JPH0692752B2 - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

車両用駆動力制御装置

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JPH0692752B2
JPH0692752B2 JP61183792A JP18379286A JPH0692752B2 JP H0692752 B2 JPH0692752 B2 JP H0692752B2 JP 61183792 A JP61183792 A JP 61183792A JP 18379286 A JP18379286 A JP 18379286A JP H0692752 B2 JPH0692752 B2 JP H0692752B2
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slip ratio
throttle opening
map
accelerator operation
wheel speed
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実 田村
晃清 村上
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Nissan Motor Co Ltd
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  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、アクセル操作子と機械的に非連結とされたス
ロットル弁がアクセル操作子の操作に応じて開閉制御さ
れる車両用駆動力制御装置に関する。
(従来の技術) 従来の車両用駆動力制御装置としては、例えば、特開昭
59−68537号公報に記載されている装置が知られてい
る。
この従来装置は、従動輪に従動輪速度センサをまた駆動
輪に駆動輪速度センサをそれぞれ設け、上記従動輪速度
センサにより車両速度をまた駆動輪速度センサにより駆
動輪回転速度をそれぞれ検出するとともに、上記各セン
サにより検出された出力を演算して駆動輪のスリップ率
を算出し、この算出されたスリップ率に対応して車両の
駆動力を制御する制御機構を設けたことを特徴とするも
のであった。
尚、具体的な制御内容は、スリップ率λが第2の基準ス
リップ率λより大きい時にはスロットル弁を所定角閉
じ、第1の基準スリップ率λより小さい時にはスロッ
トル弁を初期位置に戻し、λ≦λ≦λ(λ
λ)の時にはスロットル弁をそのままにするという内
容であった。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、このような従来の車両用駆動力制御装置
で提案されている制御内容をスリップ率の早期収束を目
指すスロットル全閉制御に適用し、スリップ率λが第2
の基準スリップ率λ(例えば、λ=0.3)より大き
い時にはスロットル弁を全閉とし、第1の基準スリップ
率λ(例えば、λ=0.2)より小さい時には全閉解
除する内容とした場合、スロットル弁の開閉動作とエン
ジン駆動力の増減との間の時間遅れによって、過大な駆
動輪スリップを許してしまい駆動輪スリップの収束に長
時間を要するし、また、全閉解除後のエンジン駆動力の
回復も遅れてしまうという問題点があった。
すなわち、4輪車での実験データによると、スリップ率
0.3の時点でスロットル弁を全閉にした場合、全閉開始
時からスリップ率0.1になるまでに約200msec〜300msec
要する。
一方、スロットル弁を全閉にした状態から所定開度開い
た場合に、スロットル弁開放開始時からエンジン駆動力
の発生までに約200msec〜300msecを要し、さらに、エン
ジン駆動力の発生からタイヤにより路面へ駆動力が伝達
されるまで約100msec要する。
従って、前述の内容のスロットル全閉制御を行なった場
合のタイムチャート図は第10図に示すようになり、全閉
開始が時間的に遅れてしまい、過大な駆動輪スリップを
許してスロットル全閉制御の主目的であるスリップ率の
早期収束が達成されないばかりか、全閉解除も時間的に
遅れてしまい、全閉解除後には過剰な駆動力低下を招い
てしまっている。
尚、全閉開始条件も全閉解除条件も同じスリップ率とし
た場合には、その設定スリップ率の発生頻度が高い走行
時には駆動力の増減が繰り返されることになり、ハンチ
ングが発生して好ましくないため、一般に開始条件が高
く解除条件が低い正のヒステリシスに設定される。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、上述のような問題点を解決することを目的と
してなされたもので、この目的達成のために本発明では
以下に述べる解決手段とした。
本発明の解決手段を、第1図に示すクレーム対応図によ
り説明すると、駆動輪速検出手段aから得られる車輪速
度と車体速検出手段bから得られる車体速度とによって
タイヤ−路面間のスリップ率を演算するスリップ率演算
手段cと、駆動輪速検出手段aから得られる車輪速度に
よって駆動輪速変化量を演算する駆動輪速変化量演算手
段gと、アクセル操作子に対するアクセル操作量を検出
するアクセル操作量検出手段dと、スロットル弁の実ス
ロットル開度値を検出する実スロットル開度値検出手段
eと、アクセル操作量に対する目標スロットル開度の関
係を、制御特性マップとして設定させているマップ設定
手段fと、前記スリップ率が設定スリップ率未満の時
は、前記アクセル操作量と制御特性マップとによって目
