JPH0692525B2 - 耐熱性ポリエステル容器 - Google Patents

耐熱性ポリエステル容器

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JPH0692525B2
JPH0692525B2 JP6556190A JP6556190A JPH0692525B2 JP H0692525 B2 JPH0692525 B2 JP H0692525B2 JP 6556190 A JP6556190 A JP 6556190A JP 6556190 A JP6556190 A JP 6556190A JP H0692525 B2 JPH0692525 B2 JP H0692525B2
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    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
    • B65DCONTAINERS FOR STORAGE OR TRANSPORT OF ARTICLES OR MATERIALS, e.g. BAGS, BARRELS, BOTTLES, BOXES, CANS, CARTONS, CRATES, DRUMS, JARS, TANKS, HOPPERS, FORWARDING CONTAINERS; ACCESSORIES, CLOSURES, OR FITTINGS THEREFOR; PACKAGING ELEMENTS; PACKAGES
    • B65D1/00Containers having bodies formed in one piece, e.g. by casting metallic material, by moulding plastics, by blowing vitreous material, by throwing ceramic material, by moulding pulped fibrous material, by deep-drawing operations performed on sheet material
    • B65D1/02Bottles or similar containers with necks or like restricted apertures, designed for pouring contents
    • B65D1/0207Bottles or similar containers with necks or like restricted apertures, designed for pouring contents characterised by material, e.g. composition, physical features
    • B65D1/0215Bottles or similar containers with necks or like restricted apertures, designed for pouring contents characterised by material, e.g. composition, physical features multilayered

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、耐熱性ポリエステル容器に関するもので、よ
り詳細には、結晶化核剤含有ポリエステル組成物と液晶
ポリエステルとのブレンド物から形成され、内容物の保
存のためのガスバリヤー性と、容器、特に加熱調理用容
器に要求される強靱性及び耐熱性との組合せに優れた包
装用ポリエステル容器に関する。
[従来の技術] 樹脂成形容器は、軽量であり且つ耐衝撃性にも優れてい
ることから、食品、化粧品、洗剤及び各種薬品類に対す
る包装用容器として広く使用されている。
しかしながら、金属缶やガラスビン等では器壁を通して
の気体透過は殆んどゼロであるのに対して、樹脂成形容
器の場合には、器壁を通しての気体透過が無視し得ない
オーダーで生ずることが問題である。この問題を改善す
るために、耐気体透過性樹脂を容器構成材料として用い
ることが既に行われており、例えばエチレン−ビニルア
ルコール共重合体や塩化ビニリデン系樹脂等が容器壁の
耐気体透過性の改善の目的に使用されている。
しかしながら、エチレン−ビニルアルコール共重合体
は、関係湿度(RH)0%の条件では優れたガスバリヤー
性を示すが、高湿度条件下では気体透過係数、例えばPO
2が約2桁増大するという不都合がある。また、塩化ビ
ニリデン系樹脂は気体透過係数の湿度依存性が小さいと
いう利点があるが、その熱安定性に問題があり、容器成
形上も容器の使用上も制約を受けることが多く、特に容
器内に充填された食品類を容器ごと摂食前に加熱調理す
る場合には、オーブントースター等による加熱に賦する
と、樹脂の熱劣化が著しい。
また、一般に電子レンジ用途に用いられているプラスチ
ック容器はポリプロピレンが主体のものであり、ガスバ
リヤー性を要求される用途には前記バリヤー性樹脂が多
層形態で使用される。
これらの容器は本質的にポリプロピレンの有する耐熱性
しかなく、電子レンジ用途でも油性食品のような高温化
するものには使用できず、ましてや、オーブンで高温に
さらすことは不可能である。他にC−PETと呼ばれる結
晶化されたポリエステルからなる容器もあるがバリヤー
性はなく、また、これも、オーブンのような高温に耐え
られないものである。
近年液晶ポリマーがその優れた機械的性質から繊維の分
野で注目されている。この液晶ポリマーには、溶液(ド
ープ)の状態で液晶を形成するもる(リオトロピック)
