JPH0695434A - 電子写真用トナーおよびその製造方法 - Google Patents

電子写真用トナーおよびその製造方法

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JPH0695434A
JPH0695434A JP4248353A JP24835392A JPH0695434A JP H0695434 A JPH0695434 A JP H0695434A JP 4248353 A JP4248353 A JP 4248353A JP 24835392 A JP24835392 A JP 24835392A JP H0695434 A JPH0695434 A JP H0695434A
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JP
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carbon black
toner
vinyl monomer
vinyl
monomer
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JP4248353A
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English (en)
Inventor
Masaya Shiozaki
正弥 塩崎
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Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カーボンブラックの分散性、分散安定性、定
着用樹脂との親和性がよく、小粒径でかつ粒度分布の幅
が狭く、しかも耐熱性、耐摩耗性、耐ブロッキング性、
耐スペント性等にすぐれた電子写真用トナーを得る。 【構成】 イソシアネート基含有ビニル単量体で処理し
て表面にビニル基を導入したカーボンブラックを使用し
て、懸濁重合法によりトナーを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真用トナーとその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電子写真用トナーは、スチレン−
アクリル系共重合体等の定着用樹脂と、着色剤としての
カーボンブラックその他の添加剤を溶融混練し、ついで
粉砕し分級することにより製造される。しかし、かかる
粉砕型のトナーは、粒度分布が広いための帯電を均一に
することが困難であり、かつ粒径が大きいために解像度
の高い画像を得るのが困難であった。
【0003】そこで近時、懸濁重合法を利用したトナー
の製造方法が種々提案された。この方法は、上記定着用
樹脂の元になるラジカル重合性のビニル単量体と、カー
ボンブラックその他の添加剤とを含む液状のモノマー相
を分散媒中に液滴状に分散させつつ加熱して、ビニル単
量体を重合させる方法である。かかる方法によって得ら
れる電子写真用トナーは、粒度分布が狭く、かつ小粒径
化が可能であるため、帯電特性にすぐれ、かつ高品質画
像が得られるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところがカーボンブラ
ックは表面に親水性の官能基を有しており、モノマー相
への分散性、分散安定性が悪く、再凝集などを生じやす
いため、製造されたトナー中におけるカーボンブラック
の分散状態が不均一になり、カーボンブラック粒子が連
鎖してトナーの絶縁性が低下し、帯電特性が悪化する等
のおそれがある。また、製造されたトナーにおいては、
カーボンブラックとトナーの定着用樹脂との親和性が低
く、両者が十分に結合していないため、両者の界面から
トナー割れが発生したり、カーボンブラックがトナー粒
子から脱落したりして、画像形成装置内部やキャリヤを
汚染するおそれもある。
【0005】そこで通常は、カーボンブラックの分散
性、分散安定性を向上させるとともに、定着用樹脂に対
する親和性を向上させるために、チタネートカップリン
グ剤、シランカップリング剤、アルミニウムカップリン
グ剤等のカップリング剤で処理して表面を疎水化したカ
ーボンブラックが使用される。しかし十分な処理効果を
得るには、カーボンブラックを過剰量のカップリング剤
で処理する必要があり、生成トナー中には余剰のカップ
リング剤が低分子量の状態で存在するため、製造される
トナーは、耐熱性、耐摩耗性、耐ブロッキング性、耐ス
ペント性等に劣ったものとなってしまう。
【0006】また、カーボンブラックをビニル単量体中
に分散させた状態で熱重合させ、カーボンブラック表面
にポリマー鎖を成長させて、いわゆるグラフト化カーボ
ンブラックを得、これを、トナー材料としてのビニル単
量体を含むモノマー相中に分散させて懸濁重合させる方
法(特開昭56−116044号公報参照)や、脱水処
理したカーボンブラックと重合性のビニル単量体とを加
熱してグラフト化カーボンブラックを含むプレポリマー
を得、これに重合開始剤を加えたものをモノマー相とし
て懸濁重合させる方法(特開昭60−243664号公
報参照)、あるいは、過酸化物重合開始剤を用いてカー
ボンブラックをグラフト化した後、上記と同様に懸濁重
合によって電子写真用トナーを製造する方法等がある。
【0007】しかしこれらの方法では、いずれも、カー
ボンブラックに対する、ビニル単量体の重合体のグラフ
ト率は極めて低く、副生成物として、カーボンブラック
にグラフトしていないフリーの重合体が多量に発生す
る。このため、モノマー相の粘度が高くなって、分散媒
中に液滴状に分散させるのが困難になり、10μm以下
の小粒径のトナーが得られない、トナーの粒度分布が広
くなってしまう、等の問題を生じる。
【0008】またグラフト処理の工程で副生したフリー
の重合体は、比較的分子量が小さい、柔らかい重合体で
あるため、やはり製造されたトナーは、耐熱性、耐摩耗
性、耐ブロッキング性、耐スペント性等に劣ったものと