標スロットル開度値を求め、前記駆動輪速度変化量が加
速状態で、かつ、前記スリップ率が第1の設定スリップ
率以上になると、目標スロットル開度値を閉方向に変更
させ、さらに、スロットル弁が前記閉方向への変更時で
あって、前記駆動輪速度変化量が減速状態で、かつ、ス
リップ率が前記第1の設定スリップ率より大きい第2の
設定スリップ率以下になると閉方向への変更を解除し、
所定の目標スロットル開度値に復帰させる目標スロット
ル開度値設定手段hと、前記実スロットル開度値を前記
目標スロットル開度値に一致させる制御信号をスロット
ルアクチュエータiに対して出力するスロットル弁開閉
制御手段jと、を備えていることを特徴とする手段とし
た。
(作 用) 従って、本発明の車両用駆動力制御装置では、走行時、
目標スロットル開度値設定手段hにおいて、駆動輪速変
化量演算手段gからの駆動輪速変化量が加速状態で、か
つ、スリップ率演算手段cからのスリップ率が第1の設
定スリップ率以上になると、目標スロットル開度値が閉
方向に変更され、スロットル弁開閉制御手段jによりス
ロットル弁を閉方向に作動させる。
そして、スロットル弁が前記閉方向への変更時であっ
て、駆動輪速変化量演算手段gからの駆動輪速変化量が
減速状態で、かつ、スリップ率演算手段cからのスリッ
プ率が第1の設定スリップ率より大きい第2の設定スリ
ップ率以下になると、目標スロットル開度値設定手段h
において、目標スロットル開度値の閉方向への変更が解
除される。
走行時、駆動輪加速状態であれば、その後、急にスリッ
プ率が増大することが予測できるし、逆に、駆動輪減速
状態であれば、その後、急にスリップ率が減少すること
が予測できる。よって、スロットル閉制御の開始及び解
除条件として、駆動輪速変化量の条件を加えることで、
スロットル閉制御の開始及び解除条件として用いるスリ
ップ率条件の設定自由度を高めている。
この高設定自由度に基づき、閉方向変更制御の開始条件
を第1の設定スリップ率とし、閉方向変更制御の解除条
件を第2の設定スリップ率とし、この第2の設定スリッ
プ率が第1の設定スリップ率より大きい逆ヒステリシス
の関係を与えている。
このため、駆動輪スリップが高くなり始めたら小さい第
1の設定スリップ率を越えることで早期にスロットル閉
方向制御が行なわれ、応答良く早期に駆動輪スリップを
収束させることができるし、また、駆動輪スリップが収
束し始めたら大きい第2の設定スリップ率を越えること
で早期に閉方向変更制御が解除され、駆動力の過度の落
ち込みが防止される。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面により詳述する。
尚、この実施例を述べるにあたって、後輪駆動車に適用
した駆動力制御装置を例にとる。
まず、実施例の構成を説明する。
実施例の駆動力制御装置Aが適用される後輪駆動車のパ
ワートレーンPは、第2図に示すように、エンジン10、
トランスミッション11、プロペラシャフト12、リヤディ
ファレンシャル13、リヤドライブシャフト14,15、後輪1
6,17を備えている。
前輪18,19は非駆動輪である。
実施例の駆動力制御装置Aは、アクセル操作子であるア
クセルペダル20と、前記エンジン10の吸気系であるスロ
ットルチャンバ21に設けられるスロットル弁22とを機械
的に非連結とし、アクセルコントロールワイヤ等の機械
的な連結手段に代えてアクセルペダル20とスロットル弁
22との間に設けられる制御装置で、入力センサとして、
後輪回転数センサ30、右前輪回転数センサ31、左前輪回
転数センサ32、アクセルポテンショメータ33を備え、演
算処理手段として、スロットル弁制御回路34を備え、ス
ロットルアクチュエータとして、ステップモータ35を備
えている。
前記後輪回転数センサ30は、駆動輪速の検出手段で、前
記リヤディファレンシャル13の入力軸部に設けられ、後
輪回転速度VRに応じた後輪回転信号(vr)を出力する。
尚、後輪回転数センサ30としては光感知センサや磁気感
知センサ等が用いられ、後輪回転信号(vr)としてパル
ス信号が出力される場合には、スロットル弁制御回路34
内の入力インタフェース回路341において、F/Vコンバー
タでパルス信号の周波数に応じた電圧に変換され、さら
にA/Dコンバータで電圧値がデジタル値に変換され、CPU
342やメモリ343に読み込まれる。
前記右前輪回転数センサ31及び左前輪回転数センサ32
は、車体速の検出手段で、前記前輪18,19のそれぞれの
アクスル部に設けられ、右前輪回転速度VFR及び左前輪
回転速度VFLに応じた右前輪回転信号(vfr)及び左前輪
回転信号(vfl)を出力する。
尚、両前輪回転数センサ31,32からの出力信号をスロッ
トル弁制御回路34のCPU342で読み込むための信号変換
は、前記後輪回転数センサ30と同様になされる。
前記アクセルポテンショメータ33は、絶対アクセルの操
作量lの検出手段で、前記アクセルペダル20の位置に設
けられ、絶対アクセル操作量lに応じた絶対アクセル操
作量信号(l)を出力する。
尚、このアクセルポテンショメータ33からの出力信号
が、電圧値によるアナログ信号であるため、入力インタ
フェース回路341のA/Dコンバータにてデジタル値に変換
され、CPU342やメモリ343に読み込まれる。
前記スロットル弁制御回路34は、前記入力センサからの
入力情報や、メモリ343に一時的あるいは予め記憶され
ている情報を、所定の演算処理手順に従って処理し、ス
ロットルアクチュエータであるステップモータ35に対し
パルス制御信号(c)を出力するマイクロコンピュータ
