JP2655313B2 - ハンマードリル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】 本発明は、ハウジングに回転可能
に支承され、かつ、その一端部に工具を接続可能な工具
軸と、前記ハウジングに揺動自在に設けられ、その上端
部に固定した揺動衝撃体が前記工具軸の他端部に接離可
能な枢動腕と、伝動機構を介し前記工具軸を回転させる
駆動軸とを備え、更に、前記伝動機構が、前記駆動軸の
回転を往復直線運動に変換する運動変換手段を備えてい
るハンルードリルに関する。

【０００２】

【従来技術】上記のような装置は、ロートハンマ、衝撃
ハンマ、或いは、ハンマードリル等の名称で知られてい
る種類の装置であるが、一般的に、円筒状案内部材内に
配された衝撃体を有している。この衝撃体は、シリンダ
中をピストンとして自在に往復可能なもので、その駆動
は、シリンダの底部に配されモータにより揺動運動式に
駆動される主ピストンにより行われるようになってい
る。

【０００３】主ピストンの加圧力に差を与えると、工具
軸に自由な衝撃効果を与えることが出来る一方、他方で
は漸増又は累進的に作用する空気ばねと見做すことの出
来るエアクッションにより主ピストンと衝撃体の間の衝
撃接触を回避することも出来、このばね構成により運動
の方向の反転も得られるようになっている。しかし、こ
れらの装置は、構造が相当に複雑で、かつ、衝撃体の運
動が自由なものであるため、全ての回転数において所要
衝撃頻度を得るということが不可能である。更に、密封
構成が必要なため、それに起因して摩擦によるエネルギ
損失の他に、シリンダ内断熱圧縮のため動力学的エネル
ギ損失が生じ、発熱及び疲労という形で現われるという
問題点もある。

【０００４】 係る問題点を解消すべく、本発明者ら
は、図７に示すように、枢動腕５０の自由端に固定した
衝撃体２６によってハウジング６に回転自在に支承した
工具軸６に打撃を加えるようにしたハンマードリルを提
案した。しかしながら、このハンマードリルは、図８に
示すように、衝撃体２６の左右両側に、それぞれ、板ば
ね２３と支持部材２８′とから構成された弾性部材を備
えている。また、各弾性部材は、板ばね２３を、湾曲さ
せた大小二つの支持部材２８′，２８′の基部で挟持す
る一方、板ばね２３の上端部をＪ字形に湾曲させて衝撃
体２６の左右両側に設けられている軸２５に係合させて
いるので、製作や組み付けが面倒であった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、コン
パクトな構造で、かつ、強力な衝撃力を有するハンマー
ドリルでありながら、更に、構造を簡略化し、部品点数
の減少や種々の部材を配するに必要な総スペースの縮小
を計り得るハンマードリルを提供することにある。

【０００６】

【発明を解決するための手段】 上記の課題を解決する
ため、本発明のハンマードリルは、ハウジングに回転可
能に支承され、且つ、その一端部に工具を接続可能な工
具軸と、前記ハウジングに揺動自在に設けられ、その上
端部に固定した揺動衝撃体が前記工具軸の他端部に接離
可能な枢動腕と、伝動機構を介し前記工具軸を回転させ
る駆動軸とを備え、更に、前記伝動機構が、前記駆動軸
の回転を往復直線運動に変換する運動変換手段を備えて
いるハンルードリルにおいて、前記枢動腕と前記運動変
換手段に係合する往復直線運動部材との間に、条片状の
支持部材と該支持部材に協同する板ばねとから成る一組
の弾性部材を架設させ、かつ、前記板ぼねを、前記往復
直線運動部材から前記枢動腕に接近するにしたがって前
記支持部材から離反するように湾曲させたことを特徴と
するものである。

【０００７】

【作用】 このような構成にすることにより、板ばねと
支持部材とから構成されている弾性部材の個数を半減さ
せることができると共に、弾性部材の製作や枢動腕への
組み付けも容易になる。また、運動変換手段に係合する
往復直線運動部材の往復直線運動の伴って支持部材と板
ばねとの接触がより密なものとなる。その結果、板ばね
の反発力が増大し、累進的なばね効果が得られ、揺動衝
撃体による強力な衝撃力が得られるようになる。

【０００８】

【実施例】以下、数例の実施例により本発明を更に詳細
に説明する。図１、図２及び図３において、２６は衝撃
体であり、この衝撃体２６は、枢動腕５０に固定されて
いる。枢動腕５０は、ハウジング内の下方位置に枢軸５
１を中心として揺動可能に軸支されている。また、枢軸
５１はハウジングの支持部材５２に支持されている。