なってしまう。本発明は以上の事情に鑑みてなされたも
のであって、カーボンブラックの分散性、分散安定性、
定着用樹脂との親和性がよく、小粒径でかつ粒度分布の
幅が狭く、しかも耐熱性、耐摩耗性、耐ブロッキング
性、耐スペント性等にすぐれた電子写真用トナーと、そ
の重合法による製造方法とを提供することを目的として
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するための本発明の電子写真用トナーは、イソシアネ
ート基含有ビニル単量体によって処理された、表面にビ
ニル基が導入されたカーボンブラックの存在下で、ビニ
ル単量体を重合させた重合体からなることを特徴とす
る。また本発明の第1の製造方法は、カーボンブラック
をイソシアネート基含有ビニル単量体で処理して表面に
ビニル基を導入した後、このカーボンブラックとビニル
単量体とを含むモノマー相を分散媒中に液滴状に分散さ
せつつ重合させることを特徴とする。
【0010】さらに本発明の第2の製造方法は、カーボ
ンブラックをイソシアネート基含有ビニル単量体で処理
して表面にビニル基を導入し、このカーボンブラックと
ビニル単量体とを重合させてグラフト化カーボンブラッ
クを得た後、このグラフト化カーボンブラックと、上記
ビニル単量体と同一または相異なるビニル単量体とを含
むモノマー相を分散媒中に液滴状に分散させつつ重合さ
せることを特徴とする。
【0011】上記構成からなる本発明においては、カー
ボンブラックをイソシアネート基含有ビニル単量体によ
って処理すると、カーボンブラックの表面の親水性基
(水酸基、硫酸基、硝酸基等)と、イソシアネート基含
有ビニル単量体のイソシアネート基とが反応してカーボ
ンブラックの表面にビニル基が導入され、カーボンブラ
ックが疎水化されるため、カーボンブラックのモノマー
相への分散性、分散安定性が向上する。またカーボンブ
ラックの表面に導入されたビニル基は、その後の工程で
重合性の単量体と重合してグラフト鎖を生成し、グラフ
ト化カーボンブラックとなる。
【0012】したがって本発明によれば、カーボンブラ
ックの分散性、分散安定性ならびに定着用樹脂との親和
性が向上するので、モノマー相に分散したカーボンブラ
ックが再凝集して、生成されたトナー中でカーボンブラ
ックの連鎖が生じ、トナーの絶縁性が低下して帯電特性
が悪化したり、あるいは、製造されたトナーにトナー割
れやカーボンブラックの脱落が発生したりすることが防
止される。
【0013】上記カーボンブラックとイソシアネート基
含有ビニル単量体との反応は、室温程度の比較的低温の
条件下で進行するので、この段階で、他のビニル単量体
が系中に存在しても、副生成物としてのフリーの重合体
が発生することは殆どない。またグラフト化の反応は、
上記の処理によって表面にビニル基が導入されたカーボ
ンブラックと、重合性のビニル単量体との間で進行する
ので、従来の、ビニル基を導入していないカーボンブラ
ックを原料とするグラフト化カーボンブラックの生成反
応に比べてグラフト化率が著しく向上し、副生成物とし
てのフリーの重合体の生成が著しく抑えられる。さらに
カーボンブラックの処理に使用したイソシアネート基含
有ビニル単量体は、もし余剰分が発生しても、その後の
重合工程で他の単量体と重合するので、低分子量のまま
でトナー粒子中に存在することはない。したがって製造
されたトナーは、耐熱性、耐摩耗性、耐ブロッキング
性、耐スペント性等にすぐれたものとなる。
【0014】しかも、上記のようにカーボンブラックと
イソシアネート基含有ビニル単量体との反応の際や、グ
ラフト化の反応の際に、副生成物としてのフリーの重合
体が発生することがないので、モノマー相の粘度は低
く、分散媒中に液滴状に分散させるのが容易となる。し
たがって製造されたトナーは、小粒径でかつ粒径分布が
狭く、粒径の揃ったものとなる。
【0015】以下に本発明を、製造方法の工程にしたが
って説明する。まず、カーボンブラックをイソシアネー
ト基含有ビニル単量体で処理して、カーボンブラック粒
子の表面にビニル基を導入する。カーボンブラックとイ
ソシアネート基含有ビニル単量体との反応は、前記のよ
うに室温程度の比較的低温で進行するので、上記処理を
行うには、たとえば所定量のカーボンブラックとイソシ
アネート基含有ビニル単量体とを適当な溶媒中に投入し
て混合するだけでよい。なお、イソシアネート基含有ビ
ニル単量体のイソシアネート基は水分と反応しやすいの
で、上記処理は、乾燥雰囲気下で行うのが好ましい。
【0016】カーボンブラックの処理に使用されるイソ
シアネート基含有ビニル単量体としては、1分子中にイ
ソシアネート基とビニル基とを含む種々の化合物を使用
することができる。イソシアネート基含有ビニル単量体
としては、たとえば一般式(1) :
【0017】
【化1】
【0018】〔式中R1 は水素原子またはアルキル基を
示す〕で表されるアクリロイルイソシアネート誘導体等
があげられる。このアクリロイルイソシアネート誘導体
の具体的化合物としては、式(1a):
【0019】
【化2】
【0020】で表されるメタクリロイルイソシアネート
が好適に使用される。イソシアネート基含有ビニル単量
体の使用量はとくに限定されないが、カーボンブラック
100重量部に対して2〜20重量部の範囲内が好まし
く、5〜15重量部の範囲内がより好ましい。イソシア
ネート基含有ビニル単量体の使用量が上記範囲を下回っ
た場合には、カーボンブラックの表面に導入されるビニ
ル基の量が不足するため、カーボンブラックが十分に疎
水化されず、分散性、分散安定性が低下するおそれがあ
る他、グラフト化率が低下するので、定着用樹脂との親
和性が悪化してトナー割れやカーボンブラックの脱落を
生じたり、あるいはグラフト化率が低下する分、副生成
物としてのフリーの重合体の生成が増加するので、耐熱
性、耐摩耗性、耐ブロッキング性、耐スペント性等が悪
化したりするおそれがある。
【0021】一方、イソシアネート基含有ビニル単量体
の使用量が上記範囲を超えた場合には、当該イソシアネ
