JPH0697637A - プリント配線板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】部品取付穴の周域に形成した半田付けランドに
対し、部品実装前の半田ディップ工程で部品取付穴に過
剰なな半田が付着するのを巧みに回避できるようにした
プリント配線板を提供する。 【構成】絶縁基板１に導体パターン２を設け、かつ絶縁
基板に穿孔した部品取付穴３を取り囲んで導体パターン
の一部に半田付けランド４を形成したプリント配線板に
対し、半田付けランドの周上一部に少なくとも内周端が
部品取付穴の周縁に接するようにソルダレジスト６を塗
布してランド欠如部７を設け、半田ディップ工程で部品
取付穴が半田で埋まったり、半田が穴の中に迫り出すの
を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、混成集積回路を対象と
したプリント配線板、特に部品取付穴の周域を取り囲ん
で導体パターンの一部に形成した半田付けランドの構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、プリント配線板は絶縁基
板の上に回路設計に基づく導体パターン（銅箔）を形成
したものであり、特にピン挿入実装の電子部品を搭載す
る箇所には絶縁基板に部品取付穴を穿孔するとともに、
該部品取付穴を取り囲んで導体パターンの一部に半田付
けランドが形成されている。

【０００３】図７はかかるプリント配線板を示すもので
あり、図において、１は絶縁基板、２は銅箔で作られた
導体パターン、３は部品取付穴、４は部品取付穴３の周
域に形成した半田付けランド、５はリード付き電子部品
であり、通常は電子部品５のリード５ａを前記の部品取
付穴３に挿入した上で、ディップソルダリング法，フロ
ーソルダリング法などによりリード５ａと半田付けラン
ド３との間を半田付け接合するようにしている。

【０００４】ところで、プリント配線板に実装する電子
部品の中には、スチロールコンデンサなどのように高温
に耐えられないもの、あるいはコネクタ，スイッチなど
のように接点構造を持つ部品などのように半田ディップ
工程には適さない電子部品があり、これらの部品に対し
ては部品実装工程の前段に設けた半田ディップ工程でプ
リント配線板の半田付けランドに予備半田を形成してお
き、後段の実装工程で部品のリードをプリント配線板の
部品取付穴に投入して半田鏝などを用いて半田付けする
ような方法が採られている。

【０００５】一方、前記の半田ディップ工程では、図８
で示すように半田付けランド４の面域を除いて絶縁基板
１および導体パターン２の上にソルダレジストを塗布し
て必要箇所以外に半田が付着するのを防止するようにし
ている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記のよう
に電子部品の実装工程前に、図８に示した状態で半田デ
ィップ法によりプリント配線板の半田付けランドに予備
半田を被着形成すると、部品取付穴３の穴径が小さいも
のでは部品取付穴３に半田が埋まってしまったり、部品
取付穴の中心に向けて周縁から半田が迫り出し、このた
めに後段の実装工程で電子部品のリードを部品取付穴に
挿入できなくなるといった事態が生じることがある。

【０００７】このために、従来では半田吸い取り工程を
特別に設け、部品取付穴を塞いでいる余分な半田を吸い
取るか、あるいは、半田ディップ工程の前段でプリント
配線板の部品取付穴をテーピングによりマスクして穴の
内部に半田が付着しないようにし、半田ディップ工程を
経た後にテープを剥がすなどの方法で対処しているが、
これらの方法では組立工程，作業工数が増して製品がコ
スト高となる。

【０００８】本発明は上記の点にかんがみなされたもの
であり、その目的は、半田付けランドに対し、半田ディ
ップ工程で部品取付穴に不要な半田が付着して塞がれる
のを巧みに回避できるようにしたプリント配線板を提供
することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のプリント配線板においては、半田付けラン
ドの周上一部に少なくとも内周端が部品取付穴の周縁に
接するランド欠如部を設けるものとする。ここで、前記
のランド欠如部の形成手段として次記の実施態様があ
る。

【００１０】（１）半田付けランドの周上一部にソルダ
レジストを塗布してランド欠如部を形成する。 （２）半田付けランドの周上一部で導体パターンをカッ
トしてランド欠如部を形成する。 （３）絶縁基板, および半田付けランドに対し、部品取
付穴の周縁一部に切込み溝を設けてランド欠如部を形成
する。

【００１１】一方、前記手段により形成したランド欠如
部の寸法については、実験結果を基に、部品取付穴の穴
径に対するランド欠如部の幅寸法比率を５〜３０％の範
囲に定めるのがよい。