と、溶融物の状態で液晶を形成するもの(サーモトロピ
ック)があり、前者はケプラー(デュポン社)に代表さ
れる芳香族ポリアミドであり、後者はベクトラ(セラニ
ーズ社)に代表される芳香族ポリエステルである。
これらの液晶では、剛直分子が整然と並んだドメインが
連続する所謂ポリドメイン構造を形成しており、これに
剪断応力を加えることにより、これらの分子が剪断応力
のかかった方向に配向し、優れた強度が得られると言わ
れている。
液晶ポリエステルをフィルム等の延伸成形体の製造に使
用することも既に提案されており、例えば特開昭62-187
033号公報には、芳香族ジカルボン酸単位(A)、脂肪
族ジオール単位(B)及びヒドロキシ芳香族カルボン酸
単位(C)から形成される熱液晶性ポリエルテルからな
る層と少なくともその片面にポリエチレンテレフタレー
ト成分を含有するポリエステルからなる層を有し、且つ
少くても一方向に配向されていることを特徴とする積層
延伸成形品が記載されている。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、液晶ポリエステルの立体状容器への溶融
成形は、該ポリエステル分子が剪断応力のかかる方向に
配向する傾向があるため、成形自体かなり困難であると
いう問題がある。即ち、液晶ポリエステルの溶融物は、
通常のプラスチックの溶融物とは異なり、溶融流動配向
性がきわめて大きいため、この溶融物は一次元状に流動
しようとする傾向があり、ダイオリフィス内に一様に分
布させることが困難で、一様な肉厚の成形品を得ること
がむずかしい。このような傾向は、液晶ポリエステルと
通常のポリエステルとの多層容器への押圧成形や射出成
形の場合にも同様に認められる。
液晶ポリエステル層に、このような肉厚の不均一さや層
そのものが欠落した部分が存在すると、液晶ポリエステ
ルが本来有する強度や耐気体透過性が損なわれることに
なる。
また、熱可塑性ポリエステルを熱処理してこれを高度に
結晶化させることにより、その耐熱性を向上させること
はよく知られているが、この熱処理で結晶化させた容器
では、ある程度耐熱性が向上する反面として、極度にも
ろくなり、耐衝撃性や保形性の点で包装容器としては不
適当なものとなる。
従って、本発明の目的は、内容物の保存のためのガスバ
リヤー性と、容器、特に加熱調理用容器に要求される強
靱性及び耐熱性との組合せに優れた包装用ポリエステル
容器を提供するにある。
本発明の他の目的は、結晶性熱可塑性ポリエステルと液
晶ポリエステルのブレンド物から形成されていながら、
液晶ポリエステルがガスバリヤー性や容器強度の点から
最も望ましい中間層の形で、また結晶性熱可塑性ポリエ
ステルが強靱性、耐熱性の点で最も望ましい制御された
結晶構造の表面層の形で存在する包装用ポリエステル容
器を提供するにある。
[問題点を解決するための手段] 本発明によれば、結晶化核剤として、オレフィン系樹脂
核剤を含有する極限粘度が0.75乃至1.40g/dlのエチレン
テレフタレート系ポリエステル組成物80乃至90重量%と
液晶ポリエステル20乃至10重量%とを含有するブレンド
物の熔融射出成形により形成され、前記液晶ポリエステ
ルは、主として器壁内包に実質上連続的に分布して存在
していることを特徴とする耐熱性ポリエステル容器が提
供される。
この容器は好適には、結晶性熱可塑性ポリエステルが10
%以上の結晶化度を有し、液晶ポリエステルは一軸方向
に分子配向した微細構造を有している。
[作用] 本発明の耐熱性ポリエステル容器は、オレフィン系樹脂
核剤を含有する特定極限粘度のエチレンテレフタレート
系ポリエステル組成物と、液晶ポリエステルとを含有す
るブレンド物から形成されていることが第1の特徴であ
る。
液晶ポリエステルが溶融流動配向性が大であり、ガスバ
リヤー性及び機械的強度に優れていることは前述した通
りであるが、この液晶ポリエステルを単独で容器成形に
用いた場合、その配向異方性が極めて大きいため樹脂の
流れ方向での機械的強度が低下するという点があげられ
る。
本発明では、液晶ポリエステルを、オレフィン系樹脂核
剤を含有し、且つ特定極限粘度のエチレンテレフタレー
ト系ポリエステル組成物とのブレンド物の形で用いるこ
とにより、溶融射出成形等に賦して流れ方向に対する機
械的強度の低下を克服することができた。
更には、形成される容器器壁の主として内包に液晶ポリ
エステルを実質的に連続させ、或いは層状に分布させ得
るという予想外の利点が達成される。
これは、前記エチレンテレフタレート系ポリエステル
は、ある特定範囲の極限粘度すなわち、平均分子量を有
するものであり、従って、溶融時においてもある程度の
大きさの溶融粘度を有する。
このポリエステルに液晶ポリエステルをブレンドして溶
融した共溶融物は、両樹脂成分の溶融粘度の相対差等の
関係に基因して、剪断応力下の液晶ポリエステルの流動
配向性がうまく調節され、共溶融物を射出成形に付した
場合、ノズルやゲート通過に際して生ずるかなり大きな
剪断力の作用により溶融物中の液晶ポリエステル樹脂成
分が樹脂流の中央部に集中的に配列乃至配位した分布構
造となるためと考えられる。
後述する比較例2において述べられているように極限粘
度の低いポリエステルを液晶ポリエステルに組合せてブ
レンドした場合は、溶融射出成形時における溶融粘度が
低いため、液晶ポリエステルの内包状一様分布が達成さ
れない。この液晶ポリエステルの配列、分布の当然の結
果として、容器器壁の両表面部には結晶化核剤含有熱可
塑性ポリエステルが主として存在することになる。一般
に、液晶ポリエステルを中間層射出機に供給し、核剤含
有熱可塑性ポリエステルを内外層射出機に供給して共射
出を行ったり、液晶ポリエステルを中間層押出し機に供
