JPH0696995B2 - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

車両用駆動力制御装置

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JPH0696995B2
JPH0696995B2 JP15738986A JP15738986A JPH0696995B2 JP H0696995 B2 JPH0696995 B2 JP H0696995B2 JP 15738986 A JP15738986 A JP 15738986A JP 15738986 A JP15738986 A JP 15738986A JP H0696995 B2 JPH0696995 B2 JP H0696995B2
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slip ratio
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、アクセル操作子と機械的に非連結とされたス
ロットル弁がアクセル操作子の操作に応じて開閉制御さ
れる車両用駆動力制御装置に関する。
(従来の技術) 従来の車両用駆動力制御装置としては、例えば、特開昭
60-43133号公報に記載されている装置が知られている。
この従来装置は、アクセルペダル位置に応じて、エンジ
ンへの燃料供給量を変化させてエンジン出力を制御する
自動車のエンジン出力制御装置において、駆動輪回転数
検出手段、非駆動輪回転数検出手段、両検出手段出力か
らタイヤ−路面間の滑り率を演算する演算手段、演算さ
れた滑り率と設定滑り率を比較する比較手段、演算され
た滑り率が大きい時に前記アクセルペダル位置に基づい
た制御出力に優先して強制的にエンジンへの燃料供給を
減少させる信号を出力する滑り率制御手段を備えたこと
を特徴とするものであった。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、このような従来の車両用駆動力制御装置
にあっては、設定スリップ率を越えた時にはエンジンへ
の燃料供給を減少させてスリップを回避し、スリップを
回避した後は、そのままスリップ回避前の燃料供給状態
に復帰させる制御を行なうものであったため、スリップ
を回避した後に同様なスリップが再度生じてしまうとい
う問題点があった。
また、駆動輪スリップの発生し易い低摩擦係数路での走
行時では、アクセル操作とは無関係にエンジンへの燃料
供給減少と燃料供給増大とが繰り返されて設定スリップ
率に往復収束させる制御となるため、駆動力増大と駆動
力減少とのON−OFF的な繰り返しによりハンチングが伴
ない、ガクガク振動を生起させるという問題点があっ
た。
また、スリップ率が大きい時には、アクセルペダル位置
に基づいたスロットル開度制御に優先して、強制的にエ
ンジン駆動力の制御がなされるため、スリップ防止制御
時にはアクセルペダル操作とエンジン駆動力の対応関係
がなくなり、アクセル操作違和感が生じる。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、上述のような問題点を解決することを目的と
してなされたもので、この目的達成のために本発明では
以下に述べる解決手段とした。
本発明の解決手段を、第1図に示すクレーム対応図によ
り説明すると、駆動輪速検出手段aから得られる車輪速
度と車体速検出手段bから得られる車体速度とによって
タイヤ−路面間のスリップ率を演算するスリップ率演算
手段cと、アクセル操作子に対するアクセル操作量を検
出するアクセル操作量検出手段dと、スロットル弁の実
スロットル開度値を検出する実スロットル開度値検出手
段eと、アクセル操作量に対するスロットル開度の関係
を、制御特性マップとして複数設定させているマップ設
定手段fと、前記スリップ率が設定スリップ率を越える
度に、現在選択されている制御特性マップよりアクセル
操作量に対するスロットル開度の増大比率を下げた下位
の制御特性マップを選択すると共に、新たに設定スリッ
プ率を越えるまでは下位の制御特性マップをそのまま保
持するマップ選択手段gと、該マップ選択手段gにより
選択されている制御特性マップと前記アクセル操作量と
によって目標スロットル開度値を求める目標スロットル
開度値設定手段hと、前記実スロットル開度値を前記目
標スロットル開度値に一致させる制御信号をスロットル
アクチュエータiに対して出力するスロットル弁開閉制
御手段jと、を備えていることを特徴とする手段とし
た。
(作用) 走行時、スリップ率演算手段cにおいて、駆動輪速検出
手段aから得られる車輪速度と車体速検出手段bから得
られる車体速度とによってタイヤ−路面間のスリップ率
が演算される。
そして、低摩擦係数路等での走行時に、駆動輪がスリッ
プを生じた場合、マップ選択手段gにおいて、スリップ
率が設定スリップ率を越える度に、現在選択されている
制御特性マップよりアクセル操作量に対するスロットル
開度の増大比率を下げた下位の制御特性マップが選択さ
れる。このマップ落ち制御により、スロットル弁が閉じ
方向に作動するため、駆動力が低下して駆動輪スリップ
が防止される。
そして、前述のようなマップ落ち制御がなされた後は、
マップ選択手段gにおいて、新たに設定スリップ率を越
えるまでは下位の制御特性マップをそのまま保持される
ため、駆動輪スリップ回避後であっても直ちに駆動輪ス
リップを生じた前回の駆動力レベルまで復帰することが
なく、再スリップが防止される。
さらに、駆動輪スリップの発生に対しては、燃料供給の
減少と増大を繰り返しての制御ではなく、スロットル開
度を小さくして駆動力を減少させる方向のみの制御とな
るため、駆動力の増減に伴うハンチングの発生もない。
また、スリップ防止制御時であっても、マップ落ちによ