【０００９】 この部分の構造は、本発明の親出願（特
開昭６０−１４１４８２号公報（特願昭５９−２４７０
４４号））に係るハンマードリル（図７及び図８参照）
と同構造である。図７及び図８のハンマードリルは、衝
撃体２６が枢動腕５０に固定されていると共に、枢動腕
５０がハウジング６内の下方位置にあって枢軸５１を中
心として揺動可能に軸支されている。また、枢軸５１は
ハウジング６の支持部材５２に支持されている。

【００１０】このハウジング６に、工具軸１が軸受３，
４を介して回転自在に、かつ、軸方向に所定距離だけ変
位自在に設けられている。工具軸１の後端部には、歯車
７が固定されており、この歯車７は、中間軸９のピニオ
ン８とかみ合うようになっている。中間軸９は、軸受に
よりハウジング６内に支承されていると共に、歯車１２
を備えている。歯車１２は、図示しないモーター等によ
り駆動される回転駆動軸１４のピニオン１３とかみ合っ
ている。

【００１１】本発明では、前記中間軸９がリング１７を
支承する偏心スリーブ１５を備えている。このリング１
７には、その下側にＵ字形のブラケット１００が設けら
れている。このブラケット１００には、上下２段に配さ
れた突出短軸１０１, １０２が設けられている。なお、
これらの突出短軸１０１及び１０２の間には一定の間隔
がおかれている。

【００１２】弾性部材は、一対の板ばね２３′から形成
されている。これらの板ばね２３′は、枢軸５１と平行
になるように２つの突出短軸１０１，１０２間に挿入さ
れ、且つまた、各枢動腕５０に形成された孔１０３に及
んでいる。板ばね２３′, ２３′の間には、条片状支持
体２８′が配されている。この構成によれば、弾性部材
の個数が１つで足りることになる。

【００１３】 これらの板ばね２３′，２３′は、それ
らの中立位置又は姿勢において、突出短軸１０１，１０
２の部位で条片状支持体２８′に接触するが、両外方端
部は、上方及び下方にわん曲形成されている。そして、
これらの外方端部は、孔１０３の縁部に接触している。
図１乃至図３に示される実施例において、その作動は、
以下のように行なわれる。

【００１４】 中空軸９を回転させると、偏心スリーブ
１５がリング１７を上下動させ、それにつれてブラケッ
ト１００及び突出短軸１０１，１０２も上下動する。こ
のため、板ばね２３′及び条片状支持体２８′が上下に
運動し、この運動により枢軸５１を中心にして枢動腕５
０及び衝撃体２６の揺動が起こる。そして、ブラケット
１００の上昇運動に際し、上側の板ばね２３′と条片状
支持体２８′との接触がより密なものとなり、下降運動
に際しては、下側の板ばね２３′と条片状支持体２８′
との接触がより密なものとなる。このようにして、板ば
ね２３′，２３′の弾性力が増大し、累進的なばね効果
を得ることができる。

【００１５】衝撃体２６の衝撃作用は、板ばね２３′と
枢軸５１の間の距離を変えることにより、最も好ましい
ものとすることが出来る。すなわち、枢動腕５０に関し
枢軸５１を変位させるため、板ばね２３′及び条片状支
持体２８′の組合わせ部材を、幾分、枢軸５１方向に移
動可能とするよう孔１０３を大型化するため特別の構成
を計ることが可能である。このような構成例は、図示を
省くが当業者には明らかなはずである。

【００１６】図１乃至図３に示す伝動機構に、クラッチ
機構を備え得ることは明らかである。さて、図４、図５
及び図６を参照すると、そこに示された本発明の更に他
の実施例における伝動機構にも、前述したものと同様な
板ばね２３″とそれらの中間に配される条片状支持体２
８″の組合わせ部材が採用されていることが明らかであ
ろう。

【００１７】図４乃至図６の図面においても前述と同様
な部材には同様な参照番号が付されている。しかし、こ
の実施例においては、板ばね２３″と条片状支持体２
８″との組合わせ部材は、中間軸９に平行、即ち、図１
に示された組合わせ部材とは直交する方向に設けられて
いる。この構成によれば、種々の部材を配するために必
要な総スペースを縮小させることが出来るという効果が
ある。

【００１８】すなわち、板ばね２３″及び条片状支持体
２８″の組合わせ部材は、ハウジング６の支持部材１１
０に固定されている。中間軸９周囲のリング１７は、ブ
ラケット１１１を有しており、このブラケット１１１に
は、貫通孔１１２が形成されている (図６参照) 。板ば
ね２３″及び条片状支持体２８″の組合わせ部材は、貫
通孔１１２及び枢動腕５０の孔１１３を貫通して設けら
れている。孔１１３は、板ばね２３″及び条片状支持体
２８″の外方のわん曲端部を収め得る大きさを有してい
る。