給し、核剤含有熱可塑性ポリエステルを内外層押出機に
供給して共押出しを行うことで、加工できる2種3層な
る積層体は、液晶ポリエステルと、核剤含有熱可塑性ポ
リエステルとの間で層間剥離が起こりやすく耐気体透過
性はあるものの成形品の機械的強度にやや問題がある。
従って、両者をブレンドした後、溶融射出してやると、
中間層には液晶ポリエステルが主として存在し、容器機
壁部の両表面部に近づくに従い液晶ポリエステルの混合
率が徐々に低くなり、表面部では熱可塑性ポリエステル
が主として存在しているために、両者の層間剥離はおこ
らないと考えられる。
液晶ポリエステルが流動配向し且つ完全な層状態、粒子
の連続状態、繊維の連続状態及び薄片の連続状態で実質
的に連続分布していることに伴って、容器機中の液晶ポ
リエステルは一軸方向に略分子配向している。また、器
壁厚み方向に透視したときに中間層が実質上連続してい
るとは、(I)中間層が連続した膜の形で存在する場
合、(II)中間層が連続した膜の形ではないが、多数の
薄片(フレーク)状となっていてしかもこれらの薄片が
少なくともそれらの端縁部で厚み方向に重なり合ってい
て、透視したとき面方向に連続しているようにみえる場
合、及び(III)上記(I)と(II)との中間状態や上
記(I)と(II)との組合せで存在する場合等が含まれ
る。
本発明の容器における液晶ポリエステル中間層は、上記
(I)、(II)、(III)等の形状で存在すると共に、
主として一軸方向に分子配向されていることが特徴であ
る。本発明において、液晶ポリエステルの配向形式を一
軸配向に特定しているのは、一軸配向により耐気体透過
性の改善、特に酸素透過係数の減少が最も有効に行われ
ることによる。
一般に、熱可塑性樹脂の酸素透過係数は樹脂の分子配向
により減少することが知られており、特に、延伸ブロー
成形容器のように、二軸配向、即ち二軸延伸により耐気
体透過性が向上することが知られている。しかしなが
ら、液晶ポリエステルの場合には、二軸延伸によりかえ
って耐気体透過性が低下することが認められるのであ
る。これは、液晶ポリエステルが主配向方向と直角方向
(横断方向)には配向が極めて起こりにくく、しかも横
断方向の機械的強度が低いために、前述した面方向の連
続性が維持できなくなるためと思われる。しかも、代表
的な二軸延伸成形容器であるポリエチレンテレフタレー
ト(PET)の場合、未延伸のものに比して二軸延伸では
酸素透過係数(PO2)が約半分程度に減少するにすぎな
いのに対して、液晶ポリエステルの場合には、一軸配向
により未配向のものに比してワン・オーダー以上低い酸
素透過係数(PO2)となるという予想外の利点がある。
しかも、液晶ポリエステル中間層を一軸配向とすること
は、多層分布構造容器成形時における高剪断力下での流
動配向をそのまま利用し得るため、格別の延伸配向操作
や設備を必要とせず、耐気体透過性や力学的性質の顕著
な改善が行われるという利点をももたらす。
本発明の多層分布構造容器においては、液晶ポリエステ
ル中間層が介在し、該中間層の酸素透過係数が著しく小
さい値となることにより、容器全体としての器壁を通し
ての気体透過が抑制されるものであるが、前記(II)の
ように中間層が薄片状であっても優れた耐気体透過性が
得られるのは、薄片の集積により気体の透過通路が長く
なり厚みを増大したのと同様な作用が得られるためであ
る。
また、本発明の容器に、タルク、マイカ、ガラスファイ
バー等の無機充填材を、このような多層分布構造あるい
は、配向形態をくずさない範囲で充填することも可能で
ある。
本発明の容器において、マトリックスを形成する結晶性
熱可塑性ポリエステルは、オレフィン系樹脂結晶化核剤
を含有することが下記の三点から重要である。先ず、最
も代表的な熱可塑性ポリエステルは、高い結晶化度をと
り得るとしても、結晶化速度の遅いことが難点である。
このようなポリエステルに結晶化核剤を含有させると、
第一に該ポリエステルの結晶化速度が大きくなり、射出
型内でこのポリエステルの結晶化が既に進行することも
あり、型通りの精度の高い成形と、変性を生じることの
ない型からの取出しとが可能となる。第二に、ポリエス
テル製容器を熱処理して結晶化させる場合、結晶化が完
了する前に容器が熱変形する傾向があるが、ポリエステ
ルに結晶化核剤を含有させて、結晶化速度を増大させる
ことにより、熱変形に先立って高度の結晶化が可能とな
り、また熱処理温度を低くし或いは熱処理時間を短かく
し得ることから、熱変形を防止し得ることになる。第三
に、結晶化核剤を含有させることにより、到達し得る結
晶化度を高め、耐熱性を高め得ることは当然のことであ
るが、これと同時に生成する結晶(球晶)のサイズが粗
大化するのを防止して、結晶サイズを微細化し且つ均一
化することができ、これにより容器の靱性や耐衝撃性を
も顕著に向上させることが可能となる。
また、本発明の容器において、液晶ポリエステルが含有
されていることが非常に重要な要素である。一つには液
晶ポリエステルそのものがポリエステルの結晶化促進の
核剤となること、二つにはポリエステル容器が結晶化時
に熱変形するのを支持体の役目をすることにより防止す
ること、更には同様に支持体の役目をし耐熱性を飛躍的
に高めることが挙げられる。特に、結晶化ポリエステル
容器(C−PET容器)より格段に耐熱性が向上すること
は驚くべき事実である。
以上が総合されて、本発明によれば、内容物の保存のた
めのガスバリヤー性と、容器、特に加熱調理用容器に要
求される強靱性及び耐熱性との組合せに優れた包装用ポ
リエステル容器が提供されることになる。
[発明の好適態様] 本発明の多層分布構造容器の一例を示す第1図におい
て、この容器1はトレイの形状をしており、短い筒状或