り選択されている制御特性マップに基づき、アクセル操
作量に応じたスロットル開度に制御されるため、アクセ
ル操作量とは無関係に駆動力を低減する場合のようなア
クセル操作違和感が生じない。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面により詳述する。
尚、この実施例を述べるにあたって、後輪駆動車に適用
した駆動力制御装置を例にとる。
まず、実施例の構成を説明する。
実施例の駆動力制御装置Aが適用される後輪駆動車のパ
ワートレーンPは、第2図に示すようにエンジン10、ト
ランスミッション11、プロペラシャフト12、リヤディフ
ァレンシャル13、リヤドライブシャフト14,15、後輪16,
17を備えている。
前輪18,19は非駆動輪である。
実施例の駆動力制御装置Aは、アクセル操作子であるア
クセルペダル20と、前記エンジン10の吸気系であるスロ
ットルチャンバ21に設けられるスロットル弁22とを機械
的に非連結とし、アクセルコントロールワイヤ等の機械
的な連結手段に代えてアクセルペダル20とスロットル弁
22との間に設けられる制御装置で、入力センサとして、
後輪回転数センサ30、右前輪回転数センサ31、左前輪回
転数センサ32、アクセルポテンショメータ33を備え、演
算処理手段として、スロットル弁制御回路34を備え、ス
ロットルアクチュエータとして、ステップモータ35を備
えている。
前記後輪回転数センサ30は、駆動輪速の検出手段で、前
記リヤディファレンシャル13の入力軸部に設けられ、後
輪回転速度VRに応じた後輪回転信号(vr)を出力する。
尚、後輪回転数センサ30としては光感知センサや磁気感
知センサ等が用いられ、後輪回転信号(vr)としてパル
ス信号が出力される場合には、スロットル弁制御回路34
内の入力インタフェース回路341において、F/Vコンバー
タでパルス信号の周波数に応じた電圧に変換され、さら
にA/Dコンバータで電圧値がデジタル値に変換され、CPU
342やメモリ343に読み込まれる。
前記右前輪回転数センサ31及び左前輪回転数センサ32
は、車体速の検出手段で、前記前輪13,19のそれぞれの
アクスル部に設けられ、右前輪回転速度VFR及び左前輪
回転速度VFLに応じた右前輪回転信号(vfr)及び左前輪
回転信号(vfl)を出力する。
尚、両前輪回転数センサ31,32からの出力信号をスロッ
トル弁制御回路34のCPU342で読み込むための信号交換
は、前記後輪回転数センサ30と同様になされる。
前記アクセルポテンショメータ33は、絶対アクセル操作
量lの検出手段で、絶対アクセルペダル20の位置に設け
られ、絶対アクセル操作量lに応じた絶対アクセル操作
量信号(l)を出力する。
尚、このアクセルポテンショメータ33からの出力信号
は、電圧値によるアナログ信号であるため、入力インタ
フェース回路341のA/Dコンバータにてデジタル値に変換
され、CPU342やメモリ343に読み込まれる。
前記スロットル弁制御回路34は、前記入力センサからの
入力情報や、メモリ343に一時的あるいは予め記憶され
ている情報を、所定の演算処理手順に従って処理し、ス
ロットルアクチュエータであるステップモータ35に対し
パルス制御信号(c)を出力するマイクロコンピュータ
を中心とする電子回路で、内部回路として、入力インタ
フェース回路341、CPU(セントラル・プロセシング・ユ
ニット)342、メモリ(RAM,ROM)343、出力インタフェ
ース回路344を備えている。
このスロットル弁制御回路34のマップ設定手段としての
機能をもつメモリには、第3図に示すように、絶対アク
セル操作量lに対するスロットル開度θの制御特性マッ
プとして8種類の上限及び下限を有する領域制御特性マ
ップ#0〜#7が設定されていて、各マップ#0〜#7
は、路面摩擦係数μを下記の表1とした場合の最大駆動
力を発生するスロットル開度θに相当する。
尚、各マップ#0〜#7の上限は、絶対アクセル操作量
3/4でのスロットル開度最大値とゼロ基準点とを結ぶ線
と、絶対アクセル操作量3/4〜4/4におけるスロットル開
度最大値の線とで形成され、下限は、絶対アクセル操作
量4/4でのスロットル開度最大値とゼロ基準点とを結ぶ
線で形成されている。
また、スロットル弁制御回路34のメモリ343には、第4
図に示すように、相対アクセル操作量Δlに対するスロ
ットル開度変化量Δθとの関係特性が三次曲線的な特性
として設定されている。
前記スロットル弁制御回路34には、特許請求の範囲で述
べたスリップ率演算手段、相対アクセル操作量検出手
段、実スロットル開度検出手段、マップ選択手段、スロ
ットル開度変化量演算手段、目標スロットル開度値設定
手段、スロットル弁開閉制御手段が含まれている。
尚、前記実スロットル開度検出手段は、スロットル弁制
御回路34のCPU342から出力インタフェース回路344へのS
TEP指令信号を同時にメモリ343で受け、このメモリ343
でSTEP数を書込みカウントする内部回路構成の手段であ
り、CPU342からの読み出し指令に従って実スロットル開
度値θが随時CPU342へ読み出される。
また、前記マップ選択手段には、マップ上り選択手段と
マップ落ち選択手段とが含まれ、前記スロットル開度値
設定手段にはスロットル全閉設定手段が含まれている。
前記ステップモータ35は、前記スロットル弁22を開閉作
動させるアクチュエータで、回転子と励磁巻線を有する
複数の固定子とを備え、励磁巻線へのパルスの与え方で
正転方向及び逆転方向に1ステップずつ回転する。
次に、実施例の作用を説明する。
まず、CPU342におけるスロットル弁開閉制御作動の流れ
を、第5図に示すメインルーチンのフローチャート図と
第6図に示すサブルーチンのフローチャート図とによっ
て述べる。
尚、第5図のメインルーチンでの処理は、図示していな