を中心とする電子回路で、内部回路として、入力インタ
フェース回路341、CPU(セントラル・プロセシング・ユ
ニット)342、メモリ(RAM,ROM)343、出力インタフェ
ース回路344を備えている。
このスロットル弁制御回路34のマップ設定手段としての
機能をもつメモリ343には、第3図に示すように、絶対
アクセル操作量lに対するスロットル開度θの制御特性
マップとして8種類の上限及び下限を有する領域制御特
性マップ#0〜#7が設定されていて、各マップ#0〜
#7は、路面摩擦係数μを下記の表1とした場合の最大
駆動力を発生するスロットル開度θに相当する。
尚、各マップ#0〜#7の上限は、絶対アクセル操作量
3/4でのスロットル開度最大値とゼロ基準点とを結ぶ線
と、絶対アクセル操作量3/4〜4/4におけるスロットル開
度最大値の線とで形成され、下限は、絶対アクセル操作
量4/4でのスロットル開度最大値とゼロ基準点とを結ぶ
線で形成されている。
また、スロットル弁制御回路34のメモリ343には、第4
図に示すように、絶対アクセル操作量Δlに対するスロ
ットル開度変化量Δθとの関係特性が三次曲線的な特性
として設定されている。
前記スロットル弁制御回路34には、特許請求の範囲で述
べたスリップ率演算手段、駆動輪速変化量演算手段、ア
クセル操作量検出手段、実スロットル開度値検出手段、
マップ設定手段、目標スロットル開度値設定手段、スロ
ットル弁開閉制御手段が含まれている。
尚、前記実スロットル開度検出手段は、スロットル弁制
御回路34のCPU342から出力インタフェース回路344へのS
TEP指令信号を同時にメモリ343で受け、このメモリ343
でSTEP数を書込みカウントする内部回路構成の手段であ
り、CPU342からの読み出し指令に従ってスロットル開度
値θが随時CPU342へ読み出される。
また、前記目標スロットル開度値設定手段にはスロット
ル全閉設定手段が含まれている。
前記ステップモータ35は、前記スロットル弁22を開閉作
動させるアクチュエータで、回転子と励磁巻線を有する
複数の固定子とを備え、励磁巻線へのパルスの与え方で
正転方向及び逆転方向に1ステップずつ回転する。
次に、実施例の作用を説明する。
まず、CPU342におけるスロットル弁開閉制御作動の流れ
を第5図に示すメインルーチンのフローチャート図と第
6図に示すサブルーチンのフローチャート図とによって
述べる。
尚、第5図のメインルーチンでの処理は、図示していな
いオペレーティングシステムにより所定周期(例えば20
msec)で起動される定時間割り込み処理であり、第6図
のサブルーチンでの処理は、この定時間割り込みにより
決定されるステップモータ35への信号出力周期に応じて
メインルーチン内で適宜起動されるoci(アウトプット
・コンベア・インタラプト)割り込み処理である。
(イ)初期設定 第5図に示すメインルーチンは、キーシリンダへエンジ
ンキーを差し込み、イグニッションスイッチをOFFからO
Nに切り換えた時点から起動が開始され、第1回目の処
理作動時には、最初かどうかの判断がなされ(ステップ
100)、次のイニシャライズステップ101に進む。
このイニシャライズステップ101では、MAPFLGをMAPFLG
=0に設定すると共に、他のFLGや基準値l0000等の
情報を全てクリアにする。
(ロ)スリップ率演算処理 タイヤ−路面間のスリップ率Sの演算処理は、ステップ
102〜ステップ107で行なわれる。
まず、各回転数センサ30,31,32からの入力信号に基づい
て後輪回転速度VR,右前輪回転速度VFR,左前輪回転速度V
FLが読み込まれ(ステップ102)、次に前輪回転速度VF
が演算される(ステップ103)。
尚、前輪回転速度VFの演算式は、 (VFR+VFL)であり、平均値により求めている。
次に、駆動輪である後輪回転速度VRが40km/h以上かどう
かが判断され(ステップ104)、VR≧40(km/h)の場合
にはステップ105へ進み、このステップ105においてスリ
ップ率Sが演算される。
尚、スリップ率Sの演算式は、 である。
また、前記ステップ104でVR<40(km/h)と判断された
場合には、前後輪回転速度差ΔV(=VR−VF)が演算さ
れ(ステップ106)、演算により求められた前後輪回転
速度差ΔVに応じてスリップ率Sが設定される(ステッ
プ107)。
従って、前記ステップ105またはステップ107で得られた
スリップ率Sは、グラフにあらわすと、第7図に示すよ
うになり、このスリップ率Sが以下の制御作動で各設定
スリップ率S0,S1,S2,S3,Scと比較する場合のしきい値と
なる。
(ハ)車両加速度演算処理 車両加速度の演算処理は、ステップ108及びステップ1
09で行なわれる。
まず、ステップ108は過去に演算された前輪回転速度VF
をVF0としてセットするステップであり、ステップ109で
は車両加速度が今回算出された前輪回転速度VFから過
去の前輪回転速度VF0を差し引くことで得られる。
すなわち、メインルーチンの起動は定時間で行なわれる
ために、過去の前輪回転速度VF0と今回の前輪回転速度V
Fとの差が前輪回転速度VFの時間微分値である車両加速
度として求められる。
(ニ)駆動輪速変化量演算処理 駆動輪速変化量は、ステップ250において、今回の
後輪回転速度VRから前回の起動時に読み込まれた後輪回
転速度VR-1を差し引くことで、メインルーチンの起動周
期当りの後輪回転速度変化量として求められることにな
る。
(ホ)制御情報の設定処理 後述するマップ選択処理やアクセルワーク判別処理で用