【００１２】

【作用】上記の構成によれば、部品取付穴の周縁を取り
囲む半田付けランドの周上一部に導体が露呈しないラン
ド欠如部が形成されている。したがって、半田ディップ
工程でプリント配線板を半田バス内に浸漬して半田ディ
ップした際に、半田付けランドの面上に付着した溶融半
田は表面張力によりランド欠如部で断ち切られ、半田が
部品取付穴を埋めて凝固したり、部品取付穴の周縁から
穴内に迫り出して凝固したりするような欠陥が生じなく
なる。

【００１３】ここで、ランド欠如部の幅寸法（部品取付
穴の周縁に沿った幅寸法）の比率を部品取付穴の穴径に
対して５〜３０％の範囲に定めることにより、部品取付
穴への半田埋まりを確実に回避できることは勿論のこ
と、後工程で電子部品を実装する際には部品リードと半
田付けランドとの間で適正な半田フィレットが形成でき
ることが実験結果から確認されている。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。なお、各実施例の図中で図８に対応する同一部材
には同じ符号が付してある。 実施例１：図１は本発明の請求項２に対応する実施例を
示すものであり、絶縁基板１に穿孔した部品取付穴３を
取り囲んで導体パターン（銅箔）２に形成した半田付け
ランド４に対し、符号７で表すランド欠如部としてラン
ド４の周上一部を横切ってランド面覆うようにソルダレ
ジスト６が塗布されている。なお、ソルダレジストの印
刷用マスクに対してあらかじめ前記のランド欠如部７に
対応する箇所を透明にしておけば、ソルダレジストの印
刷工程でこの部分にもソルダレジストが同時にパターン
印刷されることになる。

【００１５】実施例２：図２は実施例１の応用実施例を
示すものである。すなわち、実施例１ではランド欠如部
７として、ソルダレジストが半田付けランド４の全幅を
横切るようにランド幅一杯に亙って形成されているが、
この実施例においては、ランド欠如部７の一端が部品取
付穴３の周縁と接するようにランド幅の内周側部分にの
み形成されている。

【００１６】実施例３：図３は本発明の請求項３に対応
する実施例を示すものである。この実施例においては、
半田付けランド４に対し、その周上一部（部品取付穴３
を挟んで並ぶ左右二箇所）で銅箔をカットして形成した
ランド欠如部７が設けてある。このランド欠如部７は、
パターン用アートワーク，あるいはエッチングなどによ
り絶縁基板上で導体パターンをパターンニングする際
に、半田付けランド４に対して選択的に部分カットする
ことで同時に形成される。

【００１７】実施例４：図４は前記実施例３の応用実施
例を示すものであり、銅箔をカットして形成したランド
欠如部７が半田付けランド４の周上一箇所で、かつ部品
取付穴３の周縁に接してランド幅の内周側部分にのみ形
成されている。 実施例５：図５は本発明の請求項４に対応する実施例を
示すものである。すなわち、この実施例においては、半
田付けランド４の周上一部に形成したランド欠如部７
が、部品取付穴３の周縁より絶縁基板１，半田付けラン
ド４へ局部的に切り込んだ切込み溝として形成されてい
る。なお、ランド欠如部７の切込み溝は、プリント配線
板に部品取付穴３を穿孔するパンチング工程で、部品取
付穴３を穴あけ加工する際に同時に加工される。

【００１８】次に、半田付けランド４の周上一部に形成
したランド欠如部７に関して、適正寸法の数値的な限定
条件について述べる。すなわち、部品取付穴３の穴径，
および該穴の周縁に沿ったランド欠如部７の幅寸法（こ
の寸法幅をｄで表す）を様々に変えて半田ディップ，お
よび電子部品のリード半田付けを行った実験結果から、
部品取付穴３の穴径φに対するランド欠如部の幅寸法比
率α（α＝ｄ／φ）を図６における最大値曲線Ａと最小
値曲線Ｂとの間に斜線を付して表した範囲に管理するの
がよいことが判明した。なお、この実験では、電子部品
のリードと部品取付穴との間のクリアランスを0.２と
し、部品取付穴３の穴径φを0.５〜2.５に選んで行っ
た。

【００１９】すなわち、本実験によれば、電子部品を実
装する前の半田ディップ工程でプリント配線板の半田付
けランドに予備半田を形成する場合に、部品取付穴の穴
径φが0.５であれば、ランド欠如部の幅寸法比率αを２
０％以上とすることで部品取付穴への半田埋まり，穴へ
の半田迫り出しが良好に回避でき、また穴径φが2.５の
場合には幅寸法比率αを５％以上に選ぶことで同様な結
果の得られることが認められた。また、このことから部
品取付穴の穴径が大きい程、ランド欠如部の幅寸法比率
αが小さくてよいことが確認できた。