いはテーパー状の胴部2、胴部の下端に連なる閉塞底部
3及び胴部の上端に設けられたビード乃至フランジ状開
口端部4から成っている。この容器1と別個に蓋5があ
り、この蓋5とビード乃至フランジ状開口端部4との間
でヒートシール等による密封が行われる。尚、閉塞底部
3の中央に位置する突起6は射出型のゲートに対応する
ものである。この場合突起6は必ずしも突起形状である
必要はない。
多層分布構造容器の他の例を示す第2図において、容器
1はカップ或いはシームレスプラスチック缶の形状をし
ており、やはり筒状乃至テーパー状の胴部2、閉塞底部
3及びビード乃至フランジ状開口端部4から成ってい
る。蓋5と容器1との密封はヒートシールにより或いは
巻締めにより行われる。
これらの容器壁の断面構造を示す第3−A乃至3−C図
において、容器壁7は、実質上末配向の熱可塑性樹脂が
主に分布した内層8及び外層9と、これらの内外層でサ
ンドイッチされるように中心側に分布した液晶ポリエス
テルの中間層10とから成る。中間層を構成する液晶ポリ
エステルは、主として一軸方向に高度に分子配向されて
いる。一例として、液晶ポリエステル中間層は、底部3
ではゲートの突起6を中心にして放射状に一軸分子配向
され、胴部2では容器高さ方向に一軸分子配向されてい
る。第3−A図は、液晶ポリエステルが面方向に連続し
た膜11として存在している場合を示し、第3−B図は、
液晶ポリエステルが薄片12の形で存在し、この薄片12の
多数が面方向に配列され、しかも器壁厚み方向に少なく
ともその端縁部が重なり合うように存在している場合を
示し、第3−C図は、連続膜11と薄片12とが共存してい
る状態、より詳細には、中間層の中心に連続膜11が、そ
の両側に薄片12が分布している状態を示している。勿
論、本発明の多層分布構造容器においては、容器壁の或
る部分では液晶ポリエステルが連続膜11として存在し、
容器壁の他の部分では液晶ポリエステルが薄片集積配列
体として存在してもよい。
液晶ポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸成分と
芳香族ジオール成分とから重縮合により誘導されたポリ
エステル;芳香族ヒドロキシカルボン酸の重縮合により
得られたポリエステル;上記2つのポリエステルの共重
合ポリエステル;及びこれらのポリエステルとポリエチ
レンテレフタレートのコポリエステル等、サーモトロピ
ックなものを挙げることができる。
全エステル反復単位中の2価炭化水素基当りの2価芳香
族基の割合は、例えばポリエチレンテレフタレートでは
50%であるが、本発明に用いる液晶ポリエステルでは50
乃至100%の範囲にあることが望ましい。
その適当な例は、(I)式 で表わされる反復単位から成るポリエステル、例えばセ
ラニーズ社のベクトラ、 (II)式 で表わされる反復単位から成るポリエステル、例えばダ
ートコ社のザイダー、 (III)式 の反復単位から成るポリフェニルハイドロキノンテレフ
タート、 (IV)式 の反復単位からPHB/PET共重合体等であるが、これらの
例に限定されない。
本発明に使用する液晶ポリエステルは、フィルムを形成
するに足る分子量を有するべきであり、一般に200乃至4
00℃で熱成形可能なものが好ましい。
液晶ポリエステルとの組合せで用いる結晶性熱可塑性ポ
リエステルとしては、極限粘度が0.75乃至1.40g/dlの範
囲にあるエチレンテレフタレート系ポリエステル組成物
を用いる。
このようなポリエステル組成物としては、上述した範囲
の極限粘度を有する、ポリエチレンテレフタレート、或
いはエチレンテレフタレート単位を主体とし、エチレン
テレフタレート単位以外のエステル単位を構成するジカ
ルボン酸成分として、イソフタル酸、ナフタレンジカル
ボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、2,2
−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、シクロヘ
キサンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、コハク
酸、ドデカンジカルボン酸等を、一方、ジオール成分と
して、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペ
ンチングリコール、シクロヘキサンジメタノール、キシ
リレングリコール等を含有するコポリエステルを挙げる
ことができる。
コポリエステルはランダム共重合コポリエステルでも、
ブロック共重合コポリエステルでもよく、コポリエステ
ル中のジカルボン酸成分の20モル%以上、特に30モル%
以上がテレフタル酸から成り、ジオール成分の20モル%
以上、特に30モル%以上がエチレングリコールから成る
ことが望ましい。
高結晶性の点で望ましいコポリエステルは、エチレンテ
レフタレートブロックとブチレンテレフタレートブロッ
クとを、70:30乃至100:0、特に80:20乃至100:0のモル比
で含むエチレンテレフタレート/ブチレンテレフタレー
トブロック共重合体である。
本発明においては、液晶ポリエステルの層状分布構造を
発現させるために前記エチレンテレフタレート系ポリエ
ステルは極限粘度(IV)が0.75乃至1.40(g/dl)のもの
を用いる。
本発明において、前記エチレンテレフタレート系ポリエ
ステル組成物に含有させるオレフィン系樹脂結晶化核材
としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワッ
クス、酸化ポリエチレンワックス、低−、中−、高−密
度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸乃至酸無水物変性