ート基含有ビニル単量体が親水性であるため、製造され
るトナーの耐候性とくに耐湿性に悪影響を及ぼすおそれ
がある他、イソシアネート基含有ビニル単量体は他のビ
ニル単量体に比べれば重合性がやや劣るので、重合反応
に関与せずにトナー中に残存する低分子量の成分が増加
して、耐熱性、耐摩耗性、耐ブロッキング性、耐スペン
ト性等が悪化するおそれがある。
【0022】イソシアネート基含有ビニル単量体は1種
を単独で使用できる他、2種以上を併用することもでき
る。イソシアネート基含有ビニル単量体によって処理さ
れるカーボンブラックの種類についてはとくに限定され
ない。カーボンブラックには、程度の差こそあれ水酸
基、硫酸基、硝酸基等の、イソシアネート基と反応し得
る官能基(活性水素を持つ官能基)が存在しているの
で、本発明では、現在知られているあらゆる種類のカー
ボンブラックを使用することができる。カーボンブラッ
クの例としては、たとえばファーネスブラック、チャン
ネルブラック、サーマル、ガスブラック、オイルブラッ
ク、アセチレンブラックなどがあげられる。これらは単
独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
【0023】処理に使用する溶媒としては、非水性の種
々の溶媒を使用できるが、とくに、上記処理が室温程度
の比較的低温条件で行われ、前述したように、他のビニ
ル単量体が系中に存在しても、副生成物としてのフリー
の重合体が発生することがないので、その後の重合工程
で使用されるのと同じビニル単量体を溶媒として使用す
るのが好ましい。この場合には、次工程に移行する際に
溶媒除去の工程を省略できるので、生産効率が向上する
という利点がある。
【0024】上記処理の後、本発明の第1の製造方法に
おいては、処理済みのカーボンブラックをビニル単量
体、重合開始剤等と混合して懸濁重合用のモノマー相を
作製する。そしてこのモノマー相を、適当な分散媒中に
液滴状に分散させつつ重合させると、本発明の電子写真
用トナーが製造される。ビニル単量体としては、たとえ
ばモノビニル芳香族単量体、アクリル系単量体、ビニル
エステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、ジオレフ
ィン系単量体、モノオレフィン系単量体、ハロゲン化オ
レフィン系単量体、ポリビニル系単量体等の従来公知の
種々のビニル系単量体を使用することができる。
【0025】モノビニル芳香族単量体としては、下記一
般式(2) :
【0026】
【化3】
【0027】〔式中R2 は水素原子、低級アルキル基ま
たはハロゲン原子を示し、R3 は水素原子、低級アルキ
ル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ
基、ビニル基、スルホ基、ナトリウムスルホナト基、カ
リウムスルホナト基またはカルボキシル基を示す。〕で
表される化合物、たとえばスチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o,m,p
−クロロスチレン、p−エチルスチレン、スチレンスル
ホン酸ナトリウムなどがあげられる。
【0028】アクリル系単量体としては、下記一般式
(3) :
【0029】
【化4】
【0030】〔式中R4 は水素原子または低級アルキル
基を示し、R5 は水素原子、炭素数12までの炭化水素
基、ヒドロキシアルキル基、ビニルエステル基またはア
ミノアルキル基を示す。〕で表される化合物、たとえば
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フ
ェニル、アクャリロニトリル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシ
ル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−ヒドロキシ
アクリル酸ブチル、δ−ヒドロキシアクリル酸ブチル、
β−ヒドロキシメタクリル酸エチル、γ−アミノアクリ
ル酸プロピル、γ−N,N−ジエチルアミノアクリル酸
プロピル、エチレングリコールジメタクリル酸エステ
ル、テトラエチレングリコールジメタクリル酸エステル
などがあげられる。
【0031】ビニルエステル系単量体としては、たとえ
ばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが
あげられる。ビニルエーテル系単量体としては、たとえ
ばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニ
ル−n−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビ
ニルシクロヘキテルエーテルなどがあげられる。
【0032】ジオレフィン系単量体としては、たとえば
ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどがあげられ
る。モノオレフィン系単量体としては、たとえばエチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1,4−メチ
ルペンテン−1などがあげられる。ハロゲン化オレフィ
ン系単量体としては、たとえば塩化ビニル、塩化ビニリ
デンなどがあげられる。
【0033】さらにポリビニル単量体としては、たとえ
ばジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリシアヌ
レートなどがあげられる。これらは単独で使用できる
他、2種以上を併用することもできる。たとえば、最も
一般的なスチレン−アクリル系の定着用樹脂を含むトナ
ーを製造する場合には、ビニル単量体としてスチレンと
アクリル系単量体とを併用すればよい。
【0034】上記ビニル単量体と、イソシアネート基含
有ビニル単量体によって処理されたカーボンブラックの
配合割合は、通常のトナーと同程度でよい。具体的に
は、ビニル単量体の総量100重量部に対して、カーボ