いられる制御情報の設定処理は、ステップ150〜ステッ
プ154で行なわれる。
まず、2周期前の処理においてサンプリングされ、1周
期前の処理において前回絶対アクセル操作量l1として取
り扱われたアクセルペダル踏み込み量が、前々回絶対ア
クセル操作量l2としてセットされる(ステップ150)。
また、1周期前の処理においてサンプリングされ、今回
絶対アクセル操作量l0として取り扱われたアクセルペダ
ル踏み込み量が、前回絶対アクセル操作量l1としてセッ
トされる(ステップ151)。
次に、現在のアクセルペダル踏み込み量が、今回絶対ア
クセル操作量l0として、また、現在のスロットル弁開度
が実スロットル開度値θとしてサンプリングされて読
み込まれる(ステップ152)。
次いで、セット済みの今回絶対アクセル操作量l0から前
回絶対アクセル操作量l1が差し引かれることにより、1
周期前の処理時からのアクセルペダル踏み込み量の変化
量である今回相対アクセル操作量ΔL0が算出され(ステ
ップ153)、また、前回絶対アクセル操作量l1から前々
回絶対アクセル操作量l2が差し引かれることにより2周
期前の処理時から1周期前の処理時までに変化したアク
セルペダル踏み込み量の変化量である前回相対アクセル
操作量ΔL1が算出される(ステップ154)。
(ヘ)マップ上り選択処理 現在選択されている領域制御特性マップより絶対アクセ
ル操作量lに対するスロットル開度θの増大比率を上げ
た上位の領域制御特性マップを選択するマップ上り選択
処理は、ステップ110〜ステップ114で行なわれ、ステッ
プ110〜ステップ113がマップ上りの条件となっている。
まず、今回相対アクセル操作量ΔL0がΔL0>0かどう
か、すなわちアクセルペダル20に対して踏み込み操作時
であるかどうかが判断され(ステップ110)、次に、ス
リップ率SがS≦S0(例えば、S0=0.1)であるかどう
か、すなわち設定スリップ率S0以下で駆動輪スリップが
ほとんど発生していないかどうかが判断され(ステップ
111)、次に実スロットル開度値θがθ≧θMAXかど
うか、すなわち実スロットル開度値θが前回に選択さ
れている領域制御特性マップによるスロットル開度上限
値θMAXかどうかが判断され(ステップ112)、次にMAPF
LGがMAPFLG=0かどうか、すなわちマップ上りが可能な
マップ#1〜#7であるかどうかが判断され(ステップ
113)、これらのマップ上り条件を全て満足している時
にだけステップ114へ進み、MAPFLGの番号(#1〜#
7)が1番下げられ(ステップ114)、領域制御特性マ
ップとしては1段階上位のマップに移行する。
尚、前記ステップ110〜ステップ113で述べたマップ上り
条件を1つでも満足しない時は、新たにマップ上り条件
の全てが満足されるまでその時に選択されている領域制
御特性マップが保持される。
(ト)マップ落ち選択処理 現在選択されている領域制御特性マップより絶対アクセ
ル操作量lに対するスロットル開度θの増大比率を下げ
た下位の領域制御特性マップを選択するマップ落ち選択
処理は、ステップ120〜ステップ133で行なわれる。
まず、スリップ率Sと第1設定値S1(例えば、S1=0.
1)とが比較され、マップ1枚落しの上限であるS>S1
かどうか、すなわち駆動輪スリップが発生しているかど
うかが判断され(ステップ120)、次のステップ132で
は、前記ステップ109で求められた車両加速度が設定
車両加速度以下であるかどうかが判断される。
尚、実施例での設定車両加速度は、500msec間の車
速変化が3km/hに相当する値としている。
S>S1かつ≦の場合には次のステップ121へ進みF
LAG・A=0かどうかが判断され、FLAG・A=0である
場合にはFLAG・A=1にセットされ(ステップ122)、
次のステップ123ではMAPFLG=7かどうかが判断され、M
APFLG≠7の時はマップ1枚落しの条件(S>S1,≦
かつMAPFLG≠7)を満足していることでMAPFLGの番号
(#0〜#6)が1番上げられ(ステップ124)、領域
制御特性マップとして1段階下位のマップに移行する。
尚、ステップ124でマップ1枚落ちが行なわれた後は、
ステップ120でS≦S1、またはステップ132で>
判断され、ステップ125を経過してFLAG・A=0にセッ
トされ、しかも、新たにS>S1とならない限り、マップ
1枚落ちの選択処理はなされず、ステップ124でのマッ
プ1枚落ちにより選択された領域制御特性マップがその
まま保持される。
ただし、FLAG・A=1の時でステツプ121からステップ1
26へ進み、後述するS>S2というマップ落しの条件を満
足している場合は別である。
このように、スリップ率Sが設定スリップ率S1を越えて
いても、車両加速度が>であって、十分な路面
摩擦係数が確保されている場合には、マップ落ちをしな
い。
また、前記ステップ124から次のステップ126へ進むと、
スリップ率Sと第2設定値S2(例えば、S2=0.3)とが
比較され、マップの1枚落し条件であるS>S2かどう
か、すなわち過大な駆動輪スリップが発生しているかど
うかが判断される。
S>S2の場合(ステップ132で≦を満足してい
る)には次のステップ127へ進みFLAG・B=0かどうか
が判断され、FLAG・B=0である場合にはFLAG・B=1
にセットされ(ステップ128)、次のステップ129ではMA
PFLG=7かどうかが判断され、MAPFLG≠7の時はマップ
1枚落しの条件(S>S2かつMAPFLG≠7)を満足してい
ることでMAPFLGの番号(#0〜#6)が1番上げられ
(ステップ130)、領域制御特性マップとして1段階下
