JPH0698532B2 - ハンマードリル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、ハウジング内に回転可能に支承され、かつそ
の一端部に工具が接続可能であると共に他端部に案内部
材に支持された揺動衝撃体が接離可能な工具軸と、伝動
機構を介し前記工具軸を回転させる回転駆動軸と、前記
揺動衝撃体と駆動部材の間に架橋させた弾性部材と、前
記回転駆動軸の回転運動を前記駆動部材の揺動運動に変
換するための運動変換手段を備えているハンマードリル
に関する。

〔従来技術〕

上記のような装置は、ロートハンマ、衝撃ハンマ、或い
は、ハンマドリル等の名称で知られている種類の装置で
あるが、一般的に、円筒状案内部材内に配された衝撃体
を有している。

この衝撃体は、シリンダ中をピストンとして自在に往復
可能なもので、その駆動はシリンダの底部に配されモー
タにより揺動運動式に駆動される主ピストンにより行わ
れるようになっている。主ピストンの加圧力に差を与え
ると、工具軸に自由な衝撃効果を与えることが出来る一
方、他方では漸増又は累進的に作用する空気ばねと見做
すことの出来るエアクッションにより主ピストンと衝撃
体の間の衝撃接触を回避することも出来、このばね構成
により運動の方向の反転も得られるようになっている。

しかし、これらの装置は、構造が相当に複雑で、かつ、
衝撃体の運動が自由なものであるため、全ての回転数に
おいて所要衝撃頻度を得るということが不可能である。
更に、密封構成が必要なため、それに起因して摩擦によ
るエネルギ損失の他に、シリンダ内断熱圧縮のため動力
学的エネルギ損失が生じ、発熱及び疲労という形で現わ
れるという問題点もある。

〔発明の目的〕

本発明は、上記の如き、従来技術における問題点を解消
するためになされたものであり、その目的は、従来のハ
ンマードリルに比べてコンパクトな構造ながら強力な衝
撃力を有するハンマードリルを提供することにある。

〔発明の構成及び作用効果の概要〕

上記の目的を達成のため、本発明のハンマードリルは、
弾性部材を、支持部材と該支持部材に協同する板ばねに
より形成し、かつ、駆動部材から揺動衝撃体に接近する
にしたがって前記支持部材と前記板ばねが相互に離反す
るようにし、更に、支持部材が、板ばねのばね特性より
も腰の強いばね特性を有することを特徴とするものであ
る。

このような構成により、支持部材の揺動運動に際して支
持部材と板ばねの接触がより密なものとなる。その結
果、板ばねの弾性力が増大し、累進的なばね効果が得ら
れる。

〔実施例〕

以下、数例の実施例により本発明を更に詳細に説明す
る。

本発明の最初の実施例を示す第１図及び第２図におい
て、１は工具軸であり、この工具軸１には、公知の方法
により工具を取り付けるための工具ホルダ２が設けられ
ている。

工具軸１は、ハウジング６のハブ部５に軸受3,4を介し
て回転可能に、かつ、軸方向に所定距離だけ変位自在に
設けられている。この工具軸１の他端部、すなわち、工
具ホルダ２の取付け手段のある端部の反対側にある端部
には、歯車７が固定されており、この歯車７は中間軸９
のピニオン８とかみ合うようになっている。

中間軸９は、軸受10,11によりハウジング６内に支承さ
れていると共に、歯車12を備えている。歯車12は、モー
タ等（図示せず）により駆動される回転駆動軸14のピニ
オン13とかみ合っている。

また、中間軸９は、その歯車12に近い部分に偏心スリー
ブ15を有しており、このスリーブ15の周囲には、軸受16
を介してリング17が設けられている。このリング17は、
自在軸受19を有する別のリング18と連結されている。自
在軸受19には揺動ピン20が接続されている。このピン20
は、自在軸受19から離れた方の端部において、中間軸９
を横断する方向に伸び、そして、両端部の短軸22がハウ
ジング６に回転可能に支承された駆動部材21に固定され
ている。

駆動部材21は、実質的にＵ字形の板ばね23を２つ備えて
いる。各板ばね23の両肢部は、曲げ形成された端部24に
まで伸び、そして、この端部24により揺動衝撃体26の端
部にある突出部25をとり囲むようになっている。

衝撃体26は、駆動装置の種類により異なる所定の質量を
有する。また、工具軸１と整合した揺動案内部材27を通
す中央孔を有している。

上記駆動部材21は、この駆動部材21に固定され、更に、
板ばね23の肢部に沿って上方にのびる支持腕28も有して
いる。

次に、上記駆動装置の作動について説明する。

ハウジング６の内方に突出するハブ部５には、衝撃体26
に面する側の端部に緩衝部材29が備わっており、この緩
衝部材29が工具軸１の左方への自由な変位を制限すると
共に、無負荷状態時の衝撃エネルギを減衰させる。