【００１９】この実施例における伝動作用は、図１乃至
図３の実施例におけるそれと同様なものである。即ち、
中間軸９の回転により、ブラケット１１１及び板ばね２
３″の中間部位の上下運動が起るものである。板ばね２
３″の端部が上下に運動させられると、これにより枢動
部材５０の枢軸５１を中心とする揺動運動が生じ、従っ
て、衝撃体２６の揺動運動が起るのである。この伝動機
構には、クラッチ機構が用いられている。

【００２０】このクラッチ機構は、かみ合い継手部９
２，９３から構成されており、一方のかみ合い継手部９
２は、偏心スリーブ１５の端面に設けられており、それ
が、前後に滑動可能な他方の継手部９３と係合するよう
になっている。この滑動可能なかみ合い継手部９３に
は、工具軸１の歯車７の側面が当接するフランジ（無符
号）がある。

【００２１】

【発明の効果】 上記のように、本発明は、ハウジング
に回転可能に支承され、且つ、その一端部に工具を接続
可能な工具軸と、前記ハウジングに揺動自在に設けら
れ、その上端部に固定した揺動衝撃体が前記工具軸の他
端部に接離可能な枢動腕と、伝動機構を介し前記工具軸
を回転させる駆動軸とを備え、更に、前記伝動機構が、
前記駆動軸の回転を往復直線運動に変換する運動変換手
段を備えているハンルードリルにおいて、前記枢動腕と
前記運動変換手段に係合する往復直線運動部材との間
に、条片状の支持部材と該支持部材に協同する板ばねと
から成る一組の弾性部材を架設させ、かつ、前記板ばね
を、前記往復直線運動部材から前記枢動腕に接近するに
したがって前記支持部材から離反するように湾曲させた
ので、板ぼねと支持部材とから構成されている弾性部材
の個数を半減させることができるようになった。また、
弾性部材の製作や枢動腕への組み付けも容易に行えるよ
うになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかるハンマードリルの要部を示す斜
視図である。

【図２】同要部の正面図である。

【図３】同要部の側面図である。

【図４】本発明にかかるハンマードリルの要部の他の実
施例を示す斜視図である。

【図５】図４のＶ−Ｖ断面図である。

【図６】図５のＶＩ−ＶＩ断面図である。

【図７】 従来のハンマードリルの縦断面図である。

【図８】 従来のハンマードリルの要部斜視図である。

【符号の説明】

１ 工具軸 ６ ハウジング ７，８，１２，１３ 伝動機構 １４ 駆動軸 １５ 運動変換手段 ２３′，２３″
板ばね ２６ 揺動衝撃体、 ２８′，２８″
支持部材 ５０ 枢動腕 １００，１１１
ブラケット。

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジング（６）に回転可能に支承さ
   れ、且つ、その一端部に工具を接続可能な工具軸（１）
   と、前記ハウジング（６）に揺動自在に設けられ、その
   上端部に固定した揺動衝撃体（２６）が前記工具軸の他
   端部に接離可能な枢動腕（５０）と、伝動機構（７，
   ８，１２，１３）を介し前記工具軸（１）を回転させる
   駆動軸（１４）とを備え、更に、前記伝動機構（７，
   ８，１２，１３）が、前記駆動軸（１４）の回転を往復
   直線運動に変換する運動変換手段（１５）を備えている
   ハンルードリルにおいて、前記枢動腕（５０）と前記運
   動変換手段（１５）に係合する往復直線運動部材（１０
   ０；１１１）との間に、条片状の支持部材（２８′；２
   ８″）と該支持部材に協同する板ばね（２３′；２
   ３″）とから成る一組の弾性部材を架設させ、かつ、前
   記板ばね（２３′；２３″）を、前記往復直線運動部材
   （１００：１１１）から前記枢動腕（５０）に接近する
   にしたがって前記支持部材（２８′；２８″）から離反
   するように湾曲させたことを特徴とするハンマードリ
   ル。
2. 【請求項２】 前記支持部材(28 ′,28 ″) の両側に前
   記板ばね(23 ′,23″) を配することを特徴とする特許
   請求の範囲第１項に記載のハンマードリル。
3. 【請求項３】 前記支持部材(28 ′,28 ″) が板ばね(2
   3 ′,23 ″) のそれとは異なるばね特性を有する弾性部
   材からなることを特徴とする特許請求の範囲第１項又は
   第２項に記載のハンマードリル。
4. 【請求項４】 前記伝動機構(7,8,12,13) が前記運動変
   換手段(15)を前記駆動軸(14)に接続させるクラッチ機構
   (92,93) を備えていることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項に記載のハンマードリル。
5. 【請求項５】 前記クラッチ機構(92,93) の１方のクラ
   ッチ(93)が、前記伝動機構の中間軸(9) 上をその軸方向
   に摺動するようになしたことを特徴とする特許請求の範
   囲第４項に記載のハンマードリル。