位のマップに移行する。
尚、ステップ128によってFLAG・B=1にセットされる
ため、ステップ130でマップ1枚落ちが行なわれた後
は、ステップ126でS≦S2と判断され、ステップ131を経
過してFLAG・B=0にセットされ、しかも、新たにS>
S2とならない限り、マップ1枚落ちの選択処理はなされ
ず、ステップ130でのマップ1枚落ちにより選択された
領域制御特性マップがそのまま保持される。
このように通常の路面摩擦係数の低下ではステップ124
によるマップ1枚落ち処理で十分であるが、乾燥路等か
ら雪路やアイスバーン等の低摩擦係数路へ急に進入した
場合、一気にスリップ率Sが0.2以上等になる可能性が
あることを考慮し、スリップ率Sが0.2以上で後述する
スロットル全閉制御がなされている間にスリップ率Sが
0.3を越えた場合に、マップ落ち選択処理し、スロット
ル全閉からのリカバー時に再度過大スリップが生じない
ようにしている。
ただし、スリップ率Sが0.3を越えていても、車両加速
度がステップ132で>である場合には、十分な
路面摩擦係数が確保されていると判断され、マップ落ち
が行なわれない。
(チ)領域制御特性マップの設定 ステップ140では、前述のマップ上り選択処理とマップ
落ち選択処理との経過によって選択されているMAPFLGの
番号と同じ番号の領域制御特性マップが設定される。
(リ)アクセルワーク判別処理 アクセルワーク判別処理は、相対アクセル操作量ΔLを
求める基準を定速走行アクセル操作時としていること
で、定速走行アクセル操作時であるか否かを判別するた
めに、前記ステップ150〜ステップ154で得られた情報に
基づいてステップ155〜ステップ159で行なわれる処理で
ある。
まず、アクセルワークの判断論理は、前回相対アクセル
操作量ΔL1と今回相対アクセル操作量ΔL0を用いて、ア
クセルペダル20が2周期前の処理時から引き続いて踏み
込み方向への操作中であるとの加速アクセル操作判定が
行なわれた時(ステップ155で肯定的,ステップ156で肯
定的)、あるいは、引き続いて戻し操作中であるとの減
速アクセル操作判定が行なわれた時(ステップ155で否
定的,ステップ157で否定的)には、次のステップ160へ
進む。
また、アクセルペダル20が停止操作されてその位置に保
持された場合(ステップ155で否定的,ステップ157で肯
定的)、アクセルペダル20の操作方向が踏み方向から戻
し方向へ切り替わった場合(ステップ155で肯定的,ス
テップ156で否定的)、あるいはその逆に切り替わった
場合(ステップ155で否定的,ステップ157で肯定的)に
は、アクセルペダル踏み込み量の変化量が0を含む増加
から0を含む減少または減少から増加に移行する定速走
行アクセル操作時と判定され、ステップ158へ進み、今
回絶対アクセル操作量l0がアクセル操作量基準値l00
してセットされ、さらにステップ159へ進み今回の実ス
ロットル開度値θがスロットル開度基準値θ00として
セットされる。
(ヌ)相対アクセルストローク演算処理 前述のアクセルワーク判別処理が行なわれた後は、ステ
ップ160へ進み、相対アクセル操作量ΔLが演算され
る。
この相対アクセル操作量ΔLの演算式は、ΔL=l0−l
00であるため、加速アクセル操作時や減速アクセル操作
時には、最初に定速走行アクセル操作が行なわれた時か
ら今回絶対アクセル操作量l0までのアクセル操作変化量
として演算される。また、定速走行アクセル操作時に
は、ΔL=l0−l0となり相対アクセル操作量ΔLはゼロ
となる。
(ル)スロットル開度変化量演算 ステップ170では、ステップ160により求められた相対ア
クセル操作量ΔLと、第4図に示すΔL−Δθ特性線図
とによってスロットル開度変化量Δθが演算される。
(ヲ)目標スロットル開度値設定処理 前記スロットル開度基準値θ00と前記ステップ170で演
算されたスロットル開度変化量Δθとによって得られる
仮目標スロットル開度値θθと、前記ステップ140で設
定された領域制御特性マップと今回絶対アクセル操作量
l0(または、アクセル操作量基準値l00)によって求め
られるスロットル開度上限値θMAX及びスロットル開度
下限値θMINとを比較して目標スロットル開度値θ
設定する処理は、ステップ180〜ステップ185で行なわれ
る。
まず、仮目標スロットル開度値θθは、ステップ180で
スロットル開度基準値θ00とスロットル開度変化量Δθ
とを加算する演算式、θθ=θ00+Δθで求められる。
この仮目標スロットル開度値θθとスロットル開度上限
値θMAX及びスロットル開度下限値θMINとの比較処理
は、まず仮目標スロットル開度値θθがスロットル開度
上限値θMAX以上かどうかが判断され(ステップ181)、
θθ>θMAXの場合にはスロットル開度上限値θMAXが目
標スロットル開度値θとして設定される(ステップ18
2)。また、θθ≦θMAXの場合には仮目標スロットル開
度値θθがスロットル開度下限値θMIN以下かどうかが
判断され(ステップ183)、θθ<θMINの場合にはスロ
ットル開度下限値θMINが目標スロットル開度値θ
して設定される(ステップ184)。また、θMIN≦θθ≦
θMAXの場合には、仮目標スロットル開度値θθがその
まま目標スロットル開度値θとして設定される(ステ
ップ185)。
すなわち、目標スロットル開度値θは、選択されてい
る領域制御特性マップの領域内に存在する値として設定
される。
(ワ)スロットル全閉設定処理 通常の目標スロットル開度値θは前述のステップ180
〜ステップ185による処理で設定されるが、過大な駆動
