JPH0696391B2 - 車両の後輪操舵装置 - Google Patents

車両の後輪操舵装置

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JPH0696391B2
JPH0696391B2 JP62293288A JP29328887A JPH0696391B2 JP H0696391 B2 JPH0696391 B2 JP H0696391B2 JP 62293288 A JP62293288 A JP 62293288A JP 29328887 A JP29328887 A JP 29328887A JP H0696391 B2 JPH0696391 B2 JP H0696391B2
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    • B62D6/02Arrangements for automatically controlling steering depending on driving conditions sensed and responded to, e.g. control circuits responsive only to vehicle speed
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
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    • B62D7/06Steering linkage; Stub axles or their mountings for individually-pivoted wheels, e.g. on king-pins
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、ステアリングホイールの操作に応じて、前
輪と共に後輪を転蛇するための車両の後輪操舵装置、特
に、車速に応じて後輪の転舵比を変更制御することの出
来る車両の後輪操舵装置に関する。
[従来の技術] 従来より、車両の後輪操舵装置を備えた4輪操舵装置と
して、例えば、特公昭60-44185号公報に開示されるよう
に、ステアリングホイールの操作に応じて、前輪及び後
輪を転舵させると共に、この前後輪の転舵比を、予め設
定された所定の転舵比特性に基づいて、車速に応じて変
化させるように構成したものは知られている。そして、
この場合に、上記した転舵比特性は、基本的には、所定
車速(35km/h)より遅い低車速時においては、前後輪を
逆位相として、車両の回頭(旋回)性を高め、所定車速
においては、後輪を転舵しないようにして所謂2WSと
し、所定車速より速い高車速時においては、前後輪を同
位相として、車両の走行安定性(レーン変更安定性)を
高めるように、夫々設定されている。
このような従来の後輪操舵装置においては、所定車速よ
り速い車速でカーブした道を走行する際には、前後輪が
同位相で転舵されるため、所謂高速コーナリング特性が
良好に維持されることになる。ここで、このような高速
コーナリング時において、例えば、前方に障害物等を発
見し、急ブレイキを踏んだ場合、車両は急減速をし、こ
れに伴なつて転舵比が逆位相の方向に急に変更されるこ
とになる。このため、本来、コーナリング途中における
車両の姿勢を安定に保つて安定走行をさせるために、前
後輪が同位相で踏んばらなければならないにも拘らず、
反対に同位相が減少し、ひいては、逆位相に転舵され、
ヨーレイトを発生させる方向に作用して、車両の旋回性
が高まることになる。このような現象がすくい込み現象
として現れる。
特に、ブレイキングにより後輪がロツクしてスリツプし
た場合には、車体は実際には或る速度で走行しているに
も拘らず、前後輪の転舵比制御に用いられる車速センサ
は、車輪速度を検出するものであるため、瞬時に零にな
る。このため、転舵比は、逆位相の最大値まで瞬時に変
更されることになり、ロツクに伴なうタイヤのグリツプ
力低下と相まつて非常に走行状態が不安定な状態に落ち
入る虞が有る。
このため、従来において、例えば実公昭62-5974号公報
に示されるように、車両の車速感応式の後輪操舵装置に
おいて、車両の急減速を検知した場合には、前後輪の転
舵比を同位相の範囲に設定して、車両の走行条件に対応
した操舵角(滑り角を増す方向の角度)を得て、所謂タ
ツク−インを防止する技術が知られている。
また、特開昭59-81275号公報に示されるように、車両の
車速感応式の後輪操舵装置において、車両の急減速を検
出した場合には、前後輪の転舵比の変更を遅延させて、
上述したすくい込み現象を防止する技術が知られてい
る。
ここで、車両の急減速を検出する手段として、車速セン
サを用い、この車速センサの出力が急激に落ち込んだ場
合に急減速と判断するものや、ブレイキセンサと車速セ
ンサとを併用して、ブレイキが踏まれた後の車速センサ
の出力の急激な落ち込みにより、急減速と判断するもの
が知られている。
また、特開昭59-81274号公報に記載されているように、
急減速時、転舵比の変更に遅延を加える技術に代る他の
手段として、転舵比を固定するものや、2WSになるよう
転舵比を0に設定するものなどが知られている。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、これら従来技術においては、共に、車両
の急減速を検知した上で、すくい込み防止のための転舵
比の制御を実行するようにしている。このため、以下に
述べるような問題点が生じることになる。
即ち、先ず、車両の急減速を検出する場合においては、
このような急減速が発生する時間は極めて短い時間であ
り、例えば、数百msecというオーダである。一方、この
ような後輪の転舵比制御の為の車速センサのサンプリン
グ時間は、例えば、現状においては、131msecである。
このため、実際の減速検知において、131msec毎に得ら
れる検出結果は2〜3点であり、このような僅かな情報
から単位時間当りの減速度を算出して、正確に現在の減
速度が急減速の範疇に入るか否かを判定することは、不
可能である。このように、従来においては、極めて不正
確な減速判定しか出来ないのが現状である。
このように極めて不正確な急減速判定に基づいて転舵比
の変更制御を実行しようとすると、例えば、実際には急
な減速でないものの、誤判定により急減速と判定される
場合が生じる。このような誤判定の場合には、本来、車
速の低下に伴なつて前後輪の転舵比を逆位相に設定しな
ければならないのに、依然として同位相の状態が維持さ
れることとなる。また、本来、車両の実際の急減速によ
り、前後輪の転舵比を、例えば、固定して走行状態を安
全に保たなければならないのに、車速センサの不正確さ
のために、急減速の判定が為されずに、転舵比が固定さ
れずに、逆位相に変更されてしまう事態が生じる虞が有
る。このようにして、現在の車速センサの不正確さのた
めに、走行性が著しく損なわれることになる。
また、この車速センサにおいては、従来において、接点
式が採用されているため、所謂チヤタリングが発生する
ことが有る。このようなチヤタリングが車速センサにお
いて発生すると、入力信号の一時的な増加に伴なつて、
制御機構は急加速を判定する。一方、このチヤタリング
が終了すると、この後、本来の入力信号の入力数に戻
る。このため、先の急加速判定の反動として、制御機構
は急減速を判定することになる。
このようにして、この誤つた急減速の判定により、前後
輪の転舵比を同位相に固定する必要が無いのに、同位相
に固定して走行性に問題が生じる虞が生じることにな
る。
このように、現状の車速センサを用いた車速感応式の後
輪操舵装置においては、車速センサの不正確さにより、
走行性が損なわれる場合が生じると共に、急減速のみに
注目しているために、不必要な転舵比の固定動作や、誤
った転舵比の固定動作が行なわれ、走行性に支障が生じ
ることになる問題点が指摘されている。
一方、車両の急減速を検出する場合において、車速セン
サとブレイキセンサとを兼用する場合においても、上述
した車速センサの持つ問題点の他に、以下に述べるよう
な問題点が指摘される。
即ち、車両が悪路を走行している場合において、ブレイ
キが踏まれている最中に、車輪が路面の凸凹の凸部分を
乗り越えようとすると、一瞬車輪の回転が落ちて、上述
した急減速の範ちゅうに車速センサの検出結果が入り込
む事態が生じることが有る。この場合において、この走
行状態が、コーナリングの走行中であると、従来におい
ては、前後輪の転舵比が同位相に固定されてしまい、本
来逆位相により旋回性良くコーナリングしようとして
も、良好に旋回できなくなり、走行性が著しく損なわれ
ることになり、問題である。
このように、従来においては、高速コーナリングの途中
において、危険回避のために、急ブレイキを踏んだ際
に、前後輪の転舵比を同位相に固定する制御を、車速セ
ンサにおける急減速のみに注目しているために、不必要
な転舵比の固定動作や、誤った転舵比の固定動作が行な
われ、走行性に支障が生じることになり、問題点であ
る。
この発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、こ
の発明の目的は、コーナリング走行時において、その走
行状態に合致した走行性を良好に維持することが出来る
車両の後輪操舵装置を提供する事である。
ここで、従来技術に記載されている内容としてあるの
は、一定操舵角での旋回中に減速があると、転舵比Kの
値が変更され、ハンドル舵角一定でも後輪舵角が変更さ
れる為、すなわち、すくい込み現象が生じることにな
り、ドライバに違和感を与えかつ、運転がしにくくなる
という問題に着目し、減速時は転舵比を固定する等の手
段が採用されたものである。
即ち、従来技術では、車体速(実車速)と車速センサの
値(検出車速)は一致している状況下で採用されるもの
であると考えられる。従って、従来技術では、すくい込
み防止の為の減速度(B)以上で転舵比を固定する構成
となる。このことから明確なように、車輪がロツクする
減速度(A)に対応するポイントで転舵比を固定する本