ポリエチレン、酸乃至酸無水物変性ポリプロピレン、エ
チレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイ
オノマー)等を例示することができる。
結晶化核剤は、例えば高分子融液中で熱運動する高分子
鎖に作用して結晶化の過冷却度を減少させ、球晶の数を
増大させ球晶を微細化し、全体の結晶化速度を早める作
用をする。本発明の結晶化核剤含有ポリエステルでは、
溶融物の冷却過程での結晶化と、成形品の熱処理過程で
の結晶化との両方が重要となる。本発明では、220℃で
の降温結晶化半増期(最高到達結晶化度の半分の結晶化
度になる迄の時間)が10分以下、特に8分以下で、且つ
120℃での昇温結晶化半増期が4分以下、特に3分以下
の結晶化核剤を用いることが好ましい。
核剤の熱可塑性ポリエステルへの配合量は、その種類や
要求される物性にもよるが、一般にポリエステル100重
量部当り0.05乃至50重量部、特に0.1乃至40重量部の範
囲内である。
液晶ポリエステルと核剤含有熱可塑性ポリエステルとの
配合比率は、最終容器の耐気体透過性、容器の強度及び
耐熱性並びに容器の肉厚の均一性や外観特性に重大な影
響を及ぼす。即ち、液晶ポリエステルの配合比があまり
少なくなると、耐気体透過性等の改善が不十分となり、
一方核剤含有熱可塑性ポリエステルの配合比があまり多
くなると、射出成形性が低下して容器の外観特性等が損
なわれることになる。
本発明においては、二成分基準で液晶ポリエステルが20
乃至10重量%の量で、核剤含有熱可塑性ポリエステルは
残余の量で存在するのがよい。
また、液晶ポリエステルの配向をこわさない範囲で無機
充填材を混入することも可能である。
本発明の容器は、核剤含有結晶性熱可塑性ポリエステル
と液晶ポリエステルとを含有し、主として内外表面側に
分布された熱可塑性ポリエステルと、主として容器内包
に分布された液晶ポリエステルと、から成る多層分布構
造を型内で形成させ、次いで、この容器を熱可塑性ポリ
エステルの結晶化温度で熱処理して、熱可塑性ポリエス
テルを10%以上、特に20%以上の結晶化度となるように
結晶化させることにより得られる。
容器の製造に際し、液晶ポリエステルと核剤含有熱可塑
性ポリエステルとを混合物の形で射出機のホッパーに供
給する。この混合物は、両者のドライブレンドでもよい
し、メルトブレンドでもよい。ドライブレンドは、例え
ばリボンフレンダー、コニカルブレンダー、ヘンシェル
ミキサーのような各種混合機を用いて行うことができ、
一方メルトブレンドは単軸または二軸押出機、ニーダ
ー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて行うことが
出来る。一般には操作の簡便さ、多層分布構造の発現の
容易さ等からドライブレンドを用いることが推奨され
る。
多層分布構造容器の成形に際しては、前記混合物を所定
の溶融粘度差を与える温度で、冷却された射出型中に溶
融射出する。射出機としては、射出ブランジャまたはス
クリューを備えたそれ自体公知のものが使用され、ノズ
ル、スプレー、ゲートを通して前記混合物を射出型中に
射出する。これにより、樹脂流中に前述した多層分布構
造が形成されると共に、液晶ポリエステルに顕著な流動
配向が付与されて、射出型キュビティ内に流入し、冷却
固化されて本発明の多層分布構造容器となる。射出型と
しては、容器形状に対応するキャビティを有するものが
使用されるが、前述した流動配向を一軸配向に固定させ
るためには、ワンゲート型の射出型を用いるのが好まし
い。射出成形された容器は、液晶ポリエステルが支持体
の役目をし、核剤含有熱可塑性ポリエステルが型内で或
る程度結晶化されていることもあり、成形の精度が著し
く高く、しかも短い成形サイクルで形くずれなしに外部
に取出される。
次いで、射出成形された多層分布構造容器を熱処理す
る。この熱処理には、二つの作用があり、一つは内外層
の核剤含有熱可塑性ポリエステルを結晶化させることで
あり、二つは中間層の液晶ポリエステルの一軸配向層を
熱固定することである。核剤含有熱可塑性ポリエステル
を前記範囲に熱結晶化させることにより、容器内外層の
耐熱性が顕著に向上し、レトルト殺菌時や調理時の変形
防止や内容品への移行性の問題が有効に解消される。ポ
リエチレンテレフタレートの場合、熱測定法による結晶
化度が10%以上、特に20%以上となるように熱結晶化さ
せることがこの目的に有用である。中間層の液晶ポリエ
ステルを熱固定乃至熱処理することにより、容器の耐酸
素透過性は向上し、且つ引張り強度や弾性率等の力学的
性質が向上するのみならず、高温における強度及び弾性
率の保持率も向上する。
しかし、この熱処理は、用途によっては必要がない。つ
まり、結晶化による、ある程度の収縮を許容するなら、
液晶ポリエステルが支持体の役目をし相似系の収縮とな
るため、外観上の問題はないからである。
本発明の多層分布構造容器及びその製法においては、本
発明の精神を免脱しない範囲内で多くの変更が可能であ
る。例えば、液晶ポリエステルと核剤含有熱可塑性ポリ
エステルとの混合物を中間層射出機に供給し、核剤含有
熱可塑性ポリエステルを内外層射出機に供給して共射出
が可能であり、この場合には、中間層中に前記多層分布
構造が発現されることが明白となろう。
本発明の熱結晶化ポリエステル容器において、液晶ポリ
エステルが一軸配向されている事実は、X線回析により
確認される。第4−A図は、本発明の多層分布構造の容
器、即ち後述する実施例1の結晶化ポリエチレンテレフ
タレート内外層及び結晶ポリエステル中間層から成る射
出成形による容器について、胴部器壁に対して垂直方向
にX線を照射した時のX銑回析写真である。この写真の