輪スリップの発生が予測される場合には、スロットル開
度を全閉にする全閉開始処理,全閉解除処理及び全閉か
らの回復処理がステップ251〜ステップ260で行なわれ
る。
まず、駆動輪速変化量≧0かどうかが判断さ
れ(ステップ251)、駆動輪スリップが増大している
≧0の時には、全閉開始条件であるスリップ率Sが設
定スリップ率Sc(例えば、Sc=0.2)を越えているかど
うかが判断される(ステップ252)。
スリップ率SがS≦Scの場合は、そのままステップ200
へ進むが、S>Scの場合にはステップ253へ進み目標ス
ロットル開度値θがゼロに設定され、次のステップ25
4でFLAG・C=1にセットされる。
また、スロットル弁22が全閉になった後であって、駆動
輪スリップが減少側である<0である時には、ステ
ップ251からステップ255へ進み、駆動輪が減速方向で、
スリップ率SがS≦S3(例えば、S3=0.3)であるとい
う全閉解除条件が判断される。
そして、<0でS≦S3の全閉解除条件を満足する
と、ステップ255からステップ256及びステップ257へ進
み、このステップ257ではその時に選択されている領域
制御特性マップと今回絶対アクセル操作量l0により求め
られるスロットル開度下限値θMINが目標スロットル開
度値θとして設定され、次のステップ258及びステッ
プ259では今回絶対アクセル操作量l0がアクセル操作量
基準値l00に、目標スロットル開度値θがスロットル
開度基準値θ00にセットされ、基準値の更新がなされ
る。そして、ステップ260ではFLAG・C=0にセットさ
れ、次回の起動時にはステップ256からステップ200へと
進む流れになる。
すなわち、スリップ率Sが設定スリップ率Scを越え、ス
ロットル弁22を全閉にした後であって、駆動輪速変化量
<0で、かつ、スリップ率SがS≦S3(Sc<
S3)という全閉解除条件を満足すると、その時選択され
ている領域制限特性マップの下限に回復するリカバー制
御が行なわれることになる。
尚、このスロットル弁22の全閉時に、スリップ率SがS
>S2(=0.3)の条件を満足した場合には、スロットル
弁22の全閉状態は維持されたままで、ステップ126〜ス
テップ130により領域制御特性マップが1枚マップ落ち
する。
(カ)スロットル弁開閉制御処理 前述の目標スロットル開度値設定処理もしくはスロット
ル全閉設定処理によって目標スロットル開度値θが決
まったら、実スロットル開度値θを目標スロットル開
度値θに一致させる方向にスロットル弁22を作動させ
る処理が第5図のメインルーチンでのステップ200〜202
と、第6図のサブルーチンでのステップ300〜304で行な
われる。
まず、偏差εが目標スロットル開度値θから実スロッ
トル開度値θを差し引くことで演算され(ステップ20
0)、この演算により得られた偏差εに基づいてステッ
プモータ35のモータスピードの算出,正転,逆転,保持
の判断,さらにはoci割り込みルーチンの起動周期が求
められ(ステップ201)、このステップ201で設定された
ステップモータ35の作動制御内容に従ってoci割り込み
ルーチン(第6図)が起動される(ステップ202)。
次に、第6図によりoci割り込みルーチンのフローチャ
ート図について述べる。
まず、ステップモータ35の状態をそのまま保持する保持
指令出力時かどうかの判断がなされ(ステップ300)、
保持指令が出力されている時にはステップモータ35の固
定子側励磁状態を保持する(ステップ301)。
また、保持指令出力時以外の場合は、ステップモータ35
を逆転させる逆転指令出力時かどうかの判断がなされ
(ステップ302)、逆転指令が出力されている時には、S
TEPをSTEP−1にセットし(ステップ303)、STEP−1が
得られるパルス信号をステップモータ35に出力する(ス
テップ301)。さらに、ステップモータ35を正転させる
正転指令出力時には、STEPをSTEP+1にセットし(ステ
ップ304)、STEP+1が得られるパルス信号をステップ
ーモータ35に出力する(ステップ301)。
尚、このoci割り込みルーチンは、前記ステップ201で設
定された起動周期に従ってメインルーチンの起動周期内
に繰り返される。
次に、第8図に示すタイムチャート図及び第9図に示す
スロットル開度制御作動図により、マップ落ち制御,ス
ロットル全閉制御及びスロットル全閉からのリカバー制
御について述べる。
まず、この制御作動は、乾燥路から駆動輪スリップの発
生し易い雪路に進入し、さらに雪路から大きな駆動輪ス
リップが発生するアイスバーンに進入した場合の例示
で、絶対アクセル操作量lは一定とする。
雪路への進入直前は乾燥路であるため、例えでマップ#
0が選択されているとし、この時のスロットル開度はマ
ップ#0の上限値θ とする。この乾燥路から雪路へ
進入すると、駆動輪スリップが発生し始め、タイムチャ
ート図でのt1位置でスリップ率Sが0.1を越える。
このようにスリップ率が0.1を越え、雪道への進入によ
り車両加速度が設定車両加速度以下の場合は、前
述のマップ落ち選択処理におけるマップ落ちの条件を満
足することになり、メインルーチンのステップ120〜ス
テップ124でマップがマップ#0からマップ#1へ1枚
落されることになる。
尚、このマップ落しによりスロットル弁22は、閉じ方向
に作動し、スロットル開度θがマップ#0の上限値θ
からマップ#1の上限値θ へと小さくなる。
そして、このマップ#1の状態では、スロットル弁22を
閉じ方向に作動させ、エンジン駆動力を低下させたこと
で、駆動輪スリップが収束され、スリップ率SはS<0.
