JPH0692298A - 展開型トラス構造体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、軽量化と共に、信頼性のある折畳
み展開動作を実現することにある。 【構成】横梁部材１１，１２を略十字状に交叉させて、
交叉部を回動自在に結合した十字結合部材１３を、その
梁部材１１の一方端を中心縦梁部材１４に対して軸方向
に回動自在に結合し、その梁部材１２の一方端を梁部材
１４に対して軸方向に摺動自在に結合した状態で放射状
に配設し、該結合部材１３の梁部材１１の他方端を縦梁
部材１５に対して軸方向に摺動自在に結合し、他方側の
梁部材１２の他方端を縦梁部材１５に対して軸方向に回
動自在に結合して、結合部材１３の他方端間に対してワ
イヤ部材１６及びテンションワイヤ部材１７を張設した
展開トラス１０を備え、その結合部材１３の梁部材１２
の一方端を縦梁部材１４に対して摺動させて折畳み展開
するように構成し、所期の目的をしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば宇宙基地を構
成する構造物や宇宙空間に構築されるアンテナ装置等の
支持構造に好適する展開型トラス構造体に関する。

【０００２】

【従来の技術】宇宙開発の分野においては、宇宙基地構
想の開発が進められている。この宇宙基地構想にあって
は、その宇宙基地の骨格や、アンテナの支持構造体を含
む各種の展開トラス構造体を、予め地上において組立て
た後、折畳み収容してスペースシャトル等の輸送手段を
用いて宇宙空間まで輸送し、宇宙空間で展開させて構築
する方法が考えられ、開発されている。

【０００３】このような展開型トラス構造体としては、
例えば特開昭６１ー９８６９９号公報等に記載されると
ころの複数の連結棒を立方体状にトラス結合したモジュ
ール単位の展開トラスを複数個、所望の形状に組合わせ
るマルチモジュールと称する組合わせ方法が採られてい
る。このような組合わせ方式の展開型トラス構造体は、
伸縮自在な駆動部材が複数の展開トラスの立方体面の対
角線上にそれぞれ配設されており、これら複数個の展開
トラスの駆動部材を駆動モータを用いて同期して伸縮駆
動させることにより、構造体全体の折畳み展開が行われ
る。

【０００４】ところで、このような展開型トラス構造体
は、展開トラスを構成する連結棒の数及び折畳み展開駆
動用モータ等の駆動手段の配置数に応じて、その重量及
び動作制御の信頼性が決定される。このため、上述した
従来の展開型トラス構造体では、部品点数と展開駆動用
モータ数等の点から重量及び折畳み展開動作制御の信頼
性の向上を図ることが困難であり、これらの点から軽量
で、しかも高精度な動作制御の要求される宇宙開発の分
野での適用を考慮すると、満足の行くものでなかった。

【０００５】また、最近の宇宙開発の分野においては、
運用の多様化に伴って、例えば大口径のアンテナ反射鏡
等に用いられる展開型トラス構造体の大形化の要請があ
る。そのため、これらの要請を満足する大形で、軽量、
且つ高精度な動作制御が可能な展開型トラス構造体の開
発が重要な課題の一つとなっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来の展開型トラス構造体では、大形化を図ると、重量が
重くなると共に、動作制御の信頼性の点で満足の行くも
のでないという問題を有していた。

【０００７】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、簡易な構成で、軽量化の促進を図り得、且つ、動
作制御の信頼性を向上し得るようにした展開型トラス構
造体を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明は、２本の横梁
部材を略十字状に交叉させて、交叉部を回動自在に結合
した複数の十字結合部材を、その一方側の横梁部材の一
方端を中心縦梁部材に対して軸方向に回動自在に結合
し、他方側の横梁部材の一方端を該中心縦梁部材に対し
て軸方向に摺動自在に結合した状態で放射状に配設し、
且つ前記複数の十字結合部材の一方側の横梁部材の他方
端を縦梁部材に対して軸方向に摺動自在に結合し、他方
側の横梁部材の他方端を該縦梁部材に対して軸方向に回
動自在に結合して、前記複数の十字結合部材の他方端間
に対してワイヤ部材を張設した展開トラスと、前記十字
結合部材の少なくとも中心縦梁部材に摺動自在に支持さ
れる前記他方側の横梁部材の一方端を摺動して前記展開
トラスを折畳み展開する駆動手段とを備えて展開型トラ
ス構造体を構成したものである