いオペレーティングシステムにより所定周期(例えば20
msec)で起動される定時間割り込み処理であり、第6図
のサブルーチンでの処理は、この定時間割り込みにより
決定されるステップモータ35への信号出力周期に応じて
メイルルーチン内で適宜起動されるoci(アウトプット
・コンペア・インタラプト)割り込み処理である。
(イ)初期設定 第5図に示すメインルーチンは、キーシリンダへエンジ
ンキーを差し込み、イグニッションスイッチをOFFからO
Nに切り換えた時点から起動が開始され、第1回目の処
理作動時には、最初かどうかの判断がなされ(ステップ
100)、次のイニシャライズステップ101に進む。
このイニシャライズステップ101では、MAPFLGをMAPFLG
=0に設定すると共に、他のFLGや基準値l00,θ00等の
情報を全てクリアにする。
(ロ)スリップ率演算処理 タイヤ−路面間のスリップ率Sの演算処理は、スリップ
102〜スリップ107で行なわれる。
まず、各回転数センサ30,31,32からの入力信号に基づい
て後輪回転速度VR,右前輪回転速度VFR,左前輪回転速
度VFLが読み込まれ(ステップ102)、次に前輪回転速度
VFが演算される(ステップ103)。
尚、前輪回転速度VFの演算式は、 であり、平均値により求めている。
次に、駆動輪である後輪回転速度VRが40km/h以上かどう
かが判断され(ステップ104)、VR≧40(km/h)の場合
にはステップ105へ進み、このステップ105においてスリ
ップ率Sが演算される。
尚、スリップ率Sの演算式は、 である。
また、前記ステップ104でVR<40(km/h)と判断された
場合には、前後輪回転速度差ΔV(=VR−VF)が演算さ
れ(ステップ106)、演算により求められた前後輪回転
速度差ΔVに応じてスリップ率Sが設定される(ステッ
プ107)。
従って、前記ステップ105またはステップ107で得られた
スリップ率Sは、グラフにあらわすと、第7図に示すよ
うになり、このスリップ率Sが以下の制御作動で各設定
スリップ率S0,S1,S2,S3,Scと比較する場合のしきい
値となる。
(ハ)駆動輪速変化量演算処理 駆動輪速変化量VRは、ステップ250において、今回の後
輪回転速度VRから前回の起動時に読み込まれた後輪回転
速度VR-1を差し引くことで、メインルーチンの起動周期
当りの後輪回転速度変化量として求められることにな
る。
(ニ)制御情報の設定処理 後述するマップ選択処理やアクセルワーク判別処理で用
いられる制御情報の設定処理は、ステップ150〜ステッ
プ154で行なわれる。
まず、2周期前の処理においてサンプリングされ、1周
期前の処理において前回絶対アクセル操作量l1として取
り扱われたアクセルペダル踏み込み量が、前々回絶対ア
クセル操作量l2としてセットされる(ステップ150)。
また、1周期前の処理においてサンプリングされ、今回
絶対アクセル操作量l0として取り扱われたアクセルペダ
ル踏み込み量が、前回絶対アクセル操作量l1としてセッ
トされる(ステップ151)。
次に、現在のアクセルペダル踏み込み量が、今回絶対ア
クセル操作量l0として、また、現在のスロットル弁開度
が実スロットル開度値θとしてサンプリングされて読
み込まれる(ステップ152)。
次いで、セット済みの今回絶対アクセル操作量l0から前
回絶対アクセル操作量l1が差し引かれることにより、1
周期前の処理時からのアクセルペダル踏み込み量の変化
量である今回相対アクセル操作量ΔL0が算出され(ステ
ップ153)、また、前回絶対アクセル操作量l1から前々
回絶対アクセル操作量l2が差し引かれることにより2周
期前の処理時から1周期前の処理時までに変化したアク
セルペダル踏み込み量の変化量である前回相対アクセル
操作量ΔL1が算出される(ステップ154)。
(ホ)マップ上り選択処理 尚、この処理は、後述するマップ落ち選択手段により領
域制御特性マップが最上位領域制御特性マップより下位
の領域制御特性マップにある場合に行なわれる。
現在選択されている領域制御特性マップより絶対アクセ
ル操作量lに対するスロットル開度θの増大比率を上げ
た上位の領域制御特性マップを選択するマップ上り選択
処理は、ステップ110〜ステップ114で行なわれ、ステッ
プ110〜ステップ113がマップ上りの条件となっている。
まず、今回相対アクセル操作量ΔL0がΔL0>0かどう
か、すなわちアクセルペダル20に対して踏み込み操作時
であるかどうかが判断され(ステップ110)、次に、ス
リップ率SがS≦S0(例えば、S0=0.1)であるかどう
か、すなわち設定スリップ率S0以下で駆動輪スリップが
ほとんど発生していないかどうかが判断され(ステップ
111)、次に実スロットル開度値θがθ≧θMAXかど
うか、すなわち実スロットル開度値θが前回に選択さ
れている領域制御特性マップによるスロットル開度上限
値θMAX以上かどうかが判断され(ステップ112)、次に
MAPFLGがMAPFLG=0かどうか、すなわちマップ上りが可
能なマップ#1〜#7であるかどうかが判断され(ステ
ップ113)、これらのマップ上り条件を全て満足してい
る時にだけステップ114へ進み、MAPFLGの番号(#1〜
#7)が1番下げられ(ステップ114)、領域制御特性
マップとしては1段階上位のマップに移行する。
尚、前記ステップ110〜ステップ113で述べたマップ上り
条件を1つでも満足しない時は、新たにマップ上り条件
の全てが満足されるまでその時に選択されている領域制
御特性マップが保持される。
(ヘ)マップ落ち選択処理 現在選択されている領域制御特性マップより絶対アクセ
ル操作量lに対するスロットル開度θの増大比率を下げ
た下位の領域制御特性マップを選択するマップ落ち選択
処理は、ステップ120〜ステップ131で行なわれる。
まず、スリップ率Sと第1設定値S1(例えば、S1=0.