上下方向が容器軸方向及び水平方向が容器の周方向に対
応するが、この写真から容器軸方向への分子配向に伴な
う顕著な干渉スポットが表れていること、及びポリエチ
レンテレフタレート内外層が実質上未配向であること
(これは蛍光偏光及び赤外二色比等による配向度測定に
より確認される)から、中間層の液晶ポリエステルが顕
著に一軸配向されていることが明らかとなる。比較し
て、第4−B図に、PET単体からなる容器胴部のX線回
析写真を示す。
液晶ポリエステルの一軸配向の程度は、下記式 式中、I(β)は、Niフィルター下で、CuKα線を用
い、サンプルを軸方向にセットし赤道上最も強い回析ピ
ークの角度(2θ=20°)に固定し、方位角方向にスキ
ャンさせたときの回析強度であり、βはその方位角を表
わす。
で定義される配向度(F)により評価できる。第5図は
第4図−A及び4−B図の試料について2θを15°から
40°までスキャンさせたときのX線強度分布曲線であ
り、第5−B図は第4−A図の試料について、2θ=20
°に固定し、方位角βを0°から360°までスキャンさ
せたときのX線強度分布曲線を示す。
本発明の多層分布構造容器において、液晶ポリエステル
中間層は一般に50%以上、好適には70%以上の配向度
(F)を示す。液晶ポリエステルの酸素透過係数の計算
には、液晶ポリエステル中間層が組成比に従って理想的
に多層構造を形成していると仮定して PO2 :混合物全体の酸素透過係数 PO2(PET) :PETの酸素透過係数 PO2(LPC) :LCPの酸素透過係数 とすると、PO2(LCP)は下記のように表わされる。
このPO2(LCP)を比較すると同じ組成比(例LCO20%)
でも、配向度(F)が40%程度では、酸素透過係数(PO
2)が1×10-12cc・cm/cm2・sec・cmHgのオーダーにす
ぎないのに対して、配向度(F)が70%以上になると、
酸素透過係数(PO2)が1×10-13cc・cm/cm2・sec・cmH
g以下のオーダーとなることから、配向による酸素透過
係数(PO2)の向上が明白となろう。
[発明の効果] 本発明の多層分布構造容器では、液晶ポリエステルが中
間層及び熱可塑性ポリエステルが高度に結晶化された状
態で、これを保護する内外層として多層分布構造を形成
しており、しかも液晶ポリエステルが高度に一軸配向さ
れていて顕著な耐気体透過性の改善を示す。また、この
液晶ポリエステルの配向層は著しく高い弾性率及び強度
を有すると共に、内外ポリエステルが高度に結晶化され
てしかも強靱性をも有することから、ビール、炭酸飲
料、或はエアゾール製品等を収容する耐圧容器として有
用であり、また高湿度条件下でも優れた耐気体透過性を
有することから、内容物保存性にも特に優れている。特
に、液晶ポリエステルの多層分布構造からの支持体の役
目でこの容器は耐熱性にも優れており、内容物を熱間充
填し、或は、加熱殺菌する容器として、また加熱再調理
用包装容器としても有用である。したがって、この容器
は蓋材をヒートシール(熱封緘)或は巻締めにより密封
することが可能であり、耐気体透過性並びに耐熱性に優
れた密封容器としても利用可能である。
[実施例] 次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。尚、
実施例及び比較例に記載の容器材料及び容器特性の評価
の測定方法は、それぞれ下記の方法に従って行った。
(a)PETの極限粘度(I.V.) 試料0.2mgを精秤し、これをフェノール及びテトラクロ
ルエタンの混合溶媒(重量比1:1)40mlに入れ、135℃で
撹拌下容解する。溶液を30℃の恒温水槽中でウベローデ
型粘度計により溶液粘度を測定し、これにより極限粘度
[η]を算出する。
t:溶液の落下時間(sec) t0:溶媒の落下時間(sec) 比粘度 ηsp=ηrel−1 k:ハギンズの恒数(0.33) c:溶液濃度(g/100ml) 使用材料は、水分を十分に除去し、測定中にも吸湿しな
いように注意する。
(b)射出成形機 射出成形機FS−75NIII型(日精樹脂工業株式会社製) (c)射出条件 下記の成形条件(設定値)で成形を行った。
シリンダー温度 290℃ないしは300℃ 金型温度 30℃ 射出圧力 25%から90% 射出速度 50% 金型 肉厚0.8mmのカップ 射出時間 5sec 冷却時間 10sec (d)酸素透過度(QO2) 酸素濃度測定装置、ヒートシール装置、及びカップ試料
を脱気箱の中に設置した後、N2を約10m/minの流速で脱
気箱の中に流し込み、余分な空気は排気管より排出す
る。酸素濃度が0.02%以下になったとき、1ccの水をい
れたカップにアルミ蓋をヒートシールする。ヒートシー
ルが終了したカップは蓋材にセプタムをシリコン系の接
着剤で接着する。恒温恒湿槽で一定時間放置した後、セ
プタムよりシリンジを挿入し、一定量の気体を取り、ガ
スクロマトグラフにかける。酸素濃度を経時的に測定
し、酸素透過量の増加が一定になったときの速度より、
酸素透過度QO2(cc/m2・day・atm)を計算する。
(e)結晶化度(Xc) 結晶化度の測定は、差動走差熱量計Perkin-Elmer社DSC
−2C型により、標準サンプルとしてインジウムを用いて
行い、同装置内臓のコンピュータシステムを利用し、ベ
ースライン補正あるいは熱量計算を実施した。測定条件
は、サンプル重量3〜5mg、昇温速度並びに降温速度10
℃/min窒素気流下で行った。
まず採取後のサンプルについて室温(25℃)から融点
(Tm)+30℃付近までの昇温曲線を測定し(測定)、
結晶化熱S1と結晶融解熱S2をそれぞれ求めた。結晶化核
剤含有ポリエチレンテレフタレート(C−PETと略気)
等は、例えば結晶化核剤としてポリエチレンが使用され