【０００９】

【作用】上記構成によれば、展開トラスは、その他方側
の横梁部材の一方端が中心縦梁部材の軸方向に摺動され
ると、一方側の横梁部材との交叉部が回動されることに
より、縦梁部材とともに中心縦梁部材に対して略平行に
接離され、全体が折畳み展開される。これにより、折畳
み展開駆動用の駆動源として、その他方側の横梁部材の
一方端を中心縦梁部材の軸方向に摺動させるだけの最小
限の構成部品を備えるだけの構成で、全体の折畳み展開
動作が可能となり、軽量で、信頼性の高い動作制御が実
現される構造体の形成が可能となる。

【００１０】

【実施例】以下、この発明の実施例に係る展開型トラス
構造体について、図面を参照して詳細に説明する。図１
はこの発明の一実施例に係る展開型トラス構造体に適用
される基本モジュールとなる略四角柱形状の展開トラス
１０を示すものである。

【００１１】すなわち、展開トラス１０は、２本の横梁
部材１１，１２を２本略十字状に交叉させて、交叉部を
回動自在に結合した十字結合部材１３が形成され、この
十字結合部１２が中心縦梁部材１４に対して放射状に４
個組合わせ結合されていわゆるパンタグラフを構成す
る。この十字結合部材１２は、その一方側の横梁部材１
１の一方端が中心縦梁部材１４に対して軸方向に回動自
在に結合され、他方側の横梁部材１２の一方端が中心縦
梁部材１４に対して軸方向に摺動自在に結合される。そ
して、この十字結合部材１３は、その一方側の横梁部材
１１の他方端が縦梁部材１５に対して軸方向に摺動自在
に結合され、他方側の横梁部材１２の他方端が該縦梁部
材１５に対して軸方向に回動自在に結合される。

【００１２】また、十字結合部材１３の横梁部材１１，
１２の他方端間にはワイヤ部材１６が張設され、このワ
イヤ部材１６で形成する四辺形状の対角線間にはテンシ
ョンワイヤ部材１７が張設される。

【００１３】なお、展開トラス１０には、展開駆動用の
図示しないばね部材が、その十字結合部材１３の他方側
の横梁部材１１の一方端に矢印Ａ方向（展開方向）にば
ね力を付与するように内蔵され、例えば図示しない折畳
み機構を介してばね部材（図示せず）のばね力に抗して
折畳み収容される。

【００１４】ここで、展開トラス１０は、その十字結合
部材１３の他方側の横梁部材１２の一方端が上記ばね部
材（図示せず）のばね力に抗して図２（ａ）に示す折畳
み収容されてロックされた状態から、そのロックが解除
されると、十字結合部材１３の他方側の横梁部材１１の
一方端が上記ばね部材（図示せず）のばね力により矢印
Ａ方向に摺動付勢される。これにより、展開トラス１０
は、図２（ｂ），（ｃ）に示すように十字結合部材１３
の一方側の横梁部材１１の他方端が同期して同方向に摺
動付勢され、これに連動して該十字結合部材１３の両端
の一方側の横梁部材１１を中心として中心縦梁部材１４
に対して回動されて展開される。この際、展開トラス１
０は、ワイヤ部材１６及びテンションワイヤ部材１７の
作用により、所定の強度が確保される。

【００１５】上記構成において、例えば比較的小径のア
ンテナ反射鏡を構成する場合には、図３に示すように上
記展開トラス１０を直接的にアンテナ反射鏡支持構造と
して、その一方面側にスタッドと称する取付部材を立設
した鏡面支持構造２０が配設され、この鏡面支持構造２
０上には、例えば可撓性導電膜製のメッシュ鏡面２１が
被着されて所望の鏡面が形成される。これにより、展開
トラス１０は、上述したように十字結合部材１３の他方
側の横梁部材１２の一方端が矢印Ａ方向に摺動される
と、それに連動して、一方面に張設される可撓性導電膜
製のメッシュ鏡面２１が鏡面支持構造２０を介して所望
の鏡面形状に展張される。

【００１６】また、展張されたメッシュ鏡面２１は、十
字結合部材１３の他方側の横梁部材１２の一方端が矢印
Ｂ方向に摺動されて展開トラス１０が折り畳み収容され
ると、これに連動して、鏡面支持構造２０を介して折り
畳み収容される。