1)とが比較され、マップ1枚落しの上限であるS>S1
かどうか、すなわち駆動輪スリップが発生しているかど
うかが判断され(ステップ120)、S>S1の場合には次
のステップ121へ進みFLAG・A=0かどうかが判断さ
れ、FLAG・A=0である場合にはFLAG・A=1にセット
され(ステップ122)、次のステップ123ではMAPFLG=7
かどうかが判断され、MAPFLG≠7の時はマップ1枚落し
の条件(S>S1かつMAPFLG≠7)を満足していることで
MAPFLGの番号(#0〜#6)が1番上げられ(ステップ
124)、領域制御特性マップとして1段階下位のマップ
に移行する。
尚、ステップ122によってFLAG・A=1にセツトされる
ためS>S1となりステップ124でマップ1枚落ちが行な
われた後は、ステップ120でS≦S1と判断され、ステッ
プ125を経過してFLAG・A=0にセットされ、しかも、
新たにS>S1とならない限り、マップ1枚落ちの選択処
理はなされず、ステップ124でのマップ1枚落ちにより
選択された領域制御特性マップがそのまま保持される。
ただし、FLAG・A=1の時でステップ121からステップ1
26へ進み、後述するS>S2というマップ落しの条件を満
足している場合は別である。
また、前記ステップ124から次のステップ126へ進むと、
スリップ率Sと第2設定値S2(例えば、S2=0.3)とが
比較され、マップの1枚落し条件であるS>S2かどう
か、すなわち過大な駆動輪スリップが発生しているかど
うかが判断され、S>S2の場合には次のステップ127へ
進みFLAG・B=0かどうかが判断され、FLAG・B=0で
ある場合にはFLAG・B=1にセットされ(ステップ12
8)、次のステップ129ではMAPFLG=7かどうかが判断さ
れ、MAPFLG≠7の時はマップ1枚落しの条件(S>S2
つMAPFLG≠7)を満足していることでMAPFLGの番号(#
0〜#6)が1番上げられ(ステップ130)、領域制御
特性マップとして1段階下位のマップに移行する。
尚、ステップ128によってFLAG・B=1にセットされる
ため、S>S2となりステップ130でマップ1枚落ちが行
なわれた後は、ステップ126でS≦S2と判断され、ステ
ップ131を経過してFLAG・B=0にセットされ、しか
も、新たにS>S2とならない限り、マップ1枚落ちの選
択処理はなされず、ステップ130でのマップ1枚落ちに
より選択された領域制御特性マップがそのまま保持され
る。
このように通常の路面摩擦係数の低下ではステップ124
によるマップ1枚落ち処理で十分であるが、乾燥路等か
ら雪路やアイスバーン等の低摩擦係数路へ急に進入した
場合、一気にスリップ率Sが0.2以上等になる可能性が
あることを考慮し、スリップ率Sが0.2以上で後述する
スロットル全閉制御がなされている間にスリップ率Sが
0.3を越えた場合に、マップ落ち選択処理し、スロット
ル全閉からのリカバー時に再度過大スリップが生じない
ようにしている。
(ト)領域制御特性マップの設定 ステップ140では、前述のマップ上り選択処理とマップ
落ち選択処理との経過によって選択されているMAPFLGの
番号と同じ番号の領域制御特性マップが設定される。
(チ)アクセルワーク判別処理 アクセルワーク判別処理は、相対アクセル操作量ΔLを
求める基準を定速走行アクセル操作時としていること
で、定速走行アクセル操作時であるか否かを判別するた
めに、前記ステップ150〜ステップ154で得られた情報に
基づいてステップ155〜ステップ159で行なわれる処理で
ある。
まず、アクセルワークの判断論理は、前回相対アクセル
操作量ΔL1と今回相対アクセル操作量ΔL0を用いて、ア
クセルペダル20が2周期前の処理時から引き続いて踏み
込み方向への操作中であるとの加速アクセル操作判定が
行なわれた時(ステップ155で肯定的,ステップ156で肯
定的)、あるいは、引き続いて戻し操作中であるとの減
速アクセル操作判定が行なわれた時(ステップ155で否
定的,ステップ157で否定的)には、次のステップ160へ
進む。
また、アクセルペダル20が停止操作されてその位置に保
持された場合(ステップ15で否定的,ステップ157で肯
定的)、アクセルペダル20の操作方向が踏み方向から戻
し方向へ切り替わった場合(ステップ155で肯定的,ス