件の上位概念に従来技術は相当することには相違無いこ
とである。
しかし、従来技術は、Bを対象とする為、減速度検出し
かなく、この場合、明細書記載の通り種々の問題があ
り、Bを検出できないばかりか、Aをも検出できないこ
ともある為、問題であると考えられるものである。そこ
で、本案では、Bの減速度領域というのは、車体速度と
車速センサの値が一致している領域なので、そのセンサ
値に基づいて転舵比を制御しても問題はないが、Aの領
域というのは、確実に転舵比を固定しないと危険である
為、それを確実に検出できる制御を提供したものであ
る。
即ち、Aの領域というのは、車体速度と車速センサの値
が相違し、転舵比が逆相maxになるばかりでなく、ロツ
クしている為、タイヤはグリツプ力を失つている為、こ
の領域は確実に制御する必要があると考えたものであ
る。
[問題点を解決するための手段] 上述した問題点を解決し、目的を達成するため、この発
明に係わる車両の後輪操舵装置は、車速を検出して、こ
の検出車速に応じた転舵比で前輪の転舵に応じて後輪を
転舵するための車両の後輪操舵装置において、車両が通
常の走行状態にあるか、あるいは車輪にロックが発生し
ている走行状態にあるかを判別するための判別手段と、
この判別手段により、通常の走行状態であると判別され
た場合に、検出車速に応じた第1の特性で転舵比を設定
する第1の設定手段と、前記判別手段により、車輪のロ
ツクが検出された場合に、安定側の第2の特性で転舵比
を設定する第2の設定手段とを具備することを特徴とし
ている。
[作用] 以上のように構成される車両の後輪操舵装置において
は、車輪のロツクが検出された時点で、通常の転舵比変
更制御から、安定側の特性を有する転舵比制御に変更さ
れることになる。このようにして、たとえ、車輪がロツ
クしたとしても、安全に車両の走行状態を制御すること
が出来ることになる。
[実施例] 以下、この発明に係わる車両の後輪操舵装置の一実施例
を、添付図面を参照して詳細に説明する。
第1図および第2図は本発明の一実施例に係る車両の後
輪操舵装置10を有した4輪操舵機構12を示している。図
中、参照符号FL、FR、RL、RRは、この4輪操舵機構12に
より操舵される車両の4つの車輪を示しており、左右の
前輪FL、FRは前輪操舵装置14により、また左右の後輪R
L、RRは後輪操舵装置10により夫々転舵されているよう
接続されている。
上述した前輪操舵装置14は、左右一対のナツクルアーム
16L、16Rおよびタイロツド18L、18Rと、これら左右のタ
イロツド18L、18R同士を連結するリレーロツド20とから
構成されている。また、この前輪操舵装置14には、ラツ
クピニオン式のステアリング機構22を介してステアリン
グホイール24が接続されている。このステアリング機構
22は、リレーロツド20に形成された第1のラツク28と、
上端にステアリングホイール24が連結されるとともに、
下端に第1のラツク28と噛み合う第1のピニオン30が取
付けられたステアリングシャフト32とを備えている。こ
のようにして、ステアリングホイール24の操作(回転)
に応じて左右の前輪FL、FRを転舵することが出来るよう
に構成されている。
一方、上記した後輪操舵装置10は、前輪操舵装置14と同
様に、左右のナツクルアーム34L、34Rおよびタイロツド
36L、36Rと、これらタイロツド36L、36R同士を互いに連
結するリレーロツド38とを有し、更に、油圧式のパワー
ステアリング機構26を備えている。このパワーステアリ
ング機構26は、車体に固定され、且つ、リレーロツド38
をピストンロツドとするパワーシリンダ40を備えてい
る。
このパワーシリンダ40内には、これの内周面に摺接する
ように、軸方向に沿つて移動可能にピストン40aが配設
されている。このピストン40aは、リレーロツド38に一
体的に取付けられている。そして、このピストン40aに
よつて、パワーシリンダ40の内部空間は、2つの油圧室
40b、40cに区画されている。これらの油圧室40b、40c
は、夫々パイプ42、44を介してコントロールバルブ46に
接続されている。また、このコントロールバルブ46に
は、リザーブタンク48に至る油供給管50および油排出管
52の2本のパイプが接続されている。この油排出管52に
は、図示しないエンジンにより駆動される油圧ポンプ54
が介設されている。
ここで、上記したコントロールバルブ46は、公知のスプ
ールバルブ式のもので構成されている。このコントロー
ルバルブ46は、リレーロツド38に連結部材56を介して一
体的に取付けられた筒状のバルブケーシング46aと、こ
のバルブケーシング46a内に嵌装された図示しないスプ
ールバルブとを備えている。このように構成されるコン
トロールバルブ46においては、スプールバルブの移動に
応じて、パワーシリンダ40の何か一方の油圧室40b(40
c)に、油圧ポンプ54からの圧縮油が供給され、この結
果、リレーロツド38に対する駆動力がアシストされるよ
う構成されている。
尚、上記したパワーシリンダ40の夫々の油圧室40b,40c
内には、リレーロツド38をニユートラル位置(後輪RL、
RRの舵角θが夫々零となる位置)に付勢するリターン
スプリング40dが、夫々装着されている。
また、上記した前輪操舵装置14のリレーロツド26には、
ステアリング機構22を構成する第1のラツク28とは別の
位置に、第2のラツク58が形成されている。この第2の
ラツク58には、車体の前後方向に沿つて延びるリヤステ
アリングシヤフト60の前端に取付けた第2のピニオン62
が噛合している。このリヤステアリングシヤフト60の後
端は、転舵比制御機構64を介して、後輪操舵装置10に結
合されている。
この転舵比制御機構64は、第2図に示すように、車体の
車幅方向に沿うよう規定された移動軸線に沿つて摺動自
在に保持されたコントロールロツド66を有している。こ
のコントロールロツド66の一端は、コントロールバルブ
46内のスプールバルブに連結されている。
また、この転舵比制御機構64は、基端部がU字状に形成
されたホルダ68を備えている。このホルダ68のU字状の
両端部には、支持ピン70が回動自在に軸支されている。
この支持ピン70の中央部には、これに直交した状態で、
揺動アーム72が固着されている。即ち、この揺動アーム
72は、支持ピン70を介してホルダ68に揺動自在に支承さ
れている。このホルダ68の中央部には、支持軸74が固着
されている。この支持軸74は、車体に固定された転舵比
制御機構64のケーシング(図示せず)に、コントロール
ロツド66の前述した移動軸線と直交するよう設定された
回動軸線回りに回動自在に支持されている。
換言すれば、この揺動アーム72の支持ピン70は、前述し
た両軸線(即ち、コントロールロツド66の移動軸線と、
支持軸74の回動軸線)の交差部に位置しつつ、回動軸線
と直交する方向に延出するよう設定されることになる。
そして、ホルダ68を支持軸74と共に回動軸線回りに回動
させることにより、その先端の支持ピン70とコントロー
ルロツド66の移動軸線とのなす傾斜角が変化することに
なる。即ち、支持ピン70を中心とする揺動アーム72の揺
動軌跡面の、移動軸線と直交する面(以下、基準面とい
う)に対してなす傾斜角が変化するように構成されてい
る。
また、上記した揺動アーム72の先端部には、ボールジヨ
イント76を介してコネクテイングロツド78の一端が連結
されている。このコネクテイングロツド78の他端部は、
ボールジヨイント80を介して、コントロールロツド66の
他端部に連結されている。このようにして、揺動アーム
72先端の揺動に応じて、コントロールロツド66は車幅方
向に沿つて変位されることになる。
上記したコネクテイングロツド78は、そのボールジヨイ
ント76に近い部位において、円板状の回転力付与部材82
の偏心部分に形成された透孔を、ボールジヨイント84を
介して摺動可能に貫通している。この回転力付与部材82
には、コントロールロツド66の移動軸線に同軸に位置す
る支持軸86を介して回動自在に支持された大径の傘歯車
88と一体に設けられている。この大傘歯車88には、上述
したリヤステアリングシヤフト60の後端に取付けた小径
の傘歯車90が噛合されている。このようにして、ステア
リングホイール24の回動力が、回動力付与部材82に伝達
されるように構成されている。
このため、ステアリングホイール24の回動角に応じた量
だけ、回転力付与部材82が回転し、この結果、コネクテ
イングロツド78がコントロールロツド66の移動軸線回り
に枢動する。これに伴つて、揺動アーム72が支持ピン70
を中心にして揺動された場合、支持ピン70の軸線がコン
トロールロツド66の移動軸線と一致しているとき(中立
位置にある時)には、揺動アーム72先端のボールジヨイ
ント76は、上記した基準面内で揺動するのみで、コント
ロールロツド66は移動軸線に沿つて移動することなく、
静止状態に保持される。
一方、支持ピン70の軸線が移動軸線に対し傾斜してい
て、揺動アーム72の揺動軌跡面が基準面からずれている
と、この支持ピン70を中心にした揺動アーム72の揺動に
伴つて、ボールジヨイント76が車幅方向に変位すること
になる。この結果、この変位はコネクテイングロツド78
を介してコントロールロツド66に伝達される。そして、
このコントロールロツド66が移動軸線に沿つて移動し
て、コントロールバルブ46のスプールバルブが作動され
ることになる。
即ち、支持ピン70の軸線を中心とした揺動アーム72の揺
動角が同じであつても、コントロールロツド66の左右方
向の変位は、支持ピン70の傾斜角、換言すれば、ホルダ
68の回動角の変化に伴つて変化することになる。
詳細には、支持ピン70の軸線がコントロールロツド66の
移動軸線から時計方向に偏倚するような角度を形成して
いるとき(逆位相位置にある時)には、揺動アーム72先
端のボールジヨイント76は、上記した基準面を斜めに交
差するように揺動し、ステアリングホイール24の右操舵
に応じて、コントロールロツド66は図中右方に偏倚され
る。そして、このコントロールロツド66の右方への偏倚
により、後述するようにして、後輪RL,RRは、左操舵さ