【００２０】次に、半田ディップ工程を経たプリント配
線板に対し、電子部品のリードを部品取付穴に挿入して
半田鏝で半田付けを行い、その際の半田フィレットの形
成状態を観察してランド欠如部の幅寸法比率αの適正範
囲を調べた。この実験によれば、部品取付穴の穴径φが
0.５ではαを３０％以下に選ぶことで適正な半田フィレ
ットが形成され、また、穴径φが2.５である場合にはα
を２５％以下に選ぶことで良好な結果の得られることが
確認できた。

【００２１】この実験結果から判るように、部品取付穴
の穴径によってランド欠如部の適正な寸法が異なるの
で、部品取付穴の穴径とこれに対する電子部品リードと
の間のクリアランスが事前に判っている場合には、ラン
ド欠如部の幅寸法比率αを図６に斜線で表した範囲に選
んで管理することにより、適正な状態で半田付けランド
への予備半田の形成，および後工程での電子部品のピン
挿入実装が支障なく行える。

【００２２】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、従
来方式のようにプリント配線板の半田ディップ工程で余
剰半田の吸い取り，あるいは事前に部品取付穴をテーピ
ングしておくなどの煩雑な組立工程を設けることなし
に、半田付けランドに対する半田ディップ工程の際に部
品取付穴への半田詰まり，半田迫り出しなどの欠陥発生
を確実に回避し、その後の部品実装工程で電子部品のピ
ン挿入実装を支障なく行うことができるなど、混成集積
回路の組立工程の合理化に大きく貢献できる。

【００２３】しかも、半田付けランドに形成するランド
欠如部に対しては特別な工程を必要とせず、プリント配
線板を製作する通常のプロセス工程で、ソルダレジスト
の印刷，導体パターンのパターンニング，部品取付穴の
穴あけ加工の際に同じ工程で同時に形成することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１に対応するプリント配線板の
半田付けランド部の構成を表す図であり、（ａ）は平面
図、（ｂ）は断面図

【図２】本発明の実施例２に対応するプリント配線板の
半田付けランド部の構成を表す平面図

【図３】本発明の実施例３に対応するプリント配線板の
半田付けランド部の構成を表す図であり、（ａ）は平面
図、（ｂ）は断面図

【図４】本発明の実施例４に対応するプリント配線板の
半田付けランド部の構成を表す平面図

【図５】本発明の実施例５に対応するプリント配線板の
半田付けランド部の構成を表す図であり、（ａ）は平面
図、（ｂ）は断面図

【図６】実験結果に基づく部品取付穴の穴径とランド欠
如部の適正な幅寸法比率との関係を表す図

【図７】本発明の実施対象となるプリント配線板の外観
図

【図８】従来におけるプリント配線板の半田付けランド
部の構成図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は断面図

【符号の説明】

１ 絶縁基板 ２ 導体パターン ３ 部品取付穴 ４ 半田付けランド ５ 電子部品 ６ ソルダレジスト ７ ランド欠如部

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁基板上に導体パターンを形成し、かつ
   絶縁基板に穿孔した部品取付穴を取り囲んで導体パター
   ンの一部に半田付けランドを形成したプリント配線板に
   おいて、半田付けランドの周上一部に少なくとも内周端
   が部品取付穴の周縁に接するランド欠如部を設けたこと
   を特徴とするプリント配線板。
2. 【請求項２】請求項１記載のプリント配線板において、
   半田付けランドの周上一部にソルダレジストを塗布して
   ランド欠如部を形成したことを特徴とするプリント配線
   板。
3. 【請求項３】請求項１記載のプリント配線板において、
   半田付けランドの周上一部で導体パターンをカットして
   ランド欠如部を形成したことを特徴とするプリント配線
   板。
4. 【請求項４】請求項１記載のプリント配線板において、
   絶縁基板, および半田付けランドに対し、部品取付穴の
   周縁一部に切込み溝を設けてランド欠如部を形成したこ
   とを特徴とするプリント配線板。
5. 【請求項５】請求項１記載のプリント配線板において、
   部品取付穴の穴径に対するランド欠如部の幅寸法比率を
   ５〜３０％の範囲に定めたことを特徴とするプリント配
   線板。