用量及び反応温度によりアミド化率を任意に選択で
きるため一義的には定まらないが、通常1時間〜4日間
の範囲で適宜選ばれる。ここでアミド化率とは、タンパ
ク質中のアミノ基が前述の不飽和カルボン酸あるいは該
カルボン酸誘導体との反応によりアミド化された割合を
いい、通常30〜80%である。これらの不飽和カルボ
ン酸または該カルボン酸誘導体を前記タンパク質と反応
させることにより、タンパク質中のリジン(Lys)、
アルギニン(Arg)等の側鎖のアミノ基がアミド化さ
れ、鎖延長される。このようにして鎖側にカルボン酸ま
たはカルボン酸誘導体由来の不飽和基を有するアミド化
タンパク質が得られる。
【0012】(2)第2の態様(タンパク質−合成高分
子複合体の製造) 前記第1の様態において、不飽和カルボン酸または該カ
ルボン酸誘導体を用い、鎖延長された側鎖に不飽和基を
有するアミド化タンパク質を合成し、次いで該不飽和基
を合成高分子と反応させてタンパク質−合成高分子複合
体を製造することができる。このような不飽和基を有す
るアミド化タンパク質を用いてタンパク質−合成高分子
複合体を製造するのには、種々の方法が挙げられる。例
えば、従来の重合開始剤を用いて種々の重合性ビニル
モノマーと付加重合させる、合成高分子をアミド化タ
ンパク質にグラフト重合させる、合成高分子にアミド
化タンパク質をグラフト重合させる方法などが挙げられ
る。
【0013】ここでの重合反応は、前記第1の態様によ
り得られたアミド化タンパク質を適当な有機溶媒中にお
いて重合開始剤の存在下に反応させて行う。ここで用い
る有機溶媒としては重合性ビニルモノマーを溶解する有
機溶媒であれば特に限定されることはなく、例えばトル
エン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、テトラヒド
ロフラン、シクロへキサン、ジメチルスルホキシド等が
用いられる。前記における重合開始剤としては、例え
ば、ベンゾイルパーオキサイドやアゾイソブチロニトリ
ルなどであり、さらに放射線重合や紫外線重合あるいは
メカノケミカル反応による重合など公知の重合技術を用
いてもよい。また、重合性ビニルモノマーとしては、塩
化ビニル、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブ
テン、スチレン、メチルメタクリレート、ブタジエン、
クロロプレンなどのほか、シリコン系モノマー等を用い
ることもできる。
【0014】前記またはにおいては、アミド化タン
パク質の側鎖に存在する不飽和基を合成高分子や合成高
分子成形品上で重合開始剤により開裂させて、該アミド
化物を合成高分子にグラフト重合させたり、あるいは逆
に合成高分子を該アミド化物にグラフトすることにより
行われる。ここで用いられる重合開始剤は、前記で列
記したものと同様のものが使用できる。また、合成高分
子としては特に限定されるものではないが、例えばポリ
塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン、ポリアミド樹脂、シリコンゴム、ポリブタジエン、
ポリクロロプレンゴム、熱可塑性ゴムなどが挙げられ
る。ただし、ゴムについては加硫物でもグラフト重合可
能であるが、未加硫物に比べてその効果は小さい。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定
されるものではない。尚、本実施例において、アミド化
したことの確認はTNBS法によるアミノ基の減少によ
り行ない、アミド化率は重量増加による方法およびヨウ
素価測定による方法に基づいた。即ち、重量増加による
方法は反応後のタンパク質を洗浄、乾燥し、重量増加を
測定し、100%アミド化された場合の不飽和カルボン
酸または該カルボン酸誘導体による重量増加を理論値と
して、その値との割合で表した。ヨウ素価による方法で
は、タンパク質に置換している不飽和カルボン酸または
該カルボン酸誘導体由来の二重結合を塩化ヨウ素の酢酸
溶液−チオ硫酸ナトリウム水溶液系で逆滴定し(ウィイ
ス法)、置換している不飽和カルボン酸または該カルボ
ン酸誘導体量を定量し、理論値との割合で表した。
【0016】実施例1 ゼラチンとしてアルカリ処理ゼラチン(コニカゼラチン