れることになる。換言すれば、この逆位相状態におい
て、前輪の転舵方向とは逆の方向に、後輪は転舵される
ことになる。
一方、支持ピン70の軸線がコントロールロツド66の移動
軸線から反時計方向に偏倚するような角度を形成してい
るとき(同位相位置にある時)には、揺動アーム72先端
のボールジヨイント76は、上記した基準面を逆位相時と
は反対側で斜めに交差するように揺動し、ステアリング
ホイール24の右操舵に応じて、コントロールロツド66は
図中左方に偏倚される。そして、このコントロールロツ
ド66の左方への偏倚により、後述するようにして、後輪
RL,RRは、右操舵されることになる。換言すれば、この
同位相状態において、前輪FL,FRの転舵方向とは同じ方
向に、後輪RL,RRは転舵されることになる。
一方、支持ピン70の移動軸線に対する傾斜角、即ち、ホ
ルダ68の基準面に対する傾斜角を変化させるために、ホ
ルダ68の支持軸74には、ウオームホイールとしてのセク
タギヤ92が一体に取付けられている。このセクタギヤ92
には、回転軸94と一体に回転するウオームギヤ96が噛合
している。また、この回転軸94には傘歯車98が一体に取
付けられている。この傘歯車98には、制御モータとして
のステツピングモータ100の出力軸100aと同軸に取付け
られた傘歯車102が噛合している。
このようにして、ステツピングモータ100が作動するこ
とにより、セクタギヤ92が回動し、ホルダ68の基準面に
対する傾斜角が変更されることになる。換言すれば、こ
のステツピングモータ100の回転駆動量に応じて、後輪R
L、RRの舵角θの前輪FL,FRに対する同位相、逆位相、
中立状態が変更制御されることになる。
そして、セクタギヤ92を、その中心線がウオームギヤ96
の回転軸94の中心線と直角になる位置で、中立位置が規
定される。また、この中立位置から、車体上方より見て
時計回り方向に回動させたときには、転舵比を後輪RL、
RRが前輪FL、FRと逆方向に向く逆位相に制御される。一
方、反対に反時計回り方向に回動させたときには、転舵
比を後輪RL、RRが前輪FL、FRと同じ方向に向く同位相に
制御されることになる。
また、上述した転舵比制御機構64の図示しないケーシン
グには、セクタギヤ92の左右両側方に位置した状態で、
このセクタギヤ92の回動範囲を規制するピンからなる逆
位相側および同位相側のストツパ部材104、106が取付け
られている。このようにして、セクタギヤ92が逆位相側
に回動したときには、その中立位置からの回動角が例え
ば−17.5°となると、セクタギヤ92が逆位相側ストツパ
部材104に当接して、それ以上の回動が規制されること
になる。
また、セクタギヤ92の同位相側への回動時には、中立位
置からの回動角が例えば20°になると、セクタギヤ92が
同位相側のストツパ部材106に当接して、それ以上の動
きが規制されるようになつている。そして、セクタギヤ
92は、逆位相側の位置を初期位置としてとるように、ス
テツピングモータ100の制御位置が規定されている。
尚、後輪操舵装置10におけるリレーロツド38の最大移動
範囲を規制するために、連結部材25の両側には、ロツド
ストツパ108が設けられている。
また、第1図に示すように、上述した油供給管50の中途
部には、オイルフイルタ110が介設されている。そし
て、このオイルフイルタ110からは、フエイルセーフ用
の油分岐管112が油供給管50とは別に分岐している。こ
の油分岐管112は、先端において、二股に分かれてお
り、夫々の先端112a,112bには、フエイルセーフ用の電
磁弁114,116の入力ポートが接続されている。一方、こ
れら2組の電磁弁114,116の夫々の出力ポートは、戻し
油分岐管118a,118bに接合されている。そして、これら
戻し油分岐管118a,118bは、1本の戻し油管118にまとめ
られた状態で、リザーブタンク48に接続されている。
ここで、各電磁弁114,116は、車両のイグニツシヨンキ
ーのオン動作に伴ない、通電されて対応する油分岐管11
2a,112bを閉塞動作し、通電されていない状態で、開放
するよう構成されている。この結果、両電磁弁114,116
が閉塞されている限りにおいて、油圧ポンプ54からの油
圧は、コントロールバルブ46に作用することになる。一
方、後輪操舵動作中において、後述するフエイル検出が
なされると、後述するコントロールユニツト132によ
り、両電磁弁114,116への通電状態が遮断されるフエイ
ルセイフ動作が実行される。
この結果、何れか一方の電磁弁114,116が開放すること
により、油圧ポンプ54からの油圧は、コントロールバル
ブ46に作用することなく、リザーブタンク48に逃げるこ
とになる。従つて、油圧がパワーシリンダ40に作用しな
くなり、リレーロツド38は、一対のリターンスプリング
40dにより両側から押圧されて、機械的に中立位置に付
勢される。即ち、フエイルセーフが作動して、後輪は中
立位置、換言すれば、車両は2輪駆動状態(2WS)に機
械的に固定されることになる。
ここで、上述したように、セクタギヤ92の回動位置にお
いて、転舵比が規定されることになる。そこで、このセ
クタギヤ92には、これの回動角度を検出することによ
り、設定された転舵比を検出するために、転舵比センサ
120が取り付けられている。尚、この転舵比センサ120
は、中立位置において、零値を出力し、同位相におい
て、プラス値を出力し、そして、逆位相において、マイ
ナス値を出力するように構成されている。
一方、第3図に示すように、この一実施例においては、
車速感応式の4輪操舵システムを達成するために、第1
及び第2の2個の車速センサ122,124を備えている。こ
の第1の車速センサ122は、トランスアクスル126へのス
ピードメータ軸128の結合部に接続され、第2の車速セ
ンサ124は、スピードメータ130内に取り付けられてい
る。各車速センサ122,124としては、リード・スイツチ
タイプが採用されており、夫々、スピードメータ軸128
の1回転につき4パルスの出力信号を出力するように構
成されている。
上述したステツピングモータ100は、転舵比変更手段と
して作用し、第1図に示すようにマイクロコンピユータ
内蔵のコントロールユニツト132からの出力によつて作
動が制御されるように構成されている。このコントロー
ルユニツト132は、後に詳述するが、4輪操舵状態にお
いて、所定のフエイル状態が発生した際に、フエイルセ
イフ動作を実行するよう構成されていると共に、後に詳
述する車輪のロツクの検出状態において、前後輪の転舵
比を、予め設定してある通常の特性とは異なり、ロツク
検出直前の車速に応じた転舵比に固定するよう構成され
ている。
ここで、このコントロールユニツト132には、第4図に
示すように、バツテリ(図中、+Bで示す。)からの電
源電圧が、リレー・タイマ回路134を介して供給されて
いる。一方、前述した第1及び第2の電磁弁114,116
と、ステツピングモータ100とにも、このリレー・タイ
マ回路134を介して、バツテリからの電源電圧が供給さ
れている。更に、このリレー・タイマ回路134からの電
圧は、後述するオイルレベルスイツチ136を介して、コ
ントロールユニツト132に供給されている。
また、このリレー・タイマ回路134には、イグニツシヨ
ンスイツチ(図中、IGで示す。)が接続されており、こ
のイグニツシヨンスイツチのオン動作に伴ない、所定時
間経過後、バツテリからの電源電圧をこれに接続された
各部位に供給するよう構成されている。また、このリレ
ー・タイマ回路134には、後述するフエイル検出のため
に、オルタネータ138のL端子が接続されている。この
L端子の入力電圧が所定電圧以下の際には、コントロー
ルユニツト132は、リレーを切断して、各部位への電圧
の供給を停止し、4輪操舵制御を中断するよう構成され
ている。
尚、コントロールユニツト132においては、このオルタ
ネータ138における発電電圧値を検出しており、これが
所定電圧以上で、エンジンの所定回転数での駆動状態が
検出されるように設定されている。
また、このリレー・タイマ回路134は、上述したイグニ
ツシヨンスイツチのオン動作に伴ない入力されたイグニ
ツシヨン電圧が、9V以上でない時に、フエイル信号をコ
ントロールユニツト132に出力するよう構成されてい
る。
ここで、第4図に示すように、コントロールユニツト13
2には、第1の及び第2の車速センサ122,124と、ブレイ
キペダルが踏み込まれることによりオン動作されるブレ
イキセンサ140と、セレクトレバーに取り付けられたイ
ンヒビタスイツチ142とが接続されている。
そして、このコントロールユニツト132は、これに接続
された種々のセンサから、上述した2種類のフエイル検
出の他、以下のフエイル検出を実行するよう構成されて
いる。即ち、第1及び第2の車速センサ122,124が車速
急変信号を出力した時、互いの出力値が異なつた時、走
行中において、両出力値が無くなつた時、ステツピング
モータ100の作動によるセクタギヤ92の回動角の計算値
と転舵比センサ120における出力値とが異なる時、両電
磁弁144,116への出力回路が故障、断線、シヨートした
時、ステツピングモータ100の出力回路が故障、断線、
シヨートした時、転舵比センサ120の出力が設定範囲を
外れた時、転舵比センサの基準出力信号が読み取れない
時、油圧ポンプ54のタンク内のオイルレベルスイツチ13
6がオン動作した時等において、夫々フエイル信号がコ
ントロールユニツト132に出力されるよう設定されてい
る。
尚、このコントロールユニツト132は、上述したフエイ
ル信号を受け、そのフエイル内容に応じて、ステツピン
グモータ100を駆動して強制的に2WSモードに移行させる
か、両電磁弁114,116への通電を遮断して、油圧がコン
トロールバルブ46に作用せずに、一対のスプリング40d
の付勢力により機械的に固定するか、後輪転舵装置10へ
の電圧の供給を遮断して、制御動作を中断するかの、3
種類のフエイルセイフ動作を実行するよう構成されてい
る。
ここで、この一実施例においては、回転数が2,200r.p.