1になるが、マップ上りするのではなく、そのままマッ
プ#1が保持されたままで、単にマップ落ち選択処理で
メインルーチンのステップ120からステップ125へと進
み、新たなマップ落し条件であるFLAG・A=0に書き替
えられる。
しかし、タイムチャート図でのt2位置では、アイスバー
ンに進入したことで、再びスリップ率SがS>0.1で車
両加速度が≦となるため、再びメインルーチンの
ステップ120〜ステップ124でマップがマップ#1からマ
ップ#2へ1枚落とされることになる。
尚、このマップ落ちによりスロットル弁22は、閉じ方向
に作動し、スロットル開度θがマップ#1の上限値θ
からマップ#2の上限値θ へと小さくなる。
そして、このマップ#2の状態でも、駆動輪スリップは
増大した場合、タイムチャート図でのt3位置ではスリッ
プ率Sが0.2を越えてしまう。
従って、スロットル全閉処理におけるステップ252での
スロットル全閉条件(S>Sc)を満足してしまい、スロ
ットル弁22は全閉方向に作動されることになる。
尚、このスロットル弁22が全閉方向に作動される時には
駆動輪スリップの抑制効果をさらに高めるために、タイ
ムチャート図でのt3位置からt4位置までの間、フューエ
ルカット(燃料供給停止)が行なわれる。
そして、スロットル弁22が全閉の状態でも、最初のうち
はスリップ率Sが上昇し、タイムチャート図のt5位置で
はスリップ率Sが0.3を越えてしまう場合がある。
尚、スリップ率Sが0.3を越えた場合は、マップ落ち選
択処理におけるステップ126〜ステップ130でのマップ落
し条件(S>S2)を満足し、第8図に点線で示すように
マップ#2よりマップ#3へとマップ落ちを行う。しか
しながらこの時にアイスバーンからの脱出で車両加速度
がステップ132で>となっている場合には、さ
らにマップがマップ#2からマップ#3へと1枚落とさ
れることなく、そのままマップ#2が保持され全閉解除
後の加速性が確保される。そして、スリップ率が0.3を
越えて、かつ>の場合は、スリップ率Sが0.3以
下になるタイムチャート図のt6位置では、スロットル弁
22の全閉解除の条件である<0でS≦S3が満足さ
れ、マップ#2のスロットル開度下限値θMINが目標ス
ロットル開度値θとなり、スロットル開度θはマップ
#2の下限開度θ′ へ復帰することになる。
尚、S>S3でかつ≦の際はマップ#2よりマップ
#3へと1枚落とされ、<0でかつS≦S3を満足す
ればマップ#3のスロットル開度下限値ΧMINが目標ス
ロットル開度θとなる。
以上説明してきたように、実施例の駆動力制御装置にあ
っては、以下に列挙するように効果が得られる。
設定されているl−θ制御特性マップが領域制御特
性マップであり、スロットル開度θの開閉制御は、定速
走行操作時の絶対アクセル操作量lを基準とした相対ア
クセル操作量ΔLに基づいて行なわれるものであるた
め、マップ領域内ではスロットル弁22の開閉制御ゲイン
がアクセルワークに従って得られることになり、良好な
車両の加速性確保と、定速走行操作時の大きな車速変化
防止を両立できる。
ΔL−Δθ特性は、第4図に示すように、三次曲線
的な特性としているために、アクセル微量踏み込み時の
ギクシャク感が防止されるし、多めに踏み込んだ時の高
い加速性の確保が達成される。
スリップ率Sは、第7図に示すように、低車体速時
には前後輪回転速度差ΔVによってスリップ率Sを求め
るようにしているため、わずかな前後輪回転速度差ΔV
でスリップ率Sが変化する低車体速時に、高検出精度や
高演算精度が要求されないし、演算誤差によるスリップ
率Sの演算値によりマップ上り制御やマップ落ち制御や
スロットル全閉制御が行なわれることもない。
領域制御特性マップのマップ上り制御は、アクセル
ペダル20への踏み込み操作時で、スリップ率SがS≦S0
であることを条件に行なわれるものであるため、スロッ
トル弁22の開き方がアクセル操作に対応し、ドライバへ
の違和感が少ないし、自然な加速感を得ることができ
る。
また、実スロットル開度値θがスロットル開度上限値
θMAXであることが条件に加わっているため、急なエン
ジン駆動力上昇がなく、マップ上り制御時に路面摩擦係
数が急に低下しても過大な駆動輪スリップの発生が防止
される。
領域制御特性マップのマップ落ち制御は、スリップ
率SがS>S1で、かつ車両加速度が≦であり、
FLAG・A=0であることを条件に行なわれるものである
ために、マップ落ち条件を満足してマップ1枚落ちがな
された後にスリップ率が一旦S≦S1や≧となって
も、マップ上り条件を満足するか、スリップ率Sが新た
に設定スリップ率S1を越え、かつ、≦となるまで
は下位の領域制御特性マップがそのまま保持されるため
に、駆動輪スリップ回避後であっても直ちに駆動輪スリ
ップを生じた前回の駆動力レベルまで復帰することがな
く、再スリップが防止される。
また、新たに設定スリップ率S1を越え、かつ、設定車両
加速度以下になったらさらにマップ落ちするよう
に、駆動輪スリップの発生に対してはスロットル開度θ
を小さくして駆動力を減少させる方向にだけ制御される
ため、駆動力増減に伴なうハンチングの発生もなく、ガ
クガク振動が防止される。
マップ落ち条件として、スリップ率S以外に、間接
的な路面摩擦係数μの判断情報である車両加速度を含
めていることで、車両加速度が小さい状態、つまり路
面摩擦係数μが低いことを原因としてスリップ率Sが設
定スリップ率S1,S2を越えた場合には、マップ落ち制御
により駆動輪スリップが回避され、また、車両加速度
が大きい状態、つまり路面摩擦係数μが高い場合、アク
セルペダル20への踏み込みによる加速操作を原因として
スリップ率Sが設定スリップ率S1,S2を越えても、マッ
プ落ち制御を禁止することで、ドライバの加速期待感を
裏切ることなく、加速操作に対応した高い加速性が得ら
れる。
スリップ率Sがアイスバーン走行等でスリップ率が
高まっていく場合には、低い設定スリップ率Sc(=0.