(株) 製、分子量10万のαゼラチン)9.456g
(乾物量)を用い、これをナス型フラスコに入れ、蒸留
水20gで溶解した。次にアクリル酸2.5gを加え、
マグネチックスターラーで攪拌しながら50℃で24時
間反応させた。このアミド化ゼラチンを回収するため
に、水及び反応に関与しなかったアクリル酸を80℃で
24時間減圧下で完全に蒸発させ乾燥させた。その結
果、10.505gのアミド化ゼラチンを得た。重量増
加によるアミド化率は75%であった。また、ヨウ素価
測定(ウィイス氏法)による二重結合の定量より求めた
アミド化率も、重量増加法による結果とほぼ一致した。
【0017】実施例2 実施例1で使用したものと同じアルカリ処理ゼラチン1
00g(乾物量89.76g)をナス型フラスコに入
れ、そこにトルエン400g及びアクリル酸25.0g
を加え懸濁状態とした。攪拌しながら20℃で24時間
反応させた後、反応液を濾過して得られるアミド化ゼラ
チンをトルエン200mlで洗浄、濾過し、80℃で2
4時間減圧下で完全に乾燥させた。その結果、アミド化
ゼラチンの収量は94.65gであり、重量増加による
アミド化率は65%であった。また、ヨウ素価測定(ウ
ィイス氏法)による二重結合の定量より求めたアミド化
率もほぼ一致した。
【0018】実施例3〜6 表1記載のタンパク質、カルボン酸誘導体、溶媒を用
い、実施例2と同様にしてアミド化タンパク質を得た。
結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】実施例7 実施例1で使用したものと同様のアルカリ処理ゼラチン
9.235g (乾物量)をナス型フラスコに入れ、そこ
にトルエン20g を加え、懸濁状態とした。マグネチッ
クスターラーで攪拌しながら、20wt%メタクリル酸
クロライドのトルエン溶液25.0g を5分間で滴下し
た。20℃で24時間反応させた後、反応液を濾過して
得られるアミド化ゼラチンをトルエン20mlで洗浄、
濾過し、80℃で24時間減圧下で完全に乾燥させた。
その結果、アミド化ゼラチンの収量は9.480g であ
り、重量増加によるアミド化率は25%であった。ま
た、ヨウ素価測定(ウィイス氏法)による二重結合の定
量より求めたアミド化率もほぼ一致した。
【0021】実施例8 実施例2で得られたアミド化ゼラチン0.952g とラ
ジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(以
下BPOという)2mmol/リットルのトルエン溶液3m
lとをナス型フラスコに入れた。さらに、スチレンモノ
マー0.914g と7mlのトルエンを加えて、窒素置
換し、80℃で3時間反応させた後、メタノールを加え
て反応を停止させた。得られたグラフト物中のスチレン
モノマー、および結合に関与しないポリスチレンをアセ
トンで洗浄して除去し、1.032gのタンパク質−合
成高分子複合体(ゼラチン/ポリスチレン)を得た。
【0022】実施例9 2×4cmの可塑剤を含まない透明な塩化ビニル樹脂板
上に実施例2で得られたアミド化ゼラチン0.270g
を粉末のまま塗布し、この粉末上に3mmol/リットルの
BPOのジメチルスルホキシド溶液を数滴ふりかけて濡
らした後、デシケーター中に移し、アスピレーターで減
圧下に置いたまま、これを80℃で3時間反応させた。
反応物は、塩化ビニル樹脂板に皮膜を形成し、これを水
中で1時間煮沸した結果、塩化ビニル樹脂板上には約8
0%の不溶のタンパク質がタンパク質−合成高分子複合
体(ゼラチン/ビニル樹脂板グラフト物)として塩化ビ
ニル樹脂板上に結合した状態で残った。これに対して、
コントロールとしてアミド化処理を施さないゼラチンに
ついてもBPOを含んだジメチルスルホキシド溶液を用
い上記と同様の操作の後、生成物に水を加え15分間煮
沸したところ、塩化ビニル樹脂板上のゼラチンはすべて
溶解した。
【0023】実施例10 BPOの3mmol/リットルトルエン溶液を5ml採取
し、この溶液を重合管に入れ、予め60℃で24時間減
圧乾燥を行って水分を除去した実施例2で得られたアミ
ド化ゼラチン5.78g を加えた。さらに、常法により
精製したクロロプレンモノマー1.0mlをこのトルエ