m.以上で、インヒビタスイッチ142からオフ信号、即
ち、セレクトレバーがNレンジ(ニユートラル位置)又
は、Pレンジ(パーキング位置)以外の走行設定位置に
もたらされている場合には、実質走行状態と判断してい
る。この状態で、第1及び第2の車速センサ122,124か
ら車速情報が出力されないと、上述したように、車速セ
ンサの異常と判断して、フエイル検出が実行されるよ
う、コントロールユニツト132において設定されてい
る。
このフエイル検出動作自体は、間違いの無い制御内容で
あるが、常時、このフエイル検出動作を実行して、フエ
イルセイフ動作を引き起すと、以下に述べる場合につ
き、不都合が生じる。このため、この一実施例において
は、上述した車速センサの異常に基づくフエイル検出動
作を禁止するように設定されている。
即ち、修理工場等における車両の検査時において、エン
ジンの出力が正規に出ているか否かを検査するために、
ブレイキペダルを踏んで車両を強制的に停止させた状態
で、アクセルペダルを踏んで、エンジン回転数を増加さ
せるテストがある。このテストにおいては、エンジンが
正常であれば最大トルクを発揮する回転数までエンジン
回転が上昇することになる。このようなテストにおいて
は、フエイル検出に何等制限が加えられていないと、走
行状態が検出されているにも拘らず、両車速センサ122,
124からは何等車速情報が出力されないので、上述した
フエイル検出が実行されることになる。
しかしながら、この一実施例においては、ブレイキペダ
ルが踏まれてブレイキスイツチ140がオンされている状
態においては、上述したフエイル発生状態は、テストに
なるものと規定し、このような場合には、フエイル検出
を制限する禁止制御が実行されるように設定されてい
る。
このようにして、この一実施例においては、ブレイキス
イツチを活用して、車両のテスト時における無用なフエ
イル検出動作を禁止し、テスト操作の作業性の向上が図
られることになる。
一方、このコントロールユニツト132は、通常の走行状
態においては、第5図に実線Iで示す通常の第1の転舵
比特性に従つて、現在の走行状態、即ち、検出された車
速に応じた転舵比を設定されている。ここで、このコン
トロールユニツト132においては、トランスアクスル側
の第1の車速センサ122と、スピードメータ側の第2の
車速センサ124とにより検出された2つの車速の内で、
高い方の値により検出された車速に応じて決定された転
舵比に基づいて、後輪RL,RRを転舵するよう、ステツピ
ングモータ100が駆動制御されるものである。
尚、この車速検出は、各車速センサ122,124において、1
31msec毎にサンプリングされた最新の6個の車速情報か
ら移動平均をとることにより実行されるものである。
ここで、コントロールユニツト132においては、上述し
たフエイルセイフ動作とは独立した別制御として、車両
の走行中において、車輪がロツクした際のロツク制御動
作が実行されるように設定されている。
即ち、従来技術においても詳細に議論したように、この
一実施例においては、35km/hの所定車速より速い車速で
カーブした道を走行する際には、前後輪が同位相で転舵
されるため、所謂高速コーナリング特性が良好に維持さ
れることになる。ここで、このような高速コーナリング
時において、例えば、前方に障害物等を発見した場合、
急ブレイキを踏むことになる。この急ブレイキにより車
輪がロツクした場合、車両の実際の速度は急減速しない
ものの、第1及び第2の車速センサ122,124から出力さ
れる車速情報は、零となる。このため、この検出車速は
所定車速より遅くなり、前後輪は逆位相で転舵されるこ
とになる。
即ち、コーナリングの途中において、後輪が同位相から
逆位相に転舵されることになる。このため、本来、コー
ナリング途中における車両の姿勢を安定に保つて安定走
行をさせるために、前後輪が同位相で踏んばらなければ
ならないにも拘らず、反対に逆位相に転舵され、ヨーレ
イトを発生させる方向に作用して、車両の旋回性が急激
に高まることになり、所謂すくい込み現象が発生し、車
両はスピンして危険状態に落ち入ることになる。
このような危険になることを回避するため、この一実施
例においては、コントロールユニツト132が車輪のロツ
ク検出をした際には、転舵比を安定側に設定する危険回
避制御(以下、ロツク制御と呼ぶ。)が実行されるよう
設定されている。
ここで、このコントロールユニツト132は、ロツク検出
を以下のようにして実行するものである。即ち、 (1)ブレイキペダルが踏まれて、ブレイキセンサ140
がオンしており、 (2)第1の車速センサ122からの車速の検出結果が、
実質的に零となり、且つ、 (3)第1の車速センサ122における検出結果から車速
の実質的な零判定がなされる直前の検出車速が30km/h以
上である場合に、 車輪がロックしているものと判断するよう設定されてい
る。
ここで、上述した(2)における第1の車速センサ122
の検出内容が、「実質的な零」に設定されているのは、
従来例においても説明したように、現在採用されている
リード・スイツチタイプの車速センサでは、検出精度が
悪く、検出車速が約10km/h乃至零の範囲で、零判定をす
るからである。
また、上述した(3)において、車速の実質的な零判定
がなされる直前の検出車速とは、車速の実質的な零判定
がなされた際に用いられた6個の検出結果の中の最後の
サンプリングタイムの直前の、即ち、131msec前の6個
の検出結果の平均値により規定されるものである。
このように3つの条件が揃つた時点で、ロツク判定が下
され、このロツク判定に基づき、コントロールユニツト
132は、以下に述べるロツク制御を実行するよう設定さ
れている。
即ち、このロツク制御においては、走行状態を安定側に
保持するために、前後輪の転舵比を、ロツク判定をした
直前の車速を検出した時点における転舵比の値に固定す
る固定動作が実行される。即ち、第5図において破線II
で示すように、35km/h以上の車速から急ブレイキを踏ん
で、車輪がロツクした場合において、例え、第1の車速
センサ122で検出した車速が実質的に零であろうとも、
その検出した時点における同位相側の転舵比に、以降の
転舵比を固定することになる。この転舵比の固定動作に
より、転舵比が安定側に保持されて、後輪が転舵されな
くなる。このようにして、この一実施例においては、車
輪がロツクした状態における走行性が、安全に確保され
ることになる。
尚、以上の議論から明かなように、ロツク直前の車速が
30km/h以上で、35km/h未満の場合には、逆位相側の転舵
比に固定されるものである。しかしながら、このよう
に、車速が30km/h以上で、35km/h未満の場合にの転舵比
は、ほとんど零に近い値であり、この転舵比に固定した
としても、何等不都合は生じないものである。
ここで、上述したように、通常の後輪操舵制御や、フエ
イル検出においては、第1及び第2の車速センサ122,12
4が検出手段として用いられていたが、ロツク検出動作
における車速検出手段としては、トランクアクスル側の
第1の車速センサ122のみが用いられ、スピードメータ
側の第2の車速センサ124は用いられていない。これ
は、第1及び第2の車速センサ122,124は、互いに、ス
ピードメータ軸128を介して結合されている。ここで、
このスピードメータ軸128はリジツドであるが長いため
に、これのねじれ方向のばらつきや、回転伝達時のイナ
ーシヤ等により、トランクアクスルにおけるドリブンギ
ヤの回転変化が、正確に、且つ、即座に、遠い側の第2
の車速センサ124に伝わらないからである。
このように、この一実施例においては、通常の後輪操舵
制御やフエイル検出においては、2個の車速センサ122,
124が用いられているものの、ロツク検出動作において
は、1個の車速センサ、特に、トランスアクスル側の第
1の車速センサ122のみが用いられている。このように
して、ロツク検出動作において、応答性良く、車速が検
出されることになる。
また、この一実施例においては、2個の車速センサ122,
124の値を比較した上で、検出値の高い方の値を採用す
るというような、比較検討動作を実行していないもので
ある。このため、検出動作の動作時間は、極めて短いも
のとなり、上述した応答性の良好は更に担保されること
になる。
ここで、この一実施例においては、上述したロツク検出
動作における車速検出動作とは別に実行されている所の
上述したのフエイル制御内容として、第1及び第2の車
速センサ122,124の出力値の一致・不一致を検出してい
る。そして、両出力値が一致している限りにおいて、フ
エイル検出がなされずに、第1の車速センサ122が車速
検出手段として採用されている。
しかしながら、何等かの理由により第1の車速センサ12
2の出力が急変して零になり、第2の車速センサ124のみ
から出力されている場合には、この第2の車速センサ12
4からの検出結果を用いてロツク判定することなく、両
車速センサ122,124からの検出出力の不一致に基づき、
フエイル検出がなされ、上述したフエイルセイフ動作が
実行される。
具体的には、この場合のフエイルセイフ動作は、第1及
び第2の電磁弁114,116への通電状態を遮断し、油圧回
路を切断している。この油圧回路の切断により、一対の
コイルスプリング40dの付勢力により、後輪RL,RRを前輪
FL,FRが転舵されようと、転舵されずに、所謂2WSの状態
に固定されることになる。また、第4図に示すように、
スピードメータ130内に設けられたフエイル警告ランプ1
44が点滅する。こうして、フエイルセイフ動作が実行さ
れる。
ここで、このコントロールユニツト132においては、上
述したような第1の車速センサ122の故障に基づくフエ
イル検出を、ブレイキペダルが踏まれてブレイキスイツ
チ140がオン動作されている場合には、実行せずに、上
述したロツク制御を実行するように設定されている。そ
して、この第1の車速センサ122の出力が急変して零に
なることに基づくフエイル検出は、ブレイキスイツチ14
0がオフされている時にのみ実行されるよう設定されて
いる。
即ち、上述したロツク判定がなされる3つの条件の中
で、(2)における第1の車速センサ122からの検出車
速が急変して実質的に零になる状態と、第1の車速セン
サ122が故障して、情報を出力を急激に出力しなくなる
状態とは、同一状態として表われる。このため、この一