テップ156で否定的)、あるいはその逆に切り替わった
場合(ステップ155で否定的,ステップ157で肯定的)に
は、アクセルペダル踏み込み量の変化量が0を含む増加
から0を含む減少または減少から増加に移行する定速走
行アクセル操作時と判定され、ステップ158へ進み、今
回絶対アクセル操作量l0がアクセル操作量基準値l00
してセットされ、さらにステップ159へ進み今回の実ス
ロットル開度値θがスロットル開度基準値θ00として
セットされる。
(リ)相対アクセルストローク演算処理 前述のアクセルワーク判別処理が行なわれた後は、ステ
ップ160へ進み、相対アクセル操作量ΔLが演算され
る。
この相対アクセル操作量ΔLの演算式は、ΔL=l0−l
00であるため、加速アクセル操作時や減速アクセル操作
時には、最初に定速走行アクセル操作が行なわれた時か
ら今回絶対アクセル操作量l0までのアクセル操作変化量
として演算される。また、最初の定速走行アクセル操作
時には、ΔL=l0−l0となり相対アクセル操作量ΔLは
ゼロとなる。
(ヌ)スロットル開度変化量演算 ステップ170では、ステップ160により求められた相対ア
クセル操作量ΔLと、第4図に示すΔL−Δθ特性線図
とによってスロットル開度変化量Δθが演算される。
(ル)目標スロットル開度値設定処理 前記スロットル開度基準値θ00と前記ステップ170で演
算されたスロットル開度変化量Δθとによって得られる
仮目標スロットル開度値θθと、前記ステップ140で設
定された領域制御特性マップと今回絶対アクセル操作量
l0(または、アクセル操作量基準値l00)によって求め
られるスロットル開度上限値θMAX及びスロットル開度
下限値θMINとを比較して目標スロットル開度値θ*を設
定する処理は、ステップ180〜ステップ185で行なわれ
る。
まず、仮目標スロットル開度値θθは、ステップ180で
スロットル開度基準値θ00とスロットル開度変化量Δθ
とを加算する演算式、θθ=θ00+Δθで求められる。
この仮目標スロットル開度値θθとスロットル開度上限
値θMAX及びスロットル開度下限値θMINとの比較処理
は、まず仮目標スロットル開度値θθがスロットル開度
上限値θMAX以上かどうかが判断され(ステップ181)、
θθ>θMAXの場合にはスロットル開度上限値θMAXが目
標スロットル開度値θ*として設定される(ステップ18
2)。また、θθ≦θMAXの場合には仮目標スロットル開
度値θθがスロットル開度下限値θMIN以下かどうかが
判断され(ステップ183)、θθ<θMINの場合にはスロ
ットル開度下限値θMINが目標スロットル開度値θ*とし
て設定される(ステップ184)。また、θMIN≦θθ≦θ
MAXの場合には、仮目標スロットル開度値θθがそのま
ま目標スロットル開度値θ*として設定される(ステッ
プ185)。
すなわち、目標スロットル開度値θ*は、選択されてい
る領域制御特性マップの領域内に存在する値として設定
される。
(ヲ)スロットル全閉設定処理 通常の目標スロットル開度値θ*は前述のステップ180〜
ステップ185による処理で設定されるが、過大な駆動輪
スリップが発生した場合には、スロットル開度を全閉に
する処理及び全閉からの回復処理がステップ251〜ステ
ップ260で行なわれる。
まず、駆動輪速変化量≧0かどうかが判断さ
れ(ステップ251)、駆動輪スリツプが増大側である
≧0の時には、スリップ率Sが設定スリップ率Sc(例
えば、Sc=0.2)を越えているかどうかが判断される
(ステップ252)。
スリップ率SがS≦Scの場合は、そのままステップ200
へ進むが、S>Scの場合にはステップ253へ進み目標ス
ロットル開度値θ*がゼロに設定され、次のステップ254
でFLAG・C=1にセットされる。
また、スロットル弁22が全閉になった後であって、駆動
輪スリップが減少側である<0である時には、ステ
ップ251からステップ255へ進み、駆動輪が減速方向で、
スリップ率SがS≦S3(例えば、S3=0.3)であるとい
う全閉解除条件が判断される。
そして、<0でS≦S3の全閉解除条件を満足する
と、ステップ255からステップ256及びステップ257へ進
み、このステップ257ではその時に選択されている領域
制御特性マップと今回絶対アクセル操作量l0により求め