回転駆動軸14を回転させると、中間軸９及び工具軸１が
歯車7,8及び12,13により形成される伝動機構を介して回
転に付される。

中間軸９の回転によりリング17及び18が、偏心スリーブ
15のために、上下に運動する。リング18の上下動は、短
軸22を中心とする駆動部材21の揺動運動に変換される。
この揺動運動が板ばね23及び支持腕28に伝動される。そ
して、支持腕28の前傾運動に際しては、支持腕28と板ば
ね23の接触が密なものとなり、板ばね23の弾性力が増大
する。その結果、板ばね23の弾性力が増大し、累進的な
ばね効果が得られる。

第３図及び第４図は、本発明の他の実施例を示すが、こ
の実施例における伝動機構の各部材及び軸群の設置具合
の全てが第１図及び第２図の実施例におけるそれらに対
応する。従って、同一部材には同一の参照符号が使用さ
れている。

第３図及び第４図の実施例における相違点は、揺動案内
部材27を欠いており、その代わりにハウジング６内の下
方に配された枢軸51を中心として枢動可能に軸支された
枢動腕50が設けられていることにある。

枢軸51は、ハウジング６に固定された支持部材52に軸支
されている。各枢動腕50の自由端部は、止めねじ53によ
り衝撃体26に固定される。この実施例も枢軸51を中心と
して揺動可能に、板ばね23より成る弾性部材が設けられ
ているが、曲げ形成されたその上端部は、前述したとこ
ろと同様に衝撃体26の両端の突出部25を巻き込むように
して係止されている。板ばね23が傾動すると、第１図及
び第２図を参照しつつ前述したところと同様に、駆動軸
14からの伝動が行われる。

板ばね23は、中立位置においてはわん曲形状をしておら
ず、また、その両側に上方に拡開する形状の支持腕28,2
8を備えていることが注目されよう。

また、これらの支持腕28,28は、所定のわん曲形状を有
することにより支持腕28,28の前後傾動運動に際して、
支持腕28,28と板ばね23の接触が密なものとなり、板ば
ね23の弾性力が増大し、累進的なばね効果を得ることが
できる。また、衝撃体26は、枢軸51を中心にして円弧運
動するようになっている。

工具軸１には、歯車７が固定して取付けている。また、
この軸１の軸方向の自由な運動は最外方の軸受３と歯車
７の間に設けられたスリーブ54により制限されるように
なっている。

工具軸１の遊び状態時における衝撃エネルギを吸収する
ための緩衝部材29は、この実施例の場合ハウジング６の
中間壁55に固定してある。

第５図は、本発明の更に他の実施例を示すが、この実施
例において衝撃機構の構成部材は第３図の実施例におけ
るそれらと対応するが、相違点として前記揺動ピン20が
リング17,18から離れる方向に、後方にのびている。

この実施例において、工具軸１には、今度は、回転駆動
軸14により直接的に駆動される歯車７の側にピニオン60
が設けられており、このピニオン60がハウジング６に軸
受支承された中間軸62に固定された歯車61とかみ合うよ
うになっている。中間軸62には、軸方向にのびる偏心ピ
ン63が設けられていて、この偏心ピン63は、揺動ピン20
を枢軸51を中心として傾動運動させる伝動機構の軸受16
内に及んでいる。この実施例において、板ばね23は、枢
動腕50の工具側に配されているが、作動の態様は第３図
の実施例の場合と同様である。

第６図は、本発明の更に他の実施例を示している。

第６図に示される実施例は、実質的に第３図に示される
それに類似しており、同一部材は同一符号により示され
ている。

この実施例においては、リング17に、枢動部材50′に固
定された枢軸ピン91に係合する軸受ハブ90が設けられて
いる。枢動部材50′は、第３図における枢動腕50に比較
し得るものであり、ハウジング６内の下方部分に、枢軸
51周囲に回動可能に軸受支承されている。枢軸51は、ハ
ウジング６に固定された支持部材52に軸支されている。

更に、偏心スリーブ15は、その１側面にかみ合い継手部
92を備えており、それが、前後に滑動可能な他方のかみ
合い継手部93と係合するようになっている。

運動可能なかみ合い継手部93には、スリーブ状の延長部
94が設けられているが、この延長部94は、中間軸９のピ
ニオン８にはめ合い係合している。また、延長部94の端
面は、工具軸１の歯車７の側面に当接するようになって
いる。