実施例においては、コントロールユニツト132は、ブレ
イキスイツチ140がオンになつた状態における第1の車
速センサ122からの出力が零になる情報を、ロツク判定
に用い、ブレイキスイツチ140がオフである状態におけ
る第1の車速センサ122からの出力が零になる情報は、
フエイル検出に用いるように区別している。
このようにして、この一実施例においては、走行中にお
けるブレイキング動作に伴なう車輪のロツク発生時に
は、例え、第1の車速センサ122の出力が零になつたと
しても、これは車輪のロツクに基づくものであるから、
フエイル検出せずに、ロツク検出動作が実行されること
になる。
この結果、走行中における車輪のロツクに基づき、第1
の車速センサ122の出力が零になることによりフエイル
検出がなされて、強制的に2WSに操舵状態が固定される
ことにより発生する不都合、即ち、例えば、35km/h以上
の車速で走行中に、急ブレイキを踏んで車輪がロツクし
た場合において、後輪を同位相の転舵比に固定して安定
した走行状態を維持しなければならににも拘らず、フエ
イルセイフに基づいて強制的に2WSに固定する動作が実
行されるために、後輪RL,RRが同位相に転舵された位置
から中立位置に転舵される不都合が、確実に防止される
ことになる。
一方、この一実施例においては、走行中において、ブレ
イキスイツチ140がオフの状態で第1の車速センサ122の
出力が零になるということは、何等ブレイキングしてい
ない走行状態状態において、第1の車速センサ122によ
り停止状態が検出されることを意味することになる。従
つて、この状態で初めて、この第1の車速センサ122の
故障等の異常状態の発生が判明したことになり、上述し
たフエイル検出が実行されることになる。
また、上述したコントロールユニツト132においては、
ロツク検出に関して、以下の制限条件が課せられてい
る。即ち、上述したロツク検出動作において、第1の車
速センサ122からの車速検出結果が、所定値以上の車速
の急増を伴なう場合には、ロツク検出を実行せずに、第
5図に実線Iで示す第1の転舵比特性で、後輪RL,RRを
操舵するように設定されている。
詳細には、このコントロールユニツト132においては、
第1の車速センサ122からの車速検出結果の毎秒当たり
の変化量を検出している。そして、この毎秒当たりの車
速の変化量が、設定された所定値としての53km/hを越え
るような急増であると判断した場合には、その直後にロ
ツク検出状態が発生したとしても、換言すれば、上述し
た3つのロツク判定条件が満たされたとしても、ロツク
検出せずに、ロツク制御への移行を禁止されることにな
る。そして、このようなロツク制御の禁止状態におい
て、上述した第1の転舵比特性で後輪RL,RRが操舵され
ることになる。
以上のようにコントロールユニツト132において、ロツ
ク検出に対して制限条件が課せられているので、この一
実施例においては、走行路面が低い摩擦係数を有する状
態である場合、換言すれば、凍結した路面である場合に
おいて、発進時にアクセルペダルを強く踏み、所謂ホイ
ールスピン状態が発生した際において、安全に車体の走
行性を確保できるものである。
即ち、発進時にホイールスピンが生じると、車体のコン
トロールが失われて、車体が横を向くことが有る。この
場合に、運転者は車体の姿勢を正しくしようとしてステ
アリングホイール24を回転させつつ、急ブレイキを踏ん
で車体を停止しようと操作する。この状態において、車
輪がロツクすると、上述した3つのロツク判定条件が満
たされることになる。しかしながら、この一実施例にお
いては、上述したように、車速の急増判定直後のロツク
検出を禁止している。従つて、ロツク検出が実行される
ことによりロツク検出直前の転舵比に固定され、再発進
時に通常の転舵比に復帰しないことによる不都合が確実
に防止されることになる。
また、この一実施例においては、このようにロツク検出
に対する制限条件を課しているので、従来技術において
説明したような、車速センサにおけるチヤタリングが発
生して、実際の車速変化はないものの、検出出力だけは
車速の急増を示すことによる不都合が確実に防止される
ことになる。
即ち、上述した制限条件が課せられていないと、40km/h
以上で軽くブレイキペダルが踏まれての減速走行中に、
このチヤタリングが生じ、一瞬でも車速零の状態が検出
されると、コントロールユニツト132は、車輪のロツク
を検出し、転舵比の固定動作を実行することになる。し
かしながら、チヤタリングの発生は、必ず、車速の急増
を伴なうものであり、この一実施例においては、この車
速の急増検出により、ロツク検出動作が禁止されている
ので、チヤタリングという車速センサの誤動作に基づく
不必要な転舵比の固定動作が阻止され、上述した第1の
転舵比特性に基づく、通常の転舵比制御が実行されるこ
とになり、良好な走行性が確保される。
以上の説明においては、コントロールユニツト132にお
けるロツク検出動作、ロツク制御動作、並びに、これに
伴なう種々の制御動作が説明された。
しかしながら、ロツク検出に基づき、ロツク制御が実行
されると、転舵比は上述したように、ロツク検出直前の
車速に応じた転舵比に固定されることになる。このよう
な操作は、走行状態の安全性確保の観点からは必要なこ
とであるが、車輪のロツクが解除された後においては、
無用な動作である。従つて、このように車輪のロツクが
解除された後においては、一刻も速く、ロツク制御動作
を解除して、転舵比を固定した状態を取り除いて、通常
の転舵比制御動作を実行するようにしなければならな
い。このため、この一実施例においては、以下に説明す
るように、ロツク制御動作の解除動作、換言すれば、ロ
ツク制御状態からの通常の転舵比制御動作への復帰動作
が規定されている。
以下に、この復帰動作(ロツク解除動作)について説明
する。
この復帰動作(ロツク解除動作)は、基本的には、ロツ
ク検出動作後において、ロツク制御動作を解除しても安
全であると判断される場合に、実行されるものであり、
大別すると、実際の車速と、第1の車速センサ122によ
り検出された車速とが実質的に一致した場合に解除動作
が実行される第1の態様と、検出車速が実車速より低い
状態で解除動作が実行される第2の態様とが、コントロ
ールユニツト132において設定されている。
即ち、この第1の態様では、このようなロツク検出動作
後において、実際の車速と、第1の車速センサ122によ
り検出された車速とが実質的に一致した場合とは、車輪
が路面に対して完全にグリツプした状態を意味するもの
であり、最早スリツプの無い危険状態を脱したものと判
断されるものである。ここで、このような実際の車速
と、第1の車速センサ122により検出された車速との実
質的な一致は、以下の、3つ条件の何か一つが満足され
た場合に判定されるものである。
先ず、第1の条件は、如何なる条件(走行条件、路面状
態)下においても、ロツクした車両が確実に停止するこ
とが出来る時間が経過することである。この時間が経過
した後は、車速零(停止状態)の状態で、上述したよう
に、ロツク検出動作後において、実際の車速と、第1の
車速センサ122により検出された車速とが実質的に一致
することになり、このタイミングで、ロツク制御動作の
解除が実行される。このようにして、第5図において実
線Iで示すような通常の転舵比制御動作に復帰すること
になる。
詳細には、上述した3つの条件が揃つてロツク検出がな
されてロツク制御動作が開始されてから、このロツク制
御動作を解除するための解除期間T1は、時速xkmで車両
がロツク直前に走行している場合には、 解除期間T1(sec)=x・C 但し、C;定数 により規定される。
ここで、この一実施例においては、この定数Cは、0.14
2と与えられている。そして、この0.142という数値は、
120km/hで路面の摩擦係数が0.2の道路を走行中の車両
が、急ブレイキを掛けて、車輪がロツクした状態で、道
路上を滑走し続けた場合に、車両が停止することが出来
る時間である17秒から算出される値である。尚、路面の
摩擦係数0.2という値は、例えば、北欧諸国における厳
冬期の路面凍結状態において発生するものであり、設定
条件としては充分である。
このようにして、第6A図に示すように、例えば、車両が
50km/hで走行中において、急ブレイキが踏まれて車輪が
ロツクした場合であつても、解除時間T1は、 50×0.142=7.1(秒) であるから、7.1秒後には、確実に停止しているもので
ある。
尚、第6A図において、実線は、第1の車速センサ122に
より検出された検出車速を、また、一点鎖線は、実際の
車両の車速を、夫々示している。この第6A図の一点鎖線
から明らかなように、車両は、実際には、この一実施例
においては、車輪がロツクして3.6秒後に停止している
ものである。また、この設定は、以下の第6B図乃至第6D
図においても、同様である。
このように、この第1の条件を設定することにより、上
述した解除時間T1が経過した時点で、例え、運転者がブ
レイキペダルを踏み続けて、ブレイキスイツチ140がオ
ンになされていようと、既に、車両は確実に停止してい
るものである。このため、この解除時間T1が経過後、ロ
ツク制御を解除して、通常の転舵比制御動作を実行する
よう設定しても何等差障りのないものである。
このようにして、この一実施例においては、運転者が車
両の停止状態に気付いて、再び、発進しようとする際に
おいて、転舵比は、ロツク直前の転舵比に固定されてお
らず、通常の転舵比制御が実行されることになるので、
車両の走行性は良好に維持されることになる。
次に、ロツク制御動作の解除のための第2の条件につい
て説明する。この第2の条件は、ロツク検出直前の車速
より、現時点における検出車速が上回ることである。こ
の第2の条件が満足されることにより、ロツク検出直前
の車速で、実際の車速と、第1の車速センサ122により
検出された車速とが実質的に一致することになり、この
タイミングで、ロツク制御動作の解除が実行される。こ
のようにして、第5図において実線Iで示すような通常
の転舵比制御動作に復帰することになる。
詳細には、第6B図に示すように、例えば、車両が50km/h
で走行中において、急ブレイキを踏んで車輪がロツクす
ることにより、ロツク検出され、ロツク制御動作が開始
されることになる。ここで、運転者が車体が完全に停止
したことに気付いて、ブレイキペダルから足を離し、ア