られるスロットル開度下限値θMINが目標スロットル開
度値θ*として設定され、次のステップ258及びステップ
259では今回絶対アクセル操作量l0がアクセル操作量基
準値l00に、目標スロットル開度値θ*がスロットル開度
基準値θ00にセットされ、基準値の更新がなされる。そ
して、ステップ260ではFLAG・C=0にセットされ、次
回の起動時にはステップ256からステップ200へと進む流
れになる。
すなわち、スロットル弁22を全閉にした後であって、駆
動輪速変化量<0で、かつ、スリップ率Sが
S≦S3(=0.3)という全閉解除条件を満足すると、そ
の時選択されている領域制御特性マップの下限に回復す
るリカバー制御が行なわれることになる。
尚、このスロットル弁22の全閉時に、スリップ率SがS
>S2(=0.3)の条件を満足した場合には、スロットル
弁22の全閉状態は維持されるが、ステップ126〜ステッ
プ130により領域制御特性マップが1枚マップ落ちす
る。
(ワ)スロットル弁開閉制御処理 前述の目標スロットル開度値設定処理もしくはスロット
ル全閉設定処理によって目標スロットル開度値θ*が決
まったら、実スロットル開度値θ0を目標スロットル開
度値θ*に一致させる方向にスロットル弁22を作動させ
る処理が第5図のメインルーチンでのステップ200〜202
と、第6図のサブルーチンでのステップ300〜304で行な
われる。
まず、偏差εが目標スロットル開度値θ*から実スロッ
トル開度値θ0を差し引くことで演算され(ステップ20
0)、この演算により得られた偏差εに基づいてステッ
プモータ35のモータスピードの算出,正転,逆転,保持
の判断、さらにはoci割り込みルーチンの起動周期が求
められ(ステップ201)、このステップ201で設定された
ステップモータ35の作動制御内容に従ってoci割り込み
ルーチン(第6図)が起動される(ステップ202)。
次に、第6図によりoci割り込みルーチンのフローチャ
ート図について述べる。
まず、ステップモータ35の状態をそのまま保持する保持
指令出力時かどうかの判断がなされ(ステップ300)、
保持指令が出力されている時にはステップモータ35の固
定子側励磁状態を保持する(ステップ301)。
また、保持指令出力時以外の場合は、ステップモータ35
を逆転させる逆転指令出力時かどうかの判断がなされ
(ステップ302)、逆転指令が出力されている時には、S
TEPをSTEP−1にセットし(ステップ303)、STEP−1が
得られるパルス信号をステップモータ35に出力する(ス
テップ301)。さらに、ステップモータ35を正転させる
正転指令出力時には、STEPをSTEP+1にセットし(ステ
ップ304)、STEP+1が得られるパルス信号をステップ
モータ35に出力する(ステップ301)。
尚、このoci割り込みルーチンは、前記ステップ201で設
定された起動周期に従ってメインルーチンの起動周期内
で繰り返される。
次に、第8図に示すタイムチャート図及び第9図に示す
スロットル開度制御作動図により、マップ落ち制御,ス
ロットル全閉制御及びスロットル全閉からのリカバー制
御について述べる。
まず、この制御作動は、乾燥路から駆動輪スリップの発
生し易い雪路に進入し、さらに雪路から大きな駆動輪ス
リップが発生するアイスバーンに進入した場合の例示
で、絶対アクセル操作量lは一定とする。
雪路への進入直前は乾燥路であるため、例えばマップ#
0が選択されているとし、この時のスロットル開度はマ
ップ#0の上限値θ#0とする。この乾燥路から雪路へ
進入すると、駆動輪スリップが発生し始め、タイムチャ
ート図でのt1位置でスリップ率Sが0.1を越える。
このようにスリップ率Sが0.1を越えると、前述のマッ
プ落ち選択処理におけるマップ落ちの条件を満足するこ
とになり、メインルーチンのステップ120〜ステップ124
でマップがマップ#0からマップ#1へ1枚落されるこ
とになる。尚、このマップ落しによりスロットル弁22
は、閉じ方向に作動し、スロットル開度θがマップ#0
の上限値θ#0からマップ#1の上限値θ#1へと小さく
なる。
そして、このマップ#1の状態では、スロットル弁22を
閉じ方向に作動させ、エンジン駆動力を低下させたこと
で、駆動輪スリップが収束され、スリップ率SはS<0.