ン混合溶液に溶解し、重合管内を窒素置換し封管した
後、60℃で重合反応を開始した。6時間後、開封し、
反応混合物をメタノール中に注いでポリマーを回収し
た。得られたポリマー中に残存するモノマーならびにホ
モポリマーをベンゼンで24時間ソックスレー抽出を行
った。減圧乾燥により得られたポリマーは6.05g で
あり、このポリマー(タンパク質−合成高分子複合体)
はタンパク質の表面にゴムが結合した状態になっている
ことが拡散法赤外分析(FT−IRの差スペクトルよ
り、1640cm-1にクロロプレン二重結合を確認)より
確認された。
【0024】
【発明の効果】本発明により得られるアミド化タンパク
質は、重合性ビニルモノマーとの付加重合または合成高
分子とのグラフト重合による複合化が可能であり、対象
とする重合性ビニルモノマーまたは合成高分子を適宜選
択することにより合成高分子の表面をタンパク質で被覆
したり、逆にタンパク質の表面を合成高分子で被覆して
改質するだけでなく、種々な組成のタンパク質と合成高
分子よりなるタンパク質−合成高分子複合体の製造が可
能となる。従って、新しい機能に富んだ製品、例えば機
能性分離膜、生体適合性材料、生分解性ポリマー、タン
パク質系耐水接着剤、同難燃材など多岐にわたる用途に
適用できる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質と不飽和カルボン酸または該
    カルボン酸誘導体とを反応させてアミド化を行い、タン
    パク質の側鎖のアミノ基を鎖延長することを特徴とする
    アミド化タンパク質の製造方法。
  2. 【請求項2】 タンパク質と不飽和カルボン酸または該
    カルボン酸誘導体とを反応させてアミド化を行い、タン
    パク質の側鎖のアミノ基を鎖延長し、得られたアミド化
    タンパク質の側鎖に存在する不飽和基に、重合開始剤の
    存在下にビニルモノマーを付加重合させるか、合成高分
    子をグラフト重合させるか、あるいは合成高分子に該不
    飽和基を有する前記アミド化タンパク質をグラフト重合
    させることを特徴とするタンパク質−合成高分子複合体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 不飽和カルボン酸が炭素数3〜8の不飽
    和脂肪族カルボン酸である請求項1または2記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 タンパク質を水溶液として用いる請求項
    1または2記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 タンパク質を有機溶媒懸濁液として用い
    る請求項1または2記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 タンパク質がゼラチン、コラーゲンおよ
    びカゼインから選ばれた1種である請求項1、2、3、
    4または5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 有機溶媒が芳香族炭化水素、脂肪族炭化
    水素およびケトンからなる群から選ばれた少なくとも1
    種である請求項5記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の製造方法により得られ
    る、タンパク質の側鎖のアミノ基がアミド化されている
    アミド化タンパク質。
  9. 【請求項9】 請求項2記載の製造方法により得られ
    る、タンパク質の側鎖に合成高分子が結合しているタン
    パク質−合成高分子複合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1998055161A1 (en) * 1997-06-03 1998-12-10 Innogenetics N.V. New medicaments based on polymers composed of methacrylamide-modified gelatin
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