ている場合、昇温時においてS1のピークに核剤の結晶融
解ピークが重なってしまい、正確なS1の測定が困難とな
る。(第7−A図)その場合は、Tm+30℃付近まで昇温
した試料を徐冷する目的で、降温速度10℃/minで室温ま
で戻し、再度昇温曲線を測定した。(測定)測定よ
り結晶化核剤の結晶融解熱量S3を求め(第7−B図)、
S1にS3を加えたS4を新たにこの試料の結晶融解熱とし
た。以上の方法で求めたS4並びにS2は、最終的に液晶の
混合比率を考慮し補正をしたS4′並びに、S2′を用い下
記(1)式により結晶化度Xcを算出した。
|S2′|:補正した結晶融解熱の絶対値(cal/g) |S4′|:補正した結晶化熱の絶対値(cal/g) 29:100%結晶化したポリエチレンテレフタレートの結晶
融解熱(cal/g) (f)混合率 結晶化核剤を含まないポリエチレンテレフタレート(PE
T略記)と高分子液晶(LCPと略記)をあらかじめわかっ
ている混合比率でそれぞれドライブレンドしておき、除
湿式ホッパードライヤーにて140℃で5時間以上乾燥
し、水分を十分に除去した後、樹脂温度が290℃になる
ように温度設定したホットプレスにて約10分間樹脂を保
持し、溶融成形した後直ちに水中に投入して厚み約0.5m
mのシートを作成した。このようにして得られた混合比
率のそれぞれ違うシートを用い(e)に示した方法でそ
れぞれの試料の結晶融解熱の測定を行った。
以上のようにして求められる結晶融解熱をLCPの混合率
に対してプロットし検量線を得た。この検量線をもとに
各試料の混合率を算出した。
(g)配向度 理学電気工業株式会社のX線回析装置ガイガー・フレッ
クスRAD−Bのポール・フィギュア法を使い、サンプル
を軸方向にセットし、Niフィルター下でCuKα線を赤道
上の最も強い回析ピークに2θの角度を固定し、方位角
方向にサンプルをβ=0°から90°回転させ、強度分布
曲線を求め、次にように液晶の配向度指数と配向度を規
定した。
I(β)は、赤道方向での回折ピーク2θ=20°の位置
で方位角スキャンした時の回析強度であり、βはこの方
位角である。ベースラインは回析強度の極小ピーク強度
とした。
配向度Fが0%に近いほど、配向が弱く、100%に近い
ほど配向が強い。
(h)液晶分布状態の観察 容器を樹脂の流入方向とその直角方向に対し小片を採取
し、ミクロトームでその断面を薄く削り取り、実体顕微
鏡にて断面を写真に撮り、液晶の分布状態を観察した。
実施例1 ポリエチレンテレフタレート(PETと略記、密度1.34g/c
m3、極限粘度IV=1.07)100重量部に結晶化刻剤として
低密度ポリエチレンを3重量部混合した結晶化核剤含有
PET(C−PETと略記)と、液晶ポリエステル(LCPと略
記、セラニーズ社製、A−950)を第1表の混合比率に
てペレット形状のまま混合し、ドライブレンドとした。
この混合物を除湿式ホッパードライヤーにて140℃で5
時間以上乾燥し、水分を十分に除去した後、樹脂温度が
290〜310℃に成るように温度設定した型締力75トンの射
出成形機で溶融射出し、第2図に示した容器の成形を行
った。得られた容器は、光沢があり、LPCは一様に分散
された外観を示している。
さらに使用したC−PETとLPCをそれぞれ単体で上記と同
様に溶融射出し、第2図に示した容器の成形を行った。
これらの容器に対し以下に示す耐熱試験を行った。雰囲
気温度が260℃であるオーブン中に10分間これらの容器
を置き、オーブン加熱後の容器の変形状態を目視により
観察した。変形状態を第1表に示した。あわせてオーブ
ン処理前の混合率、配向度指数、酸素透過度、並びにオ
ーブン処理前後の容器の結晶化を示す。C−PET単体で
は260℃−10分という熱処理を受けると変形してしまい
既に容器としての機能は保たれていない。しかし、C−
PETにLCPを混合率10重量%以上混合した物では、熱処理
による容器の若干の収縮はあるが変形はあまり見られな
い。液晶の分布状態を前記(h)の方法により得た写真
の模式図を第6−Aに示す。このことにより、液晶が層
状に配向することで支持体の役割をしており耐熱性を飛
躍的に高めていることが判る。また液晶が層状に配向し
ていることは、酸素透過度の測定値が低くなっているこ
とからも明らかである。
次にC−PETの結晶化並びに、LCPの一軸配向層を熱固定
する目的で140℃−5分という条件で前熱処理を行っ
た。これら前熱処理を行った容器を前出と同様に260℃
の雰囲気下のオーブンに10分間置き、容器の変形状態を
目視により観察した。これらの結果を第2表に示す。あ
わせて混合率、並びにオーブン処理前後の容器の結晶化
度を示す。C−PET単体ではこのような前熱処理を受け
ても容器の変形が起きてしまい耐熱性はない。しかし、
C−PETにLCPを混合率10重量%以上混合した物では、変
形はまったく見られず、LCPが支持体の役割をしており
耐熱性を飛躍的に高めていることが判る。更に容器の収
縮も起こっておらず、これは前熱処理によるC−PETの
結晶化が特に効を奏していると思われる。尚表に示した
混合率、結晶化度、並びに配向度指数はカップ胴壁中央
部を採取し、サンプルとした。
実施例2 実施例1で使用したPET100重量部に対し、結晶化核剤と
して無機フィラーを3重量部混合したC−PETと、無機
フィラーを1重量部と低密度ポリエチレン2重量部混合
したC−PETを作成した。これに実施例1で用いた液晶
ポリエステルを重量比で80:20となるようにペレット形
状のまま混合し、ドライブレンドとした。このときあわ
せて実施例1で使用したC−PETも上記の混合率でドラ
イブレンドしておいた。これら混合物を除湿式ホッパー
ドライヤーにて140℃で5時間以上乾燥し、水分を十分