1になるが、マップ上りするのではなく、そのままマッ
プ#1が保持されたままで、単にマップ落ち選択処理で
メインルーチンのステップ120からステップ125へと進
み、新たなマップ落し条件であるFLAG・A=0に書き替
えられる。
しかし、タイムチャート図でのt2位置では、アイスバー
ンに進入したことで、再びスリップ率SがS>0.1とな
るため、再びメインルーチンのステップ120〜ステップ1
24でマップがマップ#1からマップ#2へ1枚落とされ
ることになる。
尚、このマップ落ちによりスロットル弁22は、閉じ方向
に作動し、スロットル開度θがマップ#1の上限値θ#
1からマップ#2の上限値θ#2へと小さくなる。
そして、このマップ#2の状態でも、駆動輪スリップが
収束せず、増大した場合、タイムチャート図でのt3位置
ではステップ率Sが0.2を越えてしまう。
従って、スロットル全閉処理におけるステップ252での
スロットル全閉条件(S>Sc)を満足してしまい、スロ
ットル弁22は全閉方向に作動されることになる。
尚、このスロットル弁22が全閉方向に作動される時には
駆動輪スリップの抑制効果をさらに高めるために、タイ
ムチャート図でのt3位置からt4位置までの間、フューエ
ルカット(燃料供給停止)が行なわれる。
そして、スロットル弁22が全閉の状態でも、最初のうち
はスリップ率Sが上昇し、タイムチャート図のt5位置で
はスリップ率Sが0.3を越えてしまう場合がある。
その場合、マップ落ち選択処理におけるステップ126で
のマップ落し条件(S>S2)を満足してしまい、さらに
マップがマップ#2からマップ#3へと1枚落とされる
ことになる。
そして、スリップ率Sが0.3以下になるタイムチャート
図のt6位置では、スロットル弁22の全閉解除の条件であ
<0でS≦S3が満足され、マップ#3のスロット
ル開度下限値θMINが目標スロットル開度値θ*となり、
スロットル開度θはマップ#3の下限開度θ′#3へ復
帰することになる。
以上説明してきたように、実施例の駆動力制御装置にあ
っては、以下に列挙するような効果が得られる。
設定されているl−θ制御特性マップが領域制御特性
マップであり、スロットル開度θの開閉制御は、定速走
行操作時の絶対アクセル操作量lを基準とした相対アク
セル操作量ΔLに基づいて行なわれるものであるため、
マップ領域内ではスロットル弁22の開閉制御ゲインがア
クセルワークに従って得られることになり、良好な車両
の加速性確保と、定速走行操作時の大きな車速変化防止
を両立できる。
実施例でのΔL−Δθ特性は、第4図に示すように、
三次曲線的な特性としているために、アクセル微量踏み
込み時のギクシャク感が防止されるし、多めに踏み込ん
だ時の高い加速性の確保が達成される。
実施例でのスリップ率Sは、第7図に示すように、低
車体速時には前後輪回転速度差ΔVによってスリップ率
Sを求めるようにしているため、わずかな前後輪回転速
度差ΔVでスリップ率Sが変化する低車体速時に、高検
出精度や高演算精度が要求されないし、演算誤差による
スリップ率Sの演算値によりマップ上り制御やマップ落
ち制御やスロットル全閉制御が行なわれることもない。
領域制御特性マップのマップ上り制御は、アクセルペ
ダル20への踏み込み操作時で、スリップ率SがS≦S0
あることを条件に行なわれるものであるため、スロット
ル弁22の開き方がアクセル操作に対応し、ドライバへの
違和感が少ないし、自然な加速感を得ることができる。
また、実スロットル開度値θ0がスロットル開度上限値
θMAX以上であることが条件に加わっているため、急な
エンジン駆動力上昇がなく、マップ上り制御時に路面摩
擦係数が急に低下しても過大な駆動輪スリップの発生が
防止される。
領域制御特性マップのマップ落ち制御は、スリップ率
SがS>S1であり、FLAG・A=0であることを条件に行
なわれるものであるために、マップ落ち条件を満足して
マップ1枚落ちがなされた後にスリップ率が一旦S≦S1
となっても、マップ上り条件を満足するか、スリップ率
Sが新たに設定スリップ率S1を越えるまでは下位の領域
制御特性マップがそのまま保持されるために、駆動輪ス
リップ回避後であっても直ちに駆動輪スリップを生じた
前回の駆動力レベルまで復帰することがなく、再スリッ
プが防止される。
また、新たに設定スリップ率S1を越えたらさらにマップ
落ちするように、駆動輪スリップの発生に対してはスロ
ットル開度θを小さくして駆動力を減少させる方向にだ
け制御されるため、駆動力増減に伴なうハンチングの発
生もなく、ガクガク振動が防止される。
実施例では、スリップ率Sがアイスバーン走行等で過
大スリップ率となった場合には(S>Sc)、スロットル
弁22を全閉にすると共に、スロットル弁22が全閉方向へ
作動している時にはフューエルカットを併用するように
しているため、過大な駆動輪スリップ発生時に早期にス
リップ率を低下収束させることができる。
スロットル弁22の全閉後のリカバー制御は、スロット
ル弁22の全閉時に、スリップ率SがS>S2となった場合
には領域制御特性マップが1枚落ち、この落ちた領域制
御特性マップの下限のスロットル開度に復帰するように
しているため、再度の過大スリップ発生が防止される。
スロットル弁22の全閉条件(S<Sc)と全閉解除条件
(S>S3)とでは、Sc<S3としヒステリシスもたせると
共に早期にスロットル弁22を開くようにしているため、
駆動力の過度の落ち込みが防止されると共に、Sc=S3
した場合のようにスロットル弁22の全閉と全閉解除とが
繰り返されることもない。
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、具
体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発
明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があって
も本発明に含まれる。
例えば、実施例では上限及び下限を有する領域制御特性
マップを複数設定した例を示したが、直線や折れ線や曲
線等による線型制御特性マップでもよいし、また、上限
のみを有する領域制御特性マップでもよい。
また、マップ落ち制御では、設定スリップ率S1を越える
と1枚マップ落ちする例を示したが、設定スリップ率を
複数設定して、スリップ率に応じてマップ1枚落ちや2
枚落ち等を行なうものであってもよいし、スリップ率の
時間変化率を加味し、スリップ率の上昇度合に応じてマ
ップを何枚落すか決定するようにしてもよい。
また、実施例では、ΔL−Δθ特性として1つの特性を
示したが、例えば、第4図の点線に示すような特性を加