ンブラックが1〜30重量部、好ましくは2〜20重量
部の割合で配合されるのが好ましい。重合開始剤として
は、分散媒に不溶で、かつビニル単量体との相溶性のあ
るものが好ましく、たとえばアゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)、2,2′−アゾビス−(4−メトキシ−2,
4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス−
(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2′−
アゾビス−(2−メチルプロピオニトリル)、2,2′
−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、1,1′
−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリ
ル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメ
チルバレロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビス
(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物;クメン
ヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、
ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、
過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物が使
用できるほか、紫外線や可視光線の照射による重合を行
う場合には、従来公知の光重合開始剤を使用することも
できる。これらは単独で使用される他、2種以上を併用
することもできる。
【0035】重合開始剤の使用量は、ビニル単量体10
0重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは
0.01〜0.5重量部の範囲である。なおγ線、加速
電子線等を用いて重合を開始させることも可能であり、
この場合には重合開始剤を使用しなくてもよい。また、
紫外線と各種光増感剤とを組合せて重合を開始してもよ
い。
【0036】また必要に応じて、以上の各成分の他に、
トナー中に配合される種々の添加剤、たとえば電荷制御
剤やオフセット防止剤(離型剤)、架橋剤等を配合する
こともできる。電荷制御剤は、トナーの摩擦帯電性を制
御するために配合されるもので、正電荷制御用と負電荷
制御用の2種がある。
【0037】正電荷制御用の電荷制御剤としては、塩基
性窒素原子を有する有機化合物、例えば塩基性染料、ア
ミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合
物、アミノシラン類等や、上記各化合物で表面処理され
た充填剤等があげられる。負電荷制御用の電荷制御剤と
しては、ニグロシンベース(CI5045)、オイルブラック
(CI26150 )、ボントロンS、スピロンブラック等の油
溶性染料;スチレン−スチレンスルホン酸共重合体等の
電荷制御性樹脂;カルボキシ基を含有する化合物(例え
ばアルキルサリチル酸金属キレート等)、金属錯塩染
料、脂肪酸金属石鹸、樹脂酸石鹸、ナフテン酸金属塩等
があげられる。
【0038】電荷制御剤は、ビニル単量体100重量部
に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜8重
量部の割合で使用される。オフセット防止剤としては、
脂肪族系炭化水素、脂肪族金属塩類、高級脂肪酸類、脂
肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物、シリコーン
オイル、各種ワックス等があげられる。中でも、重量平
均分子量が1000〜10000程度の脂肪族系炭化水
素が好ましい。具体的には、低分子量ポリプロピレン、
低分子量ポリエチレン、パラフィンワックス、炭素原子
数4以上のオレフィン単位からなる低分子量のオレフィ
ン重合体、シリコーンオイル等の1種または2種以上の
組み合わせが適当である。
【0039】オフセット防止剤は、ビニル単量体100
重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5
〜8重量部の割合で使用される。架橋剤は、定着用樹脂
やカーボンブラックのグラフト鎖を架橋させて、トナー
の機械的あるいは熱的特性を改善するとともに、カーボ
ンブラックと定着用樹脂とをより一層強固に一体化する
ために配合されるもので、たとえばジビニルベンゼン等
のジビニル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルイソ
フタレート、ジアリルアジペート、ジアリルグリコレー
ト、ジアリルマレエート、ジアリルセバケート等のジア
リル化合物;トリアリルホスフェート、トリアリルアコ
ニテート、トリアリルシアヌレート、トリメリット酸ア
リルエステル、ピロメリット酸アリルエステル等のトリ
アリル化合物;1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレン
グリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジア
クリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、
ポリプロピレングリコールジアクリレート、ブチレング
リコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアク
リレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート等の
ジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリア
クリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等
のトリアクリレート化合物;1,6−ヘキサンジオール
ジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリ
レート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチ
レングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメ
タクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート等
のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパント
リメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロ
ールメタンテトラアクリレート、N,N,N′,N′−
テトラキス(β−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン
のアクリル酸エステル等のポリ(メタ)アクリレート化
合物;アリルアクリレート、アリルメタクリレート等の
アリル−アクリル系化合物;N,N′−メチレンビスア
クリルアミド、N,N′−メチレンビスメタクリルアミ
ド等のアクリルアミド化合物;ポリウレタンアクリレー
ト、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレー
ト、ポリエステルアクリレート等のプレポリマーなどが
あげられる。
【0040】架橋剤は、ビニル単量体100重量部に対
して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量
部の割合で使用される。上記各成分からなるモノマー相
が分散される分散媒としては、ビニル単量体等の原料成
分および重合後のトナー粒子を全く溶解しないか、ある
いは殆ど溶解せず、しかも不活性な溶媒が使用される。
好適な分散媒としては、たとえば水または水系の溶媒な
どがあげられる。
【0041】良好な分散状態を得るため、上記分散媒に
は懸濁安定剤を配合するのが好ましい。懸濁安定剤とし
ては従来公知の種々の懸濁安定剤が使用できるが、目的
とするトナーの粒径が10μm以下であることを考慮す
ると、懸濁分散能力にすぐれている必要があり、また製
造後のトナーの特性に影響を与えないためには、トナー
から除去しやすいものである必要がある。上記の要件を
満たす、本発明に好適に使用される懸濁安定剤として
は、たとえばリン酸三カルシウム等のリン酸カルシウム
塩と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムとの組み
合わせ等があげられる。
【0042】上記分散媒中に、前記の各成分を含有する
モノマー相を加え、たとえば102〜108 ダイン/cm
程度の剪断力で攪拌すると、モノマー相が分散媒中に懸
濁して球状に造粒される。この状態で、−30〜90
℃、特に30〜80℃の温度で0.1〜50時間程度の
重合を行うと、ビニル単量体が重合して球状のトナー粒
子が得られる。このとき、酸素による重合の停止反応を
抑制するために反応系内を不活性ガスで置換することが
好ましい。かくして得られるトナー粒子は、高解像度の
画像を得るためには、体積平均粒径が前記のように10
μm以下、好ましくは4〜8μmの範囲内、より好まし
くは5〜8μmの範囲内であるのが望ましい。
【0043】上記本発明の第1の製造方法によれば、モ
ノマー相中に含まれる各成分はいずれも低分子量である
ためモノマー相は低粘度で、分散媒中に液滴状に分散さ
せるのが容易である。したがって、粒径10μm以下で
かつ粒度分布がきわめて狭い、粒径の揃ったトナーを製
造することができる。またカーボンブラックは、表面に
ビニル基が導入されて疎水化されているため、モノマー
相中に分散させた際の分散性、分散安定性にすぐれてお
り、再凝集することがないので、生成されたトナー中に
ほぼ均一に分散されており、トナーは絶縁性がよく、帯
電特性にすぐれたものとなる。
【0044】さらに重合反応時には、上記カーボンブラ
ックの表面のビニル基にビニル単量体が重合して高効率
でグラフト化されるため、カーボンブラックにグラフト
した高分子とトナーの定着用樹脂とがトナー中でほぼ均
一に混和した状態となって、カーボンブラックと定着用
樹脂とが一体化する。このため、両者の界面からトナー
割れが発生したり、カーボンブラックがトナー粒子から
脱落したりするおそれがなく、製造されたトナーは、耐
久性にすぐれ、画像形成装置内部やキャリヤを汚染する
おそれがないものとなる。
【0045】しかも上記反応過程では、トナーの物性を
低下させる低分子量の重合体や未反応の成分などは殆ど
生成しないので、トナーは、耐熱性、耐摩耗性、耐ブロ
ッキング性、耐スペント性等にすぐれたものとなる。一
方、本発明の第2の製造方法においては、イソシアネー
ト基含有ビニル単量体によって処理済みのカーボンブラ
ックを、まずビニル単量体と混合して重合させて、グラ
フト化カーボンブラックを得る。
【0046】ビニル単量体としては、前記例示の各種ビ
ニル単量体の中から、次工程の懸濁重合工程で、ビニル
単量体の重合により生成される定着用樹脂と同じビニル
単量体または同じビニル単量体の組み合わせを使用する
のが最も好ましいが、定着用樹脂との相溶性にすぐれた
グラフト鎖を形成しうるのであれば、定着用樹脂を構成
するビニル単量体またはその組み合わせとは別種または
別の組み合わせのビニル単量体を使用することもでき
る。但し、トナーの物性に悪影響を及ぼすようなビニル
単量体は、たとえ定着用樹脂との相溶性にすぐれていて
も、グラフト化に使用するのは望ましくない。
【0047】たとえば最も一般的なスチレン−アクリル
系の定着用樹脂を含むトナーを製造する場合には、グラ
フト化カーボンブラック製造の際のビニル単量体、およ