除去した後、樹脂温度が290〜310℃に成るように温度設
定した型締力75トンの射出成形機で溶融射出し、第2図
に示した容器の成形を行った。得られた容器はそれぞれ
光沢があり、LCPは一様に分散された外観を示してい
る。
これら容器に実施例1で施したのと同様な耐熱試験を行
いオーブン取り出し後の容器の状態を目視にて観察しそ
の結果を第3表に示す。それぞれの容器は変形は起こっ
ていなかった。
これら熱処理を受けた容器に対し以下に示すような落下
試験を行った。それぞれの容器に蒸留水が満注になるよ
うにいれ、アルミ箔にて密封した後、50cmの高さよりコ
ンクリート床面上に密封容器の底面部が当たるように2
回落下させ、水の漏れ並びに容器の破壊状態を調べた。
結晶化核剤として無機フィラーのみを用いた容器は、高
分子核剤のみ、並びに両者を併用した容器に比べて若干
の脆さがある。これは高分子核剤がC−PET中で結晶化
核剤として作用しているばかりでなく、高分子核剤が持
つゴム弾性的な性質が衝撃を吸収していると思われる。
これらの結果もあわせて第3表に示す。なお表に示した
混合率、結晶化度、並びに配向度数はカップ胴壁中央部
を採取し、サンプルとした。
比較例1 実施例1で使用したC−PET及び液晶ポリエステル(LC
P)について、LCPを混合率80%混合した同様の容器
(D)を成形し、260℃−10分オーブン熱処理を行なっ
た。この容器と、実施例1の第1表のオーブン処理後の
容器に関し、実施例2に示した様な落下試験を行なっ
た。
結果を第4表に示す。
比較例2 ポリエチレンテレフタレート(PETと略記、密度1.34g/c
m3、極限粘度IV=0.46)100重量部に、結晶化核剤とし
て低密度ポリエチレンを3重量部混合した結晶化核剤含
有PET(C−PETと略記)と、液晶ポリエステル(LCPと
略記、セラニーズ社製、A−950)を80:20重量%の混合
比率にてペレット形状のまま混合し、ドライブレンドと
した、この混合物を除湿式ホッパードライヤーにて140
℃で5時間以上乾燥し、水分を十分に除去した後、樹脂
温度が290〜310℃に成るように温度設定した型締力75ト
ンの射出成形機で溶融射出し、第2図に示した容器の成
形を行った。得られた容器はLCPの擬集が若干見られ、
一様に分散された外観を示していない。このC−PET
は、この成形条件では溶融粘度が低いため、LCPが十分
に分散されず、このような外観を示したものと思われ
る。実施例1並びにこの比較例で成形した容器を用い
て、実施例1と同様な耐熱試験を行った。結果を混合
率、オーブン処理前後の容器の結晶化度、並びに配向度
指数とあわせて第5表に示す。また液晶の分布状態を観
察した結果の写真の模式図を第6−Bに示す。なお表に
示した混合率、結晶化度、並びに配向度指数はカップ胴
壁中央部を採取し、サンプルとした。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、本発明の容器の側断面図である。 第3−A図、第3−B図及び第3−C図は第1図及び第
2図の容器の器壁の断面構造の数例を示す拡大断面図で
ある。 第4−A図及び第4−B図は、容器胴部に垂直にX線を
照射したときのX線回析写真である。 第5−A図及び第5−B図は、X線の強度分布曲線であ
る。 第6−A図、第6−B図は、それぞれ実施例1、比較例
1で作成した容器、胴部の側断面図である。 第7−A図、第7−B図は、差動走査熱量計で測定され
た融解曲線であり、それぞれファーストラン並びにセカ
ンドランで求められる融解曲線である。 引照数字1は容器、2は胴部、3は閉塞底部、 4は開口端部、5は蓋、6は突起、7は容器壁、 8は内層、9は外層、10は中間層、11は連続膜、12は薄
片を各々示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23:00)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶化核剤として、オレフィン系樹脂核剤
    を含有する極限粘度が0.75乃至1.40g/dlのエチレンテレ
    フタレート系ポリエステル組成物80乃至90重量%と液晶
    ポリエステル20乃至10重量%とを含有するブレンド物の
    熔融射出成形により形成され、前記液晶ポリエステル
    は、主として器壁内包に実質上連続的に分布して存在し
    ていることを特徴とする耐熱性ポリエステル容器。
  2. 【請求項2】前記エチレンテレフタレート系ポリエステ
    ル組成物が、10%以上の結晶化度を有することを特徴と
    する請求項1記載の耐熱性ポリエステル容器。
  3. 【請求項3】液晶ポリエステルが一軸方向に分布配向さ
    れている請求項1記載の容器。
  4. 【請求項4】液晶ポリエステルが(I)芳香族ジカルボ
    ン酸成分と芳香族ジオール成分との重縮合物から成るポ
    リエステル、(II)芳香族ヒドロキシカルボン酸の重縮
    合物から成るポリエステル、(III)上記(I)及び(I
    I)のポリエステルのコポリエステル、及び(IV)上記
    (I),(II)及び(III)のポリエステルの少なくと
    も1種とポリエチレンテレフタレートとのコポリエステ
    ルから成る群より選ばれた少なくとも1種のサーモトロ
    ピックポリエステルである請求項1記載の容器。
  5. 【請求項5】無機充填材が1重量%以上充填されている
    請求項1記載の容器。
  6. 【請求項6】無機充填材が液晶ポリエステル側に多く充
    填されている請求項1記載の容器。
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