え、マップ#0が選択されている時には実線の特性に基
づいてΔθが設定され、マップ#1〜#7が選択されて
いる時には点線の特性に基づいてΔθが設定されるよう
にしてもよく、この場合には絶対アクセル操作量に対す
るスロットル開度の制御ゲインを走行路面状態に対応さ
せることができ、駆動輪スリップが未然に防止される。
(発明の効果) 以上説明してきたように、本発明の駆動力制御装置にあ
っては、アクセル操作量に対するスロットル開度の関係
を、制御特性マップとして複数設定させているマップ設
定手段と、スリップ率が設定スリップ率を越える毎に、
現在選択されている制御特性マップよりアクセル操作量
に対するスロットル開度の増大比率を下げた下位の制御
特性マップを選択すると共に、新たに設定スリップ率を
越えるまでは下位の制御特性マップをそのまま保持する
マップ選択手段とを設けた構成としたため、下記に列挙
する効果を達成することができる。
(1)マップ落ち制御がなされた後、新たに設定スリッ
プ率を越えるまでは下位の制御特性マップがそのまま保
持されることで、駆動輪スリップ回避後の再スリップが
防止される。
(2)駆動力を減少させる方向のみのスロットル開度制
御であるため、スリップ防止制御時に駆動力増減に伴う
ハンチングの発生もなく、ガクガク振動が防止される。
(3)スリップ防止制御時であっても、マップ落ちによ
り選択されている制御特性マップに基づき、アクセル操
作量に応じたスロットル開度に制御されるため、アクセ
ル操作量とは無関係に駆動力を低減する場合のようなア
クセル操作違和感が生じない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の車両用駆動力制御装置を示すクレーム
対応図、第2図は本発明実施例の駆動力制御装置を示す
全体図、第3図は実施例装置のスロットル弁制御回路に
設定されている領域制御特性マップ図、第4図は実施例
装置のスロットル弁制御回路に設定されている相対アク
セル操作量−スロットル開度変化量の関係特性図、第5
図は実施例のスロットル弁制御回路での制御作動のメイ
ンルーチンを示すフローチャート図、第6図は実施例の
スロットル弁制御回路での制御作動のサブルーチンを示
すフローチャート図、第7図は実施例装置でのスリップ
率しきい値特性図、第8図は実施例装置を用いた低摩擦
係数路走行時でのタイムチャート図、第9図は第8図に
示す低摩擦係数路走行時でのスロットル開度の変化を示
す説明図である。 a……駆動輪速検出手段 b……車体速検出手段 c……スリップ率演算手段 d……アクセル操作量検出手段 e……実スロットル開度値検出手段 f……マップ設定手段 g……マップ選択手段 h……目標スロットル開度値設定手段 i……スロットルアクチュエータ j……スロットル弁開閉制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩田 徹 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−7954(JP,A) 特開 昭54−88527(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動輪速検出手段から得られる車輪速度と
    車体速検出手段から得られる車体速度とによってタイヤ
    −路面間のスリップ率を演算するスリップ率演算手段
    と、 アクセル操作子に対するアクセル操作量を検出するアク
    セル操作量検出手段と、 スロットル弁の実スロットル開度値を検出する実スロッ
    トル開度値検出手段と、 アクセル操作量に対するスロットル開度の関係を、制御
    特性マップとして複数設定させているマップ設定手段
    と、 前記スリップ率が設定スリップ率を越える度に、現在選
    択されている制御特性マップよりアクセル操作量に対す
    るスロットル開度の増大比率を下げた下位の制御特性マ
    ップを選択すると共に、新たに設定スリップ率を越える
    までは下位の制御特性マップをそのまま保持するマップ
    選択手段と、 該マップ選択手段により選択されている制御特性マップ
    と前記アクセル操作量とによって目標スロットル開度値
    を求める目標スロットル開度値設定手段と、 前記実スロットル開度値を前記目標スロットル開度値に
    一致させる制御信号をスロットルアクチュエータに対し
    て出力するスロットル弁開閉制御手段と、 を備えていることを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  2. 【請求項2】前記アクセル操作量検出手段は、アクセル
    操作子の絶対アクセル操作量を検出する絶対アクセル操
    作量検出手段と、該絶対アクセル操作量の監視により定
    速走行操作時の絶対アクセル操作量を基準として相対ア
    クセル操作量を検出する相対アクセル操作量検出手段を
    有する手段であり、 前記マップ設定手段は、前記アクセル操作量に対するス
    ロットル開度の上限を有する領域制御特性マップを複数
    設定させている手段であり、 前記マップ選択手段は、前記スリップ率が設定スリップ
    率を越える度に、現在選択されている領域制御特性マッ
    プより絶対アクセル操作量に対するスロットル開度の増
    大比率を下げた下位の領域制御特性マップを選択すると
    共に、新たに設定スリップ率を越えるまでは下位の領域
    制御特性マップをそのまま保持する手段であり、 前記目標スロットル開度値設定手段は、相対アクアエル
    操作量によって所定のスロットル開度変化量を求めるス
    ロットル開度変化量演算手段を有し、前記実スロットル
    開度値と前記スロットル開度変化量とによって得られる
    仮目標スロットル開度値と、前記マップ選択手段により
    選択されている領域制御特性マップと前記絶対アクセル
    操作量とによって得られるスロットル開度上限値とを比
    較し、仮目標スロットル開度値がスロットル開度上限値
    を越える場合は、スロットル開度上限値を目標スロット
    ル開度値として求め、仮目標スロットル開度値がスロッ
    トル開度上限値以下の場合は、仮目標スロットル開度値
    を目標スロットル開度値とする手段であることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載の車両用駆動力制御装
    置。
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