び懸濁重合の際のビニル単量体として、ともにスチレン
とアクリル系単量体とを併用するのが最も望ましいが、
何れか一方の工程でスチレンのみを使用し、他方の工程
でアクリル系単量体のみを使用すること等も可能であ
る。
【0048】ビニル単量体の使用量は、カーボンブラッ
ク100重量部に対し、10〜40重量部程度が好まし
い。ビニル単量体の使用量が上記範囲未満では、グラフ
ト化された高分子の分子量が小さすぎるため、製造され
るトナーが、耐熱性、耐摩耗性、耐ブロッキング性、耐
スペント性等に劣ったものとなるおそれがある。
【0049】逆に、ビニル単量体の使用量が上記範囲を
超えた場合には、グラフト化された高分子の分子量が大
きすぎてモノマー相の粘度が高くなり、分散媒中に液滴
状に分散させるのが困難になって、小粒径のトナーが得
られない、トナーの粒度分布が広くなってしまう、等の
問題を生じるおそれがある。また、過剰のビニル単量体
がフリーの重合体を生成して、やはり、製造されるトナ
ーが、耐熱性、耐摩耗性、耐ブロッキング性、耐スペン
ト性等に劣ったものとなるおそれもある。
【0050】上記グラフト化の反応は、加熱だけでも進
行する可能性があるが、やはり、重合開始剤を添加する
のが好ましい。また前記と同様に、γ線、加速電子線等
を用いて重合を開始させたり、紫外線と各種光増感剤と
を組合せて重合を開始させたりすることも可能であり、
この場合には重合開始剤を使用しなくてもよい。グラフ
ト化の反応に使用する重合開始剤は、ビニル単量体への
溶解性にすぐれたものであればよく、懸濁重合に使用す
る重合開始剤のように分散媒との溶解性を考慮する必要
はない。しかし、得られるトナーの耐湿性を考慮する
と、懸濁重合に使用するのと同様に、非水溶性の重合開
始剤を使用するのが好ましい。
【0051】重合開始剤の添加量は、ビニル単量体10
0重量部に対して0.001〜5重量部であるのが好ま
しく、とくに0.01〜1重量部であるのが好ましい。
グラフト化の反応は適当な溶媒中で行ってもよいが、溶
媒除去の工程を省略することを考慮すると、溶媒を使用
せず、グラフト化に使用するビニル単量体に溶媒の役目
を兼ねさせるのが好ましい。
【0052】つぎに、グラフト化が完了した反応に、さ
らにビニル単量体、重合開始剤、電荷制御剤、オフセッ
ト防止剤、架橋剤等を添加して懸濁重合用のモノマー相
を作製し、あとは第1の製造方法と同条件で、同様にし
て、モノマー相を適当な分散媒中に液滴状に分散させつ
つ重合させると、本発明の電子写真用トナーが製造され
る。
【0053】モノマー相に添加されるビニル単量体は、
前記のように定着用樹脂を構成するものであり、定着用
樹脂としての物性にすぐれるとともに、カーボンブラッ
クにグラフト化した高分子との相溶性にすぐれた定着用
樹脂を構成しうるビニル単量体を使用するのが望まし
い。その添加量は、グラフト化に使用したビニル単量体
との合計量100重量部に対して、カーボンブラックが
1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部の割合とな
るように設定すればよい。
【0054】重合開始剤その他の添加剤については、先
の第1の製造方法で使用したのと同様のものを、同量使
用することができる。また分散媒や懸濁安定剤について
も、先の第1の製造方法であげたのと同様のものを使用
できる。上記本発明の第2の製造方法によれば、カーボ
ンブラックの表面のビニル基に、ビニル単量体が重合し
て高効率でグラフト化されるため、従来の、ビニル基を
導入していないカーボンブラックを原料とするグラフト
化カーボンブラックの生成反応に比べてグラフト化率が
著しく向上し、副生成物としてのフリーの重合体の生成
が著しく抑えられる。
【0055】また、2度の重合工程を経るので、イソシ
アネート基含有ビニル単量体やビニル単量体が低分子量
で残存することがほとんどなく、カップリング剤等の低
分子量の成分を使用しないことと相俟って、製造される
トナー中には、トナーの物性に影響を及ぼす低分子量の
成分が存在することがない。このため、製造されるトナ
ーは、耐熱性、耐摩耗性、耐ブロッキング性、耐スペン
ト性等にすぐれたものとなる。
【0056】また、上記のようにグラフト化の反応はグ
ラフト化率が著しく向上し、副生成物としてのフリーの
重合体の生成が著しく抑えられるので、モノマー相は低
粘度で、分散媒中に液滴状に分散させるのが容易であ
る。したがって、粒径10μm以下でかつ粒度分布がき
わめて狭い、粒径の揃ったトナーを製造することができ
る。
【0057】さらに、グラフト化されたカーボンブラッ
クは、未処理のものにくらべてモノマー相中への分散
性、分散安定性が向上するとともに、懸濁重合工程で生
成するビニル単量体の重合物としての定着用樹脂と、カ
ーボンブラックにグラフトした高分子とがトナー中でほ
ぼ均一に混和した状態となって、カーボンブラックと定
着用樹脂とが一体化する。このため、両者の界面からト
ナー割れが発生したり、カーボンブラックがトナー粒子
から脱落したりするおそれがなく、製造されたトナー
は、耐久性にすぐれ、画像形成装置内部やキャリヤを汚
染するおそれがないものとなる。
【0058】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて
説明する。実施例1 乾燥雰囲気下で、カーボンブラック10重量部と、前記
式(1a)で表されるメタクリロイルイソシアネート1.5
重量部とを、82重量部のスチレン中に添加し、混合し
て、カーボンブラックを処理した。
【0059】つぎに、上記処理液を、下記に示す各成分
と混合して、モノマー相を作製した。 成 分 重量部 ・ビニル単量体:2−エチルヘキシルメタクリレート 18 ・架橋剤: ジビニルベンゼン 0.2 ジエチレングリコールジメタクリレート 1.5 ・電荷制御剤: 電荷制御染料 0.8 スチレン−スチレンスルホン酸共重合体(電荷制御性樹脂) 2 ・重合開始剤: アゾビスイソブチロニトリル 0.32 2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル) 1.5 つぎに、分散媒としての蒸留水670重量部に、6Nの