【００１７】このように、上記展開型トラス構造体は、
２本の横梁部材１１，１２を略十字状に交叉させて、交
叉部を回動自在に結合した十字結合部材１３を、その一
方側の横梁部材１１の一方端を中心縦梁部材１４に対し
て軸方向に回動自在に結合し、他方側の横梁部材１２の
一方端を該中心縦梁部材１４に対して軸方向に摺動自在
に結合した状態で放射状に配設し、且つ十字結合部材１
３の一方側の横梁部材１１の他方端を縦梁部材１５に対
して軸方向に摺動自在に結合し、他方側の横梁部材１２
の他方端を該縦梁部材１５に対して軸方向に回動自在に
結合して、十字結合部材１３の他方端間に対してワイヤ
部材１６及びテンションワイヤ部材１７を張設した展開
トラス１０を備え、この展開トラス１０の十字結合部材
１３の中心縦梁部材１４に摺動自在に支持される他方側
の横梁部材１２の一方端を中心縦梁部材１４に対して摺
動させて該展開トラス１０を折畳み展開するように構成
した。

【００１８】これによれば、折畳み展開駆動用の駆動源
として、その十字結合部材１３の他方側の横梁部材１２
の一方端を中心縦梁部材１４の軸方向に摺動させるだけ
の構成で、全体の折畳み展開動作が可能となり、軽量
で、信頼性の高い動作制御が実現される構造体の形成が
可能となる。なお、上記実施例では、四角柱形状の展開
トラス１０を構成した場合で説明したが、この角数に限
ることなく、構成可能である。

【００１９】また、上記実施例では、展開トラス１０を
１個用いて構成した場合で説明したが、これに限ること
なく、複数の展開トラス１０を、例えば平面状に組合わ
せ結合して、大形の反射鏡支持構造等を形成しても良
い。この適用範囲としては、宇宙基地の骨格を含む各種
の構造物や、地上に構築する各種の建築物に適用するこ
とも可能である。

【００２０】さらに、上記各実施例では、展開トラス１
０を折畳み展開するのに、十字結合部材１３の他方側の
横梁部材１２の一方端を中心縦梁部材１４の軸方向に摺
動させて実行するように構成したが、これに限ることな
く、十字結合部材１３の一方側の横梁部材１１の他方端
を縦梁部材１５に対して摺動させることにより折畳み展
開するように構成しても良い。

【００２１】また、さらに、上記実施例では、十字結合
部材１３の他方側の横梁部材１２の一方端を中心縦梁部
材１４の軸方向に摺動させるのにばね部材のばね力を利
用して行うように構成した場合で説明したが、これに限
ることなく、モータの駆動力を利用して実行するように
構成することも可能である。よって、この発明は上記実
施例に限ることなく、その他、この発明の要旨を逸脱し
ない範囲で種々の変形を実施し得ることは勿論である。

【００２２】

【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、簡易な構成で、軽量化の促進を図り得、且つ、動作
制御の信頼性を向上し得るようにした展開型トラス構造
体を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例に係る展開型トラス構造体
の展開トラスを示した図。

【図２】多角柱展開トラスの折り畳み展開状態の概念を
説明するために示し図。

【図３】図１をアンテナ反射鏡支持構造として使用した
状態を示した図。

【符号の説明】

１０…展開トラス、１１，１２…横梁部材、１３…十字
結合部材、１４…中心縦梁部材、１５…縦梁部材、１６
…ワイヤ部材、１７…テンションワイヤ部材、２０…鏡
面支持構造、２１…メッシュ鏡面。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２本の横梁部材を略十字状に交叉させ
   て、交叉部を回動自在に結合した複数の十字結合部材
   を、その一方側の横梁部材の一方端を中心縦梁部材に対
   して軸方向に回動自在に結合し、他方側の横梁部材の一
   方端を該中心縦梁部材に対して軸方向に摺動自在に結合
   した状態で放射状に配設し、且つ前記複数の十字結合部
   材の一方側の横梁部材の他方端を縦梁部材に対して軸方
   向に摺動自在に結合し、他方側の横梁部材の他方端を該
   縦梁部材に対して軸方向に回動自在に結合して、前記複
   数の十字結合部材の他方端間に対してワイヤ部材を張設
   した展開トラスと、 前記十字結合部材の少なくとも中心縦梁部材に摺動自在
   に支持される前記他方側の横梁部材の一方端を摺動して
   前記展開トラスを折畳み展開する駆動手段とを具備した
   ことを特徴とする展開型トラス構造体。
2. 【請求項２】 前記展開トラスは、前記複数の十字結合
   部材の他方端間を中間部が折曲自在な折曲梁部材で結合
   してなることを特徴とする請求項１記載の展開型トラス
   構造体。