クセルペダルを踏み込んで車両を加速する場合が生じ
る。このような場合に、車輪はグリツプしているので、
図中実線で示すように、アクセルペダルの踏み込みに応
じて、車速センサ122の出力は上昇することになる。そ
して、ロツク検出直前の車速より、現時点における検出
車速が上回ると、転舵比を、同位相側に更に変更させな
ければ、車両の走行安定性を確保出来ない状態となる。
このため、走行の安全を図る上からも、当然、ロツク制
御動作を解除して、現在の車速に応じた転舵比で後輪を
操舵することになる。
一方、この第2の条件の下において、運転者が、車輪が
ロツクされて比較的速い時期に、換言すれば、実際の車
両速度があまり低下しない内に、ブレイキペダルから足
を離してブレイキを解除して、アクセルペダルを踏み込
む動作を実行する場合がある。この場合、車輪が路面に
グリツプすると、図中実線で示すように、アクセルペダ
ルの踏み込みに応じて、車速センサ122の出力は上昇す
ることになる。そして、上述したように、ロツク検出直
前の車速より、現時点における検出車速が上回ると、転
舵比を、同位相側に更に変更させなければ、車両の走行
安定性を確保出来ない状態となる。このため、走行の安
全を図る上からも、当然、ロツク制御動作を解除して、
現在の車速に応じた転舵比で後輪を操舵することにな
る。
このようにして、この一実施例においては、ロツク検出
後において、加速しようとする場合に、ロツク検出直前
の車速より、現在の検出車速が一致して更に越えた場合
に、ロツク制御動作を解除して、通常の転舵比制御動作
を開始することにより、走行安全性が確保されることに
なる。
次に、ロツク制御動作解除のための第3の条件につい
て、以下に説明する。この第3の条件は、ブレイキスイ
ツチのオン・オフに拘らず、一定車速が所定時間T2だけ
連続して入力されることである。即ち、ロツク検出後、
所定時間T2だけ第1の車速センサ122から車速情報が入
力された際に、ロツク制御動作の解除が実行される。こ
のようにして、第5図において実線Iで示すような通常
の転舵比制御動作に復帰することになる。
詳細には、第6C図の左半分に示すように、例えば、車両
が50km/hで走行中において、急ブレイキを踏んで車輪が
ロツクすることにより、ロツク検出され、ロツク制御動
作が開始されることになる。ここで、運転者が車体が完
全に停止したことに気付いて、ブレイキペダルから足を
離し、アクセルペダルを踏み込んで車両を発進する場合
が生じる。このような場合に、車輪はグリツプしている
ので、図中実線で示すように、アクセルペダルの踏み込
みに応じて、第1の車速センサ122の出力は上昇するこ
とになる。そして、この車速センサ122からの車速情報
が連続して、所定時間T2として設定された917msecだけ
出力されると、車輪はグリツプしているので、転舵比
を、検出車速に応じて設定する通常の転舵比制御に変更
させなければ、車両の走行安定性を確保出来ない状態と
なる。このため、走行の安全を図る上からも、当然、ロ
ツク制御動作を解除して、現在の車速に応じた転舵比で
後輪を操舵することになる。
一方、この第3の条件の下において、第6C図の右半分に
示すように、運転者が、車輪がロツクされて比較的速い
時期に、換言すれば、実際の車両速度があまり低下しな
い内に、ブレイキペダルの踏み込み量を少なくして、車
輪を路面にグリツプさせる場合が生じる。この場合、ブ
レイキペダルから足を離してないので、ブレイキスイツ
チ140はオンの状態が維持されている。しかしながら、
車輪が路面にグリツプすると、図中実線で示すように、
第1の車速センサ122の出力は復帰することになる。そ
こで、上述したように、第1の車速センサ122から車速
情報が出力された時点から、917msec経過した時点にお
いては、転舵比を、検出車速に応じて変更させなけれ
ば、車両の走行安定性を確保出来ない状態となる。この
ため、走行の安全を図る上からも、当然、ロツク制御動
作を解除して、現在の車速に応じた転舵比で後輪を操舵
することになる。
このようにして、この一実施例においては、ロツク検出
後において、所定時間T2だけ車速情報が出力された場合
には、車輪が路面にグリツプされていて、検出車速と実
車速とが一致しているものと判断する。そして、このよ
うに車輪がグリツプした状態においては、ブレイキスイ
ツチがオンであろうとオフであろうと、迅速にロツク制
御を解除して、通常の転舵比制御動作を開始することに
より、走行安定性が確保されることになる。
次に、ロツク制御動作解除のための第2の態様における
条件、即ち、第4の条件について説明する。
上述した第1乃至第3の条件においては、既に説明して
きたように、検出車速と実車速とが一致した場合に、車
輪が路面に対してグリツプしていることを意味している
ので、ロツク制御動作を行なう必要が無くなり、このロ
ツク生後動作を解除して、通常の転舵比制御動作に復帰
するように設定されている。
しかしながら、この第4の条件は、上述したような検出
車速と実車速との一致を待たずに、実質的に、ロツク制
御動作を解除しても、充分に安全であると判断されるタ
イミングにより、設定されている。即ち、この第4の条
件は、ブレイキスイツチ140がオフ動作した後、所定時
間T2が経過することにより設定されている。この第4の
条件が満足されることにより、ブレイキの解除後におい
て、車輪は路面にグリツプする方向に動作しており、実
際の車速と、第1の車速センサ122により検出された車
速とが、やがて実質的に一致することになる。そして、
このタイミングで、ロツク制御動作の解除が実行される
ことにより、第5図において実線Iで示すような通常の
転舵比制御動作に復帰することになる。
詳細には、第6D図の右半分に示すように、例えば、車両
が50km/hで走行中において、運転者が誤つて急ブレイキ
を踏んで車輪が一時的にロツクする。このロツク状態に
おいて、車輪がロツクしたことを運転者が気付くと、ブ
レイキペダルから足を離して、車輪が路面にグリツプす
る方向に動作する。この場合において、ブレイキペダル
から足を離すことにより、ブレイキスイツチ140がオフ
動作する。このブレイキスイツチ140がオフした時点か
ら、所定時間T2、この一実施例においては、786msecが
経過すると、ロツク制御動作を解除し、通常の転舵比制
御動作に復帰するように設定されている。
即ち、この786msecは、サンプリング時間が131msecであ
ることから、この第4の条件においては、6つの車速情
報が入力されるのを待つて、制御内容をロツク制御か
ら、通常の転舵比制御に復帰させようとするものであ
る。ここで、前述したように、車速は、6つの車速情報
の移動平均を取ることにより算出するよう設定されてい
る。このようにして、この第4の条件は、ブレイキ解除
により車輪のロツク状態が解除され、第1の車速センサ
122から車速情報が出力され始めた時点から、移動平均
を取るのに必要な6つの車速情報が出力される時間であ
る786msecを待つて、満足されるように設定されてい
る。
ここで、このようにブレイキが解除されてから786msec
経過した時点における検出車速は、それまでの6つの車
速情報の平均値であるから、実際には、この時点におけ
る車速が実車速に一致しているとしても、検出車速は実
車速とは一致しないものである。しかしながら、上述し
たように、このような車両の挙動は、運転者によるブレ
イキペダルの誤操作による踏み過ぎに起因するものであ
るから、上述した3つの条件と異なり、車両は比較的安
定に走行しているものである。このようにして、前3条
件とは異なり、実車速と検出車速とが一致するのを待た
なくても、何等問題を生じることなく、通常の転舵比制
御動作に復帰することが出来るものである。
しかも、この第4の条件においては、換言すれば、検出
車速が実車速に一致する前の段階で、積極的に、ロツク
制御を解除して、通常の転舵比制御動作に復帰するよう
にしている。このため、復帰した時点における検出車速
は、実車速に比較して、遅いものである。ここで、転舵
比を変更制御するためには、直接には、前述したステツ
ピングモータ100がコントロールユニツト132からの指示
により、検出した車速情報に応じた転舵比を達成すべ
く、駆動制御されるものである。そして、このステツピ
ングモータ100の動作速度は、動作範囲、換言すれば、
検出車速の変化幅に応じて変化するように設定されてい
る。
このため、もし、通常の転舵比制御動作に復帰した時点
で、実際の車速情報が、そのままコントロールユニツト
132に入力されて、これに基づき、コントロールユニツ
ト132がステツピングモータ100を駆動制御しようとする
と、今までの車速情報が零であつたので、その差を補う
べく、ステツピングモータ100を速い動作時間で作動す
ることになる。このようにして、後輪RL,RRは、急速に
転舵され、最悪の場合には、前述したような所謂すくい
込み減少が発生する虞が生じることになる。
しかしながら、この一実施例においては、通常の転舵比
制御動作に復帰するに際して、このような実車速に基づ
く車速情報がコントロールユニツト132に入力されるの
では無く、零情報を含んだ6つの車速情報を平均した値
を、検出車速情報として採用している。この結果、この
検出車速は、実車速より確実に低い値となる。このよう
にして、復帰当初において、実車速より低い検出車速に
基づきステツピングモータ100は駆動制御されるので、
後輪RL,RRは比較的ゆつくりと転舵され、上述した問題
が発生しないことになる。
また、この検出車速は、131msecのサンプリング時間が
経過するに応じて、徐々に実車速に近づいて行くことに
なる。この結果、ステツピングモータ100も、この車速
情報の変化に追従して、動作することが出来るようにな
り、ステツピングモータ100に無理な作動状態が発生せ
ず、良好な作動状態が達成されることになる。
以上で、ロツク制御動作の解除動作、換言すれば、ロツ
ク制御状態からの通常の転舵比制御動作への復帰動作の
説明を終了し、以下に、第7A図及び第7B図に示すフロー
チヤートを参照して、上述したコントロールユニツト13
2における一連のロツク制御動作の概略的な制御手順を
説明する。
第7A図及び第7B図に示す制御手順は、上述した131msec
のサンプリング時間毎に実行されるものである。即ち、
この制御手順が開始されると、先ず、ステツプS1におい