塩酸23重量部と、懸濁安定剤としてのリン酸三カルシ
ウム7重量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム0.034重量部を溶解した後、上記モノマー相を
加え、さらに4Nの水酸化ナトリウム150重量部を徐
徐に滴下しつつ、TKホモミキサー〔特殊機化工業社
製〕を用いて回転数8000r.p.m.で10分間攪拌して
懸濁させて、モノマー相を液滴化した。
【0060】つぎに、この懸濁液をセパラブルフラスコ
中に移し替え、窒素雰囲気下、回転数120r.p.m.で攪
拌しつつ70℃に加熱して、3時間重合反応させた。そ
して、重合粒子をろ別して希酸洗浄、水洗浄、乾燥を行
った後、これを0.2重量%の疎水性シリカ微粉末と混
合して表面処理して、電子写真用トナーを得た。
【0061】比較例1 最初の処理液にメタクリロイルイソシアネートを配合し
なかったこと以外は、上記実施例1と同様にして電子写
真用トナーを得た。比較例2 カーボンブラック10重量部とスチレン82重量部とを
混合し、攪拌しつつ70℃で4時間熱重合させたこと以
外は、上記実施例1と同様にして電子写真用トナーを得
た。
【0062】実施例2 乾燥雰囲気下で、カーボンブラック10重量部と、前記
式(1a)で表されるメタクリロイルイソシアネート1.5
重量部と、2−エチルヘキシルメタクリレート11重量
部とを、50重量部のスチレン中に添加し、混合して、
カーボンブラックを処理した。
【0063】つぎに上記処理液に、重合開始剤としての
2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)0.01重量部を添加し、攪拌下、60℃に加熱し
て3時間反応させて、グラフト化カーボンブラックを生
成させた。つぎに上記反応液を、下記に示す各成分と混
合して、モノマー相を作製した。 成 分 重量部 ・ビニル単量体: スチレン 32 2−エチルヘキシルメタクリレート 7 ・架橋剤: ジビニルベンゼン 0.2 ジエチレングリコールジメタクリレート 1.5 ・電荷制御剤: 電荷制御染料 0.8 スチレン−スチレンスルホン酸共重合体(電荷制御性樹脂) 2 ・重合開始剤: アゾビスイソブチロニトリル 0.32 2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル) 1.5 つぎに、分散媒としての蒸留水670重量部に、6Nの
塩酸23重量部と、懸濁安定剤としてのリン酸三カルシ
ウム7重量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム0.034重量部を溶解した後、上記モノマー相を
加え、さらに4Nの水酸化ナトリウム150重量部を徐
徐に滴下しつつ、TKホモミキサー〔特殊機化工業社
製〕を用いて回転数8000r.p.m.で10分間攪拌して
懸濁させて、モノマー相を液滴化した。
【0064】つぎに、この懸濁液をセパラブルフラスコ
中に移し替え、窒素雰囲気下、回転数120r.p.m.で攪
拌しつつ70℃に加熱して、3時間重合反応させた。そ
して、重合粒子をろ別して希酸洗浄、水洗浄、乾燥を行
った後、これを0.2重量%の疎水性シリカ微粉末と混
合して表面処理して、電子写真用トナーを得た。
【0065】上記各実施例、比較例について以下の各試
験を行い、特性を評価した。分散性評価 実施例1の処理液、つまりメタクリロイルイソシアネー
トで処理されたカーボンブラックがスチレン中に分散し
た分散液と、実施例2のグラフト化が終了した段階の反
応液、つまりグラフト化カーボンブラックがスチレン中
に分散した分散液と、比較例1の未処理のカーボンブラ
ックがスチレン中に分散した分散液とをそれぞれ少量ず
つ取り分け、レーザー回折式粒子径測定装置〔堀場製作
所(株)製の型番LA−700〕を用いて分散粒子径を
測定して、それぞれの状態のカーボンブラックの分散性
を評価した。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】上記表1の比較例1の分散液の測定結果を
みると、スチレン中での分散粒子径は、実施例のカーボ
ンブラックの分散粒子径より遙かに大きく、このことか
ら、未処理のカーボンブラックはスチレンに対する分散
性が悪く、スチレン中でストラクチャーが再凝集してい
ることがわかった。これに対し実施例1の測定結果をみ
ると、スチレン中での分散粒子径は、比較例1の1/1
0以下に小さくなった。このことから、メタクリロイル
イソシアネートで処理されたカーボンブラックはスチレ
ンに対する分散性がよく、スチレン中で再凝集しないこ
とがわかった。
【0068】また、実施例2の測定結果をみると、上記
実施例1のものよりさらに分散粒子径が小さくなってお
り、メタクリロイルイソシアネートで処理されたカーボ
ンブラックをグラフト化することで、さらにスチレンに
対する分散性を向上できることがわかった。平均粒径測定 各実施例、比較例で製造したトナーの粒度分布のうち体
積基準のメジアン径D 50を、コールターカウンターを用
いて測定して平均粒径とした。また、25%残留径D25
と75%残留径D75との比D25/D75を求めて、粒度分
布の幅を評価した。結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】上記表2の結果より、比較例2のトナー
は、D50が大きいことから平均粒径が大きく、またD25
/D75が大きいことから、粒度分布の幅が広いことがわ
かった。そしてこの事実から、カーボンブラックを熱重
合によりグラフト化した場合には、副生成物であるフリ
ーの重合体が多量に発生してモノマー相の粘度が上昇
し、微小な液滴として分散媒中に分散させるのが困難に
なることが確認された。
【0071】一方、実施例1,2のトナーは、比較例1
のトナーと同程度にD50が小さいことから平均粒径が小
さく、また比較例1よりもD25/D75が小さいことか