第６図の実施例における作動態様は、以下の通りであ
る。

工具を工作物に圧縮させると、工具軸１がハウジング６
の内方に押動され、それにより歯車７を第６図におてい
右方に移動させる。歯車７が、そのように移動する時、
延長部94も図の右方に動かされ、そこで継手部93が継手
部92に結合する。その結果、ピニオン８及び延長部94を
介して中間軸９と偏心スリーブ15の間に接続関係が樹立
される。

そこで、中間軸９を回転させると、偏心スリーブ15がハ
ブ90及び枢軸ピン91を上下に運動させる。すると、枢動
部材50′が枢軸51を中心として揺動する。板ばね23が枢
動部材50′に固定されており、また、衝撃体26も板ばね
23に固定されているため、枢動部材50′の揺動運動は、
衝撃体26を揺動させることになる。そして、この衝撃体
26がハウジング６の緩衝部材29を超えて後方に突出して
いる工具軸１の端面を打つことになる。

工作物が離脱すると、継手部92及び93の間に配されたう
ず巻きばねが延長部94を第６図において左方に押動し、
偏心スリーブ15と中間軸９の間の接続関係が解かれる。
従って、衝撃体26の工具軸１の端面への衝撃作用は、停
止される。

〔発明の効果〕

上記のように、本発明は、弾性部材を、支持部材と該支
持部材に協同する板ばねにより形成し、かつ、駆動部材
から揺動衝撃体に接近するにしたがって前記支持部材と
前記板ばねが相互に離反するようにし、更に、支持部材
が、板ばねのばね特性よりも腰の強いばね特性を有する
ようにしたので、支持部材の揺動運動により支持部材と
板ばねとの接触がより密なものとなる。

その結果、板ばねの弾性力が増大して累進的なばね効果
が得られるから、従来のハンマードリルに比べてに比し
てコンパクトな構造ながら強力な衝撃力を得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係るハンマードリルの断面図であ
る。 第２図は、その要部を示す斜視図である。 第３図は、本発明に係るハンマードリルの他の実施例を
示す断面図である。 第４図は、その要部を示す斜視図である。 第５図は、本発明に係るハンマードリルの更に他の実施
例を示す断面図である。 第６図は、本発明に係るハンマードリルの更に他の実施
例を示す断面図である。 １……工具軸、２……工具、６……ハウジング、14……
回転駆動軸、21,51……駆動部材、23……板ばね、26…
…揺動衝撃体、27,50……案内部材、28……支持部材。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジヤン・ペーター・ホウベン オランダ王国、4834 エルフエイ・ブレ ダ、レヒテレーンストラアアト、56 (56)参考文献 特公 昭46−25482（ＪＰ，Ｂ１)

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ハウジング(6)内に回転可能に支承され、
   かつ、その一端部に工具(2)が接続可能であると共に他
   端部に案内部材(27,50)に支持された揺動衝撃体(26)が
   接離可能な工具軸(1)と、伝動機構を介し前記工具軸(1)
   を回転させる回転駆動軸(14)と、前記揺動衝撃体(26)と
   駆動部材(21,51)の間に架橋させた弾性部材と、前記回
   転駆動軸(14)の回転運動を前記駆動部材(21,51)の揺動
   運動に変換するための運動変換手段を備えたハンマード
   リルにおいて、前記弾性部材を、支持部材(28)と該支持
   部材(28)に協同する板ばね(23)により形成し、かつ、前
   記駆動部材(21,51)から前記揺動衝撃体(26)に接近する
   にしたがって前記支持部材(28)と前記板ばね(23)が相互
   に離反するようにし、更に、支持部材(28)が、板ばね(2
   3)のばね特性よりも腰の強いばね特性を有することを特
   徴とするハンマードリル。
2. 【請求項２】前記板ばね(23)の少なくも１側面側に前記
   支持部材(28)を配設することを特徴とする特許請求の範
   囲第１項に記載のハンマードリル。
3. 【請求項３】工具軸(1)が、工具装着側の反対側にある
   端部に、この端部から離れる方向に及ぶ前記揺動衝撃体
   (26)の案内部材としての滑動案内部材(27)を備えている
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項に記
   載のハンマードリル。
4. 【請求項４】前記揺動衝撃体(26)を案内する前記案内部
   材が、ハウジング(6)に枢支されている枢動腕(50)によ
   り形成されていることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項又は第２項に記載のハンマードリル。
5. 【請求項５】前記伝動機構が、前記回転駆動軸(14)の回
   転を前記運動変換手段(15)に継続させるクラッチ機構(9
   2,93)を備えていることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項、第２項、第３項又は第４項のいずれか１項に記載
   のハンマードリル。
6. 【請求項６】前記クラッチ機構(92,93)のうち、１方の
   クラッチ(93)が前記伝動機構の中間軸(9)上をその軸方
   向に運動するように構成することを特徴とする特許請求
   の範囲第５項に記載のハンマードリル。