て、ロツクフラグFが1であるか否かが判定される。こ
こで、このロツクフラグFは、制御動作が起動された際
には、0が設定されており、後述するロツク検出動作が
実行されると1が設定されるものである。このステツプ
S1において、ロツクフラグFが0に設定されている場合
には、ロツク検出動作が開始され、1が設定されている
場合には、後述するように、ステツプS13にスキツプし
て、第1及び第2の車速センサ122,124の一致・不一致
を検出する制御を実行するよう設定されている。
そして、ステツプS1において、NOと判断された場合、換
言すれば、ロツクフラグFが0であると判断された場合
には、ステツプS2及びステツプS3において、車輪のホイ
ールスピンやセンサのチヤタリング等に基づく車速の急
増判定が実行される。即ち、ステツプS2においては、ス
ピードメータ側の第2の車速センサ124の出力の増加変
化量D2、詳細には、前回のサンプリングタイミングにお
いて検出した車速検出結果と、今回検出した車速検出結
果との増加方向の差により規定される数値D2が、所定
値、この一実施例においては、7km/h/131msec以上であ
るか否かが判断される。この所定値は、1サンプリング
時間当り7km/hの増速度に設定され、1秒当り約53km/h
の変化量に相当するものである。
このステツプS2において、NOと判断された場合、即ち、
第2の車速センサ124の出力の増加変化量D2が、所定値
より小さいと判断された場合には、ステツプS3におい
て、トランスアクスル側の第1の車速センサ122の出力
の増加変化量D1が、所定値、この一実施例においては、
7km/h/131msec以上であるか否かが判断される。
そして、ステツプS2またはステツプS3において、YESと
判断された場合、即ち、第1の車速センサ122の出力の
増加変化量D1又は、第2の車速センサ124の出力の増加
変化量D2が、所定値より大きいと判断された場合には、
車速の急増状態であると判断され、ステツプS4におい
て、車速急増状態を示すフラグAが1に設定される。こ
こで、車速急増フラグAが1である場合には、車速急増
状態であり、ロツク検出動作は禁止される。一方、車速
急増フラグAが0である場合は、車速急増状態でない事
を示すものであり、ロツク検出動作及びロツク制御動作
が実行される。
尚、車速急増状態においては、前述したように、ロツク
検出動作を実行しないので、以下に説明するように、こ
の車速急増状態がセンサ特有のチヤタリングによるもの
である場合でも、制御手順はリターンして、初期状態に
復帰するよう設定されている。
即ち、ステツプS4において、フラグAに1が設定された
後において、ステツプS5において、上述した車速急増状
態がチヤタリングである場合には、このチヤタリングが
納まつたか否かが判定される。この判定においては、両
車速センサ122,124の出力が、共に、56km/h以下である
場合に、チヤタリングが納まつたと判断される。そし
て、このステツプS5において、NOと判定された場合、即
ち、両センサ122,124による検出車速は56km/h以上であ
りチヤタリングが未だ納まつていないと判断された場合
には、ロツク検出動作を実行しないように設定しなけれ
ばならない。このため、上述したように、制御手順は初
期状態にリターンする。
一方、ステツプS5において、YESと判定された場合、即
ち、両車速センサ122,124の出力が、共に、56km/h以下
に至つた場合には、チヤタリングが納まりつつあると判
断されるものである。そこで、この場合には、ステツプ
S6において、この急増判定が行なわれてから、所定時
間、例えば、0.786秒が経過したかが判定される。即
ち、検出車速が56km/h以下に低下した場合には、この0.
786秒が経過すればチヤタリングが実質的に納まるもの
と判断できるので、上述した判断が実行されるものであ
る。
そして、このステツプS5において、NOと判断された場
合、即ち、未だ0.786秒が経過していない場合には、依
然としてロツク検出を禁止しなければならないので、制
御手順はリターンして、初期状態に戻る。一方、ステツ
プS5において、YESと判断された場合、即ち、0.786秒が
経過した場合には、車速の急増状態は、例え、それがホ
イールスピンに基づこうが、チヤタリングに基づこう
が、実質的に解消されたものと判断され、ステツプS7に
おいて、車速急増フラグAは0に設定され、制御手順は
リターンする。
一方、前述したステツプS3において、NOと判定された場
合、即ち、車速が急増状態でないと判定された場合に
は、ステツプS8において、車速急増フラグAが1である
か否かが判定される。このステツプS8において、YESと
判定された場合、即ち、車速急増状態であると判定され
た場合には、ホイールスピンによる車速急増は納まつた
ものの、チヤタリングによる車速急増状態は納まつてい
ないものであるので、前述したステツプS5に戻り、チヤ
タリングが納まるのを待つことになる。
また、ステツプS8において、NOと判定された場合、即
ち、車速急増状態では無いと判定された場合には、以下
において、ロツク検出動作及び、ロツク制御動作が実行
されることになる。
即ち、車速急増フラグAが0である場合には、ステツプ
S9において、ブレイキスイツチ140がオンしているか否
かが判定される。そして、このステツプS9において、YE
Sと判定された場合、即ち、ブレイキスイツチ140がオン
である場合には、ステツプS10において、前回のサンプ
リング時間における、換言すれば、131msec前の第1の
車速センサ122による検出車速が、30km/hより速いかが
判定される。
このステツプS10において、YESと判定された場合、即
ち、前回の車速検出値が30km/hより速いと判定される
と、ステツプS11において、今回の検出動作で第1の車
速センサ122により検出された車速が、実質的に0km/hで
あるか否かが判定される。そして、このステツプS11に
おいて、YESと判断された場合、即ち、現在の検出車速
が実質的に0km/hであると判定された場合には、前述し
たように、ロツク検出のための3条件が満足されること
になるので、ここで、ロツク検出が実行されることにな
る。
このロツク検出に基づき、ステツプS12において、ロツ
クフラグFが1に設定される。一方、上述したステツプ
S10及びステツプS11において、夫々NOと判定された場合
には、ロツク検出が成立しないことになるので、共に、
ステツプS9に戻り、このステツプS9を実行する。
また、ステツプS12において、ロツクフラグFが1に設
定された後、ステツプS13において、第1の車速センサ1
22の検出結果と、第2の車速センサ124の検出結果とが
一致するかが判定される。このステツプS13でNOと判定
された場合、即ち、両センサ122,124の検出出力が一致
しない場合には、前述したように、フエイル状態である
ので、ステツプS14において、フエイルセイフ制御動作
が実行され、この後、リターンする。
一方、ステツプS13においてYESと判定された場合、即
ち、両検出車速が一致している場合には、上述したロツ
ク検出は正常状態においてなされたものであるので、ス
テツプS15において、前述した内容のロツク制御動作を
開始する。
ここで、ロツク検出が正常状態で行なわれる判定が必要
な理由は以下の通りである。即ち、前述したように、こ
のロツク検出においては、車速検出は、第1の車速セン
サ122のみが用いられている。このステツプS13における
正常状態の判定がないと、第2の車速センサ124の出力
が第1の車速センサ122の出力と異なつており、実際に
は、フエイルと検出しなければいけないのに、このフエ
イル検出が実行されないことになる。この結果、正しく
ないかもしれない第1の車速センサ122の検出結果に基
づいて、ロツク検出がなされる虞があるからである。
また、このように、ステツプS15において、ロツク制御
動作が開始された後、ステツプS16において、前述した
4つのロツク解除条件の何かが成立したかが判定され
る。そして、このステツプS16において、NOと判定され
た場合、即ち、何のロツク解除条件が成立していない場
合においては、ステツプS15に戻り、ロツク制御動作が
続行される。
一方、ステツプS16において、YESと判定された場合、即
ち、何かのロツク解除条件が成立した場合においては、
ステツプS17におて、ロツク制御動作が解除され、通常
の転舵比制御動作に復帰することになる。そして、ステ
ツプS18において、車速急増フラグAを0に設定して、
制御動作を初期状態にリターンする。
ここで、前述したステツプS9において、NOと判定された
場合、即ち、ブレイキスイツチ140がオフしていると判
定された場合には、上述したロツク検出動作を実行しな
いものであるが、更に、ここで、ステツプS19及びステ
ツプS20において、フエイル検出のために、各車速セン
サ122,124の出力の急減を判定する。
即ち、ステツプS19において、第1の車速センサ122の出
力値の急減を判定する。この判定は、トランスアクスル
側の第1の車速センサ122の出力の減速変化量E1、詳細
には、前回のサンプリングタイミングにおいて検出した
車速検出結果と、今回検出した車速検出結果との減速方
向の差により規定される数値E1が、所定値、この一実施
例においては、10km/h/131msec以上であるか否かが判断
される。この所定値は、1サンプリング時間あたり10km
/hの減速度に設定されているもので、1秒当り約76km/h
の変化量に相当するものである。
このステツプS19において、YESと判定された場合、即
ち、第1の車速センサ122において車速の急減が判定さ
れた場合には、フエイルが検出され、前述したステツプ
S14にスキツプして、フエイルセイフ制御動作が実行さ
れる。
また、ステツプS19において、NOと判定された場合、即
ち、第1の車速センサ122において車速の急減が判定さ
れない場合には、ステツプS20において、第2の車速セ
ンサ124の出力値の急減を判定する。この判定は、スピ
ードメータ側の第2の車速センサ124の出力の減速変化
量E2が、所定値、この一実施例においては、10km/h/131
msec以上であるか否かが判断される。
このステツプS20において、YESと判定された場合、即
ち、第2の車速センサ124において車速の急減が判定さ
れた場合には、フエイルが検出され、前述したステツプ