2)を越えたら早期にスロットル弁22を全閉にするよう
にしているため、過大な駆動輪スリップ発生に至ること
がなく、早期にスリップ率を低下収束させることができ
る。
尚、スロットル弁22が全閉方向へ作動している時にはフ
ューエルカットを併用していることで、さらにスリップ
率の収束早期化を期待できる。
スロットル弁22の全閉開始条件(S<Sc)と全閉解
除条件(S>S3)とでは、Sc<S3とし逆ヒステリシスも
たせて早期にスロットル弁22を開くようにしているた
め、駆動力の過度の落ち込みが防止され、スロットル弁
22の全閉解除後に十分な駆動力による走行が確保され
る。
スロットル弁22の全閉後のリカバー制御は、スロッ
トル弁22の全閉時に、スリップ率がSS>S2となった場合
には領域制御特性マップが1枚落ち、この落ちた領域制
御特性マップの下限のスロットル開度に復帰するように
しているため、再度の過大スリップ発生が防止される。
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、具
体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発
明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があって
も本発明に含まれる。
例えば、実施例では全閉解除のスリップ率を設定スリッ
プ率S3(>Sc)として予め設定させた例を示したが、駆
動輪スリップが収束方向であることを示す駆動輪速変化
量が減速状態で、かつ、スリップ率が全閉開始の設定ス
リップ率を越えている逆ヒステリシス領域であれば、時
間管理(駆動輪速変化量が減速状態に入ってから所定時
間後に全閉を解除する)やスリップ率管理(スリップ率
の収束状況を監視して全閉解除のスリップ率を決定す
る)等により行なうものであってもよい。
また、実施例では、全閉解除後の回復を、その時に選択
されている領域制御特性マップの下限に回復する好まし
い例を示したが、全閉時のスロットル開度位置やマップ
上限に回復するような例であってもよい。
また、実施例では上限及び下限を有する領域制御特性マ
ップを複数設定し、全閉制御に先行してマップ落ち制御
を行ない高いスリップ率収束性が得られる例を示した
が、直線や折れ線や曲線等による線型制御特性マップを
複数設定してもよいし、また、領域制御特性マップや線
型制御特性マップを1つ設定したものであってもよい。
また、マップ落ち制御では、スリップ率の時間変化率を
加味し、スリップ率の上昇度合に応じてマップを何枚落
すか決定するようにしてもよい。
また、実施例では、ΔL−Δθ特性として1つの特性を
示したが、例えば、第4図の点線に示すような特性を加
え、マップ#0が選択されている時には実線の特性に基
づいてΔθが設定され、マップ#1〜#7が選択されて
いる時には点線の特性に基づいてΔθが設定されるよう
にしてもよく、この場合には絶対アクセル操作量に対す
るスロットル開度の制御ゲインを走行路面状態に対応さ
せることができ、駆動輪スリップが未然に防止される。
(発明の効果) 以上説明してきたように、本発明の車両用駆動力制御装
置にあっては、駆動輪速変化量が加速状態で、かつ、ス
リップ率が第1の設定スリップ率以上になると、目標ス
ロットル開度値を閉方向に変更させ、さらに、スロット
ル弁が前記閉方向への変更時であて、駆動輪速変化量が
減速状態で、かつ、スリップ率が第1の設定スリップ率
より大きい第2の設定スリップ率以下になると閉方向へ
の変更を解除し、所定の目標スロットル開度値に復帰さ
せる目標スロットル開度値設定手段を設けた装置とした
ため、早期の駆動輪スリップ収束と、駆動力の過度の落
ち込み防止との両立を図ることができるという効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の車両用駆動力制御装置を示すクレーム
対応図、第2図は本発明実施例の駆動力制御装置を示す
全体図、第3図は実施例装置のスロットル弁制御回路に
設定されている領域制御特性マップ図、第4図は実施例
装置のスロットル弁制御回路に設定されている相対アク
セル操作量−スロットル開度変化量の関係特性図、第5
図は実施例のスロットル弁制御回路での制御作動のメイ
ンルーチンを示すフローチャート図、第6図は実施例の
スロットル弁制御回路での制御作動のサブルーチンを示
すフローチャート図、第7図は実施例装置でのスリップ
率しきい値特性図、第8図は実施例装置を用いた低摩擦
係数路走行時でのタイムチャート図、第9図は第8図に
示す低摩擦係数路走行時でのスロットル開度の変化を示
す説明図、第10図は従来の駆動力制御装置を用いた低摩
擦係数路走行時でのタイムチャート図である。 a……駆動輪速検出手段 b……車体速検出手段 c……スリップ率演算手段 d……アクセル操作量検出手段 e……実スロットル開度値検出手段 f……マップ設定手段 g……駆動輪速変化量演算手段 h……目標スロットル開度値設定手段 i……スロットルアクチュエータ j……スロットル弁開閉制御手段

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動輪速検出手段から得られる車輪速度と
    車体速検出手段から得られる車体速度とによってタイヤ
    −路面間のスリップ率を演算するスリップ率演算手段
    と、 駆動輪速検出手段から得られる車輪速度によって駆動輪
    速変化量を演算する駆動輪速変化量演算手段と、 アクセル操作子に対するアクセル操作量を検出するアク
    セル操作量検出手段と、 スロットル弁の実スロットル開度値を検出する実スロッ
    トル開度値検出手段と、 アクセル操作量に対する目標スロットル開度の関係を、
    制御特性マップとして設定させているマップ設定手段
    と、 前記スリップ率が設定スリップ率未満の時は、前記アク
    セル操作量と制御特性マップとによって目標スロットル
    開度値を求め、前記駆動輪速変化量が加速状態で、か
    つ、前記スリップ率が第1の設定スリップ率以上になる
    と、目標スロットル開度値を閉方向に変更させ、 さらに、スロットル弁が前記閉方向への変更時であっ
    て、前記駆動輪速変化量が減速状態で、かつ、スリップ
    率が前記第1の設定スリップ率より大きい第2の設定ス
    リップ率以下になると閉方向への変更を解除し、所定の
    目標スロットル開度値に復帰させる目標スロットル開度
    値設定手段と、 前記実スロットル開度値を前記目標スロットル開度値に
    一致させる制御信号をスロットルアクチュエータに対し
    て出力するスロットル弁開閉制御手段と、 を備えていることを特徴とする車両用駆動力制御装置。
JP61183792A 1986-08-05 1986-08-05 車両用駆動力制御装置 Expired - Lifetime JPH0692752B2 (ja)

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JP2781867B2 (ja) * 1988-04-20 1998-07-30 三菱自動車工業株式会社 車両の加速スリップ防止装置
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