ら、粒度分布の幅が狭く、粒径の揃ったものであること
がわかった。そしてこの事実から、本発明の第1および
第2の製造方法によれば、いずれの場合にも、副生成物
であるフリーの重合体の発生がない分、モノマー相の粘
度を低くでき、したがって、モノマー相を微小な液滴と
して分散媒中に分散させるの容易になることが確認され
た。
【0072】さらに、実施例1と2を比較すると、実施
例1の方が平均粒径が小さい上、粒度分布の幅が狭く、
このことから、グラフト化カーボンブラックをモノマー
相に配合するより、その前段階としてのイソシアネート
基含有ビニル単量体によって処理されたカーボンブラッ
クをモノマー相に配合した方が、さらにモノマー相の粘
度を低くできることがわかった。
【0073】実用試験 各実施例、比較例で製造したトナーを、それぞれ、平均
粒径80μmのフェライトキャリヤ〔三田工業(株)製
のDC2858用〕と、トナー濃度が4%となるように
配合して2成分系の現像剤を作製し、以下の各測定を行
って、特性を評価した。
【0074】 画像濃度測定 各現像剤を、三田工業(株)製の普通紙複写機(型番D
C2858)にスタート現像剤として使用するととも
に、現像剤に使用したのと同じトナーを補給用トナーと
して使用しつつ、黒白原稿の1万枚の連続複写を行い、
画像形成1枚目(初期)と、画像形成1万枚目(耐刷
後)の形成画像における画像濃度を、反射濃度計(東京
電色社製の型番TC−6D)を用いて測定した。
【0075】 かぶり濃度測定 上記画像形成1枚目(初期)と、画像形成1万枚目(耐
刷後)の形成画像の余白部分の濃度を、上記反射濃度計
を用いて測定した。 ブローオフ帯電量測定 上記1万枚の連続複写前後における現像剤の帯電量を、
東芝ケミカル社製のブローオフ帯電量測定器を用いて測
定した。
【0076】画像濃度およびかぶり濃度の測定結果を表
3に、ブローオフ帯電量の測定結果を表4にそれぞれ示
す。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】上記両表の、各初期特性を比較すると、実
施例1,2は比較例1,2に比べてブローオフ帯電量が
高く、画像濃度が高く、かつかぶり濃度が低いことか
ら、帯電特性にすぐれたものであることがわかった。そ
してこのことから、実施例1,2のトナーは、比較例
1,2のトナーのように絶縁性を低下させるカーボンブ
ラック粒子の連鎖がなく、カーボンブラックが均一に分
散されていることが確認された。
【0080】また、初期と耐刷後の特性を比較すると、
比較例1はブローオフ帯電量が低下し、画像濃度が低下
するとともに、かぶり濃度が上昇し、比較例2はブロー
オフ帯電量が低下するとともに、かぶり濃度が上昇した
が、実施例1,2はいずれも、各特性にほとんど変化が
みられなかった。さらに、形成画像を観察したところ、
比較例1,2はいずれも、画像形成初期から画像濃度が
不足するとともに余白部分にかぶりがみられ、それが、
比較例1では耐刷後にさらに悪化した。また比較例1の
トナーを含む現像剤を耐刷後に観察したところ、トナー
割れによる流動性の低下がみられた。また比較例2で
は、かぶりがさらに悪化するとともに、形成画像に白筋
が観察された。そこで複写機の内部を検査したところ、
感光体ドラムの表面にトナーがフィルミングしているの
が観察されるとともに、現像剤にスペントが発生してい
るのが観察された。これに対し実施例1,2はいずれ
も、1万枚の連続複写後も形成画像は良好であった。
【0081】そしてこのことから、比較例1,2のトナ
ーは、1万枚の連続複写によってトナー割れやカーボン
ブラックの脱落を生じたが、実施例1,2のトナーはこ
れらの問題を生じることがなく、耐久性にすぐれたもの
であることが確認された。
【0082】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
カーボンブラックの分散性、分散安定性、定着用樹脂と
の親和性がよく、小粒径でかつ粒度分布の幅が狭く、し
かも耐熱性、耐摩耗性、耐ブロッキング性、耐スペント
性等にすぐれた電子写真用トナーが得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イソシアネート基含有ビニル単量体によっ
    て処理された、表面にビニル基が導入されたカーボンブ
    ラックの存在下で、ビニル単量体を重合させた重合体か
    らなることを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 【請求項2】カーボンブラックをイソシアネート基含有
    ビニル単量体で処理して表面にビニル基を導入した後、
    このカーボンブラックとビニル単量体とを含むモノマー
    相を分散媒中に液滴状に分散させつつ重合させることを
    特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
  3. 【請求項3】カーボンブラックをイソシアネート基含有
    ビニル単量体で処理して表面にビニル基を導入し、この
    カーボンブラックとビニル単量体とを重合させてグラフ
    ト化カーボンブラックを得た後、このグラフト化カーボ
    ンブラックと、上記ビニル単量体と同一または相異なる
    ビニル単量体とを含むモノマー相を分散媒中に液滴状に
    分散させつつ重合させることを特徴とする電子写真用ト
    ナーの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1039131A (ja) * 1996-07-24 1998-02-13 Sharp Corp カラーフィルタ、その製造方法及び液晶表示装置
JP2011069976A (ja) * 2009-09-25 2011-04-07 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

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