S14にスキツプして、フエイルセイフ制御動作が実行さ
れる。
また、ステツプS20において、NOと判定された場合、即
ち、第1及び第2の車速センサ122,124の何においても
車速の急減が判定されなかつた場合には、ステツプS21
において、前述したステツプS13と同内容の第1の車速
センサ122の検出結果と、第2の車速センサ124の検出結
果とが一致するかが判定される。このステツプS21でNO
と判定された場合、即ち、両センサ122,124の検出出力
が一致しない場合には、前述したように、フエイル状態
であるので、ステツプS14にスキツプして、フエイルセ
イフ制御動作が実行され、この後、リターンする。
一方、このステツプS21において、YESと判定された場
合、即ち、両車速センサ122,124の検出出力が一致する
場合には、フエイル状態では無いので、リターンして、
制御動作の初期状態に復帰する。
以上のようにして、一連の制御動作が終了する。
以上詳述したように、この一実施例においては、車輪の
ロツクを検出し、この検出結果に応じて、車輪がロツク
した状態での車速感応4輪操舵装置により、走行する危
険性を回避するためのロツク制御動作が実行されるもの
であるから、前述したような問題点を解決するために、
車輪のロツクを防止する所謂アンチロックブレイキシス
テム(ABS)を装着する必要が無くなることになる。
この発明は、上述した一実施例の構成に限定されること
なく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能
であることは言うまでもない。
例えば、上述した一実施例においては、ロツク制御動作
において、基本的には、第5図において実線Iで示す通
常の転舵比制御を停止して、車両の走行状態を安定側に
維持するような特性で転舵比を制御するように設定し、
具体的には、ロツク検出直前の車速に応じた転舵比に固
定するよう設定されている。
しかしながら、この発明は、通常の転舵比制御とは異な
る安定側のロツク制御として、ロツク検出直前の車速に
応じた転舵比に固定することのみに限定されることな
く、第5図に一点鎖線IIIにより第1の変形例として示
すように、ロツク制御において走行状態を安定側に設定
する態様として、転舵比を0に固定して、強制的に2WS
に設定するように構成しても良い。
また、図示していないが、ロツク制御において走行状態
を安定側に設定する態様としては、第2の変形例とし
て、デイレイ制御を実行するように構成しても良い。即
ち、この第2の変形例においては、ロツク検出がなされ
た際の、ロツク制御として、通常の転舵比制御と同じ特
性ではあるが、その変化速度を遅く設定し、換言すれ
ば、ステツピングモータ100の動作速度を遅く設定され
ている。この結果、この第2の変形例における安定側の
ロツク制御においては、第5図において実線Iで示す特
性に従つて転舵比は変化するものの、ロツク検出に伴な
い検出された0km/hの車速に応じた逆位相の転舵比に変
更される時間は、長く設定されることになる。
具体的には、ブレイキペダルが踏み続けられて車輪がス
リツプしたままの状態で、摩擦により実車速が零に至つ
た状態において、転舵比は、遅れながら同位相側が逆位
相に向けて変化して、丁度転舵比が零付近にある程度
に、デイレイされるよう設定されている。
このように、ロツク制御における安定側の制御内容を、
第1及び第2の変形例のように設定することにより、一
実施例の内容ほど安定ではないが、充分に安定制御が実
現され、且つ、ロツク状態が解除され、通常制御に復帰
した際の復帰タイミングが速く設定される効果が奏せら
れることになる。
即ち、上述した一実施例においては、ロツク検出直前の
検出車速に応じた転舵比に、ロツク検出に応じて固定さ
れている。一方、ロツク状態が解除された時点で、通常
の転舵比制御が再開されるに当たつて、復帰時点におけ
る車速、例えば、車両が停止中であれば、0km/hと判定
される車速に応じた転舵比に設定変更されることにな
る。このため、ロツク検出に応じて固定された転舵比が
同位相側にあるとすると、ここから、逆位相側へ転舵比
を変更すべく、ステツピングモータ100を駆動しなけれ
ばならない。このようにして、このステツピングモータ
100が動作して、所定の転舵比に設定動作を終了するま
での間、実質的に、通常の転舵比制御動作が開始されな
いことになる。
これに対して、第1の変形例においては、ロツク制御動
作が解除された時点で、転舵比は、零に固定されてお
り、また、第2の変形例においては、概略、転舵比は零
に至つている。このようにして、これら第1及び第2の
変形例においては、復帰動作に必要な時間が一実施例の
場合と比較して、短くて済み、実質的な復帰のタイミン
グが速く設定されることになる効果が奏せるれることに
なる。
[発明の効果] 以上詳述したように、この発明に係わる車両の後輪操舵
装置は、車速を検出して、この検出車速に応じた転舵比
で前輪の転舵に応じて後輪を転舵するための車両の後輪
操舵装置において、走行状態を判別するための判別手段
と、この判別手段により、通常の走行状態であると判別
された場合に、検出車速に応じた第1の特性で転舵比を
設定する第1の設定手段と、前記判別手段により、車輪
のロックが検出された場合に、安定側の第2の特性で転
舵比を設定する第2の設定手段とを具備する事を特徴と
している。
従つて、この発明によれば、コーナリング走行時におい
て、その走行状態に合致した走行性を良好に維持するこ
との出来る車両の後輪操舵装置が提供されることにな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明に係わる車両の後輪操舵装置の一実施
例を備えた4輪操舵機構の構成を概略的に示す平面図; 第2図は後輪操舵装置の構成を概略的に示す斜視図; 第3図は第1及び第2の車速センサの設定状態を示す斜
視図; 第4図は後輪操舵装置のコントロールユニツトの接続
図; 第5図は転舵比制御における種々の特性を示す線図; 第6A図乃至第6D図は、ロツク制御の4つの解除条件を夫
々説明するためのタイミング図;そして、 第7A図及び第7B図は、コントロールユニツトの制御手順
を概略的に示すフローチヤートである。 図中、10……後輪操舵装置、12……4輪操蛇機構、14…
…前輪操蛇装置、16L;16R……ナツクルアーム、18L;18R
……タイロツド、20……リレーロツド、22……ステアリ
ング機構、24……ステアリングホイール、26……パワー
ステアリング機構、28……第1のラツク、30……第1の
ピニオン、32……ステアリングシヤフト、34L;34R……
ナツクルアーム、36L;36R……タイロツド、38……リレ
ーロツド、40……パワーシリンダ、40a……ピストン、4
0b;40c……油圧室、0d……リターンスプリング、42;44
……パイプ、46……コントロールバルブ、46a……バル
ブケーシング、48……リザーブタンク、50……油供給
管、52……油排出管、54……油圧ポンプ、56……連結部
材、58……第2のラツク、60……リヤステアリングシヤ
フト、62……第2のピニオン、64……転舵比制御機構、
66……コントロールロツド、68……ホルダ、70……支持
ピン、72……揺動アーム、74……支持軸、76……ボール
ジヨイント、78……コネクテイングロツド、80……ボー
ルジヨイント、82……回転力付与部材、84……ボールジ
ヨイント、86……支持軸、88……大傘歯車、90……小傘
歯車、92……セクタギヤ、94……回転軸、96……ウオー
ムギヤ、98……傘歯車、100……ステツピングモータ、1
00a……出力軸、102……傘歯車、104;106……ストツパ
部材、108ロツドストツパ、110……オイルフイルタ、11
2……油分岐管、112a;11b……先端、114;116……電磁
弁、118……戻し油管、118a;118b……戻し油分岐管、12
0……転舵比センサ、122……第1の車速センサ、124…
…第2の車速センサ、126……トランスアクスル、128…
…スピードメータ軸、130……スピードメータ、132……
コントロールユニツト、134……リレー・タイマ回路、1
36……オイルレベルスイツチ、138……オルタネータ、1
40……ブレイキセンサ、142……インヒビタスイツチ、1
44……フエイル警告ランプ、θ……舵角、FL……左前
輪、FR……右前輪、RL……左後輪、RR……右後輪であ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車速を検出して、この検出車速に応じた転
    舵比で前輪の転舵に応じて後輪を転舵するための車両の
    後輪操舵装置において、 車両が通常の走行状態にあるか、あるいは車輪にロック
    が発生している走行状態にあるかを判別するための判別
    手段と、 この判別手段により、通常の走行状態であると判別され
    た場合に、検出車速に応じた第1の特性で転舵比を設定
    する第1の設定手段と、 前記判別手段により車輪のロックが検出された場合に、
    安定側の第2の特性で転舵比を設定する第2の設定手段
    とを具備することを特徴とする車両の後輪操舵装置。
  2. 【請求項2】前記判別手段は、ブレーキスイッチがオン
    され、この時点の検出車速が実質的に0km/hであり、且
    つ、この0km/hを検出する直前の検出車速が30km/h以上
    である場合に、車輪のロック状態であると判別すること
    を特徴とする請求項の第1項に記載の車両の後輪操舵装
    置。
  3. 【請求項3】前記第2の設定手段の前記安定側の第2の
    特性は、ロック状態の検出直前に検出された車速に応じ
    た転舵比に固定するように設定されていることを特徴と
    する請求項1項に記載の車両の後輪操舵装置。
  4. 【請求項4】前記第2の設定手段の前記安定側の第2の
    特性は、転舵比を零に固定するよう設定されていること
    を特徴とする請求項1項に記載の車両の後輪操舵装置。
  5. 【請求項5】前記第2の設定手段の前記安定側の第2の
    特性は、転舵比の変化速度が小さく設定されていること
    を特徴とする請求項1項に記載の車両の後輪操舵装置。
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